説明

太陽電池封止材用シート及び太陽電池モジュール

【課題】架橋処理が実質不要で、架橋のための加熱処理を要せずとも実用に適した接着性及び接着安定性並びに耐熱性を有する太陽電池封止材用シートを提供する。
【解決手段】融点が90℃以上の、エチレン由来の構成単位を含む1a〜5aから選択されるエチレン系共重合体と、グリシジル(メタ)アクリレート(G(M)A)由来の構成単位の割合が2〜30質量%である1b〜3bから選択されるエチレン系共重合体とを含む太陽電池封止材用シート〔1a:エチレン・酢酸ビニル(VA)共重合体、2a:エチレン・アクリル酸エステル共重合体、3a:高圧法低密度ポリエチレン、4a:エチレン・α−オレフィン系共重合体、5a:下記1b以外のエチレン・G(M)A共重合体、1b:エチレン・G(M)A共重合体、2b:エチレン・VA・G(M)A共重合体、3b:エチレン・アクリル酸エステル・G(M)A共重合体〕である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールにおける太陽電池素子を固定するための太陽電池封止材用シート、及び太陽電池封止材用シートを用いた太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題の高まりを背景に、クリーンなエネルギーとして水力発電、風力発電、並びに太陽光発電が脚光を浴びている。このうち、太陽光発電は、太陽電池モジュールの発電効率等の性能向上が著しい一方、価格の低下が進んだこと、国や自治体が住宅用太陽光発電システム導入促進事業を進めてきたことから、ここ数年その普及が著しく進んでいる。
【0003】
太陽光発電は、シリコンセル等の半導体(太陽電池素子)を用いて太陽光エネルギーを直接電気エネルギーに変換するが、ここで用いられている太陽電池素子は直接外気と接触するとその機能が低下するため、太陽電池素子を封止材ないし保護膜で挟み、緩衝とともに、異物の混入や水分等の侵入を防いでいる。また、太陽光を効率よく太陽電池素子に与えるためには封止材ないし保護膜の透明性が求められる
【0004】
このような要求から、例えば、太陽電池封止材用のシートの透明性、太陽電池封止材用のシートと太陽電池モジュールを構成する各種部材との接着性、及びシート外観を向上することを目的として、酢酸ビニル含有量が20〜40質量%のエチレン・酢酸ビニル共重合体を主ポリマーとし、副ポリマーとしてエチレンと酢酸ビニルとグリシジル(メタ)アクリレートを用いた共重合体と、有機過酸化物とを含有する太陽電池モジュール用保護シートが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、太陽電池封止材用のシートを自然環境下で長期使用したときの耐熱性、耐久性を向上するために、一般に用いられるエチレン・酢酸ビニル共重合体に代えて、不飽和カルボン酸エステルを含む共重合体を含有する配合物を成形して太陽電池モジュール用保護シートとすることも開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−325531号公報
【特許文献2】特開平4−311732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のエチレン・酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニルの割合が多くなると透明性や接着性は高まる傾向を示すが、一方で透湿性が高くなる性質がある。そのため、太陽光が入射する側に配置される上部透明保護材やバックシート等の種類、接着条件、太陽電池の使用環境等によっては、かえって上部透明保護材やバックシートに対する接着性が低下することがある。この透湿による問題点を解決するために、湿度バリア性の高いバックシートを使用したり、あるいはモジュール周囲を湿度バリア性の高いブチルゴム等でシーリング(封止)する等して防湿に努めている。そのため、防湿性のより高い太陽電池封止材用シートが提供されれば、これらの防湿対策は軽減され、更なる長期耐久性が期待できる。
【0008】
また、上記した特許文献1のエチレン・酢酸ビニル共重合体を含有する太陽電池モジュール用保護シート、及び、特許文献2の不飽和カルボン酸エステルを含む共重合体を含有する太陽電池モジュール用保護シートは、いずれも、架橋作用をする有機過酸化物を含有し、架橋工程が必要である。そのため、太陽電池モジュールを製造する際に時間がかかり、生産性の面で改善が求められている。生産性を改善するには、架橋時間を短縮するか、あるいは架橋工程を実質必要としないシート形態とすることが考えられる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。即ち、
本発明は、架橋処理が実質不要で、架橋のための加熱処理を要せずとも実用に適した接着性及び接着安定性(特にポリエステルなどの樹脂製のバックシートに対する接着性)、並びに耐熱性を有する太陽電池封止材用シートを提供することを目的とする。また、
本発明は、従来に比べ電池性能がより安定で耐久性に優れ、より生産性の高い太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)融点が90℃以上の、エチレン由来の構成単位を含む下記(1a)〜(5a)からなる群より選択されるエチレン系共重合体の少なくとも1種と、(B)グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%〜30質量%である下記(1b)〜(3b)からなる群より選択されるエチレン系共重合体の少なくとも1種とを含有する太陽電池封止材用シートである。
[エチレン系共重合体(A)]
(1a)酢酸ビニルに由来の構成単位の含有割合が15質量%以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(2a)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合が15質量%以下のエチレン・アクリル酸エステル共重合体
(3a)高圧法低密度ポリエチレン
(4a)密度が0.895g/cm以上のエチレン・α−オレフィン系共重合体
(5a)下記エチレン系共重合体(B)の(1b)以外のエチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
[エチレン系共重合体(B)]
(1b)エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
(2b)酢酸ビニルに由来の構成単位の含有割合が30質量%以下のエチレン・酢酸ビニル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
(3b)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合が30質量%以下のエチレン・アクリル酸エステル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
【0011】
<2> 前記(A)エチレン系共重合体、および前記(B)エチレン系共重合体は、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が0.1g/10分〜50g/10分である前記<1>に記載の太陽電池封止材用シートである。
