説明

大型2ストロークディーゼルエンジン、およびエンジン主構造体と排気ガスレシーバとを連結するための支持プレート構造体

【課題】
本発明は、エンジン主構造体と排気ガスレシーバとを連結するためのプレート構造体を備えた大型2ストロークディーゼルエンジンを提供する。
【解決手段】
大型2ストロークディーゼルエンジンは、エンジン主構造体と、排気ガスレシーバと、排気ガスレシーバの下方において、エンジン主構造体上に排気ガスレシーバを支持する複数の直立したプレート構造体とを備える。支持プレート構造体は、各々が上端及び下端を有する二枚の対向するスチールプレートと、上端及び下端において、それぞれ所定の間隔だけ離間した状態で二枚のスチールプレートを連結する連結具と、二枚のスチールプレートを上端及び下端における間隔より大きな所定の間隔だけ離間した関係に維持し、かつ上端及び下端の間において、二枚のスチールプレートの間に配置される少なくとも一つのスペーサとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン主構造体を備えた大型2ストロークディーゼルエンジンに関し、エンジン主構造体と排気ガスレシーバとを連結するための支持プレート構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
大型2ストロークディーゼルエンジンの排気ガスレシーバは、4バール(400kPa)以下の圧力下において個々のシリンダから高温(約450℃)の排気ガスを受け入れるような高負荷を受ける部品である。
【0003】
排気ガスレシーバの大きな寸法(10mより著しく長く、2m以下の直径を有する)、および高温な作動温度のために、排気ガスレシーバの熱膨張は非常に大きくなり、より大きなエンジンは、熱膨張による寸法の変動を受け入れるために、蛇腹により二つ以上のハウジング部に分けられる排気ガスレシーバを備えている。完全な排気ガスレシーバおよび排気ガスレシーバに含まれる任意の部品は、排気ガスレシーバの外面の温度が、排気ガスレシーバ内の排気ガスの温度より実質的に低くなるように、断熱材の薄い層によって覆われている。安全な調整のためには、露出したエンジン部品が、不慮の事情で接触したエンジン燃料または他の油を発火させるような温度にならないように、排気ガスレシーバの外面の温度は220℃未満であることが必要である。実際には、排気ガスレシーバの外面は、表面温度が150℃未満に維持されるように十分に断熱されている。
【0004】
排気ガスレシーバは、排気ガスレシーバの長手方向における中間、もしくは一端において、剛性の主支持部によって支持される。いくつかの可撓性支持部が、剛性の主支持部の両側において排気ガスレシーバの長手方向に沿って分布して配置され、排気ガスレシーバをエンジンハウジングまたはエンジン主構造体に連結する。可撓性支持部は、従来、単一のプレートによって形成され、このような支持部は、排気ガスレシーバが昇温および降温する際の排気ガスレシーバの熱膨張および熱収縮を補償するために必要な排気ガスレシーバの長手方向に沿った実質的な移動が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第4309615号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102005016820号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
熱負荷および圧力負荷に加えて、エンジンの振動は、構造物を揺動させ、それによって、排気ガスレシーバへの機械的負荷をさらに増大させる。一つの特有の問題は、可撓性支持部の振動は、望ましくない騒音を発生させることにある。可撓性支持部に、溶接され、かつ強化されたリブを適用することによって、固有振動数を低下させ、この問題を解決する試みがなされているが、リブが支持部に溶接される位置において亀裂が発生し、上述の問題の全体は、十分満足に解決されていない。
【0007】
上述の背景に鑑み、本発明の目的は、上述の問題を少なくとも部分的に解決する支持プレート構造体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、プレート構造体の信頼性および耐久性に対する要求について妥協することなく、可撓性支持部の最低次固有振動数を増大させることにより実現される。
本発明の目的は、長手方向に対して横切る方向に沿って延びるように配置された一対の可撓性スチールプレートとして、可撓性支持部を設けることによって実現され、スチールプレートは、スチールプレートの主要面が上端および下端の間において、異なる間隔(S1、S2、S3)で互いに対向するように延びており、少なくとも一つのスペーサが、上端および下端の間の位置においてスチールプレートの間に配置されて、スチールプレートをスペーサの位置において、より大きな間隔(S1)に維持する。
【0009】
