説明

多視野ディスプレイを用いるシステムと方法

発明の実施形態は、種々の陸、水および/または宇宙の乗物において多レベル・ディスプレイを用いる乗物計装システムとディスプレイシステムに関する。1つの実施形態では、フライトデッキ機器パネルのための飛行機計装システムは、(第1乗員のための視野と第2乗員のための視野を含む)少なくとも2つの視野を含む少なくとも1つの多視野ディスプレイを含む。他の実施形態では、予備機器は、2つの多視野ディスプレイの各々に表示できるので、予備機器は飛行中につねに各乗員に見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物表示システム、より詳細には、複数の多視野ディスプレイを用いる機器パネルまたは制御表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の自動車、たとえば、装甲車、タンク、飛行機、宇宙船などのための制御システムと計装(instrumentation)パネルは、進んだコンピュータエレクトロニクスと表示システムを含む。たとえば、現代の飛行機は、進んだ計器と表示システムを用い、しばしば、14インチ×10インチ(約35.5cm×25.4cm)までの大きさの大きなディスプレイを含む。さらに、多くの現在の飛行機は、複数の大きなディスプレイ(大型旅客機ではいくつかの場合では4つ以上のディスプレイ)を使用することがある。そうして、フライトデッキの空間はますます乏しくなっていき、大きなディスプレイに多重タスクを行わせ、たとえば、飛行条件や操縦士の好みにより種々のメニューや機能情報を提供する。これらの大きなディスプレイを、航空機業界では一般に多機能ディスプレイ(MFD)という。
【0003】
いくつかのMFD、典型的には、操縦士または副操縦士の実質的に前にあるMFDは、プログラム可能および/またはカスタマイズ可能であり、操縦士により、飛行機を飛ばすための主要機器すなわちディスプレイとして用いられる。これらのディスプレイは、プライマリ・フライト・ディスプレイ(PFD)といい、操縦士または副操縦士に割り当てられまたは専用に設けられる。MFDとPFDは、典型的には、分離されたコントローラを含み、コントローラは、ディスプレイ上で異なるメニューや情報のグラフィック提示を選択するためのノブ、ボタンなどを含む。さらに、フライトデッキ機器パネルは、燃料システム、電力システム、天候検知システムなどの複数の特定飛行機システムのための個々のコントローラを含み、これはフライトデッキ機器パネルをさらに混雑させ、複雑にする。
【0004】
現代の飛行機のエレクトロニクスと電子ディスプレイの信頼性にもかかわらず、安全のための設備や冗長システムがさらに飛行機製造会社により提供され、ある場合には、米国連邦飛行規則(FAR)により要求される。たとえば、FAR 25.1333(b)によれば、「装備、システムおよび装置は、機器によって提供される飛行の安全性にとって必須の情報(姿勢、方位、対気速度、高度を含む)の1つのディスプレイが、極端に起こりにくくはない単独の故障または複数の故障の組合せの後で、操縦士にとって利用可能のままでなければならない。」さらに、FAR 25.1302(b)(4)は、「一体化横滑り内滑り(slip-skid)計(ターンアンドバンク計)と組み合わされたジャイロスコープ回転数指示器(360°のピッチとロールの飛行姿勢により使用可能で、§121.305(k)により取り付けられた第3の姿勢機器システムを備えた大型飛行機について横滑り内滑り計のみが要求される場合を除く)」と記載する。故障の間に操縦士に利用可能でなければならないディスプレイは、当業界では予備示度(indication)、機器またはディスプレイという。これらの規定を満たすため、1つの予備のディスプレイが、典型的には、操縦士と副操縦士の間の機器パネルの上に設けられる。
【0005】
フライトデッキでのコントロールパネルでの大きなMFDやPFDの拡大された使用により、他の計装の配置のための空間が少なくなっている。これは、特に、フライトデッキでのコントロールパネルで中央に操縦士と副操縦士の間にある予備ディスプレイの伝統的な配置にとって真実である。この中心位置はFAR 24.1321(a), (b), (1), (2), (3)および(4)の視覚上の要求に適う一方、多くの飛行機製造会社は、いま、この中心位置を追加の大きなMFDや他の機器のために理想的であると考えている。
【0006】
さらに、飛行機の操縦士には、フライトデッキの機器パネルの上の空間がないことや、自動化のレベルの増加により加わる複雑さや、現代の飛行機の高性能により、余分の作業負荷が加わる。大きなMFDは、操縦士が作業負荷を効率的に扱うのを助けるけれども、飛行機の操縦士は、同時に、複数の機器に目を通し、視覚的情報を集め、飛行機をとばさなければならない。いくつかの場合、たとえば、緊急事態や飛行機のある動きでは、予備ディスプレイは、操縦士に利用可能な唯一の機器であるかもしれない。予備ディスプレイの伝統的な配置では、DOT/FAA/CT-96/1の人的因子設計ガイドにより規定されているように、予備ディスプレイは主要視野の外側に配置される。これにより、操縦士は、予備ディスプレイから必要な情報を探し集めるために、異なる機器チェックを強いられ、これは、本質的に、緊急事態の間に、既に重い操縦士の作業負荷を増す。
【0007】
操縦士が機器チェックの間に複数軸、例えば垂直軸と水平軸にそってチェックすることを要求する条件を、当業者は視差(parallax)という。当業者に知られているように、飛行の間、とくに緊急事態条件の間での視差条件は、操縦士の作業負荷とストレスのレベルを大きく増加する。
【0008】
伝統的な予備機器を機器パネルの中心から配置し直すことは前から試みられていたけれども、成功していなかった。たとえば、予備機器取り付けのための空間は、機器パネルの遠い側に見出されるかもしれない。しかし、この位置は、両操縦士のための連邦飛行規則の視認性とアクセスの要件に応ずるものではなく、連邦飛行規則に合わすために、複数の予備ディスプレイの使用を強いる。さらに、そのような位置決めは、特にこの位置での予備ディスプレイのチェックが視差条件を生じるので、機器の走査の間に、操縦士に加わる作業負荷を対処するものではない。
【0009】
同様に、伝統的な予備機器のPFDの上での配置も同じく成功しなかった。種々の飛行データを表示し飛行機システムを制御するのに必要なエビオニクス機器で、PFDの上での機器パネルの領域は、伝統的に極端に混雑している。伝統的な予備機器は、緊急事態で重要装置であるけれども、そうでなければ非常にしばしば使用されることはない。そうであるので、従来は、まれに用いられる伝統的な予備機器を、PFDの上に、よく使用されるディスプレイやコントローラの間に配置することは、費用を要し効率的でないと考えられてきた。
【発明の概要】
【0010】
