説明

多関節装置

【課題】不可避的な接触又は抗力に対して分離が可能な多関節装置を提供する。
【解決手段】多関節装置Mは複数の関節装置10を備える。関節装置10は、アーム1の一端部とアーム2の他端部とが可動自在に連結する。アーム1及び異なる関節装置10のアーム2が共有の軸心を有する。アーム1の他端面と異なる関節装置10のアーム2の一端面とが結合する。アーム1はN極を有する第1強磁性体4を他端面に備え、アーム2はS極を有する第2強磁性体5を一端面に備える。アーム1と異なる関節装置10のアーム2とは、第1強磁性体4と第2強磁性体5とが磁気結合する。又、アーム1と異なる関節装置10のアーム2とは、共有の軸心を屈折させる強い力が作用すると、第1強磁性体4と第2強磁性体5が分離する磁力で結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多関節装置に関する。特に、ロボット、又はマニピュレーターなどに用いられる多関節装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットは、人間に類似した動作や形態を有し、コンピュータ制御により複雑な動作を自動化している。産業用ロボットは、物品を搬送又は移載することを主用途としており、多関節型、円筒・極座標型、直交座標型などに分類されている。この内、関節装置を連設した多関節型の産業用ロボットは、動作範囲が大きいという利点があるため、広く利用されている。
【0003】
マニピュレーターは、多関節型のロボットの一種であり、人間の手の構造を模した機械を遠隔から操作して、人間の代わりに作業ができる。マニピュレーターは、人間が立ち入ることが困難な放射線下、又は高温下での作業を可能としている。
【0004】
例えば、関節装置をモジュール化したモジュール型マニピュレーターは、モジュール型マニピュレーターに設けられた複数の関節装置を協調的に動作させ、これらの関節装置、つまり多関節装置を自律分散的に制御すれば、部分的な故障に対して柔軟に対処することが可能となるため、人間が接近困難な宇宙空間での作業を容易とする。又、モジュールを数多く連結することで、非常に大きな自由度を有するマニピュレーターを構成することができ、柔軟な動きや障害物が入り組んだ狭い環境での作業を可能にする。
【0005】
前述したモジュール型マニピュレーターに類似した構造体として、同一構造のモジュールを多数用いて、宇宙空間、原子炉などの極限環境で独立して自由な形状に変形し、自由に移動でき、種々の作業を行うことができる三次元構造物の自動組立体、いわゆる、M−TRAN(modular transfomer)が発明されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1による自動組立体のモジュールは、一対の半月体状の結合部材を連結部材(リンク)で相互に屈折自在に連結している。モジュールの連結部材を囲む各結合部材の3面の内の1面は、他のモジュールの連結部材を囲む各結合部材の3面の内の1面と結合できる。
【0007】
しかし、モジュール同士の結合には、条件があり、第1結合部材(アクティブ・ブロック)の面と第2結合部材(パッシブ・ブロック)の面とのみが結合できる。特許文献1による自動組立体は、各モジュールを複数結合し個々に独立して結合・離脱操作、モータを駆動し、全体の構造物を種々の形状に変形しながら移動する機能を有している。
【0008】
第1結合部材は、圧縮コイルばねで内部に付勢された複数のN極のマグネットを前記3面に備えている。一方、第2結合部材は、前記3面に複数のS極のマグネットを備えている。したがって、第1結合部材の1面と第2結合部材の1面とを近接すると、圧縮コイルばねの付勢力に抗して、複数のN極のマグネットが移動し、複数のS極のマグネットに吸着する。つまり、第1結合部材と第2結合部材とを結合できる。
【0009】
更に、第1結合部材は、形状記憶合金ばねを内部に備えている。形状記憶合金ばねは、通電すると、この形状を変えて(伸びて)、複数のN極のマグネットを内部に引き戻すように配置されている。つまり、第1結合部材の内部に備わる形状記憶合金ばねを通電すると、第1結合部材と第2結合部材とを分離できる。
【0010】
特許文献1による自動組立体のモジュールは、様々な組合せが可能であり、例えば、格子状にモジュールを構成すれば、4足歩行ロボットのような動きも可能である。又、特許文献1による自動組立体のモジュールを直線状に連鎖すれば、前述した自律分散的なモジュール型マニピュレーターの実現も可能と考えられる。
【特許文献1】特開2001−200989号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述した自律分散的なモジュール型マニピュレーターは、宇宙ステーションの船内での作業ロボット、又は室内での家事支援ロボットとして、その応用が期待されている。しかし、狭い船内又は狭い室内で人間と協調してこれらのロボットが作業するためには、例えば、連設したモジュールに複数の接触センサを設けて、人体や障害物との接触を回避するなど、制御系が肥大化するという問題がある。
