大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法、パルス発生素子及びパルス発生装置
【課題】従来、電磁ピックアップ型、ホール効果型センサや、複合磁性線型等のパルス発生装置があったが、前者は移動速度によって誘起電圧が異なったり、鋭いパルスが得られなかったり、また後者は印加磁界の厳密な制御を要し、パルス信号も検出コイル1ターン当たり2mV程度で実用化には問題があった。
【解決手段】Fe、Co、Vを主成分とする金属リボン材と、Fe、Niやそれらの合金又はガラス繊維、耐熱性プラスチック、炭素繊維、耐熱性金属等から選択される芯材からなるクラッドワイヤを線引し、その過程で熱処理とひねり応力を印加して大バルクハウゼンジャンプの発生素子とし、またクラッドワイヤの磁界変化を検出する手段とワイヤの長さ方向に交流磁界を印加する手段を備え、検出コイル1ターン当たり10mVのパルス信号を得る。
【解決手段】Fe、Co、Vを主成分とする金属リボン材と、Fe、Niやそれらの合金又はガラス繊維、耐熱性プラスチック、炭素繊維、耐熱性金属等から選択される芯材からなるクラッドワイヤを線引し、その過程で熱処理とひねり応力を印加して大バルクハウゼンジャンプの発生素子とし、またクラッドワイヤの磁界変化を検出する手段とワイヤの長さ方向に交流磁界を印加する手段を備え、検出コイル1ターン当たり10mVのパルス信号を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は感磁要素とパルス発振子に係り、特に大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法、同製造方法によるパルス発生素子及び同パルス発生素子を用いたパルス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁ピックアップ型やホール効果型センサ並びに、複合磁性線型即ち、強磁性体にひねり応力を加えた感磁要素とその近くに配置された検出コイルからなり、前記感磁要素において正方向の磁界が閾値に達した瞬間のバルクハウゼンジャンプにより検出コイルにパルス電圧を発生させるものがあった。そして、上記複合磁性線の製法は、Fe、Co、V、及びNi等の合金線に対して繰り返しひねり応力を加えた後、電流による通電熱処理を行い製作していたものがあった。
【特許文献1】特願昭59−12142号公報
【特許文献2】特願昭61−11379号公報
【特許文献3】特願昭62−31528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記電磁ピックアップ型は、移動速度によって誘起電圧が異なり複雑な信号処理回路を要し、また、ホール効果型センサは、鋭いパルス信号が得られずさらに、外部磁界の影響を受け易いため複雑な処理回路を要した。
そして、従来の複合磁性線型は、先ず、強固な一軸異方性が付与されているため、第1の磁界は磁性線を飽和まで磁化する必要があり、
次ぎに第2の磁界として、第1の磁界とは逆の方向に印加磁界の大きさを厳密に制御しなければならず、
例えば、回転側に逆極性で取り付けた永久磁石からの磁界を複合磁性線に非対称で印加しようとしたとき、磁石の大きさを変える必要があり、通常第1の磁界は60(Oe)以上、第2の磁界は20(Oe)程度で約3倍以上の非対称でなければならない。
また、パルス信号は検出コイルの1ターン当たり1.5mV〜2mV程度であり、応用範囲を広げるためにはさらに大きなパルス電圧が要求されるため、適用範囲が限定され実用化に問題があった。
本件では、前記課題を解決し、広範囲な応用分野を開発できるパルス発生素子及びパルス発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑み本発明者等は鋭意実験研究の結果下記の手段により課題を解決した。
〔1〕大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法であって、芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材でに管状に被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、
前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程とが、採用され、かつ、上記線引き工程が、前記強磁性の金属リボン材で被包された芯材を第1のダイスで線引きする第1次伸線工程と、前記第1次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第1次加熱処理工程と、該第1次加熱処理工程を終えたクラッドワイヤを、第2のダイスで線引きする第2次伸線工程と、該第2次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第2次加熱処理工程とからなる、ことを特徴とする大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【0005】
〔2〕前記芯材が、鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属からなることを特徴とする前項〔1〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
