説明

大型かつ堅牢な展開可能構造物およびそのような構造物の展開および係止方法

【課題】衛星に搭載可能な、大型且つ堅牢な展開可能構造物およびそのような構造物の展開および係止方法を提供する。
【解決手段】展開可能構造物12は、・一次パネル121〜123一式と、・二次パネル124〜129一式と、・一次関節系(但し、各一次関節系は一次パネルを別の一次パネルに相対的に、一次軸の周りに、旋回可能にし、一次軸は一次パネルにほぼ平行である)と、・二次関節系(但し、各二次関節系は二次パネルに関連付けられていて、パネルを別の一次パネルに相対的にパネルにほぼ平行な二次軸の周りに旋回可能にする)とを含んでいて、展開可能構造物は、展開状態において一次および二次パネルの前面がほぼ連続的な全表面を形成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の展開可能構造物の分野に関し、より具体的には通信衛星に搭載可能な無線周波アンテナ反射器の分野に関する。本発明は、剛性フレームまたはパネルで構成された大型の展開可能構造物および当該構造物を展開および係止する方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
剛性フレームまたはパネルで構成された大型の展開可能構造物は、以前に増してあらゆる衛星に搭載されている。衛星の任務は、益々多くの荷重を運搬するため、益々「貪欲に」エネルギーを費消する。このため、益々大型の太陽光発電機およびアンテナが必要になっている。これらの構造物のうち、宇宙船に電気エネルギーを供給する太陽光発電機、無線周波数(RF)を反射するファセットアンテナ反射器、鏡等のファセット光学反射器、特定の高感度機器(例えば光学機器)の保護を目的とする太陽光または熱シールドが挙げられ得る。これらの構造物は、任務遂行のため構造物の能動要素の位置を衛星に相対的に合わせるという要求に応じて、エクステンダーアームを備えていても、いなくてもよい。実際には、これらの構造物の寸法は、衛星を軌道に乗せる打ち上げロケットのノーズコーンの下の空き容積により制約される。無論、そのような構造物は、打ち上げロケットのノーズコーンの下では動作状態にはできない。従って、大型の構造物の体積を極力最小にすべく発射時は収納状態に折りたたんでおき、動作フェーズで寸法がより大きい展開状態にできなければならない。この展開状態において、宇宙船の制御を可能にすべく、大型の構造物が展開された際に極力堅牢且つ安定であることが一般に求められる。更に、この種の構造物は、任務に関連付けられた特定の機能を実現することが意図されている。太陽光発電機の場合、通常は能動面に太陽電池が備えられていなければならない。熱および太陽光シールドの場合、太陽と向き合う領域に置かれた機器を保護して容易な熱調節を可能にすべく能動面は温度に関してなるべく均一でなければならない。アンテナの場合、最適RF性能を得るために能動面には一切の金属面または付属物が存在してはならない。いずれの場合も、能動面上に機械式要素を極力搭載しないようにすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、上述の要件の全てまたは一部を満たすことを可能にする展開可能構造物を提供することを目的とする。特に、収納状態から一定の剛性および良好な安定性を保証する展開状態に移行できる展開可能構造物を提供することを目的とする。このため、本発明は宇宙船に搭載可能な展開可能構造物であって、
・一次パネル一式と、
・二次パネル一式(但し、一次および二次パネルの各々がほぼ平坦な前面を含んでいる)と
・一次関節系(但し、各一次関節系は一次パネルを別の一次パネルに相対的に、一次軸の周りに、旋回可能にし、一次軸は一次パネルの前面にほぼ平行である)と、
・二次関節系(但し、各二次関節系は二次パネルに関連付けられていて、前記二次パネルを一次パネルまたは二次パネルに相対的に前記パネルの前面にほぼ平行な二次軸の周りに旋回可能にする)とを含み、
展開可能構造物は、展開状態において一次および二次パネルの前面がほぼ連続的な全表面を形成するように構成されている。
【発明の効果】
【0004】
本発明の利点は、特に以下の通りである。
・任意の形状の能動面がフラットパネルから得られ、
・能動面が、例えば関節等の金属要素無しで得られ、
・位置決めの高い安定性が保証される。
【0005】
展開可能構造物の特定の一実施形態において、一次および二次パネルは、前面を形成している少なくとも1つの可撓性基板またはパネルで覆われた剛性フレームを含んでいる。
