説明

孔あけ加工装置、孔あけ加工システムおよび孔あけ加工方法

【課題】ワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を高精度に形成することができ、かつ、形成された貫通孔をレーザー光が通過してワークの対向する内壁面を損傷させることを確実に防止することのできる孔あけ加工装置、孔あけ加工システムおよび孔あけ加工方法を提供する。
【解決手段】孔あけ加工装置レーザー10は、回転軸まわりを回転するとともにレーザー光を該回転軸に対して斜め方向に屈折させる光学楔42と、屈折したレーザー光を集光させ、ワークにレーザー光を照射する集光光学系43とからなり、光学楔42と集光光学系43を一つの回転体4内に配設させることにより、双方が同期回転するように構成されている。回転体4内には、重量の偏心を補正するための錘44が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を中空ワークの所定の表面部位に照射して、ワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を設ける孔あけ加工装置と孔あけ加工システム、および孔あけ加工方法に係り、特に、上記態様の孔を高精度に形成することができ、かつ、形成された貫通孔をレーザー光が通過してワークの対向する内壁面を損傷させることを確実に防止することのできる孔あけ加工装置と孔あけ加工システム、および孔あけ加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばディーゼルエンジンに使用されるインジェクタの先端またはその付近に形成される噴孔などは、最適噴霧を実現する観点から、インジェクタの外部表面から内部中空に向かってその厚み方向に拡径された態様で孔あけ加工がおこなわれている。かかる孔あけ加工に際しては適宜のレーザー光が使用されるが、上記態様の孔あけ加工を実現する従来の技術として、複数枚の光学楔(ウェッジ板)を回転させながらレーザー光を屈折させるとともにレーザー光を回転させ、回転するレーザー光を、固定された曲率の大きな長焦点集光レンズに通した後でワークに照射させる方法がある。この方法では、集光レンズが長焦点レンズであることから、短焦点レンズに比してレーザー光軸の軸はずし、すなわち収差が少ないというメリットがある一方で、ワークが中空ワークである場合には、穿孔後のレーザー光が、焦点位置で絞られた姿勢からまた徐々に広がっていくこととなり、したがって、ワークの中空を介した対向する内壁面(バックウォール)にレーザー光による熱損傷を生じさせるといった問題があった。
【0003】
そこで、レーザー光を屈折させつつ回転させる構成において、集光レンズを曲率の小さな固定された短焦点レンズを使用する方法の適用が考えられるが、この場合には、レーザー光が回転していることから集光レンズにおける収差が大きくなってしまい、効果的にレーザー光を所望のワーク位置に照射できないという問題が生じ得る。これは、レーザー光が屈折しつつ回転していることと、短焦点レンズが小さな曲率を有していることによるものである。しかし、短焦点レンズを集光レンズとして使用することにより、焦点位置で絞られたレーザー光の広がりは長焦点レンズに比べて格段に大きく、そのエネルギー密度が小さくなることから、仮にワークのバックウォールにレーザー光が照射されたとしても、熱損傷を生じさせるまでには至らないというメリットがある。したがって、長焦点レンズと短焦点レンズでは、それぞれに一長一短があり、いずれか一方を使用することでそのメリットを享受できるものの、そのデメリットをも許容せざるを得ないというのが現状であった。
【0004】
ところで、回転するレーザー光を使用してワークを穿孔する技術として、特許文献1,2を挙げることができる。特許文献1は、発明者による鋭意研究の結果開発された技術であるが、レーザー光を屈折させた状態で回転させながら加工部位にレーザー光を照射することにより、任意形状の孔を加工することができるレーザー加工方法および加工装置に関するものである。一方、特許文献2に開示のレーザー光線を用いてワークに孔を形成する方法においても、レーザー光線をワークに対して相対的に揺動させること等により、任意の幾何学形状の孔をワークに穿設することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−248591号公報