〔3〕前記芯材が、(1)ガラス繊維、(2)耐熱性プラスチック、(3)炭素繊維、及び(4)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする前項〔1〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
〔4〕前記線引き工程が第2次伸線工程と第2次加熱処理工程とが施された後、
さらにn次伸線工程とn次加熱処理工程が追加して施されることを特徴とする前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
〔5〕クラッドワイヤからなる大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子であって、該パルス発生素子は、芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材で被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程と、前記ひねり加工工程を終えたクラッドワイヤを短尺に切断する工程を経て作製されたものであることを特徴とする、大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
【0006】
〔6〕前記芯材が、(1)鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属、(2)ガラス繊維、(3)耐熱性プラスチック、(4)炭素繊維、及び(5)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする前項〔5〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
〔7〕前項〔5〕又は〔6〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子と、前記パルス発生素子の長さ方向に永久磁石あるいは励磁コイルによって対称交流磁界を印可する手段と、同パルス発生素子の前記磁界中における起電力の急激な変化を検出する手段とを有し、交流磁界の変化速度に無関係にパルス発生素子の磁束変化を検出して、パルスを発生させるようにしたことを特徴とするパルス発生装置。
〔8〕大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子が、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の方法で製造されたパルス発生素子用のクラッドワイヤを短尺に切断して作製されたものであることを特徴とする前項〔7〕に記載のパルス発生装置。
【発明の効果】
【0007】
従来、クラッドワイヤの製造方法は、クラッド材をパイプ状にして、その中に芯材を入れて引き抜き加工して伸線するのが主流であったが、適合する合金のパイプが少なくかつ高価で入手が困難であり、また、工程が細いパイプの中に芯線を通すため長尺のクラッドワイヤが得難く、通電による熱処理や、ひねり加工も特殊の手段を必要とした。
本発明によれば、クラッド材はリボン状であり入手が容易でかつ安価であり、
また、クラッド後リボン材が剥がれることなく製造することができ、さらに、長尺のクラッドワイヤも容易に得ることができる。
【0008】
また本発明により製造されたクラッドワイヤは、任意の寸法に短く切断し、大バルクハウゼンジャンプを発現させるパルス発生素子とすることができる。
【0009】
さらに、本発明のパルス発生装置は、
前記の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子と、前記パルス発生素子の長さ方向に永久磁石あるいは励磁コイルによって対称交流磁界を印可する手段と、同パルス発生素子の前記磁界中における起電力の急激な変化を検出する手段とを有し、交流磁界の変化速度に無関係にパルス発生素子の磁束変化を検出して、パルスを発生させるようにしたため、
極めて遅い直線移動あるいは低速度回転でも、クラッドワイヤの磁化反転速度には無関係に一定のパルス電圧を検出することが可能であり、高い分解能を与えることができる。
そして、例えば、検出コイル1ターン当たり10mv以上の大きな電圧を得ることができ、また無電源で動作するため、電子機器や自動制御の分野においてその応用範囲を著しく拡大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を以下図面及び図表に基づいて説明する。
図1は本発明のクラッドワイヤの外観図で、(イ)は左側面図、(ロ)は正面外観斜視図である。
図において、1はクラッドワイヤ、2は芯材、3はクラッド後のリボン材を示す。
図2は芯材の外観図で、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図を示す。
図3はリボン材のクラッド前の外観図で、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図を示す。
【0011】
図1のクラッドワイヤの正面外観斜視図に示したように、芯材2はクラッド後のリボン材3によってクラッドされている。
図2の(イ)の芯材は、円柱状のコア線で、素材は前記Fe又はNiあるいはそれらの合金からなる0.1〜0.9mmφの細線である。
