説明

多機能構造回路

【課題】構造回路と呼ばれる多機能構造回路及び製造方法を提供する。
【解決手段】液晶ポリマー(LCP)基板100上に電子回路を形成するステップと、構造物の耐荷重フレーム部材の少なくとも一部として機能する構造素子120を形成するステップと、前記構造素子120と前記LCP基板100とを含む2つの層の積層体を形成するステップと、3次元形状を有する金型の表面に前記積層体を配置するステップと、前記構造素子120及び前記LCP基板100の形状を前記3次元形状に一致させるために単一の熱成形工程を実行し、前記耐荷重フレーム部材と前記電子回路とを含む単一の一体的な複合構造回路を形成するステップと、前記複合構造回路の前記電子回路の表面に少なくとも1つの回路構成部品を取り付けるステップとを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複雑な回路を設計するときに、従来的なプリント回路基板(PCB)技術が広範に使用されている。PCBは様々な二次元平面形状に製造され得る。典型的には、PCB回路構成は、ある種類の機械的締結具を使用して、1つ又はそれよりも多くの剛性PCBを構造に取り付けることによって、システム内に組み込まれる。特に、そのような回路構成を収容するために利用可能な空間が小さいか或いは不便に成形されているときには、回路構成を構造に取り付けるこの方法は問題であり得る。
【背景技術】
【0002】
可撓回路の開発は、設計者にPCB回路構築に対する代替策を提供している。可撓回路は、その名前が暗示するように、剛的ではない。むしろ、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー(ポリアミド)が、ベース材料として使用され、その上に導体がエッチングされ得る。可撓回路は、その固有の曲げ能力の故に、剛的PCB回路構成よりも多数の環境及び空間において使用され得る。
【0003】
可撓熱可塑性回路の1つの種類は、液晶ポリマー(LCP)膜回路である。LCP回路は、LCPを基板として使用して構成される。LCPは、特に従来的なポリイミド膜回路に対して幾つかの利点をもたらす熱可塑性芳香族ポリエステルの一種である。例えば、LCP回路は、より迅速な電気信号転送を促進する低誘電定数のような有益な電気特性を示す。追加的に、LCPは、典型的には、0.02%のオーダの極めて低い吸湿性を有する。低吸湿性は、安定的な高周波数信号及びデータ処理を促進し、LCP乖離回路が40GHz周辺の周波数で使用されることを可能にする。従って、LCP回路は、高周波超小型化、センサ、アンテナ、及び、高速フリップチップ設計を含む様々な異なる用途に適しているが、それらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今まで、可撓回路は、接着剤を使用して構造に取り付けられてきた。しかしながら、接着剤の使用は、理想に満たない。具体的には、もし可撓回路が取り付けられる構造素子が応力に晒されるならば、可撓回路の一部或いは全体が構造素子から取り外されるようになり得る。さらに、そのような構成は、典型的には、可撓回路が取り付けられる構造素子の全体的な強度には寄与しない。そのような場合には、接着剤の使用にも拘わらず、可撓回路と構造素子は、依然として別個の異なる構成部品である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、構造回路と呼ばれる多機能構造回路に係る方法及び装置に関する。本発明の1つの特徴は、構造回路を構成する方法を含み得る。方法は、液晶ポリマー(LCP)回路を構造素子と熱成形するステップを含み得る。1つの実施態様において、LCP回路は、可撓LCP膜であり得る。LCP回路及び構造素子に熱及び圧力を加え得ることによって、LCP回路を構造素子に流動させる。「流動」という用語は、材料が他の表面に機械的に結合するために押圧され得るよう、材料がそのガラス転移温度(T)に接近するときの材料の緩和を示す。
【0006】
構造素子は、炭素繊維布又はLCP材料を含む多様な異なる材料の何れでもあり得るが、それらに限定されない。構造素子がLCP材料である場合には、LCP回路を構造素子と熱成形する前に、構造素子を具体的な形状に成形し得る。顕著に、LCP材料は熱成形及び/又は射出成形を通して形成され得る。何れの場合においても、LCP回路を構造素子と熱成形する前に、1つ又はそれよりも多くの導体をLCP回路上に創成し得る。