本発明による排気ガスレシーバのさらなる目的、特徴、利点、および性質が、本明細書から明らかになる。
本明細書の以下の詳細な説明において、図面に示される例示的実施形態を参照して、本発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態によるプレート構造体を備えた大型2ストロークエンジンの長手方向に沿った側面図。
【図2】図1に示されるエンジンの後端を示す図。
【図3a】本発明の一実施形態によるプレート構造体により支持された排気ガスレシーバの端部を示す斜視図。
【図3b】図3aの実施形態の側面図。
【図3c】図3aの実施形態の平面図。
【図4】排気ガスレシーバの低温状態において、取り付けられる際のプレート構造体を示す概略的側面図。
【図5】エンジンが作動している間に振動するプレート構造体の瞬間の画像を正確な縮尺ではなく、概略的に示す図。
【図6】プレート構造体の最低次固有振動数が変化する様子を比較するための試験結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1及び2は、大型の2ストロークディーゼルエンジンのエンジン主構造体1の側面図および端面図をそれぞれ示している。エンジンは、クロスヘッド型のユニフロー式低速2ストロークディーゼルエンジンであり、船舶における推進システム、または発電所におけるエンジンであり得る。これらのエンジンは、典型的には、一列に配置された3個から14個以下のシリンダを有する。エンジンは、クランクシャフト(クランクシャフトの端部に取り付けられたフライホイール3のみが示されている)用の主軸受を備えたベッドプレート2を備えている。ベッドプレート2は一つの部品として製造されて良く、製造設備に応じて、好適な寸法の部分に分けられても良い。
【0012】
溶接されたA字形のフレームボックス4がベッドプレート2上に取り付けられている。排気側において、フレームボックス4は、各シリンダ用のリリーフ弁を備える一方で、カムシャフト側において、フレームボックス4は、各シリンダ用の大型のヒンジ扉を備えている。クロスヘッド案内面(図示せず)はフレームボックス4に統合されている。
【0013】
フレームボックス4の上部にシリンダフレーム5が取り付けられている。控えボルト(図示せず)が、ベッドプレート2、フレームボックス4、及びシリンダフレーム5を連結して、構造体を共に維持する。シリンダフレーム5は個々のシリンダ6を支持する。エンジンのシリンダの各々は、排気路によって、排気ガスレシーバ16の流入口へ連通している。シリンダフレーム5は、シリンダライナ6と協働して、掃気空間を形成する。掃気レシーバ9がシリンダフレーム5にボルトで固定されている。ピストン(図示せず)がシリンダライナ6の各々の内部に受け入れられる。ピストンロッド(図示せず)が、ピストンの底部をクロスヘッド(図示せず)の上部に連結している。シリンダライナ6は、シリンダフレーム5によって支持されている。
【0014】
エンジンは、エンジンの側部または後端に配置された一つ以上のターボチャージャ10に適合している。シリンダはユニフロー式であり、かつエアボックスに位置する掃気孔(図示せず)を備え、エアボックスには、掃気レシーバ9から、ターボチャージャ10によって加圧された掃気が供給される。ターボチャージャ10への吸気は、ターボチャージャの吸入サイレンサ(図示せず)を通ってエンジンルームから直接、実施される。空気は、ターボチャージャ10から、空気冷却器11、給気管12、および掃気レシーバ9を介して、シリンダライナ6の掃気孔まで流動する。エンジンは、電気駆動式の補助的掃気送風機13を備えている。補助的送風機は、中低負荷状態において、ターボチャージャコンプレッサを補助する。
【0015】
排気弁(図示せず)が、シリンダカバー14におけるシリンダの上部の中心に取り付けられている。膨張行程の終盤において、エンジンピストンが掃気孔を越えて降下する前に排気弁が開放されて、ピストンの上方の燃焼室における燃焼ガスが、排気ガスレシーバ16内へ開口している排気路を通って流出し、燃焼室内の圧力が解放される。排気弁は、ピストンの上向きへの移動の間に再度閉鎖する。マンホールカバーは、保守および点検の際に、排気ガスレシーバ16内に作業員が接近することを可能にする。
【0016】
図1に示されるように、排気ガスレシーバ16は、好ましくは、エンジン主構造体1の掃気レシーバ9によって支持される。代替的実施形態において、排気ガスレシーバ16は、以下に記載するように、複数のプレート構造体100を介して、かつ可能であればさらに、好適な支持フランジ(図示せず)を介して、フレームボックス4またはシリンダフレーム5などの他の主要なエンジン構造体に取り付けられても良い。図1を再度参照すると、排気ガスレシーバ16は、剛性の主支持部22によって掃気レシーバ9上に支持されている。示される実施形態において、主支持部は排気ガスレシーバ16の長手方向における中間に配置されており、排気ガスレシーバの中間を掃気レシーバ9に対して固定する。