説明

多重バーコードフォーマットラベルシステム及び方法

第1のバーコードが印刷された第1の領域と、第2のバーコードが印刷された第2の領域とを含んでいるラベル。当該第1のバーコードは第1のフォーマットであり、当該第2のバーコードは第2のフォーマットであり、かつバーコードの各々は、少なくとも同一の情報のサブセットをエンコードしている。当該第1のバーコード及び第2のバーコード内にエンコードされている同一の情報のサブセットは、患者、サンプルのタイプ、または採集の日付もしくは時刻またはそれらの組み合わせを特定する情報を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して検査サンプル収集容器(コンテナ)に使用するラベルに関し、特に、異なったフォーマットを有しかつ同一の情報をエンコードする多重バーコードを含むラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願
本出願は、米国仮特許出願第60/823,920号(発明名称「多重バーコードフォーマットラベルシステム及びその方法」、出願日2006年8月30日)の利益を主張し、その全てが本明細書に参照されることによって含まれる。
【0003】
後に行う検査のために、医用検査サンプルが専門家によって収集容器内に収集されることは一般的に行われている。血液検査サンプルは、通常は血液収集チューブ内に収集される。これらのチューブは、特定の検査及び血液検査サンプルを採集された患者に関連する添付文書と共に検査施設に搬送または輸送される。
【0004】
チューブ、検査及び/または患者のタイプを特定する大量の情報は、血液収集チューブに配され得るスキャン可能なバーコードにまとめることができる。通常、バーコードは、粘着ラベルを使用してチューブに貼付され、バーコードスキャナで適切にスキャンされて医療技術者に必要な情報を提供し得る。多くの場合、自動検査装置は、アセンブリライン構造における複数のサンプリング容器の臨床検査に使用される。このような自動装置は、いくつかの形式のバーコードスキャンを行い、適切な情報と正確なサンプルとを関連付ける。バーコードスキャンは、しばしばハンドヘルド型のスキャナまたは代替的に固定されたバーコードリーダで行われる。
【0005】
いずれにしても、スキャン可能なバーコードが、バーコードリーダに対して適切に表示されるようにするために、血液収集チューブを正確に配向する必要がある。配向は、スキャン可能バーコードがスキャナによって読まれることを保証するためにかなり頻繁にチューブの手作業での回転を必要とする。他の状況において、ピックアンドプレース(pick and place)機構が使用されて、チューブが持ち上げられ回転させられてこの様な配向が行われ得る。理解される様に、個人の手作業による複数のチューブの回転は困難であり、時間がかりかつ手作業ミスが起こりやすい。チューブを持ち上げて回転させる機械デバイスは、使用が面倒でありかつコストがかかる。
【0006】
他の従来技術のバーコードのアラインメントの解決手段は、チューブの周囲に連続的にバーコードを貼付することである。このことは、チューブの回転配向に関係なくバーコードが読まれることを許容する。しかし、このタイプのバーコードラベルの使用は、いくつかの不利な点を有する。第1に、バーコードのサイズの増大の故に、血液収集の現場でユーザが必要な情報を追加する追加スペースが小さいことである。さらに、このタイプの連続バーコードラベルは、製造が高価でありかつ貼付が困難である。
【0007】
さらに、従来技術において、データ記憶カートリッジと共に2つのバーコードを使用することも知られている。「特許文献1」は、2つのバーコードを使用するシステムを開示しており、そこにおいて、バーコードの各々は部分的に覆い隠されている。部分的に覆い隠されたバーコードが読み取られると、アルゴリズムが2つのバーコードを一緒に「スティッチ(stitch)」し、1つのデータ要素を形成する。しかし、このシステムは、バーコードを一緒に「スティッチ」するために必要な追加のソフトウェアを必要とする。このタイプのバーコードは従来のバーコードリーダでは読むことが不可能である。
【0008】
