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大断面トンネルにおける覆工壁の構造
説明

大断面トンネルにおける覆工壁の構造

【課題】大断面トンネルを施工する際に適用して好適な覆工壁の構造を提供する。
【解決手段】覆工壁1は築造するべき大断面トンネルの輪郭に沿って間隔をおいて施工された複数の小トンネル5を一体に連結して形成される。当該覆工壁は、鉄筋コンクリート構造により形成された一般部1aと、ジベル付き鋼板10とコンクリート13とが一体化された鋼・コンクリート合成構造により形成されて一般部よりも曲げ耐力に優れる高強度部1bからなる。高強度部は覆工壁の内面及び/又は外面をジベル付き鋼板により形成すれば良い。覆工壁を偏平断面形状としてその両側部における曲率半径が上部および下部における曲率半径よりも小さくされている場合、両側部を高強度部としてそこを鋼・コンクリート合成構造により形成すれば良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大断面トンネルにおける覆工壁の構造、特に断面形状が偏平な大断面トンネルに適用して好適な覆工壁の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
大断面トンネルを築造する際に適用して好適な工法として、特許文献1に示される地中空洞の施工方法(以下、従来工法という)が知られている。
これは、たとえば直径40m程度の大断面トンネルを築造するに際し、たとえば直径4m程度の小トンネルを間隔をおいて多数(たとえば16本程度)先行施工し、それら小トンネルどうしを一体に連結する形態でたとえば壁厚2.5m程度の頑強な鉄筋コンクリート構造の覆工壁を施工した後に、その覆工壁の内側を掘削して大断面トンネルを築造することを基本とするものであって、先行施工した小トンネルと覆工壁とによって地盤を安定に支保しつつその内側の掘削が可能であるので、道路トンネルにおける分岐合流部のような大断面トンネルを軟弱地盤に築造する場合等に適用して有効なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−156907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、周知のようにトンネルは断面形状が円形に近い形状であるほど(つまり各部の曲率が均等であるほど)構造的に安定であるが、様々な制約条件によりトンネル断面形状を偏平に近い形状とせざるを得ない場合も多い。
断面形状が偏平なトンネルの場合、覆工壁の各部の曲率半径が均等ではないことから、曲率半径が大きくて緩やかな湾曲面となっている領域(以下、緩湾曲部という)に比較して、曲率半径が小さくて急な湾曲面となっている領域(以下、急湾曲部という)に対して局部的な大きな曲げモーメントが生じるから、偏平断面のトンネルにおける覆工壁の設計に当たってはその所要壁厚や所要配筋量を急湾曲部での曲げ耐力を確保するように設定することが通常である。
【0005】
このことは偏平な断面形状の大断面トンネルを上記の従来工法により築造しようとする場合においても同様であって、その場合も覆工壁全体の所要壁厚を急湾曲部における曲げ耐力を確保するように十分に大きく設定する必要があるから、そのような大壁厚の覆工壁を施工するために小トンネルの径を十分に大きくする必要があり、そのために本来的には仮設でしかない小トンネルの施工のために多大なコストを要してしまうので、その点では上記従来工法は必ずしも合理的ではない。
なお、覆工壁を超高強度コンクリートを用いて形成すれば一般的な鉄筋コンクリート構造による場合に比べて所要壁厚を軽減することは可能であり、したがって小トンネルの径を必要最小限とすることも不可能ではないが、その場合も高価な超高強度コンクリートを多量に必要とすることから多大なコスト増が不可避であるし、急湾曲部における配筋が超過密配筋となることもあって好ましくなく、あまり現実的ではない。
【0006】
