説明

媒体搬送装置及びその制御プログラム

【課題】搬送路中の印刷記録媒体の搬送タイミングに応じて、印刷記録媒体の搬送タイミングのサンプリングの周期を変更する。
【解決手段】印刷記録媒体の搬送路中に配置され、印刷記録媒体の搬送のタイミングを検出する少なくとも1つのセンサー10と、センサーからの出力をサンプリングするタイミングデータ収集手段12と、タイミングデータ収集手段12におけるサンプリングの周期を変更するサンプリング分解能変更手段102と、を備える媒体搬送装置100とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機等の画像形成装置では用紙等の印刷記録媒体が装置内の搬送路を搬送される。搬送路には印刷記録媒体を搬送するためのフィード・ローラ等の搬送用部材が配置されている。
【0003】
特許文献1には、フィード・ローラによって搬送された用紙が第1センサーで検知されてから第2センサーで検知されるまでの時間を計測し、その計測時間が設定値を超えているか否かを判定し、一定枚数の用紙搬送のうち計測時間が設定値を超えている割合に応じてローラの寿命を判定する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平8−85671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、オフィス用の印刷装置や複合装置における印刷記録媒体の搬送路に設置されるセンサーの計測制度は約10ミリ秒(ms)以上である。一方、印刷記録媒体の搬送路の異常を検出するために必要な測定制度は10msより小さい。したがって、オフィス用の装置ではローラ等の異常を判定することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様は、印刷記録媒体の搬送路中に配置され、印刷記録媒体の搬送のタイミングを検出する少なくとも1つのセンサーと、前記センサーからの出力をサンプリングしてタイミングデータを収集するタイミングデータ収集手段と、前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更するサンプリング分解能変更手段と、を備えることを特徴とする媒体搬送装置である。
【0007】
ここで、前記サンプリング分解能変更手段は、前記印刷記録媒体のジャム頻度に応じて前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更するものとしてもよい。
【0008】
また、前記印刷記録媒体のジャム頻度は、前記タイミングデータ収集手段において収集された印刷記録媒体の搬送のタイミングデータを用いて検出するものとしてもよい。
【0009】
また、前記印刷記録媒体のジャム頻度は、前記タイミングデータ収集手段において前記センサーから収集された印刷記録媒体の搬送のタイミングデータを用いて前記センサー毎に検出し、前記センサー毎に検出されたジャム頻度が予め定められた基準値を超えた場合に、前記サンプリング分解能変更手段は前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更するものとしてもよい。
【0010】
また、前記サンプリング分解能変更手段は、予め定められたシーケンスで前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更するものとしてもよい。
【0011】
また、前記センサーは複数であり、前記サンプリング分解能変更手段は、前記タイミングデータ収集手段における前記複数のセンサー間のサンプリング周期を異ならせるものとしてもよい。
【0012】
また、本発明の1つの態様は、印刷記録媒体の搬送路中に配置され、印刷記録媒体の搬送のタイミングを検出する少なくとも1つのセンサーからの出力をサンプリングしてタイミングデータを収集するタイミングデータ収集工程と、前記タイミングデータ収集工程におけるサンプリングの周期を変更するサンプリング分解能変更工程と、コンピュータの処理部に実行させることを特徴とする媒体搬送装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1及び7の構成では、印刷記録媒体の媒体搬送装置において搬送装置の異常を適切に検出又は予測し得る。
【0014】
請求項2に記載の構成では、印刷記録媒体のジャム頻度に応じて搬送装置の異常を適切に検出又は予測し得る。
【0015】
請求項3に記載の構成では、印刷記録媒体のジャム頻度を印刷記録媒体の搬送のタイミングデータを用いて適切に検出し得る。