さらに、従来技術において、単一ラベル上に異なったフォーマットを有する2つのバーコードを含むことも知られている。「特許文献2」は、ラベル(10)を開示していて、当該ラベル(10)は、その上に印刷された第1のフォーマットのバーコード(12)及び第2のフォーマットのバーコード(14)を有する。さらに、ラベル(10)には、CODE128バーコード及びEANバーコード(14)が印刷されている。CODE128バーコード(12)は、ハンドヘルド型のスキャナで読み取られることに適し、ラベルに表示された値段に関連する情報を含む。EANバーコード(14)は、従来のスキャナで読むことが可能であるが、ハンドヘルド型のスキャナでは読むことが不可能であり、値下げされた製品の価格が示された情報を含む。しかし、当該バーコードの1つが部分的にまたは全体的に覆い隠された場合、このラベル上の情報並びにバーコード(10)及びバーコード(12)によってエンコードされた情報の全ては、正確に読み取ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】発明者リーズナー氏他に付与された米国特許第6,758,400号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第EP 0 736 854号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
従って、バーコードの1つが部分的または全体的に覆い隠された場合であっても正確に読み取ることが可能なバーコードを有する、収集容器のためのラベルの需要がある。
【0011】
本発明の1つの実施形態は、第1のバーコードが印刷された第1の領域と、第2のバーコードが印刷された第2の領域とを含むラベルに関する。当該第1のバーコードは第1のフォーマットであり、当該第2のバーコードは第2のフォーマットであり、バーコードの各々は、少なくとも同一の情報のサブセットをエンコードしている。当該第1のバーコード及び第2のバーコード内にエンコードされている同一の情報のサブセットは、患者、サンプルのタイプ、または採集の日付もしくは時刻、またはそれらの組み合わせを特定する情報であり得る。さらに、当該第1のバーコード内にエンコードされている情報の全ては、当該第2のバーコード内にエンコードされている情報の全てと同一であり得る。
【0012】
第1のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)等のグループから選択され、第2のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)等のグループから選択され得る。1つの実施形態において、第1のバーコードがCODE39であり、第2のバーコードがCODE128である。
【0013】
ラベルは、サンプル収集容器上に配され得る。ラベルは、アラインメント領域をさらに含むことができ、サンプル収集容器は、アラインメントシンボル(alignment symbology)を含むことができる。従って、アラインメント領域は、サンプル収集容器のアラインメントシンボルによって位置あわせ(アライン)されることができ、それによって、サンプル収集容器上のラベルの正確な位置決めが許容される。
【0014】
さらなる実施形態において、本発明は、第1の端部及び第2の端部並びに当該第1の端部と第2の端部との間に配されるラベルを有する長手部材を含むサンプル収集容器に関する。当該ラベルは、第1のバーコードが印刷された第1の領域及び第2のバーコードが印刷された第2の領域を含む。当該第1のバーコードは、第1のフォーマットであり、当該第2のバーコードは第2のフォーマットであり、バーコードの各々は、少なくとも同一の情報のサブセットをエンコードしている。
【0015】
第1のバーコード及び第2のバーコード内にエンコードされた同一の情報のサブセットは、患者、サンプルのタイプ、または採集の日付もしくは時刻、またはそれらの組み合わせを特定する情報であり得る。さらに、当該第1のバーコード内にエンコードされている情報の全ては、当該第2のバーコード内にエンコードされている情報の全てと同一であり得る。
【0016】
第1のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)等のグループから選択され、第2のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)等のグループから選択され得る。1つの実施形態において、第1のバーコードがCODE39であり、第2のバーコードがCODE128である。
【0017】
ラベルは、アラインメント領域をさらに含むことができ、サンプル収集容器は、アラインメントシンボルを含むことができる。従って、アラインメント領域は、サンプル収集容器のアラインメントシンボルによって位置合わせされることができ、それによって、サンプル収集容器上のラベルの正確な位置決めが許容される。
【0018】