【特許文献2】特表2002−536187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1,2に開示のレーザー加工方法によれば、任意形状の孔、例えば、上記するようにワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を形成することができる。しかし、いずれの発明においても、レーザー光が回転する一方で、集光レンズは固定されているため、該集光レンズが長焦点レンズであればワークの対向内壁面を損傷させるという上記問題が生じ得るし、短焦点レンズであれば集光レンズにおける収差が大きくなるという上記問題が生じ得る。かかる双方の課題の開示は上記特許文献にはなく、したがって、その解決手段に関する記載もない。
【0007】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、中空ワークの厚さ方向に該ワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を高精度に形成することができ、かつ、形成された貫通孔をレーザー光が通過してワークの対向する内壁面を損傷させることを確実に防止することのできる孔あけ加工装置、孔あけ加工システムおよび孔あけ加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成すべく、本発明による孔あけ加工装置は、レーザー光を中空ワークの所定の表面部位に照射し、ワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を設ける孔あけ加工装置において、回転軸まわりを回転するとともにレーザー光を該回転軸に対して斜め方向に屈折させる光学楔と、屈折したレーザー光を集光させ、ワークにレーザー光を照射する集光光学系と、からなり、前記光学楔と前記集光光学系が同期回転するように構成されてなることを特徴とする。
【0009】
回転軸を中心に回転する光学楔(ウェッジ板)にレーザー光が照射され、光学楔によってレーザー光が回転軸に対して斜め方向に屈折し、光学楔を通過したレーザー光が集光光学系に集光される。光学楔と集光光学系は回転軸を中心に同期回転するため、回転軸に対して斜め方向に屈折したレーザー光を回転軸まわりに回転させた状態でワークに照射させることにより、ワークの厚さ方向に拡径した貫通孔を形成することができる。
【0010】
レーザー光は、公知のYAGレーザーやYAG−SHGレーザーなどからなり、このレーザー光を、レーザー発振器から例えば水平方向に照射し、反射レンズを介してレーザー光を鉛直下方に反射させ、ワーク表面の所定部位に照射する。なお、レーザー光の焦点位置は、穿孔作業のすべての段階において、例えばワークの表面位置あるいはワーク表面から若干ワーク内に入った位置等に固定しておけばよく、焦点位置を孔の上下に移動させながら孔加工をおこなう必要はない。
【0011】
本発明では、回転軸を中心に回転する光学楔と例えば短焦点の集光光学系を同期して回転させる構成とし、回転する集光光学系を通過したレーザー光がワークに照射されるようになっている。
【0012】
光学楔と集光光学系を同期回転させる構成としたことにより、光学楔と集光光学系とは相対的に同じ位置関係を保持することとなり、したがって、光学楔で屈折したレーザー光は確実に所定の集光光学系における透光軸(光学楔のレーザー光透過位置とワーク表面の穿孔位置とを結ぶ軸)を通ることができる。したがって、集光光学系を構成する集光レンズが短焦点レンズからなる場合であっても、集光レンズにおける収差の問題を解消することができる。かかる構成を適用することで、短焦点レンズを集光レンズに適用する場合の問題が解決できる。また、集光光学系に短焦点の集光レンズを適用することにより、ワークに形成された貫通孔を通ったレーザー光がワークの対向する内壁面を損傷させるという問題も解消することができる。さらに、レーザー光の収差の問題を解消できたこと等により、所望形状(ワーク表面の孔径とワークの厚み方向の拡径角度)の貫通孔を極めて高精度に形成することができる。
【0013】
上記する集光光学系の構成は特に限定するものではないが、例えば複数の任意形状のレンズを直列的に配設するとともに、その最後尾(ワークに最も近い位置)に例えば短焦点のレンズを配設した構成などを適用することができる。ここで、集光光学系に入射してきたレーザー光の収差が可及的に少ない態様で最後尾の短焦点レンズに入射することができるように、集光光学系を構成する各レンズの形状が適宜に設定される。このレンズ群を一つのハウジング内に所定の角度で配設し、このハウジングの回転と光学楔の回転を同期回転できるように制御しておけばよい。すなわち、各レンズの形状や配設位置、および光学楔によるレーザー光の屈折角は、ワークに形成される貫通孔の形状に応じて設定される。また、光学楔と集光光学系の双方の回転をサーボモータにておこなうようにしておき、双方のサーボモータを一つの制御機構に連結する形態などを適用することもできる。