【0016】
請求項4に記載の構成では、センサー毎に検出されたジャム頻度に応じて搬送装置の異常を適切に検出又は予測し得る。
【0017】
請求項5に記載の構成では、印刷記録媒体の媒体搬送装置において搬送装置の異常を適切に検出又は予測し得る。
【0018】
請求項6に記載の構成では、複数のセンサーを備える場合であっても印刷記録媒体の媒体搬送装置において搬送装置の異常を適切に検出又は予測し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態における媒体搬送装置100は、図1に示すように、センサー10、タイミングデータ収集手段12、ジャム頻度算出手段14、ジャム頻度比較手段16、サンプリング周期変更手段18及びデータベース記憶手段20を含んで構成される。媒体搬送装置100は、電子写真印刷装置等の画像形成装置や画像形成装置とファクシミリやプリンタ等を複合化させた複合機等に備えられる。
【0020】
ここで、ジャム頻度算出手段14、ジャム頻度比較手段16及びサンプリング周期変更手段18はサンプリング分解能変更手段102に含まれる。
【0021】
媒体搬送装置100のタイミングデータ収集手段12、ジャム頻度算出手段14、ジャム頻度比較手段16、サンプリング周期変更手段18及びデータベース記憶手段20は電子写真印刷装置等の画像形成装置に備えられるコンピュータにより実現される。
【0022】
コンピュータは、一般的に、図2に示すように、処理部(CPU)30、記憶部32、入力部34、出力部36を含んで構成される。処理部30は、媒体搬送装置100の機能を統合的に制御する。処理部30における処理については後述する。
【0023】
記憶部32は、媒体搬送装置100において利用される制御プログラムや各種データを格納及び保持する。記憶部32は、処理部30から適宜アクセスされる。
【0024】
入力部34は、媒体搬送装置100において利用される各種パラメータ等の入力を受け付ける。入力部34は、例えば、画像形成装置に設けられたタッチパネル等である。媒体搬送装置100のユーザは入力部34を用いて、媒体搬送装置100における制御に必要なパラメータの設定やデータの入力を行う。
【0025】
出力部36は、媒体搬送装置100における処理においてユーザに提示する各種データを表示する。出力部36は、例えば、画像形成装置に設けられたタッチパネル等である。媒体搬送装置100のユーザは、出力部36により表示された各種情報により媒体搬送装置100における制御の状態を把握する。
【0026】
以下、図3の媒体搬送装置の制御方法のフローチャートを参照して、媒体搬送装置における制御について説明する。記憶部32に予め記録されている媒体搬送装置の制御プログラムを処理部30によって実行することによって以下の処理を行い、それによって図1に示す各手段が実現される。
【0027】
ステップS10では、各センサー10からの出力をサンプリングする。センサー10は、印刷記録媒体(例えば用紙)の搬送経路に配置される。センサー10は、少なくとも1つ設けられ、一般的には搬送経路に複数設けられる場合が多い。本実施の形態ではセンサー10(A1)からセンサー10(A50)までの50個が設置されているものとする。
【0028】
センサー10の各々は、搬送経路中の各部を通過する印刷記録媒体の有無を示す信号を出力する。各センサー10から出力される信号は処理部30によりサンプリングされる。
【0029】
例えば、各センサー10は用紙の先端を検知すると出力をハイ(High)からロー(Low)に変更し、用紙の後端を検知すると出力をローからハイへ変更する。処理部30は、各センサー10から出力される信号をサンプリングする。処理部30は、各センサー10からの出力をセンサー10の各々に対して設定したサンプリング周期(時間間隔)でサンプリングし、印刷記録媒体が搬送経路における各センサー10が配置された位置を通過するタイミングをサンプリングする。
【0030】
例えば、初期設定では、各センサー10からの出力を0.2ms間隔で順にサンプリングする。図4に示すようにA1〜A50の記号で特定されるセンサー10が50個配置されている場合、初期状態において各センサー10からの出力は0.2ms×50=10ms毎にサンプリングされる。
【0031】
ステップS12では、ステップS10で得られた各センサー10からのサンプリング信号から印刷記録媒体が各センサー10間を通過する時間を求める。処理部30は、搬送路中に配置された2つのセンサー10の出力を利用して印刷記録媒体がそれら2つのセンサー10間を通過する時間を求める。この処理が、タイミングデータ収集手段12に相当する。
