説明

太陽電池用リード線の製造方法および太陽電池用リード線

【課題】位置決め精度高く太陽電池に接続できる太陽電池用リード線の提供。
【解決手段】第1の工程で、複数の横断面形状が円形の導線51を並列配置してなる集合導体52を形成する。第2の工程で、集合導体52の外周にはんだ層53を形成する。第2の工程では、テープ状はんだからなるはんだ層53を、集合導体52の上下面52bに積層させて、はんだ層53の外側から加熱することで、集合導体52とはんだ層53とを一体化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池用リード線に関し、特に、シリコン等からなる太陽電池パネル(ウェハ)に外部接続領域にはんだ接続されるリード線に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池用リード線(インターコネクタ)とは、太陽電池パネル(シリコン基板)と外部とを電気接続する線である。通常、隣接する一対の太陽電池パネルの一方の表面にある外部接続部位(銀メッキ領域)と、他方の裏面にある外部接続部位(銀メッキ領域)とは、当該太陽電池リード線により接続される。
【0003】
従来から、太陽電池用リード線は、横断面形状が平角状の導体を溶融はんだ槽に浸漬して引き上げることで、導体表面に溶融はんだを附着・凝固させて形成される(特許文献1、2、3参照)。以下、この製法を第1の従来例という。第1の従来例では、その形状が断面視タル型(はんだ層の幅方向中心部分の厚みが最も厚く端部に行くにつれて薄くなる形状)となる。これは溶融はんだの表面張力に起因して生じるはんだ形状の特徴である。
【0004】
第1の従来例で作製した太陽電池用リード線では、太陽電池パネルに接続する際に太陽電池用リード線が傾くために、リード線の位置決めを正確に行い難い、という不具合が生じる。
【0005】
このような不具合を解消するため、従来から、上記タル型のはんだ層を圧延処理することで平坦にする製法が開発されている(特許文献4、5参照)。以下、この製法を第2の従来例という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−021660号公報
【特許文献2】特開2002−263880号公報
【特許文献3】特開2010−095750号公報
【特許文献4】特開2010−016320号公報
【特許文献5】特開2010−027867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
いずれの従来例においても、平角状の導体を形成するのに、断面形状が円形の線材を圧延して平角状にしている。このような圧延処理は時間を要する処理であってこのような長時間処理が必要となる分、製造装置における処理速度(以下、線速という)の向上には限界があった。さらには、第2の従来例では、導体にはんだ層を形成した後、はんだ層を圧延処理するのであるが、圧延処理が必要となる分、さらに生産効率が低下する。以上のことから分かるように、第1、第2の従来例において線速を上げることには限界があった。
【0008】
さらには、太陽電池用リード線を太陽電池に接続する際には、当該リード線を太陽電池の外部接続部位の表面形状に追随させたうえではんだ付けする必要がある。以下、このようなリード線の追随性を接続追随性と称する。しかしながら、第1、第2の従来例は、平角状の単線からなる導線を有しているために、接続追随性が十分とはいえず、太陽電池の信頼性を高めるうえで、この接続追随性を高めることが要望されていた。
【0009】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、位置決め精度高い、つまりは、はんだ層が平坦な太陽電池用リード線の製造方法、太陽電池用リード線を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の太陽電池用リード線の製造方法は、
複数の横断面形状が円形の導線を並列配置してなる集合導体を形成する第1の工程と、
前記集合導体の外周にはんだ層を形成する第2の工程と、
を含み、
前記第2の工程では、テープ状はんだを、前記集合導体の上下面に積層させて、前記テープ状はんだの外側から加熱することで、前記集合導体と前記テープ状はんだとを一体化する、
ことに特徴を有している。
【0011】
また、本発明の第2の太陽電池用リード線の製造方法は、
