説明

多機能時計

【課題】多機能時計において、標準時刻電波の受信機能等特定機能を実行することができるか否かを機能ごとに使用者がひと目で認識することができるものとする。
【解決手段】互いに異なる種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う8つの動作モードを有し、この8つの動作モードにそれぞれ対応したモードマークTME,CAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2が表示され、これらのうち選択された1つの動作モードに対応したモードマーク(例えば、ワールドタイムセット機能のモードマークWT−S)を表示するモード表示手段40を備え、8つの動作モードのうち予め設定された所定の動作モードにおいてのみ実行される標準時刻電波受信機能を有し、モード表示手段40は、標準時刻電波受信動作の実行または不実行の別を、動作モードの表示の差異(モードマークTMEの表示位置)によって表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多機能時計に関し、詳細には、電波を受信して自動的に時刻表示の修正機能を備えた多機能時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、標準時刻電波を受信して時刻表示を自動的に修正する機能を有する、いわゆる電波修正時計が普及してきている。特に最近は、標準電波受信用のアンテナを時計本体の筐体内に収納され、さらに、電波の受信性能向上により、筐体も樹脂製のものから金属製のものに変わりつつあり、外観上、電波修正時計ではない通常の時計と差異が無くなっており、女性用などサイズの小さい時計にも電波修正時計が適用されている。
【0003】
また、カレンダー表示機能、ワールドタイム表示機能、アラーム機能、タイマー機能、クロノグラフ機能など本来の時計表示以外の機能を複数有する、いわゆる多機能時計にも電波修正時計が展開されている(特許文献1)。
【0004】
ところで、電波修正時計は、標準時刻電波の受信中に、受信対象となる電波以外のノイズが混入しないように、各種機能の指針駆動やデジタル部の表示更新など駆動ノイズが発生しやすい機能を停止させる必要がある。
【0005】
これとは反対に、使用者がタイマー機能やクロノグラフ機能などノイズが発生し易い機能を作動させている状況下では、作動中の当該機能を停止させることなく、電波受信の動作(特定機能)を行わないようにしている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−71469号公報(図2等)
【特許文献2】特開平8−201546号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、多機能時計が有する機能には、標準時刻電波の受信の際に動作を停止すると、当該機能の意味をなさなくなる機能と短時間の停止であれば問題の無い機能とがある。例えばクロノグラフ機能は、その動作中に電波受信のために機能を停止させたのでは当該機能の意味をなさなくなるため、電波受信動作を停止させるべきであり、例えばカレンダー機能は、一時的な停止によっても影響は少なく、電波受信動作を優先的に行うべき機能である。
【0007】
そこで、多機能電波修正時計では、各機能ごとに、電波の受信を優先して行うか、または機能の動作を優先して行う(電波の受信を行わない)かの別が、予め設定されている。
【0008】
しかし、上述した機能ごとの電波受信の可否設定の別を使用者が知るのは、それらの機能を実際に動作させて受信不可の注意表示がなされた場合や、実際の受信時刻になって受信動作が実行されたか否かを認識したときである。
【0009】
また、電波受信の可否設定の別は、取扱説明書やカタログ等の記載を見ることで、事前に確認することは可能であるが、取扱説明書等を逐一確認させるのは使用者の便宜に則したものではなく、確認すべき取扱説明書等自体が常に手元に有るとは限らない。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、標準時刻電波の受信機能等特定機能を実行することができるか否かを機能ごとに使用者がひと目で認識することができる多機能時計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る多機能時計は、複数の動作モードのうち予め設定された所定の動作モードにおいてのみ実行される特定機能についての実行または不実行の別を、モード表示手段が、動作モードの表示の差異によって表すことにより、使用者がひと目で認識できるようにしたものである。
【0012】
すなわち本発明に係る多機能時計は、互いに異なる種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う動作モードを複数有し、前記複数の動作モードのうち選択されている動作モードを表示するモード表示手段を備え、前記複数の動作モードのうち予め設定された所定の動作モードにおいてのみ実行される特定機能を有し、前記モード表示手段は、前記特定機能の実行または不実行の別を、前記動作モードの表示の差異によって表すものであることを特徴とする。
