説明

多段硬化組成物

不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーおよびイソシアナートを含む組成物が開示される;本組成物は、メタ(アクリル)コポリマーのような放射線硬化性化合物、および/またはポリチオールをさらに含むことができる。本組成物を用いるための方法およびそれを用いて処理された基材も開示される。本発明は、a)不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー;およびb)イソシアナートを含む組成物に関する。本発明は、さらにa)第1の成分であって、i)ポリ酸/無水物(Polyacid/anhydride)およびポリオールの反応生成物;およびii)放射線硬化性化合物を含む、第1の成分;b)イソシアナートを含む第2の成分;ならびにc)ポリチオールを含む第3の成分を含む組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーおよびイソシアナートを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車補修用の組成物の放射線硬化は、本体フィラー、プライマー、サーフェーサーおよびトップコートへの使用に関心が高まっている。放射線硬化の利点は、迅速であり周囲温度で実施できることと、環境上望ましい高固形分の放射線硬化性組成物を調合できることである。しかしながら、放射線硬化性組成物を用いた車体のコーティングにおける問題は、シャドーゾーン、例えば自動車製造工程に起因するへこみ、しわおよび他のアンダーカットのような、放射線が直接アクセスできない領域を硬化させることにある。同様に、顔料を含む(pigmented)コーティング組成物は、カーボンブラックおよび二酸化チタンのように放射を吸収する顔料を含むことがあり、その結果として樹脂状膜形成バインダーを硬化させるための放射が不足する可能性がある。最後に、200〜400ナノメートルの波長域における紫外線放射は、薄いコーティングの硬化には効果的であるが、厚いコーティングの内部領域の硬化にはとりわけ有効ではない。
【0003】
それ故に、放射に曝されたときによく硬化し、しかも完全な硬化をもたらす放射が不足するときには、代わりの硬化メカニズムによって同様に硬化する組成物をもつことが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
a)不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー;および
b)イソシアナート
を含む組成物に関する。
【0005】
本発明は、さらに
a)第1の成分であって、
i)ポリ酸/無水物(Polyacid/anhydride)およびポリオールの反応生成物;および
ii)放射線硬化性化合物
を含む、第1の成分;
b)イソシアナートを含む第2の成分;ならびに
c)ポリチオールを含む第3の成分
を含む組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、a)不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー;およびb)イソシアナートを含む組成物に関する。本組成物は、2つ以上の異なったメカニズムを通じて硬化を受けると考えられるため、本明細書では時に「多段硬化(multi−cure)コーティング」と呼ばれる。本発明のいくつかの実施形態は、バイオマスから誘導された生成物を活用する。本明細書において用語「バイオマスから誘導された」は、石油ベースの供給源からではなく、生きているかまたは最近まで生きていた生物、例えば植物(木を含む)または動物から誘導されたと理解するものとする。「組成物」は、本明細書では、コーティング、接着剤、パテなどのような任意の組成物を指す。
【0007】
本発明に従って任意の適切な不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーを用いることができる。適切な不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーは、例えば、ポリオールおよび/またはポリカルボン酸/無水物が不飽和を含む、当該ポリオールおよびポリカルボン酸/無水物を反応させることによって調製することができる。この反応生成物は、本明細書では、時に「ポリオール/ポリカルボン酸反応生成物」および同様の用語で呼ばれる。
【0008】
ポリオール/ポリカルボン酸反応生成物を調製するために、任意の適切なポリオールを用いることができる。ポリオールは、2つ以上のヒドロキシ基を有する化合物として当業者に理解されるであろう。適切なポリオールは、以下に限定されるものではないが、上に挙げたポリオールに加えて、1つより多いヒドロキシル基を含んだ低分子、例えば、ネオペンチルグリコール、グリセロール、ペンタエリスリトール(pentraerythritol)、イソソルビドおよび/またはプロパンジオール、あるいはポリエステルポリオールまたはアクリルポリオールのようなポリマーポリオールを含むことができる。適切なポリオールは広く市販されている。特に適切なポリオールは、500から100,000、例えば500から10,000のMnをもつ。いくつかの実施形態において、ポリオールは20から400、例えば40から300のヒドロキシル価をもつ;他の実施形態において、ヒドロキシル価は1200から2100、例えば1400から1900に及ぶことができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、ポリオールの少なくともいくらかは、バイオマスから誘導される。これらのポリオールは、ひまし油、落花生油、大豆油または菜種油のような天然油から誘導することができる。バイオマス誘導ポリオールに存在するヒドロキシル基は、自然発生したものでもよく、あるいは例えば、油に存在する炭素−炭素二重結合の修飾によって導入されたものでもよい。天然油から誘導されるポリオールは、米国特許出願公開第2006/0041156 A1号、米国特許第7,084,230号、国際公開第2004/096882 A1号、米国特許第6,686,435号、米国特許第6,107,433号、米国特許第6,573,354号および米国特許第6,433,121号に記載されており、それらのすべてが全体に本明細書に組み込まれる。ヒドロキシル基を導入するために炭素−炭素二重結合を修飾する方法は、オゾンによる処理、空気酸化、過酸化物との反応、または(その全体が本明細書に組み込まれる“Polyols and Polyurethanes from Hydroformylation of Soybean Oil”,Journal of Polymers and the Environment,10巻,1−2番,49−52頁、April,2002”に記載されるような)ヒドロホルミル化を含む。特に適切なバイオマス由来ポリオールは、大豆ポリオールである。大豆ポリオールは、Cargill Inc.,Urethane Soy Systems Co.およびBioBased Technologiesから市販されている。いくつかの実施形態において、反応生成物におけるエチレン性不飽和は、ポリオールに由来することができる、すなわち、ポリオールは、ポリオール/ポリカルボン酸反応生成物の形成時に反応しないエチレン性不飽和をもつ。いくつかの実施形態において、ポリオールの組み合わせを用いることができる。