あるいは、前記の素材はガラス繊維、耐熱性プラスチック、炭素繊維、及び耐熱性金属でもよい。
図3のリボン材3’は、クラッド前はリボン状の薄板で、素材はFe、Co、及びVを主成分とする合金(バイカロイ)である。
この、組成比率は、Fe(鉄)50%、Co(コバルト)40%、V(バナジウム)10%が好ましい。
大きさは例えば、0.14mmφの芯材(コア線)をクラッド加工するためのリボン材3’は、幅(w)1.03mm×厚さ(t)0.06mm×長さ(l)は長尺である。
【0012】
次ぎに、クラッドワイヤの製造法について説明する。
図4はクラッドワイヤ製造第1工程の説明図で、
(イ)はリボン材の準備工程、(ロ)はリボン材と芯材の合成工程、(ハ)はクラッド工程を示す。
図において、4はダイス(治具)の半断面、7は通線孔、8は線引きの方向を示す。
最初にリボン材3’の先端を鋭角に加工して、図のようにダイス4の、入り口が大で出口が小さい通線孔7に通してパイプ状に形成した後芯線2を中に通す、(イ)〜(ロ)図。
次ぎに、前記パイプ状になったリボン材3とその中に通された伸線2とを掴持して線引きの方向8のように引っ張る、(ハ)図。
【0013】
図5は伸線工程を示す模式図である。
図において、5は2段目のダイス、6は3段目のダイスを示す。
前記第1工程においてクラッドされたクラッドワイヤ1は、伸線されて2段目のダイス5により径を縮小、伸線され、さらに3段目のダイス6により径を縮小、伸線される。
そして、前記の過程で、中間の加熱処理並びにひねり加工が行われる。
【0014】
図6はクラッドワイヤ作製のフローチャートである。
図において、9はクラッド後、10は伸線第1工程、11は中間熱処理第1工程、12は伸線第2工程、13は中間熱処理第2工程、14はひねり加工工程、15はひねり回数とひねり方向、16は完成を示す。
前述の第1工程においてクラッドされたクラッドワイヤは、クラッド後9から
伸線第1工程10(図5ダイス4〜5の間)において、0.405mmφ〜0.384mmφまで伸線された後、中間熱処理第1工程11において900℃/5m/min(900℃にて、5mを1分間)加熱処理する。
この加熱処理は、例えばトンネル型の電気炉の中心を前記クラッドワイヤを連続通過させるかあるいは通電による熱処理で行うことができる。
その後伸線第2工程12(図5ダイス5〜6の間)において0.384mmφ〜0.239mmφまで伸線された後、中間熱処理第2工程13において900℃/5m/min(900℃にて、5mを1分間)加熱処理する。この加熱処理は、前記と同様である。
【0015】
前記中間熱処理第2工程13の後、ひねり加工工程14を行う。
この詳細は、事例として、ひねり回数とひねり方向15に示したように、クラッドワイヤ3mに対して、時計方向(cw)にひねり回数500回の後、反時計方向(ccw)に1000回ひねり、次いで前記cwに1200回ひねった後に、ccwに1200回ひねり、さらにcwに1435回ひねって完成16する。
このひねり加工は、例えばクラッドワイヤの一端を固定し、他端をモータ等の軸にチャックし、正逆に回転させてもよい。
【0016】
前記の中間の加熱処理は、伸線時にクラッドワイヤの表面層に残留した応力を取り除くためのものであり、その温度と時間は誘発パルスの電圧の大きさに大きく影響する。
また、繰り返しねじってワイヤ内部に歪み応力を与え、外観的にはねじり戻した状態でも、その磁気異方性の変化を保持することが知られているが、
前記加熱処理の工程並びにひねり回数とひねり方向については、知見の結果により実施される。
以上のようにして、大バルクハウゼンジャンプを発生させるパルス発生素子を製造することができる。
【0017】
次ぎに、前記大バルクハウゼンジャンプが発現する前記クラッドワイヤの磁界の変化を検出する測定手段と、取得データについて説明する。
図7は測定時の機器の構成図で、
図のようにロータ側に逆極性で配置した永久磁石と検出コイルに挿入したクラッドワイヤとからなる。
図において、17は検出コイル、18はコイル端末引き出し線、19はロータ、20は永久磁石AのN極、21は同S極、22は永久磁石BのN極、23は同S極、24は回転方向を示す。
上記、永久磁石のA及びBの寸法=9(l)×5(w)×2.5(t)mm、検出コイルの長さ=10mm、捲数=3000T、コイル側面と磁石側面との距離=5mm、クラッドワイヤの形状:長さ=30mm、線径=0.255mmφを使用した。
測定は検出コイルの両端にオシロスコープを接続して、誘起パルス電圧の波形と電圧を測定した。
【0018】
図8に測定機器の構成を示す。
図において、25は発信器、26は電力増幅器、27は励磁コイル引き出し線、28は励磁コイル、29はボビン、30はオシロスコープを示す。
定量的には図8のように励磁コイル28を用いて測定する。
励磁コイルは、長さ=10mm、中心磁界=25(Oe)/Aで、該励磁コイル28の中に検出コイル17を挿入して測定する。
【0019】
図9はクラッドワイヤの出力波形である。
前記ロータ19(図7)の永久磁石を回転して計測する。回転数は120(rpm)である。
前記のように永久磁石A及びBは各S及びN極(20〜23)を有しているので、ロータ19の1回転で正負(+−)のパルス電圧がそれぞれ2パルス発生する。
本図は正負の発生電圧の全体を観測したもので、縦軸は正負(+−)の電圧、横軸は時間軸である。
図のように、ロータ19が1回転中(250ms/divに設定)に、電圧30Vの正負それぞれ2パルスが発生している。