【0007】
構造素子との熱成形の後に、1つ又はそれよりも多くの回路構成部品をLCP回路の表面に取り付け得る。追加的に、被覆層をLCP回路の表面の少なくとも一部の頂上に塗布し得る。被覆層をLCP回路及び/又は構造素子に熱成形することによって、被覆層、例えば、LCP膜を塗布し得る。
【0008】
本発明の他の特徴は、電子回路を構造部材中に一体化するための方法を含み得る。本方法は、如何なる或いは特定の表面輪郭を有する構造素子を選択するステップと、表面輪郭の少なくとも一部を定めるために、電子回路を構造素子と共に形成するステップとを含み得る。本方法は、少なくとも1つの回路構成部品を電子回路の表面に取り付けるステップをさらに含み得る。
【0009】
本発明の1つの実施態様において、電子回路は可撓LCP膜回路であり得る。電子回路を構造素子と一体的に形成するステップは、2つを共に熱成形するステップを含み得る。本方法は、被覆層を電子回路の表面の少なくとも一部に塗布するステップも含み得る。
【0010】
構造素子は、LCP材料又は炭素繊維布を含み得るが、それらに限定されない。構造素子が炭素繊維布である場合には、本方法は、構造素子の少なくとも一部を流動可能な樹脂と含浸するステップを含み得る。例えば、構造素子は、電子回路によって占められない部分において流動可能な樹脂と含浸され得る。
【0011】
本発明の他の特徴は、構造回路装置を含み得る。構造回路は、構造素子と、少なくとの1つのLCP回路とを含み得る。構造素子及びLCP回路は共に熱成形され、単一の複合構造を形成する。述べられたように、1つ又はそれよりも多くのLCP回路は、可撓LCP膜回路であり得る。また、構造素子は、炭素繊維布又はLCP材料を含む多様な材料の何れでも良いが、それらに限定されない。構造素子がLCP材料から成る場合には、LCP回路と熱成形される前に、構造素子を特定の形状に形成し得る。
【0012】
構造回路は、LCP回路の表面に取り付けられる1つ又はそれよりも多くの回路構成部品も含み得る。LCP回路及び構造素子回路を共に熱成形した後に回路構成部品を取り付け得る。同様に被覆層も構造回路内に含め得る。被覆層をLCP回路の表面の少なくとも一部の頂上に配置し得る。顕著に、LCP膜であり得る被覆層をLCP回路及び/又は構造素子に熱成形し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の1つの実施多様に従った構造回路の形成を示す斜視図である。
【図1B】本発明の1つの実施多様に従った構造回路の形成を示す斜視図である。
【図1C】本発明の1つの実施多様に従った構造回路の形成を示す斜視図である。
【図2】本発明の他の実施態様に従った構造回路を構成する方法を示すフロー図である。
【図3A】本発明の他の実施態様に従った構造回路の形成を示す斜視図である。
【図3B】本発明の他の実施態様に従った構造回路の形成を示す斜視図である。
【図4A】本発明のさらに他の実施態様に従った構造回路の形成を示す斜視図である。
【図4B】本発明のさらに他の実施態様に従った構造回路の形成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、多機能構造回路に関する。一般的には、構造回路と呼ばれる多機能構造回路は、構造的機能及び電子又は回路関連機能の両方を供する回路である。即ち、構造回路は、完全に機能する回路であり得るし或いはより大きな回路の一部であり得る。構造回路は、機械的締結具又は接着剤を使用して構造に取り付けられる従来的な回路と対照的に、構造と物理的に一体化される。
【0015】
本発明の1つの特徴において、構造回路は、可撓LCP膜回路のような液晶ポリマー(LCP)回路を使用して実施され得る。述べられたように、LCPは、可撓で薄い膜に製造され且つ回路を構成する基板として使用され得る熱可塑材の一種である。そのような材料は、コネティカット州ロジャーズにあるRogers Corporationから商業的に入手可能である。Rogers Corporationは、LCP回路材料を製造し、それをR/FLEXの製品ラインで市販している。
【0016】
LCP回路は、典型的には、LCP膜構造に機械的に結合された薄肉銅の薄層を有する。従来的なPCB設計における場合と同様に、エッチングを通じて導体を形成し得る。従来的な表面実装技術を使用して、回路構成部品をLCP膜基板に加え得る。顕著に、多層回路を形成するために、1つ又はそれよりも多くのLCP膜を組み合わせ得る。
【0017】