【0013】
ここで、互いに異なる種類の機能とは、例えば、ワールドタイム等の現在時刻を表示する時刻表示機能、カレンダーを表示する表示機能、電波修正時計における標準時刻電波の受信時刻を設定する電波受信セット機能、タイマー機能、クロノグラフ機能、ワールドタイムを設定するワールドタイムセット機能、アラーム機能などであり、多機能時計は、これらの機能にそれぞれ対応した各動作モードのうち、使用者により選択された1つの動作モードで動作する。
【0014】
特定機能とは、例えば、この多機能時計がいわゆる電波修正時計の場合には、標準時刻電波を受信する受信機能や、気圧を検出する気圧検出機能などである。
【0015】
そして、この特定機能は、選択されている動作モードによる機能に大きな影響を与える場合には、実行されないように予め設定されている。
【0016】
このように構成された本発明に係る多機能時計によれば、モード表示手段は、互いに異なる種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う複数の動作モードのうち選択されている動作モードを表示するとともに、複数の動作モードのうち予め設定された所定の動作モードにおいてのみ実行される特定機能の実行または不実行の別を動作モードの表示の差異によって表すため、使用者は、モード表示手段による動作モードの表示の差異を視認することで、各動作モードにおける特定機能の実行または不実行の別をひと目で認識することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る多機能時計によれば、標準時刻電波の受信機能等特定機能を実行することができるか否かを機能ごとに使用者がひと目で認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る多機能時計の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
(実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る多機能時計100の正面外観を示す模式図である。図示の多機能時計100は、標準時刻電波を所定時刻(通常は深夜の時間帯)に受信して標準時刻データを得る、アンテナ51および検波回路52からなる受信回路50(図3参照)と、この受信回路50が取得した標準時刻電波に対応した信号に基づいて時刻データを生成し、この生成された時刻データに基づいて、時計100のアナログ指針である時針11、分針12および秒針13を駆動回路70により自動的に変位させて表示時刻を修正する時刻修正回路60(図3参照)とを備えた、標準電波受信機能(特定機能)を有するいわゆる電波修正時計である。
【0019】
この時計100は、金属製のケース30の内部に、図示を略した風防ガラスを通して視認可能の文字板20が配設され、この文字板20には、2つの小窓が開口し、各小窓にはそれぞれLCD(液晶表示装置)21,22が嵌め込まれ、LCD21には、アナログの指針である時針11、分針12および秒針13によって表示される時刻に対応した都市名(図1においては、NYC(ニューヨーク))がデジタル表示される。
【0020】
ここで、都市名の選択は、使用者が、ケース30の側部に設けられた都市名選択のボタン32を押下することにより、LCD21に順次表示される約40の都市名のうちの所望とする1つの都市名が現れた時点で押下を解除することで選択される。
【0021】
ケース30の側部には、上記都市名選択のボタン32の他に、時針11、分針12および秒針13を手動で変位させるための竜頭31と、使用者が所望とする任意の時刻に、上記標準時刻電波を強制受信するための受信ボタン33とを備えている。
【0022】
また、文字板20に形成された他方の小窓に嵌め込まれたLCD22には、後述するワールドタイムやストップウォッチの計測時間が、デジタル表示される(図1においては、時刻表示モードで、ワールドタイムの一つであるTYO(東京)の時刻0時9分35秒を表示)。
【0023】
駆動回路70は、図3に示すように、時針11、分針12および秒針13を駆動する指針駆動回路71と、メモリ73に記憶された時差情報やモードマーク陰影パターン等に基づいて各LDC21,22をそれぞれ駆動する液晶駆動回路72とを備えている。
【0024】
この時計100は、互いに異なる種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う動作モードを複数有している。その機能としては、LCD22に、ワールドタイムセット機能で設定された都市の現在時刻を表示する時刻表示機能、カレンダーを表示するカレンダ表示機能、標準時刻電波の受信時刻を設定するための表示を行う電波受信セット機能、所定時刻までの残存時間を表示するタイマー機能、経過時間を表示するクロノグラフ機能、他都市を選択するワールドタイムセット機能、2つのアラーム時刻を独立して設定・表示する第一アラーム機能および第二アラーム機能である。
