説明

安否確認システム、安否確認方法

【課題】発信者が所定の相手へネットワーク経由で連絡をとろうとした際に、輻輳等によってネットワーク接続できない場合であっても、自動的に安否情報を保管し、その安否情報を適切な相手にだけ適宜伝達することを課題とする。
【解決手段】本発明の安否確認システム100では、発信端末5からの発信が呼損となったときに、それがネットワークの輻輳等に起因するときは、発信端末5の位置情報、識別子、および、着信先の識別子、を含む安否情報を安否情報サーバ4に保存する。さらに、発信元と着信先の各識別子が逆の安否情報が安否情報サーバ4に記憶されていれば、当該逆の安否情報を、安否情報サーバ4から、SIPサーバ2を経由して、発信が呼損となった通信端末に送信する。これにより、自動的に安否情報を保管し、その安否情報を適切な相手にだけ適宜伝達することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時等における安否確認に用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、災害時には、一般に、被災者に対してその家族、知人等は安否確認のために連絡をとろうとし、また、被災者は家族、知人等に自身の無事を伝えるために連絡をとろうとする。そのような場合、電話や電子メール等、通信ネットワーク(以下、単に「ネットワーク」と称する。)を用いた技術が利用される。
【0003】
しかし、例えば、地震等の大規模な災害時には、ネットワークの輻輳等により、ネットワークにおいて通信不能状態が長時間続く場合がある。そこで、従来のサービスとして、例えば、通信事業者による災害用伝言ダイヤルサービスがある(非特許文献1参照)。図3(a)に示すように、災害用伝言ダイヤルサービスでは、例えば、発信者は、携帯電話によって無線基地局とSIP(Session Initiation Protocol)サーバを経由して伝言管理サーバにアクセスして伝言(音声)を登録する。その後、確認者は、固定電話によってSIPサーバを経由して伝言管理サーバにアクセスしてその伝言を確認する(聞く)ことができる。
【0004】
また、従来の他のサービスとして、例えば、通信事業者による災害用伝言板サービスがある(非特許文献2参照)。図3(b)に示すように、災害用伝言板サービスでは、例えば、発信者は、パソコンによってWEB上の伝言板管理サーバにアクセスしてメッセージ(テキストデータ等)を登録する。その後、確認者は、パソコンによって伝言板管理サーバにアクセスしてメッセージを確認する(見る)ことができる。なお、個人情報保護等の観点から、確認者はメッセージを確認する際にパスワード入力を求められる場合が多い。
【0005】
これらの従来技術によれば、リアルタイム性は多少損なわれるが、ネットワーク上に音声やテキストデータ等を登録することで、安否確認を可能としている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】”災害用伝言ダイヤル”、[online]、NTT東日本、[平成23年11月9日検索]、インターネット<URL:http://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/index.html>
【非特許文献2】”災害用伝言板”、[online]、NTTdocomo、[平成23年11月9日検索]、インターネット<URL:http://www.nttdocomo.co.jp/info/disaster/index.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記した従来技術では、相手との直接的な通信接続は不要だが、音声やテキストデータを保管するためにネットワーク接続は必要であり、ネットワーク接続できない場合は安否情報(安否確認に関する情報)を登録したり確認したりできない。また、特定の相手に限定して安否情報を伝えるには、相手と事前にパスワードを共有しておく必要があり、手間がかかる、あるいは、パスワードを忘れた場合には安否情報の伝達ができない、という問題がある。一方、当該パスワードを設定しなければ安否情報の伝達が容易になるが、全ての利用者に個人情報が公開されてしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発信者が所定の相手へネットワーク経由で連絡をとろうとした際に、輻輳等によってネットワーク接続できない場合であっても、自動的に安否情報を保管し、その安否情報を適切な相手にだけ適宜伝達することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、複数の通信端末が1つ以上の通信制御サーバを介して通信を行うネットワークにおける安否確認システムであって、前記1つ以上の通信制御サーバと、前記通信端末の位置情報を記憶する位置情報サーバと、呼損した場合の発信側の通信端末の識別子、位置情報、および、着信側の通信端末の識別子、を含む安否情報を記憶する安否情報サーバと、を備えており、前記通信制御サーバは、前記安