ここに記載される発明的な構成によればLCP回路を構造素子と物理的に一体化することによって構造回路を形成し得る。LCP回路及び構造素子を物理的に一体化することによって、単一の複合構造が形成される。ここで使用されるとき、構造素子は、構造物の内部フレーム又は支持部材のような耐荷重性の素子を含み得るが、それらに限定されない。代替的に、構造素子は、外側の覆い、シーティング、又は、自動車若しくは飛行機の本体の外側部分のような、構造の外皮であり得る。一般的に、構造素子は、構造物の如何なる部分でもあっても良い。
【0018】
構造物は、ここで使用されるときには、1つ又はそれよりも多くの構成部分を有する如何なる物体でもあり得る。例えば、構造物は、ビル、飛行機のような車両、自動車、若しくは、水容器、機械類、パソコン若しくは携帯情報端末のようなシステム、又は、類似物であり得る。如何なる場合にも、ここに開示される実施例は、可能な構造物又は構造素子の網羅的なリストとして意図されていないことが理解されるべきである。よって、本発明は、構造素子の材料、又は構造素子を内部に配置し得る構造物によって限定されるべきではない。
【0019】
図1A、1B、及び、1Cは、本発明の1つの実施態様に従った構造回路の形成を例証する斜視図である。図1A乃至Cは、総合すれば、LCP回路100が構造素子120と結合する本発明の実施態様を例証している。図1Aを参照すると、LCP回路100は、ここに記載されるように、表面105上に配置された1つ又はそれよりも多くの導体115を備えるLCP膜基板を有する可撓LCP回路であり得る。述べられたように、従来的なPCB設計の場合と同様に、エッチングを通じて導体115を形成し得る。
【0020】
パッド、通孔、空隙、又は、多層LCP回路の層を接続するための他の伝導性経路のような他の構造も、LCP回路100の一部として加え得る。これらの回路構造は、LCP回路で有効であると知られる多様な技法の何れをも使用して形成され得る。そのような技法は、化学エッチング、真空金属被覆、添加メッキ、機械的穿孔、レーザー削磨、プラズマ穿孔、及び、類似技法を含み得るが、それらに限定されない。
【0021】
構造素子120は、別個の構成部品、又は、構成部品の一部であり得る。例えば、1つの実施態様において、構造素子120は炭素繊維布であり得る。他の実施態様において、構造素子120は、必要に応じて形成又は成形され或いは形成又は成形され得るLCPであり得る。その場合には、LCP材料は、剛性を促進するためにその内部に混合されるガラス粒子を有するLCP樹脂であり得る。そのような材料は、熱成形され或いは特定形状に射出成形され、次に、ここに記載されるようにLCP回路100と一体化される。
【0022】
如何なる表面実装される構成部品を適用する前に、電気的、光学的、電気光学的な、集積回路、及び/又は、別個の構成部品であれ、LCP回路100は構造素子120に結合され得る。LCP回路100は、表面実装回路構成部品を取り付け得る頂面105と、底面110とを有する。図示されるように、表面実装構成部品から自由なままのLCP回路100の底面110は、構造素子120の頂面125と接触して配置され得る。
【0023】
もし要求されるならば、型130も使用し得る。型130は、実質的に平坦な正方形として描写されているが、如何なる種類の異なる形状及び/又は輪郭を有し得る。よって、もし構造素子120が柔らかいか或いは可撓であるならば、成形は型130によってもたらされ得る。LCP材料が構造素子120として事前成形されるならば、型130は、LCP回路100が構造素子120に結合されるときに、構造素子の変形を阻止する付加的な支持をもたらし得る。
【0024】
図1Bは、構造素子120と一体化された後のLCP回路100を描写している。LCP回路100を構造素子120と一体化するために、2つは共に熱成形される。一般的に、熱成形は、熱及び圧力の適用を通じて、LCP膜のようなプラスチックを三次元形状に成形にするためのプロセスである。この場合には、熱成形は、LCP回路100と構造素子120を単一の複合構造として共に結合するために使用される。
【0025】
