説明

多機能性プラスチックシートおよびその製造方法

本発明は、筆記用だけではなくスクリーン用として利用が可能な多機能性プラスチックシートおよびこの製造方法に関し、アクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理された第1プラスチックフィルムと、第1プラスチックフィルムの上面に形成されたビーズ含有UVコーティング層と、第1プラスチックフィルムの下面に接着されて合紙された第2プラスチックフィルムと、第2プラスチックフィルムの下面に形成された永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層とを備える多機能性プラスチックシートを提供する。本発明に係るプラスチックシートは、耐久性、筆記感、消去性が優れており、各種筆記具の使用が可能であり、移動性および携帯性を備えていてユーザの便宜を図ることができ、関連産業界に効果的に適用されるものとして期待されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筆記用だけでなくスクリーン用としても利用が可能な多機能性プラスチックシートおよびその製造方法に関し、より詳細には、耐久性、筆記感、消去性に優れ、各種筆記具の使用が可能であり、移動性および携帯性を備え、ユーザの便宜を図った多用途での利用が可能なプラスチックシートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、講義室、職場、家庭などにおいて筆記、講義、説明、遊びなどの目的で用いられるボードとしては、チョークを用いる黒板またはボード用マーカーペンを用いるホワイトボードなどを挙げることができる。
【0003】
黒板は、学校で最も広く用いられているものであり、板上に塗料を塗布した初期の形態から、黒板上に図表や資料を広げることができるようにマグネットを用いたもの、または鉄鋼で生成されたものなどがある。また、ホワイトボードは、鉄板材に合成樹脂を塗布したものであり、水性マーカーペンを用いて筆記するものとして広く用いられている。
【0004】
しかしながら、通常の既存のボードは、一般的に中密度繊維板(MDF)の後面に模様コーティング紙を、前面に白色薄葉紙を合紙して製造される。そのため重さが重く、裁断が難しく、施工および設置に困難があった。また、黒板の場合にはチョークが、ホワイトボードの場合にはボード用マーカーペンのみが使用可能なため、使用が可能な筆記具が極めて制限されていた。
【0005】
最近では、各種会議やプレゼンテーションなどにビームプロジェクタを用いることが普及しているが、ビームプロジェクタを用いるためには、スクリーンが必然的に要求される。しかしながら、上述した黒板やホワイトボードなどの筆記用ボードは、スクリーンとしての利用が不可能である。特に、ホワイトボードの場合は表面光沢を有しているため、スクリーンとして使用された場合には視力障害などの問題が発生する恐れがある。したがって、このような場合には、筆記用ボードと別途のスクリーンの両方が必要となり、利用に煩わしさと不便さがあった。
【0006】
したがって、筆記用ボードだけでなくスクリーンとしても用いることができる多機能性を有し、軽量で移動が容易であって携帯することができ、各種筆記具の使用が可能な筆記用ボードの開発に対する要求が依然として存在している実情にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が達成しようとする課題は、軽量で移動性があるため使用が便利であり、筆記用だけでなくスクリーン用としても用いることができる多機能性を有し、容易に粘着することができるため設置および維持補修が簡便であり、ユーザの便宜を図った多機能性プラスチックシートおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述したような問題点を解決しようと鋭意研究した結果、プラスチックフィルムにアクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理をした後、ビーズを含有したUVコーティング液でコーティングすることにより、筆記用およびスクリーン用としても用いることができる高耐久性の多機能性プラスチックシートを製造することができることを発見し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、第1プラスチックフィルム上面にアクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理をするステップと、前記第1プラスチックフィルムのコーティングまたは処理された上面をビーズ含有UVコーティング液でコーティングするステップと、前記コーティングされた第1プラスチックフィルム下面と第2プラスチックフィルム上面を接着させて合紙するステップと、前記で合紙された第2プラスチックフィルム下面に永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層を形成するステップとを含む多機能性プラスチックシートの製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、アクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理された第1プラスチックフィルムと、前記第1プラスチックフィルムの上面に形成されたビーズ含有UVコーティング層と、前記第1プラスチックフィルムの下面に接着されて合紙された第2プラスチックフィルムと、前記第2プラスチックフィルムの下面に形成された永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層とを備える多機能性プラスチックシートを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る多機能性プラスチックシートは、筆記用だけでなくスクリーン兼用としての使用が可能であり、耐久性、筆記感、消去性などの物性において優れた特徴を有する。