他の実施形態において、本発明はサンプル収集容器に対応する情報の識別方法に関する。当該方法は、ラベルが貼付されたサンプル収集容器を提供するステップを含む。当該ラベルは、第1のフォーマットの第1のバーコードが印刷されている第1の領域と、第2のフォーマットの第2のバーコードが印刷されている第2の領域とを含む。当該第1のバーコード及び第2のバーコードは、少なくとも同一の情報のサブセットをエンコードしている。当該ラベルがサンプル収集チューブに貼付された後、当該ラベルの第1の領域はスキャンされ、それにエンコードされた情報が判定される。当該ラベルの第1の領域をスキャンするステップが失敗した場合、当該ラベルの第2の領域がスキャンされて、それにエンコードされた情報が判定される。少なくとも同一の情報のサブセットは、内容物、タイプ、患者及び対応するサンプル収集チューブに実施される検査方法の少なくとも1つであり得る。当該第1のバーコード内にエンコードされている情報の全ては、当該第2のバーコードにエンコードされている情報の全てと同一であり得る。当該スキャンステップは、自動化された検査ステーションのバーコードリーダによって行われ得る。
【0019】
本発明のこれら及び他の特徴及び特性、ならびに本発明の操作方法、関連する構造の要素及び部品の組み合わせおよび製造の利益は、添付の図面を参照して以下の説明及び添付の特許請求の範囲を考慮することでさらに明瞭となり、これらの全てが本明細書の一部を形成する。ここにおいて、同一の参照番号は、様々な図において対応する部分を示す。明細書及び特許請求の範囲における使用において、単数形「a」「an」及び「the」はその文脈が明確に指示していない限り複数の指示対象を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に従った第1のバーコード及び第2のバーコードを含むラベルを有するサンプル収集チューブの平面図である。
【図2A】様々なリニアバーコードフォーマットを使用してエンコードされたデータを示した図である。
【図2B】2次元バーコードフォーマットを有するバーコードを示した図である。
【図3】図1のサンプル収集チューブの、それに与えられたスキャン領域を有する側面図である。
【図4】本発明の実施形態に従ったサンプル収集容器の代替実施形態の平面図である。
【図5A】本発明の実施形態に従ったアラインメントシンボル及び識別コードを有する第1のラベルを有するサンプル収集容器の平面図である。
【図5B】第1及び第2のバーコード並びに図5Aに示された第1のラベルのアラインメントシンボルに対応するアラインメント領域を有する第2のラベルの平面図である。
【図5C】第1及び第2のバーコードを拡大した、図5Bの第2のラベルの部分図である。
【図6A】本発明の実施形態に従ったアラインメントシンボル及び識別コードを有する第1のラベルを有するサンプル収集容器の平面図である。
【図6B】第1及び第2のバーコード並びに図6Aに示された第1のラベルのアラインメントシンボルに対応するアラインメント領域を有する第2のラベルの平面図である。
【図7A】本発明の実施形態に従ったアラインメントシンボル及び識別コードを有する第1のラベルを有するサンプル収集容器の平面図である。
【図7B】第1及び第2のバーコード並びに図7Aに示された第1のラベルのアラインメントシンボルに対応するアラインメント領域を有する第2のラベルの平面図である。
【図7C】第1及び第2のバーコードを拡大した、図7Bの第2のラベルの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
これ以後の記載のために、用語「上部」、「下部」、「右部」、「左部」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」、「横方向」、「縦方向」及びそれらの派生語は、図面において配向されているままに本発明に関連しているべきである。しかし、本発明は、特に反対に明示的に特定されている場合を除いて、様々な代替例及び変形例をとり得ることが理解されるべきである。添付の図面に示され、以下の詳細な説明に記載されている特定のデバイスは、単に本発明の例示的な実施形態であることも理解されるべきである。従って、本明細書に開示されている実施形態に関連する特定の寸法及び他の物理的特性は、限定されるものとしては考慮されない。
【0022】
