説明

多段フラッシュ式造水装置

【課題】ブラインの高さが変化した場合に開口部の高さを調節することなく、ブラインの高さを最適に維持し得る多段フラッシュ式造水装置を提供する。
【解決手段】仕切壁11により海水の蒸発室12が多段に形成され且つその下部に形成された開口部11aにより上流側と下流側とが連通された造水装置において、各仕切壁の開口部の上縁部に複数の放出穴が形成された筒状体31を設け、これら各筒状体に、上流側蒸発室の海水温度よりも微低温の海水を供給する微低温海水供給管41及び上流側蒸発室内の海水温度よりも微高温の海水を供給する微高温海水供給管42を接続し、各蒸発室内の海水であるブラインの液面を検出する液面計32をそれぞれ設けると共に、これら各液面計からの液面高さを入力して各蒸発室の下流側の仕切壁に設けられた筒状体に接続された各供給管の開閉弁43,44をそれぞれ制御する制御手段33を設けたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多段フラッシュ式造水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
多段フラッシュ式造水装置は、蒸発用容器内に複数の蒸発室が多段に(直列に)形成されており、これら各蒸発室においては、順次、海水(以下、ブラインともいう)のフラッシュ蒸発(減圧蒸発)が行われるとともに各蒸発室にて蒸発した蒸気を冷却することにより、海水から清水を得るようにしたものである。
【0003】
すなわち、多段フラッシュ式造水装置は、蒸発用容器内に、所定間隔置きに設けられた仕切壁により、複数個の蒸発室が、順次、多段に配置されるとともに、各蒸発室内に、ブラインのフラッシュ蒸発により得られた蒸気(水蒸気)を導き冷却することにより清水を得るための熱交換手段が配置されたもので、また仕切壁の下部には、ブラインが移動するための開口部が形成されている。
【0004】
ところで、造水負荷に応じてブラインの流量も変化することになるが、このとき、各蒸発室同士を連通する開口部の高さについても、適正な高さ、例えば少なくとも吹き抜けが生じないような高さに維持する必要があり、またブラインの液面高さが高い場合には、蒸発室底面を流れるブラインは蒸発しにくくなって(静圧が高くなるため)、蒸発性能が低下していることを意味している。
【0005】
このため、ブライン側の液面高さを適正な値にするために、開口部には、その開口高さを調節し得る可動堰が設けられていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−136923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したように、蒸発室を仕切るための仕切壁に設けられた開口部に可動堰を設けて、ブラインの液面高さに応じて、その開口高さを調節する作業は非常に面倒であるとともに、その調節時には、造水装置の運転を停止させる必要があり、運転効率が低下するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、ブラインの高さが変化した場合に、開口部の高さを調節することなく、つまり、造水装置の運転を停止させることなく、ブラインの高さを最適に維持し得る多段フラッシュ式造水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る多段フラッシュ式造水装置は、容器本体内に仕切壁を介して海水の蒸発室が多段に形成され且つ上記各仕切壁の下部に形成された開口部により上流側蒸発室と下流側蒸発室とが連通されて成る各蒸発室内の上部にフラッシュ蒸発された蒸気を導き冷却を行う熱交換手段が配置された多段フラッシュ式造水装置において、
上記各仕切壁の開口部の上縁部に複数の放出穴が形成された筒状体を取り付けるとともに、これら各筒状体に、上流側蒸発室内の海水の温度よりも低い低温海水を供給する低温流体供給管および上流側蒸発室内の海水の温度よりも高い高温海水を供給する高温流体供給管を接続し、
上記各蒸発室内の海水の液面を検出する液面計をそれぞれ設けるとともに、これら各液面計からの液面高さを入力して各蒸発室の下流側の仕切壁の筒状体に接続された上記各供給管に設けられた開閉弁をそれぞれ制御する制御手段を設けたものである。
