説明

多機能複合システム、複合リソース管理方法及びプログラム

【課題】所望のタイミングにおいてリソースの使用状況を表示させることを利用して、機
能が使用する全てのリソースを一括して確保又は解放しながら、優先度に基づいて、機能
が使用するリソースの割り当てを容易に管理する多機能複合システム、複合リソース管理
方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】リソース管理30は、アプリケーション38からの要求に対してリソース割
り当てを実行する。マルチリソース33は、アプリケーション38が使用する複数のリソ
ース37を束ね、束ねている2値リソース34、多値リソース35及び共用リソース39
の一括確保、または、一括解放を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1個又は複数個のリソースを複数個の機能が共通に使用する多機能複合シス
テム、複合リソース管理方法及びプログラムに関する。特に、機能が使用する全てのリソ
ースを一括して確保又は解放しながら、機能が使用するリソースの割り当てを管理する多
機能複合システム、複合リソース管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
装置を設置するスペースを削減するために、複数の機能を一つの装置に組み込んだり、
配線の煩雑さを削減するために、ある1つの装置の電源から他の装置の電源を供給したり
、無線LANを利用して複数の機能が相互に通信したりする多機能複合システムが開発さ
れている。また、多機能複合システムに組み込まれた複数の機能の中には、処理実行中に
使用するリソースが他の機能と競合する機能が存在しているため、各機能が実行時に確保
すべきリソースを割り当てるリソース管理は複雑であった。
【0003】
例えば、POS端末システムに使用されているマスタプリンタには、ロール紙印刷機能
、単票用紙印刷機能、ドロワ機能、画像読み取り機能等の複数の機能が組み込まれている
。ここで、処理実行中に使用するリソースは、ロール紙印刷機能、単票用紙印刷機能、及
び画像読み取り機能の場合は、紙経路及び電源であり、ドロワ機能の場合は、電源である

【0004】
そこで、リソース管理の複雑さを軽減した多機能複合システムが提案されている。非特
許文献1では、機能が使用する全てのリソースを一括して管理し、機能からのリソース要
求に基づいて機能が使用する全てのリソースを一括して確保又は解放する、機能に対応付
けられたマルチリソースオブジェクトを利用して、競合するリソースの割り当てを調整す
るリソース管理が提案されている。
【0005】
また、非特許文献1の提案のリソースを、機能によって使用されているか否かの2値の
状態によって表される2値リソースだけでなく、複数の機能が実行されてもリソースの合
計容量が許容範囲以内であれば複数の機能が同時に利用可能な多値リソースを含め、更に
機能に対応付けられた優先度を利用して、競合するリソースの割り当てを調整するリソー
ス管理が提案されている。
【非特許文献1】ブルース・パウエル・ダグラス(BRUCE POWEL DOUGLASS)著,「リアルタイム・デザイン・パターンズ(REAL−TIME DESIGN PATTERNS)」,(米国),アジソンーウェスリ・パブ(Addison―Wesley Pub),2002年9月23日,p.338−345
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した提案では、システムを構成している機能が使用しているリソー
スの使用状況を確認することが容易に出来ないという問題点があった。例えば、POS端
末システムのマスタプリンタが管理している機能において、現在、電力を使用している機
能を容易に確認することが出来なかった。また、どのようなタイミングでリソースが使用
されているかを把握することが容易ではないという問題点もあった。即ち、複数の機能が
競合するリソースや、競合するタイミングを把握することが容易ではなかった。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたもので、所望のタイミングに
おいてリソースの使用状況を表示させることを利用して、機能が使用する全てのリソース
を一括して確保又は解放しながら、優先度に基づいて、機能が使用するリソースの割り当
てを容易に管理する多機能複合システム、複合リソース管理方法及びプログラムを提供す
ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した従来の問題点を解決すべく下記の発明を提供する。
【0009】
本発明の第1の態様にかかる多機能複合システムは、1個又は複数個のリソースを複数
個の機能が共通に使用する多機能複合システムであって、異なる複数のリソース管理形態
の中の少なくとも1つの前記リソース管理形態によって前記機能毎に設定された前記リソ
ースの使用状況を、前記リソース毎に判定するリソース部と、前記機能からの要求を受け
付けたときに、前記機能毎に使用される前記リソース部の前記リソースの使用状況、及び
前記機能毎に設定されている優先度に基づいて、前記機能によって使用形態の異なる前記
リソースの確保または解放を一括して実行する複合リソース管理部と、所定の周期タイミ
ング、または、所望のタイミングにおいて、前記リソース毎に、当該リソースを使用して
いる前記機能の使用状況を表示するリソース使用状況表示部と、を備えていることを特徴
とする。
【0010】
このような構成であれば、多機能複合システムは、リソース部によって、異なる複数の
リソース管理形態の中の少なくとも1つのリソース管理形態によって機能毎に設定された
リソースの使用状況が、リソース毎に判定される。また、複合リソース管理部によって、
機能からの要求を受け付けたときに、機能毎に使用されるリソース部のリソースの使用状
況、及び機能毎に設定されている優先度に基づいて、機能によって使用形態の異なるリソ
ースの確保または解放が、一括して実行される。また、リソース使用状況表示部によって
、所定の周期タイミング、または、所望のタイミングにおいて、リソース毎に、当該リソ
ースを使用している機能の使用状況が表示される。
【0011】
これにより、異なる複数のリソース管理形態の中の少なくとも1つのリソース管理形態