本発明の実施形態は、自動システム内のサンプル収集容器上のバーコードを使用した自動識別に関連する。このような実施形態は、健康管理検査所の解析システム内の患者の検査サンプルに特に有用である。このようなシステムの多くのユーザが直面する問題は、単一の検査所または検査所のグループ内の異なったシステム間のバーコードの非互換性である。例えば、サンプル収集容器上のバーコードの物理的な位置は、当該バーコードがシステムのキャリアによって覆い隠され得る故に複数のシステムに適応していない。さらに、バーコードフォーマットは、特定のシステムに非互換であり得る。本発明の実施形態は、異なった位置にありかつ異なったフォーマットである複数のバーコードを有するラベルを提供することでこれらの問題を解決する。
【0023】
図1を参照すると、容器1は、容器1の外表面に固定されたラベル3をラベル保有領域5において含む。ラベル3は、第1の領域7及び第2の領域9を含む。第1の領域7は、その上に印刷された第1のバーコード11を含み、第2の領域は、その上に印刷された第2のバーコード13を含む。第1の領域7及び第2の領域9は、その上に印刷された英数字表示15をさらに含むことができる。第1のバーコード11及び第2のバーコード13は、各々異なったフォーマットである。しかし、少なくとも第1のバーコード11内にエンコードされた情報のサブセットは、少なくとも第2のバーコード13内にエンコードされた情報のサブセットと同一である。
【0024】
第1及び第2のバーコード11及び13は、各々所定量の情報のエンコードが可能である。通常、第1及び第2のバーコード11及び13は、それらがエンコード可能な情報よりも少ない情報エンコードされる。従って、第1及び第2のバーコード11及び13は、同一の情報をエンコードされ得る。よって、バーコードのフォーマットに依存して、バーコードの各々は、追加情報をエンコードする追加の容量を有し得る。従って、第1のバーコード11及び第2のバーコード13によってエンコードされる情報のサブセットだけが同一である。しかし、本発明のいくつかの実施形態において、第1及び第2のバーコード11及び13内にエンコードされている情報の全てが同一である。
【0025】
どのようなタイプのID(identification)も、バーコードによってエンコードされる。例えば、バーコードは、特有の数列のような特有の識別子を含むことができ、当該識別子は、特有の識別子としての役割以外に何の関係または意味を有しない。このような場合、当該識別子は、患者識別情報の様な他の情報と照合された番号の追跡に有用であり得る。このような実施形態において、バーコードは、製造者によって収集容器と直接的に関連させられ得、追跡番号は、使用する場所において患者IDの様な追加情報と後に関連させられ得る。他の実施形態において、情報は、例えば容器内に含まれているサンプルのID、患者を識別する情報、このサンプルにどの解析を行うのか並びに採集した日付及び時刻の様な採集情報等を含むことができるバーコードによってエンコードされる。さらに他の実施形態において、バーコード内にエンコードされる情報は、医療記録番号(MRN)、アカウント識別子、リストバンド識別子、グローバル識別子、患者の年齢、患者の氏名、誕生日、病気の状態、診断結果、課金情報、保険提供者、アカウント番号、所在地、運転免許証情報、最近親者等の様な患者に関連する情報を含むことができる。さらに、情報は、正しい検査サンプルに関連する番号である登録番号を含むことができ、これは検査所情報システム(LIS)内で患者と結び付けられる。バーコード内にエンコードされ得かつLIS内で患者と関連付けられ得る他の情報には、チューブのタイプ、チューブの容量、検査タイプ、診断に使用する検査、検査時刻、所在地またはそれらの組み合わせが含まれ得る。追加実施形態において、バーコード内にエンコードされた情報は、検査サンプル収集者のユーザID並びに/またはラベル印刷の日付及び時刻の様な、ラベルが印刷される際に収集される情報を含むことができる。
【0026】
様々な異なったバーコードフォーマットが使用され得る。バーコードフォーマットは、バーコードが英数字のテキストをエンコードする所定の態様を参照する。バーコードのフォーマットは、線すなわち1次元及び2次元の少なくとも2つのカテゴリに分けられ得る。
【0027】
リニアバーコード(liner bar code)フォーマットは、バー及び空間の単一の列からなり、これらは主にバーコードシンボルを含む別個の要素と実質的に垂直(90°)なスキャンラインに沿ってバーをスキャンすることによって読み取られる。スキャナは、90°から著しく逸脱していてスキャンしても、リニアバーコードを高い頻度で解釈可能である。
【0028】