【0012】
これらのロボットでは、連設したモジュールに作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避するよりも、モジュール同士の結合を解除して、つまりモジュール同士が分解して、しかる後にモジュール同士を再結合する方が、むしろ安全であり、制御系が肥大化することもなくなる。
【0013】
特許文献1による自動組立体は、モジュール同士を結合又は分離できる。しかし、モジュール同士の結合を解除するためには、形状記憶合金ばねを通電する必要がある。結局は、モジュール同士の分離を能動的に制御することになり、連設したモジュールに作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避する、従来のロボットと技術的思想に大きな相違はないと考えられる。
【0014】
したがって、連設したモジュールに作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避することなく、モジュール同士を受動的に分離することが可能な多関節装置が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0015】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、連設したモジュールに作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避することなく、モジュール同士を受動的に分離することが可能な多関節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、一方のアームと他方のアームとを分解が容易に磁気結合することにより、上記の課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たな多関節装置を発明するに至った。
【0017】
(1) 一方のアームの一端部と他方のアームの他端部とが互いに可動自在に連結する関節装置を複数備え、前記一方のアーム、及び異なる前記関節装置の他方のアームが共有の軸心を有し、かつ、前記一方のアームの他端面と前記異なる関節装置の他方のアームの一端面とが結合して当該関節装置を連設する多関節装置であって、前記一方のアームは、一方の極性を有する第1強磁性体を他端面に備え、前記他方のアームは、他方の極性を有する第2強磁性体を一端面に備え、前記一方のアームと前記異なる関節装置の他方のアームとは、前記第1強磁性体と前記第2強磁性体とが磁気結合すると共に、前記共有の軸心を屈折させる力が作用したとき、当該第1強磁性体と当該第2強磁性体が分離する磁力で結合している多関節装置。
【0018】
(1)の発明による多関節装置は、複数の関節装置を備えている。関節装置は、一方のアームの一端部と他方のアームの他端部とが互いに可動自在に連結している。そして、一方のアーム、及び異なる関節装置の他方のアームが共有の軸心を有している。又、一方のアームの他端面と、異なる関節装置の他方のアームの一端面とが結合して関節装置を連設している。
【0019】
一方のアームは、一方の極性を有する第1強磁性体を他端面に備えている。他方のアームは、他方の極性を有する第2強磁性体を一端面に備えている。一方のアームと異なる関節装置の他方のアームとは、第1強磁性体と第2強磁性体とが磁気結合する。又、一方のアームと異なる関節装置の他方のアームとは、共有の軸心を屈折させる力が作用したとき、第1強磁性体と第2強磁性体が分離する磁力で結合している。
【0020】
ここで、関節装置は、関節部において旋回と斜行の2自由度をもつ円筒・極座標型の関節装置であってよく、後述する関節部において、互いに直交する方向に回動する2自由度をもつ節装置であってよく、一方のアームの一端部と他方のアームの他端部とが互いに可動自在に連結している関節装置は、(1)の発明による多関節装置に含まれる。
【0021】
一方のアーム又は他方のアームは、筒状に形成されることが好ましく、丸パイプを含んでよく、角パイプを含んでよい。アーム内に部品(要素)を実装するために、パイプを分割(半割)してもよく、部品を実装した後に分割されたパイプを結合してもよい。
【0022】
一方のアーム、及び異なる関節装置の他方のアームが共有の軸心を有するように、一方のアーム、及び異なる関節装置の他方のアームが同軸に配置されることが好ましく、一方のアームの軸心に略直交する他端面と異なる関節装置の他方のアームの軸心に略直交する一端面とが突き合わされるように結合することが好ましい。
【0023】
第1及び第2強磁性体は、固体状態の永久磁石が好ましく使用される。第1及び第2強磁性体は、磁性粉を合成ゴムに混合したマグネットシートでもよい。一方の極性はS極であってよく、他方の極性はN極であってよく、一方の極性がN極であって、他方の極性がS極であってもよい。
【0024】
(1)の発明による多関節装置は、一方のアームの他端面と異なる関節装置の他方のアームの一端面とを近接すると、磁気結合できる。複数の関節装置を連設すれば、多関節装置を構成できる。複数の関節装置を協調的に動作させ、これらの関節装置、つまり多関節装置を自律分散的に制御することが好ましい。
