説明

太陽光発電システムにおけるケーブルの締付け接続固定構造

【課題】太陽光発電システムにおける外部接続用ケーブル接続用コネクタ装置等において、そのケーブルの締付け接続固定強度を長年に亘って維持する。
【解決手段】雄コネクタ10の筒状雄ハウジング11と雌コネクタ20の筒状雌ハウジング21は、そのハウジングの接続端子12、22が嵌り合う反対側からケーブルPが挿し込まれ、そのハウジングは弛み止めナット17、27がねじ込まれた後、ケーブルに挿通されたケーブル締付け用キャップ状ナット14、24がねじ込まれて、両ナット17、14、27、24のダブルナットによる弛み止めがなされている。このダブルナットによってキャップ状ナット14、24の弛みが防止される。このダブルナットに代えてラチェット機構によってナット14、24の弛みを防止することもでき、そのダブルナットとラチェット機構は併用し得る。このように、ナットの弛みが防止されれば、ケーブルの締付け接続固定強度を長年に亘って維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽光発電システムを構成する太陽電池モジュールを相互に接続するケーブルの電気部品への締付け接続固定構造に関し、具体的には、その太陽電池モジュールに設けられる電気部品の一つである端子ボックスと外部接続用ケーブルとを締付け接続固定したり、各太陽電池モジュール用端子ボックスを接続する電気部品の一つである接続器と前記外部接続用ケーブルとを締付け接続固定したり、前記接続器同士を接続するケーブルとその接続器とを締付け接続固定したり、及びその接続器同士又は端子ボックス同士を接続するケーブル同士を接続したりする電気部品の一つであるコネクタ装置にそのケーブルを締付け接続固定したりする等、のそのケーブルの各種電子部品への締付け接続固定構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、図17に示すように、家屋の屋根に太陽電池パネル(太陽電池モジュール)Mを配設し、そのモジュールMから接続箱Q、インバータR、分配盤Sを介して各種電気機器Eに電力供給する。その太陽電池モジュールMは、同図に示すように全てが面一となるように配置され、端子ボックスBを介して直列(図18)又は並列(図19(a)、図20(a))に接続する。
端子ボックスBは、通常、この発明の実施形態を示す図7、図10のように、ボックス本体31、51内に、太陽電池モジュールMの電極aが接続される複数の端子板32、52を並べて配設し、その隣り合う各端子板32、32、52、52の間に逆流防止用ダイオード43を設け、両端の端子板にはボックス本体31、51の側壁を貫通した外部接続用ケーブルPを接続したものであり、シール材による水密性を維持してモジュールMの裏面に接着等によって固定される(特許文献1参照)。
【0003】
その端子ボックスBは、直列接続にしろ、並列接続にしろ、外部接続用ケーブルPによって接続される。この接続において、端子ボックスBからケーブルPを直接に引き出し、そのケーブルP、P同士をコネクタ装置Aを介して接続したり(特許文献1図1、図7等参照)、端子ボックスBとケーブルPを直接又はコネクタ装置Aを介して接続したりしている(特許文献1図12、本願図7、同図10等参照)。
このとき、各外部接続用ケーブル(電力ケーブル)Pを接続器C1〜C6を介して適宜に接続している(本願図8、同図9、図19(a)、図20(a)参照)。
【0004】
そのコネクタ装置Aとして、筒状雄ハウジング内に棒状雄端子を同一軸上に設けた雄コネクタと、前記筒状雄ハウジングに同一軸上に嵌り合う筒状雌ハウジングに前記棒状雄端子に嵌り合う筒状雌端子を同じく同一軸上に設けた雌コネクタとからなり、その雄雌ハウジングに、端子が嵌り合う反対側から外部接続用ケーブルが挿し込まれ、その外部接続用ケーブルに挿通されたケーブル締付け用キャップ状ナットがねじ込まれた構成のものがある特許文献2 図10参照)。
また、端子ボックスや接続器の側面にその内部に通じる外部接続用ケーブルPの導入用円筒部を設け、この円筒部に外部接続用ケーブルPを通すとともに、円筒部にケーブル締付け用キャップ状ナットをねじ込むことによって外部接続用ケーブルPを端子ボックス又は接続器に締付け固定する構成のものがある(本願図10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−224036号公報