【0025】
なお、本実施形態の時計100が有する動作機能は上述した通り8つであるが、本発明に係る多機能時計の多機能時計は、この形態に限定されるものではなく他の種類の機能を有するものであってもよく、有する機能の数も少なくとも2つ以上であればよく、8つの機能に限定されるものではない。
【0026】
この時計100は、各機能にそれぞれ対応した各動作モード(時刻表示モード、カレンダ表示モード、電波受信セットモード、タイマーモード、クロノグラフモード、ワールドタイムセットモード、第一アラームモードおよび第二アラームモード)のうち、この時計100の使用者により選択されたいずれか1つの動作モードで動作する。
【0027】
また、この時計100は、8つの動作モードのうち、時刻表示モード、カレンダ表示モードおよび電波受信セットモードにおいては、上述した標準時刻電波の受信を行うが、残りの5つの動作モード、すなわち、タイマーモード、クロノグラフモード、ワールドタイムセットモード、第一アラームモードおよび第二アラームモードにおいては、上述した標準時刻電波の受信を行わないように予め設定されている。
【0028】
タイマーモード、クロノグラフモード、ワールドタイムセットモード、第一アラームモードおよび第二アラームモードにおいては、標準時刻電波の受信動作によって、選択されている動作モードによる機能に影響を与える場合があり、そのような事態を回避するためである。
【0029】
そして、使用者がこれらの動作モードのうち1つの動作モードを選択するモード選択ボタン(竜頭31で兼用)を操作することによって、動作モードを選択することができる。
【0030】
さらに、この時計100は、上記8つの動作モードのうち、モード選択ボタンによって選択されている動作モードを表示するモード表示手段40を備えている。
【0031】
このモード表示手段40は、8つの動作モードのうち予め設定された所定の動作モードにおいてのみ実行される標準時刻電波の受信を実行するか否かの別を、動作モードの表示の差異によって表すものである。
【0032】
具体的には、各動作モードに対応して各動作モードのそれぞれを表す、文字板20上に印刷されて固定的に印字されたモードマーク(時刻表示モードマークTME、カレンダ表示モードマークCAL、電波受信セットモードマークRX−S、タイマーモードマークTMR、クロノグラフモードマークCHR、ワールドタイムセットモードマークWT−S、第一アラームモードマークAL−1および第二アラームモードマークAL−2)と、これら複数のモードマークのうち使用者に選択されている動作モードに対応したモードマークを指示するモード指示手段41とからなり、モード指示手段41は、8つの動作モードのうち選択されている動作モードに対応したモードマーク(TME、CAL、RX−S、TMR、マークCHR、WT−S、AL−1およびAL−2のうち1つ)を指示する。
【0033】
各モードマークTME,CAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2は、文字板20下部の、囲み枠23aによって区画された狭い領域23に、略角度間隔(45度間隔)で周上に配列された並びで印字され、固定的に表示されている。
【0034】
なお、印字に代えて固定的な表示として、アップライトなインデックスやプレス加工により、文字を立体的に浮き出させた態様であってもよい。
【0035】
また、各モードマークTME,CAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2が表示される対象部分としては、文字板20以外にも、例えば時計ケースの内側面など外部から視認可能の部分であってもよい。
【0036】
モード指示手段41は、時計100の時針11等と同様のアナログ指針であり、固定的に表示されたモードマークTME,CAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2のうち1つを指し示すことによって、選択された動作モードを指示し、モード表示手段40は選択されている動作モードを表示する。
【0037】
ただし、モード指示手段41としては、このようなアナログ指針の形態に限定されるものではない。
【0038】
上述した8つの動作モードのうち標準時刻電波受信機能を実行することができる3つの動作モードにそれぞれ対応したモードマークTME,CAL,RX−Sは、全てのモードマークが表示されている区画された領域23の範囲のうち、下部の領域にひと纏まりで表示されている。
【0039】
ここで、ひと纏まりに配置されているとは、例えば全てのモードマークが配置されている占有領域の面積のうち、例えば1/4以下の面積領域、好ましくは1/6以下の面積領域、より好ましくは1/10以下の狭い面積領域内に、標準時刻電波受信機能の実行が可能の動作モードに対応したモードマークTME,CAL,RX−Sの全てを集合して配置した状態など、これらモードマークTME,CAL,RX−Sの配置密度を他の領域よりも高くなるように配置した状態を意味する。
【0040】
