太陽光利用機器用固定構造
【課題】 雨水等に対する屋根材の防水性能を高め、しかも作業者の熟練度によるバラツキに影響されにくい太陽光利用機器用固定構造を提供すること。
【解決手段】 屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを少なくとも有することを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【解決手段】 屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを少なくとも有することを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱集熱温水器や太陽光発電装置などの太陽光利用機器を固定する固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光を光に変換する太陽電池を用いて、住宅の屋根などを発電部とする太陽光発電装置が普及している。また、太陽光を熱に変換する太陽熱集熱温水器も、すでに多く使用されているが、これら太陽光利用機器については、さらにさまざまな構造が展開されている。
【0003】
たとえば、屋根に取り付ける太陽光利用機器の一例として、その様々な屋根形状に合わせて太陽電池素子を複数接続した太陽電池モジュールがありすでに提示されている。
【0004】
そして、この太陽光利用機器を屋根に取り付ける方法も、様々な構造にて提案されており、たとえば、屋根部材と一体的に製造された屋根一体型太陽電池モジュールや図1や図2に示すような太陽光利用機器の取り付け構造も提案されている。
【0005】
以下図1、図2を用いて従来の太陽光発電アレイ(もしくは太陽電池モジュール単体)を住宅の屋根上に設置する様子を説明する。図1は、従来の屋根設置架台を屋根上に配した斜視図、図2は太陽光発電アレイを固定金具を用いて支持する様子を示す一部拡大斜視図である。
【0006】
図1に示すように太陽光発電装置Jは太陽電池モジュール44と前記太陽電池モジュールを固定する桟(横桟42、縦桟41)と前記桟を屋根40上に固定する屋根固定金具43とから成る。この屋根40の上に縦桟41を配し、縦桟41上に、その方向に対し直交するように横桟42を配置し、架台として組み、そして、横桟42上に太陽電池モジュール44を設置する。これは屋根置き型と呼ばれる設置方法である。
【0007】
この設置方法による固定構造を図4にて、さらに詳しく説明する。同図において、5は前記屋根40を構成する構造材である野地板であり、さらに垂木などを含む場合もある。1は野地板5の上に配する瓦材である。そして、縦桟41を野地板5に固定するために、木ねじ4(その他に釘を用いる場合もある)と屋根固定金具43を使用する。
【0008】
すなわち、野地板5の上に瓦材1を配し、さらに屋根固定金具43を配置し、そして、木ねじ4を、瓦材1を通して野地板5に接合し、屋根固定金具43を屋根上に強固に固定する。
【0009】
そして、屋根固定金具43の上に縦桟41を固定する構造である。
【0010】
しかしながら、上記構造によれば、木ねじ4や釘が、屋根5上の瓦材1を打ち抜き、その屋根5の構造材に固定することで、瓦材1に穴ができ、その屋根貫通部から雨水が浸入するという問題がある。
【0011】
そこで図3に示すように、屋根材貫通部に防水処理を講じる。具体的には同図において、5は前記屋根40を構成する構造材である野地板であり、ねじ4や釘が、屋根5上の瓦材1を打ち抜き、その屋根5の構造材に固定することで、瓦材1に穴ができるためシール材10をはさみ込んで止水しようとしている(例えば、特許文献1を参照)。
【0012】
また、一般に板金折り曲げ屋根などにおいては、板金の折り曲げ突起部を可能な場合には、前記突起部に金具を固定するような、屋根に穴を開けない構成で太陽電池モジュール44を屋根上に固定することができる。この構成を図2に示す。同図に示すごとく、屋根材である金属製の板金に対し、それを折り曲げ加工した板金45に成し、その折り曲げにて生じる線状の突起部46の所定の部位に固定装置47を配し、この固定装置47でもって突起部46を挟むように成した構造とし、これら複数個の突起部46の上に太陽電池モジュール44やそれを支持する桟を配置する構成である。
【特許文献1】特開2003−147923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら前述した取り付け方法においては以下のような問題がある。
【0014】
図5にスレート瓦を葺いた屋根上に固定金具を取り付けた様子を示す。図6は前述の固定部、支持体の断面を示す。図5、図6に示すように支持体2を屋根1上に固定するために、金属性の支持体2に貫通孔をもうけ木ねじや釘を用いて、瓦材に穴を開ける必要があり、これにより屋根材1と支持体2の間、支持体2とビス頭部4の間に隙間aができ屋根の防水性能が低下し、その穴を通して侵入した雨水によって、屋根野地板5に腐食などを引き起こしていた。
【0015】
このような漏水による腐食を防止するために、図7に示すようにビス4にパッキン4aを追加したり、支持体2と屋根材1の間にシール材2aを貼り付けている。また図8のようにビス頭4をコーキング材6など防水処理を行う技術や、図10に示すように下穴をあけコーキング材やシール材6aを挿入した後にビスを打ちつけることが提案されたが、これに伴って施工の工数が増え、さらに作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じていた。
【0016】
さらに作業時もコーキング材6や粘着性のシール材2aが作業者の足裏に付着しそのまま屋根の上を歩行するため支持体2以外の屋根材に付着し屋根を汚してしまうことがある。その上、後で清掃というような手間が、新たに発生する。
【0017】
またコーキング材6やシール材2aが熱や紫外線により経年劣化し自然現象による応力でその防水性能を失い屋根裏面に進入し腐食や固定強度の低下を引き起こしている。
【0018】
また図9に示すように金属製の支持体の端部2bを曲げシール材2aを押さえつける方法も提案されたが支持体によっては支持体が屋根材と接して積雪や風荷重によって屋根材に荷重がかかり破損してしまうことが考えられる。
【0019】
さらにシール材に関して課題を上げれば、支持体2と屋根材1の間に配置されるシール材2aには大きく分け接着性のあるシール材系と発泡ゴム系の2種類使用されていることが多い。
【0020】