本発明のいくつかの実施形態では、多視野技術は、複数のディスプレイシステムを備える乗物において使用できる。たとえば1つのディスプレイ装置は2つの同時ディスプレイとして機能できる。この1つのディスプレイ装置は、2つの異なる視覚範囲(viewing envelope)を備えていてもよい。各々の視覚範囲は、ディスプレイ装置上の関連する画像が可視である3次元空間を定義する。発明の実施形態による多視野技術を用いることにより、乗物は、第1画像と、関連する視覚範囲とを第1乗員に専用にすることにより、また、第2画像と、関連する視覚範囲とを第2乗員に専用にすることにより、実際のディスプレイ空間を大きく増加できる。
【0011】
たとえば、2操縦士飛行機において用いられる飛行機計装パネルは、2つの異なる画像(操縦士ごとに1つの画像)を提供できる多視野技術を用いるディスプレイ装置を含んでいてもよい。これを達成するため、ARP4256(Design Objectives for Liquid Crystal Displays for Part 25)とARP4260(Photometric and Colorimetric Measurement Procedures for Airborne Flat Panel Displays)に議論されているように、各操縦士は、ディスプレイ装置に対して異なる視覚範囲の中に位置できる。発明のいくつかの実施形態は、多視野ディスプレイの上の2つの画像の少なくとも一方の上に常に予備機器を表示することにより、FARの規則(具体的には§91.205、§25.1303、§25.1321、§25.1333)とのコンプライアンスを満たすために用いられる。
【0012】
発明の1実施形態において、2つの多視野ディスプレイは、複数の機能を1つの装置に結びつけるいずれかの関連される飛行機システムコントローラとともに使用できる。FAR規則とのコンプライアンスを維持しつつ、機器パネルの不動産(real estate)を最大にし、操縦士の作業負荷を最小にするため、複数の多機能機器(システムコントローラとディスプレイ)は、予備機器と組み合わされて、米国特許出願第11/172,925号(2005年7月5日出願)に開示された実施形態において説明されたように使用できる。多視野技術を多機能コントローラおよび関連されるディスプレイと組み合わせることにより、各々のディスプレイは、2つの画像(2つの異なる視覚範囲の各々の中に1つの画像)を示すように機能できる。各々のディスプレイについて2つの画像は、正面側(on-side)画像または視野(view)と交差側(cross-side)画像または視野ということができる。正面側視野は、ディスプレイが取り付けられている飛行機の側に向けられる視覚範囲と関連でき、交差側視野は、上記ディスプレイと対向する飛行機の側に向けられる視覚範囲と関連できる。各々の正面側視野は、種々のデータ源からの情報にアクセスするために、関連される視覚範囲内に位置された関連される乗員すなわち操縦士により制御できる。各々の交差側視野は、関連される視覚範囲内に位置された関連される他の乗員すなわち操縦士により制御でき、または、常に予備示度(indications)を表示でき、これにより、予備機器に関するFAR規則を満たす。
発明のこれらおよび他の目的と効果は、以下の説明と添付図面から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】発明の1実施形態による多視野ディスプレイの図式的な機能的図
【図2】発明の1実施形態によるフライトデッキの図式的な正面図
【図3】発明の1実施形態による多視野ディスプレイ装置の図式的な上面図
【図4】発明の1実施形態による多視野ディスプレイの交差側視野についての予備機器の1例を示すディスプレイ/コントローラの図
【図5】発明の1実施形態による多視野ディスプレイの交差側視野についての予備機器の1例を示すディスプレイ/コントローラのもう1つの図
【図6】発明の1実施形態による多視野ディスプレイ装置のもう1つの図式的な上面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照して発明の実施の形態を説明する。しかし、この発明の主題は、多くの異なる形で具体化でき、個々に開示された実施形態に限定されるものと解釈されるべきでない。
【0015】
本発明の実施形態により、乗物のディスプレイシステムと機器パネルは、たとえば多乗務員乗物(複数の乗務員により操縦される乗物)に用いられている制限された空間を最大にするために多視野ディスプレイを用いる。これらの乗り物は、タンク、装甲車、船、潜水艦、飛行機、宇宙船を含むが、これに限定されない。
【0016】
発明のいくつかの実施形態の1例では、飛行機機器パネルディスプレイは、たとえば、機器パネルの不動産を最大にするため、操縦士の作業負荷を減少するため、追加の訓練を最小にするため、新しい操作手順の追加を省くため、列交換ユニット(LRU)の総数を減少するため、取り付けにかかる費用を低くするため、ディスプレイの冗長性の追加の層を提供するため、および/または、機器パネルのカスタマイズ化において操縦士により大きな柔軟性を提供するために、多視野ディスプレイを使用できる。シャープ社により製造される2視野液晶ディスプレイなどの多視野ディスプレイは、2つの異なる視覚範囲の中に2つの異なる画像を提供できる。発明の実施形態は、単独のディスプレイ装置を用いて2人の操縦士に運行情報または飛行データを表示して、単独のディスプレイ装置の機能性を効果的に2倍にすることを含む。図面に示される実施形態は、シャープ社の2視野液晶ディスプレイなどの2つの視覚範囲を用いたディスプレイに関連されるけれども、本発明の計装は2よりも多い視野を含むデ多視野ディスプレイを含み、また、2人より多い乗員に運行情報または飛行データを提供できる。
【0017】
図1は、発明の1実施形態による多視野ディスプレイ10の機能的性能の1例を図式的に示す。図1に示されるように、多視野ディスプレイ10は、異なる視覚範囲内に視野Aと視野Bを生じる。多視野ディスプレイ10は、ユーザA(たとえば操縦士)が視覚範囲20の中に位置される限り、ユーザAに視野Aを示す。同様に、多視野ディスプレイ10は、ユーザB(たとえば副操縦士)が視覚範囲30の中に位置される限り、ユーザBに視野Bを示す。理解されるべきであるが、視覚範囲は、寸法や位置について調整できる。視覚範囲20、30は図1に2次元で示されるけれども、当業者が理解するように、視覚範囲は3次元の空間を表す。
【0018】
図2は、発明の実施形態による飛行機フライトデッキ計装100の前面の1例を図式的に示す。ここで、多視野ディスプレイ10は、計装の機能性を増加しFAR規則を満たすために使用できる。フライトデッキ計装100は、風防窓エリア20と、まぶしい光の光遮蔽30と主要機器パネル40を含む。飛行デッキ計装100は、また、2つのディスプレイおよび構成可能な(configurable)コントローラ111,112(以下ではディスプレイ/コントローラ111,112という)を含む。飛行デッキ計装100は、また、4つの多機能ディスプレイ(MFD)(図2ではMFD141,142,143,144として示される)を含む。各々のディスプレイ/コントローラ111,112は、ディスプレイ120と、対となるコントローラパネル130を含み、操縦士または副操縦士と1以上のMFDとに関連される。