【0014】
また、本発明による孔あけ加工装置の好ましい実施の形態において、前記光学楔と前記集光光学系は、一つの回転体の内部において、該回転体の回転軸に対して一方に偏った姿勢で組み込まれており、該光学楔と該集光光学系による偏荷重を解消する重量が回転体の内部に付与されていることを特徴とする。
【0015】
本発明は、光学楔と短焦点の集光光学系を極めて簡易な構成で同期回転させるための構成として、双方を一つの回転体の内部に収容してなる加工装置としたものである。回転体の形態は特に限定するものではないが、例えばプラスチック製ないしは鋼製の筒状ハウジングを用意し、その内部に光学楔と短焦点の集光光学系を構成するレンズ群を適宜の位置に載置して回転体を構成させ、この回転体をサーボモータ等によって適宜の回転速度にて回転制御することができる。
【0016】
ところで、上記するように、光学楔は、レーザー光を鉛直下方軸から所定の角度に屈折させるものであることからその形状は一方が他方に比べて厚くなっており、また、短焦点の集光光学系を構成するレンズ群も屈折したレーザー軸に沿って配設される必要があることから、回転体の重心はその回転軸に対して一方に偏った態様とならざるを得ない。この状態で回転体を回転軸まわりに回転させることは、回転時のリップル(脈動)の問題や、多数の貫通孔の形成作業につれて回転体の回転軸がずれたり、変形したりするといった問題に繋がる。
【0017】
そこで、上記問題を解決するために、本発明の加工装置においては、一つの回転体内に光学楔と短焦点の集光光学系を構成するレンズ群を適宜に配設することに加えて、光学楔やレンズ群によって生じる重心の偏りを回転体の回転中心軸に補正するための重量を該回転体に付加するようにしたものである。例えば、回転体の回転軸を中心として回転重心と線対称の位置に偏った重量と同等の重さの錘を配設した構成とするなどの形態を適用することができる。
【0018】
本発明の孔あけ加工装置によれば、光学楔と例えば短焦点の集光光学系を構成するレンズ群とを一つのアクチュエータ(例えばサーボモータ)にて同期回転させることができるため、装置の構造の簡素化と製作コストの低廉化を図ることが可能となる。また、加えて、回転体の重量の偏りが解消されていることにより、脈動のないスムーズな回転体の回転を実現することが可能となる。
【0019】
また、本発明による孔あけ加工システムは、前記孔あけ加工装置と、レーザー発振器と、ワークを載置しながらその平面位置を調整可能な第一の治具と、孔あけ加工装置を固定しながら鉛直方向に移動可能な第二の治具と、からなることを特徴とする。
【0020】
レーザー発振器は、例えば水平台座上に載置され、水平方向に照射されたレーザー光を反射レンズにて下方に反射させる。レーザー光の照射方向には上記する孔あけ加工装置、すなわち、同期回転する光学楔と例えば短焦点の集光光学系、ないしは一つの回転体内にそれらが収容された該回転体が配設されており、この回転体を通過したレーザー光がワーク表面の所定部位に照射される。
【0021】
ここで、回転体等の孔あけ加工装置は、移動可能な治具に固定されて、その水平位置や上下位置を自在に調整できるようになっている。同様に、ワークも移動可能な別途の治具に固定されており、その位置の自在な調整が可能となっている。
【0022】
例えば、双方の治具がそれぞれ水平面内または鉛直面内の各平面座標内で位置調整可能なテーブル上に載置されており、各テーブルを一つの制御装置に接続した構成とし、該制御装置にワークに穿孔する貫通孔の表面および内壁面のそれぞれの孔径を入力することにより、入力された貫通孔を穿設するに適した双方の治具の平面位置および垂直位置に該治具が移動調整できるような形態を適用することができる。また、孔の形状によって双方の治具の最適な位置が予め決まっている場合には、治具の自動制御をおこなうまでもなく、双方の治具の調整を手動にておこなうこともできる。
【0023】
さらに、本発明による孔あけ加工方法は、レーザー光を中空ワークの所定の表面部位に照射し、ワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を設ける孔あけ加工方法において、回転軸まわりを回転するとともにレーザー光を該回転軸に対して斜め方向に屈折させる光学楔と、屈折したレーザー光を集光する集光光学系と、を同期回転させることを特徴とする。
