説明

天然着色料およびその方法

ドラゴンフルーツ由来の材料で主に構成される材料であって、かかる材料を用いることにより製造された添加物、薬剤、化粧品または食品を提供する、材料を提供する。本発明はドラゴンフルーツ由来の材料、とくに、ドラゴンフルーツの粉末、および上記材料を成分として含有する栄養補給物、薬剤、化粧品または食品を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分散性組成物、好ましくは果物からの天然着色料粉末、その調製方法、ならびにさまざまな食料製品の調製物、食品栄養補給物、ペットフード製品、ペットフード栄養補給物あるいは栄養または化粧または医薬調製物の調製における一次組成物としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、食品の色は、有機/無機の合成源(sources)から製造され、潜在的に有害であると考えられている。果物または植物から抽出された顔料および生物活性な化合物が、食料品産業において機能性原料として広く用いられている。多くの他の生物活性な原料が、その有益な性質に関し、消費者によく認識されているが、例えば、食料製品におけるその適用は、困難であるか、または貧弱な生物学的利用能を提供する。さらに、現行の抽出技術は、非常に低い収率で所望の原料を提供し、しばしば、抽出された原料の真の性質を幾分か劣化させることとなる。ベタレインは、自然発生の顔料の一群であり、赤紫色であるベタシアニンおよび黄色であるベタキサンチンを含む。ベタレインはナデシコ目の関連する科に属する、赤紫色、橙色および黄色の色素性の植物種のみにおいて検出されてきた。ベタレインのさまざまな天然の源のうち、赤カブとウチワサボテンのみが、高濃度のこれらの顔料を含有する食用のものである。ベタシアニンは、ベタニンおよびイソベタニジンの2つのアグリコンから由来する。ベタニンは、ベタニジン5−O−βグルコシドである。ベタニジンは、非常に良好な電子供与体または水素供与体であると考えられるオルトジフェノール基を含有し、活性な抗酸化剤として作用する。抗酸化効果に加え、ベタニンおよびベタニジンは、細胞および細胞小器官に酸化に対する保護効果を増加させうる、カチオン化分子である。細胞および細胞小器官の膜は、負に帯電し、細胞表面上のアニオン性部位はカチオン性の剤に対して強い親和性を呈することが示されてきた。
【0003】
ドラゴンフルーツは、ピタヤ(pitaya)、ピターヤ(pitahaya)、ピタハヤ(pitajaya)、またはレッドピタヤ(pitaya roja)として知られ、サボテン科のHylocereus sp.に属する(Luders and McMahon, 2006)。ベタレインの良好な源としての果肉が紫色である(purple-flesh)(赤紫)のドラゴンフルーツ(Hylocereus polyrhizus)の用法は、数人の著者により注目されている(Stintzing et al., 2002; Wybraniec et al., 2001)。ベタレインの色はアントシアニンのそれに近いが、3倍強力である(Stinzing and Carle, 2007)。ベタレインはまた、アントシアニンよりも水に溶ける(Stintzing et al., 2006)。アントシアニンに比べ、それらは3〜7のpHの範囲においてその色を維持するため、それらは、酸度の低い食品の着色のための良好な選択肢となる(Stintzing and Carle, 2004)。
【0004】
ドラゴンフルーツは、粉末化させてより長い保存可能期間を有することができるため、簡単かつ直ちに利用可能とすることができ、天然色として食料製品へと添加するためのまたはインスタントの特性を有するベタレイン豊富な機能性食品原料の良好な源としての役割を果たすことができる。さらに、粉末形態は、その低い水分活性およびそれゆえの低い生物学的反応のため、非常に安定であることができる。高い糖分および有機酸含有量を含有する果物の噴霧乾燥は、困難である。これらの組成物は、噴霧乾燥中に、粘着性のある(sticky)挙動を有する。粘着性は材料の特性に依存し、また噴霧乾燥プロセスにおいて適用される入口の変量(inlet variables)に関連する。堆積は、粘着性および乾燥機の設計から生じるもう1つの問題である。チャンバーのサイズが十分広い場合、堆積の問題はないであろうが、経済的な要因のため、チャンバーのサイズは好適なサイズへと限定されるであろう。それゆえ、粘着性および堆積は、他の方法により解決されるべきである(Truong et al., 2005)。