熱成形プロセスの間、LCP回路100全体は、それが軟化し或いは流動可能になるまで加熱される。「流動」という用語は、材料が他の表面と機械的結合を創成するよう押圧され得るよう材料がそのガラス転移温度(T)に接近するときの材料の緩和を指す。LCP回路100は約280℃〜325℃の温度でこの擬似流体状態に入る。この擬似流体状態にある間、LCP回路100を構造素子120に流入するために、圧力及び/又は真空を加え得る。1つの実施態様では、LCP回路100を構造素子120と結合させるために、約100〜200PSIを加え得る。顕著に、構造素子120がLCP材料である場合には、構造素子120のLCP材料もLCP回路100に流入し得るよう、構造素子120も擬似流体状態に配置し得る。
【0026】
LCP回路100は、構造素子120と物理的に統合され或いは結合され、それによって、単一の複合構造を形成する。LCP回路100を構造素子120に熱成形するのに要求される時間の量は、構造素子120が形成される材料、LCP回路100の質量、並びに、LCP回路100中の銅の量で変化する。LCP回路100及び構造素子120を熱成形するために、加圧釜又は他の適切な機械類を使用し得る。例えば、多層LCP回路の場合には、保持温度は約285℃〜315℃であり得るし、保持圧力は100〜200PSIで約8〜20分のオーダであり得る。射出成形の場合には、型内の加圧保持時間は約1〜10秒しか必要としない。
【0027】
炭素繊維布が構造素子120である場合には、LCP回路100は炭素繊維布上に流れるよう形成され得る。炭素繊維布は型130のような型の上に配置されるので、LCP回路100が炭素繊維布に流入するとき、2つは型の形状を取る。顕著に、LCP回路100は炭素繊維布又は構造素子の表面面積全体を占める必要はない。その場合には、LCP回路100が一体化される炭素繊維布の部分は、ある程度の剛性を伴って型130の形状を取り得る。LCP回路100によって占められない炭素繊維布の部分は、可撓なままであり得る。薄肉LCP回路は可撓性を維持し、炭素繊維布及びLCPの結合部分は、それぞれ個々の構成部品ほど剛的でなくても良い。
【0028】
さらに、LCP回路100が炭素繊維布と一体化されるや否や、さらなる処理を遂行し得る。例えば、結果として得られる複合構造は、エポキシ樹脂のような流動可能な樹脂で含浸され、より大きな構造内で使用され得る所望の形状又は輪郭にさらに成形され得る。顕著に、流動可能な樹脂は、炭素繊維布全体に流入し得るし、且つ/或いは、炭素繊維布の一部にのみ流入し得る。1つの実施態様において、流動可能な樹脂は、LCP回路100によって占められない炭素繊維布の部分にのみ導入され得る。
【0029】
構造素子の実施例として提供される材料は本発明に対する制限として意図されないことが理解されるべきである。さらに、多様な異なる材料の何れをも構造素子120として使用し得る。より具体的には、LCP回路100をここに記載されるように熱成形し得る如何なる材料をも構造素子として使用し得る。他の構造材料は、低温共焼成セラミック(LTCC)、繊維ガラス、アラミド繊維、及び、類似物を含み得るが、それらに限定されない。
【0030】
図1Cを参照すると、LCP回路100が構造素子120と物理的に一体化されると、LCP回路100は1つ又はそれよりも多くの回路構成部品140を設置し得る。より具体的には、LCP回路100が構成素子120の頂面125に貼り付けられると、電気的、光学的、電気光学的、集積回路、及び/又は、別個の構成部品をLCP回路100の頂面105に加え得る。表面実装技術を使用して、LCP回路100が構造素子120に熱成形された後にそのような回路構成部品140を取り付け得る。例えば、1つの実施態様では、結果として得られる複合構造は、約230°〜240°Fの温度でリフローはんだ付けさえ得る。
【0031】
回路構成部品140がLCP回路100に取り付けられた後、選択的な保護被覆層135を頂面105に加え得る。被覆層は、LCP回路を水分及び他の物質からさらに保護する働きをする。本発明の1つの実施態様において、被覆層135は追加的なLCP膜であり得る。そのような被覆層はLCP回路100に熱成形され得ることによって、LCP回路100及び構成部品140を気密に封止する。図示されるように、被覆層135は、所望であれば、LCP回路100の縁部を越えて延在し得る。さらに、被覆層135は、LCP回路100の表面105の選択的な部分を被覆するようにも成形され得る。
【0032】
図2は、本発明の他の実施態様に従った構造回路を構成する方法を例証するフロー図である。本方法は、LCP回路が取得され或いは特定され得るステップ205で始まり得る。述べられたように、導体又は様々な他の回路構造を含むようLCP回路をエッチングし得る。ステップ210において、構造素子を特定し得る。述べられたように、構造素子はシステムの別個の構成部品又は別個の構成部品の一部であり得る。例えば、構造素子は、一切れの炭素繊維布、LCP材料、又は、LCP回路と熱成形するのに適した他の材料であり得る。
