説明

姿勢認識センサ

【課題】ロボットの関節部に用いられてきた姿勢センサは測定できるパラメータが限られ、他の座標変換パラメータを無視するために関節部の数が増大すると末端部での誤差が許容できない値になるという問題があった。
【解決手段】関節部の一方の剛体に固定された互いに線形独立な3本以上の光線を発するレーザー光源群と、他の剛体に固定された上記の光線を受けるCCDなどのエリアセンサと、エリアセンサ上の受光点の座標から座標変換パラメータを計算する演算装置から構成される。これによりすべての座標変換パラメータをひとつのセンサにより精度良く測定することが出来る。エリアセンサの前に直交する2軸廻りに回転する可動式ハーフミラーを設け、ハーフミラーの回転角とハーフミラーによって反射された光線の基準値からのずれを測定することにより、精度の高いパラメータの測定が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は関節部で屈曲可能に連係されて成るロボットの姿勢・位置を決定するための関節部に取り付けられる姿勢認識センサに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明を必要とする背景の一つは、地震などの災害地などにおいて瓦礫や焼土または液状、ガス状その他の混在するような環境の中に取り残された被災者を救助するために、従来は救助隊による救援活動、あるいは訓練された犬などの嗅覚などに頼って探索を行っていた。故に被災者がいるかいないかの判断はある程度出来てもどの位置にいるかなどの特定が難しく、また被災者の状況の把握が難しかった。
【0003】
被災者の探索、位置の確認、被災者の状況の確認、食料・水の補給路確保、連絡の確保を行うために、最先端に堀削機および各種のセンサ例えばカメラ、臭気センサ、赤外線センサ、温度計などを取り付け、瓦礫の隙間や焼土の中を縫って前進することが出来る装置が要請されている。
【0004】
そして、被災者が見つかった場合には、被災者と救助隊を結ぶ上記ライフラインの確保が可能な空間があるような管状のロボットにおいて、各関節に小型かつ高精度の姿勢センサを有し、先端の位置を正確に把握する手段が必要とされていた。
【0005】
従来、ロボットの関節などに埋め込まれた姿勢センサは、その境界部の自由度に応じてある特定のパラメータを測定するセンサである。例えば1軸あるいは2軸回りの回転角のみが測定出来るセンサや、軸方向のズレ(長さ)のみが測定出来るセンサが用いられてきた。
【0006】
あるいは、蛇状の多関節ロボットにおいては座標変換の一部パラメータが測れないために、誤差が生じ、多関節であるがために誤差が積み重なり全体で必要な精度が得られない、特に先端の位置の誤差が大きくなるという問題があった。
【0007】
このような問題に技術的な解決の目途が立てば、本技術は上述の救援手段以外に多様な分野で利用が可能になる見込みがある。例えば、人畜の潜行が不可能と考えられるような場所に、物資、情報などを送達するための経路を構築する要請があるが、それには予め道しるべともなる予備ルートを開拓する必要がある。その後に本ルートの構築に切り替えることは比較的容易であろうから、予備ルート構築の先行技術の確立が必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の関節部に用いられてきた姿勢センサは測定できるパラメータが限られているため、その他のパラメータについては微小なものとして無視することによる誤差を生じていた。
このため、関節部が多くなると誤差が積み重なって末端部で許容できない値になるという問題点があった。また、座標変換に必要なパラメータを精度良く全てを取得するためには複数のセンサを設ける必要があり、センサが複雑で大きくなるという問題点があった。
【0009】
さらに複数のセンサのデータをそれぞれ中央の演算装置に送り、世界座標への変換や、ローカル座標への変換を行っていた。そのため、計算のアルゴリズムが複雑になるという問題があった。
【0010】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとしたものである。