【0025】
又、(1)の発明による多関節装置は、共有の軸心を屈折させる力が作用したとき、第1強磁性体と第2強磁性体が分離する。つまり、共有の軸心に曲げモーメントが作用すると、第1強磁性体と第2強磁性体とが剥離するように分離する。分離された一方のアームと異なる関節装置の他方のアームは、前述したように近接すれば、再結合できる。
【0026】
このように、(1)の発明による多関節装置は、連設した関節装置(モジュール)に作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避することなく、関節装置同士を受動的に分離することが可能な多関節装置を実現できる。
【0027】
(2) 前記一方のアームに備わる前記第1強磁性体と前記異なる関節装置の他方のアームに備わる前記第2強磁性体とは、互いに磁気結合する平坦面を有する(1)記載の多関節装置。
【0028】
(3) 前記第1強磁性体及び前記第2強磁性体は、円板状に形成されている(1)又は(2)記載の多関節装置。
【0029】
(4) 前記一方のアームは、前記第1強磁性体を中心部に配置し、前記他方のアームは、前記第2強磁性体を中心部に配置している(1)から(3)のいずれかに記載の多関節装置。
【0030】
(5) 前記第1強磁性体又は前記第2強磁性体の少なくとも一方は、軸方向の引張り力に対して応答速度を緩和するように周囲が弾性支持されている(4)記載の多関節装置。
【0031】
軸方向の引張り力に対して応答速度を緩和するように弾性支持されているモデルとしては、外力に対して応答速度の速い引張りコイルばねと、応答速度の遅いダッシュポットを並列に配置したケルビン・フォークモデルが考えられる。実体として、このような粘性及び弾性の両機能を合わせもつ物体としては、後述する粘弾性体が好ましい。
【0032】
(5)の発明による多関節装置は、第1強磁性体又は第2強磁性体の少なくとも一方が軸方向の引張り力に対して応答速度を緩和するように周囲が弾性支持されているので、関節装置に働く力の大きさや向きが時間に関係なく一定な静荷重に対しては、第1強磁性体又は第2強磁性体のいずれか一方が追従して両強磁性体が容易に分離しない。
【0033】
一方、きわめて短時間に瞬間的に急激に働く衝撃荷重に対しては、第1強磁性体又は第2強磁性体のいずれかも追従することなく、両強磁性体が容易に分離できる。
【0034】
(6) 前記第1強磁性体又は前記第2強磁性体の少なくとも一方は、粘弾性体で周囲が支持されている(5)記載の多関節装置。
【0035】
粘弾性体は、合成樹脂などの高分子物質であってよく、ボロンスポンジ、熱可塑性エラストマー、ウレタンゴムなどが考えられる。
【0036】
(7) 前記関節装置は、関節部に配置する交差歯車であって、第1円周に等間隔に少なくとも複数の歯を設ける第1歯車と第2円周に等間隔に少なくとも複数の歯を設ける第2歯車とが中心を共有し、かつ前記第1円周を含む第1平面と前記第2円周を含む第2平面とが直交する交差歯車と、前記一方のアームに設けられて前記第1歯車と噛み合う第3歯車と、前記他方のアームに設けられて前記第2歯車と噛み合う第4歯車と、を備え、前記一方のアームは、前記第3歯車と同軸上に配列する第1ウォームホィールと、この第1ウォームホィールと噛み合う第1ウォームギヤと、この第1ウォームギヤを回転する第1モータと、を有し、前記他方のアームは、前記第4歯車と同軸上に配列する第2ウォームホィールと、この第2ウォームホィールと噛み合う第2ウォームギヤと、この2ウォームギヤを回転する第2モータと、を有する(1)から(6)のいずれかに記載の多関節装置。
【0037】
(7)の発明による多関節装置は、関節装置が交差歯車を備えている。交差歯車は、関節部に配置されている。又、交差歯車は、第1歯車と第2歯車とが中心を共有している。第1歯車は、第1円周に等間隔に少なくとも複数の歯を設けている。第2歯車は、第2円周に等間隔に少なくとも複数の歯を設けている。更に、第1円周を含む第1平面と第2円周を含む第2平面とが直交している。
【0038】
又、関節装置は、第3歯車と第4歯車を備えている。第3歯車は、一方のアームに設けられており、第1歯車と噛み合っている。第4歯車は、他方のアームに設けられており、第2歯車と噛み合っている。
【0039】
又、一方のアームは、第1ウォームホィール、第1ウォームギヤ、及び第1モータを有している。第1ウォームホィールは、第3歯車と同軸上に配列している。第1ウォームギヤは、第1ウォームホィールと噛み合っている。第1モータは、第1ウォームギヤを回転できる。
【0040】
他方のアームは、第2ウォームホィール、第2ウォームギヤ、及び第2モータを有している。第2ウォームホィールは、第4歯車と同軸上に配列している。第2ウォームギヤは、第2ウォームホィールと噛み合っている。第2モータは、第2ウォームギヤを回転できる。
【0041】