【0019】
ディスプレイ/コントローラ111、112はMFD141,142,143,144のいずれかに関連されるように構成できるけれども、ディスプレイ/コントローラ111、112は、すぐ下に取り付けられるMFDに関連できる。たとえば、ディスプレイ/コントローラ111は、MFD141,142に関連できる。また、ディスプレイ/コントローラは、より少ない数またはより多い数のMFDに関連できる。さらに、ディスプレイ/コントローラ111、112は、図2において、光遮蔽30の中に位置され、MFD141,142,142,144のすぐ上に位置されている。しかし、ディスプレイ/コントローラ111、112は、また、飛行デッキ計装100で他の位置にも配置できる。図2に示されるディスプレイの寸法と数は、発明の範囲と精神からずれることなく、変更でき、調節できる。
【0020】
発明の1つの実施形態によれば、多視野ディスプレイは、予備機器がディスプレイ/コントローラ111、112の交差側視野にいつでも表示されるように、ディスプレイ/コントローラ111、112に組み込める。ディスプレイ/コントローラ111、112の交差側視野の上に予備示度を常に提供することにより、ディスプレイ/コントローラ111、112は、冗長な、バックアップの飛行ディスプレイのための規則の要請を満足するように構成およびプログラム可能である。たとえば、連邦飛行規則FAR 14 CFR 第1章パラグラフ25.1303, 25.1321および25.1333の組合せは、予備機器が、操縦士と副操縦士の両者に追加の乗員の動作なしに常に可視であって利用可能であることを要求する。パラグラフ25.1321の要求によれば、予備機器は、(a)操縦士が飛行経路にそって前を見るとき、通常の位置と視線からの最小の実際的なずれで操縦士の場所から操縦士に明白に可視であり、(b)(1)上の中心位置における姿勢、(2)その姿勢の左に隣接して、直接にある対気速度計、(3)その姿勢の右にすぐ隣接してある高度計、(4)その姿勢の隣接してすぐ下にある飛行方向計を表示する。当業者に理解されるように、機器パネル100とディスプレイ/コントローラ111、112は、他の要求される飛行規則、たとえばFAR §91.205、を満たすように多視野ディスプレイを用いて構成できる。
【0021】
図3に図式的に示される発明の1つの実施形態では、ディスプレイ/コントローラ111、112の上に構成される多視野ディスプレイを備える。また、図3は、ディスプレイ/コントローラ111、112と多視野ディスプレイ120に関して操縦士と副操縦士に利用可能な視覚範囲を示す。ディスプレイ/コントローラ111の多視野ディスプレイ120は、図示されるように、正面側視野111aと交差側視野111bを表示するように構成できる。ディスプレイ/コントローラ111の正面側視野111aは、操縦士210に関連され、ディスプレイ/コントローラ111の交差側視野111bは、副操縦士220に関連される。同様に、ディスプレイ/コントローラ112の多視野ディスプレイ120は、図示されるように、正面側視野112aと交差側視野112bを表示するように構成できる。ディスプレイ/コントローラ112の交差側視野112bは、操縦士210に関連され、ディスプレイ/コントローラ111の正面側視野111aは、副操縦士220に関連される。
【0022】
2操縦士飛行機のために描かれるように、操縦士と副操縦士は、それぞれ、複数の機器パネルディスプレイを構成し(地上でも空中でも)種々の飛行機システムを制御するためにコントローラ130を用いて、正面側視野111a、112aを制御できる。したがって、正面側視野111a、112aは、交差側視野111b、112bへの制限や影響なしに、カスタマイズされ構成される。交差側視野111b、112bは、常に予備計測データを表示するように構成できる。正面側視野111a、112aと交差側視野111b、112bは、逆に、正面側視野111a、112aが常に予備計測データを表示し交差側視野111b、112bが操縦士と副操縦士により構成できるようにできる。
【0023】
図4において、図3のディスプレイ/コントローラ111は、多視野ディスプレイ120の交差側視野の上の予備機器の1例と共に図式的に示される。図4は、画面400を含むディスプレイ120を示し、このディスプレイ120は、標準化された飛行データを予備機器に応じて示すように構成される。
【0024】
発明の1実施形態によれば、ディスプレイ/コントローラ111の交差側視野111b(図4に示される)は、副操縦士220のための予備機器として動作する(図3に示される)。理解されるように、図4に示される予備機器の図は、ディスプレイ/コントローラ111、112の両方に適用される。その結果、ディスプレイ/コントローラ112の交差側視野112bも、図4でディスプレイ120の上に示される予備機器を表示でき、操縦士210のための予備機器として使用できる(図3に示される)。
【0025】
当業者が認識するように、図4に示される予備機器飛行データは、一般的に、対気速度、高度、姿勢および方位についての飛行データに関係する。FARの規則の要求により、ディスプレイ/コントローラ111、112は、図4に示されるように構成でき、ここで、交差側視野111b、112bは、特定の飛行機データを表示する。たとえば、対気速度500は、画面400の左に示される。高度データ510は、一般的に高度データ510と対気速度データ500の間に示される姿勢データ520の右に表示される。1例では、画面400の底部にそって、方位データ530が表示できる。理解されるべきであるが、予備機器は、この飛行データまたは他の飛行データを、図示されているより多くまたは少ない飛行データとともに、異なる配置で表示するように構成できる。図4に示されるデータは、いくつかのFAR規則を満たすように構成できるけれども、飛行データの他の構成も、操縦士の好みにより、また、別の規則、たとえば外国の規則に合うように、構成できる。
【0026】
図5において、図式的に表示されるディスプレイ/コントローラ111は、正面側視野111aの上の飛行機システムメニューの1例を表示するディスプレイ120を備える。図に示されるように、正面側視野は、画面400の正面側視野の上の飛行機パワーのメニューを含む。当業者にとって明らかであるが、ディスプレイ120と正面側視野は、任意の数の飛行機システムメニュー、飛行情報、予備計測データなどを表示するように構成できる。コントローラ130は、ディスプレイ120の上に示されるメニューを扱うため、また、他のディスプレイまたは機器を制御するために、使用できる。
【0027】
ディスプレイ/コントローラ111,112の制御パネル130は、ディスプレイ120とともに動作して飛行機システムデータを表示し、飛行機システムを変更する。また、パネル130は、ディスプレイと独立して動作できる。たとえば、ディスプレイ120の正面側視野または交差側視野を乱すことなく、パネル130を用いて、飛行機システムへの変更を行える。