【0012】
<3> さらに、(C)少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合して得られる共重合体およびその変性ならびにその縮合体、並びに(D)シランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する前記<1>または前記<2>に記載の太陽電池封止材用シートである。
【0013】
<4> 前記(C)共重合体は、更に、酢酸ビニルおよびアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種に由来の構成単位を有する前記<3>に記載の太陽電池封止材用シートである。
【0014】
<5> 前記(C)共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物が、アミノ基またはエポキシ基を有する前記<3>に記載の太陽電池封止材用シートである。
【0015】
<6> 少なくとも、太陽光が入射する基板と、太陽電池素子と、前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の太陽電池封止材用シートとを備えた太陽電池モジュールである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、架橋処理が実質不要で、架橋のための加熱処理を要せずとも実用に適した接着性及び接着安定性(特にポリエステルなどの樹脂製のバックシートに対する接着性)、並びに耐熱性を有する太陽電池封止材用シートを提供することができる。また、従来に比べ電池性能がより安定で耐久性に優れ、より生産性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の太陽電池封止材用シート及びこれを備えた太陽電池モジュールについて詳細に説明する。
【0018】
本発明の太陽電池封止材用シートは、(A)融点が90℃以上の、エチレン由来の構成単位を含むエチレン系重合体であって後述する特定の重合体(1a〜5a)から選ばれる少なくとも1種(エチレン系共重合体(A);以下A成分ともいう。)と、(B)グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%〜30質量%であるエチレン系共重合体であって後述する特定の重合体(1b〜3b)から選ばれる少なくとも1種(エチレン系共重合体(B);以下B成分ともいう。)とを含有する。
太陽電池封止材用シートを上記構成とすることで、従来使用されてきたエチレン・酢酸ビニル系の共重合体からなる太陽電池封止材用シートに比較して、接着性、および、接着安定性が向上し、特にポリエステル等の樹脂製の保護材であるバックシートに対して改良されるとともに、従来のエチレン・酢酸ビニル系の共重合体からなる太陽電池封止材用シートのように耐熱性を付与するために架橋を行なう必要が無く、より短時間で太陽電池モジュールを生産することができる。
【0019】
−(A)成分−
本発明の太陽電池封止材用シートを構成する(A)成分である、90℃以上の融点を持つエチレン系共重合体としては、(1a)エチレン・酢酸ビニル共重合体、(2a)エチレン・アクリル酸エステル共重合体、(3a)高圧法低密度ポリエチレン、(4a)エチレン・α−オレフィン系共重合体から選ばれる。また、(A)成分は、グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位を含有するエチレン系共重合体であってもよいが、グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%〜30質量%のエチレン系共重合体は、「(B)エチレン系共重合体」に相当し、(A)成分には含まれない。
上述のように、エチレン系共重合体(A)には、エチレン系共重合体(B)で規定するエチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(1b)以外のエチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体(5a)を使用可能である。
【0020】
具体的には、(A)エチレン系共重合体には、融点が90℃以上であって、グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%未満であるエチレン系共重合体及びグリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が30質量%を超えるエチレン系共重合体が包含されるが、太陽電池封止材用シートの接着性、透明性、及び柔軟性の観点から、グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が30質量%を超えるエチレン系共重合体は用いないことが好ましい。
【0021】
(A)成分における「エチレン系共重合体」とは、エチレンに由来する構成単位が主成分であることをいう。さらに、ここでの「主成分」とは、全構成単位に対して「エチレン由来の構成単位」の占める割合が85質量%以上であることをいい、好ましくは88質量%以上である。このとき、エチレン系共重合体は、エチレン以外の他のモノマー単位(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステルなど)を更に含むことができる。
【0022】
(A)成分における前記エチレン・酢酸ビニル共重合体(1a)としては、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合が15質量%以下のものである。エチレン・酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合を15質量%以下とすることで、太陽電池封止材用シートの透湿性を抑制することができ、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合はより少ないことが好ましい。具体的には、酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合が、14質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましい。酢酸ビニル由来の構成単位の含有割合の下限値は5質量%を超える量が好ましい。
一方、(A)成分における前記エチレン・酢酸ビニル共重合体中のエチレンに由来の構成単位の含有割合は99質量%〜85質量%であることが好ましく、99質量%〜88質量%であることがより好ましい。エチレンに由来の構成単位の含有割合が上記範囲内であると、共重合体の耐熱性が良好である。
以下、「酢酸ビニル」をVA、「酢酸ビニルに由来する構成単位の含有割合」をVA含量と略記することもある。
【0023】
なお、(A)成分におけるエチレン・酢酸ビニル共重合体のうち、酢酸ビニル由来の構成単位の含有割合が少ないもの(通常、5質量%以下)は、高圧法低密度ポリエチレン(3a)として取り扱われているものがある。このように、本発明における低密度ポリエチレンにおいて、「ポリエチレン」には、エチレンのホモポリマーのみならず、エチレンに由来の構成単位を含有する共重合体を含む。
【0024】