一つのセンサによって座標変換に必要な6要素を全て測定することにより座標変換による誤差を少なくすること、座標変換のアルゴリズムを簡単化することにより、各センサ部においてローカル座標系及び世界座標系への相互変換を可能とするものである。そして各センサ部が世界座標における位置を把握し、システムとしての高速化を図ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための、本発明の姿勢認識センサの構成および作用について説明する。
【0012】
第一の課題解決手段は、互いに隣接した剛体を連係する関節部を光線の経路とし、一方の剛体に固定された少なくとも3個のレーザ光源などの光線の放射手段を有する投光部と、他方の剛体に固定された平面状のスクリーンを有しCCDを含む光電変換デバイスによる受光点の認識手段を有する受光部とで一組のセンサが構成されている。
【0013】
そして、それらの複数組のセンサがそれぞれ前記関節部を介して連結されるようにした姿勢認識センサであって、前記投光部からの光線が前記受光部と交わり、前記受光部のスクリーン上の複数の受光点の座標を読み出す手段と、座標変換パラメータを取得する手段とを備えて構成したことを特徴とするものである。
【0014】
第二の課題解決手段は、2個のレーザ光源と1個のビームスプリッタと1個のスクリーンを有する投光部を関節部の一方の剛体に固定し、1個のスクリーンと1個のハーフミラーを有する受光部を関節部の他方に固定して構成されるものである。
【0015】
このような姿勢認識センサにおいては、投光部の第一レーザ光源の光軸にほぼ垂直になるよう受光部のハーフミラーを配し、該ハーフミラーの後面と平行に第一スクリーンを配した受光部と、前記第一レーザ光源のビーム光を透過しかつ前記ハーフミラーでの反射光を90度程度の方向に曲げるビームスプリッタと該ビームスプリッタからの反射光を受ける第二スクリーンとを配置する。
【0016】
更に前記第一スクリーンの面の法線に対し、10度から80度の角度を持って前記第一スクリーンに入射する光軸を持つ前記第二レーザ光源とを有する投光部を備え、前記第一スクリーン上の前記第1レーザ光源及び前記第2レーザ光源からのビーム光の受光点位置座標及び第二スクリーン上の第1光源からの受光点位置座標を読み出す手段を備えて、前記3受光点の座標から座標変換パラメータを取得するように構成したことを特徴とするものである。
【0017】
第三の課題解決手段は、第二の課題解決手段において、受光部のハーフミラーが電気的制御による可動式の手段を備えたものであって、前記第一レーザ光源からのビーム光が前記ハーフミラーで反射し、スプリッタを経て投光部の前記第二スクリーン上に作る受光点の位置と、可動式の前記ハーフミラーの傾きを検出する手段を備え、3受光点座標及びハーフミラーの傾きから座標変換パラメータを取得するように構成したことを特徴とするものである。
【0018】
上記第一の課題解決手段による作用は次の通りである。
【0019】
一般に座標系Aで規定された3本の互いに線形関係にない直線が、他の座標系A’で規定された平面と交わり、これら3つの交点の座標が平面を規定している座標系A’で既知であった場合、座標変換の6つのパラメータを求めることが出来る。
【0020】
3つの光源が固定された座標系をA、他方をA’とする。
即ち、3本の直線は座標系Aに固定されており、各直線の方程式は座標系Aにおいて

とあらわすことが出来る。
【0021】
これ等の直線は座標系A’に固定されたスクリーンと交わり、その交点の座標を読み取る手段を有している。便宜上座標系A’に固定された前記スクリーン面をz’=0なるx’−y’平面とすると座標変換の一般式を用いると次式が成り立つ。

ここでTxyzは3行3列の行列で、x軸、y軸、z軸まわりの回転角α、β、γの3変数の

【0022】
従って上記9元連立方程式を解くことにより、座標変換パラメータの6要素(α、β、

【0023】
上述したように、投光部の座標系Aに固定された3つの光源からの光線が、受光部の座標系A’に固定されたスクリーン上に作る交点の座標を読み取ることにより座標変換パラメータであるX軸、Y軸、Z軸まわりの回転角、座標の平行移動ベクトル3要素のすべてを非常に簡単な構成により求めることが出来る。 [0015]
上記第二の課題解決手段による作用は次の通りである。
【0024】
即ち第一光源からのビーム光はビームスプリッタを透過し受光部のハーフミラーに達し、一部光線はさらにハーフミラーを透過し第一スクリーンに到達し、また一部光線はハーフミラーで反射される。
【0025】