【0028】
図3に戻って説明すると、プロセッサ305とプロセッサ310は、ディスプレイ/コントローラ111,112に画像データを提供するように構成できる。より詳細には、プロセッサ305は、ディスプレイ/コントローラ111のコントローラ130および/または多視野ディスプレイ120とともに動作して、正面側視野111aと交差側視野111bのための画像データを提供するように構成できる。同様に、プロセッサ310は、ディスプレイ/コントローラ112のコントローラ130および/または多視野ディスプレイ120とともに動作して、正面側視野112aと交差側視野112bのための画像データを提供するように構成できる。プロセッサ305は、たとえば、飛行機センサ320から飛行機データを監視または入力し、図5に示されるように、表示のためにその飛行機データを処理する。また、プロセッサ305は、コントローラ130とともに動作して、飛行機サブシステムを制御する。冗長性の1つの形として、プロセッサ310は、追加の1組の飛行機センサ325から飛行機データを監視しまたは受け取り、その飛行機データを表示のために処理する。
【0029】
予備機器は典型的にはそれ自身の電源、独立のデータ源および独立のディスプレイを含むので、プロセッサ305は、予備センサ315から予備データを監視しまたは受け取るように構成される。同様に、プロセッサ310は、予備センサ315から予備データを監視しまたは受け取るように形成される。発明の1つの実施形態によれば、プロセッサ305は、予備機器が交差側視野111bの上で副操縦士220に表示されるように、予備データを用いて、ディスプレイ/コントローラ111に画像データを提供する。さらに、プロセッサ310は、予備機器が交差側視野112bの上で操縦士210に表示されるように、予備データを用い、ディスプレイ/コントローラ112に画像データを提供する。各プロセッサ305,310が専用の予備センサを含むように、2つの別々の予備センサが使用できる。
【0030】
操縦士210が交差側視野112bの上に示される画像を制御することを許される実施形態では、プロセッサ305は、ディスプレイ/コントローラ112にも結合できる。同様に、プロセッサ310は、ディスプレイ/コントローラ111に結合できる。図示されないが、種々の飛行機センサ(予備とその他)と結合される1つのプロセッサは、1つのディスプレイ/コントローラ111,112を制御するために使用できる。当業者にとって明らかであるが、プロセッサとセンサの他の組合せが、種々の組合せで、異なるレベルのシステム冗長性を提供するために使用できる。
【0031】
冗長性の追加のレベルは、計装110により供給できる。たとえば、1つのディスプレイ/コントローラの損失があると、もう1つのディスプレイ/コントローラが、操縦士と副操縦士の両方に規則の予備機器として指定されることになり、これにより、作動中のディスプレイ/コントローラが正面側視野112aと交差側視野112bの両方につねに予備機器を表示させる。より詳細には、ディスプレイ/コントローラ111が欠けた場合、ディスプレイ/コントローラ112が、予備機器として指定でき、図3に示される予備示度データを正面側視野112aと交差側視野112bの両方に表示する。そのような状況では、2つのディスプレイ/コントローラ111,112の制御パネル130とディスプレイ120の制御の特徴と機能が、別の機器により取り扱われる必要がありうる。これを達成するために、制御パネル130とディスプレイ120により提供される機能は、また、コックピット計装100のための冗長性の1つの形として、フライトデッキにおける他の手段によりサポートおよび/または制御されてもよい。
【0032】
したがって、図3に示される多視野ディスプレイを、図4に示される交差側構成と図5に示される正面側構成と組み合わせることにより、ディスプレイ/コントローラ111の多視野ディスプレイ120は、正面側視野111aを操縦士210が自由に見て操作し、かつ、副操縦士220が同時に交差側視野111bにおいてつねに予備機器を見るように機能するように構成できる。同様に、ディスプレイ/コントローラ112の多視野ディスプレイ120は、正面側視野112aを副操縦士220が自由に見て操作し、かつ、操縦士210が同時に交差側視野112bにおいてつねに予備機器を見るように機能するために構成できる。この構成は、発明の1実施形態により、通常のディスプレイ/コントローラとしての各々のディスプレイ/コントローラ111,112のコントローラ130の機能とディスプレイ120の正面側視野に影響せずに、予備機器についてのFAR規則とのコンプライアンスを提供する。
【0033】
規則の要求は、種々のFAR要求を満たす予備機器の存在を必要とするけれども、予備機器がディスプレイ/コントローラ111,112に組み込まれることは要求されていない。正面側視野111a、112aと交差側視野111b、112bは、飛行機システムメニューのための機能的ディスプレイ、また、飛行機の飛行データの機能的ディスプレイとして構成でき、また、操縦士または副操縦士の好みにより、構成可能である。予備機器を、コックピットにおける他のディスプレイ141,142,143,144または他の機器の上に置いてもよい。
【0034】
また、予備機器のディスプレイとカスタマイズ可能な画像との種々の組合せが、ディスプレイ/コントローラの多視野ディスプレイの上で使用でき、ディスプレイ/コントローラの正面側視野 と交差側視野の両方の十分な制御を可能にする。たとえば、正面側視野 と交差側視野は、システム故障が生じるまで、他の飛行データまたは飛行機システムメニューを表示するために使用でき、故障が起こると、正面側視野および/または交差側視野は自動的に予備機器に戻る。さらに、理解されるように、正面側視野と交差側視野は、操縦士または副操縦士が他の飛行データを優先するまで、はじめに予備機器に設定されてもよい。そのようにして、理解されるべきであるが、ディスプレイ/コントローラ111,112のディスプレイ120の複数の視野は、発明の範囲と精神からずれることなく、別の飛行情報を表示するように構成できる。
【0035】
発明の他の実施形態によると、図2に示されるMFD141,142,143,144は、多視野ディスプレイを含んでいてもよい。多視野ディスプレイは、ディスプレイ120上での多視野ディスプレイを用いることに加えて、またはその代わりに、MFDの上で使用できる。図6は、発明の1実施形態を図式的に示す。ここで、多視野ディスプレイは、計装100のMFD142,143に組み込まれる。上述のディスプレイ120について、MFD142は、操縦士210と関連される、正面側視野142aと、副操縦士220と関連される、交差側視野142bを含む。同様に、MFD143は、副操縦士220と関連される正面側視野143aと、操縦士210と関連される交差側視野143bを含む。
【0036】
図6に示されるように、操縦士210は、飛行データを表示するためにMFD141、142(正面側視野142aを備える)とMFD143(交差側視野143bを備える)を構成でき、通常の2つの操縦士に関連されるMFDの表示面積を、図2を参照して説明したように、3つの操縦士に関連されたMFDに効率的に増加する。