【特許文献2】特開2004−220824号公報
【特許文献3】特開2003−229199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽光発電システムのケーブル配線は屋外が大部分であって、そのケーブルPと上記各種の電気部品A、B、Cとの接続部は風雨に晒されて劣化が激しい。また、その配線作業において、屋外であることから、その作業も手荒なものとなり、その接続部のケーブルに引張り力が掛かりやすい。
このような状況下、上記コネクタ装置等における外部接続用ケーブルのキャップ状ナットによる締付け固定はそのナットが締付け方向と反対側に回って弛んで固定強度が劣化し、ケーブルPに引張り力が作用すると、その力に対しコネクタ本体やボックス本体等が抗し得ず、ケーブル導体が接続された端子や端子板にその引張り力が作用することとなる。このようになると、ケーブルと端子等との接続強度が劣化し、やがてその接続が破損する恐れがある。接続破損が生じれば、太陽光発電システムが不通となる。
【0007】
この発明は、上記の実情に鑑み、上記ケーブルのキャップ状ナットによる締付け固定強度を長年に亘って維持できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するために、この発明は、ダブルナットやラチェット機構によってキャップ状ナットの弛み止めを行うこととしたのである。
このダブルナットやラチェット機構は弛み止めとしては従来から採用されたものであって、その構成も簡単であり、比較的安価であって、その弛み止め効果も容易に得ることができる。
【0009】
この発明の一構成としては、太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽光発電システムを構成する太陽電池モジュールを相互に接続するケーブルを各種の電気部品に接続した際の前記電気部品への前記ケーブルの接続固定構造において、前記電気部品のボックス本体へのケーブル貫通部が筒状に形成され、この筒状貫通部にケーブルが通され、その筒状貫通部に、弛み止めナットがねじ込まれた後、ケーブル締付け用キャップ状ナットがねじ込まれることによって、ケーブルが筒状貫通部に締付け固定されているとともに、その両ナットによってダブルナットによる弛み止めが行われている構成を採用することができる。
【0010】
また、この発明の他の構成としては、太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽光発電システムを構成する太陽電池モジュールを相互に接続するケーブルを各種の電気部品に接続した際の電気部品へのケーブルの接続固定構造において、前記電気部品のボックス本体へのケーブル貫通部が筒状に形成され、この筒状貫通部にケーブルが通され、その筒状貫通部にケーブル締付け用キャップ状ナットがねじ込まれることによって、ケーブルが筒状貫通部に締付け固定されており、かつ、前記貫通部とキャップ状ナットの間にラチェット機構を設けて、そのラチェット機構によってキャップ状ナットの弛み方向への回転を阻止するようにした構成を採用することができる。
この構成において、上記「貫通部とキャップ状ナットの間」にはその貫通部が設けられた上記「ボックス本体側とキャップ状ナットの間」も含まれ、例えば、そのキャップ状ナットの外周面を上記ラチェット機構の歯車構造とし、上記筒状貫通部側(ボックス本体側)にその歯車構造にかみ合うラチェット爪を設けたものとし得る。
【0011】
上記電気部品には、太陽光発電システムに使用される各種の電気部品、例えば、太陽電池モジュールを相互に接続する端子ボックス、ケーブル同士を接続するコネクタ装置、同接続器等を挙げることができる。
【0012】
その電気部品がケーブル同士を接続するコネクタ装置の場合の具体的な構成は、筒状雄ハウジング内に棒状雄端子を同一軸上に設けた雄コネクタと、前記筒状雄ハウジングに同一軸上に嵌り合う筒状雌ハウジングに前記棒状雄端子に嵌り合う筒状雌端子を同じく同一軸上に設けた雌コネクタとからなる太陽光発電システムにおける外部接続用ケーブル接続用コネクタ装置において、前記雄コネクタの筒状雄ハウジングと雌コネクタの筒状雌ハウジングは、その筒状ハウジングの前記端子が嵌り合う反対側から外部接続用ケーブルが挿し込まれており、その外部接続用ケーブルが挿し込まれた筒状ハウジングを、上記ダブルナット機構又はラチェット機構を設けたボックス本体としたものとすることができる。
