説明

安全点検管理システム

【課題】 点検者毎の作業性の向上かつ点検データの信頼性の向上を図る。
【解決手段】 点検端末1が、複数の点検箇所に対し予め設定された箇所に対する各点検項目を含む点検データを受信し、点検者による点検操作と連動して時刻データを入力部からの指示を受けて内蔵のタイマより取り込み、前記点検管理装置2から受信した前記点検データに基づき前記各点検項目を前記入力部から入力することで点検結果データを作成し、作成された前記点検結果データを前記点検管理装置2に送信する。そして、点検管理装置2は、点検作業に対する制限時間を設定し、前記点検端末1から受信した前記点検結果データを前記制限時間と前記時刻データに基づき編集して点検報告データとして作成し、作成された点検報告データを記憶する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の点検箇所を巡回路に従って順次点検を行う安全点検において点検者毎に点検作業の管理を行う技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、構造物、例えば、建築物、船舶、電気機関車、トラック等を含む大型車両や航空機等の安全点検は、警備員等により点検項目毎に書類等に手作業で記入しながら行われている。また、近年、点検項目のチェックリスト等を電子化した携帯端末等を使って安全点検を行うシステムも提案されている。このシステムでは、巡回現場で警備員等が、この携帯端末を持ち歩いて点検項目のチェックリストを見ながら点検を行い、設備等の点検を終える度に、点検結果を携帯端末に入力する。そして、すべての点検が終了したら、携帯端末から、例えば、パーソナルコンピュータ等に接続されて点検データが転送され、この点検結果が記録として残されるというものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の技術においては、点検項目のチェックリストが電子化されているものであっても、点検項目である目的の設備の状態や時間等については、人手を介してコンピュータ等に入力されるものであるので、点検データの内容が不正確である可能性は払拭しきれず、また、警備員等の点検者による点検データの捏造も簡単であり、指定された時間に正しく点検作業が行われたか否かを証明することも難しいという問題がある。
【0004】本発明は、上記従来の問題を解決するもので、安全点検等を行う点検者毎に点検作業の管理を行うことで安全点検の作業性の向上かつ信頼性の向上を図ることができる安全点検を管理するシステムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、複数の点検箇所を巡回路に従って順次点検を行う際に点検者により使用されるデータ入力可能な入力部を有する携帯型の点検端末と、通信機能及びデータ管理機能を有する点検管理装置とがデータ交信可能にされた安全点検管理システムであって、前記点検端末は、複数の点検箇所に対し予め設定された各点検項目を含む点検データを前記点検管理装置から受信する点検データ受信手段と、点検操作と連動して時刻データを前記入力部からの指示を受けて内蔵のタイマより取り込む点検時刻入力受付手段と、前記点検管理装置から受信した前記点検データに基づき前記各点検項目を前記入力部から入力することで点検結果データを作成する点検結果作成手段と、前記点検結果作成手段により作成された前記点検結果データを前記点検管理装置に送信する点検結果データ送信手段とを備え、前記点検管理装置は、点検作業に対する制限時間を設定する制限時間設定手段と、前記点検端末から受信した前記点検結果データを前記制限時間と前記時刻データとに基づき編集して点検報告データとして作成する編集手段と、前記編集手段により作成された点検報告データを記憶する点検報告データ記憶手段とを備えたことを特徴とする安全点検管理システムである。
【0006】この構成によれば、前記点検端末により、複数の点検箇所に対し予め設定された各点検項目を含む点検データが前記点検管理装置から受信され、点検操作と連動して時刻データが前記入力部からの指示を受けて内蔵のタイマより取り込まれ、前記点検管理装置から受信した前記点検データに基づき前記各点検項目を前記入力部から入力することで点検結果データが作成され、作成された前記点検結果データが前記点検管理装置に送信される。そして、前記点検管理装置により、点検作業に対する制限時間が設定され、前記点検端末から受信した前記点検結果データが前記制限時間と前記時刻データとに基づき編集して点検報告データとして作成され、作成された点検報告データが記憶されるので、点検者による実際の点検動作と連動して初めて複数の点検箇所に対し予め設定された各点検項目の入力が可能となり、点検作業を実際に行ったか否かの確認を容易に行えるとともに点検結果の信頼性の向上が図れる。