【0037】
さらに、関連されるMFDに表示される画像は、操縦士の好みに合わせてカスタマイズできる。たとえば、操縦士は,動いていく地図を表示するようにMFD142aを構成でき、アプローチチャートを表示させるようにMFD143bを構成できる。副操縦士は、アプローチチャートを表示させるようにMFD142bを構成でき、動いていく地図を表示するようにMFD143aを構成できる。
【0038】
当業者に理解されるように、MFDを制御する種々の方法が、MFDの表示内容を制御するために使用される。たとえば、ディスプレイ/コントローラ111の上でのコントローラ130は、MFD141、正面側視野142aおよび交差側視野143bを制御するために操縦士210により用いられる。同様に、ディスプレイ/コントローラ112の上でのコントローラ130は、MFD144、正面側視野143aおよび交差側視野142bを制御するために副操縦士220により用いられる。別の例では、コックピット計装110の上の他の機器が、操縦士または副操縦士と関連されるMFDを制御するために使用できる。
【0039】
図6に示された実施形態とは別の実施形態は、種々の組み合わせで多視野ディスプレイを用いることを含む。たとえば、複数のMFDにおいて1つのみの多視野ディスプレイを使用できる。MFD143は、ただ1つの上述の多視野ディスプレイとして構成でき、これにより、操縦士に3つの関連されるMFDを提供し、副操縦士に典型的な2つの関連されるMFDを提供する。さらに、コックピット計装100におけるすべてのMFD141,142,143,144は、多視野ディスプレイを含んでいてもよく、これにより、操縦士210と副操縦士220に関連されるディスプレイの数を実際に2倍にする。
【0040】
図6は、また、ディスプレイ/コントローラ111,112およびMFD141,142,143,144に画像データを提供するように構成できるプロセッサ350,355を示す。より詳細には、プロセッサ350は、ディスプレイ/コントローラ111の多視野ディスプレイ120、MFD141,MFD142の正面側視野142aおよびMFD143の交差側視野143bに画像データを提供するため、コントローラ130および/または他のデバイスとともに動作するように構成できる。同様に、プロセッサ355は、ディスプレイ/コントローラ112の多視野ディスプレイ120、MFD144,MFD143の正面側視野143aおよびMFD142の交差側視野142bに画像データを提供するため、コントローラ130および/または他のデバイスとともに動作するように構成できる。プロセッサ350は、飛行機のセンサ365からの飛行機データを監視し、または受け取り、たとえばディスプレイ/コントローラ111の多視野ディスプレイ120、MFD141,MFD142の正面側視野142aおよびMFD143の交差側視野143bの中の少なくとも1つでの表示のために飛行機データを処理できる。また、プロセッサ350,355は、飛行機サブシステムを制御するために、ディスプレイ/コントローラ111,112の上でコントローラ130と共に動作できる。冗長性の1つの形として、プロセッサ355は、追加の1組の飛行機センサから飛行機データを監視し、または、受け取って、表示のために飛行機データを処理するように構成できる。
【0041】
プロセッサ350は、別の予備情報データ源360から予備データを監視しまたは受け取るように構成できる。同様に、プロセッサ355は、別の予備情報データ源360から予備データを監視しまたは受け取るように構成できる。発明の1つの実施形態では、プロセッサ350は、予備機器が副操縦士220に交差側視野で表示されるように、予備データを使用でき、画像データをディスプレイ/コントローラ111またはMFD142に提供できる。さらに、プロセッサ355は、予備機器が操縦士210に交差側視野で表示されるように、予備データを使用でき、画像データをディスプレイ/コントローラ112またはMFD143に提供できる。また、各プロセッサ355,350が専用の予備情報データ源を使用するように、2つの別の予備センサが単独の予備センサ360の代わりに使用できる。
【0042】
図6に示されるように、操縦士210は、プロセッサ350の働きにより、ディスプレイ/コントローラ111のディスプレイ120、MFD141,正面側視野142aおよび交差側視野143bに示される画像を制御できる。同様に、副操縦士220は、プロセッサ355の働きにより、ディスプレイ/コントローラ112のディスプレイ120、MFD144,正面側視野143aおよび交差側視野142bに示される画像を制御できる。また、図に示されないけれども、1つのプロセッサが、種々の飛行機センサ(予備センサ及び他のもの)とともに、ディスプレイ/コントローラ111,112およびMFD141,142,143,144の両方を制御するために使用できる。当業者に明らかであるが、プロセッサとセンサの他の組合せが、異なるレベルのシステム冗長性を提供するために使用できる。
【0043】
また、理解されるべきであるが、発明の実施の形態は他のMFDの構成と組み合わせできる。たとえば、飛行機のコックピットは、1組の視野が操縦士に関連され別の1組の視野が副操縦士に関連される限り、多視野ディスプレイの種々の組合せを用いる1,2または3のMFDを含むことができる。理解されるべきであるが、3人以上の乗員を有する飛行機において、多視野MFDは、2以上の乗員に視野を向けるように構成できる。さらに、2視野ディスプレイは、異なる乗員に各視野を向けて、ディスプレイの視覚範囲内に位置しない第3の乗員にその2視野ディスプレイが有効でないままにするように構成できる。また、別の形態では、3以上の異なる視野を備える多視野ディスプレイは、異なる乗員に視野を向けるように構成できる。
【0044】
上述のディスプレイ/コントローラについて、FAR飛行規則などの種々の法的規制に合わせるために、予備機器はMFDに組み込むことができる。たとえば、図6において、MFD142,143は、つねに交差側視野142b、143bの上で予備示度を表示するように構成できる。したがって、MFD142,143のための交差側視野は、ディスプレイ/コントローラ111,112について前に説明したのと同じように、FAR規則を満足する。予備機器は、いずれかの多視野MFDに組み込まれ得るが、図6に示されるMFD142,143に限定されるべきでない。
【0045】
発明の他の実施形態によれば、多視野ディスプレイは、図3について説明したようなディスプレイ120に加えて、図6について説明したようなMFD141,142,143,144に組み込まれ得る。そのような構成において、操縦士または副操縦士は、表示のために多数の種々の交差側視野から選択を行える。多視野ディスプレイにより1つのディスプレイ装置が複数の多視野を表示できるので、多視野ディスプレイは、かなり高いレベルの冗長性と柔軟性を可能にする。たとえば、いずれかの正面側視野または交差側視野の装置がまったく故障した場合、ディスプレイの構成は、手動または自動で、「健康な」ディスプレイまたは視野に移ることができる。