図2A及び図2Bを参照すると、多数のバーコードフォーマットが示されており、各々用途に特有の特徴を有している。例えば、CODE39は、非小売分野において主に使用される可変長バーコードである。CODE39は、任意的なチェックサム(checksum)キャラクターを提供しかつ不連続なバーコードの連なりを提供する。UPC(UPC−A及びUPC−Eを含む)は、主に小売において使用されるフォーマットである。例えば、UPC−Aは、11キャラクターコード及びチェックサムキャラクターを許容する。第1の文字は識別された製品のタイプを識別する。その後の5文字は、製造者を特定する。最後の5文字は、通常は特定の製品を識別するために使用される。
【0029】
図2Aは、CODE39(140)、インターリーブド2オブ5(interleaved 2 of 5)(160)、ディスクリート2オブ5(discrete 2 of 5)(162)、UPC(Universal Product Code)+2(110)、EAN(European Article Number)−13+2(112)、EANUCC(120)、Code128(150)及びコーダバー(Codabar)(130)を含む様々なリニアバーコードのバーコードシンボルを示している。情報は、バーの幅及び配列の変化によってエンコードされる。これらのバーコードフォーマットのいくつかは、「ショートスキャン(short−scanning)」の影響を受けやすい。例えば、バーコードの一部がスキャン中に覆い隠されている場合、スキャンシステムは、インターリーブド2オブ5(160)のような不完全な番号を読み取ることに適応し得る。従って、特にショートスキャンに適応可能なシステムにおいて、搬送機構によってバーコードが部分的に覆い隠されている場合、ショートスキャンの影響を受けやすいこのようなバーコードフォーマットは、本発明と共に使用するのには適していないであろう。
【0030】
他の1次元バーコードは、バーの高さを変化させることによって情報を保存する。例えば、米国郵政庁(United States Postal Service)によって使用されているポストネット(170)は、バー同士の間の一定の距離を維持して、バーの高さを変化させることによって情報を保存する。他のバーコードフォーマットであるBPO172は、英国郵政庁(British Post Office)によって使用されている。BPO172は、ある軸に沿ったバーの長さ及び位置を、直角の軸に沿ったバー同士の間の等間隔空間を維持しつつ変化させる。
【0031】
通常は、リニアバーコードフォーマットは、バーの幅、バーの高さ、バー同士間の距離及びこれらのパラメータの組み合わせの様なパラメータを変化させて、情報をエンコードする。
【0032】
2次元バーコードは、「スタック式」または「マトリクス式」としてさらに分類され得る。スタックバーコードは、他のバーコードの頂部上に積み重ねられているリニアバーコードのいくつかの列を含む。スタックバーコードは、個々の列の各々が最終的に1つ1つスキャンされることを保証するために十分に離されている複数線スキャンによって読まれる。図2Bは、Code49(210)、Code16K(220)、PDF417(230)及びコーダブロック(CodaBlock)(240)を含むスタックバーコードの例を示している。
【0033】
マトリクスバーコードフォーマットは、データセルの多角形配列及び配向構造から成っている。マトリクスバーコードシンボルは、センサの列よりもむしろ単一のセンサを使用してスキャンされる。例示のマトリクスバーコードは、データマトリクス(Data Matrix)260、マキシコード(Maxicode)270、アズテック(Aztec)250及びベリコード(Vericode)(図示せず)を含む。
【0034】
本発明の実施形態によれば、ラベル3は、Code39バーコード及びCode128バーコードを使用する。
【0035】
図3を参照しかつ図1を引き続き参照すると、ラベル3は、バーコード11及び13を読むのに使用されるシステムのタイプに関係なく、サンプル収集容器1の適切な識別を可能にする。例えば、ADVIA LabCell及びWorkCellシステム(バイエル薬品社によって製造された)が検査所によって使用されている場合、ラベル3の部分17は、容器1を保持するために使用されるパック(Puck)によって覆い隠される。従って、容器1は、適切に配向されず、ADVIA LabCell及びWorkCellシステムは、スキャン領域21が容器1を保持するために使用されるパックによって覆い隠されているために、スキャン領域21によるバーコード13の正確な読取値を取得することができない。しかし、バーコード11がラベル3上に存在しかつ同一の情報を含んでいるので、スキャナは、領域19をスキャンしてバーコード11の正確な読取値を受信し得る。例えば、1つの特定の方法において、ラベル3のスキャン領域21がスキャンされて、そこにエンコードされている情報が判定される。このスキャンが読み取りエラーであった場合(換言すれば、遮蔽等のために、スキャナがバーコード13内にエンコードされている情報を読み取れなかった場合)、スキャナは、ラベル3のスキャン領域19に移動し得、それによってバーコード11がスキャンされてそこにエンコードされている情報が判定される。従って、第2のバーコード11が、少なくとも異なったバーコードフォーマットで保存されている同一の情報のサブセットを有しつつ存在するために、装置がバーコード13の一部を遮蔽しているかに拘らず、正確なスキャンが完遂され得る。