複数の横断面形状が円形の導線を並列配置してなる集合導体を形成する第1の工程と、
前記集合導体の外周にはんだ層を形成する第2の工程と、
を含み、
前記第2の工程では、容器に収納した溶融はんだを用意したうえで、前記集合導体を前記溶融はんだに浸漬して引き上げることで、前記集合導体の外周と、隣接する前記導線間に形成する凹部とに、前記溶融はんだを付着凝固させてはんだ層を形成する、
ことに特徴を有している。
【0012】
本発明の第1の太陽電池用リード線は、
横断面形状が円形の導線を複数本並列配置してなる集合導体と、
前記集合導体の上下面に積層されたテープ状はんだと、
を有することに特徴を有している。
【0013】
本発明の第2の太陽電池用リード線は、
複数の横断面形状が円形の導線を並列配置してなる集合導体と、
前記集合導体の外周と、隣り合う前記導線間に形成された凹部とに形成されたはんだ層と、
有することに特徴を有している。
【0014】
なお、発明の太陽電池用リード線では、前記導線それぞれは、前記はんだ層により互いに一体化しているのがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0015】
太陽電池用リード線の製造方法および太陽電池用リード線における上記構成により、本発明は以下の作用効果が得られる。すなわち、はんだ層表面が平坦となった太陽電池用リード線を製造することができる。さらには、横断面の形状が円形の導体を複数本並列配置して集合導体を形成したうえで、その集合導体にはんだ層を形成するだけでよいので、生産コスト抑制と、生産効率の向上(線速の高速化)を図ることができ、前記断面形状が円形の導体は、圧延加工を必要とせず、伸線加工のみで作製できるので、生産効率が向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態の太陽電池用リード線の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態の太陽電池用リード線の製法における第1の工程を示す斜視図である。
【図3】第1の実施の形態の太陽電池用リード線における一体化工程の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の太陽電池用リード線の構成を示す断面図である。
【図5】第2の実施の形態の太陽電池用リード線の製法に用いるはんだ付け装置の構成を示す図である。
【図6】第2の実施の形態の太陽電池用リード線の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態の太陽電池用リード線50は集合導体52を備える。集合導体52は、複数の導線51を並列配置してなる導線列52aを有する。導線51は、図2に示すように、断面略円形の丸形導線からなる。集合導体52は導線並列方向uと平行な一対の長辺側対向面を有し、長辺側対向面が上下面52b、52bとなっている。ここで、集合導体52は、断面略長矩形状を有しており、平坦な一対の長辺側対向面と一対の短辺側対向面とを備えている。このような形状を備えた集合導体52では、一対の長辺側対向面を上下にして配置するのが最も安定した設置状態となる。そのため、本発明では、一対の長辺側対向面を上下面52b、52bと称しており、この上下面52b、52bが、太陽電池用リード線50の接続面(太陽電池に当接して接続される面)となる。
【0018】
上下面52b、52bそれぞれには、はんだ層53、53が設けられている。はんだ層53は、テープ状はんだからなり断面長矩形状を有しており、集合導体52の長手方向(軸線方向)に沿って延出している。はんだ層53、53は、集合導体52と同幅になっており、上下面52b、52bそれぞれを覆っている。はんだ層53、53の表面は平坦となっている。
【0019】
このような形状を有する太陽電池用リード線50では、はんだ層53、53の上面(表面)が平坦面となっているために、太陽電池用リード線50を太陽電池パネルに接続する際に、太陽電池用リード線50がパネル表面に密着して正確な位置決めが可能となる。
【0020】
また、集合導体52は、太陽電池用リード線50を太陽電池パネルにはんだ付け接続する際にははんだ層53は溶融状態となるが、各導線51は、溶融状態のはんだ層53内において、個別にかつ自由に移動することができる。そのため、低い0.2%耐力を有さない安価な導線51を有する太陽電池用リード線50であっても太陽電池パネルにダメージを生じさせることなく精度高く太陽電池パネルどうしを接続することが可能となる。