【0010】
また、請求項2に係る多段フラッシュ式造水装置は、請求項1に記載の造水装置における筒状体の横断面における放出穴の設置範囲は、上流側の水平線と下方の鉛直線との間の90度の範囲としたものである。
【0011】
また、請求項3に係る多段フラッシュ式造水装置は、請求項1または2に記載の造水装置における高温海水の代わりに蒸気を用いたものである。
また、請求項4に係る多段フラッシュ式造水装置は、請求項1または2に記載の造水装置における制御手段により、液面計にて計測された液面高さが設定高さより高い場合に、上記低温流体供給管に設けられた開閉弁を開くようにしたものである。
【0012】
さらに、請求項5に係る多段フラッシュ式造水装置は、請求項1または2に記載の造水装置における制御手段により、液面計にて計測された液面高さが設定高さより低い場合に、上記高温流体供給管に設けられた開閉弁を開くようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
上記多段フラッシュ式造水装置の構成によると、仕切壁の開口部の上縁部に筒状体を配置したので、筒状体が設けられていない場合に比べて、圧力損失が減少して開口部における海水すなわちブラインの蒸発が抑制され、さらにこのブラインが開口部手前で静圧が下がり蒸発することによって液面が上昇した場合に、低温のブラインを開口部に吹き込んで飽和圧力を低下させることにより、ブラインの蒸発を抑制するようにしたので、上流側におけるブライン液面の上昇を抑制することができ、したがって上流側における蒸発室内でのブラインの蒸発を促進することができるので、蒸発性能の低下を防止することができる。
【0014】
また、蒸発室内のブラインが低下し過ぎて開口部で吹き抜けが発生している場合に、高温のブラインまたは蒸気を開口部に吹き込みブラインの蒸発を促進させるようにしたので、開口部での圧力損失が大きくなって静圧が増大し、したがって開口部での吹き抜けを防止することができる。
【0015】
すなわち、ブラインの高さが変化した場合、開口部の高さを調節することなく、つまり、造水装置の運転を停止させることなく、ブラインの高さを最適に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例に係る多段フラッシュ式造水装置の概略断面図である。
【図2】同多段フラッシュ式造水装置の蒸発室の要部断面図である。
【図3】同蒸発室の筒状体の作用を説明するための比較用断要部面図である。
【図4】同蒸発室の筒状体による他の作用を説明する要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る多段フラッシュ式造水装置について、具体的に示した実施例に基づき説明する。
まず、この多段フラッシュ式造水装置の概略構成を、図1に基づき説明する。
【0018】
この多段フラッシュ式造水装置は、海水を導き蒸気により加熱する加熱器1と、この加熱器1にて加熱された高温の海水を導きフラッシュ蒸発を行うための蒸発用容器(蒸発器ともいえる)2と、この蒸発用容器2内の空気を吸引して所定圧力以下にするための真空装置3と、海水等を移送する配管系統(後述する)とから構成されている。
【0019】
上記蒸発用容器2の容器本体2aは、所定長さで且つ横断面形状が矩形状にされた箱型形状であり、その内部には、所定間隔置きに設けられた仕切壁11により、複数の蒸発室12が、順次、多段に(直列に)配置されるとともに、これら各蒸発室12内には、海水(以下、ブラインともいう)aのフラッシュ蒸発(減圧蒸発)により得られた蒸気(水蒸気)bを導き冷却することにより清水を得る熱交換手段(熱交換部ともいえる)としての冷却用伝熱管(以下、伝熱管という)13およびその下方位置で清水を受けるための受け皿(受け部)14が配置されており、さらに各蒸発室12の伝熱管13の下手側(海水の流路方向の下流側)に設けられた蒸気導入通路15の途中には、蒸気bのミスト分を除去(捕捉)するためのデミスター16が設けられている。なお、各蒸発室12の圧力は、真空装置3により、加熱器1側から順次低くなるようにされており、例えば隣接する蒸発室12同士間の飽和温度差が3〜4℃にされている。
【0020】