(A)成分における前記エチレン・アクリル酸エステル共重合体(2a)としては、アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有割合が15質量%以下のものである。エチレン・アクリル酸エステル共重合体中のアクリル酸エステルに由来する構成単位の含有割合を15質量%以下とすることで、太陽電池封止材用シートの透湿性を抑制することができ、アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有割合はより少ないことが好ましい。具体的には、アクリル酸エステルに由来する構成単位の含有割合が、14質量%以下であることがより好ましく、12質量%以下であることがさらに好ましい。アクリル酸エステル由来の構成単位の含有割合の下限値は1質量%が好ましい。
一方、エチレン・アクリル酸エステル共重合体のうち、エチレンに由来する構成単位の含有割合は、99質量%〜85質量%であることが好ましく、99質量%〜88質量%であることがより好ましい。エチレンから導かれる構成単位が上記範囲内であると、共重合体の耐熱性が良好である。
【0025】
前記エチレン・アクリル酸エステル共重合体(2a)を構成するアクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、及びメタクリル酸イソブチル等の(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
【0026】
エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、高圧法低密度ポリエチレンはいずれも、従来公知の方法である高圧法のオートクレーブ法あるいはチューブラー法で製造してもよい。
【0027】
(A)成分における前記エチレン・α−オレフィン共重合体(4a)としては、該共重合体を構成する全構成単位(単量体単位)の含有量を100モル%としたとき、炭素数3〜20のα−オレフィンに由来する構成単位の含有割合が、5モル%以上であることが好ましい。より好ましくは10モル%以上である。前記α−オレフィン由来の構成単位の含有割合が前記範囲内であると、太陽電池封止材用シートの透明性、耐ブリード性が良好である。特に、太陽電池封止材用シートの柔軟性を考慮すると、前記α−オレフィン由来の構成単位の含有割合が15モル%以上の重合体を使用するのが好ましい。上限については、50モル%未満、好ましくは40モル%以下、特に好ましくは30モル%以下である。
【0028】
前記炭素数3〜20のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ナノデセン、1−エイコセン等の直鎖状のα−オレフィン;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、2−エチル−1−ヘキセン、2,2,4−トリメチル−1−ペンテン等の分岐状のα−オレフィンなどが例示され、これらは2種類を組み合わせて使用することもできる。
【0029】
中でも、前記α−オレフィンの炭素数は、汎用性(コストや量産性あるいは入手のしやすさ)の点で、3〜10が好ましく、更には3〜8が好ましい。
【0030】
エチレン・α−オレフィン共重合体としては、好ましくは、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体であり、いずれのエチレン・α−オレフィン共重合体も、エチレン由来の構成単位含量が50モル%以上であることを意味する。
【0031】
これらの共重合体において、α−オレフィン由来の構成単位の割合は、各共重合体を構成する全構成単位(単量体単位)の量を100モル%としたとき、好ましくは5モル%以上であり、より好ましくは10モル%以上である。
太陽電池封止用シートにおいて、前記エチレン・α−オレフィン系共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0032】
上記のような性状のエチレン・α−オレフィン系共重合体(4a)は、メタロセン系触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等で製造できる。該触媒としては、例えば、特開昭58−19309号公報、特開昭60−35005号公報、特開昭60−35006号公報、特開昭60−35007号公報、特開昭60−35008号公報、特開昭61−130314号公報、特開平3−163088号公報、特開平4−268307号公報、特開平9−12790号公報、特開平9−87313号公報、特開平10−508055号公報、特開平11−80233号公報、特表平10−508055号公報などに記載のメタロセン系触媒を例示することができる。また、メタロセン触媒を用いた製造方法の特に好ましい例として、欧州特許出願公開第1211287号明細書の方法を例示することができる。
エチレン・α−オレフィン系共重合体は、メタロセン系触媒だけでなく、可溶性バナジウム化合物と有機アルミニウムハライドとからなるバナジウム系触媒、あるいはシクロペンタジエニル基等が配位したジルコニウム化合物等のメタロセン化合物と有機アルミニウムオキシ化合物とからなるメタロセン系触媒の存在下に、エチレン及びその他α−オレフィン類を共重合させることによって製造することもできる。
【0033】
上記のような製造法で製造されたエチレン・α―オレフィン共重合体は、実質直鎖状で剛直である。
【0034】
前記(A)成分としてエチレン・α−オレフィン共重合体(4a)を用いる場合、エチレン・α−オレフィン共重合体(4a)の密度は0.895g/cm以上である。エチレン・α−オレフィン共重合体の密度が0.895g/cm以上であることにより、耐熱性が良好となり、本発明の太陽電池封止材用シートが太陽電池モジュールに組み込まれて使用されたときに、厳しい外部環境下でも封止材料として機能を維持できる。更に好ましいエチレン・α−オレフィン共重合体の態様は、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒で製造された密度が0.895g/cm以上の直鎖状の超低密度又は低密度のポリエチレンである。「超低密度」及び「低密度」には種々の定義が知られているが、ここでは「超低密度は0.895g/cm以上、0.910g/cm未満」、「低密度は0.910g/cm以上、0.930g/cm以下」であることをいう。(A)成分としてのエチレン・α−オレフィン共重合体が超低密度又は低密度のポリエチレンであることで、耐熱性のほか接着性も良好となる。そのため、前記エチレン・α−オレフィン共重合体を含む太陽電池封止材用シートが太陽電池モジュールに組み込まれて使用された際の、該太陽電池封止材用シートと基板やバックシート或いは太陽電池アレイとの接着が良好で、かつ、厳しい外部環境下での使用に耐え得る。
【0035】
上記のエチレン系共重合体の中でも、(A)エチレン系共重合体は、太陽電池封止材用シートの透湿性をより抑える点で少なくとも1種が、酢酸ビニルに由来の構成単位の含有割合が15質量%以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体(1a)、または、アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合が15質量%以下のエチレン・アクリル酸エステル共重合体(2a)であることが好ましい。