【0036】
多くの他の処理システムが、自動識別バーコードスキャナを使用している。このようなスキャナは、様々なフォーマットのバーコードを検知して読取ることができる。従って、第1のバーコード11または第2のバーコード13が部分的または完全に処理システムによって覆い隠されている場合であっても、自動識別バーコードスキャナは、処理システムによって覆い隠されていないバーコードを読み取ることによって収集容器1の識別が可能である。従って、システムのオペレータは、収集容器1の方向に憂慮することなく収集容器1を処理システム内に配置することが可能である。
【0037】
図4を参照すると、本発明の他の実施形態が、直接印刷されている第1のバーコード11′及び第2のバーコード13′を有するサンプル収集容器1′を提供し得る。第1の実施形態と同様に、第1のバーコード11′及び第2のバーコード13′は、異なったバーコードフォーマットであるが同一の情報をエンコードしている。
【0038】
図5A−5C、6A、6B及び7A−7Cを参照すると、本発明の代替実施形態が示されている。図5Aに示されているように、容器1は、容器1の外表面またはラベル保有領域51に固定される第1のラベル50を含み、アラインメントシンボル52がそこに印刷されている。第1のラベル50は、追加エンコードされたすなわち追加印刷された容器識別コードの様な情報を、そこにさらに含む。このような識別コードは、バーコード53及び/または英数字表示54を含み、それらのどちらかまたは両方は、限定するわけではないが、容器、製造者ロット番号、有効期限、容器のサイズ及び/または形状並びに容器内に含まれる試薬及び/または添加剤の特定のタイプを識別する情報を含むことができる。
【0039】
図5B及び図5Cを参照しかつ図5Aを引き続き参照すると、識別ラベル55が、容器1の配置のために提供される。識別ラベル55は、それの上に印刷された第1のバーコード56及び第2のバーコード57を含む。第1のバーコード56及び第2のバーコード57は、各々異なったフォーマットである。しかし、少なくとも同一の情報のサブセットが、各々のバーコードによってエンコードされている。前の実施形態と同様に、情報は任意のタイプの情報であり得、識別または追跡情報を含んでいる。
【0040】
識別ラベル55は、第1のラベル50を覆う様に固定されることが可能な第2のラベルとして設けられる。識別ラベル55は、第1のラベル50のアラインメントシンボル52に対応するアラインメント領域58をさらに含む。例えば、アラインメント領域58は、認識ラベル55の穴または切欠きであり得る。例えば、図5A及び図5Bにおいて示されているように、アラインメントシンボル52は、V型の三角形の形状であり、アラインメント領域58は、識別ラベル55の端部上にあるV型の切欠きである。代替例として、アラインメント領域58は、アラインメントシンボル52上に適合するようにデザインされた形状を有する透明な部分であり得る。
【0041】
識別ラベル55は、容器1上に配され、識別ラベル55のアラインメント領域58は、第1のラベル50のアラインメントシンボル52と位置合わせされ、アラインメントシンボル52は、アラインメント領域58を介して検知され、それによって、容器1上の識別ラベルの正確なアラインメントが保証される。
【0042】
図6A及び図6Bを参照すると、第1のラベル50が、代替的にバーコード無しの英数字表示54だけを含むことができる。図7A−7Cを参照すると、第1のラベル50が、第1のバーコード56′及び第2のバーコード57′を含むことができ、これらは識別ラベル55の第1のバーコード56及び第2のバーコード57に対応している。
【0043】