先に接着性のあるシール材系についての課題について説明すると図11に示すように設置直後は支持体2と屋根材1の間に納まっているがシール材2aの場合接着性と凹凸のある屋根材との止水性を上げるため柔軟性を有しているものが多い、そのため図12に示すようにビス4の締め付けトルク、機器の質量、自然現象の応力で軟質部2aは支持体2の周囲からはみ出してしまう。さらに図13に示すように自然現象の風による応力では負の方向に応力がかかることがありはみ出して薄くなったシール材と屋根材、支持体の間に隙間が発生し防水性能が低下し漏水し屋根に腐食などを引き起こすことがある。
【0021】
一方発泡ゴム系のシール材は図14に示すように固定ビス4を打ちつけるまでは孔は開いていないが固定ビスを打ちつけることでビスに発泡ゴムは巻き絡みつき引きちぎってしまうため固定ビスがしまった時にはビス4とシール材2cの間に隙間が開き防水性能が落ちてしまうため事前に下孔を開けたり、コーキング材を注入するなどの作業が必要となる。
【0022】
これに伴って施工の工数が増え、さらに作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じていた。
【0023】
さらには支持体を固定するビスにおいても防水性能を上げるためにパッキンなどが使われている。
【0024】
図16、図17に示すのはビスのパッキンの一例であるがリング状のゴムパッキン11を固定ビスの頭下に挟み込む方法や金属12とゴムパッキン11を組み合わせて挟み込んで使用している。
【0025】
しかしながらビスを締め付ける際にパッキン11がねじ切れてしまったり、ビス13を斜め打ちし支持体2とゴムパッキン14の間に隙間が開くなど作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じていた。
【0026】
本発明は上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、雨水等に対する屋根材の防水性能を高め、しかも作業者の熟練度によるバラツキに影響されにくい太陽光利用機器用固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の太陽光利用機器用固定構造は、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを少なくとも有することを特徴とする。
【0028】
また本発明の太陽光利用機器用固定構造は、上記固定構造において、前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段とを有し、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記軟質部の一部が充填されていることを特徴とする。
【0029】
更に本発明の太陽光利用機器用固定構造は、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材と、前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段と、を備え、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記シール材の一部が充填されていることを特徴とする。
【0030】
また更に本発明の太陽光利用機器用固定構造は、上記固定構造において、前記支持体を貫通する穴部の開口面積は、前記シール材との接触面側の方が該接触面と反対側の支持体表面よりも大きいことを特徴とする。
【0031】
また更に本発明の太陽光利用機器用固定構造は、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するための軟質性のシール材とを備え、前記支持体は前記シール材を取り囲む突起部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを有することから、硬質部によって軟質部のシール材が支持体と屋根材との間よりはみ出しにくくなり、シール材と屋根材、支持体の間に隙間が発生しにくくなり、防水性能を向上させることができる。
【0033】
また本発明によれば、施工後にシール材のはみ出しで防水性能が落ちることがないことに加え、支持体の周囲にシリコンなども必要がないため作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じたりさらに作業時もコーキングが作業者の足裏に付着しそのまま屋根の上を歩行しないため支持体以外の屋根材に付着し屋根を汚してしまうことがない。
【0034】
またシール材に軟質樹脂を使用することで屋根材と支持体は直接接触することがないため、応力金具端部が屋根材に当たることで屋根材が割れることが防止される。
【0035】
さらには支持体の穴部と、該穴部に挿通される固定手段との間の隙間にシール材の一部が充填されるため、屋根上を流下する雨水が穴部から浸入することが良好に防止され、これによって屋根の腐食を抑制できる。
【0036】
また本発明によれば、前記支持体を貫通する穴部の開口面積は、前記シール材との接触面側の方が該接触面と反対側の支持体表面よりも大きいため、シール材の一部が支持体の穴部に充填されやすくなり、防水性能を向上させることが容易になるという利点もある。
【0037】
また本発明によれば、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するための軟質性のシール材とを備え、前記支持体は前記シール材を取り囲む突起部を有するようにしたことにより、前記シール材との密着性を向上させ、効果的に止水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の太陽光利用機器用固定構造について、その太陽光利用機器が太陽光発電装置である場合を例にとり、模式的に示した図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
本発明の固定構造は、傾斜した屋根の上に雨水が流下する屋根材1を配し、この屋根材1上に前記支持体2とシール材7を配設した防水構造である。
【0040】
家屋の屋根の野地板5上に葺かれた屋根材1の住宅構造に対し支持体2を野地板5にビス4で固定する際防水のために挟み込むシール材7において軟質部と該軟質部を取り囲むように形成される硬質部とで構成されており、そのシール部が屋根材に接していることにより防水性能を高め、ビス(固定手段)及びシール材7と屋根材1との隙間からの雨水の浸入を防ぐと共に施工工数の削減ができる。以下にシール材7の具体的な構成と施工方法を軟質部31と硬質部32を用いた例を基に詳細に説明する。