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるか否かを判定するための情報である安否情報登録要否判定用情報を記憶する記憶部と、発信側の通信端末からの発信が呼損となったとき、前記記憶部に記憶された安否情報登録要否判定用情報を参照して、当該呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、前記位置情報サーバから当該発信側の通信端末の位置情報を取得して、当該発信側の通信端末の識別子、前記取得した位置情報、および、着信側の通信端末の識別子、を含む安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるとともに、当該安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が逆の安否情報が前記安否情報サーバに記憶されている場合、当該逆の安否情報を、前記安否情報サーバから取得し、前記発信側の通信端末に送信する処理部と、を備えることを特徴とする安否確認システムである。
また、前記安否情報登録要否判定用情報は、例えば、前記呼損の原因が前記ネットワークの輻輳であることを、前記安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させることの条件とする旨の情報である。
【0010】
これによれば、通信端末からの発信が呼損となったときに、それがネットワークの輻輳等に起因するときは、発信側の通信端末の位置情報、識別子、および、着信側の通信端末の識別子、を含む安否情報を安否情報サーバに保存する。さらに、発信元(発信側の通信端末)と着信先(着信側の通信端末)の各識別子が逆の安否情報が安否情報サーバに記憶されていれば、当該逆の安否情報を、安否情報サーバから、通信制御サーバを経由して、発信側の通信端末に送信する。これにより、自動的に安否情報を保管し、その安否情報を適切な相手にだけ適宜伝達することができる。
【0011】
また、前記通信制御サーバの処理部は、前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、当該安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるか否かを確認するためのメッセージを、前記発信側の通信端末に送信する。
【0012】
これにより、通信制御サーバは、安否情報の保存の可否を柔軟に決定することができる。
【0013】
また、前記通信制御サーバの処理部は、前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、当該安否情報を前記安否情報サーバによって前記ネットワーク上で公開するか否かを確認するためのメッセージを、前記発信側の通信端末に送信する。
【0014】
これにより、通信制御サーバは、安否情報のネットワーク上での公開の可否を、柔軟に決定することができる。
【0015】
また、前記通信制御サーバの記憶部は、前記安否情報サーバに送信した安否情報の履歴である安否情報登録履歴を、さらに記憶しており、前記通信制御サーバの処理部は、前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、前記安否情報登録履歴を参照して、当該呼損に関する安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報を所定時間内に前記安否情報サーバに送信して記憶させていたときには、前記呼損に関する安否情報の前記安否情報サーバへの送信をキャンセルする。
【0016】
これにより、通信制御サーバは、発信元と着信先の各識別子が同一の安否情報を重複して安否情報サーバに送信しないことで、処理負担を軽減することができる。
【0017】
また、前記通信制御サーバの記憶部は、前記安否情報サーバに送信した前記安否情報の履歴である安否情報登録履歴を、さらに記憶しており、前記通信制御サーバの処理部は、前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、前記安否情報登録履歴を参照して、当該呼損に関する安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報を所定時間内に前記安否情報サーバに送信して記憶させていたときには、前記呼損に関する安否情報を用いた当該同一の安否情報の更新を前記安否情報サーバに指示する。
【0018】
これにより、通信制御サーバは、発信元と着信先の各識別子が同一の安否情報を、新規ではなく更新として安否情報サーバに送信(指示)することで、安否情報の精度を向上することができる。
【0019】
また、前記通信制御サーバの記憶部は、前記安否情報サーバに送信した前記安否情報の履歴である安否情報登録履歴を、さらに記憶しており、前記通信制御サーバの処理部は、前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、前記安否情報登録履歴を参照して、当該呼損に関する安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報を所定時間内に前記安否情報サーバに送信して記憶させていたときには、前記安否情報登録履歴において、前記呼損に関する安否情報を用いて当該同一の安否情報の履歴を更新する。