【0013】
また、その電気部品が太陽電池モジュールを相互に接続する端子ボックスの場合の具体的な構成は、筒状雄ハウジング内に棒状雄端子を同一軸上に設けた雄コネクタと、前記筒状雄ハウジングに同一軸上に嵌り合う筒状雌ハウジングに前記棒状雄端子に嵌り合う筒状雌端子を同じく同一軸上に設けた雌コネクタとからなり、その両コネクタの一方が太陽電池モジュールを接続する端子ボックスに設けられ、他方はその端子ボックスに接続される外部接続用ケーブルが接続された太陽光発電システムにおける端子ボックスに設けた外部接続用ケーブル接続用コネクタ装置において、前記雄コネクタの筒状雄ハウジング又は雌コネクタの筒状雌ハウジングは、その筒状ハウジングの前記端子が嵌り合う反対側から外部接続用ケーブルが挿し込まれており、その外部接続用ケーブルが挿し込まれた筒状ハウジングを、上記ダブルナット機構又はラチェット機構を設けたボックス本体としたものとすることができる。
この構成において、端子ボックスを接続器とし得る。
【0014】
さらに、端子ボックスや接続器においては、コネクタ装置によってケーブルを接続することなく、ケーブルをそのボックス本体に直接に導き、そのケーブル導入部において、ボックス本体の導入部を筒状とし、その筒状導入部(ケーブル貫通部)にケーブル締付け用キャップ状ナットをねじ込み、そのナット、貫通部及びケーブル本体の間に、上記ダブルナット機構又はラチェット機構を設けたものとすることができる。
【0015】
上記各構成において、コネクタ装置のように、2つ以上のケーブル導入部がある場合には、上記ダブルナット又はラチェット機構は少なくとも一方のボックス本体(ハウジング)に設けることができ、この場合、他方のボックス本体は、そのダブルナット又はラチェット機構による弛み止めが必要ないのであれば、そのダブルナット又はラチェット機構を設けなかったり、他の弛み止め構造を採用したりすることができる。しかし、両ボックス本体(両ハウジング)にダブルナット又はラチェット機構を設けて両者共に同一の弛み止め構造を採用することが好ましい。
【0016】
上記ダブルナットとラチェット機構は併用することができる。すなわち、ダブルナットによる弛み止めに加えてボックス本体(貫通部)とキャップ状ナットの間にラチェット機構を設けたり、ラチェット機構に加えて、上記貫通部に弛み止めナットをねじ込んだ後、キャップ状ナットをねじ込んで、両ナットによってダブルナットによる弛み止めがなされた構成を採用したりし得る。
【発明の効果】
【0017】
この発明は、以上のように、ダブルナットやラチェット機構によって、ケーブル締付け用キャップ状ナットの弛み止めを行うようにしたので、そのキャップ状ナットによる締付け固定強度を長年に亘って維持することができ、太陽光発電システムの長年に亘る安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】コネクタ装置Aにこの発明を採用した一実施形態の接続状態の斜視図
【図2】(a)は同正面図、(b)は同切断正面図
【図3】同雄雌コネクタの接続を外した切断正面図
【図4】同雌コネクタを示し、(a)は正面図、(b)は右側面図
【図5】同雄コネクタを示し、(a)は正面図、(b)は左側面図
【図6】同分解斜視図
【図7】端子ボックスBにこの発明を採用したカバーを外した正面図
【図8】(a)、(b)は各接続器C1、C2にこの発明を採用した各実施形態のカバーを外した各正面図
【図9】(a)〜(d)は各接続器C3〜C6にこの発明を採用した各実施形態のカバーを外した各正面図
【図10】他の実施形態の端子ボックスの場合を示し、(a)は正面図、(b)は同側面図、(c)は同裏面図、(d)は同下面図、(e)は同カバーを外した一部切り欠き正面図
【図11】同実施形態の要部斜視図
【図12】同実施形態の作用説明用要部斜視図
【図13】同実施形態の作用説明図
【図14】他の実施形態の要部斜視図
【図15】他の実施形態のカバーを外した正面図
【図16】他の実施形態のカバーを外した斜視図
【図17】太陽光発電システムの概略図
【図18】端子ボックスの一接続態様図
【図19】(a)は端子ボックスの他の接続態様図、(b)は(a)の接続態様におけるコネクタの接続説明図