以上のことから、特許文献1に示される従来工法は大断面トンネルの施工方法として有効ではあるものの、断面形状が偏平な大断面トンネルを施工する場合には急湾曲部での構造上の制約から適用し難いものでもあり、その点では改善の余地があった。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は特に大断面トンネルに適用して好適な覆工壁の構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は大断面トンネルにおける覆工壁の構造であって、当該覆工壁は、築造するべき大断面トンネルの輪郭に沿って間隔をおいて施工された複数の小トンネルを一体に連結して形成されるとともに、当該覆工壁は、鉄筋コンクリート構造により形成された一般部と、ジベル付き鋼板とコンクリートとが一体化された鋼・コンクリート合成構造により形成されて前記一般部よりも曲げ耐力に優れる高強度部からなることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は請求項1記載の大断面トンネルにおける覆工壁の構造であって、当該覆工壁における前記高強度部は、当該覆工壁の内面及び/又は外面が前記ジベル付き鋼板により形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は請求項1または2記載の大断面トンネルにおける覆工壁の構造であって、当該覆工壁は両側部における曲率半径が上部および下部における曲率半径よりも小さくされた偏平断面形状とされ、該覆工壁における両側部が前記高強度部とされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の覆工壁の構造によれば、一般部に比較してより高強度が必要とされる部分のみを通常の鉄筋コンクリート構造に代えて鋼・コンクリート合成構造による高強度部として形成することにより、そこでの所要壁厚を一般部と同等としたままで所要強度を十分にかつ支障なく確保することができる。
したがって、本発明の覆工壁の構造によれば、先行施工した多数の小トンネルどうしを一体に連結する形態で覆工壁を施工して大断面トンネルを築造するに際して、小トンネルの径寸法を必要以上に大きくする必要なく、また高強度部が超過密配筋となったり、超高強度コンクリート等の特殊コンクリートを用いる必要もなく、覆工壁全体を合理的に施工することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態である覆工壁の構造を示す図である。
【図2】同、施工手順を示す図である。
【図3】同、他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に本発明の実施形態である覆工壁の構造を示す。
本実施形態の覆工壁1は、本線トンネル3とランプトンネル4との分岐合流部としての偏平断面の大断面トンネル2を特許文献1に示される従来工法によって施工されるものである。
すなわち、本実施形態の覆工壁1は、最終的に築造するべき大断面トンネル2の輪郭に沿ってまず多数(図示例では16本)の小トンネル5を間隔をおいて先行施工し、それら小トンネル5どうしを一体に連結することで施工されるものであるが、この大断面トンネル2の全体の断面形状は上下方向にやや偏平とされていて、上部および下部の曲率半径よりも両側部の曲率半径が小さくなっているものである。
【0014】
つまり、本実施形態の覆工壁1は、上部および下部は曲率半径の大きい緩湾曲部となっているが、両側部は上部および下部よりも曲率半径の小さい急湾曲部となっていて、そのため上部および下部の緩湾曲部よりも両側部の急湾曲部に対して大きな曲げモーメントが生じるからそこでの曲げ耐力を増強する必要がある。
【0015】
そこで、本実施形態の覆工壁1は、上部および下部の緩湾曲部を一般部1aとしてそこは通常の鉄筋コンクリート構造により形成するが、両側部の急湾曲部は上記の一般部(緩湾曲部)1aよりも曲げ耐力に優れる高強度部1bとしてそこは通常の鉄筋コンクリート構造よりも高強度が得られる鋼・コンクリート合成構造により形成し、それにより高強度部(急湾曲部)1bでの所要壁厚を一般部(緩湾曲部)1aと同等としたままでそこでの曲げ耐力を増強している。
【0016】
具体的には、本実施形態の覆工壁1における高強度部1bは、その構造を施工手順とともに図2(a)〜(c)に示すように、内面にジベル11を設けたジベル付き鋼板10を所要壁厚に相当する寸法の間隔をおいて対向配置し、必要に応じて双方のジベル付き鋼板10どうしをH形鋼等の適宜の補剛材12により連結したうえで、それらを打ち込み型枠として機能せしめてその内部にコンクリート13(普通コンクリートで十分である)を打設充填することにより、ジベル付き鋼板10とコンクリート13とをジベル11を介して構造的に一体化することで形成されている。
【0017】