【0006】
本発明はまた、宇宙船に搭載可能な、
・一次パネル一式と、
・二次パネル一式(但し一次および二次パネルの各々がほぼ平坦な前面および前記パネルの前面に平行でほぼ平坦な背面を含んでいる)とを含む展開可能構造物を展開する方法からなり、
展開可能構造物は、各一次パネルの背面が別の一次パネルの背面に対向し、各二次パネルの背面が他の一次または二次パネルの背面対向する収納状態を仮定することが可能である。
本展開方法は、収納状態から展開可能構造物を展開すべく、
・各一次パネルを、背面同士が対向している一次パネルに相対的な一次軸であって、一次パネルの前面にほぼ平行な一次軸の周りに旋回させ、
・各二次パネルを、背面同士が対向している二次パネルに相対的な二次軸であって、関係するパネルの前面にほぼ平行な二次軸の周りに旋回させるステップを含んでいて、
一次および二次パネルが回転させられて、パネルの前面がほぼ連続的な全表面を形成する展開状態になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
添付の図面を参照しながら以下の説明を精査することにより、本発明への理解が深まると共に、他の利点も明らかになるであろう。
【0008】
【図1】本発明のパラボラ反射器の第1の例が搭載された通信衛星を模式的に展開状態で示す。
【図2】本発明のパラボラ反射器の第2の例を展開状態で示す。
【図3】一次パネル間に一次関節系を有する図1の反射器の一次パネルを模式的に示す。
【図4A−4D】異なる位置にある一次関節系の例を示す。
【図5A−5D】第1の一次パネル展開の動作を示す。
【図6A−6D】第2の一次パネル展開の動作を示す。
【図7】二次関節系により接続されたパネルの例を模式的に示す。
【図8A−8H】図1の反射器における一次および二次パネル展開の動作の例を示す。
【図9】反射器のパネルが周縁係止システムにより接続された、図1の衛星を模式的に示す。
【図10A−10B】展開終了時点における2つの二次パネル間の周縁係止システムの例を、各々展開状態および係止状態で示す。
【図11】本発明の熱シールドが搭載された通信衛星を展開状態で模式的に示す。
【図12A−12F】図11の熱シールドの一次および二次パネル展開動作の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、パラボラ反射器の第1例が展開状態で搭載された通信衛星を模式的に示す。一般に、反射器等の展開可能構造物の展開状態は、当該展開可能構造物が動作中の構成であると考えられる。逆に、展開可能構造物の収納状態は、衛星を軌道に乗せることが可能な打ち上げロケットのノーズコーンの下に設置できる構成であると考えられる。通信衛星10は本体11、実質的にパラボラ状の反射器12、および反射器12を本体11に接続する例えば管状のアーム13を含んでいる。アーム13は特に、展開中の反射器12を本体11から遠ざけることを可能にする。このアーム13は同様に、アンテナ反射器12に用いたものと同様のパネルから構成されていてよい。反射器12は、3つの一次パネル121、122、123、および6つの二次パネル124〜129を含んでいる。パネル121〜129は各々、ほぼ平坦な反射面および反射面と平行且つほぼ平坦な背面を有している。反射面は、対象アプリケーションに応じて選択された所定の周波数帯域における電磁放射を反映可能にすべく扱われる。展開状態において、一次パネル121〜123および二次パネル124〜129は、それらの反射面が基準パラボラ面の近傍にほぼ連続的な全反射面を形成するように配置されている。当該反射面は、全反射面12Aと呼ばれる。ほぼ連続な面という表現は、反射面が互いに隣接していることを意味する。換言すれば、パネル121〜129の間に隙間が無い。パネル121〜129の反射面は平面であるため、全反射面12Aは厳密にはパラボラではなく、ファセット面である。図1の実施形態において、各一次パネル121〜123の反射面は矩形である。一次パネル122は、一方の側面が一次パネル121に、反対側の面が一次パネル123当接する。二次パネル125および128は、一次パネル121および123が当接する側面に垂直な自由な側面が一次パネル122に当接する。二次パネル124、127、126および129は、一次パネル122が当接する側面に垂直な一次パネル121および123の2つの対向する側面で各々一次パネル121および123に当接する。