【0021】
次に本実施形態の太陽電池用リード線50の製造方法を説明する。ここでは、上下面52b、52bの幅Wが0.5〜4.0mm(好ましくは1.0〜2.0mm)、厚みTが0.1〜0.3mm(好ましくは0.15〜0.20mm)の大きさを有する太陽電池用リード線50を例にして本実施形態の太陽電池用リード線50の製造方法を説明する。
【0022】
導線51は、公知の方法(例えば、伸線加工)で、母線を伸線加工により所望の線径にすることで得ることができる。また、必要に応じて、母線を伸線加工する途中または伸線加工後において、母線に焼鈍処理(熱処理)を施す事で、所望の0.2%耐力に調整された導線51を作製してもよい。
【0023】
導線51の材料は、銅、銅合金であればよく、具体的には、無酸素銅(酸素含有量10ppm以下)、タフピッチ銅などが好適である。導線51の線径は、特に限定する必要がないが、0.01mm〜0.25mmが好ましい。また、並列配置する導線51の本数は、並列する導線51の線径にもよるが、2〜20本程度が好ましい。
【0024】
以上のようにして形成した導線51を用いて太陽電池用リード線50を製造する。太陽電池用リード線50の製造には、集合導体52を形成する第1の工程と集合導体52にはんだ層53を形成する第2の工程とがある。
【0025】
第1の工程では、図2に示すように、公知の方法で横断形状が円形の導線51を複数並列配置すればよく、そうすることで導線51を並列配置してなる導線列52aを備えた集合導体52が得られる。
【0026】
第2の工程では、導線51の並列させる方向に広がる集合導体52の面(上下面52b、52b)それぞれに、はんだ層53を積層する。はんだ層53は、両面が平坦となった断面長矩形状のテープ状はんだからなっており、集合導体52の軸線方向に沿って延出している。はんだ層53の幅は、集合導体52の幅と略同一または、集合導体52の幅より大きい。はんだ層53を構成するテープ状はんだは公知の製法で作製されたものを適用すればよい。
【0027】
はんだ層53の厚さは、0.015mm〜0.050mm(好ましくは、0.020mm〜0.030mm)である。はんだ層53の材料は、Pb(鉛)入りはんだであってもよいし、非鉛はんだであってもよい。非鉛はんだの一例として、SnーAgーCu系はんだが挙げられる。非鉛のはんだ層53を形成した太陽電池用リード線50とする製法は、溶融状態のSnーAgーCu系はんだを導線51に付着凝固させて太陽電池用リード線50を製造する製法と異なり、はんだの成分管理をする必要がないので好適である。
【0028】
はんだ層53を集合導体52の上下面52b、52bに積層させたうえで、はんだ層53の外側から加熱することで、集合導体52とはんだ層53とを一体化する。具体的な一体化方法としては、例えば、図3に示すように、集合導体52とはんだ層(テープ状はんだ)53とを積層した状態で、はんだ層53の表面温度が所定の温度になるように、はんだ層53の外側からホットエア装置40によって加熱した空気を吹付けて、集合導体52とはんだ層53とを一体化させる方法がある。また、別の一体化方法としては、集合導体52の上下面52b、52bにはんだ層(テープ状はんだ)53、53を積層してなる積層体を、所定の温度に加熱された一対の加熱ロールの間を通過させることではんだ層53の外側から集合導体52側に向けて加圧し、これによって集合導体52とはんだ層53とを一体化するという方法がある。前者の方法は、加熱した空気を吹付けるだけでよいので、製造設備の小型化が図れ、加えて非接触であるので、はんだ層53の表面を傷付けない点で好ましい。
【0029】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の太陽電池用リード線60の構造は、第1の実施の形態の太陽電池用リード線50と基本的に同一であるが、次の点で若干異なっている。すなわち、図4に示すように、本実施の形態の太陽電池用リード線60が有する集合導体62を含めて、導線を並列配置してなる集合導体では、隣接する断面円形の導線の間に凹部が形成されており、このような凹部が形成される分、集合導体と溶融はんだとの接触面積が大きくなっている。なお、太陽電池用リード線60では、図4に示すように、この凹部に符号61aを付している。導線61、61に接触した溶融はんだSは、導線61、61の表面に付着するとともに凹部61aにも充填されている。