【0010】
本発明に従って任意の適切なポリカルボン酸/無水物を用いることができる。ポリカルボン酸は2つ以上の酸官能基、またはその残基、例えば無水物基などをもつ酸であることが、当業者に理解されるであろう。適切なポリカルボン酸/無水物は、マレイン酸/無水物、フマル酸/無水物、およびイタコン酸/無水物を含む。いくつかの実施形態において、ポリカルボン酸/無水物は、バイオマスから誘導されたポリカルボン酸/無水物である。適切な例は、Cargill、Aldrich、Acrosなどから市販されているイタコン酸/無水物を含む。かくして、反応生成物におけるエチレン性不飽和は、ポリカルボン酸/無水物に由来することができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、ポリオール/ポリカルボン酸反応生成物は、ヒドロキシルカルボン酸とさらに反応する。本発明に従って、任意の適切なヒドロキシルカルボン酸を用いることができる。ヒドロキシルカルボン酸は1つ以上の酸官能基および1つ以上のヒドロキシル基をもち、時にヒドロキシ酸と呼ばれる酸であることが当業者に理解されるであろう。適切な例は、Arizona Chemical Co.から市販されている12−ヒドロキシステアリン酸を含む。
【0012】
本発明の組成物は、イソシアナートをさらに含む。適切なポリイソシアナート類は、当分野でよく知られており、広く市販されている。例えば、適切なポリイソシアナート類は、該当部分が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,316,119号のカラム6、19〜36行に開示される。市販されているポリイソシアナート類の例には、Bayer Corporation販売のDESMODUR N3390、およびRhodia Inc.販売のTOLONATE HDT90が含まれる。適切なポリイソシアナート類は、多官能性イソシアナート類を含む。多官能性ポリイソシアナート類の例は、ヘキサメチレンジイソシアナートおよびイソホロンジイソシアナートのような脂肪族ジイソシアナート類、ならびにトルエンジイソシアナートおよび4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナートのような芳香族ジイソシアナート類を含む。ポリイソシアナート類は、ブロック化していてもいなくてもよい。他の適切なポリイソシアナート類の例は、イソシアヌラート三量体類、アロファナート類、およびジイソシアナートのウレトジオン類、ならびに参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年3月27日出願の米国特許出願第12/056,304号に開示されるようなポリカルボジイミド類を含む。適切なポリイソシアナート類は当分野でよく知られており、広く市販されている。
【0013】
当業者には当然のことながら、不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーは、コーティングを「多段硬化」させる。コーティングは、オリゴマーにおける不飽和を通じて放射線硬化を受け、ヒドロキシ基がイソシアナートと反応するときでも硬化を受けることになる。
【0014】
本組成物は、本組成物の硬化および/または膜形成に寄与する1つ以上の付加的な成分をさらに含むことができる。例えば、本組成物は、放射線硬化性化合物も含むことができる。本明細書では、「放射線硬化性化合物」は、放射に曝されたときにそれ自体および/または別の放射線硬化性化合物との架橋を受けることになる任意の化合物を指すと理解するものとする。典型的に、かかる化合物は、放射線硬化を生じる「放射線硬化性部分」を含む。かかる部分は、例えば、C=CH官能性を含むことができる。これらの化合物は、ヒドロキシ、チオール、第1級アミン類および/または第2級アミン類のような第2の官能性をさらに含んでもよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、放射線硬化性化合物は、メタ(アクリル)ポリマー((meth)acrylic polymer)またはメタ(アクリル)コポリマー((meth)acrylic copolymer)を含む。本明細書では、「メタ(アクリル)」および同様の用語は、アクリルおよび対応するメタクリルの両方を指す。適切なメタ(アクリル)ポリマーは、メタ(アクリル)官能性メタ(アクリル)コポリマー類、エポキシ樹脂メタ(アクリラート)類、ポリエステル(メタ)アクリラート類、ポリエーテル(メタ)アクリラート類、ポリウレタン(メタ)アクリラート類、アミノ(メタ)アクリラート類、シリコーン(メタ)アクリラート類、およびメラミン(メタ)アクリラート類を含む。これらの化合物の数平均分子量(「Mn」)は、200から10,000、例えば1200から3000に及ぶことができる。これらの化合物は、放射に曝されると化合物が重合しうる任意の数のオレフィン二重結合を含むことができる。いくつかの実施形態において、本化合物は、500から2000のオレフィン当重量を有する。(メタ)アクリルポリマーは、(環状)脂肪族および/または芳香族であり得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、(メタ)アクリルコポリマーは、ウレタン結合を含み、いくつかの他の実施形態において、ウレタン結合、末端アクリラート基、およびヒドロキシ基を含むことができる。ポリウレタン(メタ)アクリラート類の具体的な例は、イソシアヌラートおよびそのビウレット誘導体を含む、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナートおよび/またはイソホロンジイソシアナートなどのポリイソシアナートと、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラート、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラートおよび/またはヒドロキシプロピル(メタ)アクリラートとの反応生成物である。