によってリソース毎に管理されているリソースを利用して、機能が使用する全てのリソー
スを一括して確保又は解放しながら、機能に対応付けられた優先度に基づいて、機能が使
用するリソースの割り当てを容易に管理することが可能である。また、リソースの使用状
況に基づいた、リソースの使用効率の良いシステムを構築することが容易に出来る。
【0012】
また、リソースが競合する優先度の低い機能が実行中であっても、優先度の高い機能を
実行させることが可能である。また、多機能複合システムに新規機能を組み込む場合に、
新規機能と既存の機能とがリソースを競合する場合の処理を考慮する必要がなく、新規機
能を容易に開発することが可能となる。従って、開発期間を削減するとともに、開発コス
トを削減することが可能となる。
【0013】
本発明の他の態様にかかる多機能複合システムは、上述した本発明の態様にかかる多機
能複合システムの前記リソース使用状況表示部が、表示する前記タイミングより、所定の
過去の期間の前記リソースの使用状況及び前記リソースの使用条件の少なくとも1つを表
示することを特徴とする。
【0014】
これにより、システムを構成する機能がリソースを競合するタイミングを容易に把握す
ることが可能である。従って、リソースの使用状況に基づいた、リソースの使用効率の良
いシステムを構築することが容易に出来る。
【0015】
本発明の他の態様にかかる多機能複合システムは、上述した本発明の態様にかかる多機
能複合システムに、前記リソースの使用条件を設定するリソース条件設定部と、前記優先
度を設定する優先度設定部と、を更に備えていることを特徴とする。
【0016】
このような構成であれば、多機能複合システムは、リソース条件設定部によって、リソ
ースの使用条件が設定される。また、優先度設定部によって、優先度が設定される。
【0017】
これにより、システムに最適なリソースの使用条件を設定することにより、リソース使
用の無駄を削除したシステムを構築することが可能である。例えば、常に所定の機能を省
エネルギーモードで運用することも可能である。従って、リソースの使用効率の良いシス
テムを構築することが可能である。また、システムに最適な優先度に変更することが可能
である。従って、処理効率の良いシステムを構築することが可能である。
【0018】
本発明の他の態様にかかる多機能複合システムは、上述した本発明の態様にかかる多機
能複合システムの異なる複数の前記リソース管理形態として、前記機能によって確保され
ているか否かの2値の状態によって表される2値リソース管理形態、前記リソースの全容
量に対する前記機能によって確保される割合によって表される多値リソース管理形態、及
び前記リソースを確保している前記機能の個数によって表される共用リソース管理形態を
、少なくとも有し、前記リソース部は、前記2値リソース管理形態によって管理される前
記リソースである2値リソースの使用状況を判定する2値リソース部、前記多値リソース
管理形態によって管理される前記リソースである多値リソースの使用状況を判定する多値
リソース部、及び前記共用リソース管理形態によって管理される前記リソースである共用
リソースの使用状況を判定する共用リソース部の中の少なくとも1つを備えていることを
特徴とする。
【0019】
これにより、電源のような多値リソースに対して、そのリソースの容量の許容範囲以内
であれば、リソースを競合する複数の機能を実行させることが可能となる。従って、多機
能複合システムが実行する全体の処理時間を短縮させることが可能となる。例えば、マス
タプリンタの単票用紙印刷機能とドロワ機能を実行させるとき、単票用紙印刷機能は実行
時に電源の全容量の30%を使用し、ドロワ機能は実行時に電源の全容量の50%を使用
する場合に、単票用紙印刷機能とドロワ機能を同時に実行させることが可能となり、会計
する消費者の待ち時間を削減することが可能となる。
【0020】
また、無線LANのような共用リソースに対して、そのリソースを要求する全ての機能
が使用することが可能となる。例えば、マスタプリンタと、無線LANによって複数の携
帯用プリンタとが接続されている場合、無線LANを1つの携帯用プリンタが使用してい
るときであっても、他方の携帯用プリンタは無線LANを使用することができる。
【0021】
本発明の他の態様にかかる多機能複合システムは、上述した本発明の態様にかかる多機
能複合システムの前記複合リソース管理部が、前記機能が使用する全ての前記リソース毎
に対応付けられる前記リソース部に対する確保または解放を、一括して実行する、当該機
能に関連付けられたマルチリソース部と、前記マルチリソース部を管理するマルチリソー
ス管理部と、前記機能からの要求を受け付けたときに、前記機能毎に予め設定されている
前記優先度に基づいて、前記リソースの割り当てを実行するリソース管理部と、前記マル
チリソース部への要求状態を示す状態情報を有し、前記リソース管理部から要求された当
該マルチリソース部への要求処理を当該マルチリソース部へ依頼する、当該マルチリソー
ス部に対応付けられたマルチリソース要求部と、を備えていることを特徴とする。
【0022】
このような構成であれば、複合リソース管理部は、当該機能に関連付けられたマルチリ
ソース部によって、機能が使用する全てのリソース毎に対応付けられるリソース部に対す
る確保または解放が、一括して実行される。また、マルチリソース管理部によって、マル
チリソース部が管理される。また、リソース管理部によって、機能からの要求を受け付け
たときに、機能毎に予め設定されている優先度に基づいて、リソースの割り当てが実行さ
れる。また、マルチリソース部への要求状態を示す状態情報を有した、当該マルチリソー
ス部に対応付けられるマルチリソース要求部によって、リソース管理部から要求された当
該マルチリソース部への要求処理が当該マルチリソース部へ依頼される。
【0023】
これにより、機能が使用する全てのリソースを一括して確保又は解放しながら、機能に
対応付けられた優先度に基づいて、機能が使用するリソースの割り当てを容易に管理する
ことが可能である。また、リソースが競合する優先度の低い機能が実行中であっても、優
先度の高い機能を実行させることが可能である。
【0024】
また、多機能複合システムに新規機能を組み込む場合に、新規機能と既存の機能とがリ
ソースを競合する場合の処理を考慮する必要がなく、新規機能を容易に開発することが可
