説明

太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具

【課題】構造が簡単で且つ取り付け工程も少なく、しかも太陽電池パネルを強固に固定でき、さらにはボルト緩みもなく、したがってその補修が必要でないか、あるいは補修頻度を格段に少なくできる太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具を得る。
【解決手段】断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする太陽光発電装置の太陽電池パネル取付け構造、および、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする太陽電池パネル取付け用の金具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具に関し、より詳しくは、構造が簡単で、しかも組み立てが容易な太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電は環境にやさしいクリーンエネルギーとして現に実用化され、さらに発展が期待されている。太陽光発電については、特に1994年度から住宅用太陽光発電システムモニター事業がスタートし、補助金をつけるなどして個人住宅用の太陽光発電装置を奨励し、普及に乗り出している。太陽光発電装置は通常太陽電池パネルを取付け架台を介して取付けられるが、その太陽電池パネルのための取付け構造は、現状ではその都度専門家が設計し、鋼材を溶接やボルト締めなどにより組み立てる特注品となっている。
【0003】
ところで、太陽電池パネルは、既に普及している太陽熱温水器パネルに比べて軽いこともあり、例えば屋根上に取付ける場合、飛散防止の観点から瓦やスレートなどの屋根材つまり躯体に穴をあけ太陽電池パネル用の架台を屋根の垂木と直接接続するよう施工マニュアルが定められている。
【0004】
図1は、上記従来における太陽電池パネルの設置例の概略を示す図である。太陽電池パネル2は屋根1上に配置固定される。この配置は屋根1の上面に取付け架台(図示せず)を屋根1の垂木に固定し、この架台上に太陽電池パネルが載置され固定される。なお、図4中、3はパネルからの導線、4は接続箱、5は直流側開閉器、6はインバーターである。しかし、前述のとおり、太陽電池パネルの取付け架台は現在のところ特注品であり、その据え付けに工期がかかり、また費用の面でも太陽光発電装置全体の10〜20%という比較的大きな割合を占めている。図2〜5はその一例を示す図である。
【0005】
図2中、11は垂木等の躯体、12は断面凹状のレール受け金具である。レール受け金具12には、その下部面に複数の孔13が穿設され、左右両側にネジ孔14、14が穿設してある。15はレール受け金具12の凹部に対応する断面矩形状のレールである。図3は、レール15の斜視図で、レール15はレール受け金具12の凹部内に嵌挿されるので、それに対応する形状を有している。
【0006】
図3のとおり、レール15は、その両側部の中央部にネジ孔14が穿設され、その上面中央部にネジ孔15が穿設されている。18は太陽電池パネル押さえ金具である。図4はその斜視図で、金具18は左右に水平の袖部19を有し、下部面に二つのネジ孔20を備えている。ネジ孔20は、レール15の孔17に対応するものである。
【0007】
組み立てるに際しては、図2中順1として示すとおり、躯体11に対してレール受金具12を取り付ける。すなわち、レール受金具12の下部面の複数の各孔13にボルトを通して躯体11に対してネジ込むことで、レール受金具12を躯体11に対して固定し取り付ける。次いで、図2中順2として示すとおり、レール受金具12の凹部にレール15を嵌入し、レール15をレール受金具12の凹部に固定する。その固定は、ボルトを、レール受け金具12の左右両側のネジ孔14、14からレール15の孔16、16にネジ込むことで行われる。
【0008】
その後、図2中順3〜5として示すとおり、レール15の上面の左右両側に間隔を置いて太陽電池パネルを配置して固定する。その固定はパネル押さえ金具18によって行われる。すなわち、左右の太陽電池パネル間にパネル押さえ金具18を置き、金具18のネジ孔20にボルトを通してレール15のネジ孔17にネジ込むことで、左右両側の太陽電池パネルがレール15の上面に固定される。その際、金具18の左右水平に延びた袖部19が左右両側の太陽電池パネルの押さえの役割をする。
【0009】
図5はこれら工程を経して完成した図で、その断面を示している。図6は、図5における金具18に代えて、パネル押さえ板22により固定する場合である。図6中、21は太陽電池パネルの枠で、枠21に対して押さえ板22を当接してボルトにより固定する。
【0010】