ポリイソシアナートは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリラートと1:1の当量比で反応するか、あるいは1より大きいNCO/OH当量比で反応してNCOを含んだ反応生成物を形成することができ、その後、ジオールまたはトリオール、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/またはトリメチロールプロパンのようなポリオールによって鎖を延長することができる。ポリエステル(メタ)アクリラート類の例は、(メタ)アクリル酸または無水物と、アルキル化されたポリオール類、例えば、プロポキシル化されたジオール類およびトリオール類を含むジオール類、トリオール類およびテトラオール類のようなポリオールとの反応生成物である。ポリオール類の例は、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、イソソルビド、ペンタエリトリトールおよびプロポキシル化された1,6−ヘキサンジオールを含む。適切なポリエステル(メタ)アクリラート類の具体的な例は、グリセロールトリ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリラートおよびペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリラートである。
【0017】
当然のことながら、不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーに加えて、いくつかの実施形態に用いられる放射線硬化性化合物が、この化合物の放射線硬化性部分を通じて、本組成物の硬化および/または膜形成に役立つことになろう。イソシアナートと反応する官能性が放射線硬化性化合物にも存在するいくつかの実施形態では、かかる官能性がさらに別の硬化メカニズムにおいてイソシアナートと反応することになる。
【0018】
加えて、本組成物は、ポリチオールをさらに含むことができる。任意の適切なポリチオールを本発明のコーティングに用いることができる。「ポリチオール」または「ポリチオール官能性材料」は、2つ以上のチオール官能基(SH)を含んだ多官能性材料を指す。ポリチオールは、エーテル結合(−O−)、ポリスルフィド結合(−S−)(ここでは2から4のように少なくとも2である)を含むスルフィド結合(−S−)、およびかかる結合の組み合わせをさらに含むことができる。本発明に用いるためのポリチオール類は、以下に限定されるものではないが、化学式:
−(SH)
の材料を含む。ここでRは多価の有機部分であり、nは2から6のような少なくとも1の整数である。
【0019】
適切なポリチオール類の非限定の例は、以下に限定されるものではないが、化学式HS−R−COOHのチオール含有酸のエステルを含む。ここでRは構造R−(OH)のポリヒドロキシ化合物をもつ有機部分であり、Rは有機部分であり、nは少なくとも2、典型的に2〜6の整数である。これらの成分は、一般的な構造:
【0020】
【化1】

【0021】
を有するポリチオール類を与えるために、適切な条件下で反応することができる。ここでR、Rおよびnは先に定義された通りである。
【0022】
チオール含有酸の例は、グリコール類、トリオール類、テトラオール類、ペンタオール類、ヘキサオール類およびその混合物のようなポリヒドロキシ化合物を含むチオグリコール酸(HS−CHCOOH)、α−メルカプトプロピオン酸(HS−CH(CH)−COOH)およびβ−メルカプトプロピオン酸(HS−CHCHCOCH)である。適切なポリチオールの他の非限定の例は、以下に限定されるものではないが、エチレングリコールビス(チオグリコラート)、エチレングリコールビス(β−メルカプトプロピオナート)、トリメチロールプロパントリス(チオグリコラート)、トリメチロールプロパントリス(β−メルカプトプロピオナート)、ペンタエリトリトールテトラキス(チオグリコラート)およびペンタエリトリトールテトラキス(β−メルカプトプロピオナート)、ならびにそれらの混合物を含む。
【0023】
当然のことながら、用いられたときに、ポリチオールは本組成物の硬化および/または膜形成にも寄与することができる。チオール基および不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーの不飽和、ならびに、用いられるとすれば、放射線硬化性化合物の放射線硬化性部分は、マイケル付加反応を受けることができる。マイケル付加反応は、マイケルアクセプターへのチオールの付加として当業者に理解されるであろう。このメカニズムに陰イオンまたはラジカル中間体が関与することができる。「シャドー硬化」の課題に対処するために、マイケル付加反応を用いた硬化が特に有益である。シャドー硬化は、十分な放射線硬化が生じない基材上、例えばコーティングが完全な硬化をもたらす十分な放射エネルギーに接することができない、曲がったもしくは凹んだ基材上の領域で生じる。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態に従って、本組成物は、多成分の組成物である。多成分の組成物とは、様々な成分が塗布の直前まで別々に維持されるコーティングと理解するものとする。ここで、例えば、本組成物は2成分(「2K」)または3成分(「3K」)のコーティングとすることができ、第1の成分は、不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー、および、もし用いられるとすれば、任意の他の放射線硬化性化合物を含み、第2の成分は、イソシアナートを含む;第3の成分は、いくつかの実施形態において、ポリチオールを含む。これらの成分のそれぞれが、コーティング、接着剤およびパテのような本明細書に開示される組成物を調合する当分野で知られる、1つ以上のさらなる添加物、例えば、着色剤、可塑剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、UV光吸収剤および安定剤、界面活性剤、流れ調整剤、チキソトロピー剤、充填剤、有機共溶媒、耐摩耗性粒子、反応性希釈剤、触媒、粉砕ビヒクル、フリーラジカル阻害剤、および他の通常の助剤をさらに含むことができる。
【0025】