主支持部22は、好ましくは、排気ガスレシーバ16の中間に配置されるが、精確に中間に配置されている必要はなく、僅かにずれていても良い。主支持部22は、代替的に排気ガスレシーバ16の端部に配置されても良い。図示されるように、排気ガスレシーバ16は、さらに、本発明による複数の可撓性支持部100を介して、掃気レシーバ9上に取り付けられる。複数の可撓性支持部100は、排気ガスレシーバ16の長手方向に沿って、剛性支持部22の両側に分布している。可撓性支持部100の各々は、排気ガスレシーバ16が昇温または降温する際に、エンジンハウジング又は掃気レシーバ9(又はプレート構造体が取り付けられた別のエンジン構造体(図示せず))に対する排気ガスレシーバ16の熱による長手方向に沿った任意の収縮または膨張に従動するプレート構造体によって形成される。エンジンが作動する間、シリンダの燃焼室からの高温ガスは、排気ガスレシーバ16において受け入れられる。従って、エンジンが作動する間、排気ガスレシーバ16に用いられる材料の熱膨張により、排気ガスレシーバ16の長さは増大する。大型の2ストロークディーゼルエンジンの排気ガスレシーバ16の全長は長いため(5〜20メートル)、長手方向に沿った膨張は、大きくなる(数センチメートル程度)。排気ガスレシーバ16の横方向、即ち図1の面に垂直な方向に沿った全熱膨張は、排気ガスレシーバ16が比較的小さな寸法を有するため、比較的小さい。排気ガスレシーバ16の横振動を防止するために、可撓性支持部100は、排気ガスレシーバ16の横方向に沿って、弾力性をほぼ又は完全に示さない。
【0017】
従来、10〜25mm程度の厚さを有する一枚の直立したプレートが、可撓性支持部または個々のプレート構造体100を構成するために用いられ、各直立したプレートは、従来、掃気レシーバ9に溶接されるとともに、プレートの主要面が排気ガスレシーバ16の横方向、即ち、長尺状の排気ガスレシーバ16の長手軸線に対して垂直な方向に配向された状態で、排気ガスレシーバ16にボルトで固定される。背景技術の項目で記載したように、これらのプレート構造体の望ましくない共振が、エンジンの作動範囲において発生してきた。
【0018】
図3aは、図1により詳細に示されるターボチャージャ10に対向する長尺状の排気ガスレシーバ16の端部を示しており、本発明による直立した支持プレート構造体100は、排気ガスレシーバ16と、掃気レシーバ9の取付ブラケット9’との間に配置されている。
【0019】
本発明によるプレート構造体100は、図3bにより良く示されるように、二枚の可撓性スチールプレート110、115を備え、プレート110、115は、プレート構造体100を排気ガスレシーバ16および掃気レシーバ9にそれぞれ堅牢に連結する取付具120、125の間において相互に対向して、排気ガスレシーバ16の長手軸線に対して横切る方向に沿って延びている。二枚のプレートの厚さは、同一であることが好ましく、広範に選択されることができ、5〜10mm程度のプレート厚さが、しばしば選択される。代替的実施形態において、異なる厚さの二枚のプレートが用いられる。
【0020】
プレート110、115は、望ましくは、類似または同一の形状を有し、各プレートは、二つの対向する主要面および側縁を有する。二枚のスチールプレート110、115は、各プレートの主要面が相互に対向するように、配置されている。各プレート110、115は、図3cに示されるように、上端117、下端118、及び中央領域116を有しており、プレート構造体100は、二枚のプレート110、115の中央領域116を互いに離間した状態に維持する少なくとも一つのスペーサ130を備え、スペーサ130は、上端117および下端118の間の位置において、二枚のプレート110、115の間に配置されている。上端および下端におけるそれぞれの連結具105、102は、上端および下端において、二枚のプレート110、115をスペーサ130の位置より互いに接近させて維持し、プレート構造体100は、図示されるように外向きに隆起した構成を有し、二枚のプレート110、115は中央領域116において相互に離間している。スペーサ130は、二つの端部117、118の間の中間、又は二つの連結具102、105の間の中間位置に配置され得る。本発明では、図3bに示されるように、スペーサ130によって互いに固定されたプレート110、115が外向きに隆起する構造が概ねプレート構造体100の所望の技術的性質をもたらす限り、二つの端部117、118の間の位置は、精確に中間である必要はない。
【0021】
本発明によるプレート構造体100の上端117は、排気ガスレシーバ16上の取付フランジ16’に取り付けられ、下端118は、エンジン主構造体の取付ブラケット9’上の別の下側取付具125に取り付けられ、取付ブラケット9’は、図示される実施形態において掃気レシーバ9上に配置されている。このようにして、排気ガスレシーバ16は、掃気レシーバ9上に取り付けられる。代替的な実施形態において、排気ガスレシーバ16は、記載されたプレート構造体100、さらに、可能であれば好適な支持フランジ(図示せず)によって、フレームボックス4またはシリンダフレーム5等の他の主要なエンジン構造体に取り付けられる。