上記各仕切壁11の下部には、図2に示すように、上流側蒸発室12(12U)と下流側蒸発室12(12D)とを連通させてブラインaを上流側から下流側に導くための開口部(連通用開口部ともいえる)11aが設けられている。
【0021】
なお、図1においては、分かり易くするために、容器本体2a内には、蒸発室12を3つ設けた場合を示しているが、実際には、蒸発室12は10段以上でもって配置されるとともに蒸発用容器2そのものについても2つ(二段に)配置されている。具体的に言うと、加熱器1に供給される海水を加熱して熱回収を行う熱回収部としての蒸発用容器と、この熱回収部としての蒸発用容器から排出される海水(ブライン)を冷却して熱を外部に放出する熱放出部としての蒸発用容器とが具備されているが、本実施例においては、熱回収部としての蒸発用容器について説明する。
【0022】
次に、この造水装置における配管系統について説明する。
この造水装置の蒸発用容器2の各蒸発室12内に配置されている伝熱管13にそれぞれ直列に接続されて冷却用の海水(低温海水)を導く海水供給管(冷却用低温海水供給管)21と、第1段目の初段蒸発室12(12A)内に配置される伝熱管13(13A)から出た海水を加熱器1に導く第1海水移送管22と、上記加熱器1で加熱された高温の海水を蒸発用容器1の初段蒸発室12(12A)に移送する第2海水移送管23と、上記各蒸発室12における受け皿14に溜まった清水を取り出す清水取出管24と、最終段蒸発室12(12L)内のブラインaを熱放出部の蒸発用容器に移送するための第3海水移送管25とが設けられている。なお、加熱器1に供給された蒸気は復水ドレンとして排出される。
【0023】
ここで、全体的な流れについて簡単に説明しておく。
上記構成において、加熱器1に蒸気が供給されるとともに、真空装置3により、各蒸発室12内がそれぞれ所定圧力(負圧)に維持されている状態において、海水供給管21より蒸発用容器2に供給された低温の海水(海水温度は35℃程度であるが、熱放出部を通過して43℃程度に加熱されている)は、各蒸発室12内の伝熱管13を順次通過して加熱器1内に移送され、ここで蒸気により所定温度(例えば、105℃程度)に加熱される。なお、図示していないが、実際には、上述したように、海水は、熱放出部としての蒸発用容器内を通過して或る程度加熱された状態で、熱回収部としての蒸発用容器1内に供給されることになる。
【0024】
そして、加熱された高温の海水すなわちブラインaは、初段蒸発室12(12A)内に移送されて減圧下でフラッシュ蒸発が行われ、この蒸気は伝熱管13内を流れる低温の海水により冷却されて凝縮し清水となり、清水受け皿14上に落下する。
【0025】
また、開口部11aを介して次段の蒸発室12内に入ったブラインも、同様に、フラッシュ蒸発するとともに伝熱管13内を通過する低温の海水により凝縮されて清水となり、受け皿14上に落下する。
【0026】
このように、加熱器1からの高温の海水は、順次、初段蒸発室12(12A)から最終段蒸発室12(12L)に移動される。
また、熱放出部としての蒸発用容器においても、熱回収部である蒸発用容器と同様に、初段蒸発室から最終段蒸発室に移動するとともに、それぞれの蒸発室にて伝熱管内を流れる低温の海水により凝縮されて清水が得られ、それぞれ清水受け皿上に落下する。これら両蒸発用容器にて得られた清水は、最終的には、清水取出管より取り出される。
【0027】
なお、図示しないが、少なくとも、海水供給管21および所定の各移送管24,25の途中には、各流体を移送するためのポンプが具備されている。
以上、造水装置の全体について概略的に説明したが、次に、本発明の要旨である蒸発用容器の構成、特に、仕切壁の構成およびその開口部での圧力損失の増加および海水の吹き抜けなどを防止し得る構成について説明する。
【0028】
この蒸発用容器1は、上述したように、容器本体2a内に仕切壁11により複数の蒸発室12が順次形成されるとともに、この仕切壁11の下部には、上流側蒸発室12(12U)と下流側蒸発室12(12D)とを連通させる開口部(連通用開口部ともいえる)11aが設けられている。
【0029】
そして、各仕切壁11の開口部11aの上縁部には、水平方向で筒状体(例えば、パイプが用いられている)31が取り付けられるとともに、この筒状体31の外周面には、その軸心方向(水平方向)に沿って多数の穴部すなわち放出穴31aが形成されている。
【0030】