【0046】
多視野ディスプレイは、飛行機計装におけるMFD、ディスプレイ/コントローラおよび/または他のディスプレイにおいて、種々の組合せおよび配列において使用できる。さらに、交差側視野で予備計測データを表示する専用の多視野ディスプレイが、操縦士または副操縦士により、除去でき、または、カスタマイズできる。たとえば、操縦士は、予備計測データのためにディスプレイ/コントローラ112で交差側視野を選択でき、ここで同時に副操縦士は予備計測データのためにMFD142の交差側視野を選択できる。当業者には明らかであるが、他のそのような組合せが使用可能であり、発明の実施形態の中に含まれる。
【0047】
多視野ディスプレイは、デフォルトで、予備計測データがシステム故障の場合に正面側視野と交差側視野の両方に表示される作動モードに設定するように構成できる。明らかであるが、MFDの故障、機械的故障、電源切断などのいずれかの数の故障が、そのようなデフォルト構成を引き起こすことができる。したがって、発明の実施形態では、通常飛行条件の間や、複数の多レベル・ディスプレイの中の1つの故障のときに、2人の乗員、操縦士と副操縦士、が1つの多視野ディスプレイたとえばディスプレイ/コントローラで予備示度を見られるので、複数の冗長レベルを提供できる。また、ディスプレイの制御が所定時間の間、使用されなかった後で、いずれかの視野は、デフォルトの予備示度に戻るように構成される。たとえば、図5において正面側視野111aに示される飛行機メニューの視野は、パワーメニューが所定時間の間、使用されなかった後で、デフォルトの予備示度に戻る。
【0048】
さらに、他のレベルの冗長性が、冗長な視野ディスプレイと関連されるデータ源の種々の構成とともにシステムに組み込める。たとえば、同じ予備データ源が、1つの多視野ディスプレイ上の正面側視野と交差側視野に情報を表示するために使用される。しかし、その代わりに、別々のデータ源が、各々の多視野ディスプレイおよび/または1つの多視野ディスプレイ上の各々の視野のために使用できて、飛行機計装設計者に利用可能な冗長性のレベルを大きく増加する。
【0049】
理解されるべきであるが、いずれの多視野ディスプレイの正面側視野と交差側視野も、専用データ源から情報を表示するように構成でき、または、システム故障の場合に、予備機器を含む、利用可能ないずれのデータ源からの情報も表示するように構成できる。
【0050】
ディスプレイ/コントローラ111,112のコントローラ機能のための別の計装と冗長性は、正面側視野と組み合わされて、FAR 25/ Part 91/135/121により規定された大型旅客機により要求されるように、すぐの出発のためのオプションの最小装備リスト(Minimum Equipment List)を考慮に入れている。MELで認可された飛行機は、飛行機の作業員が直ちに修理する必要を軽減すること、および/または、故障した部品との最大の作業時間を提供することにより、時間を減少できる。MEL認可は、冗長性の利益に加え、遠隔位置に傷ついているとき、または、急速な空輸の必要があるとき、作業員が作業を続けることができるので、典型的には、大型旅客機のための販売の長所と考えられる。
【0051】
理解されるべきであるが、フライトデッキ計装100と図3に示される実施形態とは、たとえばFAR25.1333により扱われている、大型旅客機のための2操縦士の飛行乗員に応じている。しかし、異なる大きさの旅客機のための他の機器パネルは、発明の実施形態により、多視野ディスプレイを備えるディスプレイ/コントローラと他の計装ディスプレイを用いて構成できる。多視野ディスプレイを用いる機器パネルは、規則に要求される予備機器として機能することが要求されず、また、意図されない。それでも、多視野ディスプレイは、発明の実施形態により、より小さな飛行機のコックピットに組み込める。
【0052】
当業者にとって明らかであるように、1次ディスプレイと2次ディスプレイのためのエビオニック機器は、航法データ源を含む1つの電子センサパッケージを含んでいてもよい。しかし、ディスプレイ/コントローラおよび/または他のディスプレイは、また、ディスプレイ/コントローラ111、112,MFD141,142,143,144などの種々のディスプレイのための別の、独立の電子センサパッケージを含んでいてもよい。これは、異なるディスプレイ上に表示される情報を比べることにより、種々の電子センサパッケージの正確性と機能性を確かめる方法を操縦士に提供できる。当業者が理解するように、そのような比較は、安全と冗長性のための追加のレベルを提供する。
【0053】
発明の実施形態におけるメニュー、飛行機システム、制御システム、制御機能およびディスプレイは、図示された例に限定されると解釈されるべきでない。たとえば、本発明は、また、種々の飛行機システムやデバイス(飛行機センサ(SENSOR)、予備飛行ディスプレイ(SFD)、拡大視覚システム(EVS)/合成視覚システム(SVS)、副電源ユニット(APU)、コントローラ操縦士データリンク通信(CPDLC)、天候検知システム(WX)、機室加圧制御システム(CPCS)、燃料システム)(FUEL)、チェックリストシステム(CHKLST)、1次飛行ディスプレイシステム、地図システム(MAP)、アプローチおよび途中(Approach and Enroute)航法チャートシステム(CHART)、ウインドウズ管理システム(WINGT)、ディスプレイフォーマットメモリシステム(MEM)およびディスプレイ概要システム(SYOPTIC)に関連するものを含む)のためのメニューオプションと制御を含むが、それに限定されるべきでない。
【0054】
発明の別の実施形態により、多視野ディスプレイは、少なくとも2人の乗員が操作することを必要とする乗物、たとえば、陸上、水上、空中および宇宙での乗物、において使用できる。たとえば、図6からの1以上の多視野ディスプレイ142,143は、タンク、装甲車、ボートまたは船または他の乗物において配置されるディスプレイを表わすことができる。タンクに配置される発明の1実施形態において、正面側視野142aと交差側視野143bは、第1の乗員、たとえば運転手またはナビゲータに乗物または操作のデータを提供するように構成できる。正面側視野143aと交差側視野142bは、第2の乗員、たとえば砲手に操作のデータを提供するように構成できる。そのような装置は、タンクを運転する第1乗員に速度、位置、燃料レベルなどの乗物情報を正面側視野142aと交差側視野143bを介して提供する。砲撃対象、乗物位置レーダー信号などの情報は、タンクの大砲を操作する砲手に、正面側視野143aと交差側視野142bを介して提供する。飛行機で用いられる多視野ディスプレイにとって、発明の実施形態による多視野ディスプレイの装置は、典型的な狭い部分において、利用可能なディスプレイを効果的に増加する。
【0055】