【0022】
排気ガスレシーバ16は、上述のように、プレート構造体100によって、掃気レシーバ9等のエンジン構造体上に取り付けられ、エンジンが低温状態にある時、即ち、エンジンが作動しておらず、周囲温度まで冷却されている時に、二つの取付具120、125は、排気ガスレシーバ16の長手方向に沿った取付フランジ16’が、下側の取付ブラケット9’より剛性の支持部22に近接して配置され、即ち、図3bに示されるように、プレート構造体100の高温状態対称軸線Aに対して図3bの右側へずれているような水平方向に沿ってずれた位置にある。図4には、低温状態軸線A’が示されている。上側取付フランジ16’および下側の取付ブラケット9’の間の低温状態における水平方向に沿った距離すなわち間隔は、望ましくは、高温の作動状態における掃気レシーバ9等のエンジン主構造体に対する排気ガスレシーバ16の長手方向に沿った相対的な膨張量に対応するように選択され、このようにして、排気ガスレシーバ16が作動温度にある際に、取付フランジ16’及び取付ブラケット9’は、水平方向に沿って実質的に間隔を有さずに整合され、一方の上方に配置される。
【0023】
排気ガスレシーバ16は、上述のように、プレート構造体100によって、掃気レシーバ9等のエンジン構造体上に取り付けられ、エンジンが作動する前、即ち、取付フランジ16’および取付ブラケット9’の間の低温状態における水平方向に沿った間隔を有する状態で、プレート構造体100は取り付けられ、プレート構造体100は、船舶が移動する間、排気ガスレシーバ16を支持し、かつ排気ガスレシーバ16を所定の位置に固定することを補助するように作用する。
【0024】
プレート構造体100を形成するプレート110、115は、高温状態において、図3bに示されるように、プレート構造体100の高温状態対称軸線Aに対して対称に配置されることが望ましい。従って、プレート構造体100は、低温状態において、プレート構造体100を、ずれた取付フランジ9’及び取付ブラケット16’に取り付ける工程において僅かに歪んだ構成または湾曲した構成になるように、弾性的または塑性的に変形あるいは湾曲している。整合していないずれたフランジ9’およびブラケット16’で、プレート構造体100を機械的に整合させた後、プレート構造体100は、取付具によって、それぞれフランジ16’及びブラケット9’上に連結され、プレート構造体100は、図4に概略的に示されるような歪んだ構成になる。排気ガスレシーバ16が昇温して、フランジ16’及びブラケット9’が水平方向に沿ってずれた状態でなくなるまで膨張すると、取り付けの際に印加された曲げ力が最小値まで減少し、この時点において、プレート構造体100上での主要な力は、排気ガスレシーバ16の重量に起因する垂直方向に沿った負荷による力と、エンジンの振動に起因する力とからなる。
【0025】
プレート構造体100との連結に関して、ボルト106は、取付具120、125に対するプレートの端部117、118の任意の自由な回転運動を防止するように締め付けられる。金属棒として形成される連結具102、105は、上端および下端117、118において、プレート110、115の間に配置され、同一のボルト106が、連結具102、105を介して、プレート110、115を互いに連結し、かつ取付具120、125を介して、プレート構造体100をフランジ16’およびブラケット9’にそれぞれ連結するために用いられる。
【0026】
さらに、プレート構造体100を横切る方向に沿って、上端および下端117、118の間の中間(領域116)付近において、ボルト頭部132を有するボルトとナット133とを備える一列のスペーサ130は、プレート110、115を互いに対して固定し、かつプレート110、115がスペーサ130において互いに向かう方向、又は接近する方向に移動しないことを保証するように配置されている。スペーサ130は、領域116において、プレート110、115を、図3b中の拡大図にも示されるように、それぞれ上端および下端117、118におけるプレート110及び115の間の相互の間隔S2、S3より大きな相互の間隔S1に維持し、ここで、S2はS3と同じであって良い。このようにして、プレート構造体100は、図3bに示されるような外向きに隆起した幾何学的構成を有し、プレート構造体100は、図5に示されるように、トラス構造で形成された支柱として、(図3bにおいて双方向矢印Dで示す)横切る方向に沿って振動し、この振動は、排気ガスレシーバ16の長手方向に沿っている。スペーサ130は、プレート110、115に形成された孔を通って延び、かつナット133と協働して、間隔S1を維持、又は固定する頭部付きボルトを内部に備えた筒状の金属管である。このようにして、溶接を必要としない完全に機械的な連結部が形成される。
【0027】