さらに、本実施形態の時計100においては、標準時刻電波受信機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークTME,CAL,RX−Sだけが、連続した配列となって、ひと纏まりとなっている。
【0041】
このように標準時刻電波受信機能の実行に対応した動作モードを表すモードマーク群(TME,CAL,RX−S)が、標準時刻電波受信機能の不実行に対応した動作モードを表すモードマーク群(TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2)よりも下部に纏めて表示されていることにより、両モードマーク群間には外観上の差異、つまり配置の差異が設定されていることになり、このことは、標準時刻電波受信を実可能の動作モードと、標準時刻電波受信機能を実行しない動作モードとを、予め外観上の差異として設定していることとなる。
【0042】
さらに、標準時刻電波受信機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークTME,CAL,RX−Sの全てが配置されている文字板20上のひと纏まりの所定範囲をひと括りにする、標準時刻電波受信機能を実行可能である旨の”Receive MODE RADIO CONTROLLED”という文字24aおよびモードマークTME,CAL,RX−Sの範囲を括るグラフィック24b(モードマークTME,RX−Sをそれぞれ指示する三角記号を両端に有し、これら2つの三角記号を円弧の線分で連結したグラフィック)が表示されている。
【0043】
なお、標準時刻電波受信機能の実行が可能である旨の表示としては、この態様以外に、例えば、ひと纏まりの所定範囲内のモードマークをひと括りにする記号(例えば、中括弧記号(},{)などであってもよい。
【0044】
このように構成された本実施形態に係る時計100によれば、モード表示手段40が、互いに異なる8種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う8つの動作モードのうち選択されている動作モードを表示するとともに、8つの動作モードのうち予め設定された3つの動作モードにおいてのみ実行される標準時刻電波受信機能の実行または不実行の別を動作モードの表示の差異(表示態様の差異)によって表すため、使用者は、モード表示手段40による動作モードの表示の差異を視認することで、各動作モードにおける標準時刻電波受信機能の実行または不実行の別をひと目で認識することができる。
【0045】
つまり、可動のモード指示手段41が、選択されている動作モードに対応した1つのモードマークを指示することにより、モード表示手段40が、動作モードのうち選択されている動作モードを視認しやすく表示するとともに、モードマークは、標準時刻電波受信機能の実行に対応した動作モードを表すものと、標準時刻電波受信機能の不実行に対応した動作モードを表すものとで、予め外観上の差異(表示位置の差異)が設けられているため、モード指示手段41が特定のモードマークを指示しているか否かに拘わらず、使用者が、モードマークを視認することで、動作モードごとに設定された、標準時刻電波受信機能の実行・不実行の別を、容易に認識することができる。
【0046】
なお、標準時刻電波受信機能の実行に対応した動作モードを表すモードマークTME,CAL,RX−Sと、標準時刻電波受信機能の不実行に対応した動作モードを表すモードマークTMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2とで設定されている外観上の差異としては、上述した表示位置の差異に限定されるものではなく、図2(a)に示すように、そのモードマークの文字等の表示色の差異によってもよいし、同図(c)に示すように、そのモードマークの文字等のフォントの差異によってもよい。
【0047】
モードマークの文字等の表示色の差異によって、外観上の差異を設定したものでは、同図(b)に示すように、標準時刻電波受信機能の実行に対応した動作モードを表すモードマークTME,CAL,RX−Sと、標準時刻電波受信機能の不実行に対応した動作モードを表すモードマークTMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2とをそれぞれ領域を分けて配置しなくてもよい。モードマークの文字等のフォントの差異によって、外観上の差異を設定したものでも同様である。
【0048】
また、標準時刻電波受信機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークTME,CAL,RX−Sがひと纏まりに配置されているため目立ち、これによって、使用者は、標準時刻電波受信機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークTME,CAL,RX−Sを一層容易に認識することができる。
【0049】
しかも、モードマークTME,CAL,RX−Sが1箇所にまとめて配置されているため、受信可能の動作モードの中から1つの動作モードを選択する場合に、選択操作をしやすいという効果も発揮される。