このときハーフミラーの面が入力光線に対し直角の場合、反射光線は入力光線と同じ経路を通りビームスプリッタにより概90度曲がり第二スクリーン上に受光点を作る。この受光点を基準とし、もし隣接する座標系が傾いた場合は第一光源からの反射光が第二スクリーンに作る受光点の位置が基準点からずれるので、この情報により隣接する座標系の傾き及び傾き方向がわかる。
【0026】
また第一光源の光線と第二光源の光線が作る第一スクリーン上における受光点間の距離により座標系間の距離を三角測量の要領で求めることが出来る。更にまた第一光源と第二光源が作る第一スクリーン上における2受光点が作る線分の傾きから座標系間の捩れを求めることが出来る。
【0027】
これ等の測定結果より、座標変換パラメータであるX軸、Y軸、Z軸まわりの回転角、座標の平行移動ベクトルの6要素を求めることが出来る。厳密には代数学的に方程式を解くことにより6要素を求めることが出来る。
【0028】
上記第三の課題解決手段による作用は次の通りである。
【0029】
即ち第一ビーム光源からのビーム光はビームスプリッタを透過し可動ハーフミラーに達し、一部光線はさらに可動ハーフミラーを透過し第一スクリーンに到達し、また一部光線は可動ハーフミラーで反射される。
【0030】
可動ハーフミラーの面が入力光線に対し直角の場合、反射光線は入力光線と同じ経路を通りビームスプリッタに到達し、該90度光路が曲げられ第二スクリーン上に受光点を作る。
【0031】
投光部と受光部をある基準で固定し、このとき可動ハーフミラーの面と第一ビーム光源からの入力光がほぼ直交するよう可動ミラーの位置を調整し、このとき第二スクリーン上に出来る受光点の位置を基準点とする。該基準点は該第二スクリーンのほぼ中央に来るよう設定する。
【0032】
もし隣接する座標系A’が変化した場合は第一ビーム光源からの光線が可動ハーフミラーで反射して第二スクリーンに作る受光点の位置が該基準点からずれるので、この情報により可動ハーフミラーの傾きを制御し受光点の位置を基準点に復帰させ、このときの可動ハーフミラーの傾きの変化をエンコーダ等で読み出すことにより座標変換パラメータのうちの3軸廻りの回転角のうち2個を決定することが出来る。
【0033】
また第一ビーム光源と第二ビーム光源が作る第一スクリーン上における受光点間の距離と該可動ハーフミラーの傾きにより座標系間の距離を求めることが出来る。
【0034】
更にまた第一ビーム光源と第二ビーム光源が作る第一スクリーン上における受光点が作る線分の位置から座標系間の捩れを求めることが出来る。
従ってこれ等の測定結果より、座標変換パラメータであるX軸、Y軸、Z軸まわりの回転角、座標の平行移動ベクトルの6要素を求めることが出来る。
【0035】
なお、可動ハーフミラーがステップ・モータなどデジタル的な駆動装置で駆動されている場合、第2スクリーン上の受光点は基準点と一致させることが出来ない確率が高くなる。この場合はハーフミラーの傾きと受光点の基準点からのずれの大きさと方向から補間的に軸廻りの回転角を求めることが出来る。
【発明の効果】
【0036】
上述したように本発明の姿勢認識センサは、座標変換に必要かつ十分条件である6要素を一つの小型センサで測ることができ、精度の高い座標変換を行うことが出来る。
【0037】
さらにハーフミラーを設けることにより、より精度の高い軸廻りの回転角の測定が可能なセンサが提供できる。
【0038】
そしてさらに、ハーフミラーを可動式にすることにより、精度が高くかつより広い回転角の測定が可能なセンサが提供できる。
【0039】
また、先頭の剛体が後続の複数の剛体を関節部によって連結した屈曲可能なロボットであって、先端部に探知用手段、例えば音声、音響、色、臭いセンサ等を装着、または方向探知手段を取り付けて推進させるように構成する。そして、そのロボットの各関節部に本発明の姿勢認識センサを取り付け、座標変換を次々と行うことが可能であるから、精度の高い位置測定を行うことができるという効果を有する。
【0040】
例えば、現在地を始点とする場所から剛体を次々と連結して送り出し、先端部が目標とする場所に到達したとき、その位置が複数の姿勢認識センサを経由して正確な情報として始点で把握することができる。
【0041】
また、高精度でかつ小型に構成することができるため、例えば各剛体が内部に空間を確保できる管等の筐体であれば、剛体ごとに本発明の姿勢認識センサを収納すると共に、センサの関連機器の連絡路あるいは所要とする物品の通路として確保することが可能である。
