説明

多置換されたヒドロキシアパタイトと、天然および/または合成ポリマーとの複合体と、それらの生成および使用

【課題】本発明の目的は、生理適合したイオン類で多置換されたヒドロキシアパタイトと、天然および/または合成ポリマーを有するそれらのバイオハイブリット複合体を提供することである。本発明は、骨組織の損傷を治療するための生体模倣代用骨の生成に有用である。さらには、本発明はこれらの生成と使用の方法に関する。
【課題を解決するための手段】効果的な量のケイ酸および/またはSr2+イオンと、炭酸イオン、Mg2+および/またはそれらの混合物から選択された少なくとも一つの生理適合したイオン類で置換されたヒドロキシアパタイト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨組織の損傷の治療のための生体模倣代用骨の生成に使用できる、生理適合したイオン類に多置換されたヒドロキシアパタイトと、それらの天然および/または合成ポリマーとのバイオハイブリット複合体に関する。
【0002】
さらには、本発明は、それらの生成と使用の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒドロキシアパタイトは、リン酸カルシウムであり、代用骨および/または移植片として最も有用な材料の一つとされている。なぜなら、ヒドロキシアパタイトは、哺乳類の骨および歯のミネラル/無機物部分において重要な組成成分だからである。前記無機物部分は、長い間、化学量的なヒドロキシアパタイト、Ca10(PO(OH)として表されてきた。
【0004】
実際には、骨と歯の生理的な無機物層は、上述したような化学量的なリン酸カルシウムまたはヒドロキシアパタイト(簡略化するために以降は、HAとする)だけから成るわけではない。
【0005】
実際、骨や歯に存在する生理的なヒドロキシアパタイトは、その構造内にある程度の化学置換、陰イオンおよび陽イオンの両方を含有し、一方では、生きている生物により再吸収されやすくし、もう一方では、化学量的なヒドロキシアパタイトよりも新しい骨組織の成長を促す、より高い能力がある。
【0006】
前記イオン置換類は、少量で存在しているが、生理的なヒドロキシアパタイトの特異的生物学的特性と関連し、さらに、骨、エナメルおよび歯質の生化学において重要な役割を果たしている。
【0007】
これらのイオン置換類の存在は、従って、生体材料を得るために重要で、最適な方法(さらに可能ならばより優れた方法)で再生することで従来の化学量的なヒドロキシアパタイト(これは、再吸収に時間がかかりすぎ、さらに不十分な骨芽細胞の活性化を引き起こす)と比較して、天然の骨組織の生体構造および生化学は、組込と置換を非常に短い骨の組込みおよび再生時間で行えるようにした。
【0008】
生理的なヒドロキシアパタイトに存在する最も重要なイオン置換類においては、以下のことが言える:
一方では、リン酸イオン(HAの「B−サイト」と呼ばれる部分)の一部を置換するケイ酸陰イオンと炭酸陰イオンがあり;
もう一方では、カルシウムイオンの一部を置換するMg2+陽イオンとSr2+陽イオンがある。
【0009】
さらには、炭酸イオンは部分的にHAのサイトAにおいてもOHイオンを置換する。したがって、HAのサイトAおよびBの両方において部分的な置換が起こり、主に水酸基ポジション(サイトA)に対してリン酸ポジション(サイトB)で起きる。
【0010】
実際には、生理的なHAにおいて、A−タイプとB−タイプ両方の炭酸化があり、個体の種と年齢にもよるが、相対モル比A/Bで約0.7から約0.9(パーセントモル比A/Bで約70%から約90%に相当する)である。
【0011】
ケイ素は、生物学的プロセスにおいて重要な微量元素の一つである。ケイ素の重要性は、in−vivoおよびin−vitroの化学的研究によって証明されている。
【0012】
例えば、ヒドロキシアパタイト内でリン酸イオンをケイ酸イオンに置換すると、化学量的なヒドロキシアパタイトと比較して骨芽細胞の活動が増加する。
【0013】
実際に、ケイ酸イオンに置換されたHA(簡略化するためにケイ素−ヒドロキシアパタイト、SiHA)の移植表面で、化学量的ヒドロキシアパタイトと比較して、より多くの骨の沈着と骨の再形成が観察された。生物学的アパタイトにおけるケイ素の含有量は、重量でおおよそ0.2から0.8%である。
【0014】
ケイ素の存在は、細胞接着と骨の有機物、特にコラーゲンの形成を促すようである。
【0015】
マグネシウムに関しては、結果として脆さに関する骨マトリクスの質の変化の上で重要な役割を果たしているようである。Mg2+の欠如は、骨格代謝の全ての段階で悪影響を及ぼし、骨成長の停止、骨芽細胞および骨破細胞の活動の低下、骨減少症および骨の弱化を引き起こす。
【0016】
さらには、Mg2+で置換された合成ヒドロキシアパタイト(簡単にするために、MgHAとする)は、より溶けやすいため、置換されていないHAよりも吸収されやすい。
【0017】
しかしながら、高濃度のMg2+は、HAの構造を不安定にするため、HAにMg+を組込むのには限界がある。Mg2+/Ca2+のモル比が0.3以上であると、MgHAの損害に比例してリン酸マグネシウムトリカルシウムを形成する傾向にある。
【0018】
いずれにしても、Ca2+のMg2+への置換は、アパタイト構造のリン酸サイト(サイトB)に炭酸イオンを同時に組込むことで有利に促進できる。そのため、個人の年齢にもよるが、HAの重量と比較して生理的なHAでは重量で3%から8%の炭酸イオンがすでに含まれている。
【0019】
したがって、合成炭酸化は、好ましくはサイトBで行われる。Aタイプの炭酸化は骨芽細胞に対するアパタイトの結合性を低下させ、置換されていないHAと比較して細胞接着の低下およびコラーゲン生成の低下に繋がることから、好ましくはサイトBで行われる。
【0020】
Sr2+イオンに関しては、その存在は年齢、組織、肉体的運動によって変わる。生理的なHAにおけるSr2+/Ca2+のモル比は、一般的に0.02から0.3であり、高い値は若い骨と関連している。さらに、Sr2+は、アパタイト構造を安定にさせる効果がある。
【0021】
適度な量でのそれぞれの特定イオンの存在は、骨再形成における生物学的工程に貢献し、さらに溶解性、再吸収と、置換されたHAの安定性および機械的抵抗力の特性とが、それらのイオンの存在に起因する多数の結晶損傷のおかげで変化する。したがって、生理的なHAに自然に存在する全てのイオン置換は、骨組織の特異的生物学特性を同定するのに役立つ。
【0022】
したがって、複雑な生理的無機物成分(アパタイト)によってできる骨組織の特性を最適な方法(およびより優れた方法)で生成できる合成材料を得るのは、骨の損傷の治療に使用する完全に生体適合した生体模倣代用骨を得るために非常に重要である。
【0023】
残念ながら、上述の特性を満足する材料はまだ知られていない。
【0024】
したがって、完全に生体適合しさらに生体模倣され、再吸収および骨形成特性が天然の骨無機物成分の最適な代替物となり得るような上述の材料が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
本発明の目的は、上記に記載された必要性に対する適切な答えを出すことである。
【0026】
この目的とその他の目的は、後述の詳細な説明で明確になるが、本出願人により達成されている。本出願人は、効果的な量のケイ酸および/またはSr2+イオンと、炭酸イオン、Mg2+および/またはそれらの混合物から選択された少なくとも一つの生理適合したイオン類で置換されたヒドロキシアパタイトが、上述の問題への適切な答えを出せることを期せずして見出した。