例えば、関節装置は、一方のアームの伸長方向と他方のアームの伸長方向とを同軸上に配置できる。第3歯車を回転すれば、他方のアームに対して、一方のアームを可動できる。第4歯車を回転すれば、一方のアームに対して、他方のアームを可動できる。このように、(7)の発明による多関節装置に備わる関節装置は、1関節に2自由度を有するスリムな関節装置を実現できる。
【0042】
周知のとおり、歯車伝動装置は、歯面同士のすべり接触によって確実な伝動を得ることができる。一般に、歯車伝動装置は、原動車(入力)が従動車(出力)に回転を伝動するが、(7)の発明による多関節装置に備わる関節装置は、第3歯車又は第4歯車の自転(入力)運動が交差歯車で規定される公転(出力)運動に変換される。この場合、公転軌跡は、歯車の噛み合いにより、確実に移動することができる。すなわち、(7)の発明による多関節装置に備わる関節装置は、確実な動作を実現できる。
【0043】
又、第1ウォームギヤを回転すると、第1ウォームギヤの回転が第1ウォームホィールに伝動される。第3歯車は、第1ウォームホィールの回転に同期して回転してよく、交差歯車に従動されて、他方のアームに対して一方のアームを移動させる。第1ウォームギヤを回転停止すると、第1ウォームギヤと第1ウォームホィールとは、相互にロックされる。すなわち、第1ウォームホィールからの動力が第1ウォームギヤに伝達することなく、一対のアームの停止時の姿勢が保持される。
【0044】
(7)の発明による多関節装置に備わる関節装置は、出力側からの動力が入力側に伝達することなく、停止時の姿勢が保持される不可逆な機構を備える関節装置を提供できる。
【0045】
(8) 前記交差歯車は、前記第1歯車の中心軸方向に延びて前記第2歯車の両翼に外在する第1回動軸と、前記第2歯車の中心軸方向に延びて前記第1歯車の両翼に外在する第2回動軸と、を有し、前記一方のアームは、前記第1回動軸の両端部を回動可能に支持する第1支持端末を有し、前記他方のアームは、前記第2回動軸の両端部を回動可能に支持する第2支持端末を有する(7)記載の多関節装置。
【発明の効果】
【0046】
本発明による多関節装置は、共有の軸心を屈折させる強い力が作用すると、第1強磁性体と第2強磁性体が分離する。つまり、共有の軸心に曲げモーメントが作用すると、第1強磁性体と第2強磁性体とが剥離するように分離する。分離された一方のアームと異なる関節装置の他方のアームは、近接すれば再結合できる。
【0047】
本発明による多関節装置は、連設した関節装置(モジュール)に作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避することなく、関節装置同士を受動的に分離することが可能な多関節装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0049】
図1は、本発明による多関節装置に備わる関節装置の一実施形態を示す外観図である。図2は、前記実施形態による多関節装置に備わる関節装置の縦断面図である。図3は、前記実施形態による多関節装置に備わる関節装置の縦断面図であり、他方のアームが傾斜した状態を想像線で示している。図4は、前記実施形態による多関節装置に備わる関節装置の縦断面図であり、一方のアームが傾斜した状態を想像線で示している。
【0050】
図5は、前記一方のアームの他端面と前記異なる関節装置の他方のアームの一端面を対向配置した図である。図6は、前記実施形態による多関節装置の外観図であり、複数の関節装置を連設した状態図である。
【0051】
図7は、前記実施形態による多関節装置に備わる一組の関節装置の外観図であり、一方のアームと、異なる関節装置の他方のアームが分離した状態図である。図8は、前記実施形態による多関節装置の外観図であり、関節装置に不可避的な接触又は抗力が発生した状態図である。図9は、前記実施形態による多関節装置の外観図であり、関節装置が分離した状態図である。
【0052】
図10は、前記一方のアームの他端面と前記異なる関節装置の他方のアームの一端面を対向配置した図であり、他方のアームの一端面に設けられた粘弾性体をモデルで示している。図11は、前記一方のアームの他端面の正面図である。図12は、前記異なる関節装置の他方のアームの他端面の正面図である。
【0053】
図13は、前記実施形態による多関節装置に備わる一組の関節装置の正面図であり、一方のアームと、異なる関節装置の他方のアームが分離する直前の状態図である。図14は、図13に示された一組の関節装置が分離するときの寸法を求める図である。図15は、前記実施形態による多関節装置に備わる一組の関節装置の正面図であり、一対の強磁性体が結合した状態図である。
【0054】
最初に、本発明の実施形態による多関節装置の構成を説明する。図1又は図2において、関節装置10は、一方のアーム1の一端部と他方のアーム2の他端部とが互いに可動自在に連結している。関節装置10は、交差歯車3と第3及び第4歯車13・14を備えている。交差歯車3は、関節部1jに配置されている。関節部1jは、伸縮性のカバー1kで覆われている。
【0055】
図6に示されるように、多関節装置Mは、複数の関節装置10を連設している。多関節装置Mは、一方のアーム1、及び異なる関節装置10の他方のアーム2が共有の軸心1s・2sを有している(図5参照)。又、多関節装置Mは、一方のアーム1の他端面と、異なる関節装置10の他方のアーム2の一端面とが結合している。