また、多機能性プラスチックシートには各種多様な筆記具の使用が可能であり、用途に応じて着脱が可能なようにして用いられたり、または固定付着して用いることができ、ユーザの便宜を図った多機能性筆記用およびスクリーン兼用ボードとして極めて適切に用いることができる。本発明に係る多機能性プラスチックシートは、筆記感や消去性などの使用性が優秀である。また、多機能性プラスチックシートは耐久性、耐紫外線性などが優れており、移動が簡便で便利に使用できるという特性を有しており、関連産業に効果的に適用されるものと見込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムが接着、合紙されてなされた本発明に係る多機能性プラスチックシートを概略的に示す図である
【図2】第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムが一体化して単層となった本発明に係る多機能性プラスチックシートを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明において、「プラスチックフィルム」と言う用語は、当業界で通常にプラスチックフィルムと呼ばれているポリエチレンテレフタラート、ポリビニルクロライド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ウレタンなどのプラスチック樹脂を用いて製造されたフィルムを意味する。
【0014】
本発明の第1プラスチックフィルムは、筆記のための面であり、第2プラスチックフィルムは、厚さおよび色を付与するためのものである。それぞれのプラスチックフィルムは、このような用途に合わせて選択すれば良く、第1プラスチックフィルムは筆記のための面であるため、摩擦係数が小さいフィルム、例えば、ポリエステルフィルムを用いることが特に好ましく、厚さは20〜100μmであることが好ましい。第1プラスチックフィルムの厚さがこのような範囲を逸脱する場合、スクリーン効果の低下および伸率の低下という問題点が生じることがある。
【0015】
第2プラスチックフィルムは、基材として用いられるものであるため、特に制限がなく、ポリビニルクロライドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、およびウレタンフィルムからなる群から選択することができる。また、第2プラスチックフィルムとして、顔料や染料及び/又は色素などを添加して製造したプラスチックフィルムを用いることもでき、その厚さは100〜300μmが好ましい。
【0016】
本発明に係る多機能性プラスチックシートに含まれる第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムは、それぞれ別途のフィルムを用いることができ、実施形態によっては、第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムが一体化した単層とすることもできる。第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムが一体化して単層となる場合には、伸率および硬度の維持、クラック発生防止の側面から、ポリビニルクロライドフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびポリエステルフィルムからなる群から選択されるフィルムが好ましい。
【0017】
図1および2には、本発明の一実施形態に係る多機能性プラスチックシートが示されている。図1は、第1プラスチックフィルムが接着、合紙されて作られたシートを示しており、図2は、第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムが一体化した単層で形成されたシートを示している。
【0018】
本発明に係る多機能性プラスチックシートを製造するために、第1プラスチックフィルム上面をアクリレート樹脂でコーティングしたり、またはコロナ処理する。アクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理の目的は、第1プラスチックフィルムと紫外線(ビーズ含有UV)コーティング層の接着力を維持させ、悪条件の硬度および屈曲条件下でも鉛筆硬度3H以上の物性を保有するようにするためである。
【0019】
アクリレート樹脂コーティングは、第1プラスチックフィルム上面にアクリレート樹脂を所定の厚さ、例えば、0.3〜0.5μmで通常の方法によってコーティングすることによってなされる。
【0020】
コロナ処理は、ポリオレフィンフィルム、紙、金属などの処理されるべき基材にコロナ放電を照射させて基材の表面を改質させるものであり、高周波電源によって供給された高周波、高電圧出力を放電電極と処理ロールの間に印加することによって発生するコロナ放電下で基材を通過させることによってなされる。コロナ処理は、コーティング、印刷、塗装などの前処理段階において、接着性強化、ムラ改善などの目的でなされる処理方法として行われている。本発明において、第1プラスチックフィルムとビーズ含有UVコーティング層の接着性を強化させて安定した物性を維持できるようにするために、コロナ処理を行うことが好ましい。コロナ処理方法は、本願に係わる技術分野において公知の方法、例えば、42dyne/cm2以上でコロナ放電させて行うことができるが、これに制限されるものではない。
【0021】