【0027】
したがって、本発明の目的は、添付の独立請求項に記載のように、効果的な量のケイ酸および/またはSr2+イオンと、さらに少なくとも一つの生理適合するイオン類で多置換されたヒドロキシアパタイトの提供である。
【0028】
本発明のその他の目的は、上記の化合物を生成する方法であって、該化合物の特徴は添付の独立請求項に記載されている。
【0029】
本発明のさらなる目的は、添付の独立請求項に記載のように、代用骨を生成するための上記化合物の使用である。
【0030】
本発明のさらなる目的は、添付の独立請求項に記載のように、上述の化合物から得られる代用骨である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態は、添付の従属請求項に記載されている。
【0032】
これらの中でも、本発明の特に好ましい目的は、上述のヒドロキシアパタイトを含有するバイオハイブリット複合体であって、さらに適度な量の天然および/または合成ポリマーを含有し、尚かつ前記バイオハイブリッド複合体を生成する方法である。
【課題を解決するための手段】
【0033】
本発明は、後述の明細書に詳細に記載されている。さらには、本発明の好ましい実施形態のいくつかが添付の図1から6でも開示されている。
【0034】
図1は、本発明に係る多置換されたヒドロキシアパタイトの(水溶性)懸濁液の通水性におけるpH−依存傾向を比較したものを示している。
【0035】
図2は、本発明に係る無機物層からなる多置換されたヒドロキシアパタイト(SrSiMgCHA)の複合体(後述の実施例2に記載のis_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)のESEM(環境制御型走査型電子顕微鏡)分析を示している。これは、後者の自己組立工程において合成中にコラーゲン層に組み込まれる(in−situ誘導による核形成)。前記複合体は、様々な大きさの孔を有する多孔質構造を特徴としており、骨芽細胞が浸透できる300μm以上の大きさのマクロ孔と、生理的な液体が構造全体に浸透できるミクロ−メソ孔の両方が見られる。
【0036】
図3は、本発明に係る複合体(is_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)のTEM(透過型顕微鏡)分析を示している。この分析から、コラーゲン中のアパタイトのin−situ核形成過程は、無機質層だけの化学的吸収(置換)で得られるものと比較して、複合体の粒子径を減少できることが分かる。実際に、このように多置換されたヒドロキシアパタイトは、吸収されたイオンによって異なるものの、大きさ20nmから40nmを有するが、in−situコラーゲン核形成された多置換アパタイトは、核の大きさ5nmから10nmを有するものが生成された。
【0037】
図4は、本発明に係る複合体(is_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)のXRD(X線回折;CuKα線)分析を示している。このスペクトルは、結晶性の低い層の典型であるが、2シータの約26度でのアパタイト層(002)の特徴的なピークである、(211)と(112)が同定でき、これは2シータの約32度付近においてピーク(300)を含むバンドを形成する傾向にある(シータは、X線の入射とサンプルによって回析された間の角度である。原則として、X線回析機の横座標である)。スペクトルの形態は、有機物層(コラーゲン)から出来ている材料の組成と、無機物層(多置換されたアパタイト)から出来ている材料の組成とで、非常に小さい結晶性サイズを有することで一貫している。
【0038】
図5は、本発明に係る複合体(is_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)のFTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)分析を示しており、サイトB(874cm−1)での炭酸屈折および小さい波長値(1340からおおよそ1336cm−1まで)に位置するコラーゲンCOOの伸びは、アパタイトとコラーゲンの密接な相互反応を示している。これは、コラーゲン繊維内およびその上でのアパタイト核形成を裏付けており、予め形成されたアパタイト層がコラーゲン層に混ぜられた時に起こるものとは相反する(この場合、二つの層は分かれたままである)。
【0039】
図6は、本発明に係る複合体(is_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)のTGA分析(STA分析により抽出された熱重量曲線とその微分値:STAは、TGAとDTAを含む。つまり、熱重量分析+示差熱分析である)を示している。重量減曲線は、アパタイトとコラーゲン層の相対的な量を評価できるようにし、複合体アパタイト/コラーゲン70/30は、実際の重量比アパタイト/コラーゲンの約67/33で特徴付けられている。実際に、アパタイト層そのものは、その化学量に応じる重量減(一般的に、水、炭酸化などをのぞいて、約10から15%が吸収されている)を特徴としていることを考慮すると、コラーゲン層の相対的含有量を該複合体の総重量減から予想することができる。アパタイト内の炭酸塩の重量は、600から1100℃の範囲内の重量減(脱炭酸化によるCOの除去)から予想される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
本発明は、生理適合イオン類で多置換されたヒドロキシアパタイト(もしくは、非−化学量的ヒドロキシアパタイトで、便宜性のためnsHAとも呼ぶ。)に関連し、前記ヒドロキシアパタイトは、効果的な量のケイ酸および/またはSr2+イオンを含有し、さらに、炭酸、Mg2+および/またはそれらの混合物から選択される少なくとも一つのイオン類も含有する。
【0041】
上述の前記ヒドロキシアパタイトでは:
ヒドロキシアパタイトのリン酸イオンに対するケイ酸イオンのモル比は、0.001から0.25で、これは、パーセントSiO/POの0.1%から25%に相当する。
ヒドロキシアパタイトのCa2+イオンに対するSr2+イオンのモル比は、0.002から0.35で、これはパーセントSr/Caの0.2%から35%に相当する。
【0042】
好ましくは、ケイ酸のリン酸に対する前記比は、0.005から0.20で、これはパーセントモル比SiO/POにして0.5%から20%に相当する。
【0043】
より好ましくは、ケイ酸のリン酸に対する前記比は、0.01から0.10で、これはパーセントモル比SiO/POにして1%から10%に相当する。
【0044】
Ca2+に対するSr2+の前記比は、好ましくは、0.02から0.30で、パーセントモル比Sr/Caの2%から30%に相当する。
【0045】
より好ましくは、Sr2+のCa2+に対する前記比は、0.03から0.25で、これはパーセントモル比Sr/Caにして3%から25%に相当する。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、前記ヒドロキシアパタイトは、少なくとも炭酸イオンをさらに含有する。
【0047】
前記炭酸は、ヒドロキシアパタイトのリン酸に対する炭酸のモル比で0.01から0.80で存在し、これはパーセントモル比CaCO/POにして1.00%から80%に相当する。好ましくは、0.05から0.30で、パーセントモル比CaCO/POにして5%から30%に相当する。