二次パネル124〜129の反射面は、全反射面12Aが要求された形状を有するように整形されている。例えば、反射器12は、直径6メートルおよび焦点距離4.5メートルのパラボラを形成するものと考えられる。各パネル121〜129は次いで、隣接するパネルに対して約11°の角度だけ傾けられる。図1は、本発明の反射器の一実施形態を示すに過ぎない。一次パネル121〜123は必ずしも矩形とは限らず、反射器12はより多くのパネルを含んでいてもよい。より一般的には、反射器12は、互いに当接する一次パネルの側面が互いにほぼ平行であってよい。二次パネルは、一次パネルの自由な側面に当接する。これらは同様に互いに、例えばこれらの二次パネルが一次パネルに当接する側面に垂直な側面に当接していてもよい。
【0010】
図2に、本発明の極めて大型のパラボラ反射器の展開状態の例を模式的に示す。反射器150は、5つの一次パネル151〜155および10個の二次パネル160〜169を含む点で図1の反射器と異なる。パネル151〜155および160〜169は展開状態において、反射面が基準パラボラ面の近傍でほぼ連続的な全反射面を形成するように配置されている。一次パネル151〜155は互いに平行な側面で互いに当接している。二次パネル160、161は、一次パネル151が一次パネル152に当接する側面に垂直な、当該パネルの自由側面で一次パネル151に当接している。二次パネル162、163は、パネルの自由側面で一次パネル152に当接している。同様に、二次パネル164および165、166および167、168および169は各々、各側面で一次パネル153〜155の自由側面に当接している。二次パネル160〜169の反射面は、一次パネル151〜155の反射面を含む全反射面が求められた形状を有するように形成されている。反射器150は、図示しないアーム13により衛星の本体に接続されていてよい。
【0011】
通信衛星に搭載されるアンテナ反射器は、収納状態から展開状態に移行可能でなければならない。収納状態において、一次および二次パネルは互いに積層されている。展開状態において、パネルは所望の反射面を形成するように展開されている。パネルの展開を可能にするため、反射器はパネル同士の間、特に一次パネル同士の間に関節系を含んでいる。図3に、図1の反射器の一次パネルを関節系と共に模式的に示す。「一次」という用語は、2つの一次パネルを接続する関節系を指す。図3において、一次パネル121〜123の反射面を各々121A、122Aおよび123Aと表記する。背面を各々121B、122Bおよび123Bと表記する。反射器12は、2つの一次関節系を含んでいる。第1の一次関節系21は、一次パネル121と122を接続する。第2の一次関節系22は、一次パネル122と123を接続する。各一次関節系21または22は、一次パネル121〜123を、別の一次パネルに相対的に一次パネル121〜123の面121A〜123Aにほぼ平行な軸の周りに旋回させることが可能でなければならない。一次パネル121〜123は従って、収納状態で互いに積層されていてもよい。パネルの長さに応じて、特に2つの一次パネル121、123が一次パネル122の半分の長さである場合に、2つの一次パネル121、123を同じ厚さの範囲内で積層することが可能である。従って、この構成で反射器が占める体積は制約される。一次関節系21、22の回転軸は更に、互いに平行であってよい。しかし、この平行性は本発明にとって必要ではない。特定の一実施形態において、関節系21、22は、背面121B〜123Bで一次パネル121〜123に固定されている。展開状態において、この特定の実施形態は、関節系21、22をアンテナが受発信した電磁放射からマスキング可能にして、連続的な全反射面を形成する。この特定の実施形態はまた、背面121B、123Bが背面122Bに対向できるようにする。
【0012】