【0030】
本実施の形態は、太陽電池用リード線60の製造方法に特徴がある。本実施の形態の製法は、第1の実施の形態と同様、第1の工程と第2の工程とがある。第1の工程については、第1の実施の形態と基本的に同じである。以下、本実施の形態において特徴となる第2の工程を説明する。
【0031】
第2の工程では、図5に示すように、予め溶融はんだSを満たした容器101を用意したうえで、集合導体62を容器101内の溶融はんだSに浸漬し、さらに浸漬した集合導体62の向きを容器101内に設けたターンロール43によって変えたうえで、容器101から集合導体62を引き上げることで、集合導体62の外周にはんだ層63を形成する。集合導体62では、隣接する断面円形の導線61、61の間には、はんだ溜まりとなる凹部61aが形成されており、凹部61aが形成される分だけ集合導体62と溶融はんだSとの接触面積が大きくなっている。導線61、61に接触した溶融はんだSは、導線61、61の表面に付着するとともに凹部61aにも充填される。これにより次のような効果が得られる。
【0032】
従来の平角状の単線導体を備えた太陽電池用リード線の構造では、はんだ溜まりとなる凹部61aが単線導線表面に形成されない。そのため、平角状の単線導体を溶融はんだSに浸漬して引き上げると、単線導体に溶融はんだSが付着してはんだ層が形成されるものの、溶融はんだSの表面張力によってはんだ層の表面に膨らみが生じてしまう。これに対して、集合導体62では、その表面にははんだ溜まりとなる凹部61aが形成されており、集合導体62と溶融はんだSとの接触面積が大きくなっている。このような構造を有する本実施の形態の集合導体62では、集合導体62の表面部位において溶融はんだSを収容する容積が大きくなる(はんだとの接触面積が大きくなる)ために、はんだ層63の膨らみが生じることがなくなり、はんだ層63はより平坦になる。
【0033】
なお、図5に示すように、溶融はんだSに浸漬させて引き上げる際に、集合導体62を、適宜、ダイス104に通過させることで、溶融はんだSの過剰な持ち出し(集合導体62への付着)を抑制してもよい。なお、溶融はんだSは、鉛入りはんだ、非鉛はんだのどちらを適用してもよい。
【0034】
第2の実施の形態の変形例を以下に説明する。この変形例では、図6に示すように、第1の工程において、直径が相互に異なる導線71b、71cを並列配置する。導線71b、71cの配列においては、各導線71b、71cの下部または上部を揃えて並列させてもよいし、各導線71b、71cの軸心を揃えて並列させてもよい。具体的には、集合導体72になった状態において、直径の大きい導線71c(大径導線)を、集合導体72の両端部それぞれに配列したうえで、両大径導線71c、71cの間に大径導線71cよりも直径が小さい導線71b(小径導線)を1本以上(図5では3本)配置した構造が挙げられる。この構造では、隣接する導線71b,71c間に凹部71aが形成されたうえに、集合導体72全体で凹部が形成された構造となる。以下、導線71c、71cの間に形成される凹部61aを第1の凹61aといい、集合導体72全体で形成される凹部を第2の凹部61bといい、両凹部61a、61bともはんだ溜まりとなる。なお、第2の凹部61bとは、小径導線71bと大径導線71cとによって囲まれることで、はんだを収納可能となった凹部空間のことをいう。この空間の上部は開口されている。
【0035】
この集合導体72は、第1、第2の凹部61a、61bを有するために、同じ直径で構成していた集合導体62に比べ、溶融はんだSが充填されるスペースが大きくなるので、はんだ層73がより平坦となった太陽電池用リード線70を得ることができる。なお、第2の工程は第1の実施の形態と同じなので説明を省略する。
【0036】
本発明の太陽電池用リード線やその製造方法には、以下に示すさらなる変形例がある。すなわち、製造方法のさらなる変形例では、
複数の導線が並列配置された導線列を有し導線並列方向に沿って連続する前記導線列の面が接続面となった集合導体を形成する第1の工程と、
前記集合導体の前記接続面にはんだ層を形成する第2の工程と、
を含む。
【0037】
また、太陽電池用リード線のさらなる変形例では、
複数の断面略円形の導線が並列配置された導線列を有し導線並列方向に沿って連続する前記導線列の面が接続面となった集合導体と、