【0041】
図18は支持体2と上述したシール材7の構成を示した斜視図でありシール材は軟質部31と硬質部32の2種類で構成されており貫通穴fのあいた支持体2の裏面に配設されている。軟質部31と硬質部32のシール材は隙間なく支持体2の裏面に貼り付けて屋根材に固定ビスで家屋に固定される。
【0042】
図19、図20、図21の斜視図はシール材の形状を表しており、断面図は支持体2と軟質部31と硬質部32のシール材の配置を表している。
【0043】
図19はシール材7の形状は断面形状が矩形形状であり、支持体2の裏面側に粘着材にて取り付けさらに内側には軟質部31を配置されていることによりビスの締め付けトルク、機器の質量、自然現象の応力で軟質部31は支持体2の周囲からはみ出してしまうことを防ぐことができる。その際シール材の間に隙間がないように貼り付けられている。次に図20には硬質部8の断面形状がL型に形成されており、支持体裏面と支持体側面とを硬質部8で保持することができ施工作業中に支持体2とシール材の位置がずれることを防ぐことが容易にできる。同様に図21では硬質部8の断面形状がコの字に形成されており、支持体裏面、支持体側面及び支持体上面を硬質部8で保持することができることができ、硬質部9に接着力がなくても支持体2に取り付けることが可能となり取り付け作業前に事前にシール材を取りつけることが可能でかつ位置がずれることを防ぐことができると共に図19、図20の構造と同様に支持体2の周囲からはみ出してしまうことを防ぐことができる。
【0044】
以上のとおり硬質部の配置は支持体の外周部に配置される。
【0045】
また硬質部を構成するシール材の材質は硬質ゴムが望ましいが樹脂やアルミなどの軽金属でもかまわない。また軟質部を構成するシール材はブチルゴムやEPDM材料や他でも流動性のあるものが望ましい。なお、硬質部は軟質部よりもビッカース硬度が大きな材料により形成されるものである。
【0046】
さらには2種類のシール材を使わずに同じ性能をえる材料として紫外線で硬化する材料を使用しても良い。図22で詳細を説明するシール材10が紫外線UVで硬化する場合、設置後に屋根上で使用されるシール材10の端部gに紫外線があたり硬化する。内部hは屋根材、支持体に挟まれており紫外線UVに当たらないため柔軟性を持続することができる。また支持体の固定ビスを貫通させる穴fの位置は軟質部のシール材の位置とすることが肝要である。
【0047】
また、図23、図24に示すように支持体に貫通された穴部fは、その側壁と支持体の裏面(シール材との接触面)との間の角度を91度から160度に設定されたサラ形状15を有することが好ましく(より好ましくは120度〜140度、更に好ましくは130度〜150度)、これによって穴部fの開口面積は支持体2の表面よりも裏面(シール材との接触面)で大きくなっている。従って、軟質部のシール材が穴部とビス4との間の隙間に充填されやすいため、防水機能を高めることができる。
【0048】
またサラ形状15は図25に示すように支持体の外周部に硬質部のシール材8さらに内側に軟質部31であるシール材を配置しビスで固定した場合にビスを打ち込んだ部分はネジの回転によりシール材が切れようにする。しかしシール材8と支持体2、屋根材1で囲われた軟質部31であるシール材が流動性があるためサラ加工fに沿ってビス4のm方向に押し込まれる、空気はビス4と支持体2の隙間から抜け、同時に軟質部31であるシール材はビス4の首下mの位置まで押しあげられるのでビス首下mにリング状のゴムパッキンを使用しなくてもビス4と支持体2の防水性が保たれる。
【0049】
さらには図26に示すように固定するビス首下長さnと支持体厚みq、シール材厚みpはn=q+pとすることでねじ山jにシール材31が邪魔されることなく押し上げられることにより防水性が保たれる。
【0050】
以下に本発明の太陽光利用機器用固定構造の他の実施形態を示す。
【0051】
支持体2は先に述べた図23のように屋根上に木ネジなどで固定するための固定穴fを有する。図27に示す断面図のようにこの固定穴fの軟質性のシール41と接触する側に支持体50に突起部50bを設ける。この突出部50bは軟質性のシール材41を封止するための形状であり、屋根材に干渉しないように、軟質性のシール材41の高さより短い長さとする。このようにすることで、ねじ穴部に固定ビスを通して締め付けを行うに従い、支持体50が降下するに連れて軟質性のシール材41への圧力が高まっていき、その圧力によって軟質性のシール材41がねじ穴部fに押し上げられるが、その際に全体的(均一)に圧力が高まるよりも、突起部50bが軟質性のシール材41へ切り込んで前記突出部50bに囲まれた部分の軟質性のシール材41を確保した部分の方が、すぐさま圧力を高めることができるので、いち早くねじ穴部50cへ軟質性のシール材41を誘導し、その後に全体的に圧力が高まることによって突出部50bと屋根の間の隙間からシール材が入り込み、さらにねじ穴部50c内に入り込んだ軟質性のシール材41を押し上げ、止水を確実なものとする。なお、突出部50bの形状は下降による加圧でシール材を中央方向に押しやることが望ましいので、図中のように突出部50aの先端rは支持板と突起との間になす角度を表し、鈍角を有するようにするとよい。
【0052】
また、ねじ穴部50cの周りに突出部50bを外円として設け、さらにその内円に突出部50aを設けるようにしても良い。この場合、内円である突出部50aは突出部50bで確保したシール材41がねじ穴部50cに向かって移動するのを妨げないように突出部50bの高さよりも突出高さを低くしておく。このようにすることで、図28のように支持体50が下降して軟質性のシール材41の圧力が高まるよりも早く突出部50aで囲われた部分の軟質性のシール材41がねじ穴部50cに誘導され、次にシール材の加圧が進むと突出部50bで囲われた部分の軟質性のシール材41の圧力によってねじ穴部50cに入り込んだ軟質性のシール材41をさらに押し上げるというようにねじ穴部50cへの軟質性のシール材41の誘導をさらに確実なものとできる。しかも、軟質性のシール材41の一部が突出部50aに囲まれた部分t、さらに突出部50aと突出部50bによって確保された部分sというようにそれぞれが独立状態に近い形で加圧が保持されるので、ねじ穴部50cの周辺の軟質性のシール材41の圧力が屋根の変形などによって局部的な圧力変化が生じてもそれらに左右されにくい。
【0053】