能となる。従って、開発期間を削減するとともに、開発コストを削減することが可能とな
る。
【0025】
本発明の第1の態様にかかる複合リソース管理方法は、1個又は複数個のリソースを複
数個の機能が共通に使用する多機能複合システムの複合リソース管理方法であって、(a
)異なる複数のリソース管理形態の中の少なくとも1つの前記リソース管理形態によって
前記機能毎に設定された前記リソースの使用状況を、前記リソース毎に判定する工程と、
(b)前記機能からの要求を受け付けたときに、前記工程(a)によって判定された前記
リソースの使用状況、及び前記機能毎に設定されている優先度に基づいて、前記機能によ
って使用形態の異なる前記リソースの確保または解放を一括して実行する工程と、(c)
所定の周期タイミング、または、所望のタイミングにおいて、前記リソース毎に、当該リ
ソースを使用している前記機能の使用状況を表示する工程と、を備えていることを特徴と
する。
【0026】
これにより、上述した本発明の態様にかかる多機能複合システムと同等の効果が得られ
る。
【0027】
本発明の他の態様にかかる複合リソース管理方法は、上述した本発明の態様にかかる複
合リソース管理方法の前記工程(c)が、表示する前記タイミングより、所定の過去の期
間の前記リソースの使用状況及び前記リソースの使用条件の少なくとも1つを表示するこ
とを特徴とする。
【0028】
これにより、上述した本発明の態様にかかる多機能複合システムと同等の効果が得られ
る。
【0029】
本発明の他の態様にかかる複合リソース管理方法は、上述した本発明の態様にかかる複
合リソース管理方法に、(d)前記リソースの使用条件を設定する工程と、(e)前記優
先度を設定する工程と、を更に備えていることを特徴とする。
【0030】
これにより、上述した本発明の態様にかかる多機能複合システムと同等の効果が得られ
る。
【0031】
本発明の他の態様にかかる複合リソース管理方法は、上述した本発明の態様にかかる複
合リソース管理方法の前記リソースが、前記機能によって確保されているか否かの2値の
状態によって表される2値リソース管理形態によって管理される2値リソース、前記リソ
ースの全容量に対する前記機能によって確保される割合によって表される多値リソース管
理形態によって管理される多値リソース、及び前記リソースを確保している前記機能の個
数によって表される共用リソース管理形態によって管理される共用リソースの中の少なく
とも1つであることを特徴とする。
【0032】
これにより、上述した本発明の態様にかかる多機能複合システムと同等の効果が得られ
る。
【0033】
本発明の他の態様にかかる複合リソース管理方法は、上述した本発明の態様にかかる複
合リソース管理方法の前記工程(b)が、(f)前記機能から、当該機能が使用する全て
の前記リソースの確保要求を受け付けたときに、当該機能の前記優先度に基づいて、当該
優先度と同じ優先度の異なる1個または複数個の前記機能に関連した前記リソースの確保
要求の中で、最後に当該機能に要求された全ての前記リソースが割り当てられるように、
当該機能に関連した前記リソースの確保要求の要求順を調整して、処理要求キューに追加
し、前記処理要求キューの要求順に従って、リソース確保要求を実行する工程と、(g)
前記機能から、当該機能が使用する全ての前記リソースの解放要求を受け付けたときに、
当該機能が使用している全ての当該リソースを解放する工程と、(h)前記機能から、当
該機能が使用する全ての前記リソースの一時解放許可要求を受け付けたときに、当該機能
が使用している全ての当該リソースを一時的に解放する工程と、(i)前記工程(g)ま
たは前記工程(h)によって、前記リソースが解放されたときに、前記処理要求キューの
要求順に従って、前記リソースの確保要求を実行する工程と、を備えていることを特徴と
する。
【0034】
これにより、上述した本発明の態様にかかる多機能複合システムと同等の効果が得られ
る。
【0035】
本発明の第1の態様にかかるプログラムは、1個又は複数個のリソースを複数個の機能
が共通に使用する多機能複合システムの前記リソースを管理する処理をコンピュータに実
行させるプログラムであって上述した本発明の態様にかかる多機能複合システムの各実行
部を実現させる処理を前記コンピュータに実行させるプログラムである。
【0036】
このような構成であれば、コンピュータによってプログラムが読み取られ、読み取られ
たプログラムによって、コンピュータが処理を実行すると、上述した本発明の態様にかか
る多機能複合システムと同等の作用及び効果が得られる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、異なる複数のリソース管理形態の中の少なくとも1つのリソース管理
形態によってリソース毎に管理されているリソースを利用して、機能が使用する全てのリ
ソースを一括して確保又は解放しながら、機能に対応付けられた優先度に基づいて、機能
が使用するリソースの割り当てを容易に管理することが可能である。また、システムを構
成する機能がリソースを競合するタイミングを容易に把握することが可能である。従って
、リソースの使用状況に基づいた、リソースの使用効率の良いシステムを構築することが
容易に出来る。
【0038】
また、リソースが競合する優先度の低い機能が実行中であっても、優先度の高い機能を
実行させることが可能である。また、多機能複合システムに新規機能を組み込む場合に、
新規機能と既存の機能とがリソースを競合する場合の処理を考慮する必要がなく、新規機
能を容易に開発することが可能となる。従って、開発期間を削減するとともに、開発コス
トを削減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
この発明の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施態
様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者で
あればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なもので置換した実施態様を採用する
ことが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【0040】