【0020】
図10は正パルスの拡大図で、横軸の時間軸を10μs/divに拡大した。図のように、幅約10μs、電圧30Vの正のパルスが計測される。
図11は負パルスの拡大図で、横軸の時間軸を10μs/divに拡大した。図のように、幅約10μs、電圧30Vの負のパルスが計測される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のクラッドワイヤの外観図
【図2】芯材の外観図
【図3】リボン材のクラッド前の外観図
【図4】クラッドワイヤ製造第1工程の説明図
【図5】伸線工程を示す模式図
【図6】クラッドワイヤ作製のフローチャート
【図7】測定時の機器の構成図
【図8】測定機器の構成
【図9】クラッドワイヤの出力波形
【図10】正パルスの拡大図
【図11】負パルスの拡大図
【符号の説明】
【0022】
1:クラッドワイヤ
2:芯材
3:クラッド後のリボン材
3’:リボン材
4:ダイスの半断面
5:2段目のダイス
6:3段目のダイス
7:通線孔
8:線引きの方向
9:クラッド後
10:伸線第1工程
11:中間熱処理第1工程
12:伸線第2工程
13:中間熱処理第2工程
14:ひねり加工工程
15:ひねり回数とひねり方向
16:完成
17:検出コイル
18:コイル端末引き出し線
19:ロータ
20:永久磁石AのN極
21:同S極
22:永久磁石BのN極
23:同S極
24:回転方向
25:発信器
26:電力増幅器
27:励磁コイル引き出し線
28:励磁コイル
29:ボビン
30:オシロスコープ
【技術分野】
【0001】
本発明は感磁要素とパルス発振子に係り、特に大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法、同製造方法によるパルス発生素子及び同パルス発生素子を用いたパルス発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁ピックアップ型やホール効果型センサ並びに、複合磁性線型即ち、強磁性体にひねり応力を加えた感磁要素とその近くに配置された検出コイルからなり、前記感磁要素において正方向の磁界が閾値に達した瞬間のバルクハウゼンジャンプにより検出コイルにパルス電圧を発生させるものがあった。そして、上記複合磁性線の製法は、Fe、Co、V、及びNi等の合金線に対して繰り返しひねり応力を加えた後、電流による通電熱処理を行い製作していたものがあった。
【特許文献1】特願昭59−12142号公報
【特許文献2】特願昭61−11379号公報
【特許文献3】特願昭62−31528号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記電磁ピックアップ型は、移動速度によって誘起電圧が異なり複雑な信号処理回路を要し、また、ホール効果型センサは、鋭いパルス信号が得られずさらに、外部磁界の影響を受け易いため複雑な処理回路を要した。
そして、従来の複合磁性線型は、先ず、強固な一軸異方性が付与されているため、第1の磁界は磁性線を飽和まで磁化する必要があり、
次ぎに第2の磁界として、第1の磁界とは逆の方向に印加磁界の大きさを厳密に制御しなければならず、
例えば、回転側に逆極性で取り付けた永久磁石からの磁界を複合磁性線に非対称で印加しようとしたとき、磁石の大きさを変える必要があり、通常第1の磁界は60(Oe)以上、第2の磁界は20(Oe)程度で約3倍以上の非対称でなければならない。
また、パルス信号は検出コイルの1ターン当たり1.5mV〜2mV程度であり、応用範囲を広げるためにはさらに大きなパルス電圧が要求されるため、適用範囲が限定され実用化に問題があった。
本件では、前記課題を解決し、広範囲な応用分野を開発できるパルス発生素子及びパルス発生装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記に鑑み本発明者等は鋭意実験研究の結果下記の手段により課題を解決した。
〔1〕大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法であって、芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材でに管状に被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、
前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程とが、採用され、かつ、上記線引き工程が、前記強磁性の金属リボン材で被包された芯材を第1のダイスで線引きする第1次伸線工程と、前記第1次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第1次加熱処理工程と、該第1次加熱処理工程を終えたクラッドワイヤを、第2のダイスで線引きする第2次伸線工程と、該第2次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第2次加熱処理工程とからなる、ことを特徴とする大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【0005】
〔2〕前記芯材が、鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属からなることを特徴とする前項〔1〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