【0050】
さらに、標準時刻電波受信機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークTME,CAL,RX−Sの全てが配置されている文字板20上のひと纏まりの下部範囲が、標準時刻電波受信機能を実行可能である旨の旨の”Receive MODE RADIO CONTROLLED”の文字24aおよびこのグラフィック24bが付設されているため、使用者は、その文字等を視認することで、その範囲にあるモードマークTME,CAL,RX−Sの動作モードのときは間違いなく標準時刻電波受信機能を実行することができる動作モードであることを容易に認識することができる。
【0051】
しかも、モードマークTME,CAL,RX−Sが1箇所にまとめて配置されているため、標準時刻電波受信機能を実行可能である旨の文字等24a,24bの表示を付記するスペースを小さく抑制することができる。
【0052】
なお、このような文字等24a,24bの表示を付記することで、この多機能時計100が電波修正時計であることをアピールすることができ、ステータス表示としての効果もある。
【0053】
また、受信回路50が標準時刻電波を受信し、時刻修正回路60が受信回路50によって取得された標準時刻電波に対応した受信信号に基づいて時刻データを生成し、この生成された時刻データに基づいて、表示時刻を修正するように駆動回路70を制御する、という一連の標準電波受信機能により、使用者がタイマー機能やクロノグラフ機能などノイズが発生し易い機能を作動させている状況下では、作動中の当該機能を停止させることなく、電波受信の動作を行わないようにすることができ、反対に、時刻表示機能、カレンダーを表示する表示機能、電波修正時計における標準時刻電波の受信時刻を設定する電波受信セット機能など、一時的な停止があっても機能に影響が少ない動作モードでは、動作モードによる動作を停止した上で、標準電波受信機能を実行することができる。
(変形例1)
図1に示した実施形態の多機能時計100は、モード指示手段41が、時計100の時針11等と同様のアナログ指針であり、固定的に表示されたモードマークTME,CAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2のうち1つを指し示すことによって、選択された動作モードを指示し、モード表示手段40は選択されている動作モードを表示する形態であるが、この実施形態の変形例である多機能時計100を図4に示す。
【0054】
図示の多機能時計100におけるモード指示手段41は、文字板20上に配置された各動作モードをそれぞれ表すモードマークTME,CAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2にそれぞれ隣接して形成された8つの小丸窓41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hのうち、選択された動作モードに対応するモードマーク(図4においては時刻表示機能の動作モードに対応したモードマークTME)に隣接した小丸窓41dに、文字板20の地色とは異なる色の印を露出させ、選択されていない動作モードに対応するモードマーク(図4においては時刻表示機能の動作モードに対応したモードマークTMEを除いた7つのモードマークCAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2)にそれぞれ隣接した小丸窓41a,41b,41c,41e,41f,41g,41hに、文字板20の地色と同じ色の印を露出させるものであり、文字板20の地色とは相違する色の印が露出したモードマークTMEの動作モードが選択されていることを、使用者に視認させるものである。
【0055】
なお、図4に示した多機能時計100は、モード表示手段40(特にモード指示手段41)および文字板20の小丸窓41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hが相違する以外、他の構成は図1に示した多機能時計100と同一である。
【0056】
したがって、図1の多機能時計100とは異なるモード表示手段40の構成を除いた他の構成によって奏される効果も、図1に示した多機能時計100と同一である。
【0057】
ただし、図4の多機能時計100におけるモード表示手段40は、図1の多機能時計100におけるモード表示手段40と同様の作用・効果を発揮するため、図4に示した実施形態の多機能時計100は、図1に示した多機能時計100と実質的に同一の作用・効果を発揮する。
【0058】
すなわち、図4に示した変形例の多機能時計100によれば、モード表示手段40が、互いに異なる8種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う8つの動作モードのうち選択されている動作モードを表示するとともに、8つの動作モードのうち予め設定された3つの動作モードにおいてのみ実行される標準時刻電波受信機能の実行または不実行の別を動作モードの表示の差異(表示態様の差異)によって表すため、使用者は、モード表示手段40による動作モードの表示の差異を視認することで、各動作モードにおける標準時刻電波受信機能の実行または不実行の別をひと目で認識することができる。