【0032】
例えば、用紙の先端がセンサー10(A1)を横切ると、そのセンサー10(A1)の出力がローからハイになる。さらにその用紙の先端が次のセンサー10(A2)を横切ると次のセンサー10(A2)の出力がハイからローになる(図5)。センサー10(A1)の出力がハイからローになるタイミングから、センサー10(A2)の出力がハイからローになるタイミングまでをカウンタなどによって計測し、センサー10(A1)からセンサー10(A2)までのタイミングデータ(用紙搬送時間)として求める。同様に、予め定められた他の2つのセンサー10間についても印刷記録媒体の搬送時間を求めてもよい。
【0033】
ここで、センサー10からの出力がハイからローになるタイミングは、各センサー10のサンプリング周期(時間間隔)だけの誤差を生じ得る。センサー10間を用紙が通過する時間計測では、2つのセンサー10の通過タイミングの誤差が足し合わされるので最大でそれぞれのセンサー10のサンプリング時間間隔の和が誤差となり得る。例えば、上記初期状態において各センサー10のサンプリング周期が10msである場合には2センサー10間の用紙搬送時間の誤差は最大20msとなる。
【0034】
本実施の形態では、後述のサンプリング分解能変更手段102によって、各センサー10のサンプリング周期を変更する。これにより、必要に応じてサンプリング間隔による用紙搬送時間の計測の誤差を小さくする。
【0035】
ステップS14では、ステップS12において求められた搬送時間に基づいて、搬送経路において印刷記録媒体のジャムが発生しているか否かを判定する。
【0036】
処理部30は、ステップS12で求めた搬送時間と、それぞれの搬送時間に対して予め記憶部32に基準搬送時間データベースとして登録されているジャム時間基準値と、を比較して搬送時間が基準値を超える場合にはその搬送区間でジャムが発生したと判定する。そうでない場合には、ジャムは発生していないと判定する。なお、基準搬送時間データベースを記憶する記憶部32はデータベース記憶手段20に含まれる基準搬送時間データベース記憶手段として機能する。
【0037】
処理部30は、ジャムが発生したと判定された場合には用紙搬送を停止し、ジャムであること及びジャムにより搬送経路に詰まった印刷記録媒体の除去方法を出力部36のユーザインターフェース画面に表示させる。
【0038】
ステップS16では、ジャム履歴データベースの更新処理を行う。処理部30は、ジャムが発生したと判断した場合には、そのジャムが発生した搬送区間の過去のジャム発生の頻度を示すジャム頻度を登録するジャム履歴データベースを更新する。ジャム履歴データベースを記憶する記憶部32はデータベース記憶手段20に含まれるジャム履歴データベース記憶手段として機能する。この処理が、ジャム頻度算出手段14に相当する。
【0039】
処理部30は、ジャムが発生すると、ジャム履歴データベースに格納されている過去のジャム発生回数を1増加させる。さらに、最新のジャム頻度を算出する。ジャム頻度は、搬送された印刷記録媒体の枚数当りのジャム発生回数である。ジャム頻度は、ジャムが発生したセンサー10間毎に更新される。なお、搬送された印刷記録媒体の枚数は搬送経路に設置したカウンタ等で計数し、記憶部32に記憶させておけばよい。
【0040】
例えば、ステップS12において、センサー10(A1)とセンサー10(A2)との間でジャムが発生したと判定された場合、記憶部32に登録されているジャム履歴データベースにおけるA1−A2間のジャム発生回数を1増加させる。さらに、そのジャム発生回数を搬送された印刷記録媒体の枚数により除算してジャム頻度を求める。求めたジャム頻度もA1−A2間のジャム頻度としてジャム履歴データベースに登録する。
【0041】
なお、ジャム履歴データベースに登録されたジャム発生回数やジャム発生頻度に基づいて各センサー10間の搬送路における搬送装置の劣化等を判定してもよい。例えば、ジャム発生頻度が予め定められた劣化判定基準値を超えた場合にその搬送区間における搬送装置(搬送用ローラ等)の劣化をユーザに知らせる情報を表示部36に表示する等の処理を行ってもよい。
【0042】
ステップS18では、ステップS16で算出された各センサー10間の最新のジャム頻度に基づいてサンプリング周期の変更を行うか否かを判断する。この処理はジャム頻度比較手段16に相当する。
【0043】