【0042】
依って本発明の姿勢認識センサは、先に述べた災害地などにおける探索用としての効用のみならず、その他の広い産業分野にわたって適用が可能であり、大きな経済的効果も期待できる。
【0043】
具体的な事例として、複数の剛体を連結し屈曲可能なロボットにおいて、該ロボットの関節部に本発明の姿勢認識センサを取り付け、各センサに設けられた演算装置により算出された6要素は自分自身に記憶され、さらに通信ネットワークを介してマンマシンインターフェースを有する中央演算装置および他の各センサに設けられた演算装置に送られ、各演算装置の記憶回路に書き込まれ記録されるようにする。
【0044】
この結果、各センサの演算装置は自分自身の採取した6要素を含めたすべてのセンサ部の最新の6要素を記録しており、システム内の任意の座標系で定義された位置座標を、座標変換式を順次適用して他の任意の座標系における位置座標に演算回路を使用して、各関節部において独立にかつパラレルに変換することが出来るという効用をもつ。
【0045】
前記6要素の代わりに座標変換に用いられる3行3列の座標変換マトリクスの9要素と平行移動の3要素を、各センサ間で交換し記憶することにより、演算回路における演算量を減らすことができ、さらに高速に座標変換が可能となるなど多くの効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施の形態を図3、図6、図7、及び図8に基づいて説明する。
【0047】
図6において、姿勢認識センサはセンサ・ユニットと制御・演算部50より構成され、センサ・ユニットはさらに投光部13と受光部14とに分かれ、投光部13は関節部23で隣接する一方の剛体21に固定され、受光部14は他方の剛体22に固定される。
【0048】
投光部13は第一レーザ光源1とビーム・スプリッタ5、第二CCD3、及び第二レーザ光源2とをシャーシに取り付け一体化して構成される。受光部14は、第一CCD4とその前面に可動ハーフミラー6とを配し、さらに可動ハーフミラー6は可動支持板9に取り付けられ、ステップ・モータ8によって任意の方向に傾けることが出来るような構造となっており、受光部14全体が一つのシャーシに取り付けられ一体化されている。
【0049】
また、制御・演算部50は、CPU51とレーザ制御回路52とCCD読み出し回路53と制御回路54とステップ・モータ駆動回路55とエンコーダ回路56とからなる。
【0050】
図8に示すように可動ハーフミラー6は3点支持された可動支持板9に取り付けられ、第一CCD取付板7に対して傾斜角を変えられるようになっている。可動支持板の3点の支持点のうち、2点はステップ・モータにより直動するようにし、ステップ・モータにより傾斜角、傾斜方向を制御する手段を備えた構造となっている。
【0051】
次にセンサの動作を説明する。図6および7において第一レーザ光源1からのレーザ光はビーム・スプリッタ5を透過し、可動ハーフミラー6の中心付近に入射し一部光線は反射して、ビームスプリッタ5に戻りほぼ90度光路を屈曲し、第二CCD3で受光され受光点の座標の検出がなされる。
【0052】
投光部13と受光部14をある基準で位置関係を固定し、このとき可動ハーフミラー6の面と第一ビーム光源1からの入力光がほぼ直交するように可動ハーフミラー6の位置を調整する。このとき第二CCD3上に出来る受光点の位置を基準点とする。この基準点は前記第二スクリーンのほぼ中央に来るよう設定し、またこの時の関節部の曲がりをゼロ点とする。
【0053】
投光部13と受光部14のなす角度が上述のゼロ点から変化したとき、受光点と基準点のズレを第一CCD3により検出し、CPU51で可動ハーフミラー6の修正方向を計算し、ステップ・モータ8を制御して受光点の座標位置を基準点に復帰させるように制御する。
【0054】
受光点と基準点が一致した場合はステップ・モータ8の位置をエンコーダで読み取ることにより角度を算出できる。またステップ・モータ8の場合受光点と基準点が完全に一致することは確率的に低く、この場合はステップ・モータ8の位置と、受光点と基準点のずれから、角度を算出することにより精度の高い測定が可能となる。
【0055】
第一レーザ光源1から可動ハーフミラー6に達したレーザ光の一部は可動ハーフミラー6を透過し第一CCD4に達し、位置の検出がなされ、互いに隣接する剛体のズレを検出することが出来る。