また別には、前記(A)成分は、太陽電池モジュールの構成部材であるガラスやポリエステルシートとの接着性を高める点で、エチレン・酢酸ビニル共重合体(1a)又はエチレン・アクリル酸エステル共重合体(2a)がより好ましい。
【0036】
(A)エチレン系共重合体は、融点が90℃以上である。融点が90℃未満であると、シートの耐熱性が不充分となる。融点は、上記同様の理由から、94℃以上が好ましい。上限値は、120℃が望ましい。
本発明における各共重合体の融点は、DSC(示差走査熱量測定)により測定される値である。
【0037】
(A)成分であるエチレン系共重合体は、前述した(1a)〜(5a)から選ばれる1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(A)エチレン系共重合体の太陽電池封止材用シート中における含有量としては、シート全質量に対して、40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。エチレン系共重合体の含有量が前記範囲内であることにより、シートの耐熱性をより高めることができる。
【0038】
−(B)成分−
本発明の太陽電池封止材用シートを構成する(B)成分としてのエチレン系共重合体(エチレン系共重合体(B))は、グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%〜30質量%(好ましくは3質量%〜25質量%)である、(1b)エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、(2b)エチレン・酢酸ビニル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、および(3b)エチレン・アクリル酸エステル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体から選ばれる。
【0039】
グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%未満であると、太陽電池封止材用シートと太陽電池モジュール構成部材(太陽電池素子や基板等)との接着性が不十分となり、また30質量%を超えると架橋性が高くなり過ぎて接着性に劣り、加えて太陽電池封止材用シートの透明性と柔軟性も不足する。
【0040】
なお、「グリシジル(メタ)アクリレート」とは、グリシジルメタクリレート及びグリシジルアクリレートの少なくとも一方を表す。以下、「グリシジルメタクリレート」をGMA、「グリシジルメタクリレートに由来する構成単位の含有割合」をGMA含量と略記することがある。
【0041】
また、エチレン系共重合体(B)は、グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%〜30質量%であれば、特に制限されず、融点が90℃以上であるエチレン系共重合体も包含される。
【0042】
(B)成分における「エチレン系共重合体」とは、エチレンに由来する構成単位が主成分であることをいう。さらに、ここでの「主成分」とは、全構成単位に対して「エチレン由来の構成単位」の占める割合が70質量%以上であることをいい、好ましくは80質量%以上である。このとき、エチレン系共重合体は、エチレン以外の他のモノマー単位(例えば、酢酸ビニル、アクリル酸エステルなど)を更に含むことができる。
具体的には、エチレンに由来の構成単位と、グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位とを含有する共重合体のほか、この2つの構成単位のほかに、さらに酢酸ビルに由来の構成単位及びアクリル酸エステルに由来の構成単位の少なくとも一方を含有する共重合体が挙げられる。
【0043】
前記エチレン系共重合体(B)の少なくとも1種は、(1b)エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、(2b)酢酸ビニルに由来の構成単位の含有割合が30質量%以下のエチレン・酢酸ビニル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、および、(3b)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合が30質量%以下のエチレン・アクリル酸エステル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体からなる群より選択される。
前記(2b)及び(3b)の各共重合体において、酢酸ビニルに由来の構成単位またはアクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合が、それぞれ30質量%以下であることで、太陽電池封止材用シートの透湿性を抑えることができる。
【0044】
エチレン系共重合体(B)は、前述の(1b)から(3b)から選ばれる1種を単独で又は共重合比等の異なる2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
エチレン系共重合体(B)の太陽電池封止材用シート中における含有量としては、シート全質量に対して、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。(B)エチレン系共重合体の含有量が前記範囲内であることにより、透明性、柔軟性及び加工性を与え、接着性及び接着安定性(特に、ポリエステルなどの樹脂製の保護材、例えばバックシートに対する接着性)を良化することができる。
【0046】
本発明の太陽電池用封止材シートを構成する前記(A)成分及び前記(B)成分はいずれも、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重;以下、MFRと略記することがある。)が0.1g/10分〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。更には、0.5g/10分〜30g/10分の範囲にあることが好ましく、特には1g/10分〜20g/10分の範囲が好ましい。この範囲内の共重合体を選ぶことで、太陽電池封止材用シートとして求められるシートへの加工性が容易となり、所望のシートを得ることができる。これより、太陽電池モジュールを作製したときに、良好な接着性、不要なハミダシの抑制効果が得られる。
【0047】
本発明の太陽電池封止材用シートは、前記(A)成分及び(B)成分のほかに、更に、(C)少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合して得られる共重合体およびその変性ならびにその縮合体(以下(C)成分ともいう)、並びに(D)シランカップリング剤(以下(D)成分ともいう)からなる群より選択される少なくとも1種を含有していてもよい。
【0048】
前記(C)成分は、共重合体の構成単位として、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを含み、さらに、必要に応じて、他の構成単位を含んでいてもよい。また、(C)成分は、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合して得られる共重合体((C)共重合体)と、該(C)共重合体の変性と、該(C)共重合体の縮合体とからなる群より選択される少なくとも1種である。