〔3〕前記芯材が、(1)ガラス繊維、(2)耐熱性プラスチック、(3)炭素繊維、及び(4)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする前項〔1〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
〔4〕前記線引き工程が第2次伸線工程と第2次加熱処理工程とが施された後、
さらにn次伸線工程とn次加熱処理工程が追加して施されることを特徴とする前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
〔5〕クラッドワイヤからなる大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子であって、該パルス発生素子は、芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材で被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程と、前記ひねり加工工程を終えたクラッドワイヤを短尺に切断する工程を経て作製されたものであることを特徴とする、大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
【0006】
〔6〕前記芯材が、(1)鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属、(2)ガラス繊維、(3)耐熱性プラスチック、(4)炭素繊維、及び(5)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする前項〔5〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
〔7〕前項〔5〕又は〔6〕に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子と、前記パルス発生素子の長さ方向に永久磁石あるいは励磁コイルによって対称交流磁界を印可する手段と、同パルス発生素子の前記磁界中における起電力の急激な変化を検出する手段とを有し、交流磁界の変化速度に無関係にパルス発生素子の磁束変化を検出して、パルスを発生させるようにしたことを特徴とするパルス発生装置。
〔8〕大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子が、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の方法で製造されたパルス発生素子用のクラッドワイヤを短尺に切断して作製されたものであることを特徴とする前項〔7〕に記載のパルス発生装置。
【発明の効果】
【0007】
従来、クラッドワイヤの製造方法は、クラッド材をパイプ状にして、その中に芯材を入れて引き抜き加工して伸線するのが主流であったが、適合する合金のパイプが少なくかつ高価で入手が困難であり、また、工程が細いパイプの中に芯線を通すため長尺のクラッドワイヤが得難く、通電による熱処理や、ひねり加工も特殊の手段を必要とした。
本発明によれば、クラッド材はリボン状であり入手が容易でかつ安価であり、
また、クラッド後リボン材が剥がれることなく製造することができ、さらに、長尺のクラッドワイヤも容易に得ることができる。
【0008】
また本発明により製造されたクラッドワイヤは、任意の寸法に短く切断し、大バルクハウゼンジャンプを発現させるパルス発生素子とすることができる。
【0009】
さらに、本発明のパルス発生装置は、
前記の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子と、前記パルス発生素子の長さ方向に永久磁石あるいは励磁コイルによって対称交流磁界を印可する手段と、同パルス発生素子の前記磁界中における起電力の急激な変化を検出する手段とを有し、交流磁界の変化速度に無関係にパルス発生素子の磁束変化を検出して、パルスを発生させるようにしたため、
極めて遅い直線移動あるいは低速度回転でも、クラッドワイヤの磁化反転速度には無関係に一定のパルス電圧を検出することが可能であり、高い分解能を与えることができる。
そして、例えば、検出コイル1ターン当たり10mv以上の大きな電圧を得ることができ、また無電源で動作するため、電子機器や自動制御の分野においてその応用範囲を著しく拡大させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための形態を以下図面及び図表に基づいて説明する。
図1は本発明のクラッドワイヤの外観図で、(イ)は左側面図、(ロ)は正面外観斜視図である。
図において、1はクラッドワイヤ、2は芯材、3はクラッド後のリボン材を示す。
図2は芯材の外観図で、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図を示す。
図3はリボン材のクラッド前の外観図で、(イ)は正面図、(ロ)は右側面図を示す。
【0011】
図1のクラッドワイヤの正面外観斜視図に示したように、芯材2はクラッド後のリボン材3によってクラッドされている。
図2の(イ)の芯材は、円柱状のコア線で、素材は前記Fe又はNiあるいはそれらの合金からなる0.1〜0.9mmφの細線である。