【0056】
第二レーザ光源2からのレーザ光は可動ハーフミラー6を透過し第一CCD4に達し、受光点の座標位置が測定がされる。第一CCD4上において第一レーザ光源1からのレーザ光の受光点と第二レーザ光源2からのレーザ光の受光点で決まる線分の長さと可動ハーフミラー6の傾きとから投光部13と受光部14の第一レーザ光の光軸方向の距離を算出することが出来る。
【0057】
また、第一レーザ光源1からのレーザ光受光点と第二レーザ光源2からのレーザ光受光点で決まる線分の傾きから、第一レーザ光源の光軸まわりの捩じれを測定することが出来る。
【0058】
以上より、2つの剛体の相互位置関係を決定する座標変換に必要かつ十分条件である、X軸まわり、Y軸まわり、Z軸まわりの回転角と座標の平行移動ベクトルの3要素、あわせて6要素が一つの小型センサで全て求まることになる。
【発明を実施するための他の形態】
【0059】
以下、本発明の他の実施の形態を図1、図2及び図3に基づいて説明する。
【0060】
図1、2において、第一の課題解決手段の実施の形態を示す。姿勢認識センサはセンサ・ユニットと制御・演算部より構成され、さらにセンサ・ユニットは投光部13と受光部14とからなる。投光部13は互いに隣接する一方の剛体105に固定され、受光部14は他方の剛体に固定される。投光部13は第一レーザ光源10、第二レーザ光源11、第三レーザ光源12からなりシャーシに取り付け一体化して構成され、受光部14はCCD4からなる。また、制御・演算部は、CPU51とレーザ制御回路52とCCD読み出し回路53とからなる。
【0061】
以下、上記構成の動作を説明する。第一レーザ光源11、第二レーザ光源12、第三レーザ光源13の光軸は互いに代数学的に線形関係になく、CCD14の面とは交わり、かつCCD14の受光面上では光軸どうしは互いに交わることがないものとする。
【0062】
関節部において相互に隣接する剛体の位置関係が変化するとCCD面上の受光点の位置関係が変化するのでこれによって剛体の位置関係を求めることができる。
【0063】
CCD14上の3点の受光点の位置をCCD読み出し回路53で読み取り受光点の座標を決定し、連立方程式を演算回路にて解くことにより座標変換パラメータの6要素を決定することが出来る。
【0064】
さらに、本発明の他の実施の形態を図4、図5に基づいて説明する。
【0065】
図4,5において、姿勢認識センサはセンサ・ユニットと制御・演算部50より構成され、さらにセンサ・ユニットは投光部13と受光部14とからなり、投光部13は関節部23において互いに隣接する一方の剛体21に固定され、受光部14は他方の剛体22に固定される。投光部13は第一レーザ光源1とビーム・スプリッタ5、第二CCD3、及び第二レーザ光源2とをシャーシに取り付け一体化して構成され、受光部14は、第一CCD4とその前面にハーフミラー6とを一つのシャーシに取り付けられ一体化されている。また、制御・演算部50は、CPU51とレーザ制御回路52とCCD読み出し回路53とからなる。
【0066】
以下、上記構成の動作を説明する。第一レーザ光源1からのレーザ光はビームスプリッタ5を透過し、ハーフミラー6の中心付近に入射し一部光線は反射して、ビームスプリッタに戻りほぼ90度光路を屈曲し、第二CCD3で受光され位置の検出がなされる。
【0067】
ハーフミラー6の反射光線が入射光線と同一の光路を取るとき、即ちハーフミラー6と第一レーザ光源1からのレーザ光軸とが直角を成す時、受光点が第二CCD3のほぼ中心部に来るようにあらかじめ調整されており、これを基準点とする。
【0068】
投光部13と受光部14の軸が平行でなくなったとき、すなわちハーフミラー6の面と第一レーザ光軸が直角でなくなったとき、第一CCD3上の受光点20は基準点からずれることになり、このズレを検出し座標を読み取ることにより投光部13と受光部14の軸のなす角度を検出する。
【0069】
第一レーザ光源1からハーフミラー6に達したレーザ光の一部はハーフミラー6を透過し第一CCD4に達し、位置の検出がなされ、受光部14のズレを検出することが出来る。
【0070】
第二レーザ光源2からのレーザ光はハーフミラー6を透過し第一CCD4に達し、受光点位置の測定がなされる。第一レーザ光源1からのレーザ光の受光点と第二レーザ光源2からのレーザ光の受光点で決まる線分の長さとハーフミラー6の傾きとから投光部13と受光部14の第一レーザ光の光軸方向の距離を算出することが出来る。