【0048】
本発明の他の好ましい実施形態において、前記ヒドロキシアパタイトは、さらに少なくともMg2+イオンを含有する。
【0049】
前記Mg2+は、ヒドロキシアパタイトのCa2+に対するMg2+ので0.01から0.30存在し、これはパーセントモル比Mg/Caにして0.1.00%から30%に相当する。好ましくは、モル比で0.03から0.20であり、これはパーセントモル比Mg/Caで3%から20%に相当する。
【0050】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、前記ヒドロキシアパタイトは、炭酸とMg2+イオンの混合物をさらに含有し、前記イオンは上述と同じモル比で存在する。
【0051】
本発明の好ましい実施形態のいくつかにおいて、前記ヒドロキシアパタイトは、以下の置換イオンを含有する:
ケイ酸、Sr2+、炭酸;もしくは、
ケイ酸、Sr2+、Mg2+;もしくは、
ケイ酸、炭酸、Mg2+;もしくは、
Sr2+、炭酸、Mg2+であって、
前記イオンは、上述と同じモル比で存在する。
【0052】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、前記ヒドロキシアパタイトは、置換類であるケイ酸、Sr2+、炭酸およびMg2+イオンを含有し、前記イオンは、上述と同じモル比で存在し、好ましくは、前記イオンは、以下の比率で存在する:
ケイ酸イオンは、モル比SiO/POで0.01から0.10で存在する;Sr2+イオンは、モル比Sr/Caで0.03から0.25で存在する;
炭酸イオンは、モル比CO/POで0.05から0.30で存在する;
Mg2+イオンは、モル比Mg/Caで0.03から0.20で存在する。
【0053】
本発明の特に好ましい実施形態において、多置換されたヒドロキシアパタイトは、ケイ酸、Sr2+、炭酸で置換されたヒドロキシアパタイト(SrSiCHA)で構成され、前記イオンは、上述と同じモル比で存在する。
【0054】
本発明の他の特に好ましい実施形態において、多置換されたヒドロキシアパタイトは、ケイ酸、Sr2+、Mg2+で置換されたヒドロキシアパタイト(SrSiMgHA)で構成され、前記イオンは、上述と同じモル比で存在する。
【0055】
本発明の他の好ましい実施形態において、多置換されたヒドロキシアパタイトは、ケイ酸、炭酸塩およびMg2+(SiMgCHA)で置換されたヒドロキシアパタイトで構成され、前記イオンは、上述と同じモル比で存在する。
【0056】
本発明の他の特に好ましい実施形態において、多置換されたヒドロキシアパタイトは、Sr2+、炭酸及びMg2+で置換されたヒドロキシアパタイト(SrMgCHA)で構成され、前記イオンは、上述と同じモル比で存在する。
【0057】
本発明の他の特に好ましい実施形態において、多置換されたヒドロキシアパタイトは、ケイ酸、Sr2+、炭酸およびMg2+で置換されたヒドロキシアパタイト(SrSiMgCHA)で構成され、前記イオンは、上述と同じモル比で存在する。
【0058】
本発明に係る多置換されたHAの粉末は、自然の状態で起きるものに可能な限り類似した結果が得られるように、好適に研究されさらに最適化された方法により合成された。
【0059】
本発明に係る多置換されたヒドロキシアパタイトを生成するための前記方法は、HPOの水溶液b)を添加することにより好適な量のケイ酸および/またはSr2+イオンを有するCa(OH)の塩基性懸濁液a)を中和することを含み、前記中和反応では、
i)前記懸濁液a)は、効果的な量のMg2+イオンをさらに含み;および/または
ii)前記水溶液b)の添加は、炭酸水素イオンの水溶液を加えるのと同時に行われる。
【0060】
前記中和反応は、室温もしくは体温の温度(20℃から40℃で;好ましくは、25℃から37℃の間)で行われた。全合成工程は、pHが12に自己制御された状態で行われ(そのため、アンモニアなどの塩基性にするための試薬の継続的な添加をしないで済む)、低いpHにおいてアパタイト層と競合する二リン酸カルシウムと比較して、アパタイト層の熱力学的安定性を確実にした。
【0061】
ヒドロキシアパタイトの所望のカルシウムおよびリン酸イオンの置換類は、それらの試薬に適した塩を使用して反応環境に添加される。例えば、好ましくは、必ずしも必要ではないが、塩化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、シリコンテトラアセテート、硝酸ストロンチウムを、水溶液に適量溶解した試薬を使用する(必要であれば、その他の塩を使用してもよい)。
【0062】
好ましくは、前記塩および(最初の)試薬は以下の濃度で使用された:
Ca(OH):10から1000g/l、好ましくは、30から250g/l;
Si(CHCOO):5から500g/l、好ましくは、8から70g/l;
Sr(NO:5から600g/l、好ましくは、25から300g/l;
MgCl・6HO:5から700g/l、好ましくは、25から250g/l;
PO:5から1000g/l、好ましくは、50から200g/l;
NaHCO:2から600g/l、好ましくは、8から70g/l。
【0063】
好ましい実施形態において、水酸化カルシウムの懸濁液は、適量のシリコンテトラアセテートおよび/または硝酸ストロンチウム(および、必要であれば塩化マグネシウム)と共に(室温もしくは体温の温度で混ぜながら)添加される。
【0064】
必要量のオルトリン酸を混ぜながら上記の懸濁液に滴下する(また、必要であれば、必要量の炭酸水素ナトリウムをオルトリン酸とは別に滴下する)。
【0065】
表1は、本発明に係るいくつかの多置換されたアパタイトの合成に使用された試薬の量を例として示している。
【0066】
【表1】

【0067】
ケイ酸および/またはSr2+イオン(さらに必要であればMg2+イオンも)が加えられた水酸化カルシウムの懸濁液に、オルトリン酸水溶液(さらに、必要であれば、炭酸水素ナトリウムの水溶液)を滴下した後、得られた混合液は、1時間かき混ぜられ、さらに2時間放置する。
【0068】
そして、例えば遠心分離(例えば、5000回転で3分間)で母液が取り除かれる。固形部分は、好ましくは純水で分散され、さらに遠心分離される。
【0069】
この洗浄作業は、必要であれば、数回繰り返されても良い。最終的には、この粉末は、乾燥され(例えば、フリーズドライまたは40から60℃の換気されたオーブンで乾燥)、さらに以下に示す用途のために所望の粒度に小さくされる。したがって、本発明の実施形態では、得られた多置換されたHAの粉末は150μmに選別されている。
【0070】
例として、いくつかの開始試薬液の置換モル比(置換イオン/置換されたイオン)と、それに対応する多置換されたHAの合成粉末から得られた置換モル比と、を比べた比較データが置換量とともに表2に示されている。
【0071】
【表2】

【0072】
表3は、表2の化合物の化学成分を示す(重量%での対象の置換イオンの含有量)。
【0073】
【表3】

【0074】
表2および3から、その他の種々の中でも、上述のように生成されたケイ酸イオンで置換されたヒドロキシアパタイトは、置換モル比SiO/POが約80%という効果(置換量)を有することがわかる。空気中(非活性大気において)で行われた合成において、水溶液中のケイ酸および/またはSr+イオンの含有量にかかわらず、該粉末は少量の炭酸イオンをリン酸サイトに空気中から取り込んでしまうことが分かる(表2−SiHA、SiMgHA、MgHA、SrMgHAおよび表3−2.35から3.45重量%)。
【0075】