図5(正確な縮尺で示されていない)は、エンジンが作動する際に、振動するプレート構造体100の瞬間の画像、即ち「スナップショット」を示している。瞬間の画像とは、振動するプレート構造体100の移動中、即ち振動中の一瞬における図を意味する。従って、図において、プレート構造体100は不鮮明に示され、振動するプレート構造体100の二枚の個々のプレート110、115は個別に識別しにくい。図において、プレート構造体100は、可能な最大位置の一つにある。プレート構造体100の振動の大きさAは、上端および下端110、115の間の中間におけるプレート構造体100の高い剛性に左右され、即ち依存し、プレート構造体100の剛性は、選択されたプレートの厚さと、間隔S2及びS3に対する間隔S1の比とに、それぞれ依存する。大きさAは、図5において、静止位置から最大位置までの距離として示されている。
【0028】
図6は、比較のために、端部117、118の間の中間におけるスチールプレート110、115の間の所望の相対的な間隔S1をもたらすスペーサ130を用いることにより、プレート構造体100の最低次固有振動数が変化する様子を示している。異なる厚さを有するプレートの対に対して、振動数の値が比較され、最低次固有振動数は、一般に、間隔S1の増大に伴い増大する。より厚いスチールプレートを用いることにより、最低次固有振動数も増大する。比較のために、従来の16mmの単一のプレートの振動も図に示されている(「ダイアモンド形」◇で示す)。このような単一のプレートには間隙が存在しないため、振動数の値は、図の横座標に対して平行な線上に示されている。図より理解されるように、従来のプレートの16mmの厚さの半分の厚さを有するプレートを用いた場合にも、利点をもたらし、従って、従来の単一のプレート構造体と比較して、プレート構造体100の剛性が増大した状態で材料を節約することが可能である。
【0029】
プレート構造体100は、二枚の平坦なプレート110、115を機械的に共に配置した後、それらの端部117、118において連結具102、105を用いて両プレートを連結して、応力を加えられ、即ち付勢され、かつ外向きに隆起したプレート構造体100を構成するように形成され、プレート構造体100は排気ガスレシーバ16および掃気レシーバ9を取り付けられる。代替的には、二枚のプレート110、115は、ボルト106およびスペーサ130によって互いに連結された後に、図3bに示されるような、付勢されていない固有形状になるように圧延されるか、加工されても良い。
【0030】
本発明が例示のために詳細に記載されたが、このような記載は単に例示のために過ぎず、当業者によって、本発明の権利範囲を逸脱することなく、変形例が実施され得る。
本発明は、エンジン主構造体1および排気ガスレシーバ16の間を連結するための支持プレート構造体100にも関し、プレート構造体100は、
二枚の対向するスチールプレート110、115であって、各々が第一端117および第二端118を有するスチールプレート110、115と、
二枚のスチールプレート110、115を離間した関係に維持する少なくとも一つのスペーサ130であって、第一端117および第二端118の間の位置においてスチールプレート110、115の間に配置されるスペーサ130と、
第一端117および第二端118に配置される連結具102、105とを備え、
連結具102、105は、第一端117および第二端118において、二枚のスチールプレート110、115を互いに間隔S2、S3だけ離間するように維持し、少なくとも一つのスペーサ130は、スペーサ130の位置において、二枚のスチールプレート110、115を、より大きな間隔S1だけ離間するように維持する。支持プレート構造体100は、特許請求の範囲に記載の任意の特徴を備える。
【0031】
本発明は、さらに、特許請求の範囲に記載のような特徴を備えた支持プレート構造体100を備えた大型の2ストロークディーゼルエンジンを有する船舶に関する。
特許請求の範囲において、「備える」という用語は、他の構成要素や工程を排除するものではない。特許請求の範囲において、単数で記載されている用語は、複数あることを排除するものではない。単一のプロセッサまたは他のユニットは請求項に記載の特定の手段の機能を実行することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン主構造体(1)と、
一つ以上のエンジン排気ガス流入口、および一つ以上のエンジン排気ガス流出口を有する長尺状の排気ガスレシーバ(16)と、
前記排気ガスレシーバ(16)の下方に配置されて、前記エンジン主構造体(1)上に前記排気ガスレシーバ(16)を支持する主支持部(22)および複数の直立したプレート構造体(100)とを備える大型2ストロークディーゼルエンジンであって、
前記直立したプレート構造体(100)は、前記排気ガスレシーバ(16)の長手方向に沿って分布しており、
前記直立したプレート構造体(100)の各々は、前記排気ガスレシーバ(16)に取り付けられる上端(117)、及び前記エンジン主構造体(1)に取り付けられる下端(118)を有し、