本発明において、アクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理は、プラスチックフィルム上に、上述のようにコーティングしたり処理したりして行うこともでき、または市場で入手が可能なアクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理されたプラスチックフィルムを本発明の第1プラスチックフィルムとして用いることもできる。
【0022】
このように処理された第1プラスチックフィルム表面をビーズ含有UVコーティング液でコーティングしてビーズ含有UVコーティング層を形成する。ビーズ含有UVコーティング層を形成することにより、コーティング面の無光効果を極大化してスクリーンビーム投射時の反射率が最小化され、さらには視力保護の効果を得ることもでき、ソフトな部分が強化されてクラックが発生しないように伸率を維持でき、表面硬度を鉛筆硬度3H以上、好ましくは3H以上5H以下で維持させることができる。また、このような表面無光エンボス効果により、各種筆記具の使用時に優れた筆記感および消去性を維持することができ、また優れた耐久性も有するようになる。
【0023】
ビーズとしては、スクリーン機能と筆記性、消去性および付着性の側面から、特にポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズを用いることが好ましい。ビーズの大きさは、2μm〜10μmであることが好ましい。UVコーティング液は、ハードコーティング用として市場で入手が可能な通常のUVコーティング剤を用いることができ、UVコーティング液100重量部に対してビーズ5〜10重量部を添加する。UVコーティング液に対するビーズの量が5重量部未満である場合にはスクリーンとしての機能と筆記性が低下し、10重量部を超える場合には耐久性と硬度が弱くなる。
【0024】
このように形成されたビーズ含有UVコーティング液を沈降しないように撹拌し、上述のように処理された第1プラスチックフィルム表面に3μm〜20μmの厚さで通常の方法によりコーティングする。ビーズ含有UVコーティング層の厚さが3μm未満である場合には硬度および接着維持力が低下し、20μmを超える場合には硬度低下およびクラック発生の危険性がある。
【0025】
このように製造された第1プラスチックフィルムの下面に模様を印刷するステップを追加で含むことができる。このように印刷を行えば、印刷面が表面に露出しないため、書くこと及び消すことを繰り返しても内部に印刷された模様または文字に影響を及ぼすことなく、印刷された模様や文字の保持が可能であるという長所がある。模様印刷は、通常のプラスチックフィルムの印刷方法による。
【0026】
本発明の実施形態によって、第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムが一体化した単層の形態をとる場合には、プラスチックフィルムの上面に模様を印刷した後に、上述したビーズ含有UVコーティング層を形成する。
【0027】
このように製造されたビーズ含有UVコーティング層が形成された第1プラスチックフィルムを所定の温度で所定の時間熟成させるステップをさらに含むことができる。熟成は、2種類のプラスチックフィルムを合紙するときに発生することがあるポリマーの安定を期し、カーリングを調節するために用いられるものであり、プラスチックフィルムの種類に応じて温度および時間を調節して行うことができる。一般的に、40〜90℃で48〜72時間熟成することが好ましい。熟成温度および時間がこのような範囲を逸脱する場合には、第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムの接着維持力が確保されずに分離するという問題が生じることがある。
【0028】
このように製造されたビーズ含有UVコーティング層が形成された第1プラスチックフィルムを第2プラスチックフィルムと接着させて合紙する。すなわち、第2プラスチックフィルム上面に接着剤を塗布して第1プラスチックフィルム裏面と接着させて合紙する。接着剤は、通常、プラスチックフィルムの合紙に用いることができるものであれば特に限定されることはなく、例えば、ポリエステル接着剤などを挙げることができる。
【0029】
本発明の実施形態によって、第1プラスチックフィルム下面と第2プラスチックフィルム上面を接着させて合紙する前に、第2プラスチックフィルム上面にコロナ処理を行うことができる。このようなコロナ処理によって接着性の強化、ムラ改善などの前処理効果を得ることができる。コロナ処理方法は、一般的な公知の方法による。
【0030】
本発明に係るプラスチックシートは、このように合紙された第2プラスチックフィルムの下面に永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層を形成することによって固定付着させて用いることもでき、または損傷なく着脱が可能なようにして用いることもできる。したがって、用途および目的に応じて永久粘着剤またはリムーバブル粘着剤を選択してプラスチックシートの製造に使用することができる。永久粘着剤またはリムーバブル粘着剤は、当業界で公知のものを用いれば良く、特に限定されるものではない。例えば、耐寒性、耐熱性、再剥離などのために、アクリル系粘着剤を用いることができる。特に、本発明に係るプラスチックシートは、リムーバブル粘着剤層を有することが可能であるため、壁紙、ガラス、冷蔵庫、ウッドラックなどの種々の基材上に損傷なく着脱することができる。
【0031】
本発明の実施形態によって、第2プラスチックフィルムの下面に永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層を形成する前に、第2プラスチックフィルム下面にコロナ処理を行うことができる。このようなコロナ処理は、接着性の強化、ムラ改善などの目的でなされる前処理過程に該当する。コロナ処理方法は、一般的な公知の方法による。