HAの結晶格子内のイオン置換は、必ずしも置換試薬として使用されたイオンの量と直接比例するわけではない。これは、多置換されたアパタイトの合成において特に起こり、同時に存在するいくつかのイオンが良くも悪くも効果を及ぼすため置換された量にも影響する。
【0076】
好ましくは、合成過程は、各置換タイプに応じて、繰返し作業により(つまり、置換イオン試薬の相互モル比を繰り返し変化させて十分な数のテストを行うことによる方法)調整されている。したがって、最初の試薬量を最適化し、所望のイオン置換を所望の割合で得ることができた。
【0077】
そのため、上述のリン酸およびカルシウムイオンの置換比を特徴とする多置換されたヒドロキシアパタイトを生成できた。
【0078】
期せずして、赤外線分光光度分析は、ヒドロキシアパタイトのサイトAにおける炭酸化の欠如を示した。つまり、上述の本発明に係る最適化の方法は、期せずしてヒドロキシアパタイトのリン酸サイトBにおいて選択的に炭酸化された多置換されたヒドロキシアパタイトを可能にした。
【0079】
ヒドロキシアパタイトのCa2+のMg2+への置換は、モル比Mg2+/Ca2+が0.01から0.30、パーセントモル比Mg/Caにして1.00%から30%に相当するように行われた。好ましくは、モル比は0.03から0.20で、パーセントモル比Mg/Caが3%から20%に相当する。
【0080】
ケイ酸および炭酸イオンで置換されたヒドロキシアパタイト(SiCHA)において、リン酸サイト(サイトB)で同時におきるケイ酸および炭酸イオンの置換は、モル比SiO/PO=0.05と、モル比CO/POにして0.15から0.67の間の試薬液(表2)を使用することで評価した。
【0081】
液中に炭酸イオンが高濃度(CO/PO=0.67)で存在すると、ケイ酸はアパタイト構造に現れないが、溶液中の炭酸濃度が下げられると、両イオンによる部分的な置換がおきるという結果になった。特に、最終的な粉末における実際のモル比CO/POは、約0.1であるが、POを実際に置換するSiOの含有量は、モル比CO/PO=0.33ではなく0.15である開始液で合成されると非常に増加する。
【0082】
同様に、両方の場合において、最終的な粉末中の炭酸の割合は、粉末の重量と比べて重量で4%を少し超えるが(100gの合成粉末が4gの炭酸イオンを含有する)、SiOの重量パーセントは0.1から0.4%の間で変化する(表3を参照)。
【0083】
開始モル比がCO/PO=0.15を使用して生成された粉末は、生物学的組織と類似した量の置換イオンの含有量を有する。
【0084】
ヒドロキシアパタイトの安定性を減少させる炭酸イオンの効果は、非常に明白である。なぜなら、モル比CO/POが0.67を使って生成されたSiCHA−1は、少量のカルサイトを有する低結晶アパタイト層で構成されるが、モル比CO/PO=0.15および0.33を使用して生成された粉末はCaCOを形成しない。
【0085】
ケイ酸および炭酸イオンで共−置換されたヒドロキシアパタイト、SiCHAは、ケイ酸で置換されたヒドロキシアパタイトSiHAと比較して熱に対して非常に安定である。実際に、1400℃における熱処理の後でも、SiCHAアパタイトは、例えばβ−リン酸三カルシウム、β−TCPを約1.5体積%、およびさらに少量のCaOなどの第二層をほんの少ししか示さない。
【0086】
ケイ酸とMg2+イオンで置換されたヒドロキシアパタイト(SiMgHA)では、上述の広く使用される合成条件では、空気中および反応環境中に存在する炭酸がある程度自然に構造内に入り込んでしまう。
【0087】
ケイ酸イオンの置換量、つまり試薬液に投入された量と比較して、実際にHA構造内に入った量は、モル比SiO/POが90%であるのに対し、試薬液に投入されたMg2+イオン(モル比Mg/Caで表される)の3分の1しか実際には合成された置換HAに存在しない(表2と3を参照)。
【0088】
ケイ酸、Mg2+および炭酸イオンで置換されたヒドロキシアパタイト(SiMgCHA)は、開始溶液のモル比がSiO/PO=0.05;CO/PO=0.15から0.67;Mg/Ca=0.15を使用して生成された。ここでもまた、溶液中における高濃度の炭酸(CO/PO=0.67)は、HA構造にSiOが取り込まれるのを制限する。
【0089】
これらの条件下では、炭酸は制限された置換量(12%)を示すが、モル比CO/PO=0.15の間の試薬液を使うことにより、ケイ酸の置換量が最大で50%、炭酸の置換量が最大で90%を得ることが可能になり、炭酸の含有量が重量%で最終的な粉末中の4.5から5%である多置換された合成ヒドロキシアパタイトを得ることができる。
【0090】
得られる多置換されたヒドロキシアパタイトが、通常、低結晶性であることから、ヒドロキシアパタイトの純度の低下、粉末の結晶性の低下と、平均粒子径の減少における置換イオンの影響は明らかである。
【0091】
炭酸の開始含有量が高い溶液(モル比CO/PO=0.67)を使用して得られたSiMgCHAアパタイトは、約7%のカルサイトを有するが、相対的な炭酸の含有量を0.15まで減らすことにより、第二層を含まず、また微量のβTCPが出てき始める1000℃まで安定しているアパタイトを得ることができる。
【0092】
試薬液中のCa2+およびPO3−の濃度を増加する(さらに、モル比に関する範囲で、従って始めと同じ条件を維持するためにそのほかの試薬も全て増加する)ことでも良い効果が得られた。
【0093】
実際に、粉末の結晶性と外からのイオンによる置換効果とが影響されている。例えば、総体積約1000mlの溶液中に20gのCa(OH)(0.27モルのCa2+)(Ca(OH)の濃度は20g/l)から、総体積1200mlに100g(1.28モルのCa2+)(Ca(OH)の濃度は83g/l)に変更し、さらに、200ml中に16.63gのHPO(0.14モルのPO)(HPOの濃度は、83.15g/l)から300ml中に83.15g(0.72モルのPO)(HPOの濃度は、277.17g/l)(SiMgCHA−2およびSiMgCHA−3)に変化させると、対応する合成アパタイト、置換HA、のSiOの含有量は類似しているが、炭酸化は増加し、Mg2+の含有量はほぼ半減している。
【0094】
Mg2+は、これらの多置換されたHAの構造内に、合成粉末の重量に対して重量で2.5から3%入り込めることでき、合成粉末の重量と比較して4%以上の炭酸を含有し、さらに合成粉末の重量と比較して約0.4%のSiを含有することが観察された。ここでもまた、試薬として投入された炭酸の量がリン酸のモル数の15%であると、SiOと炭酸イオンの同時置換が可能であった。
【0095】
置換HA粉末の結晶性と化学量は、その熱安定性に大きく影響する。たとえば、SiMgCHA−1とSiMgCHA−2は1000℃で分解するが、SiMgCHA−3は、1400℃でもかなり安定である。
【0096】
Sr2+、Mg2+および炭酸イオンで置換されたヒドロキシアパタイト(SrMgCHA)
【0097】
MgHAアパタイトの安定剤としてのSr2+イオンの効果に関する評価は、SrMgCHAの生成により可能になった。Mg2+とCa2+はサイズが大きく異なるため(Ca2+イオン半径=1.00オングストローム、Mg2+イオン半径=0.72オングストローム)、Ca2+の置換としてMg2+はヒドロキシアパタイトの隙間に張り込むのが難しいことが分かっている。
【0098】