処理部30は、ステップS16において各センサー10間の最新のジャム頻度が更新されると、記憶部32に予め基準値データベースとして格納及び保持された各センサー10間のジャム頻度基準値と比較して、前回比較したときと大小関係が変化した場合に処理をステップS20へ移行させ、そうでない場合には処理をステップS10に戻し、上記処理を繰り返す。なお、基準値データベースを記憶する記憶部32はデータベース記憶手段20に含まれる基準値データベース記憶手段として機能する。
【0044】
ステップS20では、サンプリング周期の切替処理を行う。ここでの処理はサンプリング周期変更手段18に相当する。
【0045】
処理部30は、ジャム頻度が基準値データベースに登録されたジャム頻度基準値を新たに超えた搬送区間に対応するセンサー10のサンプリング周期は小さく変更して、それらのセンサー10の時間的分解能をより高く設定する。また、ジャム頻度が基準値データベースに登録されたジャム頻度基準値を新たに下回った搬送区間に対応するセンサー10のサンプリング周期は大きく変更して、それらのセンサー10の時間的分解能をより低く設定する。
【0046】
例えば、センサー10(A1)とセンサー10(A2)との間の搬送区間のジャム頻度が基準値データベースに予め登録されているセンサー10(A1)とセンサー10(A2)との間の搬送区間に対するジャム頻度基準値を新たに超えた場合、初期設定で10msに設定されていたサンプリング周期を1msに変更する。
【0047】
具体的には、0.2ms毎に各センサー10のサンプリングを順に切り替えて行う処理において、図6に示すように、センサー10(A1)とセンサー10(A2)のサンプリングを1ms毎に挿入する。すなわち、センサー10(A1)及びセンサー10(A2)のサンプリング後、センサー10(A3),センサー10(A4),センサー10(A5)とサンプリングし、センサー10(A1)のサンプリング後から1msになる時点はセンサー10(A6)のサンプリングタイミングであるが、センサー10(A6)をサンプリングしないでセンサー10(A1),センサー10(A2)のサンプリングを再度行う。その後、サンプリングをセンサー10(A6)から開始し、再度センサー10(A1)のサンプリング時点から1msとなる時点毎にセンサー10(A1),センサー10(A2)をサンプリングする。このように、センサー10(A1)とセンサー10(A2)のサンプリングを1ms毎に挿入する処理を繰り返す。これによって、センサー10(A1)とセンサー10(A2)のサンプリング周期は1msとなり、その他のセンサー10のサンプリング周期は12msとなる。
【0048】
なお、センサー10(A3)〜センサー10(A50)のサンプリング周期は、図4の初期状態に対して20%程度大きくなっているが、タイミングデータの収集システム自体にある程度余裕もあり大きな影響はない。一方、センサー10(A1)とセンサー10(A2)のサンプリング周期は10msから1msに変更して、時間計測分可能を10倍あげている。
【0049】
また、センサー10(A1)とセンサー10(A2)との間の搬送区間のジャム頻度が基準値データベースに予め登録されているセンサー10(A1)とセンサー10(A2)との間の搬送区間に対するジャム頻度基準値を新たに下回った場合、図4に示すように、1msに設定されていたサンプリング周期を10msに戻す。
【0050】
具体的には、図4に示すように、0.2ms毎に各センサー10のサンプリングを順に切り替えて行う処理に戻すことによって、センサー10(A1)とセンサー10(A2)のサンプリング周期を1msから10msに戻す。
【0051】
このようにサンプリング周期を変更した後、処理をステップS10に戻し、上記処理を繰り返す。
【0052】
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態では、センサー10間のジャムの発生頻度に応じてセンサー10のサンプリング周期の変更処理を行った。第2の実施の形態では、予め定められたシーケンスに従ってセンサー10のサンプリング周期の変更処理を行う。
【0053】
第2の実施の形態における媒体搬送装置104は、図7に示すように、センサー10、タイミングデータ収集手段12、ジャム頻度算出手段14、タイミング生成手段22、サンプリング周期変更手段24及びデータベース記憶手段20を含んで構成される。媒体搬送装置104は、電子写真印刷装置等の画像形成装置や画像形成装置とファクシミリやプリンタ等を複合化させた複合機等に備えられる。
【0054】