【0071】
また、第一レーザ光源1からのレーザ光受光点と第二レーザ光源2からのレーザ光受光点で決まる線分の傾きから、主光軸まわりの捩じれを測定することが出来る。
【0072】
以上より、2つの剛体の相互位置関係を決定する座標変換に必要かつ十分条件である、X軸まわり、Y軸まわり、Z軸まわりの回転角と座標の平行移動ベクトルの3要素、あわせて6要素が一つの小型センサで全て求まることになる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態を示す姿勢認識センサの外観図
【図2】同センサの機能図
【図3】同センサの関節部実装図
【図4】本発明の他の実施形態を示す姿勢認識センサの外観図
【図5】同センサの機能図
【図6】本発明の他の実施形態を示す姿勢認識センサの外観図
【図7】同センサの機能図
【図8】同センサの可動ハーフミラー構造図
【符号の説明】
【0074】
1 第一レーザ光源
2 第二レーザ光源
3 第二CCD
4 第一CCD
5 スプリッタ
6 ハーフミラー
7 受光部ベースプレート
8 ステップ・モータ
9 可動板
10 レーザ光源
11 レーザ光源
12 レーザ光源
13 投光部
14 受光部
20 受光点
21 剛体
22 剛体
23 関節部
50 演算・制御部
51 CPU
52 レーザ制御回路
53 CCD読み出し回路
54 モータ制御回路
55 ステップ・モータ駆動回路
56 エンコーダ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接した剛体を連係する関節部を光線の経路とし、一方の剛体に固定された少なくとも3個のレーザ光源などの光線の放射手段を有する投光部と、他方の剛体に固定された平面状のスクリーンを有し光電変換デバイスによる受光点の認識手段を有する受光部とで一組が構成され、それらの複数組が前記関節部を介して連結されるようにした姿勢認識センサであって、前記投光部からの光線が前記受光部と交わり、前記受光部のスクリーン上の複数の受光点の座標を読み出す手段と、座標変換パラメータを取得する手段を備えて構成したことを特徴とする姿勢認識センサ。
【請求項2】
請求項1において、2個のレーザ光源と1個のビームスプリッタと1個のスクリーンを有する投光部を関節部の一方の剛体に固定し、1個のスクリーンと1個のハーフミラーを有する受光部を関節部の他方に固定して構成される姿勢認識センサであって、投光部の第一レーザ光源の光軸にほぼ垂直になるよう受光部のハーフミラーを配し、該ハーフミラーの後面と平行に第一スクリーンを配した受光部と、前記第一レーザ光源のビーム光を透過しかつ前記ハーフミラーでの反射光を90度程度の方向に曲げるビームスプリッタと該ビームスプリッタからの反射光を受ける第二スクリーンとを配し、更に前記第一スクリーンの面の法線に対し10度から80度の角度を持って前記第一スクリーンに入射する光軸を持つ前記第二レーザ光源とを有する投光部を備え、前記第一スクリーン上の前記第1レーザ光源及び前記第2レーザ光源からのビーム光の受光点位置座標及び第二スクリーン上の第1光源からの受光点位置座標を読み出す手段を備えて、前記3受光点の座標から座標変換パラメータを取得するように構成したことを特徴とする姿勢認識センサ。
【請求項3】
請求項2において、前記姿勢認識センサは、受光部のハーフミラーが電気的制御による可動式の手段を備えたものであって、前記第一レーザ光源からのビーム光が前記ハーフミラーで反射し、スプリッタを経て投光部の前記第二スクリーン上に作る受光点の位置と、可動式の前記ハーフミラーの傾きを検出する手段を備え、3受光点座標及びハーフミラーの傾きから座標変換パラメータを取得するように構成したことを特徴とする姿勢認識センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−286772(P2008−286772A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159516(P2007−159516)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000152871)株式会社日本システム研究所 (5)
【出願人】(000187655)
【Fターム(参考)】