Sr2+などのよりサイズの大きい2価の陽イオン(Sr2+イオン半径=1.12オングストローム)を投入することは、いずれにしても生理的アパタイトには存在するが、Mg2+の不安定効果を相殺することが証明されている。Sr2+を含むもしくは含まない(その他の工程のパラメーターは同じのままで)、様々な濃度でMg2+を含んだ開始溶液で合成することにより得られたアパタイト粉末の物理化学的特性を比較することにより、Sr2+がMg2+をアパタイトの中に取り込むのを促進させることが観察できた。
【0099】
例えば、パーセントモル比Mg/Caが15%である開始溶液を使うことにより、4.3モル%(%Mg/Caで表す)、重量で0.87%のMg2+がストロンチウムなしのアパタイト粉末に組み込まれるのに対し、Sr2+存在下で合成を行うと、それぞれ6.1モル%と重量で1.48%が得られる(表1および2:MgHAおよびSrMgHA−1粉末)。
【0100】
Sr2+とMg2+で共−置換されたHAは、最大で約1000℃の空気での熱処理に第2層を形成せずに耐えることができるのとは違い、Mgだけで置換されたヒドロキシアパタイトは、Mgをリン酸三カルシウム層に分けてしまう化学量的ヒドロキシアパタイトに変えてしまう。
【0101】
SrMgHAを炭酸と共−置換できれば、化学量的ヒドロキシアパタイトと比べて、これらを比較的低い温度と特に好適な条件下(二酸化炭素雰囲気下、最適化された温度サイクル)において合成できるようになるため、良好な高密度化できる。したがって、アパタイトの機械的特徴を増強する(たとえば、多孔質代用骨の製造などのために重要)ために、Sr2+の特殊な能力と良好な高密度化による効果を相互作用として利用することができる。
【0102】
ケイ酸、Sr2+、Mg2+、炭酸イオンで置換されたヒドロキシアパタイト(SiSrMgCHA)。
【0103】
本発明の好ましい実施形態において、生物学的範囲内の置換イオンで多置換された上述のアパタイトの合成は、溶液中のモル比が以下になるような濃度の試薬を使って好ましくは行われた:SiO/PO=0.05;CO/PO=0.15;Mg/Ca=0.15;Sr/Ca=0.20。
【0104】
最終的に得られた粉末(置換HA)は、パーセントモル比がSiO/PO=1.4%;CO/PO=9.8%;Mg/Ca=9.3%;Sr/Ca=8%を特徴とし、これは、重量含有量で0.20%のケイ酸、3.70%のCO、2.03%のMg2+、6.64%のSr2+に相当する。
【0105】
本発明に係る多置換された非化学量的ヒドロキシアパタイトは、以下の式で平均的に表すことが出来る:
【数1】

【0106】
例示としてさらにこれに限定されない、本発明に係る特に好ましいヒドロキシアパタイトの生成方法が以下に開示されている。
【0107】
SrSiMgCHAの生成(4種類のイオンによる多置換)。
【0108】
全工程が、室温(25℃)で行われた。
【0109】
95%のCa(OH)20gを600mlのHOに分散することにより、水酸化カルシウムの懸濁液がフラスコ(2リットル用)に用意された。この懸濁液は、羽根攪拌機により約300rpmでかき回され続けた。これとは別に、以下の溶液が用意され、水酸化カルシウムの懸濁液に続けて添加された:
200mlのHOに1.94gのケイ酸テトラアセテート(純度98%);
200mlのHOに7.86gのMgCl・6HO(純度99%);
200mlのHOに8.22gのSr(NO(純度99%)。
【0110】
これとは別に、以下の溶液が用意された:
200mlのHOに16.63gのHPO(純度85%);
200mlのHOに1.82gのNaHCO
【0111】
これらの2溶液は、予め用意されたCa(OH)の懸濁液に約3時間かけて滴下により添加されるが、別々の供給機から添加される。滴下が終了すると、この機構は1時間攪拌され、その後一晩放置される。
【0112】
そして、遠心分離により上澄み液が取り除かれ、洗浄および遠心分離工程サイクルがそれぞれ1lのHOで、三回行われる。その後、得られた生成物は、換気されたオーブン(40℃)で乾燥(もしくは、フリーズドライにより乾燥)され、最終的には150ミクロンに選別される。
【0113】
上述のように、本発明に係る合成したすべての多置換されたHAにおいては、サイトA(ヒドロキシル基)における炭酸化は存在しない。したがって、Bタイプ炭酸化(リン酸サイト)を最大にする本発明に係る生成方法の効果を確かなものにしている。
【0114】
全ての多置換されたHAの粉末は、ナノメートルの大きさで、平均粒子径は、共−置換の数の増加に反比例して減少する傾向にある。例えば、多置換されたHA、SiSrMgCHAは大きさの平均が、20から25nmであった。
【0115】
X線回析分析(XRD)は、最適化された特異的条件の工程(試薬、温度、放置)の結果、合成された全てのアパタイトが、純粋なもので(つまり、第2層を形成していない)、さらに低度の結晶性を特徴としていることを示した。XRDスペクトルは、生理的な無機物層のスペクトルと非常によく似ていた。
【0116】
さらにこの点についていえば、少なくとも三つの置換イオンで多置換されたヒドロキシアパタイトは、生体模倣と再吸収性に関する限りにおいては特に好ましいことが証明された。つまり、天然の骨組織のアパタイト層の生物学的動態と最もよく似ていた。
【0117】
前述のように4つの置換イオンで多置換されたヒドロキシアパタイトは、さらに好ましいことが証明された。
【0118】
多置換されたHAの粉末の密度の値は、化学量的ヒドロキシアパタイトの特徴である3.16g/cmから減少し、化学量的ヒドロキシアパタイトからの構造的欠損および逸脱に伴って、共−置換がさらに行われる。
【0119】
イオンで多置換されたHAの溶解度と、つまりそのin−vivoでの再吸収性に対する効果は、前記多置換されたHAの粉末の水溶性懸濁液の通水性を計測することによりpHの関数として間接的に調べられた。このような分析において、添付の図1に示すように、溶解度は、SiHA<SiCHA、SiMgHA<SiMgCHA<SrSiMgCHAの順序で変化することがわかった。
【0120】
上述の順序によると、通水性は、より塩基性のpHから増加していき、さらには、特に、全てのアパタイトにおいて、生理的pH7.4で通水性曲線がプラトーから上昇することが見られるが、これはほぼ不溶性である化学量的ヒドロキシアパタイト(Kps約10−56)では起きない。さらに、SiMgCHAおよびSrSiMgCHAの絶対的な導電値が、比較されたその他のアパタイトよりも高いため、後者よりも潜在的に生体再吸収性に優れたものにしている。
【0121】
合成生理溶液(ハンクス平衡液)中における多置換されたヒドロキシアパタイトの溶解度の直接的な試験は、上述の順序を裏付けており、さらにその結果としてのin−vivoの向上も確認した。
【0122】
これは、生体模倣性と再吸収性に関する前述の少なくとも3つの置換イオン(好ましくは4つ)で多置換された合成ヒドロキシアパタイトの利点と一致している。
【0123】
本発明に係る多置換されたHAは、生物の骨組織にある生理的なHAに構造的にも生物学的にも非常によく似ていることが証明されている。
【0124】
結果的に、これらは、完全に生体適合した生体模倣代用骨の生成において生理的HAの理想的な合成置換物を表している。
【0125】
この目的のために、本発明の特に好ましい実施形態において、本発明に係る多置換されたHAを生成する方法は、好適な量の適切な天然および/または合成ポリマーの存在下で行われ、好ましくは、コラーゲン繊維の存在下であって、前記繊維の自己組立工程と同時に行われる。
【0126】
したがって、骨形成工程を模倣して生成されるため、組成的、形態的、および構造的に高い生体模倣を有するバイオハイブリッド複合体を得ることができる。