【0049】
このようなα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体または変性ないし縮合物としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならばその他の構成単位とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500kg/cm〜4000kg/cm、温度100℃〜400℃の条件下で、ラジカル重合開始剤および必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的にランダム共重合したものを挙げることができる。
【0050】
また、このようなα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体または変性ないし縮合物としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならばその他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、ラジカル重合開始剤および必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的に重合し、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物、あるいは、その初期縮合物ないし縮合体の1種ないし2種以上グラフト共重合したものを挙げることができる。
【0051】
(C)共重合体におけるα−オレフィンとしては、エチレンの他、エチレン系共重合体(A)の説明において記載した炭素数3〜20のα−オレフィンを用いることができる。
なかでも、(C)共重合体におけるα−オレフィンとしては、耐ブリード性、加工性、コストの点から、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプタン、1−オクテン、1−ノネン、および1−デセンであることが好ましく、エチレン、プロピレン、及び1−ブテンがより好ましい。
(C)共重合体におけるα−オレフィンは、単独種であっても、複数種であってもよい。
【0052】
(C)共重合体におけるエチレン性不飽和シラン化合物はとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリプトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランのようなビニルシラン、
【0053】
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルトリエトキシシラン、3−メチルトリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−メチルトリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルメチルジエトキシシランなどを挙げることができる。
【0054】
これらの中でもN−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノ基又はエポキシ基を有するアルコキシシラン、を挙げることができる。
【0055】
(C)共重合体におけるエチレン性不飽和シラン化合物は、単独種であっても、複数種であってもよい。
【0056】
エチレン性不飽和シラン化合物は、上記記載の化合物から選ばれるが、α−オレフィンとの反応性の点から、ビニルシランが好ましく使用され、上記列挙した中でも特にビニルトリメトキシシランが好ましい。
【0057】
(C)共重合体は、前記α−オレフィンと前記エチレン性不飽和シラン化合物以外に、酢酸ビニルおよびアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種に由来の構成単位を含有することが好ましい。中でも、エチレン性不飽和シラン化合物との反応性の点から、酢酸ビニルを用いることが好ましい。
この場合、エチレン性不飽和シラン化合物としては、アミノ基またはエポキシ基を有することが好ましく、上記列挙した中でも、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルジメトキシシラン、及び2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシランがより好ましい。
【0058】
(C)共重合体の変性ないし縮合させる方法としては、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属カルボン酸塩、チタン酸のエステルおよびキレート化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、および、有機酸等のシラノール縮合触媒を使用し、(C)共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより変性ないし縮合体を製造することができる。
【0059】
(C)成分の太陽電池封止材用シート中における含有量としては、接着性向上効果及びシート成形時の加工安定性の観点から、前記(A)成分及び前記(B)成分の合計量100質量部に対し、15質量部以下、好ましくは0.03質量部〜14質量部、特に好ましくは0.1質量部〜12質量部の割合で配合される。(C)成分が上記範囲で含まれていると、太陽電池封止材用シートと保護材又は太陽電池素子等との接着性が向上して好ましい。
【0060】
また、(D)成分であるシランカップリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。
中でも、(D)シランカップリング剤としては、接着性を高め、ガラス等の基板やバックシート等の保護材との接着加工を安定して行なう点で、アミノ基を含有するアルコキシシランが好ましい。
【0061】
アミノ基を含有するアルコキシシランとしては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシキシシランなどのアミノートリアルコキシシラン類、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロプルメチルジエトキシシラン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなどのアミノージアルコキシシラン類などを挙げることができる。
【0062】
これらの中でも、接着性の点で、3−アミノプロピルトリメトキシキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどが好ましい。特には、3−アミノプロピルトリメトキシキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシランが好ましい。
【0063】
トリアルコキシシランを用いた場合には、より接着性を向上できるので好ましい。ジアルコキシシランを用いた場合には、シート成形時の加工安定性を維持することができるので好ましい。
【0064】