【0056】
図5において、一方のアーム1は、N極が外面を向く円板状の第1強磁性体4を他端面に備えている。他方のアーム2は、S極が外面を向く円板状の第2強磁性体5を一端面に備えている。
【0057】
図7を参照すると、一方のアーム1と異なる関節装置10の他方のアーム2とを近接すると、第1強磁性体4と第2強磁性体5とが磁気結合する。そして、図8に示されるように、一方のアーム1と異なる関節装置10の他方のアーム2とは、共有の軸心1s・2sを屈折させる強い力Fが作用すると、第1強磁性体4と第2強磁性体5が分離する磁力で結合している。
【0058】
次に、本発明の実施形態による多関節装置に備わる関節装置の内部構成を説明する。
【0059】
図2に示されるように、交差歯車3は、第1歯車31と第2歯車32とが中心を共有している。第1歯車31は、ピッチ円となる第1円周に等間隔に複数の歯31aを設けている。第2歯車32は、ピッチ円となる第2円周に等間隔に複数の歯32aを設けている。第1円周を含む仮想の第1平面と、第2円周を含む仮想の第2平面とが直交している。
【0060】
図2から図4に示されるように、第3歯車13は、アーム1に設けられている。第4歯車14は、アーム2に設けられている。第3歯車13は、第1歯車31と噛み合っている。第4歯車14は、第2歯車32と噛み合っている。
【0061】
又、図2から図4において、アーム1は、第1ウォームホィール15と第1ウォームギヤ16を有している。アーム2は、第2ウォームホィール17と第2ウォームギヤ18を有している。第1ウォームホィール15は、第3歯車13と同軸上に配列している。第1ウォームギヤ16は、第1ウォームホィール15と噛み合っている。第2ウォームホィール17は、第4歯車14と同軸上に配列している。第2ウォームギヤ18は、第2ウォームホィール17と噛み合っている。
【0062】
図2から図4において、アーム1は、第1モータ1mを有している。第1モータ1mの出力軸は、第1ウォームギヤ16に直結している。第1モータ1mを駆動すると、第1ウォームギヤ16を回転できる。アーム1は、第1モータ1mの制御する制御回路(実体としてプリント基板)1cを収容している。
【0063】
図2から図4において、アーム2は、第2モータ2mを有している。第2モータ2mの出力軸は、第2ウォームギヤ18に直結している。第2モータ2mを駆動すると、第2ウォームギヤ18を回転できる。アーム2は、第2モータ2mの制御する制御回路(実体としてプリント基板)2cを収容している。
【0064】
図2から図4において、交差歯車3は、第1回動軸31sと第2回動軸32sを有している。第1回動軸31sは、第1歯車31の中心軸方向に延びて、第2歯車32の両翼に外在している。第2回動軸32sは、第2歯車32の中心軸方向に延びて、第1歯車31の両翼に外在している。
【0065】
図2から図4において、アーム1は、外管1aと内管1bで構成された二重管となっている。同様に、アーム2は、外管2aと内管2bで構成された二重管となっている。そして、内管1bは、第1回動軸31sの両端部を回動可能に支持する一対の第1支持端末1d・1dを有している。内管2bは、第2回動軸32sの両端部を回動可能に支持する一対の第1支持端末2d・2dを有している。
【0066】
図示の実施形態で示された関節装置10は、アーム1の伸長方向とアーム2の伸長方向が同軸上に配置している。関節装置10は、第3歯車13を回転すれば、アーム2に対して、アーム1を可動できる(図4参照)。第4歯車14を回転すれば、アーム1に対して、アーム2を可動できる(図3参照)。このように、本発明の実施形態による多関節装置Mに備わる関節装置10は、1関節に2自由度を有するスリムな関節装置を実現できる。
【0067】
又、実施形態による関節装置10は、第3歯車13又は第4歯車14の自転運動が交差歯車3で規定される公転運動に変換される。この場合、公転軌跡は、歯車の噛み合いにより、確実に移動することができるので、関節装置10は、確実な動作を実現できる。
【0068】
図2において、第1ウォームギヤ16を回転すると、第1ウォームギヤ16の回転が第1ウォームホィール15に伝動される。第3歯車13は、第1ウォームホィール15の回転に同期して回転する。そして、第3歯車13は、交差歯車3の第1歯車31に従動されて、アーム2に対してアーム1を移動させる(図4参照)。
【0069】
図2において、モータ1mの回転を停止すると、第1ウォームギヤ16と第1ウォームホィール15とは、相互にロックされる。すなわち、第1ウォームホィール15からの動力が第1ウォームギヤ16に伝達することなく、一対のアーム1・2の停止時の姿勢が保持される(図4参照)。
【0070】
同様に、図2において、第2ウォームギヤ18を回転すると、第2ウォームギヤ18の回転が第2ウォームホィール17に伝動される。第4歯車14は、第2ウォームホィール17の回転に同期して回転する。そして、第4歯車14は、交差歯車3の第2歯車32に従動されて、アーム1に対してアーム2を移動させる(図3参照)。