図4A〜4Dに、2つの一次パネルの接続を可能にする一次関節系の例を示す。一例として一次関節系21を考慮する。図3Aに、一次パネル121、122の収納状態に対応する位置にある一次関節系21を示す。図3B、3Cに、一次パネル121、122が互いに相対的に展開されている位置にある関節系21を示す。図3Dに、一次パネル121、122の展開状態に対応する位置にある一次関節系21を示す。一次関節系21は、一次パネル121が搭載される第1の部分211、一次パネル122が搭載される第2の部分212、および関節21を展開状態に係止するのに適した第3の部分213を含んでいる。第2の部分212は、第1の軸214の周りに、第1の部分211に、旋回接続されている。第3の部分は、第1の軸214にほぼ平行な第2の軸215の周りに、第1の部分211に、旋回接続されている。第2の部分212は、図3Dに示すように、一次パネル121、122の展開状態に対応する位置において第1の部分211のベアリング面217を圧迫すべく適合された固定留め具216を含んでいる。止め具216およびベアリング面217は、一旦展開状態に対応する位置に達すると、第1および第2の部分211、212の間の回転運動を制限できるようにする。第3の部分213は、一次パネル121、122の展開状態に対応する位置において第2の部分212のベアリング面219を圧迫すべく適合された非可逆止め具218を含んでいる。非可逆止め具218およびベアリング面219は、一旦展開位置に達すると、収納位置へ向かう第1および第2の部分211、212の間の回転運動の防止を可能にする。従って、一次関節系は、回転誘導機能および一次パネル係止機能の両方を有している。これらは同様に一次パネルを収納状態から展開状態へ移行することからなる駆動機能を有してもよい。駆動トルクは、例えば、らせんバネにより与えられる。一次パネルの展開は、公知の従来技術による発火装置により起動してもよい。
【0013】
パネル、特に一次パネルは、異なる動作に従い展開してもよい。図5A〜5Dに、第一のいわゆるシーケンス動作を示す。図5Aは反射器12が収納状態にある場合の衛星10を示す。ここで、一次パネル121〜123に互いに折り重ねられている。図5Bに示す第1のステップにおいて、図5Cに示すように、一次関節系21は一次パネル122を、互いに相対的に展開された状態になるまで軸214の周りに、一次パネル121に相対的に、回転させる。図3に示す一次関節系21の場合、この展開状態は、止め具216がベアリング面217を圧迫して非可逆止め具218およびベアリング面219が一次パネル121、122の相対的な位置を係止する位置に対応している。一次パネル122に相対的な一次パネル121の展開状態に到達したことで、第2のステップにおける一次パネル123の展開が起動される。一次関節系22は、図5Dに示すように、一次パネル123を、互いに相対的に展開された状態になるまで、軸224の周りに、一次パネル122に相対的に、回転させる。一次関節系22の場合、この展開状態は、一次関節系22の止め具が対応するベアリング面を圧迫する位置に対応している。一次パネル123は次いで、展開状態で係止される。
【0014】
図6A〜6Dに、第2のいわゆる同期的動作を示す。図6B、6Cは、反射器12が展開中の衛星10を示す。同期的動作の場合、一次パネル121〜123は、各種の関節を相互接続させるケーブルおよびプーリーの列により同時に展開される。異なる形状および直径を有するプーリーの配置により、各種の速度および展開角が得られる。一次関節系22は、一次パネル121に相対的な一次パネル122の位置とは独立に、一次パネル123を一次パネル122に相対的に、軸224の周りに、回転させる。シーケンス動作の場合と同様に、各一次パネル121〜123は展開の終了時点で展開状態に到達した際に係止される。一次パネル121〜123は、例えば上述のように、一次関節系21、22により、あるいは一次関節系から独立した他の係止装置により係止することができる。
【0015】
反射器12を収納状態から展開状態に移行させるために二次パネルを展開することも同様に可能でなければならない。このため、反射器12は、各二次パネルを一次パネルに接続するいわゆる二次関節系を含んでいる。図7に、二次パネルのシーケンス展開を可能にする二次関節系により接続されたパネルの例を模式的に示す。パネルは互いに積層されているため、実際には干渉を防止すべく各二次パネルの展開を独立に制御可能なことが必要である。例えば図1を参照しながら記述したようにパネル121、124および127の問題であると考えられる。パネル124、127の反射面を各々124A、127Aと表記する。背面を各々124B、127Bと表記する。第1の二次関節系61は、一次パネル121を二次パネル124に接続する。これにより、二次パネル124を、パネル121、124の表面121A、124Aにほぼ平行な軸の周りに、一次パネル121に相対的に、旋回させることが可能になる。第2の二次関節系62は、一次パネル121を二次パネル127に接続する。これにより、二次パネル127を、パネル121、127の表面121A、127Aにほぼ平行な軸の周りに、一次パネル121に相対的に、旋回させることが可能になる。