図1は、本発明を適用したPOS端末システムのシステム構成の一例を示す図である。
図1に示すように、POS端末システム10は、ホストコンピュータ11、マスタプリン
タ12、スキャナ13、カードリーダ14、カスタマディスプレイ15、ドロワ16、及
び携帯用プリンタ17によって構成されている。
【0041】
ホストコンピュータ11は、POS端末システム10の各種機能を実現するアプリケー
ションを備えている。また、ホストコンピュータ11は、レシート、ジャーナル等を印刷
するためのマスタプリンタ12、購入用品の情報等を読み込むためのスキャナ13、クレ
ジットカード、ポイントカード等から情報を読み込んだりするためのカードリーダ14、
購入商品の情報等を表示するカスタマディスプレイ15、現金等を入れておく引き出しで
あるドロワ16、及び、商品の値札等を印刷する携帯用プリンタ17と通信回線を介して
接続されている。通信回線においては、シリアル・ケーブル、パラレル・ケーブル、ネッ
トワーク・ケーブル、USB、無線通信等、各種の通信形態により提供される通信プロト
コルを採用することができる。
【0042】
ここで、ホストコンピュータ11と、スキャナ13、カードリーダ14、カスタマディ
スプレイ15、ドロワ16及び携帯用プリンタ17との通信は、マスタプリンタ12を介
して実行されることとする。また、スキャナ13、カードリーダ14、カスタマディスプ
レイ15及びドロワ16の電力は、マスタプリンタ12の電源から供給されることとし、
マスタプリンタ12、スキャナ13、カードリーダ14、カスタマディスプレイ15及び
ドロワ16から構成されるシステムを電源共有システムと呼ぶ。また、マスタプリンタ1
2と携帯用プリンタ17との通信は、無線LANを介して実行されるとする。
【0043】
また、マスタプリンタ12は、図示されていないが、制御プログラムに基づいて演算及
び装置全体を制御するCPUと、所定領域にあらかじめCPUの制御プログラム等を格納
しているROMと、ROM等から読み出された情報やCPUの演算過程において必要な演
算結果を格納するためのRAMとを備えている。また、POS端末システム10において
、異なるリソース管理形態のリソースを複合的に管理する複合リソース管理は、マスタプ
リンタ12において実行されるとする。
【0044】
図2は、マスタプリンタ12により管理されている複合リソース管理に関する機能部の
クラス図である。図2に示すように、機能部は、リソース管理30、マルチリソース要求
31、マルチリソース管理32、マルチリソース33、2値リソース34、多値リソース
35、多値リソース消費36、リソース37、共用リソース39、共用リソース対象40
、多値リソース管理41、多値リソース消費管理42、マルチリソース要求仕様管理43
、マルチリソース要求仕様44、及びリソース使用状況表示45の各クラスによって構成
されている。
【0045】
尚、以下の説明において、「リソース37を割り当てる」及び「リソース37を解放す
る」という表現を用いるが、これらは、それぞれ「リソース37のサブクラスである2値
リソース34、多値リソース35、または共用リソース39が割り当てる」、「リソース
37のサブクラスである2値リソース34、多値リソース35、または共用リソース39
を解放する」ことを意味する。
【0046】
リソース管理30は、アプリケーション38からの要求に対してリソース割り当てを実
行する。具体的には、アプリケーション38から、マルチリソース要求31を受信したと
き、リソース管理30は、マルチリソース要求31に関連するマルチリソース33経由で
リソース37が必要であることを知り、アプリケーション38に対して必要なリソース3
7を割り当てる。また、アプリケーション38によって生成されたマルチリソース要求3
1を優先度に基づいて管理し、マルチリソース33に関連付けているリソース37を割り
当てる。
【0047】
状態が「使用中」であるマルチリソース要求31を生成したアプリケーション38の優
先度が、新たなマルチリソース要求31を生成したアプリケーション38の優先度より低
いときには、リソース管理30は、「使用中」のマルチリソース要求31から一時解放候
補を検索し、その一時解放候補のマルチリソース要求31を生成したアプリケーション3
8に対して、リソース明け渡し要求し、明け渡し許可を受け取った後に、新たなマルチリ
ソース要求31に、リソース37を割り当てる。
【0048】
なお、マルチリソース要求31の状態には、「待ち」、「使用中」及び「一時中断」が
存在する。ここで、アプリケーション38によってマルチリソース要求31が生成された
ときに、マルチリソース要求31の状態は「待ち」となり、マルチリソース33を介して
、リソース37が確保されたときに、マルチリソース要求31の状態は「使用中」となり
、一時解放要求により処理の途中でリソース37が一時解放されたときに、マルチリソー
ス要求31の状態は「一時中断」となる。
【0049】
また、リソース管理30は、アプリケーション38から解放要求を受信したときに、ア
プリケーション38が利用していたリソース37を解放する。即ち、マルチリソース33
に関連付けているリソース37を解放する。このとき、「待ち」状態のマルチリソース要
求31に対して、リソース37の割り当てが可能であるならば、リソース37を割り当て
る。
【0050】
また、リソース管理30は、アプリケーション38から一時解放許可要求を受信したと
きに、マルチリソース33に関連付けているリソース37を一時解放する。尚、一時解放
許可要求は、既に、一時明け渡しするように通知されていたアプリケーション38が一時
解放可能になったときに、アプリケーション38からリソース管理30へ送信される。こ
のとき、リソース管理30は、一時解放を実行した後に、「一時中断」状態のマルチリソ
ース要求31に対して、リソース37の割り当てが可能であるならば、リソース37を割
り当てる。
【0051】
マルチリソース要求31は、アプリケーション38が利用したいマルチリソース33に
対する要求に対して、マルチリソース33に対する要求の状態、即ち、マルチリソース要
求31の状態を持っており、状態遷移にともなう処理を実行する。マルチリソース要求3
1の状態が「待ち」から「使用中」に遷移するときには、マルチリソース要求31に関連