【0059】
つまり、可動のモード指示手段41が、選択されている動作モードに対応した1つのモードマークを指示する(いずれかの小丸窓41a,41b,41c,41d,41e,41f,41g,41hに、文字板20と地色とは相違する色の印を表示する)ことにより、モード表示手段40が、動作モードのうち選択されている動作モードを視認しやすく表示するとともに、モードマークは、標準時刻電波受信機能の実行に対応した動作モードを表すものと、標準時刻電波受信機能の不実行に対応した動作モードを表すものとで、予め外観上の差異(表示位置の差異)が設けられているため、モード指示手段41が特定のモードマークを指示しているか否かに拘わらず、使用者が、モードマークを視認することで、動作モードごとに設定された、標準時刻電波受信機能の実行・不実行の別を、容易に認識することができる。
(変形例2)
図1、4に示した実施形態の多機能時計100は、文字板20の小窓に嵌め込まれたLCD21に、アナログの指針である時針11、分針12および秒針13によって表示される時刻に対応した都市名がデジタル表示され、モード表示手段40が、文字板20上に固定的に表示された複数のモードマークとこれら複数のモードマークのうち1つを指示するモード指示手段41とからなる実施形態であるが、図5に示した実施形態の多機能時計100は、モード表示手段40が、各動作モードに対応したモードマーク(図6(a)〜(h)参照)をそれぞれ表す8つの画像と、これらモードマークのうち1つを、文字板20の小窓に配設されたLCD21に表示させるモード指示手段41とを備えたものである。
【0060】
ここで、小窓のLCD21に表示されるモードマークの画像は、陰影パターンとして予めメモリ73に記憶されており、モード指示手段41は、このメモリから、対応する陰影パターンを読み出すことで、小窓のLCD21に表示している。
【0061】
8つのモードマークのうち、図6(a),(b),(h)にそれぞれ示すモードマークTME,CAL,RX−Sは、図6(c),(d),(e),(f),(g)にそれぞれ示すモードマークTMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2とは異なる文字フォントで表されており、この文字フォントの差異は、標準時刻電波の受信を実行するか否かの別に対応している。
【0062】
したがって、モード指示手段41が、文字板20の小窓のLCD21に、選択された動作モードに対応したモードマーク(図5において、時刻表示機能のモードマークTME)を表示したとき、使用者は、選択されている動作モードを瞬時に認識することができるとともに、表示されたモードマークの文字フォントの差異に応じて、標準電波の受信動作を実行可能の動作モードであるか、標準電波の受信動作を実行しない動作モードであるかの別を、使用者に容易に視認させることもできる。
【0063】
なお、図5に示した多機能時計100は、モード表示手段40(特にモード指示手段41)およびモードマークの表示方法が相違する以外、他の構成は図1,4に示した多機能時計100と同一である。
【0064】
したがって、図1,4の多機能時計100とは異なるモード表示手段40の構成を除いた他の構成によって奏される効果も、図1,4に示した多機能時計100と同一である。
【0065】
ただし、図5の多機能時計100におけるモード表示手段40は、図1,4の多機能時計100におけるモード表示手段40と同様の作用・効果を発揮するため、図5に示した実施形態の多機能時計100は、図1,4に示した多機能時計100と実質的に同一の作用・効果を発揮する。
【0066】
すなわち、図5に示した変形例の多機能時計100によれば、モード表示手段40が、互いに異なる8種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う8つの動作モードのうち選択されている動作モードを表示するとともに、8つの動作モードのうち予め設定された3つの動作モードにおいてのみ実行される標準時刻電波受信機能の実行または不実行の別を動作モードの表示の差異(表示態様の差異)によって表すため、使用者は、モード表示手段40による動作モードの表示の差異を視認することで、各動作モードにおける標準時刻電波受信機能の実行または不実行の別をひと目で認識することができる。
【0067】
つまり、可動のモード指示手段41が、選択されている動作モードに対応した1つのモードマークを小窓に嵌め込まれたLCD21に指示することにより、モード表示手段40が、動作モードのうち選択されている動作モードを視認しやすく表示するとともに、モードマークは、標準時刻電波受信機能の実行に対応した動作モードを表すものと、標準時刻電波受信機能の不実行に対応した動作モードを表すものとで、予め外観上の差異(文字フォントの差異)が設けられているため、使用者が、モードマークを視認することで、動作モードごとに設定された、標準時刻電波受信機能の実行・不実行の別を、容易に認識することができる。