さらにまた、図29は支持体50を屋根上に設置した状態を示す透視平面図であるが、図中において支持体50に矢印方向の圧力(固定ねじ等で屋根面への締め付けが行われた状態)が加わると、突出部50bで堰き止められた軟質の軟質性のシール材41の圧力が上昇し、その圧力によって支持体50自体が歪むことにより、ねじ穴部を配置する位置によって軟質性のシール材41のねじ穴部への侵入量に差が生じるが、ねじ穴部の周辺に上述した突出部(50a、50b)を有するようにすれば、圧力が全面に行き渡るよりも前にねじ穴部50cへ誘導する必要量の軟質性のシール材41を確保することができるので、図中十字マークのようにねじ穴部の配置場所を自由に設定しても、いずれの場所においてもシール材の充填不足が生じないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来の太陽光利用機器用固定構造を屋根上に設置する様子を模式的に示す斜視図である。
【図2】従来の太陽光利用機器用固定構造を用いて太陽光発電アレイを支持する様子を模式的に示した一部断面図である。
【図3】従来の固定構造を示す断面図である。
【図4】従来の固定構造を示す斜視図である
【図5】従来の固定構造を示す斜視図である。
【図6】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図7】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図8】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図9】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図10】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図11】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図12】従来の固定構造において、支持体に正圧方向に荷重がかかった時の様子示す断面図である
【図13】従来の固定構造において、支持体に負圧方向に荷重がかかった時の様子を示す断面図である
【図14】従来の固定構造を模式的に示す断面図である
【図15】従来の固定構造を模式的に示す断面図である
【図16】従来のビスパッキン形状を模式的に示す断面図である
【図17】従来のビスパッキン形状及び取り付け状態を模式的に示す断面図である
【図18】本発明に係るシール材の構成を模式的に示す斜視図である
【図19】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図20】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図21】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図22】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図23】本発明に係る支持体の裏面形状を模式的に示す斜視図である
【図24】本発明に係る支持体の裏面形状を模式的に示す断面図である
【図25】本発明に係る支持体の裏面形状とシール材の動きを模式的に示す断面図である
【図26】本発明に係る支持体及びビスの形状を模式的に示す断面図である
【図27】本発明に係る支持体の形状を模式的に示す断面図である
【図28】本発明に係る屋根面方向に正圧力がかかった場合のシール材の動きを模式的に示す断面図である
【図29】本発明に係るシール材の状態を模式的に示す一部透視平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1:屋根材
2:支持体
2a:シール材(はみ出し部)
2b:端部
2c:シール材(発泡タイプ)
3:シール材
4:固定ビス
5:家屋(野地板)
6:シリコン
7:シール材
7a〜7d:シール材1辺
8:シール材
9:シール材
10:シール材
11:ビスパッキン
12:ビスパッキン金物
13:ビス
15:サラ加工部
16:屋根材
17:シール材
31:軟質部(シール材)
32:硬質部(シール材)
40:屋根
41:縦桟
42:横桟
43:屋根固定金具(支持体)
44:太陽電池モジュール
45:板金
46:突起部
47:固定装置
50:支持体
50a:突出部(ねじ穴周囲)
50b:突出部(支持体外周部)
50c:ねじ穴部
51:ねじ穴
a:隙間
b:隙間
c:支持部(底面)
d:支持部(側面)
e:支持部(上面)
f:固定穴
g:硬化領域
h:シール面
j:ネジ山
k:シール内面
m:ビス首下
n:ビス首下長さ
p:シール厚み
q:支持体厚み
r:ねじ穴領域
s:ねじ穴-支持体外周間領域
t:支持体外周領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽熱集熱温水器や太陽光発電装置などの太陽光利用機器を固定する固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光を光に変換する太陽電池を用いて、住宅の屋根などを発電部とする太陽光発電装置が普及している。また、太陽光を熱に変換する太陽熱集熱温水器も、すでに多く使用されているが、これら太陽光利用機器については、さらにさまざまな構造が展開されている。
【0003】
たとえば、屋根に取り付ける太陽光利用機器の一例として、その様々な屋根形状に合わせて太陽電池素子を複数接続した太陽電池モジュールがありすでに提示されている。
【0004】
そして、この太陽光利用機器を屋根に取り付ける方法も、様々な構造にて提案されており、たとえば、屋根部材と一体的に製造された屋根一体型太陽電池モジュールや図1や図2に示すような太陽光利用機器の取り付け構造も提案されている。
【0005】
以下図1、図2を用いて従来の太陽光発電アレイ(もしくは太陽電池モジュール単体)を住宅の屋根上に設置する様子を説明する。図1は、従来の屋根設置架台を屋根上に配した斜視図、図2は太陽光発電アレイを固定金具を用いて支持する様子を示す一部拡大斜視図である。
【0006】
図1に示すように太陽光発電装置Jは太陽電池モジュール44と前記太陽電池モジュールを固定する桟(横桟42、縦桟41)と前記桟を屋根40上に固定する屋根固定金具43とから成る。この屋根40の上に縦桟41を配し、縦桟41上に、その方向に対し直交するように横桟42を配置し、架台として組み、そして、横桟42上に太陽電池モジュール44を設置する。これは屋根置き型と呼ばれる設置方法である。