【0033】
いずれにせよ、ステップ215において、LCP回路を構造素子に熱成形し得る。熱成形されると、LCP回路及び構造素子は、単一の複合構造と見られ得る。ステップ220において、構造素子に結合されているLCP回路に回路構成部品を設置し得る。既知の表面実装技法を使用して、1つ又はそれよりも多くの回路構成部品をLCP回路の頂面に取り付け得る。
【0034】
ステップ225において、被覆層をLCP回路に選択的に結合し得る。被覆層は、回路構成部品が設置された後に加えられ、LCP回路を水分からさらに保護する働きをする。本発明の1つの実施態様において、保護層は追加的なLCP膜であり得る。LCP膜をLCP回路に熱成形し得ることによって、LCP回路及び回路構成部品を気密に封止する。
【0035】
顕著に、ここに開示される方法は、個々のLCP回路が構造素子と一体化され得ることを示すが、もし必要であれば、複数の個々のLCP回路を単一の構造素子に一体化し得る。そのようなLCP回路を、必要に応じて、互いに並びに/或いは他のシステムと通信可能にリンクし得る。そのような実施態様は本発明によって予期されている。
【0036】
図3A及び3Bは、本発明の他の実施態様に従った構造回路の形成を例証する斜視図である。図3A及び3Bは、総合すると、LCP回路300が構造素子315と一体的に形成される本発明の実施態様を例証している。LCP回路300は、図1に関する場合と同様に、場合によっては、1つ又はそれよりも多くのLCP回路膜基板と一体化され得る導体、構造、及び/又は、他の構成部品を含み得る。
【0037】
LCP回路300は、頂部305と底部310とを有し得る。頂部325を有する型320を使用してLCP回路300を形成し得る。型320は様々な異なる形状又は輪郭の何れにも形成され得ることが理解されるべきである。例えば、システム又は他の構造の所望の携帯に従って型320を成形し得る。型320を使用することによって、LCP回路300を構造素子315、例えば、炭素繊維布と一体化し得るので、結果として得られる複合構造は、型320の形状又は輪郭のままである。従って、LCP回路は、2つが一体化された後、結果として得られる構造素子の表面輪郭の少なくとも一部を定め得る。
【0038】
述べられたように、熱成形のようなプロセスを通じてLCP回路300及び構造素子315を一体化し得る。従って、図3Bは、熱成形後に結果として得られる構造的なLCP回路340を例証しており、それは図3AのLCP回路300及び構造素子315の複合体である。成形されるLCP回路340は、LCP回路が熱成形される型の表面、この場合には、頂部の形状又は幾何を取る。顕著に、形成されるLCP回路340は、冷却後に、この形状並びにある程度の剛性のままである。LCP回路340が熱成形されるや否や、回路構成部品を頂部345に取り付け或いは付着し得る。追加的に、所望であれば、頂部345に被覆層を結合し得る。
【0039】
図4は、本発明のさらに他の実施態様に従った構造回路の形成を例証する斜視図である。図4Aに示されるように、LCP回路400を構造素子415と一体化し得る。LCP回路405を構造素子415と一体的に形成し得る。LCP回路400は、表面実装回路構成部品を取り付け得る頂部405と、底部410とを有する。図示されるように、LCP回路400の底部410は、構造素子415の外面420、例えば、事前成形された一片のLCP材料に接触して配置され得る。
【0040】
図4Bは、構造素子415と一体化された後のLCP回路400を描写している。顕著に、一体化されるや否や、LCP回路400は、構造素子415の外面410の形状又は幾何を取り、複合構造を形成する。結果として得られるLCP回路400及び構造素子415の複合構造は、円形、波状、凹状、凸状、正方形、又は、他の特注形状であれ、多様な異なる形状の何れをも有し得ることが理解されるべきである。LCP回路100が構造素子415に適用されるや否や、1つ又はそれよりも多くの回路構成部品をLCP回路400に設置し得る。従って、LCP回路400は、構造素子415の外面420の少なくとも一部を定める。さらに、場合によっては、LCP回路を構造素子の内面にも適用し得ることが理解されるべきである。
【0041】