糖分および酸が豊富な材料の粘着性のある挙動は、低分子量の糖(フルクトース、グルコースおよびスクロース)および有機酸(クエン酸、リンゴ酸および酒石酸)に関連するところ、果物における90%の固形分がこれらの化合物である(Bhandari et al., 1997)。マルトデキストリンなどのいくつかの添加物が、クロフサスグリ(blackcurrant)(Bhandari et al., 1993)、蜂蜜(Bhandari et al., 1997)、タマリンド(tamarind)(Truong, 1994)、スイカ(Quek et al., 2007)、およびパイナップル(Abadio et al., 2004)などの食品の噴霧乾燥において、粘着性および堆積を低減させるために用いられてきている。異なるタイプの5〜40のデキストロース当量(DE)のマルトデキストリンが商業的に利用可能である。マルトデキストリンのDEが大きいほど、そのグルコースポリマーの鎖長は小さくなる。マルトデキストリンは果物の粉末の乾燥させるために用いられる最も汎用な添加物であり、通常、これらの担体の割合は40〜60%であるが、より多い量もまた用いられることができる(Masters, 1994)。粉末の品質に影響する、噴霧乾燥装置、プロセスおよび製品パラメータ(固形含有物、粘度、および温度)の間には、複雑な相互作用がある。噴霧乾燥プロセスにおける最も有効な要因は、供給流量、入口および出口空気温度、噴霧器速度、供給濃度、供給温度、および入口空気流量である(Chegini, & Ghobadian, 2005)。本研究の目的は、ドラゴンフルーツの噴霧乾燥における重要な要因としての入口空気温度、出口空気温度、およびマルトデキストリン濃度の間の関連を調査すること、およびベタレイン含有量および製造された粉末の物性に対するそれらの影響を評価することである。
【0005】
果物は通常、還元糖が豊富であり、その果汁の乾燥およびその粉末の取り扱いを非常に困難にさせる。貯蔵の間に、果物粉末のある色の損失がありえ、または粉末の低い安定性および短い保存可能期間となりうる。非常に多くの抽出および濃縮技術がすでに知られている。しかし、かかる技術は高価でありうる。しかも、果物粉末を自然色として適用する際に、いくつかの技術的問題がありうる。それゆえ、本発明の目的は、水系において改善された安定性、混和性、分散性を有し、また先行技術の類似の抽出物と比較して強化された生物学的利用能を有する、果物からの天然着色料(好ましくはベタレインとしても知られる)を製造するための、単純で安価な方法を提供することにより、上記の問題に対処することである。本発明は、生物活性な原料としての、好ましくは食料品、栄養補助食品、薬剤および化粧品において好ましく用いられる、天然着色料に関する。かかる天然着色料は粉末の形態であり、かかる粉末は、とくにベタレインを含有する、乳製品、アイスクリーム製品、ゼリー、スナック、菓子、アルコール飲料、非アルコール飲料を含む食料品、薬剤および化粧品における添加剤として用いられるのに好適である。さらに、本発明は、ベタレインを含有する、果物、好ましくはドラゴンフルーツ(Hylocereus polyrhizus)からの、酸化的ストレスに起因する障害および疾患、とくに血管疾患の予防および処置に有用な天然着色料に関するか、またはかかる組成物は、活性成分として、ドラゴンフルーツ(Hylocereus polyrhizus)から製造されたベタシアニンを含有する薬剤組成物であってもよい。本発明の有利な点は、また、ドラゴンフルーツ(Hylocereus polyrhizus)から得られた天然着色料としてのベタレインを含有する食料品または薬剤もしくは化粧品製品の費用効率的な方法および製造方法に関する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、果物から、特徴的にはHylocereus polyrhizusまたはレッドドラゴンフルーツから得られる天然着色料の製造方法を開示する。本発明における方法は、以下を含む;ドラゴンフルーツを得ること、フルーツから皮および種子を除去すること、皮の除去物から液体溶液を得ること、さらに、抗粘着化またはカプセル化材料(好ましくは抗粘着化またはカプセル化材料は、マルトデキストリンまたは抵抗性(resistant)マルトデキストリンである)を液体溶液に添加すること、次いで抗粘着化またはカプセル化材料および液体溶液を混合して均質化された混合物を形成すること、その後、混合物を少なくとも2時間貯蔵すること、次いで混合物を乾燥装置(好ましくは、キャビネット乾燥機、ドラム乾燥機、凍結乾燥機、噴霧乾燥器を含む)へと加え、乾燥粉末を得ること。したがって、天然着色料は生物学的活性材料であり、ここで、天然着色料はベタレインを含む。実際、マルトデキストリンまたは抵抗性マルトデキストリンの好ましい量は、5%〜30%(w/w果汁)の実用量(working amount)を有する。