【図20】(a)は端子ボックスのさらに他の接続態様図、(b)は(a)の接続態様におけるコネクタの接続説明図
【発明を実施するための形態】
【0019】
一実施形態を図1〜図6に示し、この実施形態は、上記端子ボックスB間やその端子ボックスBを接続する接続器C1〜C6間等を接続するケーブルP同士を接続するコネクタ装置Aに係わり、筒状雄ハウジング11内に棒状雄端子12を同一軸上に設けた雄コネクタ10と、筒状雄ハウジング11に同一軸上に嵌り合う筒状雌ハウジング21に前記棒状雄端子12に嵌り合う筒状雌端子22を同じく同一軸上に設けた雌コネクタ20とからなる。
ケーブルPと雄雌端子12、22は、その端子12、22の筒状部にケーブルPの導体を挿入して圧着接続され、雄端子12と雌端子22の接続は、雄端子12の先端棒状部12aを雌端子22のスリット入り筒状部22aに挿入して接続する。これらの接続は、例えば、特許文献3図1、図2、図5、図6、図9等に示されるように周知の構成である。
【0020】
両ハウジング(本願特許請求の範囲で言う「ボックス本体」)11、21は、樹脂製であって、ケーブルPが挿し入れられる筒状部(円筒部)13、23と、その筒状部13、23にねじ込まれるキャップ状ナット14、24及び筒状部13、23の先端部をなす筒状嵌合部15、25を有しており、筒状部13、23に端子12、22付のケーブルPの端末を挿し入れ、弛み止めナット17、27をねじ込んだ後、筒状防水パッキング16、26を介在してキャップ14、24を筒状部13、23にねじ込むことによってコネクタ10、20に水密にケーブルPが接続される(装着される)。
【0021】
その両ナット17、27、14、24は、まず、ナット17、27を筒状部13、23の付け根近くまでねじ込み、つぎに、ナット14、24を筒状部13、23にねじ込んでナット17、27に至った後、そのナット14、24の締付け方向への回転力を維持した状態でナット17、27をその締付け方向と逆方向に回転させて両ナット17、27、14、24を締付けてダブルナットによる弛め止め構造とする。
図中、18aは雄コネクタ10の嵌合部15先端に装着された輪状防水パッキング、18b、28bは筒状ストッパーであって、ケーブルPの導体と端子12、22の圧着が抜けることを防止する。
【0022】
上記雌コネクタ20の嵌合部25の外周に、その筒状部23から前方(雄コネクタ10に向かう方向)に延びる対の片状係止爪部29が設けられ、雄コネクタ10の嵌合部15の外周にはその係止爪部29が係止する係止部19が設けられている。
係止爪部29は片先端に外側に突出する爪29aを有し、係止部19は、ハウジング11外面から立ち上がった後、そのハウジング周方向に延びる係止片19aを有しており、図3から図1、図2に示すように、雄コネクタ10と雌コネクタ20を嵌め合わすと(雄コネクタの嵌合部15と雌コネクタ20の嵌合部25を嵌め合わすと)、係止爪部29が係止部19の係止片19aの内側を通ってその爪29aが係止片19aをくぐってその外側への弾性力でもって係止片19aに係止する(図1、図2(b)参照)。この係止によって、両コネクタ10、20が抜け止めされる(容易に外れることなく、両端子12、22が嵌合接続する)。係止片19aは、ハウジング11の筒軸方向から見て門状でなく、L字状でも良い。
【0023】
この実施形態では、雄コネクタ10側に係止部19を設け、雌コネクタ20側に係止爪部29を設けたが、雄コネクタ10側に係止爪部29を設け、雌コネクタ20側に係止部19を設けても良いことは勿論である。また、係止部19と係止爪部29の係止は、2個所と限らず、3個所以上としたり、一個所としたりすることができる。
【0024】
上記実施形態は、ケーブルP、P同士の接続を行うコネクタ装置Aに関するものであったが、図7に示す端子ボックスB、図8、図9に示す接続器C1〜C6において、ケーブルPとの接続に上記雄コネクタ10、雌コネクタ20の構成を採用した場合、そのコネクタ10、20に嵌める雌コネクタ20又は雄コネクタ10のハウジング11、21へのケーブルPの締付け固定にこの発明は採用することができる。
【0025】
図7に示す端子ボックスBは、上面開口のポリフェニレンオキサイド(PPO)樹脂又はポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂製長尺四角形状ボックス本体31内に、太陽電池モジュールMの平帯状のプラス電極線a及びマイナス電極線aが接続される片状端子板32、32を並列に配設している。