【0068】
なお、上述した各実施形態の多機能時計100は、いわゆる電波修正時計であるが、電波修正時計の標準時刻電波を受信する受信機能に代えて、気圧を検出する気圧検出機能などを適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態に係る多機能時計の正面外観を示す図である。
【図2】図1に示した多機能時計のモード表示手段の変形例を示す図であり、(a)はモードマークの表示色の差異によるもの、(b)はモードマークの表示色の差異によるものであって表示位置を変更したもの、(c)はモードマークのフォントの差異によるもの、をそれぞれ表す。
【図3】図1に示した多機能時計における標準時刻電波受信動作を含む電波修正時計の機能の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る多機能時計の他の実施形態(その1)である多機能電波修正時計の外観を示す模式図である。
【図5】本発明に係る多機能時計の他の実施形態(その2)である多機能電波修正時計の外観を示す模式図である。
【図6】図5に示した多機能時計の文字板の小窓に表示される各モードマークを示す模式図である。
【符号の説明】
【0070】
40 モード表示手段
41 モード指示手段
100 多機能時計
TME,CAL,RX−S,TMR,CHR,WT−S,AL−1,AL−2
モードマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる種類の機能にそれぞれ対応した動作を行う動作モードを複数有し、前記複数の動作モードのうち選択されている動作モードを表示するモード表示手段を備え、
前記複数の動作モードのうち予め設定された所定の動作モードにおいてのみ実行される特定機能を有し、前記モード表示手段は、前記特定機能の実行または不実行の別を、前記動作モードの表示の差異によって表すものであることを特徴とする多機能時計。
【請求項2】
前記モード表示手段は、前記各動作モードに対応して該各動作モードのそれぞれを表すものとして表示されたモードマークと、複数の前記モードマークのうち選択されている動作モードに対応したモードマークを指示するモード指示手段とを備え、
前記モードマークのうち、前記特定機能の実行に対応した動作モードを表すモードマークと、前記特定機能の不実行に対応した動作モードを表すモードマークとで、予め外観上の差異が設定されており、
前記モード指示手段は、前記動作モードのうち選択されている動作モードに対応したモードマークを指示することを特徴とする請求項1に記載の多機能時計。
【請求項3】
前記複数の動作モードのうち前記特定機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークの全ては、文字板上の所定範囲にひと纏まりに配置されていることを特徴とする請求項2に記載の多機能時計。
【請求項4】
前記特定機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークの全てが配置されている文字板上のひと纏まりの所定範囲に、前記特定機能を実行可能である旨の表示が付設されていることを特徴とする請求項3に記載の多機能時計。
【請求項5】
前記特定機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークの全てと、前記特定機能を実行することができない動作モードにそれぞれ対応したモードマークの全てとで、表示色が異なることを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載の多機能時計。
【請求項6】
前記モードマークは文字であり、
前記特定機能を実行することができる動作モードにそれぞれ対応したモードマークの全てと、前記特定機能を実行することができない動作モードにそれぞれ対応したモードマークの全てとで、文字フォントのタイプが異なることを特徴とする請求項2から4のうちいずれか1項に記載の多機能時計。
【請求項7】
標準時刻電波を受信する受信回路と、該受信回路が取得した前記標準時刻電波に対応した受信信号に基づいて時刻データを生成し、この生成された時刻データに基づいて表示時刻を修正する時刻修正回路とを備え、
前記特定機能が、前記受信回路および前記時刻修正回路を動作させて前記時刻修正を実行する標準電波受信機能であることを特徴とする請求項1から6のうちいずれか1項に記載の多機能時計。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−203134(P2008−203134A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40723(P2007−40723)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【Fターム(参考)】