【0007】
噴霧乾燥過程は、さらに以下;130℃〜190℃の作動入口空気温度を有すること、および50℃〜100℃の作動出口空気温度を有すること、を含む。しかし、本発明の態様は、上記の方法により製造されたベタレインを含む天然着色料に関し、好ましくは粉末へと調製される手段を有する着色料に関する。さらに、本発明はまた、食料品原料、食料製品もしくは食料品、薬剤もしくは栄養補助食品組成物、化粧品または局所用製剤の製造への、ドラゴンフルーツから得られたベタレインを含む天然着色料の使用に関する。好ましくは、化粧品は、クリーム、ローション、アイクリーム、軟膏またはゲル、サンスクリーン、経口投与物、フェイスマスク、頬紅、アイシャドー、リップスティックを含む。薬剤組成物は、錠剤、シロップおよびカプセルを含み、ならびに、食料製品は、飲料、乳製品、アイスクリーム、シャーベット、氷製品、菓子、スナック、キャンディー、フルーツあめ、フルーツドライミックス、ゼリー、フルーツ充填物、トッピング、チョコレート、調味料を含む。実際、天然着色料は、原料、添加物として、または任意の機能特性のための食品処方における任意の用途において役立ち、さらに、天然着色料は、抗酸化剤および食物繊維製剤を含む栄養補助食品において用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、ベタレイン保持率対マルトデキストリン濃度および出口空気温度の表面プロットである。
【図2】図2は、「a」値対出口空気温度および入口空気温度の表面プロットである。
【図3】図3は、含水率対マルトデキストリン濃度および出口空気温度の表面プロットである。
【図4】図4は、水分活性(a)対マルトデキストリン濃度および出口空気温度の表面プロットである。
【図5】図5は、吸湿性対マルトデキストリン濃度および出口空気温度の表面プロットである。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、自然色であり、および経口で消化される、または化粧品において適用されるときに生物学的活性もしくは健康への影響を有する、高ベタレインドラゴンフルーツ粉末をパイロットプラント規模で製造するための方法に関する。ここで、22%のマルトデキストリンDE8−12(w/w果汁)、75℃の出口空気温度および150℃の入口空気温度を用いることにより得られるドラゴンフルーツ粉末は、良好な物性を有する。マルトデキストリンが増加すると、粘着性が防止され、ベタレイン保持率が増加し、含水率および水分活性が減少し、ならびに粉末の吸湿性が低下する。
【0010】
発明を実施するための最良の形態
本発明を詳細に説明するに先立ち、本発明は説明される特定の態様に限定されず、そのため、もちろん、変形してもよいものと理解される。また、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって限定されるため、本明細書で用いられる専門用語は特定の態様を説明する目的のためのみのものであり、限定を意図しないこともまた理解されるべきである。値の範囲が提供される場合、文脈が他に明示的に指示しない限り下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間にある介在値、およびその示された範囲中の任意の他の示された値または介在値のそれぞれが、本発明に包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、より小さな範囲に独立して含まれていてもよく、また本発明に包含されており、示された範囲の任意の具体的に除外された限界の対象である。その示された範囲が1または両方の限界を含む場合、含まれる限界の一方または両方を除外する範囲がまた本発明に包含されると意図される。
【0011】
他に定義されない限り、本明細書で用いられる全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものと類似のまたは同様の任意の方法および材料をまた、本発明の実施または試験において用いることができるが、好ましい方法および材料が今、説明される。本明細書において述べられる全ての刊行物は、かかる刊行物が引用された関連において、方法および/または材料を開示および説明するための参照として、本明細書中に組み込まれる。本明細書中および添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が他に明示的に指示しない限り、複数形の参照先を含むことを留意しなければならない。