【0007】
この設置方法による固定構造を図4にて、さらに詳しく説明する。同図において、5は前記屋根40を構成する構造材である野地板であり、さらに垂木などを含む場合もある。1は野地板5の上に配する瓦材である。そして、縦桟41を野地板5に固定するために、木ねじ4(その他に釘を用いる場合もある)と屋根固定金具43を使用する。
【0008】
すなわち、野地板5の上に瓦材1を配し、さらに屋根固定金具43を配置し、そして、木ねじ4を、瓦材1を通して野地板5に接合し、屋根固定金具43を屋根上に強固に固定する。
【0009】
そして、屋根固定金具43の上に縦桟41を固定する構造である。
【0010】
しかしながら、上記構造によれば、木ねじ4や釘が、屋根5上の瓦材1を打ち抜き、その屋根5の構造材に固定することで、瓦材1に穴ができ、その屋根貫通部から雨水が浸入するという問題がある。
【0011】
そこで図3に示すように、屋根材貫通部に防水処理を講じる。具体的には同図において、5は前記屋根40を構成する構造材である野地板であり、ねじ4や釘が、屋根5上の瓦材1を打ち抜き、その屋根5の構造材に固定することで、瓦材1に穴ができるためシール材10をはさみ込んで止水しようとしている(例えば、特許文献1を参照)。
【0012】
また、一般に板金折り曲げ屋根などにおいては、板金の折り曲げ突起部を可能な場合には、前記突起部に金具を固定するような、屋根に穴を開けない構成で太陽電池モジュール44を屋根上に固定することができる。この構成を図2に示す。同図に示すごとく、屋根材である金属製の板金に対し、それを折り曲げ加工した板金45に成し、その折り曲げにて生じる線状の突起部46の所定の部位に固定装置47を配し、この固定装置47でもって突起部46を挟むように成した構造とし、これら複数個の突起部46の上に太陽電池モジュール44やそれを支持する桟を配置する構成である。
【特許文献1】特開2003−147923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら前述した取り付け方法においては以下のような問題がある。
【0014】
図5にスレート瓦を葺いた屋根上に固定金具を取り付けた様子を示す。図6は前述の固定部、支持体の断面を示す。図5、図6に示すように支持体2を屋根1上に固定するために、金属性の支持体2に貫通孔をもうけ木ねじや釘を用いて、瓦材に穴を開ける必要があり、これにより屋根材1と支持体2の間、支持体2とビス頭部4の間に隙間aができ屋根の防水性能が低下し、その穴を通して侵入した雨水によって、屋根野地板5に腐食などを引き起こしていた。
【0015】
このような漏水による腐食を防止するために、図7に示すようにビス4にパッキン4aを追加したり、支持体2と屋根材1の間にシール材2aを貼り付けている。また図8のようにビス頭4をコーキング材6など防水処理を行う技術や、図10に示すように下穴をあけコーキング材やシール材6aを挿入した後にビスを打ちつけることが提案されたが、これに伴って施工の工数が増え、さらに作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じていた。
【0016】
さらに作業時もコーキング材6や粘着性のシール材2aが作業者の足裏に付着しそのまま屋根の上を歩行するため支持体2以外の屋根材に付着し屋根を汚してしまうことがある。その上、後で清掃というような手間が、新たに発生する。
【0017】
またコーキング材6やシール材2aが熱や紫外線により経年劣化し自然現象による応力でその防水性能を失い屋根裏面に進入し腐食や固定強度の低下を引き起こしている。
【0018】
また図9に示すように金属製の支持体の端部2bを曲げシール材2aを押さえつける方法も提案されたが支持体によっては支持体が屋根材と接して積雪や風荷重によって屋根材に荷重がかかり破損してしまうことが考えられる。
【0019】
さらにシール材に関して課題を上げれば、支持体2と屋根材1の間に配置されるシール材2aには大きく分け接着性のあるシール材系と発泡ゴム系の2種類使用されていることが多い。
【0020】
先に接着性のあるシール材系についての課題について説明すると図11に示すように設置直後は支持体2と屋根材1の間に納まっているがシール材2aの場合接着性と凹凸のある屋根材との止水性を上げるため柔軟性を有しているものが多い、そのため図12に示すようにビス4の締め付けトルク、機器の質量、自然現象の応力で軟質部2aは支持体2の周囲からはみ出してしまう。さらに図13に示すように自然現象の風による応力では負の方向に応力がかかることがありはみ出して薄くなったシール材と屋根材、支持体の間に隙間が発生し防水性能が低下し漏水し屋根に腐食などを引き起こすことがある。
【0021】
一方発泡ゴム系のシール材は図14に示すように固定ビス4を打ちつけるまでは孔は開いていないが固定ビスを打ちつけることでビスに発泡ゴムは巻き絡みつき引きちぎってしまうため固定ビスがしまった時にはビス4とシール材2cの間に隙間が開き防水性能が落ちてしまうため事前に下孔を開けたり、コーキング材を注入するなどの作業が必要となる。
【0022】
これに伴って施工の工数が増え、さらに作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じていた。
【0023】
さらには支持体を固定するビスにおいても防水性能を上げるためにパッキンなどが使われている。
【0024】
図16、図17に示すのはビスのパッキンの一例であるがリング状のゴムパッキン11を固定ビスの頭下に挟み込む方法や金属12とゴムパッキン11を組み合わせて挟み込んで使用している。
【0025】
しかしながらビスを締め付ける際にパッキン11がねじ切れてしまったり、ビス13を斜め打ちし支持体2とゴムパッキン14の間に隙間が開くなど作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じていた。
【0026】
本発明は上記問題点に鑑み案出されたものであり、その目的は、雨水等に対する屋根材の防水性能を高め、しかも作業者の熟練度によるバラツキに影響されにくい太陽光利用機器用固定構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の太陽光利用機器用固定構造は、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを少なくとも有することを特徴とする。
【0028】