「耐摩耗性粒子」は、組成物中に用いられたとき、この粒子のない同じ組成物と比較して、ある程度の耐摩耗性をコーティングに付与するであろう粒子である。適切な耐摩耗性粒子は、有機および/または無機粒子を含む。適切な有機粒子の例は、以下に限定されるものではないが、ダイヤモンド粉末粒子のようなダイヤモンド粒子、およびカーバイド材料から形成された粒子を含む;カーバイド粒子の例は、以下に限定されるものではないが、炭化チタン、炭化ケイ素および炭化ホウ素を含む。適切な無機粒子の例は、以下に限定されるものではないが、シリカ;アルミナ;アルミナシリケート;シリカアルミナ;アルカリアルミノケイ酸塩;ホウケイ酸ガラス;窒化ホウ素および窒化ケイ素を含む窒化物;二酸化チタンおよび酸化亜鉛を含む酸化物;石英;霞石閃長岩;酸化ジルコニウム形態のようなジルコン;バッデリュアイト(buddeluyite);およびユージアライトを含む。様々な粒子および/または様々なサイズの粒子の混合物を用いることができるように、任意のサイズの粒子を用いることもできる。例えば、粒子は、0.1から50、0.1から20、1から12、1から10、もしくは3から6マイクロメートル、またはこれらの範囲内いずれかの任意の組み合わせの平均粒子サイズをもつ微粒子とすることができる。粒子は、0.1マイクロメートル未満、例えば、0.8から500、10から100、もしくは100から500ナノメートル、またはこれらの範囲内の任意の組み合わせの平均粒子サイズをもつナノ粒子とすることができる。
【0026】
本明細書では、用語「着色剤」は、色および/または他の不透明度および/または他の視覚効果を本組成物に付与する任意の物質を意味する。着色剤は、別個の粒子、分散系、溶液および/またはフレークのような任意の適切な形態で本組成物に加えることができる。単一の着色剤、または2つ以上の着色剤の混合物を本発明のコーティングに用いることもできる。いくつかの実施形態において、本組成物は、コロイド状シリカのような1つ以上の透明顔料、およびコーティング組成物に可溶な染料のような着色剤を含む。これらの成分は、もし用いられるとすれば、トップコート組成物の重量に基づいて20重量パーセントまで、例えば10重量パーセントまでの量で本組成物中に存在することができる。本組成物がクリアコート、すなわち実質的に透明なコーティングである場合、用いられる着色剤は、コーティングに著しい不透明度は付与しない。当然のことながら、いくつかの着色剤は、クリアコートに色および/または他の視覚効果を付与し、クリアコートは依然として実質的に透明であろう。
【0027】
上述のように、本発明の組成物は、複数の硬化メカニズム;すなわち、2つ以上の異なった手段による「多段硬化」コーティング硬化を受けると思われる。第1の硬化メカニズムでは、イソシアナートが活性水素含有化合物と反応する。これは、不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー上のヒドロキシ、もし用いられるとすれば、放射線硬化性化合物上の、もしあれば、活性水素、および、もし用いられるとすれば、ポリチオール化合物上の活性水素を含むことができる。従って、本発明のいくつかの実施形態において、本組成物の1つ以上の成分、例えば第1の成分は、イソシアナートと活性水素含有化合物との反応のための触媒を含むことができる。適切な触媒は、ジブチルスズジラウラートのようなスズ(IV)化合物、DABCOのような三級アミン、りん酸ジブチルのトリエチルアミン塩のようなアミン塩、りん酸フェニル酸および酢酸のような酸、ならびにジルコニウムアセチルアセトナートのような金属キレートを含み、これらのすべてがイソシアナートと活性水素との反応を触媒するための技術に関わる当業者に知られている。
【0028】
本発明の組成物に生じる別の硬化メカニズムは、不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー上のオレフィン二重結合の、それ自体との反応、および、もし放射線硬化性化合物が用いられるとすれば、その放射線硬化性部分との反応である。従って、いくつかの実施形態において、本組成物の第1の成分のような1つ以上の成分がフリーラジカル開始剤をさらに含むことができる。適切なフリーラジカル開始剤は、ともにCiba Speciality Chemicalsの製品であるIRGACURE 184およびIRGACURE 819を含む。
【0029】
生じる可能性のある別の硬化メカニズムは、上記のマイケル付加反応である。この反応では、チオール官能基が、マイケルアクセプター、例えば、不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー上、および、もし用いられるとすれば、放射線硬化性化合物上のオレフィン二重結合と反応する。従って、本組成物の成分の1つ以上がマイケル付加反応のための触媒をさらに含むことができる。適切な触媒は、1級、2級または3級アミン、ナトリウムエトキシドのような強塩基、酢酸カリウムのようなより弱い塩基、上述のUV光開始剤を含むフリーラジカル開始剤、およびp−トルエンスルホン酸のような酸を含む。
【0030】
本組成物の成分の1つ以上が溶媒および/または反応性希釈剤をさらに含むことができる。適切な溶媒は、水、一価または多価アルコール類、例えば、エチレングリコールおよびブタノール、ならびにグリコールエーテル類またはエステル類、例えば、CからCアルキルを含んだジエチレングリコールジアルキルエーテル類、酢酸ブチル、アセトン、メチルプロピレングリコールアセタート、アミルプロピオナート、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、およびメチルアミルケトンを含む。適切な反応性希釈剤は、化学線で架橋することができる反応性希釈剤、例えば、(メタ)アクリル酸類およびそのエステル類、マレイン酸およびモノエステルを含むそのエステル類、酢酸ビニル、ビニルエーテル類、ビニル尿素類などを含む。挙げることができるさらなる例は、アルキレングリコールジ(メタ)アクリラート、ポリエテレングリコールジ(メタ)アクリラート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリラート、ビニル(メタ)アクリラート、アリル(メタ)−アクリラート、グリセロールトリ(メタ)アクリラート、トリメチロール−プロパントリ(メタ)アクリラート、トリメチロールプロパンジ(メタ)−アクリラート、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ペンタエリトリトール、トリ(メタ)アクリラート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリラート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリラート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリラート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリラート、エトキシエトキシエチルアクリラート、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチルアクリラート、ジメチルアミノエチルアクリラート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリラート、ブトキシエチルアクリラート、イソボルニル(メタ)アクリラート、ジメチルアクリルアミド、ジシクロペンチルアクリラート、400から4000、例えば600から2500の分子量をもつ欧州特許公開第0250631 A1号に記載される長い直鎖状のジアクリラート類を含む。