【0012】
材料および方法
材料
レッドドラゴンフルーツ(Hylocereus polyrhizus)は、マレーシアのMelakaの農園より購入した。全ての化学物質は、Merckより購入した。マルトデキストリンDE8−12は、マレーシアのSelangorのSan Soon Seng Food Industriesからの贈与物であった。
【0013】
方法
a)果汁の調製
新鮮なドラゴンフルーツを、手作業で皮むきした。フィニッシャー(Bonina, ITABUNA, BA)のふるいに通して果肉を裏ごしすることにより、種子を分離および除去した。噴霧乾燥前に、果汁を−20℃で貯蔵した。
b)サンプルの調製および噴霧乾燥
凍結した果汁を解凍し、次いでマルトデキストリンDE8−12を果汁に添加した。
混合物を、T25 basic labホモジナイザー(IKA- WERKE, Germany)を用いて、9500rpmで10分間、均質化し、噴霧乾燥前に2時間貯蔵した。
【0014】
パイロット噴霧乾燥機(Model Niro A/S, GEA, Germany)を噴霧乾燥工程で用いた。900m/分の空気流量、15000rpmの速度の回転噴霧器タイプ、および40℃の供給温度で、噴霧乾燥を実施した。これらの条件は、初期の試行を行った後に選択された。150〜170℃の入口空気温度限界、75〜85℃の出口空気温度、果汁に添加される14〜22%(w/w)マルトデキストリンDE8−12が、独立変数として選択された。製造されたドラゴンフルーツ粉末のベタレイン含有量、色、含水率、水分活性、吸湿性、および溶解度は、従属変数であった。
【0015】
c)統計学的設計および解析
実験の設計、変数間の関連性の解析、およびドラゴンフルーツ果汁の噴霧乾燥についての最適条件の調査のために、応答曲面法を適用した。実験は、3つの独立した変数で、中央複合設計、2レベル要因(two levels factorial);完全要因(full factorial)に基づき、20試行を、p<0.05で解析した。用いたソフトウェアはMinitab V14 Sub100であった。全ての解析を、3回の繰り返しで行った。
【0016】
d)ベタレイン含有量
総ベタレイン含有量は、Herbach et al. (2006)およびMosshammer et al. (2005)に従って、分光光度分析により測定した。ドラゴンフルーツ粉末をpH6.5のMcIlvaineバッファーに溶解させ、Whatman No. 1ろ紙を通してろ過した。溶液の吸光度は、Lambda 25 UV/VIS(Perkin Elmer, Shelton, USA)を用いて測定した場合、538nmで0.5〜1とすべきである。より高い吸光度値の溶液は、それに応じてバッファーで希釈すべきである。ベタレイン含有量(BLC)は、[BLC(mg/L)=(A×DF×MW×1000)/(ε×l)]で計算し、式中、Aは600nmの吸光度で較正された538nmにおける吸光度値であり、DFは希釈係数であり、lはキュベットを通る光路長(1cm)である。ベタシアニンの定量化に関し、ドラゴンフルーツ果汁における主要なベタレインを構成する、ベタニンの分子量(MW)およびモル吸光係数(ε)(MW=550g/mol;ε=60,000L/mol cm;λ=538nm)を採用した。測定は3回の繰り返しで実行した。図1は、ベタレイン保持率対変数の表面プロットを示す。ベタレイン保持率に関する多くの二次式(full quadratic)を表1で説明する。p<0.05での回帰係数および統計解析に基づくと、独立変数およびベタレイン保持率の間には、中等度の関連性がある。ベタレインは150〜170℃で噴霧乾燥される場合は安定であることを意味するが、図1に示されるように、低温度および高いマルトデキストリン濃度は、より高い量のベタレイン保持率をもたらす。
【0017】
表1
ドラゴンフルーツ果汁の噴霧乾燥に関する5応答についての回帰係数、R、および確率、p値
【表1】

注:添字:1=入口空気温度;2=出口空気温度;3=マルトデキストリンの割合
0.05レベルで有意
**0.01レベルで有意
【0018】
e)色の測定