このように、従来の太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具においては、数多くの部品を必要とし、その取り付け工程も数多くの順序を踏んで行われる。しかも、固定箇所に対応した多くのボルトを必要とすることから、その緩みによるガタが生じ易い。その緩みは地震などによる振動により促進される。また、太陽電池パネルは通常屋根の傾斜部に取り付けられることから、その緩みの補修も甚だやっかいである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来の太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具における以上のような問題点を解決するためになされたものであり、構造が簡単で且つ取り付け工程も少なく、しかも太陽電池パネルを強固に固定でき、さらにはボルト緩みもなく、したがってその補修が必要でないか、あるいは補修頻度を格段に少なくできる太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、太陽電池パネルの取付け構造であって、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする太陽光発電装置の太陽電池パネル取付け構造を提供する。
【0013】
また、本発明は、太陽電池パネル取付け用の金具であって、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする太陽電池パネル取付け用の金具を提供する。
【0014】
本発明の太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具は構造が簡単であり、使用ボルトを格段に少なくできる。また、太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具によれば、太陽電池パネルを強固に固定でき、このためボルト緩みもなく、そのボルト緩みに起因する補修の必要も各段に少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、太陽電池パネルの取付け構造である。そして、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする。また、本発明は、太陽電池パネル取付け用の金具である。そして、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする。本金具はパネル配列の下、上、横にも使用する。
【0016】
図7は本発明の太陽電池パネル取付け用の金具30の態様を説明する斜視図で、その作製工程を図8に示している。なお、図7〜8中、同じ部分ないし同じ部材については同じ符号を用いている。まず、図8(c)において、31は底板、32、32は底板31に穿設した孔である。孔32、32は躯体11に対して取り付ける際にボルトを嵌挿するためのものである。
【0017】
34、34は側板である。側板34、34は、底板31から折り曲げ部33、33の箇所で底板31に対して直角に折り曲げることで形成される。36、36は、図8(b)に示す支持板37を当接し固定するための面である。面36、36は、側板34、34から折り曲げ部35、35の箇所で側板34、34に対して直角に折り曲げることで形成される。
【0018】
次に、図8(a)は支持板37、板状支柱39、支持板41からなる構成部材を形成する部材の態様を示す図である。図8(a)のとおり、支持板37の長手方向の中央部には、板状の支柱39が支持板37に対して直角に形成されている。板状支柱39の上部には支持板41が固定され、支持板41は支持板37と平行に固定される。そして、2枚の板体をそれぞれ折り曲げ部38、38で折り曲げる。その際、支持板37となる面に対して垂直に折り曲げる。
【0019】
折曲げられた垂直面、すなわち板状支柱39となる部分の上部を、それぞれ折り曲げ部40、40でさらに折り曲げる。その際、板状支柱39となる部分の面に対して、折り曲げ面41が垂直となるように折り曲げる。こうして左右対称に構成された両部材を図8(a)のように置き、そして図8(b)のように、対称に配置、当接して固定する。固定はその当接部分を溶接することで行うことができる。
【0020】
こうして図8(b)のように構成した、支持板37、板状支柱39、支持板41からなる構成部材を、図8(c)に示す、孔32、32を穿設した底板31、側板34、34、面36、36からなる構成部材に載置して当接、接合する。固定はその当接部分を溶接することで行うことができる。こうして図7に示す本発明の太陽電池パネル取付け用の金具が構成される。
【0021】