この端子ボックスBの両コネクタ10、20はその端子12、22が端子板32に嵌合(圧着)接続されている。また、ボックス本体31には図示しないPPO樹脂又はPPE樹脂製のカバーが防水リングを介し嵌着されて防水性とされる。端子板32、32の間にはバイパス用逆流防止ダイオード(図8(a)符号43参照)を設けることができる。また、端子ボックスBに設けるコネクタ10、20は同一構造、例えば、両者とも雄コネクタ10とし得る。この場合、外部接続用ケーブルPのコネクタ10、20も同一構造、例えば、両者とも雌コネクタ20とし得る。
【0026】
図8(a)、(b)、図9(a)〜(d)で示す接続器C1〜C6は、図19、図20に示す端子ボックスBを接続する3本又は4本のケーブルPを接続するためのものであって、上記端子ボックスBと同様に、上面開口のPPO樹脂又はPPE樹脂製長尺四角形状ボックス本体41内に片状端子板42、42を並列に配設し、コネクタ10又は20はその端子12、22がその端子板42に半田付け又は圧着によって接続されている。これらのボックス本体41にもPPO樹脂又はPPE樹脂製のカバーが防水リングを介し嵌着されて防水性とされる。端子板42、42の間は、逆流防止ダイオード43を設けたり、ジャンパー線44の何れかを設けたりすることができる。
【0027】
この図8で示した接続器C1、C2は、図19に示す端子ボックスBを接続する3本のケーブルPを接続し、図9で示した接続器C3〜C6は図20に示す端子ボックスBを接続する4本のケーブルPを接続する。このとき、図19(b)、図20(b)に示すように、ケーブルP、P同士は図1に示すコネクタ装置A(コネクタ10、20)等によって適宜に接続する。
【0028】
図10〜図13には弛め止め機構の他の実施形態を示し、この実施形態は、端子ボックスBに構成したものである。この端子ボックスBも、上記と同様に、上面開口のPPO樹脂又はPPE樹脂製長尺四角形状ボックス本体51内に、太陽電池モジュールMの平帯状のプラス電極線a及びマイナス電極線aが接続される片状端子板52、52を並列に配設している。ボックス本体51にはPPO樹脂又はPPE樹脂製のカバー57が防水リングを介し嵌着されて防水性とされる。
【0029】
その端子板52に外部接続用ケーブルPの導体を接続する構成にこの発明を採用したものであって、そのボックス本体51の側面にその内部が端子ボックス内部に通じる外部接続用ケーブルPの導入用円筒部(ケーブル貫通部)53を設け、この円筒部53に外部接続用ケーブルPを通してそのケーブル導体を端子板52に圧着や半田付によって接続する。この後、その円筒部53にケーブル締付け用キャップ状ナット54をねじ込んで外部接続用ケーブルPを端子ボックスBに締付け固定する。このキャップ状ナット54をねじ込むことによるケーブルPの円筒部(貫通部)53への締付固定構造は、弛み止めナット17、27を除いて図2で示すキャップ状ナット14、24と同一である。
【0030】
このとき、ボックス本体51(貫通部53)とキャップ状ナット54の間にラチェット機構が設けられている。そのラチェット機構は、キャップ状ナット54の外周面を歯車構造(全周位に軸方向の溝を等間隔に設けた構造)55とし、ボックス本体51側にその歯車構造(溝)55にかみ合うラチェット爪56を設けて構成されている。溝間隔は任意である。
このため、円筒部53にケーブルPを挿通した後、図11に示す状態から、図12に示すように、その円筒部53にキャップ状ナット54をねじ込むと、やがて、そのナット54の外面にラチェット爪56が係止する。この係止は、ナット54の締付け方向(図12、図13の矢印方向)に対しては、そのラチェット爪56が図13鎖線のように立ち上がってそのナット54の回転を許容するため、ナット54は支障なく締付けることができる。
そのナット54によってケーブルPを十分に締付け固定した状態において、ナット54に何らかの力が作用してそのナット54が弛む方向(図13の反矢印方向)に動こうとしても、ラチェット爪56が溝55の側壁に係止してその回転を阻止する。すなわち、ナット54の弛みを阻止する。このため、ナット54によるケーブルPの締付け固定は弛むことなく、長年に亘ってその締付け固定強度が維持される。
【0031】