【0007】請求項2記載の発明は、前記点検結果データが、点検開始時刻と点検終了時刻とを含むことを特徴とする安全点検管理システムである。この構成によれば、点検者が点検作業を行う際に作成する点検結果データに点検開始時刻と点検終了時刻が含まれているので、点検者が点検作業に要した時間の特定に役立てられる。
【0008】請求項3記載の発明は、前記点検結果作成手段が、点検開始時刻と、点検者の識別データと,点検箇所の識別データと、点検終了時刻とを前記入力部から入力受付することにより点検結果データを作成することを特徴とする安全点検管理システムである。この構成によれば、点検者は、点検開始時刻と、点検者の識別データと、点検箇所の識別データと、点検終了時刻とを入力しなければ、作業結果である点検結果データを作成することができないため、点検作業の結果の信頼性が確保される。
【0009】請求項4記載の発明は、前記点検管理装置が、前記点検結果データ受信手段により受信した前記点検結果データに含まれる時刻データに基づき各点検項目毎に前記制限時間内に点検作業が行われたか否かを判定する判定手段を備え、前記編集手段は、前記判定手段により判定された前記制限時間内に点検作業が行われなかった点検項目に対し、点検項目毎に点検報告データにその旨の標記を含めることを特徴とする安全点検管理システムである。この構成によれば、前記点検管理装置により、受信した前記点検結果データに含まれる時刻データに基づき各点検項目毎に前記制限時間内に点検作業が行われたか否かが判定され、前記制限時間内に点検作業が行われなかった点検項目に対し、点検項目毎に点検報告データにその旨の標記が含められるので、点検者毎に制限時間内に点検作業が行われなかった点検項目のチェックを容易に行える。
【0010】請求項5記載の発明は、前記点検管理装置が、前記点検報告データに前記その旨の標記が含まれている場合、未点検データとして扱う旨の点検データを作成する点検データ作成手段と、前記点検データ作成手段により作成された該点検データを前記点検端末に送信する点検データ送信手段とを備えたことを特徴とする安全点検管理システムである。この構成によれば、前記点検管理装置により、前記点検報告データに前記その旨の標記が含まれている場合、未点検データとして扱う旨の点検データが作成され、作成された該点検データが前記点検端末に送信されるので、未点検項目の再点検を効率的に行うことができるとともに点検者が替わった場合の点検項目の申し送り事項として役立てられる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る安全点検管理システムについて適宜図面を参照しながら説明する。安全点検管理システムの対象は、産業プラントの保全管理、建物設備のメンテナンス等多岐にわたるが、以下の説明においては、ショッピングセンター等の大型商業施設での安全点検に適用した例を説明する。
【0012】図1は、本システムを示す一実施形態の概要図である。この図1に示すように、この安全点検システムは、点検端末と、点検管理装置2とから構成されており、点検端末1と、点検管理装置2とがデータ交信可能にされている。なお、点検端末1と、点検管理装置2とがLAN等のネットワークを介して相互に交信できるように構成してもよい。
【0013】まず、点検端末1から説明する。この点検端末1は、例えば、デパートやスーパー等の商業施設等において複数の点検箇所の安全点検作業等を行う際に各点検者により使用される端末である。この点検端末1は、各点検項目の入力等を行うことで点検結果データを作成し、点検管理装置2に点検結果データを送信するものである。なお、点検端末1は、ショッピングセンター等の各階フロアの守衛室や警備室等に配置しておき、点検者が安全点検を行う際に携帯して使用することが想定される。
【0014】点検端末1は、データ入力機能を備えたハンディターミナル等で構成されるものであり、識別データ等の読み取りが可能であるとともに、点検データの表示機能や通信機能を有するものである。ここで、識別データとは、例えば、識別ID、バーコード、二次元バーコードやOCR(optical character reader)等である。
【0015】また、点検端末1は、図1に示すように、CPU、メモリやハードディスク装置等の記憶手段、モニタ、スピーカ、キーボード等を含む入出力手段およびネットワーク回線3を介して他の機器と情報通信を行うモデム等を含む通信手段を備えたパーソナルコンピュータ等と、データ入力機能を備えたハンディターミナル等とで構成してもよい。
【0016】この点検端末1は、図2に示すように、機能的に、全体制御部101と、通信部102と、記憶部103と、データ入力部104と、点検結果データ作成部105と、削除処理部106と、表示部107とを備えている。図2は、点検端末1の機能ブロック図の一例である。