【0127】
したがって、本発明の特に好ましい目的は、上述のバイオハイブリッド複合体である。すなわち、上述の置換されたヒドロキシアパタイトであり、前記ヒドロキシアパタイトは効果的な量の生体適合した天然もしくは合成ポリマー(例えばポリラクチック酸)をさらに含有する。前記ポリマーは、ゼラチン、アルブミン、アルジネート、ジェランガム、デンプン、キトサン、セルロース、コラーゲンなどから選択されるタンパク質もしくは多糖類の天然ポリマーである。さらに好ましくは、前記天然のポリマーはコラーゲンで、特に自己組立するコラーゲン繊維である。
【0128】
前記コラーゲンは、コラーゲン繊維の内部と上で核形成された最終的なアパタイトの無機物層のコラーゲンに対する相対重量比(w/w)である置換HA/コラーゲンは、約85から15の量で存在し、好ましくは、前記重量比は80から20で、さらに好ましくは75から25である。
【0129】
さらに好ましくは、置換HA/コラーゲンは、w/wで表される相対重量比が約70/30で、これは、重量/重量の比である骨組織の生物学的アパタイト/無機物成分に近い値である。
【0130】
好ましい手段では、所望の量のコラーゲンはオルトリン酸水溶液と混ぜられる。その溶液は、適量のケイ酸および/またはSr2イオン含み、必要であればMg2イオンも含有する水酸化カルシウムの懸濁液に滴下され、必要であれば、炭酸水素ナトリウム水溶液(もしくはその他の炭酸水素イオン源)も同時に滴下する。前記イオンは、本発明に係る多置換されたHA粉末の生成に関する部分に記載された上述の比率で存在する。前記置換イオンは、水溶性の塩として存在し、好ましくはシリコンテトラアセテート、硝酸ストロンチウム、塩化マグネシウムもしくはそれに類似する塩である。
【0131】
上述と同じ方法で行われた滴下が終了すると、自己組立コラーゲン繊維の内部と上にヒドロキシアパタイトが形成(核形成)される。
【0132】
そのようにして得られたバイオハイブリット複合体は、数回水で洗浄されて、冷凍乾燥される。
【0133】
水溶性分散剤の温度(37℃)およびpH(7.4)が生理的条件で前記生成が行われれば、上述の生体模倣物の生成方法と、従って得られたバイオハイブリッド生成品は、最適化される。
【0134】
特に好ましい実施形態において、合成は、塩基性成分としての溶液に水ではなく、ヒトのプラズマに存在するイオンと同じイオンを含有し、さらにpH=7.4(生理的pH)である合成生理液(SBF)を使用して行われる。希釈条件は、無機物層を得るのと同様に、純粋な置換されたヒドロキシアパタイト(つまり、その他の層によって汚染されていない)を得るのに重要である。
【0135】
最適な希釈のための前記条件は、所望の置換の質や量に応じて、毎回実験的に見出される。(ここでもまた上述の繰返し作業が使われる)
【0136】
以下では、多置換されたHA/コラーゲンの比率が重量/重量で70/30である二つの複合体の好ましい合成手段を非限定的例示として記載している。
【実施例】
【0137】
(実施例1)複合体の生成方法:SiMgCHA/コラーゲン70/30_SBF。
開始条件(試薬液)− 開始時におけるモル比は以下の通りである:
モル比Mg/Ca=0.15;
モル比SiO/PO=0.15;
モル比CO/PO=0.15。
実行方法:
1重量%酢酸コラーゲンゲル120g(1.2gのコラーゲンに相当する)を85%HPO溶液(0.0157モル、1.809gに相当する)を有する250mlの水に添加した水溶性溶液A)が用意される。
【0138】
100mlの水にNaHCO(0.00141モル、0.1184gに相当する)を含む水溶液B)が用意される。
【0139】
多置換されたHA2.8gのコラーゲン繊維の内部と上でのin−situ核形成するのに必要な量の試薬を含有する懸濁液C)が用意される、つまり:
35mlのSBF+700mlのHOに95%のCa(OH)(0.0279モル、2.176gに相当する);
100mlのHOにMgCl・6HO(0.00487モル、0.990gに相当する);
100mlのHOに98%Si(CHCOO)(0.000785モル、0.218gに相当する)を含む。
【0140】
二つの水溶液A)とB)は、懸濁液C)に同時に(好ましくは別々に)滴下され、約30分から60分の間37℃でかき混ぜ続けられる。
【0141】
滴下が終了すると、該混合物は1時間放置される。
【0142】
上澄み液は、濾過により除去される(もしくは遠心分離で)。
【0143】
複合物は、毎回300mlの水を使用して3回洗浄される。
【0144】
生成物は、濾過され冷凍乾燥される。
【0145】
したがって、得られた生成物は、以下の組成を有する:
モルMg/Ca=0.052;モルCO/PO=0.135;モルSiO/PO=0.005である。
【0146】
(実施例2)複合体の生成方法:SrSiMgCHA/コラーゲン70/30_SBF。
開始条件(試薬液)−開始時のモル比は以下の通りである:
モル比Mg/Ca=0.15;
モル比SiO/PO=0.05;
モル比CO/PO=0.15;
モル比Sr/Ca=0.20。
【0147】
実行方法:
1重量%酢酸コラーゲンゲル120g(1.2gのコラーゲンに相当する)を85%HPO溶液(0.0157モル、1.809gに相当する)を有する250mlの水に添加した水溶性溶液A)が用意される。
【0148】
100mlの水にNaHCO(0.00141モル、0.1184gに相当する)を含む水溶液B)が用意される。
【0149】
多置換されたHA2.8gのコラーゲン繊維の内部と上でin−situ核形成するのに必要な量の試薬を含有する懸濁液C)が用意される、つまり:
35mlのSBF+700mlのHOに95%のCa(OH)(0.0279モル、2.176gに相当する);
100mlのHOにMgCl・6HO(0.00487モル、0.990gに相当する);
100mlのHOにSr(NO(0.0058モル、1.1807gに相当する);
100mlのHOに98%Si(CHCOO)(0.000785モル、0.218gに相当する)を含む。
【0150】
二つ水溶液A)とB)は、懸濁液C)に同時に(好ましくは別々に)滴下され、約30分から60分の間37℃でかき混ぜ続けられる。
【0151】
滴下が終了すると、該混合物は1時間放置される。
【0152】
複合物は、毎回300mlの水を使用して3回洗浄される。
【0153】
生成物は、濾過され冷凍乾燥される。
【0154】
したがって、得られた生成物は、以下の組成を有する:
モルMg/Ca=0.067;モルSr/Ca=0.177;モルCO/PO=0.139;モルSiO/PO=0.006である。
【0155】
実施例1および2で使用されたSBFの組成は、以下の通りである。
【0156】
【表5】

【0157】
同様に、複合体SiMgHA/コラーゲン70/30およびSrSiMgHa/コラーゲン70/30は、同じ実験工程にしたがって生成され、炭酸イオンの添加とSBFの使用を意図的に除外した。
【0158】
以下のモル比がそれぞれ得られた:
SiMgHA/コラーゲン70/30:モルMg/Ca=0.066;モルCO/PO=0.05;モルSiO/PO=0.011。
SrSiMgHA/コラーゲン70/30:モルMg/Ca=0.069;モルSr/Ca=0.177;モルCO/PO=0.06;モルSiO/PO=0.011。
【0159】
さらには、異なる再生医療分野において様々な目的に使用できるように、異なる生体模倣および再吸収性特徴を有する複合体を得るために試薬の開始条件(置換イオンのモル比)を変化させた。