【0071】
図2において、モータ2mの回転を停止すると、第2ウォームギヤ18と第2ウォームホィール17とは、相互にロックされる。すなわち、第2ウォームホィール17からの動力が第2ウォームギヤ18に伝達することなく、一対のアーム1・2の停止時の姿勢が保持される(図3参照)。
【0072】
このように、本発明の実施形態による多関節装置Mに備わる関節装置10は、出力側からの動力が入力側に伝達することなく、停止時の姿勢が保持される不可逆な機構を備え、リセットすることなく動作を再開可能な関節装置を提供できる。
【0073】
又、実施形態による関節装置10は、関節部1jにモータを備えていないので、スリムな関節装置を実現できる。交差歯車3は、理論的には無限に小さくでき、一方のアームの端部と他方のアームの端部が交差する関節部に内蔵することも可能であり、少なくとも関節部を膨張させる必然性はない。
【0074】
次に、本発明の実施形態による多関節装置に備わる関節装置の端末構造を説明する。図5を参照すると、アーム1には、正極用の電源ジャック4aと負極用の電源プラグ4bを設けている。一方、アーム2には、正極用の電源プラグ5aと負極用の電源ジャック5bを設けている。アーム1と異なる関節装置10のアーム2とを接続すると、電源ジャック4aと電源プラグ5aが接続し、電源プラグ4bと電源ジャック5bが接続できる。そして、一対の関節装置10・10に電力を供給できる。
【0075】
又、図5を参照すると、アーム1には、光通信用のポート4cを設けている。一方、アーム2には、光通信用のポート5cを設けている。アーム1と異なる関節装置10のアーム2とを接続すると、ポート4cとポート5cとが連通し、一対の関節装置10・10の相互通信が可能になる。つまり、多関節装置Mを自律分散的に光通信で制御するモジュール型マニピュレーターが可能になる。
【0076】
図5を参照すると、アーム1に備わる第1強磁性体4と異なる関節装置10のアーム2に備わる第2強磁性体5とは、互いに磁気結合する平坦面4s・5sを有している。又、アーム1は、第1強磁性体4を中心部に配置し、アーム2は、第2強磁性体5を中心部に配置している。第1強磁性体4は、アーム1の端面から窪んで配置され、第2強磁性体5は、アーム2の端面から突出して配置されているが、第1強磁性体4がアーム1の端面から突出して配置され、第2強磁性体5がアーム2の端面から窪んで配置されてもよい。
【0077】
次に、本発明の実施形態による多関節装置の作用を説明する。図7を参照すると、本発明の実施形態による多関節装置Mは、アーム1の他端面と異なる関節装置10のアーム2の一端面とを近接すると、磁気結合できる。図6に示されるように、複数の関節装置10を連設すれば、多関節装置Mを構成できる。複数の関節装置10を協調的に動作させ、これらの関節装置10、つまり多関節装置Mを自律分散的に制御することが好ましい。
【0078】
図5及び図8を参照すると、多関節装置Mは、共有の軸心1s・2sを屈折させる強い力が作用すると、第1強磁性体4と第2強磁性体5が分離する。つまり、共有の軸心1s・2sに曲げモーメントが作用すると、第1強磁性体4と第2強磁性体5とが剥離するように分離する。
【0079】
そして、図9に示されるように、衝撃的な力が作用した特定の関節装置10が連設していた他の関節装置10と分離する。つまり、特定の関節装置10が分解する。分離されたアーム1と異なる関節装置10のアーム2は、前述したように近接すれば、再結合できる(図7参照)。
【0080】
このように、本発明の実施形態による多関節装置Mは、連設した関節装置10に作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避することなく、関節装置10同士を受動的に分離することが可能な多関節装置を実現できる。
【0081】
図10は、一方の強磁性体に粘弾性体を設けた一対の関節装置10・10の端末構造を示している。図10において、アーム1の端面には、円板状の第1強磁性体4が中心部に固定されている。一方、アーム2の端面には、円板状の第2強磁性体5が中心部に配置されている。
【0082】
図10に示された第2強磁性体5は、外力に対して応答速度の速い引張りコイルばね6aと、応答速度の遅いダッシュポット6bとを並列に配置した三つの粘弾性体6で周囲が均等に支持されている。つまり、第2強磁性体5は、軸方向の引張り力に対して応答速度を緩和するように周囲が弾性支持されている。
【0083】
図10に示された引張りコイルばね6a及びダッシュポット6bは、ケルビン・フォークモデルを図式化したものであって、このような粘性及び弾性の両機能を合わせもつ実体としては、ウレタンゴムなどの粘弾性体6が使用される。
【0084】
図10に示された関節装置10を連設する多関節装置Mは、第2強磁性体5が軸方向の引張り力に対して応答速度を緩和するように周囲が弾性支持されているので、関節装置10に働く力の大きさや向きが時間に関係なく一定な静荷重に対しては、第2強磁性体5が追従して両強磁性体が容易に分離しない。
【0085】