色を、Hunter Lab Colorimeter(Hunter Lab Associates Laboratory, Virginia, USA)で測定した。用いた光源はD25であり、X=81.17、Y=83.27、Z=97.59の値の反射率を有する標準白色板(No. C222951)を対照として用いた。ドラゴンフルーツ粉末を1cmの光路長で5cm×5cmガラス光学セルに均一に詰め、セルを色度計の反射率ポート(reflectance port)に配置した。鏡面反射光を含んだ反射可視光を測定し、結果を、3回の測定の平均として、L(明度)、±a(+aは赤であり、−aは緑である)、±b(+bは黄色であり、−bは青である)、h°(色相角)ここでh°=tan−1(b/a)、C(彩度または飽和度)ここでC=(a+b1/2として報告した。色相、彩度、および明度に関して製造されたドラゴンフルーツ粉末の色を、表2に示す。調査した独立変数および色(a)および明度(L)の間には優位な関連性があり、独立変数と他の色特性の間には優位な関連性はなかった。マルトデキストリンの割合が増加するに従い、色の希薄化のために、Lは増加した。図2は、温度が増加することにより、「a」値または赤色が低下することを示す。
【0019】
f)含水率
ドラゴンフルーツ粉末の含水率を、Loksuwan(2007)により記載されるとおり、103℃の空気乾燥機中で3gの粉末を一定重量まで乾燥することにより測定した。一定重量は、4時間の乾燥の後に達成された。独立変数および含水率に関して最も適した回帰方程式を、式1に示すことができる。
式1: Y=14.4−0.12×2−0.058×3、R=0.868、R(adj)=0.851
回帰分析により、回帰モデルはp<0.05のデータにフィットし、X2およびX3の間に含水率との負のそして非常に高い相関があることが示された(図3)。
【0020】
チャンバーの終端での粒子温度が粒子の含水率を決定するため、ドラゴンフルーツ粉末の含水率を低下させる主要な要因は出口空気温度である。
【0021】
表2
実験の実行順序、ドラゴンフルーツ粉末のベタレイン保持率および色測定
【表2】

MD:マルトデキストリン
データは3回の測定の平均値である。
**供給物の高い粘着性のため、粉末は製造されなかった。
【0022】
表3は、マルトデキストリンの割合の増加に伴って、含水率が低下することを示す。これは、供給物の水分含量の、粉末の最終的な水分についての影響のためである。供給物のより低い水分含量は、蒸発のためのより低い熱量を必要とする。
【0023】
g)水分活性
水分活性の測定を水分活性メーター(AQUALAB Series 3 TE, USA)を用いて行った。水分活性(a)は、同じ温度における、食品系における水の蒸気圧の、純水の蒸気圧に対する比率である。水分活性は、含水率よりも良好な保存期間の指標であり、生化学的反応に寄与することができ、かつ微生物学的腐敗に関与する食品系における遊離水の利用可能性を反映する。
【0024】
水分活性の定義は含水率の定義から区別されるが、含水率と同じ所見が得られ、それゆえ出口空気温度およびマルトデキストリンの割合は、水分活性に対して顕著な貢献を有し(図4)、また、マルトデキストリンおよび出口空気温度の増加とともに、水分活性は低下した。表3は、粉末の水分活性が0.213〜0.296であったことを示し、これは、製造された粉末が生化学的および微生物学的活性に対して比較的安定であることを示した。
【0025】
【表3】

MD:マルトデキストリン
データは3回の測定の平均値である。
**供給物の高い粘着性のため、粉末は製造されなかった。

表3
実験の実行順序およびドラゴンフルーツパウダーの物性
【0026】
h)吸湿性
少なくとも2gの粉末を、飽和塩化アンモニウム溶液を含有する79.5%の相対湿度のデシケーター中に配置した。1週間後に、粉末により得られた水分を測定し、吸湿水分を以下の式で計算し、吸湿性を測定した:[%吸湿性=(%WI+%MC)×100/(100+%WI)] 式中、MC=粉末の含水率、および%WI=(平衡後の試料の重量−試料の重量)/試料の重量×100。
【0027】
独立変数と吸湿性の間には、有意な相関があった。図5は、マルトデキストリンの割合が吸湿性に対し最も影響を有することおよび、マルトデキストリンの増加とともに、吸湿性が低下することを示す。
【0028】
i)溶解度