また本発明の太陽光利用機器用固定構造は、上記固定構造において、前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段とを有し、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記軟質部の一部が充填されていることを特徴とする。
【0029】
更に本発明の太陽光利用機器用固定構造は、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材と、前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段と、を備え、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記シール材の一部が充填されていることを特徴とする。
【0030】
また更に本発明の太陽光利用機器用固定構造は、上記固定構造において、前記支持体を貫通する穴部の開口面積は、前記シール材との接触面側の方が該接触面と反対側の支持体表面よりも大きいことを特徴とする。
【0031】
また更に本発明の太陽光利用機器用固定構造は、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するための軟質性のシール材とを備え、前記支持体は前記シール材を取り囲む突起部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを有することから、硬質部によって軟質部のシール材が支持体と屋根材との間よりはみ出しにくくなり、シール材と屋根材、支持体の間に隙間が発生しにくくなり、防水性能を向上させることができる。
【0033】
また本発明によれば、施工後にシール材のはみ出しで防水性能が落ちることがないことに加え、支持体の周囲にシリコンなども必要がないため作業者の熟練度による仕上がりのバラツキ(防水性能のバラツキ)が生じたりさらに作業時もコーキングが作業者の足裏に付着しそのまま屋根の上を歩行しないため支持体以外の屋根材に付着し屋根を汚してしまうことがない。
【0034】
またシール材に軟質樹脂を使用することで屋根材と支持体は直接接触することがないため、応力金具端部が屋根材に当たることで屋根材が割れることが防止される。
【0035】
さらには支持体の穴部と、該穴部に挿通される固定手段との間の隙間にシール材の一部が充填されるため、屋根上を流下する雨水が穴部から浸入することが良好に防止され、これによって屋根の腐食を抑制できる。
【0036】
また本発明によれば、前記支持体を貫通する穴部の開口面積は、前記シール材との接触面側の方が該接触面と反対側の支持体表面よりも大きいため、シール材の一部が支持体の穴部に充填されやすくなり、防水性能を向上させることが容易になるという利点もある。
【0037】
また本発明によれば、屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するための軟質性のシール材とを備え、前記支持体は前記シール材を取り囲む突起部を有するようにしたことにより、前記シール材との密着性を向上させ、効果的に止水することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の太陽光利用機器用固定構造について、その太陽光利用機器が太陽光発電装置である場合を例にとり、模式的に示した図面に基づいて詳細に説明する。
【0039】
本発明の固定構造は、傾斜した屋根の上に雨水が流下する屋根材1を配し、この屋根材1上に前記支持体2とシール材7を配設した防水構造である。
【0040】
家屋の屋根の野地板5上に葺かれた屋根材1の住宅構造に対し支持体2を野地板5にビス4で固定する際防水のために挟み込むシール材7において軟質部と該軟質部を取り囲むように形成される硬質部とで構成されており、そのシール部が屋根材に接していることにより防水性能を高め、ビス(固定手段)及びシール材7と屋根材1との隙間からの雨水の浸入を防ぐと共に施工工数の削減ができる。以下にシール材7の具体的な構成と施工方法を軟質部31と硬質部32を用いた例を基に詳細に説明する。
【0041】
図18は支持体2と上述したシール材7の構成を示した斜視図でありシール材は軟質部31と硬質部32の2種類で構成されており貫通穴fのあいた支持体2の裏面に配設されている。軟質部31と硬質部32のシール材は隙間なく支持体2の裏面に貼り付けて屋根材に固定ビスで家屋に固定される。
【0042】
図19、図20、図21の斜視図はシール材の形状を表しており、断面図は支持体2と軟質部31と硬質部32のシール材の配置を表している。
【0043】
図19はシール材7の形状は断面形状が矩形形状であり、支持体2の裏面側に粘着材にて取り付けさらに内側には軟質部31を配置されていることによりビスの締め付けトルク、機器の質量、自然現象の応力で軟質部31は支持体2の周囲からはみ出してしまうことを防ぐことができる。その際シール材の間に隙間がないように貼り付けられている。次に図20には硬質部8の断面形状がL型に形成されており、支持体裏面と支持体側面とを硬質部8で保持することができ施工作業中に支持体2とシール材の位置がずれることを防ぐことが容易にできる。同様に図21では硬質部8の断面形状がコの字に形成されており、支持体裏面、支持体側面及び支持体上面を硬質部8で保持することができることができ、硬質部9に接着力がなくても支持体2に取り付けることが可能となり取り付け作業前に事前にシール材を取りつけることが可能でかつ位置がずれることを防ぐことができると共に図19、図20の構造と同様に支持体2の周囲からはみ出してしまうことを防ぐことができる。
【0044】
以上のとおり硬質部の配置は支持体の外周部に配置される。
【0045】
また硬質部を構成するシール材の材質は硬質ゴムが望ましいが樹脂やアルミなどの軽金属でもかまわない。また軟質部を構成するシール材はブチルゴムやEPDM材料や他でも流動性のあるものが望ましい。なお、硬質部は軟質部よりもビッカース硬度が大きな材料により形成されるものである。
【0046】
さらには2種類のシール材を使わずに同じ性能をえる材料として紫外線で硬化する材料を使用しても良い。図22で詳細を説明するシール材10が紫外線UVで硬化する場合、設置後に屋根上で使用されるシール材10の端部gに紫外線があたり硬化する。内部hは屋根材、支持体に挟まれており紫外線UVに当たらないため柔軟性を持続することができる。また支持体の固定ビスを貫通させる穴fの位置は軟質部のシール材の位置とすることが肝要である。