一方、きわめて短時間に瞬間的に急激に働く衝撃荷重に対しては、第1強磁性体又は第2強磁性体のいずれかも追従することなく、両強磁性体が容易に分離できる。つまり、緩慢な動きには追従するが急激な動きには追従が困難な、衝撃力で分離可能な結合機構を実現できる。
【0086】
次に、本発明の実施形態による多関節装置に備わる関節装置の試作品について端末構造を説明する。
【0087】
図10に示された実体としての粘弾性体6には、適度に柔らかい(弾性が弱く、かつ粘性が高い)ウレタンゴムを採用した。第1強磁性体4及び第2強磁性体5には、耐腐食性があり、剛性が有りながら磁力の高い直径12mmの円板に成形されたネオジム磁石を使用した。そして、円板のウレタンゴムの中心部にネオジム磁石をビスで固定した(図10参照)。
【0088】
アーム1には、外径が54mmで肉厚Dが2mmのアクリル製の円筒を用いた(図11)。アーム1の端末は、段付き構造とし、その段差の深さXを5mmとした。又、この段の外径Rを49.9mmとした。
【0089】
同様に、アーム2には、外径が54mmで肉厚Dが2mmのアクリル製の円筒を用いた(図12)。そして、アーム1の端末は、アーム1の段差が嵌合する内径rを50.1mmに加工した。
【0090】
アーム2の内周にアーム1の段差が嵌合することにより、一対の関節10・10が結合した状態での強度と精度が確保される。アーム1とアーム2とのはめ合いが「すきまばめ」から「しまりばめ」に移行するにしたがって、一対の関節10・10が結合した状態での強度と精度が確保される。しかし、多関節装置に衝撃力が作用したときに、関節10が容易に分離できるように、段差の深さXを5mmに設定し、アーム1とアーム2とのはめ合いを0.2mmの隙間を設ける「すきまばめ」に設定した。
【0091】
前述した試作品では、静荷重として、アーム1とアーム2の軸方向と直交する方向に働くトルクが「0.26」N・m、アーム1とアーム2を軸方向に分離するように働く引張り力が14.7Nまで耐えることができた。一方、アーム1とアーム2の共有の軸心を屈折させる衝撃力に対しては、前述の静荷重トルクの2/3程度で容易に分離できた。
【0092】
図13及び図14を参照すると、段差の深さXの最大値を求めることができる。アーム1とアーム2が相対的に傾斜して分離する距離X1は、三平方の定理を使って、X1=4.4721mmが求められる。同じく、三平方の定理ならびに三角形の相似からX=4.6506mmが求められる。つまり、段差の深さXは「4.6506」mm以下が好ましい。
【0093】
次に、磁石の強さと一対の磁石を分離する力の関係を説明する。
【0094】
磁石の強さをX[G](ガウス)とすると、1[G]=10−4[T](テスラ)なので、X[G]=X×10−4[T]となる。
【0095】
一対の磁石が軸方向に吸着する磁石の引力をF[N]とおき、
磁力の式、F=B×S/2μを用いてF[N]を求める。
・B(磁石2つの磁束密度)=2X×10−4[T]
・S(磁石の面積)=S[m
・μ(真空中の透磁率)=4π×10−7[H/m]
を上式に代入して整理すると、
F=(2×10−4×X)×S/2×4π×10−7
F=4X×S×10−8/25.13×10−7≒0.016X×S[N]となる。
【0096】
図15を参照すると、支点Fuから一対の第1及び第2強磁性体4・5の中心までの距離Dr/2は、前述の試作品では27mmとなるので、一対の第1及び第2強磁性体4・5を分離するために必要なトルクTrは、以下のとおりとなる。
Tr=0.016X×S[N]×27×10−3[m]
Tr=4.32X×S×10−4[N・m]
【0097】
前述のとおり、一対の第1及び第2強磁性体4・5を分離するために必要なトルクTrは、磁石の強さXの二乗と磁石の面積に依存することが解る。又、一対のアーム1・2の結合点から一対のアーム1・2の半径以上になれば、前記のトルクTr以下で一対の第1及び第2強磁性体4・5を分離できる。
【0098】
本発明の実施形態による多関節装置は、連設したモジュールに作用する不可避的な接触又は抗力に対して制御系で回避することなく、モジュール同士を受動的に分離することが可能である。そして、磁石の強さと磁石の面積を適宜に設定し、一対のアームの端部同士をはめ合いを適宜な「すきまばめ」に設定し、粘弾性体の特性を吟味すれば、宇宙ステーションの船内で人間との協調作業が可能な自律分散的なモジュール型マニピュレーターが実現できる。
【0099】
又、本発明の実施形態による多関節装置は、室内での家事支援ロボットとして応用してもよく、人間と対面するアミューズメントロボットとしても応用が期待できる。更に、本発明の実施形態による多関節装置は、同じ形状の関節装置に分解できるので、梱包容量が制限される宇宙ステーションの輸送などに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明による多関節装置に備わる関節装置の一実施形態を示す外観図である。
【図2】前記実施形態による多関節装置に備わる関節装置の縦断面図である。
【図3】前記実施形態による多関節装置に備わる関節装置の縦断面図であり、他方のアームが傾斜した状態を想像線で示している。