【0032】
また、包装、保管、移動などのために、上述のように製造されたプラスチックシートの永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層と後面層を合紙することができる。後面層は、剥離紙である紙の一面をプラスチックフィルムでコーティングした後にシリコーンコーティングして形成されるものであり、これには公知の通常の方法を用いればよい。
【0033】
このように製造された本発明に係る多機能性プラスチックシートは、優れた物性を有し、筆記用だけでなくスクリーン用としても利用が可能であり、巻物のように巻いて携帯することができるため、使用の便宜性を図ることができるという特徴を有している。
【0034】
以下、本発明に係る多機能性プラスチックシートについて、下記の実施例を参照しながらより詳細に説明する。下記の実施例は、本発明を制限するものではなく、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項に基づいて適切な変形および修正が可能である。
【実施例】
【0035】
<実施例1:プラスチックシートの製造(1)>
ポリエステル(PET)フィルム(製品名:SS102、製造社:HWASEUNG industries Co.,Ltd.、厚さ38μm)の上面にアクリレート樹脂(製品名:SH92、製造社:SKC)を0.5μmの厚さでコーティングした。UVコーティング液(製品名:UC150H、製造社:UREI)100重量部にポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズ粉末(製品名:MS−1000、製造社:SOKEN)7重量部を添加して1時間放置し、ビーズ含有UVコーティング液を形成した。このコーティング液を沈降しないようにポンピングインペラーを使用して攪拌した後、PETフィルムのアクリレート樹脂コーティングされた上面に20μmの厚さでコーティングした。コーティング後、90℃で48時間熟成した。
【0036】
PVCフィルム(製品名:WH57A、製造社:HLCC)の上面にポリエステル接着剤を塗布し、合紙装置を用いてコーティングされたPETフィルムと合紙した後、90℃で72時間熟成した。
【0037】
このように合紙されたPVCフィルム下面にアクリル系粘着剤層を形成して多機能性プラスチックシートを製造した。リムーバブル粘着剤としてはCOSMOTEC社のAP−14M製品を用い、永久粘着剤としてはCMT−8700A製品を用いた。
【0038】
<実施例2:プラスチックシートの製造(2)>
【0039】
アクリレート樹脂コーティングの代わりに42dyne/cm2以上でコロナ放電処理したことを除いては、実施例1と同じ方法で多機能性プラスチックシートを製造した。
【0040】
<実施例3:プラスチックシートの製造(3)>
プラスチックフィルム(PVCフィルムとしてはWH57A(HLCC社製品)を、PPフィルムとしてはGR80(HLCC製品)を利用)の上面にアクリレート樹脂(製品名:SH92、製造社:SKC)を0.3μmの厚さでコーティングした。UVコーティング液(製品名:UC150H、製造社:UREI)100重量部にポリメチルメタクリレート(PMMA)ビーズ粉末(製品名:MS−1000、製造社:SOKEN)7重量部を添加して1時間放置し、ビーズ含有UVコーティング液を形成した。このコーティング液を沈降しないようにポンピングインペラーを使用して攪拌した後、プラスチックフィルムのアクリレート樹脂コーティングされた上面に3μmの厚さでコーティングした。コーティング後、90℃で48時間熟成した。フィルム下面にアクリル系粘着剤層を形成して多機能性プラスチックシートを製造した。リムーバブル粘着剤としてはCOSMOTEC社のAP−14M製品を用い、永久粘着剤としてはCMT−8700A製品を用いた。
【0041】
<実施例4:プラスチックシートの製造(4)>
アクリレート樹脂コーティングの代わりに42dyne/cm2以上でコロナ放電処理したことを除いては、実施例3と同じ方法で多機能性プラスチックシートを製造した。
【0042】
<試験例1>
【0043】
実施例1で製造された多機能性プラスチックシートのフィルム特性を測定し、下記の表1に示した。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示す結果から明確に確認できるように、本発明に係る多機能性プラスチックシートは、耐磨耗性、耐薬品性、耐紫外線性、耐溶剤性などの特性が優秀であって長い耐久性を有し、3H以上の鉛筆硬度を有し、筆記用だけでなくスクリーン用としても利用が可能である。また、100を基準として相対的に評価した筆記感性、消去性、および残像においても、従来のホワイトボードや緑色黒板などに比べて極めて優れた特性を示すことが分かる。
【0046】
<試験例2>
【0047】
従来に用いられた緑色黒板およびホワイトボードと実施例1によって製造された本発明に係る多機能性プラスチックシートとを比べ、その結果を表2に示す。
【0048】
【表2】

【0049】
表2の結果から、従来に用いられていた緑色黒板やホワイトボードに比べ、本発明に係るプラスチックシートは、各種筆記具の使用が可能な汎用性を有し、筆記性、消去性、耐磨耗性、硬度が優れており、無光の特性を有するため、スクリーン兼用として使用可能であることが確認できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プラスチックフィルムの上面にアクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理をするステップと、
前記第1プラスチックフィルムのコーティングまたは処理された上面をビーズ含有UVコーティング液でコーティングするステップと、