この端子ボックスBの実施形態においても、図14に示すように、ダブルナット構造を採用することができる。また、上記の図10〜図13に示す実施形態においても、ラチェット機構に加えてダブルナット構造を採用することもできる。
さらに、図1〜図6に示したダブルナット構造において、ラチェット機構をさらに設けてナット14、24の弛み止めを確実にしたり、ダブルナット構造に変えてラチェット機構としたりすることができる。
また、図8、図9に示した各接続器C1〜C6において、この図10、図11の実施形態のように、端子板42にケーブル導体を直接接続し、そのケーブルPの導入部をダブルナット構造やラチェット構造とし得る。
また、図11、図12に示すように、ラチェット機構の歯車構造55をナット54の外周面全長に亘って溝を設けたものとすれば、通常、ナット54の外周面に設ける滑り止め溝をその歯車構造55によって兼ねることができるが、図14に示すように、その歯車構造55はラチェット爪56と噛み合う部分のみとし得る。
【0032】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、例えば、端子ボックスBの態様としては、2枚の端子板32、52が並列配置のものに限らず、図15に記載の端子板32が3以上の複数の並列配置のものや、図16に記載の直列配置のものでも、この発明は採用でき、また、その端子板32、52の数は2個に限らず、3個以上でも良いことは勿論である。各コネクタ10、20の配置位置も任意である。
接続器C1〜C6においても、ケーブルPの接続数は2本,5本以上であっても、そのケーブルPの接続数に応じたコネクタ10又は20を設ければ良いことは勿論である。また、このコネクタ装置Aは、太陽光発電システムを構成する各種のケーブル同士を接続するものであれば、その一方のケーブル端末に雄コネクタ10が設けられ、他方のケーブ端末に雌コネクタ20が設けられたものとする。
このように、この発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されることは勿論である。
【符号の説明】
【0033】
10 雄コネクタ
11 雄コネクタのハウジング(ボックス本体)
12 雄コネクタの端子
13 雄コネクタの筒状部
14 雄コネクタのキャップ状ナット
15 雄コネクタの嵌合部
17 弛み止めナット
19 雄コネクタの係止部
19a 雄コネクタの係止片
20 雌コネクタ
21 雌コネクタのハウジング(ボックス本体)
22 雌コネクタの端子
23 雌コネクタの筒状部
24 雌コネクタのキャップ状ナット
25 雌コネクタの嵌合部
27 弛み止めナット
29 雌コネクタの係止爪部
29a 雌コネクタの係止爪
31 端子ボックス本体
32 端子板
41 接続器ボックス本体
42 接続器端子板
43 逆流防止用ダイオード
44 接続器ジャンパー線
51 端子ボックス本体
52 端子ボックスの端子板
53 外部接続用ケーブル導入用円筒部
54 外部接続用ケーブル締付け固定用キャップ状ナット
55 ラチェット機構の歯車構造(溝)
56 ラチェット爪
a 太陽電池モジュールの電極線
A コネクタ装置
B 端子ボックス
C1〜C6 接続器
M 太陽電池モジュール
P 外部接続用ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽光発電システムを構成する太陽電池モジュールを相互に接続するケーブル(P)を各種の電気部品(A、B、C)に接続した際の前記電気部品への前記ケーブルの接続固定構造であって、
上記電気部品のボックス本体(11、21、31、41、51)への上記ケーブル貫通部(13、23、53)が筒状に形成され、この筒状貫通部に前記ケーブル(P)が通され、その筒状貫通部(13、23、53)にケーブル締付け用キャップ状ナット(14、24、54)がねじ込まれることによって、ケーブル(P)が筒状貫通部(13、23、53)に締付け固定されており、かつ、前記貫通部とキャップ状ナット(14、24、54)の間にラチェット機構を設けて、そのラチェット機構によって前記キャップ状ナット(14、24、54)の弛み方向への回転を阻止するようにしたことを特徴とするケーブルの電気部品への接続固定構造。
【請求項2】
太陽光エネルギーを電気エネルギーに直接変換する太陽光発電システムを構成する太陽電池モジュールを相互に接続するケーブル(P)を各種の電気部品(A、B、C)に接続した際の前記電気部品への前記ケーブルの接続固定構造であって、