【0017】全体制御部101は、CPU、全体動作を制御するプログラムを記憶したROM及び処理途中のデータを一時的に保管するRAM等のメモリで構成され、点検端末1の全体の動作を制御するものである。
【0018】通信部102は、電磁波等によりデータの送受が可能な通信手段等で構成され、点検管理装置2とデータ交信可能なものである。通信部102は、全体制御部101の制御により、複数の点検箇所に対し予め設定された点検項目を含む点検データを点検管理装置2から受信する機能(点検データ受信手段)とともに、後述する点検結果作成部106により作成された点検結果データを点検管理装置2に送信する機能(点検結果データ送信手段)を備える。なお、通信部102は、上記点検結果データを電磁波などにより直接伝送する方式と、モデム等によりネットワークを介して点検結果データを伝送する方式とがあり、システムの環境に応じて適宜選択可能することが好ましい。
【0019】記憶部103は、ハードディスク装置等の不揮発性メモリやRAM等で構成されており、各点検者により後述のデータ入力部104を介して入力された各点検項目の点検結果データを各点検項目毎に一時的に記憶するものである。また、点検者の安全点検を支援するための各点検項目のガイダンスデータ等も各点検項目と対応付けて記憶する領域を有して構成されている。
【0020】データ入力部104は、識別データ等を取り込むことで各点検項目のデータ入力を行うものである。データ入力部104は、各点検者に対し、点検開始時刻と、点検者の識別データと、複数の点検箇所の識別データと、点検終了時刻とを取り込むものであるとともに、さらに点検内容をも取り込み可能に構成されている。データ入力部104は、点検者による点検操作と連動して内蔵のタイマ(図示せず)が出力する時刻データを取り込む機能(点検時刻入力受付手段)を備える。
【0021】点検結果データ作成部105は、データ入力部104により内蔵のタイマにより出力された時刻データと連動して取り込まれた各点検項目に基づいて点検結果データを作成するものである。各点検項目とは、点検開始時刻と、点検者の識別データと、点検箇所の識別データと、点検内容と、点検終了時刻とを含むものである。ここで、点検開始時刻とは、各点検者による点検作業の開始時刻を示すものである。点検者の識別データとは、例えば、バーコードやID等で構成された点検者を識別するデータである。点検箇所の識別データとは、例えば、非常口やトイレ等に貼付されたバーコードやID等である。点検内容とは、施設内の点検箇所に対し、例えば、火気、電気、ガス、喫煙の後始末や残留作業者の確認等である。点検終了時刻とは、各点検者による点検作業の終了時刻を示すものである。点検結果データ作成部105は、全体制御部101の制御により、点検データに基づき各点検項目をデータ入力部104から取り込むことで点検結果データを作成する機能(点検結果作成手段)を備える。
【0022】削除処理部106は、点検結果データ作成部105により作成された点検結果データを点検管理装置2に送信した後に削除処理するものである。表示部107は、例えば、液晶ディスプレイ等で構成されており、点検者が点検作業を行う際に各点検項目のガイダンスデータ等を参照するものである。
【0023】次に、点検管理装置2を説明する。この点検管理装置2は、点検端末に所定の点検項目を含む点検データを送信するとともに、点検端末1から点検結果データを受信し、このデータに基づき点検報告データを作成して記憶するものである。この点検管理装置2は、例えば、デパートやスーパー等の施設内の警備室等に設置されるものであり、各点検端末1とデータ交信可能なものである。
【0024】この点検管理装置2は、図3に示すように、機能的に、全体制御部201と、通信部202と、点検データ記憶部203と、点検データ管理部204と、編集処理部205(制限時間設定部205a・判定部205b)とを備えている。また、点検管理装置2は、その周辺機器として入力部206と、出力部207とを備えている。図3は、点検管理装置2の機能ブロック図を示す一例である。
【0025】全体制御部201は、CPU、全体動作を制御するプログラムを記憶したROM及び処理途中のデータを一時的に保管するRAM等のメモリで構成され、点検管理装置2の全体の動作を制御するものである。
【0026】通信部202は、各点検端末1とデータ交信を行うものである。通信部202は、点検データ等を電磁波などにより直接伝送する方式と、モデム等によりネットワークを介して点検データ等を伝送する方式とがあり、システムの環境に応じて選択可能に構成されているものである。通信部202は、全体制御部201の制御により、各点検端末1に各点検項目を含む点検データを送信する機能とともに、各点検端末1から点検結果データを受信する機能を備える。