前記コーティングされた第1プラスチックフィルムの下面と第2プラスチックフィルムの上面を接着させて合紙するステップと、
前記合紙された第2プラスチックフィルムの下面に永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層を形成するステップと、
を含む多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項2】
前記合紙ステップ前に、前記第2プラスチックフィルムの上面をコロナ処理するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項3】
前記永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層形成ステップ前に、前記合紙された第2プラスチックフィルムの下面をコロナ処理するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項4】
前記ビーズ含有UVコーティング液でコーティングするステップ後に、前記第1プラスチックフィルム裏面に模様を印刷するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項5】
剥離紙である紙の一つの面をプラスチックフィルムでコーティングした後に、シリコーンコーティングして形成した後面層を前記永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層と合紙するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項6】
前記第1プラスチックフィルムは、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項7】
前記第2プラスチックフィルムは、ポリビニルクロライドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびウレタンフィルムからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項8】
前記ビーズ含有UVコーティング液で第1のプラスチックフィルムの上面をコーティングするステップにおいて、UVコーティング液100重量部にポリメチルメタクリレートビーズ5〜10重量部を添加し、0.5〜2時間放置して形成されたコーティング液で3〜20μmの厚さでコーティングすることを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項9】
前記ビーズ含有UVコーティング液でコーティングされた第1プラスチックフィルムを40〜90℃で48〜72時間熟成するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の多機能性プラスチックシートの製造方法。
【請求項10】
アクリレート樹脂コーティングまたはコロナ処理された第1プラスチックフィルムと、
前記第1プラスチックフィルムの上面に形成されたビーズ含有UVコーティング層と、
前記第1プラスチックフィルムの下面に接着されて合紙された第2プラスチックフィルムと、
前記第2プラスチックフィルムの下面に形成された永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層と、
を備える多機能性プラスチックシート。
【請求項11】
前記第1プラスチックフィルムは、ポリエステルフィルムであることを特徴とする請求項10に記載の多機能性プラスチックシート。
【請求項12】
前記第2プラスチックフィルムは、ポリビニルクロライドフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、およびウレタンフィルムからなる群から選択されることを特徴とする請求項10に記載の多機能性プラスチックシート。
【請求項13】
前記第1プラスチックフィルム裏面に模様が印刷されていることを特徴とする請求項10に記載の多機能性プラスチックシート。
【請求項14】
前記永久粘着剤層またはリムーバブル粘着剤層に合紙され、紙である剥離紙をプラスチックフィルムコーティングおよびシリコーンコーティングして形成された後面層、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の多機能性プラスチックシート。
【請求項15】
前記ビーズ含有UVコーティング層は、UVコーティング液100重量部にポリメチルメタアクリレートビーズ5〜10重量部を添加し、0.5〜2時間放置して形成されたコーティング液で3〜20μmの厚さでコーティングして形成されることを特徴とする請求項10に記載の多機能性プラスチックシート。
【請求項16】
前記第1プラスチックフィルムと第2プラスチックフィルムが一体化した単層であることを特徴とする請求項10に記載の多機能性プラスチックシート。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−514600(P2010−514600A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544794(P2009−544794)
【出願日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【国際出願番号】PCT/KR2008/000037
【国際公開番号】WO2008/082259
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(509188986)インパ カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】