例えば、2つのアクリラート基は、ポリオキシブチレン構造によって分離することができる。1,12−ドデシルプロパンジオールと、アクリル酸2モルおよび二量体脂肪アルコール1モルの一般に36個の炭素原子をもつ反応生成物とを用いることも可能である。上記のモノマーの混合物もやはり適している。さらに、化学線による硬化が可能な適切な反応性希釈剤のさらなる例は、参照によりその全体が組み込まれるRompp Lexikon Lacke und Druckfarben,Georg Thieme Verlag,Stuttgart,New York,1998,491頁の“Reactive diluents”に関する項目に記載されている。溶媒および/または希釈剤は、本組成物の重量に基づいて本組成物の50重量%までを含むことができる。
【0031】
本発明の組成物は、例えば、0から50、例えば5から35または15から25重量%の不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー、および10から50、例えば10から40または25から35重量%のイソシアナートを含むことができる。用いられるときに、本組成物は、すべて本組成物の全固体重量に基づく重量パーセントで、10から70、例えば15から55または35から45の放射線硬化性化合物、および/または0から10、例えば2から8または4から6重量%のポリチオールを含む。付加的な成分は、もし用いられるとすれば、本組成物の全固体重量に基づく重量パーセントで、15重量%まで、例えば10重量%までまたは7重量%までを含むことができる。
【0032】
本組成物は、当分野で知られる任意の基材、例えば、金属基材、あるいはポリマー、プラスチック、ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリロブタジエンスチレン(「PC/ABS」)、ポリアミド、木、ベニヤ、木質複合材、パーティクルボード、中密度ファイバーボード、セメント、石、セルロースのような生分解性プラスチック、ポリ(乳酸)、ポリ(3−ヒドロキシブチラート)およびデンプンベースのプラスチックなどを含む非金属基材に塗布することができる。基材は、色または他の視覚効果を付与するためにある様式ですでに処理されたものであってもよい。例えば、着色された木製基材は、1つ以上の他のコーティング層がすでに塗布された基材のように、本発明に基づいて引き続きコーティングすることができる。
【0033】
本明細書では、基材に関する用語「ポリアミド」は、化学式:
【0034】
【化2】

【0035】
の繰り返し単位を含むポリマーから構築される基材を意味する。ここでRは水素またはアルキル基である。ポリアミドは、鎖中の脂肪族、脂環式、または芳香族基に基づく大きいクラスのポリアミド類のいずれであってもよい。それらは、二塩基性アミンと二酸および/または二酸クロリドとの縮合の生成物によって、ω−アミノウンデカン酸のようなアミノ酸の自己縮合の生成物によって、あるいはカプロラクタム、ラウリルラクタム、またはピロリドンのような環状ラクタムの開環反応の生成物によって正式に表すことができる。それらは、1つ以上のアルキレン、アリーレン、またはアラルキレンの繰り返し単位を含むことができる。ポリアミドは、結晶質でも非晶質でもよい。いくつかの実施形態において、ポリアミド基材は、4から12個の炭素原子をもつアルキレンの繰り返し単位からなる結晶質ポリアミド、例えば、ポリ(カプロラクタム)(ナイロン6)、ポリ(ラウリルラクタム)(ナイロン12)、ポリ(ω−アミノウンデカン酸)(ナイロン11)、ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド)(ナイロン6.6)、ポリ(ヘキサメチレンセバコアミド)(ナイロン6.10)、および/またはメタ−キシリレンジアミンおよびアジピン酸から作られるようなアルキレン/アリーレンコポリアミド(ナイロンMXD6)を含む。用語「ナイロン」は、これらの生成物のすべて、ならびに当分野でナイロンと呼ばれる任意の他の化合物を含む。イソホロンジアミンまたはトリメチルシクロヘキサンジアミンから得られるような非晶質ポリアミド類も利用することができる。ポリアミド類のブレンドも利用することができる。
【0036】
本明細書では、用語「ポリアミド」は、基材に関して用いられるとき、強化ポリアミド基材を含む;強化ポリアミド基材は、剛性、強度および/または熱耐性が増加したポリアミドを製造するために、例えば、ガラス繊維もしくは炭素繊維のような繊維材料、または炭酸カルシウムのような無機充填剤の含有を通じて、かかる補強材料を含まない同様のポリアミドと比べて強化されたポリアミドから構築されたポリアミド基材である。本発明のいくつかの実施形態に従って、基材材料として用いるのに適した強化ポリアミドは市販されており、例えば、IXEFの名称でSolvay Advanced Polymersから市販されている材料を含み、さらに例えば、IXEF 1000、1500、1600、2000、2500、3000および5000シリーズの製品を含み、GRILAMID、GRIVORY、GRILONおよびGRILFLEXの商標名でEMS−Chemie Inc.,Sumter,South Carolina;ならびにTHERMXおよびMINLONの商標名で販売される材料などDuPont Engineered Polymers;から市販されている材料を含む。
【0037】
本発明による組成物は、組成物がコーティングまたは比較的非粘着性の接着剤であれば特に関係のあるスプレー、ブラシ、ローラーペイントまたはディップ法、あるいは組成物がパテまたは粘着性の接着剤であれば特に関係のあるスプレーガン、スクィージーまたは他の適切なアプリケータを含む従来法によって塗布することができる。本組成がコーティングであるときに特に適する塗布手段は、2つ以上の成分がスプレーノズルによって噴霧される外部混合装置である。非限定の実施形態では、GUSMER Model GX−7スプレーガンを取り付けたGUSMER VR−H−3000プロポーショナーの名称で市販される市販の混合デバイスを用いることができる。このデバイスでは、AおよびB側成分からなる加圧流が2つの別チャンバーから輸送される。2つの成分は高速で衝突もしくはぶつかり合って混合され、コーティング組成物が形成される。この組成物をコーティングありまたはなしの基材にスプレーガンを用いて塗布することができる。他の適切なデバイスは、例えば、DeVilbissからDEVILBISS HPLVスプレーガンが市販されている。