【0020】
これにより、通信制御サーバは、発信元と着信先の各識別子が同一の安否情報については、安否情報登録履歴に新規追加するのではなく更新とすることで、履歴の精度を向上することができる。
【0021】
また、前記通信制御サーバの処理部は、発信側の通信端末から着信側の通信端末への発信による接続が成立したとき、前記安否情報登録履歴を参照して、当該接続と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報があった場合には、前記安否情報登録履歴から当該同一の安否情報の履歴を削除する。
【0022】
これにより、通信制御サーバは、不要となった安否情報の履歴を安否情報登録履歴から削除することで、記憶する情報の量を低減することができる。
【0023】
また、前記通信制御サーバの処理部は、前記安否情報登録履歴から前記同一の安否情報の履歴を削除するとともに、前記安否情報サーバに、当該同一の安否情報の削除を指示する。
【0024】
これにより、安否情報サーバにおいて、不要となった安否情報が削除されるので、記憶する情報の量が低減する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、発信者が所定の相手へネットワーク経由で連絡をとろうとした際に、輻輳等によってネットワーク接続できない場合であっても、自動的に安否情報を保管し、その安否情報を適切な相手にだけ適宜伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態の安否確認システムの全体構成図である。
【図2A】本実施形態の安否確認システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図2B】本実施形態の安否確認システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】(a)は従来技術の災害用伝言ダイヤルサービスの説明図で、(b)は従来技術の災害用伝言板サービスの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する。)について、図面を参照(言及図以外の図も適宜参照)しながら説明する。
図1に示すように、安否確認システム100は、位置情報サーバ1、SIPサーバ2,3(通信制御サーバ)、安否情報サーバ4を備えて構成される。また、安否確認システム100に対して直接的または間接的に通信を行う装置として、発信端末5、無線機器521、GPS(Global Positioning System)衛星54、無線基地局55、ルータ56、着信者固定電話61、第三者パソコン62がある。なお、これらの各装置は、入力部、出力部、通信部、処理部、記憶部等を備えているが、以下では、本実施形態の技術的特徴と直接関係のない構成についての説明は、適宜省略する。また、本実施形態では、先に連絡をとろうとする者(またはその装置)を「発信者」と称し、その相手(またはその装置)を「着信者(着信未成立の場合も含む。)」または「着信先(着信未成立の場合も含む。)」と称し、それら以外の者を「第三者」と称する。
【0028】
安否確認システム100の概要を説明すると、次の通りである。発信端末5から任意の着信者への呼接続が成立しない(「不完了呼」である)場合、発信者の位置情報等を安否情報として安否情報サーバ4に登録する。そして、着信者(または第三者)の端末(装置)からその発信者への発呼の際に、その着信者(または第三者)の端末へ安否情報を通知する。以下、各装置や扱う情報などについて説明する。
【0029】
発信端末5は、発信者が使用する通信装置で、ここでは、発信者携帯電話51、発信者パソコン52、発信者固定電話53がある。
無線機器521は、発信者パソコン52をネットワークに接続するための装置である。なお、発信者パソコン52と無線機器521における通信は、例えば、WiFi(登録商標)による無線LAN(Local Area Network)によって実現される。
GPS衛星54は、複数あり、それぞれが所定波長の電波で時刻を含むデータを地上に送信する。
【0030】
無線基地局55は、発信者携帯電話51を含む携帯電話(不図示)のアクセスポイントである。
ルータ56は、データの中継装置である。
着信者固定電話61は、着信者が使用する固定電話である。
第三者パソコン62は、第三者が使用するパソコンである。
【0031】
位置情報サーバ1は、発信端末5の位置情報を取得、保存するコンピュータ装置であり、処理部11、記憶部12を備えている。記憶部12には、少なくとも次の3つの情報が保存される。
<GPS測位情報>
GPS測位情報は、GPS機能を有する発信者携帯電話51から取得する、その発信者携帯電話51の位置情報である。
【0032】
<無線基地局位置情報>
無線基地局位置情報は、GPS機能を有していない発信者携帯電話51の位置の近似情報として予め記憶しておく無線基地局55(またはその発信エリア)の位置情報である。