前記集合導体の前記接続面に設けられたはんだ層と、
を備え、
前記接続面の凹凸が、前記はんだ層によって均されている。
【0038】
製法および構造における上記構成は、以下の作用効果が得られる。すなわち、接続面表面(具体的にははんだ層表面)が平坦となった太陽電池用リード線を作製することができる。さらには、接続面を有する集合導体を形成したうえで、その集合導体にはんだ層を形成するだけでよいので、生産コストの抑制と、生産効率の向上(線速の高速化)とを図ることができるうえ、製造装置の小型化も可能となる。さらには、予め成形しておいた集合導体にはんだ層を形成するので、太陽電池用リード線の形成精度は高いものとなる。
【0039】
さらには、集合導体を構成する導線は、基本的に引抜工程(伸線工程)により成形されるが、引抜工程(伸線工程)において導線(特に丸導線)は、製造装置における処理速度(線速)を高速化することが可能な材料である。また、集合導体を構成する導線では、圧延工程が不要である。このような工法上の相違により、集合導体(具体的には各導線)を用いる本発明は、製造装置における処理速度(線速)を高速化することが可能となり、その分、さらに生産効率が向上してコストダウンに繋がる。
【0040】
この太陽電池用リード線の製造方法の変形例には、
前記第2の工程では、前記接続面を覆う大きさを有する断面矩形状のテープ状はんだを用意したうえで前記接続面に前記テープ状はんだを相対させて前記集合導体と前記テープ状はんだとを一体化する、
という態様がある。本態様によれば、集合導体とテープ状はんだとを一体化するだけで太陽電池用リード線を形成することができるので、さらなる生産コストの抑制と、生産効率の向上とを図ることができるうえ、製造装置の小型化も可能となる。さらには、予め成形しておいたテープ状はんだを集合導体に一体化するので、太陽電池用リード線の形成精度はさらに高いものとなる。さらには、集合導体に形成するはんだ層の厚みはテープ状はんだの厚みを変更することで任意にかつ精度高く調整することが可能であり、これにより厚みを抑えた適度の厚みを有するはんだ層を精度高く形成することができる。さらには、太陽電池用リード線の製造に際して溶融はんだ槽を用いる必要がないので、非鉛はんだ(Sn-Ag-Cu系はんだ)からなるテープ状はんだを用いたとしても、はんだの組成を厳密に管理することができる。
【0041】
また、太陽電池用リード線の製造方法の変形例には、前記第1の工程では、導線並列方向に沿う前記導線列の一対の対向面を前記接続面とする前記集合導体を形成し、
前記第2の工程では、前記テープ状はんだの外側から加熱することで前記集合導体と前記テープ状はんだとを一体化する、
という態様がある。本態様によれば、集合導体とテープ状はんだとを確実に一体化させることができる。なお、この態様における好ましい加熱方法としては、表面温度が所定の温度に維持された加熱ロールで、前記テープ状はんだの外側から前記集合導体側に向けて加圧する、という方法がある。
【0042】
また、太陽電池用リード線の製造方法の変形例には、前記第2の工程は、前記テープ状はんだに加熱空気を吹き付けて、前記テープ状はんだの表面温度を所定の温度に維持することで前記集合導体と前記テープ状はんだとを一体化する、
という態様がある。本態様によれば、導体条とテープ状はんだとを確実に一体化させることができる。さらには、加熱空気をテープ状はんだに吹き付けるだけでよいので、製造設備の小型化が図れる。
【0043】
また、太陽電池用リード線の製造方法の変形例には、前記第2の工程は、前記集合導体と前記テープ状はんだとを併走させながら一体化する、
という態様がある。本態様によれば、太陽電池用リード線の製造時における線速が向上してさらに生産効率が上がる。
【0044】
また、太陽電池用リード線の製造方法の変形例には、前記第2の工程では、容器に収納された溶融はんだを用意したうえで、前記集合導体を前記溶融はんだに浸漬して引き上げることで、前記接続面に前記はんだ層を形成する、
という態様がある。本態様によれば、汎用のはんだ付け装置(フローはんだ装置)を用いて本発明を実現することができるため、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0045】