溶解度を、Cano-Chauca et al. (2005)により推奨されるとおりに測定した。100mlの水および1gのドラゴンフルーツ粉末を、ミキサー中で5分間均質化した。次いで、溶液を、3000×gで5分間遠心分離した(Heraeus Multifuge 3L, Thermo, German)。上清の25mlのアリコートをペトリ皿に移し、90℃で10時間、オーブン中で乾燥させた。溶解度(%)を、予期された乾燥物質と比較した上清の乾燥重量に基づいて計算した。表3は、粉末の溶解度が、認容可能である94.9〜97.6%であったことを示す。かかる調査において、添加物としての溶解度の問題はなく、マルトデキストリンは良好な溶解特性を有し、フルーツの組成物はまた、溶解性の高い化合物であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然着色料の製造方法であって、天然着色料が果物から、特徴的にはHylocereus polyrhizusまたはレッドドラゴンフルーツから得られる、前記方法。
【請求項2】
以下の段階:
a)レッドドラゴンフルーツを得ること;
b)フルーツから皮および種子を除去すること;
c)段階(a)および(b)から液体溶液を得ること;
d)抗粘着化またはカプセル化材料を液体溶液に添加すること;
e)抗粘着化またはカプセル化材料および液体溶液を混合し、均質化した混合物を形成すること;
f)混合物を少なくとも2時間貯蔵すること;
g)段階(f)からの混合物を乾燥装置へと加えること;
h)段階(g)から乾燥粉末を得ること、を含む、請求項1に記載の方法
【請求項3】
段階(g)において、乾燥装置がキャビネット乾燥機、ドラム乾燥機、凍結乾燥機または噴霧乾燥器を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
天然着色料が生物学的活性原料であり、天然着色料がベタレインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
段階(d)において、抗粘着化またはカプセル化材料がマルトデキストリンまたは抵抗性マルトデキストリンである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
マルトデキストリンまたは抵抗性マルトデキストリンが、5%〜30%(w/w果汁)の実用量を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
噴霧乾燥過程がさらに以下:
a)130℃〜190℃の作動入口空気温度を有すること;
b)50℃〜100℃の作動出口空気温度を有すること、を含む請求項3に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により製造されたベタレインを含む天然着色料。
【請求項9】
着色料が粉末へと調製される手段を有する、請求項8に記載の天然着色料。
【請求項10】
物のまたは方法の請求項1〜9のいずれか一項に記載のドラゴンフルーツから得られたベタレインを含む天然着色料の、食品原料、食料製品または食料品、薬剤または栄養補助食品組成物、化粧品または局所用製剤の製造への使用。
【請求項11】
化粧品が、クリーム、ローション、アイクリーム、軟膏またはゲル、サンスクリーン、経口投与物、フェイスマスク、頬紅、アイシャドー、リップスティックを含む、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
薬剤組成物が、錠剤、シロップおよびカプセルを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
食料製品が、飲料、乳製品、アイスクリーム、シャーベット、氷製品、菓子、スナック、キャンディー、フルーツあめ、フルーツドライミックス、ゼリー、フルーツ充填物、トッピング、チョコレート、調味料、および原料、添加物としての食品処方におけるまたは任意の機能特性のための任意の用途を含む、請求項10に記載の使用。
【請求項14】
栄養補助食品が抗酸化剤および食物繊維製剤を含む、請求項10に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−517495(P2012−517495A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549085(P2011−549085)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【国際出願番号】PCT/MY2009/000023
【国際公開番号】WO2010/090508
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(505291413)ユニバーシティー プトラ マレーシア (11)
【Fターム(参考)】