ここで、ジャム頻度算出手段14、タイミング生成手段22、サンプリング周期変更手段24はサンプリング分解能変更手段106に含まれる。また、媒体搬送装置104のタイミングデータ収集手段12、ジャム頻度算出手段14、タイミング生成手段22、サンプリング周期変更手段24及びデータベース記憶手段20は、上記第1の実施の形態と同様に、電子写真印刷装置等の画像形成装置に備えられるコンピュータにより実現される。
【0055】
以下、図8の媒体搬送装置の制御方法のフローチャートを参照して、媒体搬送装置における制御について説明する。記憶部32に予め記録されている媒体搬送装置の制御プログラムを処理部30によって実行することによって以下の処理を行い、それによって図8に示す各手段が実現される。なお、上記第1の実施の形態と同じ処理を行うステップについては図3と同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
ステップS10では、各センサー10からの出力をサンプリングする。ステップS12では、ステップS10で得られた各センサー10からのサンプリング信号から印刷記録媒体が各センサー10間を通過する時間を求める。ステップS14では、ステップS12において求められた搬送時間に基づいて、搬送経路において印刷記録媒体のジャムが発生しているか否かを判定する。ステップS16では、ジャム頻度を算出し、ジャム履歴データベースの更新処理を行う。これらの処理は上記第1の実施の形態と同じ処理であるので説明を省略する。
【0057】
ステップS22では、サンプリング周期の切替処理を行うタイミングを生成する。ここでの処理がタイミング生成手段22に相当する。
【0058】
処理部30は、内蔵又は外付けのタイマーにより印刷記録媒体の搬送処理開示時からの時間経過を測定する。処理部30は、記憶部32に予め登録されているサンプリング周期の切替シーケンスに応じて、印刷記録媒体の搬送処理開示時からの時間経過毎に各センサー10のサンプリング周期の切替処理を行うタイミングとなったか否かを判定する。サンプリング周期の切替処理を行うタイミングとなった場合には処理をステップS24に移行させ、そうでない場合には処理をステップS10へ戻す。
【0059】
例えば、記憶部32に登録されている切替シーケンスが2つのセンサー毎に予め定められた時間間隔で順にサンプリング周期を変更するものである場合、処理部30は印刷記録媒体の搬送処理開示時からの時間経過が予め定められた時間だけ経過する毎にステップS24のサンプリング周期変更処理へ移行させる。
【0060】
ステップS24では、サンプリング周期の切替処理を行う。ここでの処理はサンプリング周期変更手段24に相当する。
【0061】
処理部30は、記憶部32に予め定められた時間間隔で各センサー10のサンプリング周期を順に小さく変更して、センサー10の時間的分解能をより高く設定する。
【0062】
例えば、記憶部32に登録されている切替シーケンスが予め定められた時間間隔(10s)毎にセンサー10(A1)からセンサー10(A50)まで2つのセンサー毎にサンプリング周期を1msに変更するものである場合、印刷記録媒体の搬送処理開示時からの時間経過が10sとなったタイミングでステップS24へ処理が移行される。そこで、まず、図5に示したように、センサー10(A1)とセンサー10(A2)とのサンプリング周期を初期値の10msから1msに変更し、ステップS10へ処理を戻す。したがって、この状態で10s間だけサンプリング及びジャムの判定処理が行われる。
【0063】
次に、さらに10s経過すると、再びステップS22からステップS24へ処理が移行され、センサー10(A1)のサンプリング周期を10msに戻し、次にセンサー10(A2)とセンサー10(A3)のサンプリング周期を10msから1msに変更し、ステップS10へ処理を戻す。したがって、この状態で10s間だけサンプリング及びジャムの判定処理が行われる。その後も10s経過すると、センサー10(A2)のサンプリング周期を10msに戻し、次にセンサー10(A3)とセンサー10(A4)のサンプリング周期を10msから1msに変更し、ステップS10へ処理を戻す。
【0064】
このような処理をセンサー10(A1)からセンサー10(A50)までサイクリックに繰り返す。このようにして、センサー10の各々について順にサンプリング周期を小さくし、サンプリングの時間的分解能を高めながらジャム発生や搬送装置の故障判断をしつつ搬送処理を行う。
【0065】