前記プレート構造体(100)の少なくとも一つは、
前記上端(117)および前記下端(118)において共に固定される一対の可撓性のスチールプレート(110、115)であって、該スチールプレート(110、115)は、前記排気ガスレシーバ(16)の長手方向に対して横切る方向に沿って延びるように配置され、かつ前記スチールプレート(110、115)の主要面が互いに対向するように延び、前記スチールプレート(110、115)の間の間隔は、前記上端(117)および前記下端(118)における間隔より大きい前記スチールプレート(110、115)と、
前記上端(117)および前記下端(118)の間の位置において、前記スチールプレート(110、115)の間に配置される少なくとも一つのスペーサ(130)であって、前記スペーサ(130)の位置における前記スチールプレート(110、115)の間の間隔(S1)を固定するように構成される前記スペーサ(130)とを備える大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項2】
前記少なくとも一つのスペーサ(130)は、前記上端(117)および前記下端(118)の間の中間において、前記スチールプレート(110、115)の間に最大の間隔(S1)を提供するように配置される請求項1に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項3】
前記プレート構造体(100)は、前記排気ガスレシーバ(16)の長手方向に沿って可撓性であって、前記エンジン主構造体(1)に対する前記排気ガスレシーバ(16)の熱膨張に適合する請求項1又は2に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項4】
前記プレート構造体(100)を、前記上端(117)において前記排気ガスレシーバ(16)に取り付け、かつ前記下端(118)において前記エンジン主構造体(1)に取り付けるための取付具(120、125)をさらに備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項5】
前記少なくとも一つのプレート構造体(100)の前記スチールプレート(110、115)は、前記少なくとも一つのスペーサ(130)によって互いに離間するように付勢される請求項1乃至4のいずれか一項に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項6】
前記少なくとも一つのスペーサ(130)は、前記スチールプレート(110、115)の間を機械的に連結する請求項1乃至5のいずれか一項に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項7】
前記少なくとも一つのスペーサ(130)は、該スペーサ(130)の長さによって、前記スペーサ(130)の位置における前記スチールプレート(110、115)の間の前記間隔(S1)を規定する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項8】
前記少なくとも一つのスペーサ(130)は、前記スペーサ(130)の位置において前記スチールプレート(110、115)の間を溶接することなく、機械的に固定された間隔(S1)を設定する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項9】
前記プレート構造体(100)は、前記エンジン主構造体(1)の掃気レシーバ(9)によって支持される請求項1乃至8のいずれか一項に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。
【請求項10】
複数のスペーサ(130)が一列に配置される請求項1乃至9のいずれか一項に記載の大型2ストロークディーゼルエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−154334(P2012−154334A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11757(P2012−11757)
【出願日】平成24年1月24日(2012.1.24)
【特許番号】特許第4995990号(P4995990)
【特許公報発行日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【出願人】(594140904)マン・ディーゼル・アンド・ターボ,フィリアル・アフ・マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー,ティスクランド (22)
【住所又は居所原語表記】Center Syd,161 Stamholmen,DK−2650 HVIDOVRE,Denmark
【Fターム(参考)】