【0160】
表4は、例として、合成複合体のいくつかの化学分析のデータを示している。
【0161】
【表4】

【0162】
合成複合体は、組成的、化学的、物理的、形態的、構造的視点から該分野の公知な種々の分析技術を使って分析された(例えば、ESEM(環境制御型走査型顕微鏡)、TEM(透過型顕微鏡)、XRD(X線回析)、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)、STA(熱分析装置)、EDS(例として図1から6で示されている、エネルギー分散型分析装置))。
【0163】
一般的には、以下のことが言える。
【0164】
合成に炭酸イオンを投入すると、置換されたHAにケイ酸イオンを投入することを抑制してしまう。
【0165】
多置換されたHA/コラーゲン複合体の生成において、ケイ酸イオンと競合する可能性のある炭酸イオンの含有量を制限することにより、ケイ酸イオンで置換されたアパタイト(リン酸位置、サイトB)を合成することが可能になった。
【0166】
実際、上述で開示された炭酸イオンの意図的な添加をせずに生成されたSiMgHA/コラーゲン70/30とSrSiMgHA/コラーゲン70/30の複合体を考慮すると、前述したようにバイオハイブリット複合体を構成する無機物層での部分的な炭酸化は、生物学的な炭酸化の範囲内のパーセントの値でサイトBで自然に起きているものの(FTIRの特異的なピークにより示されているように)、ケイ酸イオンの投入はこのような条件下でも得られる(表4)。したがって、最初の炭酸の量を少なめにして使用することが好ましい(コラーゲン上で核形成されない多置換されたHAの生成に関し上述で指摘したように)。
【0167】
該構造内により多くのMg2+イオンを投入できるようにするSr2+イオンの能力。つまりMg2+イオンの組込量を増加させることが確認される。
【0168】
合成時におけるMg2+イオンと共に存在するSr2+イオンの存在は、アパタイト層をより安定させる。つまり、無機物層の合成においてだけ指摘されたように、Mg2+自体で引き起こされる不安定効果を相殺すると同時に、無機物層に投入できるMg2+の含有量を増やす。
【0169】
本発明に係る合成多置換されたアパタイト層の開発において、上述で指摘したように、このようにして得られた合成物質の動態が天然の骨に最も良く似てたことから、HA構造内での完壁に制御されたイオン置換が、非常に重要なことが証明される。
【0170】
前記動態は、特に反応性、溶解性、アパタイト移植片への組込など観点からの動態は、物質中の特異的な投入要素/イオン置換類の存在に起因するものだっただけでなく、多置換されたHAの結晶セル内の多数の欠損にも起因し、この欠損は、まさに置換イオンの存在そのものにより引き起こされている。
【0171】
本出願人は、本発明に係る多置換されたヒドロキシアパタイトのより早い溶解速度は、移植片周囲におけるより早い骨再構築と関連していることを有利に発見した。
【0172】
すでに存在している骨との反応に対する増加は、移植片とその周辺部の強い機械的結合の形成により、移植片においてより高い安定性を結果としてもたらした。したがって、患者のリハビリにかかる時間も短縮された。
【0173】
さらには、自己組立する天然もしくは合成有機物鋳型材料(例えば、自己組立コラーゲン繊維など)の上において本発明に係る多置換されたHAの核形成を行うことにより、合成骨組織を得ることができた。つまり、天然の骨組織と同じ性質を有するバイオハイブリット複合体である。
【0174】
このような生体模倣物は、in−vivoでの骨形成工程を模倣していることにより、無機物層合成時の有機物と無機物との強い相互作用によって保証されている。
【0175】
したがって、本発明に係る多置換されたヒドロキシアパタイトと、適切な天然もしくは合成ポリマーのコラーゲンを有するそれに対応するそれらのバイオハイブリッド複合体は、完璧に再吸収できてさらに生体適合する生体模倣代用骨を生成するのにとりわけ有利であることが証明された。
【0176】
したがって、本発明の目的は、前記代用骨を生成するためのそれらの使用でもあり、さらにそれらを含む代用骨である。
【図面の簡単な説明】
【0177】
【図1】図1は、本発明に係る多置換されたヒドロキシアパタイトの(水溶液)懸濁液の通水性におけるpH−依存傾向を比較したものを示している。
【図2】図2の(a)、(b)、(c)は、ESEM(環境制御型走査型電子顕微鏡)よる本発明に係る複合体(実施例に記載のis_SrSiMgCHA/コラーゲン70/30 SBF)の分析を示す。
【図3】図3は、TEM(透過型顕微鏡)による本発明に係る複合体(is_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)の分析を示す。
【図4】図4は、XRD(X線回折;CuKα線)による本発明に係る複合体(is_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)の分析を示す。
【図5】図5は、FTIR(フーリエ変換赤外分光光度計)による本発明に係る複合体(is_SrSiMgCHA/コラーゲン 70/30 SBF)の分析を示す。
【図6】図6は、本発明に係るTGA(STA分析により抽出された熱重量曲線と微分値:STAは、TGAとDTAを含む。つまり、熱重量分析+示差熱分析である。)分析を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン類で多置換されたヒドロキシアパタイトであって、前記ヒドロキシアパタイトは、効果的な量のケイ酸および/またはSr2+イオンと、さらに炭酸、Mg2+および/またはそれらの混合物から選択される少なくとも一つのイオン類を含むヒドロキシアパタイト。
【請求項2】
ヒドロキシアパタイトのリン酸イオンに対するケイ酸イオンのモル比が0.001から0.25で、パーセントモル比SiO/POにして0.1%から25%に相当し、
ヒドロキシアパタイトのCa2+イオンに対するSr2+のモル比が0.002から0.35で、パーセントモル比Sr/Caにして0.2%から35%に相当する請求項1に記載のヒドロキシアパタイト。
【請求項3】
ケイ酸のリン酸イオンに対する前記比が0.005から0.20で、パーセントモル比SiO/POにして0.5%から20%に相当し、さらに好ましくは、ケイ酸のリン酸イオンに対する前記比は0.01から0.10で、パーセントモル比SiO/POにして1%から10%に相当する請求項2に記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項4】
Sr2+のCa2+に対する前記比が、0.02から0.30であり、パーセントモル比Sr/Caにして2%から30%に相当し、さらに好ましくはSr2+のCa2+イオンに対する前記比は、0.03から0.25で、パーセントモル比Sr/Caにして3%から25%に相当する請求項2に記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項5】
少なくとも一つの追加の前記イオン類が炭酸イオンであって、前記炭酸イオンは、ヒドロキシアパタイトのリン酸イオンに対する炭酸イオンのモル比が0.01から0.80で存在し、パーセントモル比CaCO/POにして1.00%から80%に相当し、好ましくは0.05から0.30で、パーセントモル比にして5%から30%に相当する請求項1から4のいずれかに記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項6】