また、太陽電池用リード線の製造方法の変形例には、前記第2の工程では、隣り合う前記導線の間の隙間にはんだを充填することで前記はんだ層を形成する、という態様がある。また、太陽電池用リード線の変形例には、前記はんだ層は、隣り合う前記導線の間の隙間に充填されている、という態様がある。これらの態様によれば、必要最小限のはんだではんだ層に要求される機能(太陽電池用リード線を外部に接続する機能、接続面の平坦性を維持する機能、集合導体を一体化させる接着剤として機能)を満足させることができるので、リード線の小型化、軽量化を促進することができる。
【0046】
また、太陽電池用リード線の製造方法の変形例には、前記第1の工程では、前記導線として、互いに径の異なる小径導線と大径導線とを用意したうえで、複数の前記小径導線を列配置してなる小径導線列の列両端に一つまたは複数の前記大径導線を列配置することで導線列単位を形成し、さらに前記導線列単位を単列配置または互いに縦列に複列配置することで前記導線列を形成する、
という態様がある。
【0047】
また、太陽電池用リード線の変形例には、
前記導線は、互いに径の異なる小径導線と大径導線とを備え、
前記導線列は、単列配置または互いに縦列配置された複列の導線列単位を備え、
前記導線列単位は、列配置された複数の前記小径導線からなる小径導線列と、前記小径導線列の両端それぞれに列配置された一つまたは複数の前記大径導線とを備え、
前記はんだ層は、前記小径導線列を挟んで対向する両大径導線と前記小径導線列とによって囲まれた隙間にさらに充填されている、
という態様がある。
【0048】
これらの態様によれば、はんだ層は、小径導線列を挟んで対向する両大径導線と小径導線列とによって囲まれた隙間にさらに充填されているので、接続面(上下面)における平坦度がより高まるうえに、接続面を介した太陽電池用リード線の外部接続で必要となるはんだ量を十分に確保することが可能となる。
【0049】
なお、発明の太陽電池用リード線では、前記導線それぞれは、前記はんだ層により互いに一体化しているのがさらに好ましい。
【符号の説明】
【0050】
50 太陽電池用リード線
51 導線
52 集合導体
52a 導線列
52b 上下面
53 はんだ層
60 太陽電池用リード線
61 導線
61a 凹部
62 集合導体
62a 導線列
62b 上下面
63 はんだ層
70 太陽電池用リード線
71a 凹部
71b 小径導線
71c 大径導線
72 集合導体
72a 導線列
72b 上下面
73 はんだ層
u 導線並列方向
T はんだ槽の厚み
W 接続層の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の横断面形状が円形の導線を並列配置してなる集合導体を形成する第1の工程と、
前記集合導体の外周にはんだ層を形成する第2の工程と、
を含み、
前記第2の工程では、テープ状はんだからなるはんだ層を、前記集合導体の上下面に積層させて、前記はんだ層の外側から加熱することで、前記集合導体と前記はんだ層とを一体化する、
ことを特徴とする太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項2】
複数の横断面形状が円形の導線を並列配置してなる集合導体を形成する第1の工程と、
前記集合導体の外周にはんだ層を形成する第2の工程と、
を含み、
前記第2の工程では、容器に収納した溶融はんだを用意したうえで、前記集合導体を前記溶融はんだに浸漬して引き上げることで、前記集合導体の外周と、隣接する前記導線間に形成する凹部とに、前記溶融はんだを付着凝固させてはんだ層を形成する、
ことを特徴とする太陽電池用リード線の製造方法。
【請求項3】
横断面形状が円形の導線を複数本並列配置してなる集合導体と、
前記集合導体の上下面に積層されたテープ状はんだと、
を有することを特徴とする太陽電池用リード線。
【請求項4】
横断面形状が円形の導線を複数の並列配置してなる集合導体と、
前記集合導体の外周と隣り合う前記導線間に形成された凹部とに形成されたはんだ層と、
を有することを特徴とする太陽電池用リード線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−232320(P2012−232320A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101151(P2011−101151)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】