本発明が、最も実践的及び好ましい実施形態であると現時点で考えられているものに基づいて、説明の目的で詳細に記載されてきた。このような詳細は、単にその用途のためだけであり、本発明は開示された実施形態に限定されず、反対に、変形形態及び等価形態の範囲に亘ることが意図されていることが理解されるべきである。例えば、本明細書において示されている実施形態が、ラベルまたは容器上の2つのバーコードフォーマットを開示している一方で、3つまたはそれ以上のフォーマットが使用され得る。さらに、本明細書において、様々なバーコードフォーマットのタイプが挙げられている一方で、挙げられていない他のバーコードフォーマットも、本発明の1または複数の実施形態によって使用され得る。また、本発明の実施形態が1または複数のラベル上に表示されたバーコードと共に説明されている一方で、本発明に従って、1または複数のバーコードが容器上に直接表示されても良い。さらに、本発明の1つの実施形態に従って異なったフォーマットのバーコードによって情報が提供されている一方で、さらに他の実施形態において、いくつかの他の形式のマシン読取可能コードが使用され得る。さらに、本発明が、任意の実施形態の1または複数の特徴が任意の他の実施形態の1または複数の特徴と可能な範囲内で組み合わせられ得ることを含むことが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のバーコードが印刷された第1の領域と、
第2のバーコードが印刷された第2の領域と
を含むラベルであって、
前記第1のバーコードは第1のフォーマットであり、前記第2のバーコードは第2のフォーマットであり、前記バーコードの各々が少なくとも同一の情報のサブセットをエンコードしていることを特徴とするラベル。
【請求項2】
請求項1記載のラベルであって、前記第1のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)のグループから選択され、第2のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)のグループから選択されることを特徴とするラベル。
【請求項3】
請求項1記載のラベルであって、前記第1のフォーマットはCODE39でありかつ前記第2のフォーマットはCODE128であることを特徴とするラベル。
【請求項4】
請求項1記載のラベルであって、前記ラベルはサンプル収集容器上に配置されるべく適応させられていることを特徴とするラベル。
【請求項5】
請求項4記載のラベルであって、前記ラベルはアラインメント領域を含み、かつ前記サンプル収集容器はアラインメントシンボルを含むことを特徴とするラベル。
【請求項6】
請求項5記載のラベルであって、前記アラインメント領域は、前記サンプル収集容器のアラインメントシンボルと位置合わせされ、それによって前記サンプル収集容器における前記ラベルの正確な位置決めが許容されることを特徴とするラベル。
【請求項7】
請求項1記載のラベルであって、前記第1のバーコード及び前記第2のバーコード内にエンコードされた前記同一の情報のサブセットは、患者、サンプルのタイプ、または採集の日付もしくは時刻またはそれらの任意の組み合わせを識別する情報であることを特徴とするラベル。
【請求項8】
請求項1記載のラベルであって、前記第1のバーコード内にエンコードされている情報の全ては前記第2のバーコード内にエンコードされている情報の全てと同一であることを特徴とするラベル。
【請求項9】
第1の端部及び第2の端部を有する長手部材と、
前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置されて第1のバーコードが印刷された第1の領域及び第2のバーコードが印刷された第2の領域を有するラベルと
を含むサンプル収集容器であって、
前記第1のバーコードは第1のフォーマットであり、前記第2のバーコードは第2のフォーマットであり、前記バーコードの各々が少なくとも同一の情報のサブセットをエンコードしていることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項10】
請求項9記載のサンプル収集容器であって、前記第1のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)のグループから選択され、第2のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)のグループから選択されることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項11】
請求項9記載のサンプル収集容器であって、前記第1のフォーマットはCODE39でありかつ前記第2のフォーマットはCODE128であることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項12】