<無線機器・固定端末位置情報>
無線機器・固定端末位置情報は、発信者パソコン52に対応する無線機器521の位置情報や、固定端末である発信者固定電話53の位置情報(ホームネットワークの位置情報でもよい。)である。
【0033】
次に、SIPサーバ2,3について、代表してSIPサーバ2を例にとって説明する。
SIPサーバ2は、処理部21と、安否情報サーバ4に安否情報の登録を行う必要があるか否かを判定するための次の2つの情報を保持する記憶部22と、を備えている。
【0034】
<安否情報登録要否判定用情報>
安否情報登録要否判定用情報は、ネットワークのステータス情報を含む情報であり、ネットワークの輻輳等の特定の状況によって発信端末5からの不完了呼を、安否情報の登録を行う必要があると判定するための情報である。つまり、例えば、発信端末5からの発信の呼損の原因がネットワークの輻輳であることを、安否情報の登録の条件とする。
【0035】
また、SIPサーバ2は、安否情報の登録が必要な状況で、安否情報を安否情報サーバ4へ転送する場合、過去の不完了呼と同一の発信者番号と着信者番号の組合せによる安否情報の転送を一時的に規制して更新頻度を軽減するために、記憶部22に次の情報を保持する。
【0036】
<安否情報登録履歴>
安否情報登録履歴は、SIPサーバ2が安否情報を安否情報サーバ4へ転送した場合の、該当呼(不完了呼)の発信者番号(電話番号)と着信者番号(電話番号)の組合せの情報である。前記したように、SIPサーバ2は、この安否情報登録履歴を用いて、以後の不完了呼の安否情報の転送の要否を判定する。なお、SIPサーバ2は、不完了呼と同一の発信者番号と着信者番号の組合せによる完了呼(呼接続が成立したこと)があった場合に、対応する安否情報登録履歴を削除する。
【0037】
安否情報登録履歴のイメージは次の表1の通りである。なお、発信者番号(識別子)と着信者番号(識別子)は、実際は、例えば10桁の数字である。
【表1】

【0038】
また、安否情報サーバ4は、処理部41と、SIPサーバ2,3から受信する次のような安否情報を記憶する記憶部42と、を備える。
<安否情報>
安否情報は、発信者の使用する発信端末5の位置情報、識別子、および、着信先の前記通信端末の識別子、を含む情報である。なお、安否情報は、他に、位置情報取得時の日時情報等を含んでいてもよい。
【0039】
次に、安否確認システム100における処理について、図2A、図2Bのフローチャート(符号「A」、「B」の部分でつながっている。)を参照して説明する。以下の処理は、ネットワークの輻輳等の条件下において発信者の発呼を契機に各装置が自律的に実施する。なお、位置情報サーバ1の記憶部12のGPS測位情報、無線基地局位置情報、無線機器・固定端末位置情報と、SIPサーバ2の記憶部22における安否情報登録要否判定用情報は、予め記憶されている。ただし、GPS測位情報は必要時に適宜取得するようにしてもよい。
【0040】
また、位置情報サーバ1における動作主体は処理部11であるが、説明を簡潔にする都合上、動作主体を「位置情報サーバ1」と記載する。SIPサーバ2、安否情報サーバ4についても同様である。また、図2A、図2Bにおいて、「(sN)」(Nは自然数)は処理や判定の内容を示し、「(bN)」(Nは自然数)は分岐条件を示す。
【0041】
まず、発信端末5からの発信があった場合(s1)、SIPサーバ2は、SIPサーバ2側(発信エリア)の呼接続判定(その発信の接続処理が可能か否かの判定)を行う(s2)。
SIPサーバ2側の状態によって発信端末5からの発信が規制され不完了呼となる場合(b7)、SIPサーバ2は記憶部22の安否情報登録要否判定用情報を参照し、当該不完了呼の発信者の安否情報を登録する必要があるか否かを判定する(s11)。
【0042】
安否情報の登録が必要な場合(b9)、以下の処理が自動的に実施される。まず、SIPサーバ2は記憶部22の安否情報登録履歴を参照し(前記表1参照)、過去に当該不完了呼の発信者番号と着信者番号の組合せと同一の(つまり、同発着の)安否情報登録履歴があるか否かを判定する(s12)。同発着の安否情報登録履歴が存在する場合(b10)、SIPサーバ2は、登録更新に関するタイマ値等の条件に従い、安否情報サーバ4に対して当該安否情報の更新を指示して(s13)、発信を切断し(s10)、処理を終了する。なお、前回の更新から時間があまり経過していない場合などは、(s13)の処理を省略してもよい。
【0043】
同発着の安否情報登録履歴が存在しない場合(b11)、SIPサーバ2は、安否情報の登録の実施に先立ち、事前に発信者(発信端末5)に発着信番号や位置情報などの安否情報の転送や公開の可否を確認する(そのような確認メーセッジを送信する)(s14)。確認結果が可の(発信者から転送、公開の承認があった)場合(b12)、SIPサーバ2は、発信者、着信者を識別できる情報を保持して、発信者からの呼を切断する(s15)。呼を切断した上で、発信者に関する位置情報の取得を、位置情報サーバ1を介して試みる((s16)以降)。なお、確認結果が不可の(発信者から転送、公開の承認がなかった)場合(b13)、SIPサーバ2は、発信を切断し(s10)、処理を終了する。