【0024】
本発明の孔あけ加工方法は、上記する孔あけ加工装置を使用することによってワークに貫通孔を穿孔する方法であり、既述するように、集光レンズにおける収差の問題を解消することができ、かつ、形成された貫通孔を通ったレーザー光がワークの対向する内壁面を損傷させるという問題も解消することができ、さらに、所望形状(ワーク表面の孔径とワークの厚み方向の拡径角度)の貫通孔を極めて高精度に形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上の説明から理解できるように、本発明の孔あけ加工装置、孔あけ加工システムおよび孔あけ加工方法によれば、光学楔と例えば短焦点の集光光学系を同期回転させながら回転レーザー光をワーク表面に照射することにより、ワークの外部表面から内部中空に向かってその厚み方向に拡径された貫通孔を高精度に形成することができ、かつ、形成された貫通孔をレーザー光が通過してワークの対向する内壁面を損傷させることを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の孔あけ加工システムを示した模式図を、図2は、図1において、回転体とワークを拡大した図であって、回転するレーザー光をワークに照射している状況を説明した図を、図3は、ワークに形成される貫通孔を拡大した断面図をそれぞれ示している。なお、図示する実施形態は、一つの回転体内に光学楔と短焦点の集光光学系レンズが配設された構成であるが、本発明の孔あけ加工装置がかかる構成に限定されるものではなく、光学楔と短焦点の集光光学系が分離しつつ同期回転できるような構成であってもよいことは勿論のことである。
【0027】
図1は、孔あけ加工システムの一実施形態の模式図を示している。孔あけ加工システム10は、水平台31と脚32とからなる台座3上に載置されたレーザー発振器1と、このレーザー発振器1から水平方向に照射されたレーザー光Lを鉛直方向に反射させる反射レンズ2、鉛直方向に反射されたレーザー光Lを鉛直方向(回転軸方向)に対して斜め方向に屈折させつつ集光させ、回転レーザー光を形成させる回転体4とから大略構成されている。
【0028】
回転体4は、回転ベアリング機構51を介してサーボモータ52に回転可能に装着されており、これらが治具61に固定されている。さらに、この治具61は、脚32に固定された姿勢制御テーブル62に固定されている。この姿勢制御テーブル62は、鉛直方向にスライド可能な2段式の構成となっており(Z方向)、姿勢制御テーブル62の鉛直方向のスライドにより、回転体4の鉛直位置の調整をおこなうことができるようになっている。
【0029】
一方、ワークWは回転体4の下方位置において別途の治具71にて位置決め固定されており、この治具71は、水平面内(X方向、Y方向)および鉛直方向の3次元的にワークWの位置調整が可能な3軸の姿勢制御テーブル72上、ないしは水平面内の2軸に位置調整が可能な姿勢制御テーブル72上に載置されている。各姿勢制御テーブル62,72を可動させることによって回転体4およびワークWの相対的な位置調整をおこなうことで、後述するようにワークWの表面および中空内壁面に所定径の貫通孔を形成するための準備をおこなう。
【0030】
次に、回転体4内の構造を図2に基づいて説明する。回転体4は、プラスチック製ないしは鋼製のハウジング41内に、上方から順に、レーザー光Lを回転軸に対して斜め方向に屈折させるための光学楔42と、短焦点の集光光学系43が配設されている。この集光光学系43は、例えば、2つの集光レンズ43a、43bと、短焦点レンズ43cとが直列配置した姿勢で構成されている。尤も、この集光光学系43のレンズ群の構成は任意に設定できるものであり、少なくとも、入射したレーザー光の収差を可及的に少なくするとともに、最後尾のレンズに短焦点レンズを配設した形態であればよい。短焦点レンズとしては、例えばF60(焦点距離60mm)のレンズを使用することができる。
【0031】
また、集光光学系43を構成する2つの集光レンズ43a、43bと、短焦点レンズ43cは、光学楔42にて屈折されたレーザー光がワークWの所定の貫通孔形成部位に照射できる角度に配設されている。回転体4を図示するように回転させることにより、回転軸に対して斜め方向に屈折されたレーザー光を該回転軸まわりに同期回転させることができ、ワークWの外部表面から内部中空に向かってその厚み方向に拡径された貫通孔を形成することができる。なお、レーザー光の焦点位置は、ワーク表面ないしはワーク表面から若干内部に入った位置に設定しておけばよい。
【0032】