二次関節系61、62の軸が表面121A、124Aまたは121A、127Aにほぼ平行であるという事実により、これらのパネルを収納状態において互いに平行に積層することが可能になる。従って、その状態で反射器12が占める体積は制限される。二次関節系の軸は、一次関節系の軸にほぼ垂直であってもよい。二次関節系61、62は、図7に示すように、それらの背面121B、124Bおよび127Bでパネル121、124および127に固定されていることが好都合である。この特定の実施形態は、展開状態において、二次関節系61、62をアンテナが受発信した電磁放射からマスキング可能にして、連続的な全反射面を形成する。この特定の実施形態はまた、二次パネル124、127の背面124B、127Bが一次パネル121の背面121Bに対向できるようにする。二次パネル124、127は、共通の平面、または図7の例のように異なる平面上で積層されていてもよい。次いで、二次パネル124、127各々、収納状態において積層された一次パネル121同様の寸法を有していてもよい。このため、反射器12は、二次パネル124、127が二つの異なる平行面内で積層されるように、これらのうち1つをずらすアームを含んでいてもよい。図7の例において、反射器12は、一端が一次パネル121に固定され、他端が二次関節系61に固定された第1のアーム63、および一端が二次関節系61に固定され、他端が二次パネル124に固定された第2のアーム64を含んでいる。この例において、二次パネル124の展開により二次パネル127の展開が起動し得るように、二次関節系61が二次パネル127の近傍にあってもよい。特に、第1のトリガー装置65が一次パネル121に、より具体的には非可逆止め具218に固定されていて、命令により一次パネル121に相対的な二次パネル124の回転を解除するように設けられていてもよい。二次パネル124の展開に伴い、一次パネル121に相対的な二次パネル127の回転を解除できるように、第2のトリガー装置66が二次パネル124に固定されていてもよい。図7を参照しながら記述したものと同じ関節系を用いて、一次パネル122に相対的に二次パネル125、128を、および一次パネル123に相対的に二次パネル126、129を関節結合させてもよい。構造物的条件において、二次関節系は一次関節系に類似していてもよい。更に、本発明の反射器は、一次パネル毎により多くの二次パネルを含んでいてもよい。特に、反射器は、一次パネルの1つ以上の面に直列に関節結合された二次パネルを含んでいてもよい。いくつかの第2の関節系はその結果、二次パネルを他の二次パネルに接続する。二次関節系は、隣接する2つの二次パネルの背面が収納状態において互いに対向するように二次パネルに固定されていてもよい。
【0016】
図8A〜8Hに、図1の反射器12の一次および二次パネルの展開動作の例を示す。図8Aにおいて、反射器12は収納状態にあり、一次パネル122の反射面122Aは衛星10の本体11の表面を圧迫している。図8Bに、管状アーム13の展開中に、衛星10が反射器12を本体11から遠ざける様子を示す。図8Cにおいて、一次パネル121、122および123は展開中である。図8Dにおいて、一次パネル121〜123は、展開状態にある。図8Eにおいて、二次パネル125、128は、一次パネル122に相対的に展開中である。図8Fにおいて、一次パネル121〜123および二次パネル125、128は展開状態にある。図8Gにおいて、二次パネル124、126は展開中である。図8Hにおいて、反射器12は展開状態にある。どのパネルも展開中に別のパネルにぶつからない限り、他の反射器展開動作を用いてもよい。
【0017】
特定の一実施形態において、本発明の反射器は、全反射面の周辺に係止装置を含んでいる。これらの係止装置により、反射器の全般的な安定性を向上させることが可能になる。図9に、アンテナ反射材12の周辺で隣接する二次パネルの各ペアのパネル間に配置された係止装置130、131、132および133を含む図1の衛星10およびアンテナ反射器12を示す。係止装置130〜133は、反射器を展開状態で固定するように、2つの隣接パネル間で自由度を少なくとも1段下げるべく適合されている。各二次パネル124〜129が一次パネル121〜123のうち1つに関節結合されているが、別の二次パネルには関節結合されていない限り、各係止装置130〜133は互いに関節結合されていない2つの隣接パネル間で自由度を1段下げる。係止装置130〜133は従って、一次および二次関節系から独立している。一次および二次パネル間の関節結合されたパネル結合部の場合、係止装置の数を制限するために、パネルの外側の角に位置している関節により後者の装置を好都合に代替してもよく、これらの関節結合は展開状態において負荷吸収機能を有している。