前記アルコキシシランは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
(D)シランカップリング剤の太陽電池封止材用シート中における含有量としては、接着性向上効果及びシート成形時の加工安定性の観点から、前記(A)成分及び前記(B)成分の合計量100質量部に対し、3質量部以下、好ましくは0.03〜3質量部、特に好ましくは0.05〜1.5質量部の割合で配合される。シランカップリング剤が上記範囲で含まれていると、太陽電池封止材用シートと保護材又は太陽電池素子等との接着性が向上して好ましい。
【0066】
また、紫外線に曝されることによるシートの劣化を防ぐために、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の中に、紫外線吸収剤、光安定剤、及び酸化防止剤などを含有させるのが好ましい。
【0067】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2−カルボキシベンゾフェノン、及び2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジt−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、及び2−(2’−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系;フェニルサリチレート及びp−オクチルフェニルサリチレートなどのサリチル酸エステル系のものが挙げられる。
前記光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系のものが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、各種ヒンダードフェノール系やホスファイト系のものが挙げられる。
【0068】
酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤は、前記(A)成分及び前記(B)成分の合計量100質量部に対し、各々通常は5質量部以下、好ましくは0.1質量部〜3質量部の量で含有させることができる。
【0069】
また、太陽電池封止材用シートには、必要に応じて、着色剤、光拡散剤、及び難燃剤などの添加剤を含有させることができる。
前記着色剤としては、顔料、無機化合物及び染料等が挙げられ、特に白色の着色剤として、酸化チタン、酸化亜鉛及び炭酸カルシウムが挙げられる。
前記光拡散剤としては、無機系の球状物質としてガラスビーズ、シリカビーズ、シリコンアルコキシドビーズ、中空ガラスビーズなどが挙げられ、また、有機系の球状物質としてアクリル系やビニルベンゼン系などのプラスチックビーズなどが挙げられる。
前記難燃剤としては、臭素化物などのハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、シリコーン系難燃剤、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水和物などが挙げられる。
これらの添加剤を含有するシートを太陽電池素子の太陽光を受光する受光側の封止材として用いる場合、透明性を損なう場合があるが、太陽電池素子の受光側と反対面の封止材として用いる場合には好適に用いられる。
【0070】
本発明において、太陽電池封止材用シートの総厚みは、0.05mm〜2mmの範囲が好ましい。すなわち、シートの総厚みは、0.05mm以上であると、衝撃等による太陽電池素子の破損が抑えられ、2mm以下であると、シートが透明性を有し、太陽光の受光量が保て、出力を高く維持することができる。
【0071】
本発明の太陽電池封止材用シートの成形は、T−ダイ押出機、カレンダー成形機、インフレーション成形機などを使用する公知の方法によって行なうことができる。
例えば、上記の(A)〜(D)成分、並びに、酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤等の添加剤を予めドライブレンドして押出機のホッパーから供給し、シート状に押出成形することによって得ることができる。
また、予め(A)成分及び(B)成分をメルトブレンドしてから、(C)成分および(D)成分の少なくとも一方並びに酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤等の添加剤とドライブレンドして押出機のホッパーから供給し、シート状に押出成形することによって得ることができる。
更に別の手段として、(C)成分、並びに酸化防止剤、光安定剤、及び紫外線吸収剤等の添加剤を予めマスターバッチにして添加することも可能である。
加工温度は120℃から250℃の範囲で用いる成分の加工性に合わせて選択することができる。
【0072】
〔太陽電池モジュール〕
本発明の太陽電池モジュールは、少なくとも、太陽光が入射する基板と、太陽電池素子と、本発明の太陽電池封止材用シートとを備える。本発明の太陽電池モジュールは、必要に応じて、更に保護材を備えていてもよい。なお、太陽光が入射する基板を、単に、基板と称することもある。
本発明の太陽電池モジュールは、前記基板上に、本発明の太陽電池封止材用シートにより封止された太陽電池素子を固定することで、製作することができる。
【0073】
このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。例えば、基板/封止材用シート/太陽電池素子/封止材用シート/保護材のように太陽電池素子の両側から封止材用シートで挟む構成のもの、ガラスなどの基板の表面上に予め形成された太陽電池素子を、基板/太陽電池素子/封止材用シート/保護材のように構成するもの、基板の内周面上に形成された太陽電池素子、例えばフッ素樹脂系シート上にアモルファス太陽電池素子をスパッタリング等で作製したものの上に封止材用シートと保護材を形成させるような構成のものなどを挙げることができる。
なお、前記保護材は、太陽光が入射する基板を太陽電池モジュールの上部としたとき、太陽電池モジュールの基板側とは反対側、すなわち下部に備えられるため、下部保護材と称することもある。
【0074】
太陽電池素子としては、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコンなどのシリコン系、ガリウム−砒素、銅−インジウム−セレン、銅−インジウム−ガリウム−セレン、カドミウム−テルルなどのIII−V族やII−VI族化合物半導体系等の各種太陽電池素子を用いることができる。本発明の封止材用シートは、特にアモルファスシリコン太陽電池素子の封止に有用である。
【0075】
太陽電池モジュールを構成する基板としては、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などを例示することができる。
保護材(下部保護材)としては、金属や各種熱可塑性樹脂フィルムなどの単体もしくは多層のシートであり、例えば、錫、アルミ、ステンレススチールなどの金属、ガラス等の無機材料、ポリエステル、無機物蒸着ポリエステル、フッ素含有樹脂、ポリオレフィンなどの1層もしくは多層のシートを例示することができる。本発明の太陽電池封止材用シートは、これらの基板または保護材に対して良好な接着性を示す。
【0076】