【0047】
また、図23、図24に示すように支持体に貫通された穴部fは、その側壁と支持体の裏面(シール材との接触面)との間の角度を91度から160度に設定されたサラ形状15を有することが好ましく(より好ましくは120度〜140度、更に好ましくは130度〜150度)、これによって穴部fの開口面積は支持体2の表面よりも裏面(シール材との接触面)で大きくなっている。従って、軟質部のシール材が穴部とビス4との間の隙間に充填されやすいため、防水機能を高めることができる。
【0048】
またサラ形状15は図25に示すように支持体の外周部に硬質部のシール材8さらに内側に軟質部31であるシール材を配置しビスで固定した場合にビスを打ち込んだ部分はネジの回転によりシール材が切れようにする。しかしシール材8と支持体2、屋根材1で囲われた軟質部31であるシール材が流動性があるためサラ加工fに沿ってビス4のm方向に押し込まれる、空気はビス4と支持体2の隙間から抜け、同時に軟質部31であるシール材はビス4の首下mの位置まで押しあげられるのでビス首下mにリング状のゴムパッキンを使用しなくてもビス4と支持体2の防水性が保たれる。
【0049】
さらには図26に示すように固定するビス首下長さnと支持体厚みq、シール材厚みpはn=q+pとすることでねじ山jにシール材31が邪魔されることなく押し上げられることにより防水性が保たれる。
【0050】
以下に本発明の太陽光利用機器用固定構造の他の実施形態を示す。
【0051】
支持体2は先に述べた図23のように屋根上に木ネジなどで固定するための固定穴fを有する。図27に示す断面図のようにこの固定穴fの軟質性のシール41と接触する側に支持体50に突起部50bを設ける。この突出部50bは軟質性のシール材41を封止するための形状であり、屋根材に干渉しないように、軟質性のシール材41の高さより短い長さとする。このようにすることで、ねじ穴部に固定ビスを通して締め付けを行うに従い、支持体50が降下するに連れて軟質性のシール材41への圧力が高まっていき、その圧力によって軟質性のシール材41がねじ穴部fに押し上げられるが、その際に全体的(均一)に圧力が高まるよりも、突起部50bが軟質性のシール材41へ切り込んで前記突出部50bに囲まれた部分の軟質性のシール材41を確保した部分の方が、すぐさま圧力を高めることができるので、いち早くねじ穴部50cへ軟質性のシール材41を誘導し、その後に全体的に圧力が高まることによって突出部50bと屋根の間の隙間からシール材が入り込み、さらにねじ穴部50c内に入り込んだ軟質性のシール材41を押し上げ、止水を確実なものとする。なお、突出部50bの形状は下降による加圧でシール材を中央方向に押しやることが望ましいので、図中のように突出部50aの先端rは支持板と突起との間になす角度を表し、鈍角を有するようにするとよい。
【0052】
また、ねじ穴部50cの周りに突出部50bを外円として設け、さらにその内円に突出部50aを設けるようにしても良い。この場合、内円である突出部50aは突出部50bで確保したシール材41がねじ穴部50cに向かって移動するのを妨げないように突出部50bの高さよりも突出高さを低くしておく。このようにすることで、図28のように支持体50が下降して軟質性のシール材41の圧力が高まるよりも早く突出部50aで囲われた部分の軟質性のシール材41がねじ穴部50cに誘導され、次にシール材の加圧が進むと突出部50bで囲われた部分の軟質性のシール材41の圧力によってねじ穴部50cに入り込んだ軟質性のシール材41をさらに押し上げるというようにねじ穴部50cへの軟質性のシール材41の誘導をさらに確実なものとできる。しかも、軟質性のシール材41の一部が突出部50aに囲まれた部分t、さらに突出部50aと突出部50bによって確保された部分sというようにそれぞれが独立状態に近い形で加圧が保持されるので、ねじ穴部50cの周辺の軟質性のシール材41の圧力が屋根の変形などによって局部的な圧力変化が生じてもそれらに左右されにくい。
【0053】
さらにまた、図29は支持体50を屋根上に設置した状態を示す透視平面図であるが、図中において支持体50に矢印方向の圧力(固定ねじ等で屋根面への締め付けが行われた状態)が加わると、突出部50bで堰き止められた軟質の軟質性のシール材41の圧力が上昇し、その圧力によって支持体50自体が歪むことにより、ねじ穴部を配置する位置によって軟質性のシール材41のねじ穴部への侵入量に差が生じるが、ねじ穴部の周辺に上述した突出部(50a、50b)を有するようにすれば、圧力が全面に行き渡るよりも前にねじ穴部50cへ誘導する必要量の軟質性のシール材41を確保することができるので、図中十字マークのようにねじ穴部の配置場所を自由に設定しても、いずれの場所においてもシール材の充填不足が生じないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来の太陽光利用機器用固定構造を屋根上に設置する様子を模式的に示す斜視図である。
【図2】従来の太陽光利用機器用固定構造を用いて太陽光発電アレイを支持する様子を模式的に示した一部断面図である。
【図3】従来の固定構造を示す断面図である。
【図4】従来の固定構造を示す斜視図である
【図5】従来の固定構造を示す斜視図である。
【図6】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図7】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図8】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図9】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図10】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図11】従来の固定構造を模式的に示す断面図である。
【図12】従来の固定構造において、支持体に正圧方向に荷重がかかった時の様子示す断面図である
【図13】従来の固定構造において、支持体に負圧方向に荷重がかかった時の様子を示す断面図である
【図14】従来の固定構造を模式的に示す断面図である
【図15】従来の固定構造を模式的に示す断面図である
【図16】従来のビスパッキン形状を模式的に示す断面図である
【図17】従来のビスパッキン形状及び取り付け状態を模式的に示す断面図である
【図18】本発明に係るシール材の構成を模式的に示す斜視図である