ここに開示される本発明の構成は、回路が構造部品又は素子内に一体化されることを可能にする。よって、回路構成を、より大きな構造物及び/又はシステムの、耐荷重性素子、覆い又は他の素子に物理的に一体化し得る。ここに開示される発明的構成によれば、構造部品はLCP回路の一体化を通して補強され且つ強化される。その上、構造回路を組み込むシステムは、重量及び容積の減少の利益を享受する。本発明は、回路取付ハードウェア及び/又は接着剤の必要も解消する。
【0042】
この発明は、本発明の精神及び本質的な属性から逸脱することなしに、他の形態に具現化され得る。従って、本発明の範囲を示すものとして、上記の詳細な説明よりも請求項が参照されるべきである。
【符号の説明】
【0043】
100 LCP回路
105 頂面
110 底面
115 導体
120 構造素子
125 頂面
130 型
135 被覆層
140 回路構成部品
300 LCP回路
305 頂部
310 底部
315 構造素子
320 型
325 頂部
340 LCP回路
400 LCP回路
405 頂部
410 底部
415 構造素子
420 外面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造回路を構成する方法であって、
液晶ポリマー(LCP)基板上に電子回路を形成するステップと、
構造物の耐荷重フレーム部材の少なくとも一部として機能する構造素子を形成するステップと、
前記構造素子と前記LCP基板とを含む2つの層の積層体を形成するステップと、
3次元形状を有する金型の表面に前記積層体を配置するステップと、
前記構造素子及び前記LCP基板の形状を前記3次元形状に一致させるために単一の熱成形工程を実行し、前記耐荷重フレーム部材と前記電子回路とを含む単一の一体的な複合構造回路を形成するステップと、
前記複合構造回路の前記電子回路の表面に少なくとも1つの回路構成部品を取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記電子回路の表面の少なくとも一部に被覆層を設けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記設けるステップは、前記電子回路の表面の前記少なくとも一部に前記被覆層を熱成形するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記被覆層は液晶ポリマー膜である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記構造物は、建造物、乗り物、機械又は計算装置である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記熱成形工程は前記複合構造回路を前記構造物に一体化する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
液晶ポリマー(LCP)基板上に形成された電子回路と、
構造物の耐荷重フレーム部材の少なくとも一部として機能する構造素子と
を含み、
前記構造素子及び前記LCP基板は、単一の熱成形工程において金型の表面の3次元形状に一致した形状にされ、前記耐荷重フレーム部材と前記電子回路とを含む単一の一体的な複合構造回路を形成している、
構造回路。
【請求項8】
前記構造素子は炭素繊維布から成る、請求項7に記載の構造回路。
【請求項9】
前記電子回路の表面の少なくとも一部の頂上に配置された被覆層をさらに含む、請求項7に記載の構造回路。
【請求項10】
前記被覆層は液晶ポリマー膜である、請求項9に記載の構造回路。
【請求項11】
前記構造物は、建造物、乗り物、機械又は計算装置である、請求項7に記載の構造回路。
【請求項12】
前記複合構造回路は前記構造物に一体化されている、請求項7に記載の構造回路。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−176318(P2011−176318A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44569(P2011−44569)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【分割の表示】特願2007−541206(P2007−541206)の分割
【原出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】