するマルチリソース33に対して、マルチリソース33に関連する複数のリソース37を
確保させる。
【0052】
また、マルチリソース要求31の状態が「使用中」から「一時中断」に遷移するときに
は、マルチリソース要求31に関連するマルチリソース33に対して、マルチリソース3
3に関連する複数のリソース37を解放させる。また、マルチリソース要求31の状態が
、「待ち」、「使用中」及び「一時中断」のいずれか1つの状態であるときに、アプリケ
ーション38がリソース37の利用を終了したときにも、マルチリソース要求31に関連
するマルチリソース33に対して、マルチリソース33に関連する複数のリソース37を
解放させる。
【0053】
マルチリソース管理32は、マルチリソース33を管理する。アプリケーション38が
マルチリソース33の識別子であるマルチリソースIDを引数にして、マルチリソース3
3の取得を要求してきたときに、マルチリソース33を戻り値として返す。マルチリソー
ス33は、アプリケーション38が使用する複数のリソース37を束ね、束ねている2値
リソース34、多値リソース35、及び共用リソース39の一括確保、または、一括解放
を実行する。
【0054】
リソース37は抽象クラスであり、2値リソース34、多値リソース35、及び共用リ
ソース39はリソース37のサブクラスである。2値リソース34は、アプリケーション
38が、当該リソースを「使用する」又は「使用しない」の2つにより、リソース確保又
は解放を判断することができるリソースである。多値リソース35は、当該リソースの必
要量を要求するリソースである。多値リソース消費36は、多値リソース35の消費を扱
い、必要なリソースの消費量を知っている。多値リソース35から必要量を取得又は返却
する。共用リソース39は、当該リソースの確保を要求するアプリケーション38の全て
に対して、待たされることなくリソースを確保することができるリソースである。
【0055】
例えば、2値リソース34として、紙経路がある。紙経路は、「使用する」又は「使用
しない」の2つの状態で表すことができる。また、例えば、多値リソース35として、電
源がある。電源容量のX%が必要量であるとしてリソースを表すことができる。また、例
えば、共用リソース39として、無線LANがある。無線LANを利用して通信するアプ
リケーション38は、必要なタイミングにおいて利用することができる。
【0056】
共用リソース対象40は、共用リソース39を使用しているアプリケーション38の個
数に基づいて、共用リソース39に対応付けられる所定の処理を実行する。例えば、共用
リソース39である無線LANにおいて、無線LANのリソース確保を要求したアプリケ
ーション38が存在する、即ち、無線LANを利用するアプリケーションの個数が1以上
のときに無線LANの回路電源をON状態にし、無線LANのリソース確保を要求したア
プリケーション38が存在しない、即ち、無線LANを利用するアプリケーションの個数
が0のときに無線LANの回路電源をOFF状態にする処理を実行する。
【0057】
多値リソース管理41は、多値リソース35の識別子である多値リソースIDに基づい
て、多値リソース35の必要量を設定する。例えば、省エネルギー対策として、電源共有
システムの使用可能な電力量の総量の設定を変更する。図3は、上述した多値リソース管
理41による電源共有システムの電力容量の設定を実行するための設定画面の一例を示し
た図である。
【0058】
図3に示すように、電源共有システムの目標消費電力の設定値を、設定範囲である50
Wから100Wの中から、上下矢印51を利用して所望の値を選択、あるいは入力エリア
50に所望の値を入力し、「OK」を選択することにより、値を確定する。ここで、入力
または選択した値が間違っている場合は、「キャンセル」を選択することにより訂正する
ことができる。
【0059】
多値リソース消費管理42は、多値リソース消費36の識別子である多値リソース消費
IDに基づいて、多値リソース消費36の消費量を設定する。例えば、電源共有システム
を構成しているスキャナ13の消費電力量の設定を変更する。図4は、上述の多値リソー
ス消費管理42による電源共有システムを構成する各機能の電力消費量の設定を実行する
ための設定画面の一例を示した図である。
【0060】
図4に示すように、ドロワ16、マスタプリンタ12、カードリーダ14、スキャナ1
3、及びカスタマディスプレイ15の各電力使用量を設定する。例えば、ドロワ16の場
合、ドロワ16の電力使用量の設定値を、設定範囲である5Wから10Wの中から、上下
矢印53を利用して所望の値を選択、あるいは入力エリア52に所望の値を入力し、「O
K」を選択することにより、値を確定する。ここで、入力または選択した値が間違ってい
る場合は、「キャンセル」を選択することにより訂正することができる。また、「初期設
定値に戻す」を選択することにより、設定値を初期値に戻すことができる。
【0061】
マルチリソース要求仕様44は、リソース管理30がアプリケーション38によって生
成されたマルチリソース要求31を管理するための優先度を設定する。マルチリソース要
求仕様管理43は、マルチリソース33の識別子であるマルチリソースIDに基づいて、
マルチリソース要求仕様44を管理する。
【0062】
例えば、出荷時に設定されている電源共有システムを構成しているマスタプリンタ12
、スキャナ13、カードリーダ14、カスタマディスプレイ15及びドロワ15の優先度
の順番が、高いほうから、「ドロワ16、マスタプリンタ12、カードリーダ14、スキ
ャナ13、カスタマディスプレイ15」であったときに、POS端末システム10の稼働
現状に合わせるためにスキャナ13とカードリーダ14の優先度を入れ替えたい場合に、
優先度の設定を変更する。
【0063】
図5は、上述したマルチリソース仕様管理43及びマルチリソース要求仕様44による
電源共有システムを構成する各機能の優先度の設定を実行するための設定画面の一例を示
した図である。図に示すように、ドロワ16、マスタプリンタ12、カードリーダ14、
スキャナ13及びカスタマディスプレイ15の各優先度を設定する。
【0064】
例えば、カードリーダ14の優先度を変更する場合、「カードリーダ」を選択して、「
上へ移動」または「下へ移動」を押下しながら、所望の優先度を設定し、「OK」を選択