本発明の太陽電池封止材用シートを用いて、前記のような太陽電池素子、基板、及び保護材とともに積層接着する際には、従来のエチレン・酢酸ビニル共重合体系で行なわれていた長時間にわたる加圧加熱による架橋工程を施されなくても、実用に耐えうる接着強度及び接着強度の長期安定性を付与することができる。但し、より強固な接着強度や接着強度安定性を付与する観点では、短時間の加圧加熱処理を施しておくことが推奨される。
【実施例】
【0077】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0078】
太陽電池封止材用シートの作製に用いた成分の詳細は以下の通りである。
<(A)成分>
(A−1)エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体:密度 0.903g/cm
(A−2)エチレン・α−オレフィン共重合体:密度 0.902g/cm
(A−3)エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体:密度0.902g/cm
(A−4)エチレン・ブテンランダム共重合体: 密度 0.900g/cm
(A−5)エチレン・酢酸ビニルランダム共重合体(EVA):VA含量10質量%
(A−6)エチレン・酢酸ビニルランダム共重合体(EVA):VA含量28質量%
【0079】
前記A−1〜A−6の物性を、表1に示す。なお、表1において、融点はJIS K7121の定めるDSCで測定し、単位は〔℃〕であり、密度はJIS K7112で定める方法で測定し、単位は〔g/cm〕であり、MFRはJIS K7210で定める方法で190℃、荷重2160gの条件で測定し、単位は〔g/10分〕である。VA含量の単位は〔質量%〕であり、各共重合体中の含有量である。
【0080】
【表1】



【0081】
<(B)成分>
(B−1)
エチレン・グリシジルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体(EGMAVA)
住友化学(株)製、ボンドファースト 7B
(B−2)
エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)
住友化学(株)製、ボンドファースト E
【0082】
前記B−1及びB−2の物性を、表2に示す。なお、表2において、融点の単位は〔℃〕であり、密度の単位は〔g/cm〕であり、MFRの単位は〔g/10分〕である。GMA含量、及びVA含量の単位は〔質量%〕であり、いずれも各共重合体中の含有量である。
【0083】
【表2】



【0084】
<(C)成分>
(C−1)
(A−4)100質量部と、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、遊離ラジカル発生剤(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)0.1質量部とを混合し、溶融温度220℃にて単軸押出機にてグラフト共重合させてシラン変性したシラン変性エチレン・α−オレフィン共重合体。
(C−2)
(A−5)100質量部と、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、遊離ラジカル発生剤(2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン)0.1質量部とを混合し、溶融温度220℃にて単軸押出機にてグラフト共重合させてシラン変性したシラン変性EVA共重合体。
【0085】
<(D)成分>
(D−1)シランカップリング剤:
N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルジメトキシシラン
(D−2)シランカップリング剤:
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
<(E)各種添加剤>
(E−1)紫外線吸収剤:UVINUL3039 BASF社製
(E−2)耐光安定剤:UVINUL5050H BASF社製
(E−3)酸化防止剤:イルガノクス1010 チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
【0086】
<(F)架橋剤>
(F−1)架橋剤:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
(F−2)架橋剤:t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート
【0087】
〔実施例1〕
(A−1)90質量部、(B−1)10質量部を、予め加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。
次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
【0088】
(評価)
得られた封止材用シート、下記基板、及び下記バックシート(保護材)、並びに下記貼り合わせ機を用い、下記(1)〜(3)の方法によりガラス接着強度、PET接着強度、及び耐熱性の評価を行なった。評価結果は、下記表3に示す。
【0089】
<基板>
材質 青色ガラス
厚み 3.2mm
サイズ 7.5cm×12cm
【0090】
<バックシート(保護材)>
材質 PET(ポリエチレンテレフタレート)
厚み 100μm
なお、PETフィルムの片面はコロナ処理した。
【0091】
<貼り合わせ装置>
NPC社製、LM−50x50S
【0092】
−(1)ガラス接着強度−
T−ダイ成形機を用いて作製した封止材用シートを、ガラス上に載せて、その上にコロナ処理面が封止材用シートと接触するようPETフィルムを載せ、貼り合わせ装置で150℃×6分で貼り合わせ、試料構成が、「基板(ガラス)/封止材用シート/バックシート(PET)」の試料を得た。ガラスに対する封止材用シートの接着力の評価は、15mm幅短冊、引張速度100mm/分の条件で、封止用樹脂層/PET構成端を、ガラス面に対して垂直な方向に引っ張ることにより行なった。
なお、接着強度が10N/15mm以上、特に15N/15mmであると、接着性が良好であることを示す。
【0093】
−(2)バックシート(PET)接着強度−
T−ダイ成形機を用いて作製した封止材用シートを、ガラス上に載せ、さらにこの封止材用シート上に、バックシート(PET)を載せて、貼り合わせ装置にて150℃で6分間、貼り合わせた。バックシート1は、コロナ処理が施された面を封止材用シートに貼り合わせた。試料構成は、「基板(ガラス)/封止材用シート/バックシート(PET)」である。
バックシートに対する封止材用シートの接着力の評価は、15mm幅短冊、引張速度100mm/分の条件でバックシート端を封止材用シート/ガラス面に垂直な方向に引っ張ることにより行なった。
なお、接着強度が15N/15mm以上であると接着性が良好なことを示す。
【0094】
−(3)耐熱性−
T−ダイ成形機を用いて作製した封止材用シートに黒マジックにて碁盤目を記入したシートを用い、ガラス上に封止材用シート、厚み400μm、封止材用シート、及びバックシート(PET)の順で載せて、貼り合わせ装置にて150℃で6分間、貼り合わせた。試料構成は、「基板(ガラス)/封止材用シート/バックシート(PET)」である。