請求項9記載のサンプル収集容器であって、前記ラベルはアラインメント領域を含みかつ前記サンプル収集容器はアラインメントシンボルを含むことを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項13】
請求項12記載のサンプル収集容器であって、前記アラインメント領域は、前記サンプル収集容器のアラインメントシンボルと位置合わせされ、それによって前記サンプル収集容器における前記ラベルの正確な位置決めが許容されることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項14】
請求項9記載のサンプル収集容器であって、前記第1のバーコード及び前記第2のバーコード内にエンコードされた前記同一の情報のサブセットは、患者、サンプルのタイプ、または採集の日付もしくは時刻またはそれらの任意の組み合わせを識別する情報であることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項15】
請求項9記載のサンプル収集容器であって、前記第1のバーコード内にエンコードされている情報の全ては前記第2のバーコード内にエンコードされている情報の全てと同一であることを特徴とするサンプル収集容器。
【請求項16】
サンプル収集容器に対応する情報を識別する方法であって、
第1のフォーマットの第1のバーコードが印刷された第1の領域及び第2のフォーマットの第2のバーコードが印刷された第2の領域を含み、かつ前記第1のバーコード及び前記第2のバーコードが少なくとも同一の情報のサブセットをエンコードしているラベルが貼付されたサンプル収集容器を準備するステップと、
前記ラベルの前記第1の領域をスキャンしてそこにエンコードされている前記情報を判定するスキャンステップと、
前記ラベルの前記第1の領域をスキャンする前記スキャンステップが失敗した場合に前記ラベルの前記第2の領域をスキャンしてそこにエンコードされている前記情報を判定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法であって、前記同一の情報のサブセットが、内容物、タイプ、患者及び前記サンプル収集容器に対応して実施される検査のうちの少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項16記載の方法であって、前記第1のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)のグループから選択され、第2のフォーマットは、UPC、EAN、EANUCC、CODABAR、CODE39、CODE128、インターリーブド(Interleaved)2/5、ディスクリート(Discrete)2/5、ポストネット(Postnet)、BPO、CODE49、CODE16K、PDF417、AZTEC、データマトリクス(DATAMATRIX)及びマキシコード(MAXICODE)のグループから選択されることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項16記載の方法であって、前記スキャンステップが自動化検査ステーションのバーコードリーダによって実施されることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法であって、前記第1のバーコード内にエンコードされている情報の全てが前記第2のバーコード内にエンコードされている情報の全てと同一であることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2010−503076(P2010−503076A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526910(P2009−526910)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/077223
【国際公開番号】WO2008/028028
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(595117091)ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー (539)
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
【住所又は居所原語表記】1 BECTON DRIVE, FRANKLIN LAKES, NEW JERSEY 07417−1880, UNITED STATES OF AMERICA
【Fターム(参考)】