することにより、優先度を確定する。また、「カードリーダ」をドラッグして、「OK」
を選択することにより、所望の優先度に設定することも可能である。ここで、変更した優
先度が間違っている場合は、「キャンセル」を選択することにより訂正することができる
。また、「初期設定値に戻す」を選択することにより、優先度を初期値に戻すことができ
る。
【0065】
リソース使用状況表示45は、予め設定されている所定の周期、または、所望の不定期
なタイミングにて、所望のリソース37の使用状況を取得し、取得したリソース37の使
用状況を表示する。例えば、電源共有システムを構成する各機能が使用している電力量を
モニタリング画面に表示する。図6は、POS端末システム10においてマスタプリンタ
12によって管理されているリソースの使用状況を表示したモニタリング画面の一例を示
した図である。ここでは、リソースとして多値リソース35である電力量を例に挙げて説
明している。
【0066】
図6に示すように、電源共有システムにおいて、ドロワ16、マスタプリンタ12、カ
ードリーダ14、スキャナ13、及びカスタマディスプレイ15の各機能が消費している
電力量を周期的に収集し、収集した各機能の消費電力量から、表示要求時までの消費電力
量の変化を過去にさかのぼって画面上に表示している。また、電源共有システムの最大消
費電力及び目標消費電力を同時に表示している。表示された各機能の消費電力量に基づい
て、表示要求時の電力量の割り当て使用状況を把握するとともに、今後の電力量の割り当
て等に利用する。
【0067】
例えば、上述した電源共有システムの電力総量の設定、各機能の消費電力量の設定等の
設定値を決定する参考にすることができる。従って、エネルギー効率の良いPOS端末シ
ステム10を構築することができる。上述のモニタリングの例は消費電力量であったが、
他のリソースを同様にモニタリングすることにより、リソースの利用効率の良いシステム
を構築することができる。
【0068】
次に、上述した共用リソースの確保要求処理の処理手順を図7及び図8を参照して説明
する。図7及び図8は、共用リソース確保要求処理の手順を示すシーケンス図の一例であ
る。図に示すように、共用リソースの確保要求処理は、携帯用プリンタ17における主デ
ータ送信のアプリケーション38(以下、「主データ送信アプリケーション」と呼ぶ)と
携帯用プリンタ17における監視データ送信のアプリケーション38(以下、「監視デー
タ送信アプリケーション」と呼ぶ)とが、共用リソース39である無線LANを確保する
処理を例に挙げて説明する。ここで、図7及び図8に示す処理手順を実行する場合に、マ
スタプリンタ12のROMに予め格納されている制御プログラムを実行して、各工程を実
行させる。
【0069】
まず、主データ送信アプリケーションが、マルチリソースID、主データ送信アプリケ
ーションの優先度、及び主データ送信アプリケーションへの通知先を、内部に保持する主
データ送信アプリケーションに関連したマルチリソース要求31(以下、「主データ送信
マルチリソース要求」と呼ぶ)を生成する(S101)。
【0070】
次に、主データ送信アプリケーションは、主データ送信マルチリソース要求とともにリ
ソース確保要求をリソース管理30に送る(S102)。リソース管理30は、リソース
確保要求を介して渡された主データ送信マルチリソース要求とマルチリソース33を対応
付ける初期化処理を、主データ送信マルチリソース要求に対して要求する(S103)。
主データ送信マルチリソース要求は、自身が内部に保持するマルチリソースIDに基づい
て、マルチリソース管理32から、主データ送信マルチリソース要求に対応するマルチリ
ソース33(以下、「主データ送信マルチリソース」と呼ぶ)を取得し(S104)、現
在の主データ送信マルチリソースを設定する(S105)。
【0071】
次に、リソース管理30は、主データ送信アプリケーションの優先度に基づいて、主デ
ータ送信アプリケーションと同じ優先度の処理要求キューの最後尾に、主データ送信マル
チリソース要求を追加し(S106)、処理要求キューの要求順番になるまで、待機する

【0072】
次に、主データ送信マルチリソース要求の要求順番になったときに、リソース管理30
は、主データ送信マルチリソース要求に対して、リソース確保を要求し(S107)、主
データ送信マルチリソース要求は、主データ送信マルチリソースに対して、共用リソース
39である無線LANの確保を要求し(S108)、主データ送信マルチリソースは、共
用リソース39である無線LANを確保する(S109)。このとき、無線LANに対応
付けられた無線LAN回路の共用リソース対象40が生成されていない場合は、共用リソ
ース39である無線LANは、無線LAN回路の共用リソース対象40を生成する(S1
10)。
【0073】
次に、生成された無線LAN回路の共用リソース対象40は、無線LAN回路の電源を
ON状態にする(S111)。次に、共用リソース39である無線LANは、無線LAN
を使用しているアプリケーション38の個数を1とする(S112)。
【0074】
次に、監視データ送信アプリケーションが、マルチリソースID、監視データ送信アプ
リケーションの優先度、及び監視データ送信アプリケーションへの通知先を、内部に保持
する監視データ送信アプリケーションに関連したマルチリソース要求31(以下、「監視
データ送信マルチリソース要求」と呼ぶ)を生成する(S113)。
【0075】
次に、監視データ送信アプリケーションは、監視データ送信マルチリソース要求ととも
にリソース確保要求をリソース管理30に送る(S114)。リソース管理30は、リソ
ース確保要求を介して渡された監視データ送信マルチリソース要求とマルチリソース33
を対応付ける初期化処理を、監視データ送信マルチリソース要求に対して要求する(S1
15)。
【0076】
監視データ送信マルチリソース要求は、自身が内部に保持するマルチリソースIDに基
づいて、マルチリソース管理32から、監視データ送信マルチリソース要求に対応するマ
ルチリソース33(以下、「監視データ送信マルチリソース」と呼ぶ)を取得し(S11
6)、現在の監視データ送信マルチリソースを設定する(S117)。
【0077】
次に、リソース管理30は、監視データ送信アプリケーションの優先度に基づいて、監
視データ送信アプリケーションと同じ優先度の処理要求キューの最後尾に、監視データ送