また、理解されるべきであるが、視覚範囲は、多くの異なる方向に向けることができ、上述の発明の実施の形態に限定されるべきでない。たとえば、正面側視野と交差側視野が示されているが、水平配置に限定されるべきでなく、縦に積み重なる視覚範囲や、上下に重なる視覚範囲や相互に対角線上に位置される視覚範囲をも含む。
【0056】
この発明の個々の実施形態の上述の記述は、説明のために提示されている。しかし、これは開示された形に本発明を限定することを意図したものではない。当業者は、請求の範囲に記載されている発明の精神および範囲からはずれることなく、上述の実施形態に対して他の変形を行えることを認識する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の乗物データを測定する1組の乗物センサと、
上記1組の乗物センサから上記複数の乗物データを受け取り、上記複数の乗物データの中の少なくとも1つに、少なくとも部分的に、基づく第1画像と、上記複数の乗物データの中の少なくとも1つに、少なくとも部分的に、基づく第2画像とを生成するプロセッサと、
上記プロセッサに接続され、乗物機器パネルに設けられた表示画面を有する多視野ディスプレイ装置とを備え、
上記プロセッサは上記表示画面に、第1視覚範囲内に上記第1画像を表示させ、第1視覚範囲と異なる第2視覚範囲内に上記第2画像を表示させ、
上記表示画面は、作動中に、上記第1視覚範囲に位置する第1乗務員の第1位置に上記第1画像を表示し、上記第2視覚範囲に位置する第2乗務員の第2位置に上記第2画像を表示する、
乗物計装システム。
【請求項2】
多視野ディスプレイを用いて乗物を制御する方法であって、
複数の乗物センサからの複数の乗物データを監視し、
上記複数の乗物データを処理し、
上記複数の乗物データの少なくとも1つに、少なくとも部分的に、基づいて第1画像を生成し、
上記複数の乗物データの少なくとも1つに、少なくとも部分的に、基づいて第2画像を生成し、
上記第1画像を、第1視覚範囲内の第1乗務員に可視であるように上記第1視覚範囲内に表示し、
上記第2画像を、第2視覚範囲内の第2乗務員に可視であるように上記第2視覚範囲内に表示する、
方法。
【請求項3】
さらに、
上記多視野ディスプレイの上記第1画像の上で上記第1乗務員に表示される上記複数の飛行データの中の少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて上記第1乗務員により上記乗物を制御し、
上記多視野ディスプレイの上記第2画像の上で、上記第2乗務員に表示される上記複数の飛行データの中の少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて上記第2乗務員により上記乗物を制御する、
請求項2に記載された方法。
【請求項4】
さらに、
上記複数の乗物データの中の少なくとも1つの乗物データを表示するために上記第1乗務員の選択により上記第1画像をカスタマイズし、
上記複数の乗物データの中の少なくとも1つの乗物データを表示するために上記第2乗務員の選択により上記第2画像をカスタマイズする、
請求項3に記載された方法。
【請求項5】
上記乗物は、飛行機であり、上記複数の乗物データは上記飛行機についての複数の飛行データを含む、請求項4に記載された方法。
【請求項6】
作動中に、第1乗務員に関連される第1視覚範囲内で可視である第1画像を表示し、第2乗務員に関連される第2視覚範囲内で可視である第2画像を表示する、第1多視野ディスプレイと、
作動中に、上記第2乗務員に関連される第3視覚範囲内で可視である第3画像を表示し、上記第1乗務員に関連される第4視覚範囲内で可視である第4画像を表示する、第2多視野ディスプレイとを備え、
上記第1画像は、複数の乗物データの中の少なくとも1つの乗物データを含み、上記第4画像は、上記複数の乗物データの中の少なくとも1つの乗物データを含み、上記第1画像と上記第4画像は、上記第1視覚範囲と上記第4視覚範囲の中に位置される上記第1乗務員の第1位置から可視であり、
上記第3画像は、複数の乗物データの中の少なくとも1つの乗物データを含み、上記第2画像は、上記複数の乗物データの中の少なくとも1つの乗物データを含み、上記第3画像と上記第2画像は、上記第3視覚範囲と上記第2視覚範囲の中に位置される上記第2乗務員の第2位置から可視である、
乗物計装システム。
【請求項7】
上記乗物は、飛行機であり、上記複数の乗物データは上記飛行機についての複数の飛行データを含む、請求項6に記載された乗物計装システム。
【請求項8】
上記第1多視野ディスプレイは、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第1画像および上記第4画像の少なくとも1つの上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示し、
上記第2多視野ディスプレイは、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第3画像および上記第2画像の少なくとも1つの上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示する、
請求項7に記載された乗物システム。
【請求項9】
上記第1多視野ディスプレイは、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第4画像の上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示し、
上記第2多視野ディスプレイは、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第2画像の上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示する、
請求項8に記載された乗物計装システム。
【請求項10】
上記第2多視野ディスプレイが故障した場合、上記第1多視野ディスプレイは上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第1画像かつ上記第2画像の上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示する、請求項7に記載された乗物計装システム。
【請求項11】
上記第1多視野ディスプレイが故障した場合、上記第2多視野ディスプレイは上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第3画像かつ上記第4画像の上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示する、請求項7に記載された乗物計装システム。
【請求項12】
多視野ディスプレイを用いて乗物を制御する方法であって、
複数の乗物センサからの複数の乗物データを監視し、
第1多視野ディスプレイは、上記複数の乗物センサの少なくとも1つに結合されていて、複数の乗物データの中の少なくとも1つを、第1視覚範囲内で上記第1多視野ディスプレイの上で可視である第1画像の中に表示し、