【0038】
本発明の組成物の塗布後に、高エネルギーまたは化学線への曝露によって硬化を生じさせることができる。高エネルギー衝撃の種類は、ストロンチウム90のようなアイソトープから得られるエネルギー電子、または粒子加速器によって生成される強力電子ビームを含む。電子線硬化は、非常に迅速かつ経済的な速度が望まれる用途に最も役立つことができる。いくつかのシステムでは、約1秒未満の硬化時間を用いることができ、全放射線量はおよそ0.25メガラド未満である。
【0039】
本発明によれば、有用な化学線の種類は紫外光である;同様に適するのは、太陽から、あるいはRS型太陽灯、カーボンアーク灯、キセノンアーク灯、水銀ランプ、タングステンハロゲンランプなどのような人工光源からの放射に通常見出される他の形態の化学線である。紫外線は、コーティングが光硬化加速剤を含んでいる場合、最も効率的に用いることができる。1秒から15分の硬化時間が典型的である。
【0040】
硬化されたコーティングもしくは接着剤の乾燥膜厚、あるいはパテもしくは接着剤の乾燥厚さは、任意の所望の厚さとすることができ、例えば0.5から8または15から2.0ミルのように、0.1から10ミルに及ぶことができる。当然のことながら、いくつかの接着剤は粘性および所望の乾燥厚さがコーティングに近くてもよく、一方で他の接着剤はこれらの特性がパテに近くてもよい。当業者は、本発明の組成物を塗布する最も適切な手段ならびに最も適切な乾燥厚さをユーザのニーズおよび/または本組成物の個々の調合などに基づいて決定することができる。
【0041】
ポリチオールを含むこれらの実施形態では、放射によって生じるフリーラジカル付加反応とマイケル付加反応との両方が、硬化ステップの間に生じていると思われる。その結果として、もしフリーラジカル付加反応による硬化が本組成物を完全に硬化させるのに不十分であれば、マイケル付加反応が硬化を完了させるか、あるいは実質的に完了させることになる。これが単数または複数のイソシアナート/活性水素経路を通じた硬化に加わる。しかしながら、本発明者らは任意のメカニズムによって結合(bond)されることを望まない。
【0042】
上述のように、本組成物は、水性組成物であっても溶媒型組成物であってもよい。いくつかの実施形態において、本組成物は、実質的に無溶媒とすることができる。「無溶媒」は、組成物の全重量に基づく重量%で組成物の10重量%未満、例えば5重量%未満もしくは2%未満が溶媒であることを意味する。本組成物は、100%固体、≧99%固体、≧97%固体、または≧95%固体のような、高固体あるいは実質的な無溶媒組成物として用いるのに特に適する可能性がある。いくつかの実施形態において、本組成物の理論的な揮発有機物含有量(VOC)は、450g/l未満、例えば300g/l未満または250g/l未満である。
【0043】
本発明による組成物は、例えば、プライマー、ベースコートまたはクリアコートとして用いることができ、接着剤またはパテとしても用いることができる。本組成物は、容易にスプレー可能であり室温で塗布できるので、自動車修理用のコーティングとして用いるのに特に有利である。いくつかの実施形態において、本発明のコーティングは、クリアコートであり顔料を有するベースコートとともに用いられる。
【0044】
従って、本発明は、本明細書に記載される組成物のいずれかを基材の少なくとも一部に塗布することを含む、基材を処理するための方法にさらに関する。上記の基材のいずれかを用いることができる。塗布および硬化は、上記の手段のいずれかによるものとすることができる。
【0045】
本明細書では、別に明記されない場合、値、範囲、量またはパーセンテージを表すようなすべての数字は、たとえ明示的に示されなくても、あたかも用語「約」から始まるように読み取ることができる。同様に、本明細書に列挙される数値範囲は、そこに包含されるすべての部分的な範囲を含むことが意図される。単数形は、複数形を包含し、逆も同様である。例えば、本明細書では、「ひとつの」放射線硬化性化合物、「ひとつの」イソシアナート、「ひとつの」ポリチオール、および「ひとつの」不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーへの言及がなされるが、これらのそれぞれの1つ以上と任意の他の成分とを用いることができる。本明細書では、用語「ポリマー」は、オリゴマーとホモポリマーおよびコポリマーの両方とを指し、接頭辞「ポリ」は2つ以上を指す。含むおよび同様の用語は、含むが限定されないことを意味する。
【実施例】
【0046】
次の実施例は、本発明を説明することが意図されており、決して本発明を限定すると解釈されるべきものではない。
【0047】
(実施例1)
ウレタンアクリラート#1
ウレタンアクリラートを、イソホロンジイソシアナート、Bayer Material ScienceからのDESMODUR Z 4470(757.8グラム)、フリーラジカル阻害剤、IONOL(1.070グラム)、ジブチルスズジラウラート(2.14グラム)、およびトリフェニルホスファイト(3.92グラム)の室温混合物を窒素下で攪拌することによって調製した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリラート(232.7グラム)を、75℃の反応温度を維持しながら45分にわたって滴下により加えた。混合物を次に80℃まで60分間加熱した。混合物を次に60℃まで冷却した。次に、1,4−ブタンジオール(10.0グラム)を滴下により加えて、その後反応混合物を60℃でさらに30分間維持した。IRは、イソシアナート官能性が残っていないことを示した。最後に、酢酸ブチルを加えて(150.1グラム)、混合物を短時間攪拌した。
【0048】
ウレタンアクリラート#2
ウレタンアクリラートを、イソホロンジイソシアナート、Bayer Material ScienceからのDESMODUR Z 4470(893.0グラム)、フリーラジカル阻害剤、IONOL(1.35グラム)、ジブチルスズジラウラート(0.85グラム)、およびトリフェニルホスファイト(2.31グラム)の室温混合物を窒素下で攪拌することによって調製した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリラート(152.3グラム)を、反応温度を75℃に維持しながら20分にわたって滴下により加えた。次に、1,4−ブタンジオール(6.8グラム)を一度に加えて、反応温度を81℃まで上昇させた。その後、反応混合物を75℃でさらに60分間維持した。最後に、(4Aモレキュラーシーブ上で1日間乾燥した)酢酸ブチルを加えて(109.6グラム)、混合物を短時間攪拌した。