信マルチリソース要求を追加し(S118)、処理要求キューの要求順番になるまで、待
機する。
【0078】
次に、監視データ送信マルチリソース要求の要求順番になったときに、リソース管理3
0は、監視データ送信マルチリソース要求に対して、リソース確保を要求し(S119)
、監視データ送信マルチリソース要求は、監視データ送信マルチリソースに対して、共用
リソース39である無線LANの確保を要求する(S120)。次に、監視データ送信マ
ルチリソースは、共用リソース39である無線LANを確保する(S121)。このとき
、無線LANを使用しているアプリケーション38が存在しているため無線LANは利用
可能である。共用リソース39である無線LANは、無線LANを使用しているアプリケ
ーション38の個数を1だけカウントアップする(S122)。
【0079】
次に、監視データ送信アプリケーションは、リソースの解放要求をリソース管理30に
送る(S123)。次に、リソース管理30は、監視データ送信マルチリソース要求に対
して、監視データ送信マルチリソースの解放を要求する(S124)。監視データ送信マ
ルチリソース要求は、監視データ送信マルチリソースに対して、共用リソース39である
無線LANの解放を要求し(S125)、監視データ送信マルチリソースは、共用リソー
ス39である無線LANを解放し(S126)、共用リソース39である無線LANは、
無線LANを使用しているアプリケーション38の個数を1だけカウントダウンする(S
127)。
【0080】
次に、主データ送信アプリケーションは、リソースの解放要求をリソース管理30に送
る(S128)。次に、リソース管理30は、主データ送信マルチリソース要求に対して
、主データ送信マルチリソースの解放を要求する(S129)。次に、主データ送信マル
チリソース要求は、主データ送信マルチリソースに対して、共用リソース39である無線
LANの解放を要求し(S130)、主データ送信マルチリソースは、共用リソース39
である無線LANを解放する(S131)。
【0081】
最後に、共用リソース39である無線LANは、無線LANを使用しているアプリケー
ション38の個数を1だけカウントダウンする(S132)。このとき、無線LANを使
用しているアプリケーション38の個数が0となり、無線LANを使用しているアプリケ
ーション38がいなくなったので、共用リソース39である無線LANは、無線LAN回
路の共用リソース対象40を削除要求し、無線LAN回路の共用リソース対象40が、無
線LAN回路の電源をOFF状態にした後、無線LAN回路の共用リソース対象40を削
除する(S133及びS134)。
【0082】
上述したように、POS端末システム10において、複合リソース管理をマスタプリン
タ12に実行しているが、POS端末システム10を構成する機能、例えば、ホストコン
ピュータ11等において、実行させるようにしても良い。
【0083】
また、上述した図7及び図8に示した処理手順を実行する場合に、マスタプリンタ12
のROMに予め格納されている制御プログラムを実行して、各工程を実行させるようにし
たが、これらの各工程を実行させるプログラムを記録した情報記録媒体から、そのプログ
ラムをRAMに読み込んで実行するようにしても良い。
【0084】
ここで、情報記録媒体とは、RAM、ROM等の半導体記録媒体、FD、HD等の磁気
記憶型記録媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記録媒体、MO等の磁
気記憶型/光学的読取方式記録媒体であって、電子的、磁気的、光学等の読み取り方法の
いかんにかかわらず、コンピュータによって読み取り可能な情報記録媒体であれば、あら
ゆる情報記録媒体を含むものである。また、プログラムを、ネットワークを経由してダウ
ンロードして実行するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明を適用したPOS端末システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】マスタプリンタ12により管理されている複合リソース管理に関する機能部のクラス図である。
【図3】多値リソース管理41による電源共有システムの電力容量の設定を実行するための設定画面の一例を示した図である。
【図4】多値リソース消費管理42による電源共有システムを構成する各機能の電力消費量の設定を実行するための設定画面の一例を示した図である。
【図5】マルチリソース仕様管理43及びマルチリソース仕様44による電源共有システムを構成する各機能の優先度の設定を実行するための設定画面の一例を示した図である。
【図6】マスタプリンタ12によって管理されているリソースの使用状況を表示したモニタリング画面の一例を示した図である。
【図7】共用リソース確保要求処理の手順を示すシーケンス図の一例である。
【図8】図7の続きを示す図である。
【符号の説明】
【0086】
10 POS端末システム
12 マスタプリンタ
30 リソース管理
31 マルチリソース要求
32 マルチリソース管理
33 マルチリソース
34 2値リソース
35 多値リソース
36 多値リソース消費
37 リソース
38 アプリケーション
39 共用リソース
40 共用リソース対象
41 多値リソース管理
42 多値リソース消費管理
43 マルチリソース要求仕様管理
43 マルチリソース要求仕様
45 リソース使用状況表示


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個又は複数個のリソースを複数個の機能が共通に使用する多機能複合システムであっ
て、
異なる複数のリソース管理形態の中の少なくとも1つの前記リソース管理形態によって
前記機能毎に設定された前記リソースの使用状況を、前記リソース毎に判定するリソース
部と、
前記機能からの要求を受け付けたときに、前記機能毎に使用される前記リソース部の前
記リソースの使用状況、及び前記機能毎に設定されている優先度に基づいて、前記機能に
よって使用形態の異なる前記リソースの確保または解放を一括して実行する複合リソース
管理部と、
所定の周期タイミング、または、所望のタイミングにおいて、前記リソース毎に、当該
リソースを使用している前記機能の使用状況を表示するリソース使用状況表示部と、