【0027】点検データ記憶部203は、ハードディスク装置等の不揮発性メモリやRAM等で構成されており、予め複数の点検箇所の各点検項目等を記憶するものであるとともに、点検端末1から受信した点検結果データに基づき、点検項目毎に点検開始時刻、点検者の識別データ、点検箇所の識別データ、点検終了時刻や各点検項目に対する制限時間等を含む点検報告データを記憶するものである。また、点検データ記憶部203は、各点検箇所に対する点検内容をも記憶可能な領域を有して構成されている。
【0028】点検データ管理部204は、点検データ記憶部203に記憶されている点検報告データを管理するものであり、点検が行われた日時毎に管理を行うように構成されているものである。また、点検データ管理部204は、点検データ記憶部203に記憶されている複数の点検箇所に対し予め設定された各点検項目を含む点検データを管理するものである。
【0029】編集処理部205は、制限時間設定部205aと、点検作業時間算出部205bと、判定部205cとを備え、点検端末1から送信された点検結果データを予め設定された各制限時間と各点検項目が入力された時刻データとに基づき編集して点検報告データとして作成する(編集手段)とともに、後述する判定部205bにより判定された点検作業に対する制限時間内に点検作業が行われなかった点検項目に対し、点検項目毎にその旨の標記を含めて点検報告データを作成するものである。また、編集処理部205は、作成した点検報告データに未点検データとして扱う旨の標記が含まれている場合、未点検データとして扱う旨の点検データを作成する機能(点検データ作成手段)を備える。なお、通信部202は、全体制御部201の制御により、作成された未点検データとして扱う旨の点検データを点検端末1に送信する機能(点検データ送信手段)を備える。
【0030】制限時間設定部205aは、点検作業に対する制限時間を設定するもの(制限時間設定手段)であり、例えば、キーボード等の入力部等からオペレータ等により入力されることで設定するものである。制限時間とは、点検者が通常点検作業に要する時間であり、点検項目の数や点検内容等に応じて予め決定されるものである。
【0031】判定部205cは、点検端末1から受信した点検結果データに含まれる各点検項目毎の点検開始時刻と点検終了時刻との差を算出し、各点検項目毎に制限時間内に点検作業が行われ終了したか否かを判定するもの(判定手段)である。
【0032】次に、各点検者により使用される点検端末1の処理手順を示す。図4は、点検端末1の処理手順の一例である。
【0033】まず、点検端末1は、点検者の点検操作により点検開始時刻を内蔵のタイマと連動してデータ入力部104から取り込み(ステップS300)、この点検開始時刻に点検を行う点検データの送信要求を通信部101により点検管理装置2に送信する(ステップS305)。この要求を受信した点検管理装置2は、点検データ記憶部203からこの点検開始時刻に点検を行う点検データを順次読み出し、通信部202により点検端末1に送信する(ステップS310)。
【0034】点検データを受信した点検端末1は、データ入力部104から点検者の識別データ(バーコードやID等)を取り込むと(ステップS315)、点検者が点検作業を行う点検項目を表示部107に表示する(ステップS320)。なお、点検項目とともに点検項目毎のガイダンス等を表示してもよい。
【0035】点検者が表示部107で表示されている点検項目ガイダンスに従い、複数の点検箇所(非常口、トイレや喫煙場所等)に貼付されている識別データ(バーコードやID等)をデータ入力部104から取り込むことで、点検箇所の識別データを得ると(ステップS325)、この識別データで示される点検箇所の点検内容が表示部107に表示される(ステップS330)。
【0036】点検者によりデータ入力部104から点検内容が取り込まれ、識別データに対する点検内容を得ると(ステップS335)、この点検箇所の点検作業を終了する。
【0037】ステップS325〜ステップ335の手順を繰り返して全ての点検箇所の点検作業が終了すると(ステップS340でYES)、点検端末1は、点検者によりデータ入力部104から点検終了時刻を取り込むことで点検終了時刻が得られる(ステップS345)。
【0038】上記手順により点検結果データが作成されると、点検端末1は、通信部101により、この点検結果データを点検管理装置2に送信する(ステップS350)。また、点検端末1は、削除処理部106により、送信済みの点検結果データを消去する(ステップS355)。
【0039】つづいて、点検管理装置2が点検端末1から点検結果データを受信して、点検報告データを作成するまでの流れについて説明する。図5は、点検管理装置2の処理手順の一例である。