あるいは、前記の素材はガラス繊維、耐熱性プラスチック、炭素繊維、及び耐熱性金属でもよい。
図3のリボン材3’は、クラッド前はリボン状の薄板で、素材はFe、Co、及びVを主成分とする合金(バイカロイ)である。
この、組成比率は、Fe(鉄)50%、Co(コバルト)40%、V(バナジウム)10%が好ましい。
大きさは例えば、0.14mmφの芯材(コア線)をクラッド加工するためのリボン材3’は、幅(w)1.03mm×厚さ(t)0.06mm×長さ(l)は長尺である。
【0012】
次ぎに、クラッドワイヤの製造法について説明する。
図4はクラッドワイヤ製造第1工程の説明図で、
(イ)はリボン材の準備工程、(ロ)はリボン材と芯材の合成工程、(ハ)はクラッド工程を示す。
図において、4はダイス(治具)の半断面、7は通線孔、8は線引きの方向を示す。
最初にリボン材3’の先端を鋭角に加工して、図のようにダイス4の、入り口が大で出口が小さい通線孔7に通してパイプ状に形成した後芯線2を中に通す、(イ)〜(ロ)図。
次ぎに、前記パイプ状になったリボン材3とその中に通された伸線2とを掴持して線引きの方向8のように引っ張る、(ハ)図。
【0013】
図5は伸線工程を示す模式図である。
図において、5は2段目のダイス、6は3段目のダイスを示す。
前記第1工程においてクラッドされたクラッドワイヤ1は、伸線されて2段目のダイス5により径を縮小、伸線され、さらに3段目のダイス6により径を縮小、伸線される。
そして、前記の過程で、中間の加熱処理並びにひねり加工が行われる。
【0014】
図6はクラッドワイヤ作製のフローチャートである。
図において、9はクラッド後、10は伸線第1工程、11は中間熱処理第1工程、12は伸線第2工程、13は中間熱処理第2工程、14はひねり加工工程、15はひねり回数とひねり方向、16は完成を示す。
前述の第1工程においてクラッドされたクラッドワイヤは、クラッド後9から
伸線第1工程10(図5ダイス4〜5の間)において、0.405mmφ〜0.384mmφまで伸線された後、中間熱処理第1工程11において900℃/5m/min(900℃にて、5mを1分間)加熱処理する。
この加熱処理は、例えばトンネル型の電気炉の中心を前記クラッドワイヤを連続通過させるかあるいは通電による熱処理で行うことができる。
その後伸線第2工程12(図5ダイス5〜6の間)において0.384mmφ〜0.239mmφまで伸線された後、中間熱処理第2工程13において900℃/5m/min(900℃にて、5mを1分間)加熱処理する。この加熱処理は、前記と同様である。
【0015】
前記中間熱処理第2工程13の後、ひねり加工工程14を行う。
この詳細は、事例として、ひねり回数とひねり方向15に示したように、クラッドワイヤ3mに対して、時計方向(cw)にひねり回数500回の後、反時計方向(ccw)に1000回ひねり、次いで前記cwに1200回ひねった後に、ccwに1200回ひねり、さらにcwに1435回ひねって完成16する。
このひねり加工は、例えばクラッドワイヤの一端を固定し、他端をモータ等の軸にチャックし、正逆に回転させてもよい。
【0016】
前記の中間の加熱処理は、伸線時にクラッドワイヤの表面層に残留した応力を取り除くためのものであり、その温度と時間は誘発パルスの電圧の大きさに大きく影響する。
また、繰り返しねじってワイヤ内部に歪み応力を与え、外観的にはねじり戻した状態でも、その磁気異方性の変化を保持することが知られているが、
前記加熱処理の工程並びにひねり回数とひねり方向については、知見の結果により実施される。
以上のようにして、大バルクハウゼンジャンプを発生させるパルス発生素子を製造することができる。
【0017】
次ぎに、前記大バルクハウゼンジャンプが発現する前記クラッドワイヤの磁界の変化を検出する測定手段と、取得データについて説明する。
図7は測定時の機器の構成図で、
図のようにロータ側に逆極性で配置した永久磁石と検出コイルに挿入したクラッドワイヤとからなる。
図において、17は検出コイル、18はコイル端末引き出し線、19はロータ、20は永久磁石AのN極、21は同S極、22は永久磁石BのN極、23は同S極、24は回転方向を示す。
上記、永久磁石のA及びBの寸法=9(l)×5(w)×2.5(t)mm、検出コイルの長さ=10mm、捲数=3000T、コイル側面と磁石側面との距離=5mm、クラッドワイヤの形状:長さ=30mm、線径=0.255mmφを使用した。
測定は検出コイルの両端にオシロスコープを接続して、誘起パルス電圧の波形と電圧を測定した。
【0018】
図8に測定機器の構成を示す。
図において、25は発信器、26は電力増幅器、27は励磁コイル引き出し線、28は励磁コイル、29はボビン、30はオシロスコープを示す。
定量的には図8のように励磁コイル28を用いて測定する。
励磁コイルは、長さ=10mm、中心磁界=25(Oe)/Aで、該励磁コイル28の中に検出コイル17を挿入して測定する。
【0019】
図9はクラッドワイヤの出力波形である。
前記ロータ19(図7)の永久磁石を回転して計測する。回転数は120(rpm)である。
前記のように永久磁石A及びBは各S及びN極(20〜23)を有しているので、ロータ19の1回転で正負(+−)のパルス電圧がそれぞれ2パルス発生する。
本図は正負の発生電圧の全体を観測したもので、縦軸は正負(+−)の電圧、横軸は時間軸である。
図のように、ロータ19が1回転中(250ms/divに設定)に、電圧30Vの正負それぞれ2パルスが発生している。