こうして図7に示す本発明の太陽電池パネル取付け用の金具が構成される。本発明の太陽電池パネル取付け用の金具は、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とするが、これを図7に示す構造ついて言えば以下のとおりとなる。
【0022】
図7における底板31と側板34、34と支持板37で構成される部分が、本発明の太陽電池パネル取付け用の金具における“断面矩形状の中空金具”に相当している。また、図7における支持板37の面が、本発明の太陽電池パネル取付け用の金具における“断面矩形状の中空金具の上面”に相当している。そして、図7における支持板37と板状支柱39と支持板41で形成された凹部(すなわち、板状支柱39の左右両側に形成された凹部)が、本発明の太陽電池パネル取付け用の金具における“該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部”に相当している。
【0023】
本発明の太陽電池パネルの取付け構造は、以上のように構成した太陽電池パネル取付け用の金具を用いて構成される。図9〜10はその態様を説明する図である。図9中、例えば順1〜3として示す順序で組み立てる。
【0024】
まず、順1として示すとおり、太陽電池パネルを固定しておき、それに向けて太陽電池パネル取付け用の金具を動かして、金具の右側の凹部を嵌合させる。太陽電池パネルを太陽電池パネル取付け用の金具の右側の凹部に差し込んでもよい。次いで、順2として示すとおり、その状態で、太陽電池パネル取付け用の金具を躯体11に取り付ける。その取り付けは、底板31に穿設した孔32にボルトを嵌挿して躯体11に対してネジ込むことで行う。その後、順3として示すとおり、太陽電池パネルを太陽電池パネル取付け用の金具の左側の凹部に差し込む。こうして、図10に示すように、本発明の太陽電池パネルの取付け構造が得られる。
【0025】
このように、本発明の太陽電池パネルの取付け構造及びそのための金具は構造が簡単であり、図2〜7に示すような従来の取付け構造では数多くの部材及びボルトが必要であるのに対して、一個の金具と二個のボルトにより二個の太陽電池パネルを固定することができる。これにより、太陽電池パネルを強固に固定でき、このためボルト緩みもなく、そのボルト緩みに起因する補修の必要も各段に少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】従来における太陽電池パネルの設置例の概略を示す図
【図2】従来の太陽電池パネルの取付け構造を示す図
【図3】従来の太陽電池パネルの取付け構造を示す図
【図4】従来の太陽電池パネルの取付け構造を示す図
【図5】従来の太陽電池パネルの取付け構造を示す図
【図6】従来の太陽電池パネルの取付け構造を示す図
【図7】本発明の太陽電池パネル取付け用の金具の態様を説明する斜視図
【図8】本発明の太陽電池パネル取付け用の金具の作製工程を示す図
【図9】本発明の太陽電池パネルの取付け構造を示す図
【図10】本発明の太陽電池パネルの取付け構造を示す図
【符号の説明】
【0027】
1 屋根
2 太陽電池パネル
3 パネルからの導線
4 接続箱
5 直流側開閉器
6 インバーター
11 垂木等の躯体
12 断面凹状のレール受け金具
13 複数の孔
14 ネジ孔
15 レール受け金具12の凹部に対応する断面矩形状のレール
16 レール15の孔
17 孔
18 太陽電池パネル押さえ金具
19 金具18の左右の水平袖部
20 ネジ孔
21 太陽電池パネルの枠
22 パネル押さえ板
30 本発明の太陽電池パネル取付け用の金具
31 底板
32 底板31に穿設した孔
33、35、38 折り曲げ部
34 側板
36 支持板37を当接し固定するための面
37 支持板
39 板状支柱
41 支持板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルの取付け構造であって、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする太陽光発電装置の太陽電池パネル取付け構造。
【請求項2】
太陽電池パネル取付け用の金具であって、断面矩形状の中空金具の上面に該中空金具の長手方向中央部に太陽電池パネルの端部厚さに対応する嵌合凹部を設けてなることを特徴とする太陽電池パネル取付け用の金具。































【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−2445(P2006−2445A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180111(P2004−180111)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(594144902)株式会社フジ工業 (1)
【Fターム(参考)】