【図4】前記実施形態による多関節装置に備わる関節装置の縦断面図であり、一方のアームが傾斜した状態を想像線で示している。
【図5】前記一方のアームの他端面と前記異なる関節装置の他方のアームの一端面を対向配置した図である。
【図6】前記実施形態による多関節装置の外観図であり、複数の関節装置を連設した状態図である。
【図7】前記実施形態による多関節装置に備わる一組の関節装置の外観図であり、一方のアームと、異なる関節装置の他方のアームが分離した状態図である。
【図8】前記実施形態による多関節装置の外観図であり、関節装置に不可避的な接触又は抗力が発生した状態図である。
【図9】前記実施形態による多関節装置の外観図であり、関節装置が分離した状態図である。
【図10】前記一方のアームの他端面と前記異なる関節装置の他方のアームの一端面を対向配置した図であり、他方のアームの一端面に設けられた粘弾性体をモデルで示している。
【図11】前記一方のアームの他端面の正面図である。
【図12】前記異なる関節装置の他方のアームの他端面の正面図である。
【図13】前記実施形態による多関節装置に備わる一組の関節装置の正面図であり、一方のアームと、異なる関節装置の他方のアームが分離する直前の状態図である。
【図14】図13に示された一組の関節装置が分離するときの寸法を求める図である。
【図15】前記実施形態による多関節装置に備わる一組の関節装置の正面図であり、一対の強磁性体が結合した状態図である。
【符号の説明】
【0101】
1 一方のアーム
2 他方のアーム
4 第1強磁性体
5 第2強磁性体
10 関節装置
M 多関節装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方のアームの一端部と他方のアームの他端部とが互いに可動自在に連結する関節装置を複数備え、前記一方のアーム、及び異なる前記関節装置の他方のアームが共有の軸心を有し、かつ、前記一方のアームの他端面と前記異なる関節装置の他方のアームの一端面とが結合して当該関節装置を連設する多関節装置であって、
前記一方のアームは、一方の極性を有する第1強磁性体を他端面に備え、
前記他方のアームは、他方の極性を有する第2強磁性体を一端面に備え、
前記一方のアームと前記異なる関節装置の他方のアームとは、前記第1強磁性体と前記第2強磁性体とが磁気結合すると共に、前記共有の軸心を屈折させる力が作用したとき、当該第1強磁性体と当該第2強磁性体が分離する磁力で結合している多関節装置。
【請求項2】
前記一方のアームに備わる前記第1強磁性体と前記異なる関節装置の他方のアームに備わる前記第2強磁性体とは、互いに磁気結合する平坦面を有する請求項1記載の多関節装置。
【請求項3】
前記第1強磁性体及び前記第2強磁性体は、円板状に形成されている請求項1又は2記載の多関節装置。
【請求項4】
前記一方のアームは、前記第1強磁性体を中心部に配置し、前記他方のアームは、前記第2強磁性体を中心部に配置している請求項1から3のいずれかに記載の多関節装置。
【請求項5】
前記第1強磁性体又は前記第2強磁性体の少なくとも一方は、軸方向の引張り力に対して応答速度を緩和するように周囲が弾性支持されている請求項4記載の多関節装置。
【請求項6】
前記第1強磁性体又は前記第2強磁性体の少なくとも一方は、粘弾性体で周囲が支持されている請求項5記載の多関節装置。
【請求項7】
前記関節装置は、
関節部に配置する交差歯車であって、第1円周に等間隔に少なくとも複数の歯を設ける第1歯車と第2円周に等間隔に少なくとも複数の歯を設ける第2歯車とが中心を共有し、かつ前記第1円周を含む第1平面と前記第2円周を含む第2平面とが直交する交差歯車と、
前記一方のアームに設けられて前記第1歯車と噛み合う第3歯車と、
前記他方のアームに設けられて前記第2歯車と噛み合う第4歯車と、を備え、
前記一方のアームは、前記第3歯車と同軸上に配列する第1ウォームホィールと、この第1ウォームホィールと噛み合う第1ウォームギヤと、この第1ウォームギヤを回転する第1モータと、を有し、
前記他方のアームは、前記第4歯車と同軸上に配列する第2ウォームホィールと、この第2ウォームホィールと噛み合う第2ウォームギヤと、この2ウォームギヤを回転する第2モータと、を有する請求項1から6のいずれかに記載の多関節装置。
【請求項8】
前記交差歯車は、前記第1歯車の中心軸方向に延びて前記第2歯車の両翼に外在する第1回動軸と、前記第2歯車の中心軸方向に延びて前記第1歯車の両翼に外在する第2回動軸と、を有し、
前記一方のアームは、前記第1回動軸の両端部を回動可能に支持する第1支持端末を有し、
前記他方のアームは、前記第2回動軸の両端部を回動可能に支持する第2支持端末を有する請求項7記載の多関節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−586(P2010−586A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163146(P2008−163146)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【Fターム(参考)】