【0018】
図10A、10Bに、永久磁石概念に基づく係止装置の一実施形態を示す。例えば、図10Aは、展開終了時点における二次パネル124、125を示し、図10Bは展開および係止状態にある二次パネル124、125を示す。二次パネル124にはオス側円錐状端部135を有する嵌合具が備えられていて、二次パネル125にメス側円錐状端部136を有する嵌合具が備えられている。2つの嵌合具自体の各々に、各嵌合具に固定された永久磁石137、138が備えられている。展開終了時点において、関節系により、オス側円錐状端部135を有する嵌合具がメス側円錐状端部136を有する嵌合具内に入れ子になるように、パネル124、125の縁が互いに対向する位置に合わせることができる。磁石137、138の作用、およびその結果生じる磁力により、2つの嵌合具135、136は接触し、その後は互いに支え合う状態で維持される。
【0019】
図11に、展開状態にある本発明の展開可能構造物により形成された熱シールドが搭載された通信衛星を模式的に示す。衛星100は、本体101および熱シールド102を含んでいる。本体101は、熱シールド102の中央パネル110が固定された面を有している。中央パネル110は図11では正方形の形状を有しているが、矩形の形状を有していてもよい。一次パネル111、112、113および114は、中央パネル110の各側面で中央パネル110に当接している。一次パネル115、116、117、118は各々、関係する一次パネル111〜114が中央パネル110に当接する側面とは反対側の側面で一次パネル111〜114の各々に当接している。従ってパネル110〜114は十字形を形成する。二次パネル301〜316は、ほぼ連続的な全表面を形成するように一次パネル111〜114の各々に、これらのパネルの自由側面側の各側面で当接している。関節系320は、異なるパネルを相互に接続する。ここで、二次パネル301〜316の各々は、一次パネル111〜114のうち1つと関節結合されている。関節系320は、例えば上述の一次または二次関節系と同じ種類である。係止装置330は、隣接する二次パネルの各ペアのパネル間に設けられていてもよい。図9に示すアンテナ反射器の場合、二次パネル301〜316は互いに関節結合されていない。係止装置330はこのように、互いに関節結合されていないパネル間で自由度を1段下げることを可能にする。
【0020】
図12A〜12Hに、図11に示す熱シールド102の部分の展開動作の例を示す。図12Aにおいて、一次パネル111、115および二次パネル301〜304は、衛星100の本体101のある面に対して互いに平行に積層されている。図12Bにおいて、第1の関節系320は、一次パネル111を本体101に相対的に回転させる。図13Bにおいて、一次パネル111は、展開状態に対応する位置に到達している。二次関節系320は、図12Dに示す展開状態に達するまで、一次パネル112を一次パネル111に相対的に回転させる。図12Eにおいて、図示しない関節系は、第2のパネル301〜304を、図12Fに示す展開状態に達するまで、それらが当接する一次パネル111または115に相対的に回転させる。パネルの展開に際して干渉を防止する目的で、本体101の一方に側に直接または間接的に接続されている全てのパネルは、本体101の他の側に接続されたパネルを展開する前に展開してもよい。
【符号の説明】
【0021】
10 宇宙船
11 本体
12 展開可能構造物
12A 全表面
13 アーム
21、22 一次関節系
61、62 二次関節系
63 第1のアーム
64 第2のアーム
65 第1のトリガー装置
66 第2のトリガー装置
100 衛星
101 本体
102 熱シールド
110 中央パネル
111〜118 一次パネル
121〜123 一次パネル
121A〜129A 前面
121B〜129B 背面
124〜129 二次パネル
130〜133 係止装置
135 オス側円錐状端部
136 メス側円錐状端部
137、138 永久磁石
150 反射器
151〜155 一次パネル
160〜169 二次パネル
211 第1の部分
212 第2の部分