【0020】
図10は正パルスの拡大図で、横軸の時間軸を10μs/divに拡大した。図のように、幅約10μs、電圧30Vの正のパルスが計測される。
図11は負パルスの拡大図で、横軸の時間軸を10μs/divに拡大した。図のように、幅約10μs、電圧30Vの負のパルスが計測される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のクラッドワイヤの外観図
【図2】芯材の外観図
【図3】リボン材のクラッド前の外観図
【図4】クラッドワイヤ製造第1工程の説明図
【図5】伸線工程を示す模式図
【図6】クラッドワイヤ作製のフローチャート
【図7】測定時の機器の構成図
【図8】測定機器の構成
【図9】クラッドワイヤの出力波形
【図10】正パルスの拡大図
【図11】負パルスの拡大図
【符号の説明】
【0022】
1:クラッドワイヤ
2:芯材
3:クラッド後のリボン材
3’:リボン材
4:ダイスの半断面
5:2段目のダイス
6:3段目のダイス
7:通線孔
8:線引きの方向
9:クラッド後
10:伸線第1工程
11:中間熱処理第1工程
12:伸線第2工程
13:中間熱処理第2工程
14:ひねり加工工程
15:ひねり回数とひねり方向
16:完成
17:検出コイル
18:コイル端末引き出し線
19:ロータ
20:永久磁石AのN極
21:同S極
22:永久磁石BのN極
23:同S極
24:回転方向
25:発信器
26:電力増幅器
27:励磁コイル引き出し線
28:励磁コイル
29:ボビン
30:オシロスコープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法であって、
芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材で被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、
前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程とが、採用され、
かつ、上記線引き工程が、前記強磁性の金属リボン材で被包された芯材を第1のダイスで線引きする第1次伸線工程と、
前記第1次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第1次加熱処理工程と、
該第1次加熱処理工程を終えたクラッドワイヤを、第2のダイスで線引きする第2次伸線工程と、
該第2次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第2次加熱処理工程とからなる、ことを特徴とする大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項2】
前記芯材が、鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属であることを特徴とする請求項1に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項3】
前記芯材が、(1)ガラス繊維、(2)耐熱性プラスチック、(3)炭素繊維、及び(4)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする請求項1に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項4】
前記線引き工程が第2次伸線工程と第2次加熱処理工程とが施された後、
さらにn次伸線工程とn次加熱処理工程が追加して施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項5】
クラッドワイヤからなる大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子であって、該パルス発生素子は、
芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材で被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、
前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程と、前記ひねり加工工程を終えたクラッドワイヤを短尺に切断する工程を経て作製されたものであることを特徴とする、大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
【請求項6】
前記芯材が、(1)鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属、(2)ガラス繊維、(3)耐熱性プラスチック、(4)炭素繊維、及び(5)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする請求項5記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子と、前記パルス発生素子の長さ方向に永久磁石あるいは励磁コイルによって対称交流磁界を印可する手段と、同パルス発生素子の前記磁界中における起電力の急激な変化を検出する手段とを有し、
交流磁界の変化速度に無関係にパルス発生素子の磁束変化を検出して、パルスを発生させるようにしたことを特徴とするパルス発生装置。