【0040】点検管理装置2は、点検結果データを点検端末1から通信部202により、受信し(ステップS400)、このデータを読み込む(ステップS405)とともに、編集部205により、点検項目毎に点検開始時刻と点検終了時刻とを読み出して制限時間内か否かを判定する(ステップS410)。
【0041】点検管理装置2は、判定部205bにより、点検項目における点検者の点検作業時間が制限時間内である場合(ステップS415でYES)、ステップS425に進み、制限時間オーバーである場合(ステップS415でNO)、この点検項目を未点検である旨のデータとして標記し(ステップS420)、制限時間結果データを作成する(ステップS425)。
【0042】点検管理装置2は、すべての点検項目について制限時間結果データを作成し(ステップS430でYES)、点検報告データを作成する(ステップS430)。点検管理装置2は、すべての点検項目について制限時間結果データを作成するまで(ステップS430でYES)ステップS410〜ステップS425の手順を繰り返す。
【0043】点検管理装置1は、作成した点検報告データを点検データ記憶部203に記憶する(ステップS435)。点検報告データをプリンタ等の出力部207から出力する(ステップS440)とともに、次回の点検データとして、例えば、未点検データとして扱う旨の点検データを未点検リストとしてプリンタ等の出力部207から出力する(ステップS445)。図6は、点検報告データを出力した点検報告書の一例である。
【0044】点検管理装置2は、通信部202により、未点検データとして扱う旨の点検データ(未点検データ)を点検データとして点検端末1に送信する。このように、1回目の点検報告データに基づく未点検項目を未点検データとして点検端末1に送信することで、2回目以降には、この未点検データに基づく点検項目のみの点検作業を行うだけでよいので、点検者の作業が効率的に軽減される。
【0045】以上のような安全点検管理システムによれば、点検者による実際の点検動作と連動して初めて複数の点検箇所に対し予め設定された各点検項目の入力が可能となり、点検作業を実際に行ったか否かの確認を容易に行うことができると共に点検結果の信頼性の向上を図ることができる。
【0046】また、点検者が点検作業に要した時間の特定に役立てることができる。
【0047】また、点検者は、点検開始時刻と、点検者の識別データ(バーコードやID等)と、点検箇所の識別データ(バーコードやID等)と、点検終了時刻とを入力しなければ、作業結果である点検結果データを作成することができないため、点検作業の結果の信頼性を確保することができる。
【0048】また、点検者毎に制限時間内に点検作業のできなかった点検項目のチェックを容易に行うことができる。
【0049】また、未点検項目の再点検を効率的に行うことができるとともに、点検者が替わった場合の点検項目の申し送り事項として役立てられる。
【0050】以上、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明にかかる安全点検管理システムは、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように構成してもよい。
【0051】(1)上記実施形態においては、点検管理装置2の処理手順において、点検管理装置2は、点検端末1から受信した点検結果データに基づき、制限時間内に点検作業が行われなかった点検項目を内容にかかわらず未点検データとして扱うように構成したが、未点検データ以外の別の項目として表わすように構成してもよい。例えば、時間外点検データ等である。
【0052】(2)上記実施形態においては、点検管理装置2により、点検報告データとして点検者毎の点検作業が制限時間内に行われたか否かを判定するように構成したが、点検報告データに点検端末1のデータ入力部104から各点検箇所の識別データを取り込んだ時刻をも含めてもよい。このように構成すれば、各点検箇所での点検作業に要する所要時間の特定に役立てることができると共に各点検者の点検作業の内容をさらに詳細に管理することができる。
【0053】(3)上記実施形態においては、点検箇所の識別データは、バーコードやID等であるが、点検箇所の識別データとして、RFID(Radio Frequency Identification)を利用してもよい。点検箇所の識別データとしてRFIDを用いることで、点検者が実際に点検箇所で作業を行った信頼性が確保されることになる。
【0054】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、点検者による実際の点検動作と連動して初めて複数の点検箇所に対し予め設定された各点検項目の入力が可能となり、点検作業を実際に行ったか否かの確認を容易に行うことができると共に点検結果の信頼性の向上を図ることができる。
【0055】請求項2記載の発明によれば、点検者が点検作業に要した時間の特定に役立てることができる。