213 第3の部分
214 一次軸
215 第2の軸
216 止め具
217 ベアリング面
218 非可逆止め具
219 ベアリング面
224 一次軸
301〜316 二次パネル
320 関節系
330 係止装置
611,621 二次軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
宇宙船(10)に搭載可能な展開可能構造物であって、
・一次パネル(121〜123)一式と、
・二次パネル(124〜129)一式(但し、一次および二次パネル(121〜129)の各々がほぼ平坦な前面(121A〜129A)を含んでいる)と、
・一次関節系(21、22)(但し、各一次関節系は一次パネル(121〜123)を別の一次パネルに相対的に、一次軸(214、224)の周りに、旋回可能にし、前記一次軸は前記一次パネル(121〜123)の前記前面(121A〜123A)にほぼ平行である)と、
・二次関節系(61、62)(但し、各二次関節系は二次パネル(124〜129)に関連付けられていて、前記二次パネルを一次パネル(121〜123)または二次パネル(124〜129)に相対的に前記パネル(121〜129)の前記前面(121A〜129A)にほぼ平行な二次軸(611、621)の周りに旋回可能にする)とを含み、
前記展開可能構造物(12)は、展開状態において前記一次および二次パネル(121〜129)の前記前面(121A〜129A)がほぼ連続的な全表面(12A)を形成するように構成されていて、
前記展開可能構造物が更に、前記全表面(12A)の周辺に係止装置(130〜133)を含んでいて、各係止装置は、展開状態において前記反射器(12)を固定するように、二次関節系により互いに関節結合されていない2つの隣接する二次パネル(124〜129)の間の自由度を少なくとも1段下げるべく適合されている展開可能構造物。
【請求項2】
前記一次および二次パネル(121〜129)が、前記前面(121A〜129A)を形成している少なくとも1つの可撓性基板またはパネルで覆われた剛性フレームを含んでいる、請求項1に記載の展開可能構造物。
【請求項3】
前記一次および二次パネル(121〜129)の前記前面(121A〜129A)が反射面である、請求項1〜2のいずれか1項に記載の展開可能構造物。
【請求項4】
各一次関節系(21、22)が前記一次パネル(121〜123)のうち1つを隣接する一次パネルに接続する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の展開可能構造物。
【請求項5】
前記関節系(21、22、61、62)が、前記一次および二次パネル(121〜129)を前記展開状態に移行させる手段を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の展開可能構造物。
【請求項6】
各一次および二次パネル(121〜129)が前記パネルの前記前面(121A〜129A)に平行でほぼ平坦な背面(121B〜129B)を含んでいて、前記関節系(21、22、61、62)が前記パネル(121〜129)の前記背面(121B〜129B)に固定されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の展開可能構造物。
【請求項7】
収納状態において、前記一次パネル(121〜123)が自身に巻き付けられ、各一次パネル(121〜123)の前記背面(121B〜123B)が隣接する一次パネルの背面に対向するように構成されている、請求項6に記載の展開可能構造物。
【請求項8】
収納状態において、各二次パネル(124〜129)の前記背面(124B〜129B)が、自身がその上で旋回可能である前記一次または二次パネル(121〜129)の前記背面に対向するように構成されている、請求項6または7に記載の展開可能構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【公開番号】特開2012−131492(P2012−131492A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−284161(P2011−284161)
【出願日】平成23年12月26日(2011.12.26)
【出願人】(505157485)テールズ (231)
【出願人】(511314809)ソントレ ナショナル デチュド スパシアル(セエヌウエス) (1)
【Fターム(参考)】