【図19】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図20】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図21】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図22】本発明に係る固定構造を模式的に示す斜視図及び断面図である
【図23】本発明に係る支持体の裏面形状を模式的に示す斜視図である
【図24】本発明に係る支持体の裏面形状を模式的に示す断面図である
【図25】本発明に係る支持体の裏面形状とシール材の動きを模式的に示す断面図である
【図26】本発明に係る支持体及びビスの形状を模式的に示す断面図である
【図27】本発明に係る支持体の形状を模式的に示す断面図である
【図28】本発明に係る屋根面方向に正圧力がかかった場合のシール材の動きを模式的に示す断面図である
【図29】本発明に係るシール材の状態を模式的に示す一部透視平面図である。
【符号の説明】
【0055】
1:屋根材
2:支持体
2a:シール材(はみ出し部)
2b:端部
2c:シール材(発泡タイプ)
3:シール材
4:固定ビス
5:家屋(野地板)
6:シリコン
7:シール材
7a〜7d:シール材1辺
8:シール材
9:シール材
10:シール材
11:ビスパッキン
12:ビスパッキン金物
13:ビス
15:サラ加工部
16:屋根材
17:シール材
31:軟質部(シール材)
32:硬質部(シール材)
40:屋根
41:縦桟
42:横桟
43:屋根固定金具(支持体)
44:太陽電池モジュール
45:板金
46:突起部
47:固定装置
50:支持体
50a:突出部(ねじ穴周囲)
50b:突出部(支持体外周部)
50c:ねじ穴部
51:ねじ穴
a:隙間
b:隙間
c:支持部(底面)
d:支持部(側面)
e:支持部(上面)
f:固定穴
g:硬化領域
h:シール面
j:ネジ山
k:シール内面
m:ビス首下
n:ビス首下長さ
p:シール厚み
q:支持体厚み
r:ねじ穴領域
s:ねじ穴-支持体外周間領域
t:支持体外周領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを少なくとも有することを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【請求項2】
前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段とを有し、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記軟質部の一部が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光利用機器用固定構造。
【請求項3】
屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材と、前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段と、を備え、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記シール材の一部が充填されていることを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【請求項4】
前記支持体を貫通する穴部の開口面積は、前記シール材との接触面側の方が該接触面と反対側の支持体表面よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽光利用機器用固定構造。
【請求項5】
屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するための軟質性のシール材とを備え、前記支持体は前記シール材を取り囲む突起部を有することを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【請求項1】
屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材とを備え、該シール材は軟質部と、該軟質部を取り囲む硬質部とを少なくとも有することを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【請求項2】
前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段とを有し、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記軟質部の一部が充填されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽光利用機器用固定構造。
【請求項3】
屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するためのシール材と、前記支持体を貫通する穴部と、該穴部に挿通され、前記支持体と前記屋根材とを固定するための固定手段と、を備え、前記穴部と前記固定手段との間に形成される隙間に前記シール材の一部が充填されていることを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【請求項4】
前記支持体を貫通する穴部の開口面積は、前記シール材との接触面側の方が該接触面と反対側の支持体表面よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の太陽光利用機器用固定構造。
【請求項5】
屋根材の上に設置され、太陽光利用機器を固定するための支持体と、該支持体と前記屋根材との間に配置され、前記支持体を前記屋根材に対して接着するための軟質性のシール材とを備え、前記支持体は前記シール材を取り囲む突起部を有することを特徴とする太陽光利用機器用固定構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【公開番号】特開2006−307631(P2006−307631A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20237(P2006−20237)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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