もちろん、サンプリング周期を変更するシーケンスはこれに限定されるものではない。例えば、搬送路の搬送装置の劣化が進行し易い箇所に設置されたセンサー10のサンプリング周期を優先的に小さく設定するようにしてもよい。また、搬送路の搬送装置の劣化が進行し易い箇所に設置されたセンサー10のサンプリング周期を小さく頻度を高くするようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施の形態における媒体搬送装置の構成を示す図である。
【図2】第1の実施の形態における媒体搬送装置を実現するコンピュータの構成を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における媒体搬送装置の制御方法を示すフローチャートである。
【図4】初期状態における各センサーのサンプリングを説明する図である。
【図5】搬送時間の誤差を説明する図である。
【図6】センサーのサンプリング周期を変更する処理を説明する図である。
【図7】第2の実施の形態における媒体搬送装置の構成を示す図である。
【図8】第2の実施の形態における媒体搬送装置を実現するコンピュータの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 センサー、12 タイミングデータ収集手段、14 ジャム頻度算出手段、16 ジャム頻度比較手段、18 サンプリング周期変更手段、20 データベース記憶手段、22 タイミング生成手段、24 サンプリング周期変更手段、30 処理部、32 記憶部、34 入力部、36 出力部、100,104 媒体搬送装置、102,106 サンプリング分解能変更手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷記録媒体の搬送路中に配置され、印刷記録媒体の搬送のタイミングを検出する少なくとも1つのセンサーと、
前記センサーからの出力をサンプリングしてタイミングデータを収集するタイミングデータ収集手段と、
前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更するサンプリング分解能変更手段と、
を備えることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の媒体搬送装置であって、
前記サンプリング分解能変更手段は、前記印刷記録媒体のジャム頻度に応じて前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の媒体搬送装置であって、
前記印刷記録媒体のジャム頻度は、前記タイミングデータ収集手段において収集された印刷記録媒体の搬送のタイミングデータを用いて検出することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項4】
請求項2に記載の媒体搬送装置であって、
前記印刷記録媒体のジャム頻度は、前記タイミングデータ収集手段において前記センサーから収集された印刷記録媒体の搬送のタイミングデータを用いて前記センサー毎に検出し、
前記センサー毎に検出されたジャム頻度が予め定められた基準値を超えた場合に、前記サンプリング分解能変更手段は前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
請求項1に記載の媒体搬送装置であって、
前記サンプリング分解能変更手段は、予め定められたシーケンスで前記タイミングデータ収集手段におけるサンプリングの周期を変更することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の媒体搬送装置であって、
前記センサーは複数であり、
前記サンプリング分解能変更手段は、前記タイミングデータ収集手段における前記複数のセンサー間のサンプリング周期を異ならせることを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項7】
印刷記録媒体の搬送路中に配置され、印刷記録媒体の搬送のタイミングを検出する少なくとも1つのセンサーからの出力をサンプリングしてタイミングデータを収集するタイミングデータ収集工程と、
前記タイミングデータ収集工程におけるサンプリングの周期を変更するサンプリング分解能変更工程と、
コンピュータの処理部に実行させることを特徴とする媒体搬送装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−120749(P2010−120749A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296574(P2008−296574)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】