【0049】
ウレタンアクリラート#3
ウレタンアクリラートを、1,6−ヘキサメチレンジイソシアナート、Bayer Material ScienceからのDESMODUR N 3600(515.3グラム)、フリーラジカル阻害剤(ヒドロキノンモノメチルエーテル(0.28グラム))、ジブチルスズジラウラート(0.25グラム)、および酢酸ブチル(140.8グラム)の室温混合物を窒素下で攪拌することによって調製した。次に、4−ヒドロキシブチルアクリラート(284.2グラム)を、70℃の反応温度を維持しながら60分にわたって滴下により加えた。酢酸ブチルを加えて(59.2グラム)、次に混合物を60〜65℃で2時間維持した。
【0050】
ウレタンアクリラート#4
n−アミルプロピオナート(178.25グラム)およびトリフェニルホスファイト(1.46グラム)の混合物を、窒素下で加熱還流した(157〜158℃)。次に、2−エチルヘキシルアクリラート(219.04グラム)、ヒドロキシエチルメタクリラート(336.98グラム)、イソボルニルメタクリラート(98.57グラム)、アクリル酸(12.64グラム)、スチレン(175.23グラム)、tert−ドデシルメルカプタン(4.19グラム)、n−アミルプロピオナート(49.63グラム)およびLUPEROX DTA(Arkema Inc.から入手可能なジ−t−アミルペルオキシド(29.38グラム))の混合物を、反応混合物を還流温度(169〜175℃)に維持しながら4時間にわたって滴下により加えた。n−アミルプロピオナートの追加11.38グラムを加え、LUPEROX DTA(4.12グラム)およびn−アミルプロピオナート(5.37グラム)の混合物を、反応混合物を175℃に維持しながら30分にわたって加えた。n−アミルプロピオナートの追加11.38グラムを加えて、反応をさらに1時間還流した(173℃)。その後、生成物を窒素雰囲気下で冷却し、解析的分析に提出した。
【0051】
GPC[THF中、ポリスチレン標準](Mw 4692,Mn 1316,Mz 13367)
固体% 75.54%
OH価 127.1
酸価 6.84
上記のアクリル樹脂(710.1グラム)を窒素下において65℃で加熱した。次に、ウレタンアクリラート#3(481.4グラム)を、60〜65℃の温度を維持しながら1時間にわたって滴下により加えた。その後、酢酸ブチルを加えて(139.5グラム)、混合物を65℃でさらに2時間攪拌した。
【0052】
ウレタンアクリラート#5
n−アミルプロピオナート(178.25グラム)およびトリフェニルホスファイト(1.46グラム)の混合物を、窒素下で加熱還流した(157〜158℃)。次に、2−エチルヘキシルアクリラート(176.92グラム)、ヒドロキシエチルメタクリラート(336.98グラム)、イソボルニルメタクリラート(98.57グラム)、アクリル酸(12.64グラム)、スチレン(217.35グラム)、tert‐ドデシルメルカプタン(4.19グラム)、n−アミルプロピオナート(49.63グラム)およびLUPEROX DTA(29.38グラム)の混合物を、反応混合物を還流温度(169〜175℃)に維持しながら、4時間にわたって滴下により加えた。n−アミルプロピオナートの追加11.38グラムを加えて、LUPEROX DTA(4.12グラム)およびn−アミルプロピオナート(5.37グラム)の混合物を、反応混合物を175℃に維持しながら30分にわたって加えた。n−アミルプロピオナートの追加11.38グラムを加えて、反応をさらに1時間還流した(173℃)。その後、生成物を窒素雰囲気下で冷却して、解析的分析に提出した。
【0053】
GPC[THF中、ポリスチレン標準](Mw 4471,Mn 1457,Mz 10017)
固体% 77.85%
OH価 128.7
酸価 7.54
結果として生じたアクリル樹脂(694.4グラム)を窒素下において65℃に加熱した。次に、ウレタンアクリラート#3(470.8グラム)を、60〜65℃の温度を維持しながら1時間にわたって滴下により加えた。次に、酢酸ブチルを加えて(136.4グラム)、混合物を65℃でさらに2時間攪拌した。
【0054】
(実施例2)
イタコン酸系樹脂#1
1,3−プロパンジオール(1014.53g)、ヒドロキノン(0.82g)、p−メトキシフェノール(2.00g)、ブチルスタンノン酸(butylstannoic acid)(4.11g)、イタコン酸(1040.80g)およびキシレン(102.8g)の混合物を、共沸蒸留用ディーンスターク(Dean−Start)トラップ付きの3Lフラスコ中において窒素下で撹拌した。反応が次第に加熱されて、内部温度が185℃に達するまでディーンスタークトラップから水を収集した。この時点で酸価は5.75であった。生成物を容器に注ぎ、分析した。
【0055】
GPC[THF中、ポリスチレン標準](Mw 1145,Mn 584,Mz 2002)
OH価 258.2
イタコン酸系樹脂#2
1,3−プロパンジオール(664.24g)、グリセロール(80.90g)、イオノール(ionol)(0.82g)、ブチルスタンノン酸(3.16g)、イタコン酸(750.00g)およびキシレン(79.00g)の混合物を用いて、イタコン酸系樹脂#1の作製に用いた共沸蒸留法に従った。蒸留は、内部温度が186℃に達するまで行われた。酸価は5.30であった
GPC[THF中、ポリスチレン標準](Mw 998,Mn 631,Mz 1619)
OH価 350.3
(実施例3)
コーティング1〜18を、次に示される成分を用いて作製した:
【0056】
【表1−1】

【0057】
【表1−2】

【0058】
添加物パッケージ1
2.3g CIBA SPECIALTY CHEMICALSからのTINUVIN 384−2
1.1g SANKYO COからのSANOL LS 292
0.5g BYK ChemieからのBYK 300
5g Lamberti USAからのESACURE ONE
1g CIBA ADDITIVESからのIRGACURE 184
4.5g DOW CHEMICAL COからのアミルプロピオナート
20g EASTMAN CHEMICALからのMIBK
添加物パッケージ1
2.3g CIBA SPECIALTY CHEMICALSからのTINUVIN 384−2
1.1g SANKYO COからのSANOL LS 292
0.5g BYK ChemieからのBYK 300
5g Lamberti USAからのESACURE ONE
1g CIBA ADDITIVESからのIRGACURE 184
4.5g DOW CHEMICAL COからのアミルプロピオナート