また、この筒状体31の横断面(鉛直面)における放出穴31aの形成範囲は、上流側で且つ下方部の90度範囲(つまり、数学上の座標系で言えば、第3象限(180〜270°)に相当する)にされている。
【0031】
さらに、この筒状体31には、その仕切壁11により形成される上流側の蒸発室12内のブラインの温度よりも、3〜4℃低い温度の微低温海水または3〜4℃高い温度の微高温海水が、各蒸発室12内の海水の液面の高さに応じて、微低温または微高温の海水が供給されるように構成されている。
【0032】
すなわち、筒状体31には、3〜4℃低い微低温海水を供給するための微低温海水供給管(微低温流体供給管)41および3〜4℃高い温度の微高温海水を供給するための微高温海水供給管(微高温流体供給管)42が接続されており、またこれら各供給管41,42の途中には、開閉弁43,44がそれぞれ設けられるとともに、各蒸発室12内に配置された液面計32により、上記各開閉弁43,44を制御するための制御手段33が具備されている。
【0033】
この制御手段33には、図1に示すように、各蒸発室11内でのブラインの液面高さを個別に設定し得る液面高さ設定部34と、各蒸発室12内にそれぞれ配置された液面計32からの計測高さおよび上記液面高さ設定部34で設定された設定高さ(設定値)を入力するとともに両者を比較し、計測高さが設定高さより高い(深い)場合には、微低温海水供給管41に設けられた開閉弁43を開閉するとともに、逆に、計測高さが設定高さより低い(浅い)場合には、微高温海水供給管42に設けられた開閉弁44を開閉する判断制御部35とが具備されている。具体的には、計測高さが設定高さより高い場合には、開閉弁43が開かれるとともに、計測高さが設定高さより低い場合には、開閉弁44が開かれる。
【0034】
このように、仕切壁11の開口部11aの上縁部に筒状体31が設けられているため、設けない場合に比べて、縮流の発生を防止して(つまり流動抵抗を低下させる)流れの圧力損失を小さくすることができ、したがってブラインの流れをスムーズにすることができる。さらに、この筒状体31から上流側で且つ下半分部に微低温のブラインが放出(噴出)されるため、温度が低下されて、つまり飽和温度が低下して、ブラインの蒸発を抑制することができる。図3に開口部11aの上縁部でフラッシュ蒸発が発生して静圧が高くなり液面が上昇した状態を示しておく。なお、図2は、筒状体31の放出穴31aから微低温のブラインが噴出されてフラッシュ蒸発が抑制されて液面が低下した場合を示している。
【0035】
上記構成において、加熱されたブラインaは仕切壁11の下部に設けられた開口部11aを介して各蒸発室12内を順次移動されて、フラッシュ蒸発が行われる。
当然ながら、ブラインaが蒸発室12を順次移動する場合、上流側蒸発室12Uから当該蒸発室12Uの仕切壁11に移動すると、筒状体31の存在により、および放出穴31aからのブラインaの放出により、圧力が低下されて、フラッシュ蒸発が効率良く行われることになる。
【0036】
すなわち、ブラインaはフラッシュ蒸発により急激に膨張して、下流側の蒸気導入通路15から伝熱管13に導かれ、温度が低いブラインaにより冷却が行われて清水が得られる。勿論、ブラインaのミスト分は、デミスター16にて除去される。
【0037】
ところで、このとき、筒状体31の放出穴31aから微低温海水が上流側に且つ下側に向かって放出されてブラインaの温度が低下される。すなわち、飽和温度が低下されて開口部11aすなわちオリフィス部の上流側での蒸発が抑制されて、圧力が低下される。さらに、開口部11aの上縁部に設けられている筒状体31により縮流が防止されて、すなわち圧力損失(流動抵抗)が低下されて、上流側でのブライン液面の上昇が抑制され、したがって蒸発性能の低下が防止される。
【0038】
一方、蒸発室12内のブラインaの液面が下がってくると、やはり、制御手段33により、そのことが検出されて、微高温海水供給管42の開閉弁44が開かれて、微高温海水が筒状体31から上流側に且つ下側に向かって噴出される。
【0039】
このように、3〜4℃程度高い微高温海水が噴出されると、図4に示すように、開口部11aでの温度が上昇するため、フラッシュ蒸発が盛んになって開口部での圧力損失が増加し、したがって液面が上昇するため吹き抜けが防止される。