得られた試料の碁盤目の歪み、および、エッジからの封止材のはみ出しの有無を目視で確認した。
【0095】
〔実施例2〕
(A−1)80質量部、(B−1)20質量部を、予め加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0096】
〔実施例3〕
(A−2)80質量部、(B−1)20質量部を、加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0097】
〔実施例4〕
(A−3)80質量部、(B−1)20質量部を、加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0098】
〔実施例5〕
(A−5)80質量部、(B−1)20質量部を、加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0099】
〔実施例6〕
(A−1)80質量部、(B−2)20質量部を、加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0100】
〔実施例7〕
(A−1)80質量部、(B−1)10質量部、(C−1)10質量部 を、加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0101】
〔実施例8〕
(A−1)80質量部、(B−1)10質量部、(C−2)10質量部 を、加工温度150℃でメルトブレンド(40mmφ単軸押出機、L/D=28、先端ダルメージスクリュー、40rpm)した。次いで、紫外線吸収剤(E−1)0.12質量部、耐光安定剤(E−2)0.06質量部、酸化防止剤(E−3)0.03質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度140℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0102】
〔比較例1〕
(A−6)100質量部、(D−1)0.2質量部、架橋剤(F−1)0.1質量部、架橋剤(F−2)0.2質量部、紫外線吸収剤(E−1)0.3質量部、耐光安定剤(E−2)0.1質量部、酸化防止剤(E−3)0.02質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度100℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用いて、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0103】
〔比較例2〕
(A−6)100質量部、(D−2)0.2質量部、架橋剤(F−1)0.1質量部、架橋剤(F−2)0.2質量部、紫外線吸収剤(E−1)0.3質量部、耐光安定剤(E−2)0.1質量部、酸化防止剤(E−3)0.02質量部を配合した。この混合物を40mmφ単軸T−ダイ成形機を用いて、樹脂温度100℃にて0.4mm厚の封止材用シートを作製した。
この封止材用シートを用い、実施例1における貼り合わせ装置によるガラス、バックシート等との貼り合わせの後、さらに、オーブン中にて145℃で40分間のキュア(熱処理)を行なったこと以外は、実施例1と同様にして、ガラス接着、PET接着、及び耐熱性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0104】
下記表3において、融点の単位は〔℃〕であり、GMA含量の単位は〔質量%〕である。
【0105】
【表3】



【0106】
前記表3に示すように、各実施例では、封止材用シートは、ガラス及びバックシートとの間の接着性に優れており、耐熱性も良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)融点が90℃以上の、エチレン由来の構成単位を含む下記(1a)〜(5a)からなる群より選択されるエチレン系共重合体の少なくとも1種と、(B)グリシジル(メタ)アクリレートに由来の構成単位の含有割合が2質量%〜30質量%である下記(1b)〜(3b)からなる群より選択されるエチレン系共重合体の少なくとも1種とを含有する太陽電池封止材用シート。
[エチレン系共重合体(A)]
(1a)酢酸ビニルに由来の構成単位の含有割合が15質量%以下のエチレン・酢酸ビニル共重合体
(2a)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合が15質量%以下のエチレン・アクリル酸エステル共重合体
(3a)高圧法低密度ポリエチレン
(4a)密度が0.895g/cm以上のエチレン・α−オレフィン系共重合体
(5a)下記エチレン系共重合体(B)の(1b)以外のエチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
[エチレン系共重合体(B)]
(1b)エチレン・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
(2b)酢酸ビニルに由来の構成単位の含有割合が30質量%以下のエチレン・酢酸ビニル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
(3b)アクリル酸エステルに由来の構成単位の含有割合が30質量%以下のエチレン・アクリル酸エステル・グリシジル(メタ)アクリレート共重合体
【請求項2】
前記(A)エチレン系共重合体、および前記(B)エチレン系共重合体は、メルトフローレート(JIS K7210−1999、190℃、2160g荷重)が0.1g/10分〜50g/10分である請求項1に記載の太陽電池封止材用シート。
【請求項3】
さらに、(C)少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とを共重合して得られる共重合体およびその変性ならびにその縮合体、並びに(D)シランカップリング剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有する請求項1または請求項2に記載の太陽電池封止材用シート。
【請求項4】
前記(C)共重合体は、更に、酢酸ビニルおよびアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種に由来の構成単位を有する請求項3に記載の太陽電池封止材用シート。
【請求項5】
前記(C)共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物が、アミノ基またはエポキシ基を有する請求項3に記載の太陽電池封止材用シート。
【請求項6】
少なくとも、太陽光が入射する基板と、太陽電池素子と、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の太陽電池封止材用シートとを備えた太陽電池モジュール。

【公開番号】特開2011−108790(P2011−108790A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261189(P2009−261189)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(000174862)三井・デュポンポリケミカル株式会社 (174)
【Fターム(参考)】