20g EASTMAN CHEMICALからのMIBK

SR355 Sartomerからのジ−トリメチロールプロパンテトラアクリラート
4Tチオール Bruno Bock Chemischeからのペンタエリトリトールテトラ(3−メルカプトプロピオナート)((3−mercptopropionate))
3Tチオール Bruno Bock Chemischeからのトリメチロールトリ(3−メルカプトプロピオナート)
DBDTL Air Productsからのジブチルスズジラウラート T−12
DesN 3600 Bayer Material ScienceからのDesmodurN 3600
Z4470 Bayer Material ScienceからのDesmodurZ 4470
手順:クリアコートを塗布前に一緒にブレンドして、PPG ENVIROBASEベースコートが予めコーティングされたACTからの基材パネルAPR5174上にDeVilbiss HPLVスプレーガンを用いて塗布された。
【0059】
クリアコートを施したテストパネルを400ワット H&S AutoShot UVA400を用いて5分フラッシュし、5分間UV硬化した。
【0060】
BYK Gardner micro−TRI−gloss光沢計によって、光沢を20度で測定した。
BYK Gardner pendulum Hardness装置によってコーニックを測定した。
【0061】
【表2】

【0062】
上表に示すように、本発明のコーティングは、比較的高い20°光沢をもつ。ケーニッヒ硬度数が高いほど、コーティングの全厚硬化はそれだけ硬い。時間に伴う増加は、イソシアナート反応によってポストキュアが生じうることを示す。これらの値は、自動車補修にとって許容可能である。
【0063】
本発明の特定の実施形態が説明のために上に記載されたが、添付の請求項に規定される本発明から逸脱することなく、本発明の詳細に関する多数のバリエーションがなされうることが当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)不飽和ポリエステルポリオールオリゴマー;および
b)イソシアナート
を含む組成物。
【請求項2】
前記不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーは、ポリ酸/無水物およびポリオールの反応生成物であり、前記ポリ酸および/またはポリオールは不飽和である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記酸/無水物はイタコン酸/無水物を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリオールは1,3−プロパンジオールを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記酸/無水物はイタコン酸/無水物を含み、前記ポリオールは1,3−プロパンジオールを含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
放射線硬化性化合物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記放射線硬化性化合物はメタ(アクリル)コポリマーを含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記メタ(アクリル)コポリマーはウレタン結合を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記メタ(アクリル)コポリマーはヒドロキシ官能性をさらに含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ポリチオールさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリチオールはトリメチロールトリ(3−メルカプトプロピオナート)を含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物はクリアコートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は3成分組成物であり、前記不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーは第1の成分中にあり、前記イソシアナートは第2の成分中にあり、そして前記ポリチオールは第3の成分中にある、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記不飽和ポリエステルポリオールオリゴマーを含む前記第1の成分は、フリーラジカル開始剤をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の前記組成物を基材の少なくとも一部に塗布することを含む、前記基材を処理する方法。
【請求項16】
請求項1に記載の前記組成物を用いて、少なくとも一部、処理された基材。
【請求項17】
請求項12に記載の前記コーティングが少なくとも一部堆積される上に、顔料を含むベースコートで、少なくとも一部がコーティングされた基材。
【請求項18】
請求項10に記載の前記組成物を基材の少なくとも一部に塗布することを含む、前記基材を処理するための方法。
【請求項19】
請求項10に記載の前記組成物を用いて、少なくとも一部、処理された基材。
【請求項20】
a)第1の成分であって、
i)ポリ酸/無水物およびポリオールの反応生成物;および
ii)放射線硬化性化合物
を含む、第1の成分;
b)イソシアナートを含む第2の成分;ならびに
c)ポリチオールを含む第3の成分
を含む組成物。
【請求項21】
前記ポリ酸/無水物はイタコン酸/無水物を含み、前記ポリオールは1,3−プロパンジオールを含む、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記放射線硬化性化合物はメタ(アクリル)コポリマーを含む、請求項20に記載の組成物。

【公表番号】特表2012−501373(P2012−501373A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525129(P2011−525129)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/054825
【国際公開番号】WO2010/027756
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(599087017)ピーピージー インダストリーズ オハイオ,インコーポレイテッド (267)
【Fターム(参考)】