回転体4の内部には、さらに、光学楔42やレンズ群によって生じる重心の偏りを回転体4の回転中心軸に補正するための錘44が内蔵されている。この錘によって回転体自重の偏心を補正することにより、回転体の回転時のリップルの発生を効果的に防止することができる。
【0033】
光学楔42を通り、短焦点の集光光学系43を通った回転レーザー光は、中空ワークW表面の所定部位に照射される。かかるレーザー光の照射によって穿孔される貫通孔を図3に示している。
【0034】
図示するように、中空W2を有するワークWにおいて、その肉厚部W1に外部表面から内部中空に向かってその厚み方向に拡径された貫通孔W1aを形成するものである。所定径を有する表面孔W1a1と内壁面孔W1a2となるように回転レーザー光が照射されるとともに、本発明では、レーザー光が短焦点レンズを経てワークWに照射される。したがって、図2に示すように焦点位置から広がりながら貫通孔W1aを通ったレーザー光L1が中空部を介した対向面のバックウォールW3に照射されても、そのエネルギー密度が極めて小さくなっていることから、バックウォールW3に熱損傷を生じさせる危険性が極めて低い。
【0035】
ワークWが車輌のエンジンボックスである場合には、多数の微小孔(貫通孔)がワークの肉厚部に穿孔されることとなる。
【0036】
なお、図示を省略するが、アルゴンガスや窒素ガス、ヘリウムガスといった不活性ガスをアシストガスとして回転レーザー光とともにワークに照射する装置構成とすることもできる。この場合には、貫通孔の加工段階に応じて任意にアシストガスの圧力調整をおこなうことのできる制御機構を備えた構成としてもよい。
【0037】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の孔あけ加工システムを示した模式図。
【図2】図1において、回転体とワークを拡大した図であって、回転するレーザー光をワークに照射している状況を説明した図。
【図3】ワークに形成される貫通孔を拡大した断面図。
【符号の説明】
【0039】
1…レーザー発振器、2…反射レンズ、3…台座、31…水平台、32…脚、4…回転体、41…ハウジング、42…光学楔、43…集光光学系、43a,43b…集光レンズ、43c…短焦点レンズ、44…錘、51…回転ベアリング機構、52…サーボモータ、61…治具、62…姿勢制御テーブル、71…治具、72…姿勢制御テーブル、10…孔あけ加工システム、W…ワーク、W1…肉厚部、W2…中空部、W3…バックウォール、W1a…貫通孔、W1a1…表面孔、W1a2…内壁面孔、L…レーザー光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を中空ワークの所定の表面部位に照射し、ワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を設ける孔あけ加工装置において、
回転軸まわりを回転するとともにレーザー光を該回転軸に対して斜め方向に屈折させる光学楔と、屈折したレーザー光を集光させ、ワークにレーザー光を照射する集光光学系と、からなり、前記光学楔と前記集光光学系が同期回転するように構成されてなる孔あけ加工装置。
【請求項2】
前記光学楔と前記集光光学系は、一つの回転体の内部において、該回転体の回転軸に対して一方に偏った姿勢で組み込まれており、該光学楔と該集光光学系による偏荷重を解消する重量が回転体の内部に付与されていることを特徴とする請求項1に記載の孔あけ加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の孔あけ加工装置と、レーザー発振器と、ワークを載置しながらその平面位置を調整可能な第一の治具と、孔あけ加工装置を固定しながら鉛直方向に移動可能な第二の治具と、からなることを特徴とする孔あけ加工システム。
【請求項4】
レーザー光を中空ワークの所定の表面部位に照射し、ワークの表面から内壁面に向かって拡径した貫通孔を設ける孔あけ加工方法において、
回転軸まわりを回転するとともにレーザー光を該回転軸に対して斜め方向に屈折させる光学楔と、屈折したレーザー光を集光する集光光学系と、を同期回転させることを特徴とする孔あけ加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−237231(P2007−237231A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62809(P2006−62809)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】