【0040】
上記の構成によると、仕切壁の開口部の上縁部に筒状体を配置したので、筒状体が設けられていない場合に比べて、圧力損失(流動抵抗)が減少して開口部における海水すなわちブラインの蒸発が抑制され、さらにこのブラインが開口部手前で蒸発することにより静圧が上がり液面が上昇した場合に、微低温のブラインを開口部に吹き込んで飽和圧力を低下させることにより、ブラインの蒸発を抑制するようにしたので、上流側でのブライン液面の上昇が抑制され、したがって蒸発性能の低下が防止される。
【0041】
また、蒸発室内のブラインが低下し過ぎて開口部で吹き抜けが発生している場合に、微高温のブラインまたは蒸気を開口部に吹き込みブラインの蒸発を促進させるようにしたので、開口部での圧力損失が大きくなって静圧が増大し、したがって開口部での吹き抜けを防止することができる。
【0042】
すなわち、ブラインの高さが変化した場合、開口部の高さを調節することなく、つまり、造水装置の運転を停止させることなく(運転効率を低下させることなく)、ブラインの高さを最適に維持することができる。
【0043】
ところで、上記実施例においては、ブラインの液面を上昇させるのに、微高温海水を筒状体に供給するようにしたが、その代わりに、蒸気を供給するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 加熱器
2 蒸発用容器
2a 容器本体
3 真空装置
11 仕切壁
11a 開口部
12 蒸発室
13 冷却用伝熱管
14 受け皿
15 蒸気導入用通路
16 デミスター
21 海水供給管
22 第1海水移送管
23 第2海水移送管
24 清水取出管
31 筒状体
31a 放出穴
32 液面計
33 制御手段
34 液面高さ設定部
35 判断制御部
41 微低温海水供給管
42 微高温海水供給管
43 開閉弁
44 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内に仕切壁を介して海水の蒸発室が多段に形成され且つ上記各仕切壁の下部に形成された開口部により上流側蒸発室と下流側蒸発室とが連通されて成る各蒸発室内の上部にフラッシュ蒸発された蒸気を導き冷却を行う熱交換手段が配置された多段フラッシュ式造水装置において、
上記各仕切壁の開口部の上縁部に複数の放出穴が形成された筒状体を取り付けるとともに、これら各筒状体に、上流側蒸発室内の海水の温度よりも低い低温海水を供給する低温流体供給管および上流側蒸発室内の海水の温度よりも高い高温海水を供給する高温流体供給管を接続し、
上記各蒸発室内の海水の液面を検出する液面計をそれぞれ設けるとともに、これら各液面計からの液面高さを入力して各蒸発室の下流側の仕切壁の筒状体に接続された上記各供給管に設けられた開閉弁をそれぞれ制御する制御手段を設けたことを特徴とする多段フラッシュ式造水装置。
【請求項2】
筒状体の横断面における放出穴の設置範囲は、上流側の水平線と下方の鉛直線との間の90度の範囲としたことを特徴とする請求項1に記載の多段フラッシュ式造水装置。
【請求項3】
高温海水の代わりに蒸気を用いたことを特徴とする請求項1または2に記載の多段フラッシュ式造水装置。
【請求項4】
制御手段により、液面計にて計測された液面高さが設定高さより高い場合に、上記低温流体供給管に設けられた開閉弁を開くようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の多段フラッシュ式造水装置。
【請求項5】
制御手段により、液面計にて計測された液面高さが設定高さより低い場合に、上記高温流体供給管に設けられた開閉弁を開くようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の多段フラッシュ式造水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−92863(P2011−92863A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249599(P2009−249599)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005119)日立造船株式会社 (764)
【Fターム(参考)】