上記構造の覆工壁1によれば、一般部1aに比較してより高強度(高曲げ耐力)が必要とされる部分のみを通常の鉄筋コンクリート構造に代えて鋼・コンクリート合成構造による高強度部1bとして形成したので、そこでの所要壁厚を一般部1aと同等としたままで所要強度を十分にかつ支障なく確保することができる。
したがって、特許文献1に示される従来工法により断面形状が偏平の大断面トンネル2を施工するに際して、その覆工壁1の構造として本実施形態の構造を採用することにより、先行施工する小トンネル5の径寸法を必要以上に大きくする必要がなく、また急湾曲部(高強度部1b)が超過密配筋となったり、超高強度コンクリート等の特殊コンクリートを用いる必要もないから、覆工壁1全体を低コストで合理的に施工することが可能である。
【0018】
勿論、上記の覆工壁1を施工するためには、基本的には特許文献1に示される従来工法をそのまま踏襲することが可能であって、まず図2(a)に示すように下部の一般部(緩湾曲部)1aを通常の鉄筋コンクリート構造により形成した後、(b)に示すようにその上部に打ち継ぐようにして両側部の高強度部(急湾曲部)1bを鋼・コンクリート合成構造により形成し、さらに(c)に示すようにその上部に打ち継ぐようにして上部の一般部(緩湾曲部)1aを通常の鉄筋コンクリート構造により形成すれば良いから、上部および下部の一般部1aはもとより両側部の高強度部1bも何ら複雑な工程や手順を必要とすることなく単純作業により容易にかつ低コストで施工することが可能である。
【0019】
以上のことから、本発明によれば、従来においては偏平な断面形状のトンネルを施工する場合には適用し難いとされていた特許文献1に示される従来工法を、偏平な断面形状の大断面トンネルを施工する場合、さらには様々な断面形状の大断面トンネルを施工する場合にも広く適用することが可能となる。
【0020】
なお、高強度部1bは上記実施形態のように急湾曲部となる覆工壁1の内面および外面の双方をジベル付き鋼板10により形成する構造とすることが好ましいが、必ずしもそうすることはなく、要は必要個所に所望強度の鋼・コンクリート構造の高強度部1bを形成すれば良いのであって、その限りにおいてたとえば覆工壁1の内面のみあるいは外面のみをジベル付き鋼板10により形成することでも良い。
【0021】
また、必要であればたとえば図3に示すように高強度部1bに対してさらに増強コンクリート14を一体に増し打ちして増強することも考えられる。その場合、上記の高強度部1bを施工した時点で図示しているようにその内側地盤を先行掘削してその内部から覆工壁1の内面に対して増強コンクリート14を増し打ちすれば良い。
【符号の説明】
【0022】
1 覆工壁
1a 一般部(緩湾曲部)
1b 高強度部(急湾曲部)
2 大断面トンネル
3 本線トンネル
4 ランプトンネル
5 小トンネル
10 ジベル付き鋼板
11 ジベル
12 補剛材
13 コンクリート
14 増強コンクリート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大断面トンネルにおける覆工壁の構造であって、
当該覆工壁は、築造するべき大断面トンネルの輪郭に沿って間隔をおいて施工された複数の小トンネルを一体に連結して形成されるとともに、
当該覆工壁は、鉄筋コンクリート構造により形成された一般部と、ジベル付き鋼板とコンクリートとが一体化された鋼・コンクリート合成構造により形成されて前記一般部よりも曲げ耐力に優れる高強度部からなることを特徴とする大断面トンネルにおける覆工壁の構造。
【請求項2】
請求項1記載の大断面トンネルにおける覆工壁の構造であって、
当該覆工壁における前記高強度部は、当該覆工壁の内面及び/又は外面が前記ジベル付き鋼板により形成されていることを特徴とする大断面トンネルにおける覆工壁の構造。
【請求項3】
請求項1または2記載の大断面トンネルにおける覆工壁の構造であって、
当該覆工壁は両側部における曲率半径が上部および下部における曲率半径よりも小さくされた偏平断面形状とされ、該覆工壁における両側部が前記高強度部とされていることを特徴とする大断面トンネルにおける覆工壁の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−2141(P2013−2141A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134360(P2011−134360)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】