を備えていることを特徴とする多機能複合システム。
【請求項2】
前記リソース使用状況表示部は、表示する前記タイミングより、所定の過去の期間の前
記リソースの使用状況及び前記リソースの使用条件の少なくとも1つを表示することを特
徴とする請求項1に記載の多機能複合システム。
【請求項3】
前記リソースの使用条件を設定するリソース条件設定部と、
前記優先度を設定する優先度設定部と、
を更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の多機能複合システム。
【請求項4】
異なる複数の前記リソース管理形態として、前記機能によって確保されているか否かの
2値の状態によって表される2値リソース管理形態、前記リソースの全容量に対する前記
機能によって確保される割合によって表される多値リソース管理形態、及び前記リソース
を確保している前記機能の個数によって表される共用リソース管理形態を、少なくとも有
し、
前記リソース部は、
前記2値リソース管理形態によって管理される前記リソースである2値リソースの使用
状況を判定する2値リソース部、前記多値リソース管理形態によって管理される前記リソ
ースである多値リソースの使用状況を判定する多値リソース部、及び前記共用リソース管
理形態によって管理される前記リソースである共用リソースの使用状況を判定する共用リ
ソース部の中の少なくとも1つを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか
1項に記載の多機能複合システム。
【請求項5】
前記複合リソース管理部は、
前記機能が使用する全ての前記リソース毎に対応付けられる前記リソース部に対する確
保または解放を、一括して実行する、当該機能に関連付けられたマルチリソース部と、
前記マルチリソース部を管理するマルチリソース管理部と、
前記機能からの要求を受け付けたときに、前記機能毎に予め設定されている前記優先度
に基づいて、前記リソースの割り当てを実行するリソース管理部と、
前記マルチリソース部への要求状態を示す状態情報を有し、前記リソース管理部から要
求された当該マルチリソース部への要求処理を当該マルチリソース部へ依頼する、当該マ
ルチリソース部に対応付けられたマルチリソース要求部と、
を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の多機能複合システ
ム。
【請求項6】
1個又は複数個のリソースを複数個の機能が共通に使用する多機能複合システムの複合
リソース管理方法であって、
(a)異なる複数のリソース管理形態の中の少なくとも1つの前記リソース管理形態に
よって前記機能毎に設定された前記リソースの使用状況を、前記リソース毎に判定する工
程と、
(b)前記機能からの要求を受け付けたときに、前記工程(a)によって判定された前
記リソースの使用状況、及び前記機能毎に設定されている優先度に基づいて、前記機能に
よって使用形態の異なる前記リソースの確保または解放を一括して実行する工程と、
(c)所定の周期タイミング、または、所望のタイミングにおいて、前記リソース毎に
、当該リソースを使用している前記機能の使用状況を表示する工程と、
を備えていることを特徴とする複合リソース管理方法。
【請求項7】
前記工程(c)は、表示する前記タイミングより、所定の過去の期間の前記リソースの
使用状況及び前記リソースの使用条件の少なくとも1つを表示することを特徴とする請求
項6に記載の複合リソース管理方法。
【請求項8】
(d)前記リソースの使用条件を設定する工程と、
(e)前記優先度を設定する工程と、
を更に備えていることを特徴とする請求項6または7に記載の複合リソース管理方法。
【請求項9】
前記リソースは、前記機能によって確保されているか否かの2値の状態によって表され
る2値リソース管理形態によって管理される2値リソース、前記リソースの全容量に対す
る前記機能によって確保される割合によって表される多値リソース管理形態によって管理
される多値リソース、及び前記リソースを確保している前記機能の個数によって表される
共用リソース管理形態によって管理される共用リソースの中の少なくとも1つであること
を特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の複合リソース管理方法。
【請求項10】
前記工程(b)は、
(f)前記機能から、当該機能が使用する全ての前記リソースの確保要求を受け付けた
ときに、当該機能の前記優先度に基づいて、当該優先度と同じ優先度の異なる1個または
複数個の前記機能に関連した前記リソースの確保要求の中で、最後に当該機能に要求され
た全ての前記リソースが割り当てられるように、当該機能に関連した前記リソースの確保
要求の要求順を調整して、処理要求キューに追加し、前記処理要求キューの要求順に従っ
て、リソース確保要求を実行する工程と、
(g)前記機能から、当該機能が使用する全ての前記リソースの解放要求を受け付けた
ときに、当該機能が使用している全ての当該リソースを解放する工程と、
(h)前記機能から、当該機能が使用する全ての前記リソースの一時解放許可要求を受
け付けたときに、当該機能が使用している全ての当該リソースを一時的に解放する工程と

(i)前記工程(g)または前記工程(h)によって、前記リソースが解放されたとき
に、前記処理要求キューの要求順に従って、前記リソースの確保要求を実行する工程と、
を備えていることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の複合リソース管理
方法。
【請求項11】
1個又は複数個のリソースを複数個の機能が共通に使用する多機能複合システムの前記
リソースを管理する処理をコンピュータに実行させるプログラムであって、
請求項1から5のいずれか1項に記載の多機能複合システムの各実行部を実現させる処
理を前記コンピュータに実行させるプログラム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−279798(P2007−279798A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101650(P2006−101650)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】