少なくとも一つの追加の前記イオン類がMg2+であって、前記Mg2+は、ヒドロキシアパタイトのCa2+に対するMg2+のモル比で0.01から0.30で存在し、パーセントモル比Mg/Caにして1%から30%に相当し、好ましくは、モル比は0.03から0.20で、パーセントモル比にして3%から20%に相当する請求項1から4のいずれかに記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項7】
炭酸イオンとMg2+イオンの混合物を含み、前記炭酸およびMg2+イオンは請求項5と6に記載の前記モル比で存在する請求項1から6のいずれかに記載のヒドロキシアパタイト。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の前記ヒドロキシアパタイトであって、
ケイ酸、Sr2+、炭酸;もしくは、
ケイ酸、Sr2+、Mg2+;もしくは
ケイ酸、炭酸、Mg2+;もしくは
Sr2+、炭酸、Mg2+;の置換イオンを含み、
前記イオンは、請求項2から6に記載のモル比と同じモル比で存在するヒドロキシアパタイト。
【請求項9】
置換イオンであるケイ酸、Sr2+、炭酸、Mg2+を含み、前記イオンは請求項2から6に記載のモル比と同じモル比で存在し、好ましくは;
ケイ酸イオンは、モル比SiO/POが0.01から0.10で存在し、
Sr2+イオンは、モル比Sr/Caが0.03から0.25で存在し、
炭酸イオンは、モル比CO/POが0.05から0.30で存在し、
Mg2+イオンは、モル比Mg/Caが0.03から0.20で存在する請求項1から7のいずれかに記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項10】
前記ヒドロキシアパタイトは、ゼラチン、アルブミン、アルジネート、ジェランガム、デンプン、キトサン、セルロース、コラーゲン、ポリラクチック酸から選択される天然もしくは合成ポリマーを効果的な量さらに含有し、好ましくは前記ポリマーはコラーゲンである請求項1から9のいずれかに記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項11】
コラーゲンは、無機物アパタイト層とコラーゲンの相対重量比、すなわちw/wで表される置換HA/コラーゲンが、約85から15で存在し、好ましくは前記比は80から20で、より好ましくは75から25である請求項10に記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項12】
置換HA/コラーゲンの前記比は約70/30w/wである請求項11に記載の前記ヒドロキシアパタイト。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の多置換されたヒドロキシアパタイトを生成する方法であって、HPOの水溶液b)を添加することによりケイ酸および/またはSr2+イオンを含有するCa(OH)の塩基性懸濁液a)の中和反応を含み、前記中和反応において、
i)前記懸濁液a)は、効果的な量のMg2+イオンをさらに含み;および/または
ii)前記水溶液b)の添加は、炭酸水素イオンの水溶液の添加と同時に行われる方法。
【請求項14】
前記ケイ酸イオンは、Si(CHCOO)として存在する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記Sr2+イオンは、Sr(NOとして存在する請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記Mg2+イオンは、MgClとして存在し、好ましくはMgCl・6HOとして存在する請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記炭酸水素イオンは、NaHCOとして存在する請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記試薬塩は、以下の濃度で使用される:
Ca(OH):10から1000g/lで、好ましくは30から250g/l;
Si(CHCOO):5から500g/lで、好ましくは8から70g/l;
Sr(NO:5から600g/lで、好ましくは25から300g/l;
MgCl・6HO:5から700g/lで、好ましくは25から250g/l;
PO:5から1000g/lで、好ましくは50から200g/l;
NaHCO:2から600g/lで、好ましくは8から70g/lである
請求項13から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記水溶液b)は、ゼラチン、アルブミン、アルジネート、ジェランガム、デンプン、キトサン、セルロース、コラーゲン、ポリラクッチ酸から選択される天然もしくは合成ポリマーを効果的な量さらに含有し、前記ポリマーは、好ましくはコラーゲンである請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記コラーゲンは、無機物アパタイト層とコラーゲンの相対重量比、すなわちw/wで表される置換HA/コラーゲンが約85から15で存在し、好ましくは前記比は80から20で、より好ましくは75から25である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
置換HA/コラーゲンの前記比が、約70/30w/wである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記懸濁液a)は、合成生理液であるSBFを効果的な量さらに含む請求項19から21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記中和反応は、かき回されながら、20℃から40℃の体温において行われ、好ましくは25℃から37℃である請求項19から22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
代用骨を生成するための請求項1から12のいずれかに記載のヒドロキシアパタイトの使用。
【請求項25】
請求項1から12のいずれかに記載のヒドロキシアパタイトを使用する請求項24に記載の前記代用骨。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−511420(P2009−511420A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536142(P2008−536142)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際出願番号】PCT/IB2006/002844
【国際公開番号】WO2007/045954
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(508019403)
【氏名又は名称原語表記】FIN−CERAMICA FAENZA S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Granarolo,177/3,I−48018 Faenza,Italy
【出願人】(508120525)
【氏名又は名称原語表記】C.N.R.CONSIGLIO NAZIONALE DELLE RICERCHE
【住所又は居所原語表記】Piazzale Aldo Moro,7,I−00185 Roma (IT)
【Fターム(参考)】