上記電気部品のボックス本体(11、21、31、41、51)への上記ケーブル貫通部(13、23、53)が筒状に形成され、この筒状貫通部に前記ケーブル(P)が通され、その筒状貫通部に、弛み止めナット(17、27)がねじ込まれた後、ケーブル締付け用キャップ状ナット(14、24、54)がねじ込まれることによって、ケーブル(P)が筒状貫通部(13、23、53)に締付け固定されているとともに、その両ナット(17、27、14、24、54)によってダブルナットによる弛み止めが行われていることを特徴とするケーブルの電気部品への接続固定構造。
【請求項3】
上記キャップ状ナット(14、24、54)の外周面を上記ラチェット機構の歯車構造(55)とし、上記筒状貫通部(13、23、53)側にその歯車構造にかみ合うラチェット爪(56)を設けたことを特徴とする請求項1に記載のケーブルの電気部品への接続固定構造。
【請求項4】
上記電気部品が、筒状雄ハウジング(11)内に棒状雄端子(12)を同一軸上に設けた雄コネクタ(10)と、前記筒状雄ハウジング(11)に同一軸上に嵌り合う筒状雌ハウジング(21)に前記棒状雄端子(12)に嵌り合う筒状雌端子(22)を同じく同一軸上に設けた雌コネクタ(20)とからなる太陽光発電システムにおける外部接続用ケーブル接続用コネクタ装置(A)であって、
上記雄コネクタ(10)の筒状雄ハウジング(11)と雌コネクタ(20)の筒状雌ハウジング(21)は、その筒状ハウジング(11、21)の上記端子(12、22)が嵌り合う反対側から外部接続用ケーブル(P)が挿し込まれており、その外部接続用ケーブル(P)が挿し込まれた少なくとも一方の筒状ハウジングを上記ボックス本体としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のケーブルの電気部品への接続固定構造。
【請求項5】
上記電気部品が、筒状雄ハウジング(11)内に棒状雄端子(12)を同一軸上に設けた雄コネクタ(10)と、前記筒状雄ハウジング(11)に同一軸上に嵌り合う筒状雌ハウジング(21)に前記棒状雄端子(12)に嵌り合う筒状雌端子(22)を同じく同一軸上に設けた雌コネクタ(20)とからなり、その両コネクタ(10、20)の一方が太陽電池モジュール(M)を接続する端子ボックス(B)に設けられ、他方はその端子ボックス(B)に接続される外部接続用ケーブル(P)が接続された、太陽光発電システムにおける前記端子ボックス(B)に設けた外部接続用ケーブル接続用コネクタ装置(A)であって、
上記雄コネクタ(10)の筒状雄ハウジング(11)又は雌コネクタ(20)の筒状雌ハウジング(21)は、その筒状ハウジング(11、21)の上記端子(12、22)が嵌り合う反対側から外部接続用ケーブル(P)が挿し込まれており、その外部接続用ケーブル(P)が挿し込まれた少なくとも一方の筒状ハウジングを上記ボックス本体としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のケーブルの電気部品への接続固定構造。
【請求項6】
上記電気部品が、太陽電池モジュール(M)を相互に接続する端子ボックス(B)であって、その端子ボックス(B)のボックス本体(51)を上記ボックス本体としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のケーブルの電気部品への接続固定構造。
【請求項7】
上記電気部品が、上記ケーブル(P、P)同士を接続する接続器(C)であって、その接続器(C)のボックス本体(41)を上記ボックス本体としたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のケーブルの電気部品への接続固定構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−18463(P2011−18463A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160733(P2009−160733)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(592062541)木谷電器株式会社 (17)
【Fターム(参考)】