【請求項8】
大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で製造されたパルス発生素子用のクラッドワイヤを短尺に切断して作製されたものであることを特徴とする請求項7に記載のパルス発生装置。
【請求項1】
大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法であって、
芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材で被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、
前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程とが、採用され、
かつ、上記線引き工程が、前記強磁性の金属リボン材で被包された芯材を第1のダイスで線引きする第1次伸線工程と、
前記第1次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第1次加熱処理工程と、
該第1次加熱処理工程を終えたクラッドワイヤを、第2のダイスで線引きする第2次伸線工程と、
該第2次伸線工程を施したクラッドワイヤに前記管状体の表層部のみに加熱処理を加える第2次加熱処理工程とからなる、ことを特徴とする大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項2】
前記芯材が、鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属であることを特徴とする請求項1に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項3】
前記芯材が、(1)ガラス繊維、(2)耐熱性プラスチック、(3)炭素繊維、及び(4)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする請求項1に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項4】
前記線引き工程が第2次伸線工程と第2次加熱処理工程とが施された後、
さらにn次伸線工程とn次加熱処理工程が追加して施されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子用のクラッドワイヤの製造方法。
【請求項5】
クラッドワイヤからなる大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子であって、該パルス発生素子は、
芯材を鉄(Fe)、コバルト(Co)及びバナジウム(V)を主成分とする強磁性の金属リボン材で被包しながらダイスを通し、次いで同芯材を金属リボン材で管状に被包したクラッドワイヤを、複数段のダイスを通し、そして前記各ダイス間で加熱処理を加え、かつ同加熱処理は前記管状体の表層部のみに加えて、線引きする工程と、
前記線引きして得られたクラッドワイヤに対して時計方向及び半時計方向に交互にひねりを加えるひねり加工を複数回行う工程と、前記ひねり加工工程を終えたクラッドワイヤを短尺に切断する工程を経て作製されたものであることを特徴とする、大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
【請求項6】
前記芯材が、(1)鉄(Fe)又はニッケル(Ni)あるいはそれらの合金からなる強磁性金属、(2)ガラス繊維、(3)耐熱性プラスチック、(4)炭素繊維、及び(5)耐熱性金属から選択される1又は2以上であることを特徴とする請求項5記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子と、前記パルス発生素子の長さ方向に永久磁石あるいは励磁コイルによって対称交流磁界を印可する手段と、同パルス発生素子の前記磁界中における起電力の急激な変化を検出する手段とを有し、
交流磁界の変化速度に無関係にパルス発生素子の磁束変化を検出して、パルスを発生させるようにしたことを特徴とするパルス発生装置。
【請求項8】
大バルクハウゼンジャンプ発現性パルス発生素子が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で製造されたパルス発生素子用のクラッドワイヤを短尺に切断して作製されたものであることを特徴とする請求項7に記載のパルス発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−198651(P2006−198651A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−12102(P2005−12102)
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(505023607)
【出願人】(504419335)
【出願人】(504419140)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月19日(2005.1.19)
【出願人】(505023607)
【出願人】(504419335)
【出願人】(504419140)
【Fターム(参考)】
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