第2視覚範囲内で上記第1多視野ディスプレイの上で可視である第2画像に上記複数の乗物データの中の少なくとも1つを表示し、
第2多視野ディスプレイは、上記複数の乗物センサの中の少なくとも1つに結合されていて、複数の乗物データの少なくとも1つを、第3視覚範囲内で上記第2多視野ディスプレイの上で可視である第3画像の中に表示し、
第4視覚範囲内で上記第2多視野ディスプレイの上で可視である第4画像に上記複数の乗物データの中の少なくとも1つを表示する、方法。
【請求項13】
さらに、
上記第1画像および上記第4画像の少なくとも一方の上で上記複数の乗物データの中の少なくとも1つを、上記第1視覚範囲内と上記第4視覚範囲内に位置される第1乗務員により見て、
上記第3画像および上記第2画像の少なくとも一方の上で上記複数の乗物データの中の少なくとも1つを、上記第3視覚範囲内と上記第2視覚範囲内に位置される第2乗務員により見る、
ことを特徴とする請求項12に記載された方法。
【請求項14】
上記第1画像および上記第4画像の少なくとも一方の上で上記第1乗務員に可視である上記複数の乗物データの中の少なくとも1つに基づいて上記第1乗務員により乗物を制御する、ことを特徴とする請求項13に記載された方法。
【請求項15】
上記第3画像と上記第2画像の少なくとも一方の上に、上記第2乗務員に可視である上記複数の乗物データの少なくとも1つに基づいて上記第2乗務員により上記飛行機を制御する、請求項14に記載された方法。
【請求項16】
上記乗物は、飛行機であり、上記複数の乗物データは上記飛行機についての複数の飛行データを含む、請求項15に記載された方法。
【請求項17】
さらに、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第2乗務員に上記第2画像の上で飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示し、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第1乗務員に上記第4画像の上で飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示する、ことを特徴とする請求項16に記載された方法。
【請求項18】
さらに、上記第2多視野ディスプレイが故障した場合、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第1画像の上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示し、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第2画像の上に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示する、請求項16に記載された方法。
【請求項19】
さらに、上記第1多視野ディスプレイが故障した場合、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第3画像に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示し、上記飛行機の作動中のすべての時間で、上記第4画像に飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示する、請求項17に記載された方法。
【請求項20】
飛行機の第1操縦士の第1位置と関連され、上記第1操縦士の第1視野の中に位置される第1装置と、
第1コントローラと、
飛行機の第2操縦士の第2位置と関連され、上記第2操縦士の第1視野の中に位置される第2装置と、
第2コントローラとを備え、
上記第1装置は、第1視覚範囲内で可視である第1画像を表示し第2視覚範囲内で可視である第2画像を表示する第1多視野ディスプレイを含み、
上記第2装置は、第3視覚範囲内で可視である第3画像を表示し第4視覚範囲内で可視である第4画像を表示する第2多視野ディスプレイを含み、
上記第1操縦士は、飛行機の作動中に、上記第1視覚範囲内と上記第4視覚範囲内に位置され、上記第2操縦士は、飛行機の作動中に、上記第3視覚範囲内と上記第2視覚範囲内に位置される、
飛行機計装システム。
【請求項21】
上記第1コントローラは、上記第1画像および上記第4画像の少なくとも一方を制御し、上記第2コントローラは、上記第3画像および上記第2画像の少なくとも一方を制御することを特徴とする、請求項20に記載された飛行機計装システム。
【請求項22】
上記第1多視野ディスプレイと上記第2多視野ディスプレイにおいて、飛行機の作動中のすべての時間に、上記第1画像と上記第4画像の少なくとも一方が飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を含み、かつ、上記第3画像と上記第2画像の少なくとも一方が飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を含む、ことを特徴とする請求項20に記載された飛行機計装システム。
【請求項23】
上記第1多視野ディスプレイと上記第2多視野ディスプレイは、において、飛行機の作動中のすべての時間に、上記第2画像が飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を含み、かつ、上記第4画像が飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を含む、ことを特徴とする請求項22に記載された飛行機計装システム。
【請求項24】
上記第1画像および第3画像は、システム故障が起きたとき、ともに飛行姿勢、飛行高度、飛行方向および対気速度を表示することを特徴とする、請求項23に記載された飛行機計装システム。
【請求項25】
上記第1装置が第1多機能ディスプレイの上に取り付けられ、上記第2装置が第2多機能ディスプレイの上に取り付けられることを特徴とする、請求項20に記載された飛行機計装システム。
【請求項26】
上記第1多機能ディスプレイと上記第2多機能ディスプレイが多視野ディスプレイであることを特徴とする、請求項25に記載された飛行機計装システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−542503(P2009−542503A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518240(P2009−518240)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/014862
【国際公開番号】WO2008/005247
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウィンドウズ
【出願人】(504291960)ガルフストリーム・エアロスペース・コーポレイション (8)
【氏名又は名称原語表記】GULFSTREAM AEROSPACE CORPORATION
【Fターム(参考)】