【0056】請求項3記載の発明によれば、点検者は、点検開始時刻と、点検者の識別データと、点検箇所の識別データと、点検終了時刻とを入力しなければ、作業結果である点検結果データを作成することができないため、点検作業の結果の信頼性を確保することができる。
【0057】請求項4記載の発明によれば、点検者毎に制限時間内に点検作業のできなかった点検項目のチェックを容易に行うことができる。
【0058】請求項5記載の発明によれば、未点検項目の再点検を効率的に行うことができるとともに、点検者が替わった場合の点検項目の申し送り事項として役立てられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本システムを示す一実施形態の概要図である。
【図2】 点検端末1の機能ブロック図である。
【図3】 点検管理装置2の機能ブロック図である。
【図4】 点検端末1の処理手順の一例を示す図である。
【図5】 点検管理装置2の処理手順の一例を示す図である。
【図6】 点検報告データを出力した点検報告書の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 点検端末
2 点検管理装置
101、201 全体制御部
102、202 通信部
103 記憶部
104 データ入力部
105 点検結果データ作成部
106 削除処理部
107 表示部
203 点検データ記憶部
204 点検データ管理部
205 編集処理部
205a 制限時間設定部
205b 判定部
206 入力部
207 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の点検箇所を巡回路に従って順次点検を行う際に点検者により使用されるデータ入力可能な入力部を有する携帯型の点検端末と、通信機能及びデータ管理機能を有する点検管理装置とがデータ交信可能にされた安全点検管理システムであって、前記点検端末は、複数の点検箇所に対し予め設定された各点検項目を含む点検データを前記点検管理装置から受信する点検データ受信手段と、点検操作と連動して時刻データを前記入力部からの指示を受けて内蔵のタイマより取り込む点検時刻入力受付手段と、前記点検管理装置から受信した前記点検データに基づき前記各点検項目を前記入力部から入力することで点検結果データを作成する点検結果作成手段と、前記点検結果作成手段により作成された前記点検結果データを前記点検管理装置に送信する点検結果データ送信手段とを備え、前記点検管理装置は、点検作業に対する制限時間を設定する制限時間設定手段と、前記点検端末から受信した前記点検結果データを前記制限時間と前記時刻データとに基づき編集して点検報告データとして作成する編集手段と、前記編集手段により作成された点検報告データを記憶する点検報告データ記憶手段とを備えたことを特徴とする安全点検管理システム。
【請求項2】 前記時刻データは、点検開始時刻と点検終了時刻とを含むことを特徴とする請求項1記載の安全点検管理システム。
【請求項3】 前記点検結果作成手段は、点検開始時刻と、点検者の識別データと,点検箇所の識別データと、点検終了時刻とを前記入力部から入力受付することにより点検結果データを作成することを特徴とする請求項1又は2記載の安全点検管理システム。
【請求項4】 前記点検管理装置は、前記点検結果データ受信手段により受信した前記点検結果データに含まれる時刻データに基づき各点検項目毎に前記制限時間内に点検作業が行われたか否かを判定する判定手段を備え、前記編集手段は、前記判定手段により判定された前記制限時間内に点検作業が行われなかった点検項目に対し、点検項目毎に点検報告データにその旨の標記を含めることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の安全点検管理システム。
【請求項5】 前記点検管理装置は、前記点検報告データに前記その旨の標記が含まれている場合、未点検データとして扱う旨の点検データを作成する点検データ作成手段と、前記点検データ作成手段により作成された該点検データを前記点検端末に送信する点検データ送信手段とを備えたことを特徴とする請求項4記載の安全点検管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2002−298272(P2002−298272A)
【公開日】平成14年10月11日(2002.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−101030(P2001−101030)
【出願日】平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願人】(593186367)
【Fターム(参考)】