【0044】
(s15)の後、発信端末5の種類によって取得情報が選択される(s16)。発信端末が無線機器521を経由する場合(つまり、発信者パソコン52である場合)(b15)、SIPサーバ2は、位置情報サーバ1の記憶部12から無線機器・固定端末位置情報を取得し(s19)、安否情報にその位置情報を設定する(s22)。
【0045】
発信端末5が発信者携帯電話51の場合(b14)、SIPサーバ2は、GPS測位情報に関する判定を行う(s18)。GPS測位情報を位置情報として取得可能な場合(発信者携帯電話51がGPS機能に対応している場合)(b16)、SIPサーバ2は、位置情報サーバ1の記憶部12からGPS測位情報を取得し、安否情報にその位置情報を設定する(s22)。
【0046】
GPS測位情報を位置情報として取得できない場合(発信者携帯電話51がGPS機能に対応していない場合)(b17)、SIPサーバ2は、位置情報サーバ1の記憶部12から無線基地局55に関する情報を取得し(s20)、無線基地局位置情報による判定を行う(s21)。
【0047】
無線基地局位置情報を位置情報として取得可能な場合(b18)、SIPサーバ2は、無線基地局55に関する情報から無線基地局位置情報を抽出し、安否情報にその位置情報を設定する(s22)。
【0048】
発信端末5が、固定端末(発信者固定電話53)の場合(b13)、SIPサーバ2は、位置情報サーバ1の記憶部12から固定契約の無線機器・固定端末位置情報を取得し(s17)、安否情報にその位置情報を設定する(s22)。
【0049】
このように、SIPサーバ2は、発信端末5の種類に応じて、位置情報サーバ1から発信端末5に関連する位置情報を取得することができる。
【0050】
(s22)または(b19)の後、SIPサーバ2は、安否情報((s22)を経由していれば位置情報を含んでいる。)を、安否情報サーバ4へ転送する(s23)。
【0051】
安否情報サーバ4は、SIPサーバ2から受信した安否情報を記憶部42に登録する(s24)。
次に、SIPサーバ2は、当該安否情報による判定を行う(s25)。SIPサーバ2は、(s23)、(s24)の際に、安否情報サーバ4の記憶部42に、当該安否情報の逆方向(着信者から発信者)の安否情報があるか否かを判定する(s25)。
【0052】
逆方向(着信者から発信者)の安否情報があった場合(b21)、SIPサーバ2は、安否情報サーバ4から当該逆方向の安否情報を取得し(s26)、その取得した安否情報を発信端末5に通知する(s27)。
【0053】
逆方向(着信者から発信者)の安否情報がない場合(b20)、または、(s27)の後、SIPサーバ2は、記憶部22の安否情報登録履歴を更新する(s28)。具体的には、当該不完了呼の発信者番号と着信者番号の組合せによる安否情報の安否情報サーバ4への登録が実施済みとして、SIPサーバ2の記憶部22の安否情報登録履歴の更新を行う。
【0054】
次に、(s2)に戻って、着信者の状態(ネットワークの輻輳等)によって発信端末5からの発信が規制された(不完了呼が発生した)場合(b4)、SIPサーバ2は安否情報サーバ4へ安否情報を送信する(s7)。
安否情報サーバ4は、受信した安否情報と同発着組合せで逆方向の安否情報が記憶部42にあるか否か判定する(s8)。
【0055】
当該逆方向の安否情報があった場合(b6)、その結果を受けたSIPサーバ2は発信端末5へ当該逆方向の安否情報を通知し(s9)、発信を切断し(s10)、処理を終了する。
当該逆方向の安否情報がなかった場合(b5)、その結果を受けたSIPサーバ2は、発信を切断し(s10)、処理を終了する。
【0056】
また、(s2)に戻って、SIPサーバ2における着信者への接続が問題ない場合は通常接続が行われる(b1)。その際、SIPサーバ2は、安否情報登録履歴による判定を行う(s3)。
同発着組合せの安否情報登録履歴が存在する場合(b3)、本呼接続により発信者と着信者は意思の疎通を図ることができ、該当する安否情報を着信者へ自動送信する必要がなくなっていることから、安否情報サーバ4は記憶部42に保持していた該当する安否情報を削除し(s4)、SIPサーバ2は記憶部22の安否情報登録履歴における該当する履歴を削除し(s5)、通常接続に移行し(s6)、処理を終了する。
【0057】
同発着組合せの安否情報登録履歴が存在しない場合(b2)、SIPサーバ2は、通常接続に移行し(s6)、処理を終了する。
【0058】
このようにして、本実施形態の安否確認システム100によれば、発信端末5からの発信が呼損となったときに、それがネットワークの輻輳等に起因するときは、発信端末5の位置情報、識別子、および、着信先の識別子、を含む安否情報を安否情報サーバ4に保存する。さらに、発信元と着信先の各識別子が逆の安否情報が安否情報サーバ4に記憶されていれば、当該逆の安否情報を、安否情報サーバ4から、SIPサーバ2を経由して、発信側の通信端末に送信する。これにより、自動的に安否情報を保管し、その安否情報を適切な相手にだけ適宜伝達することができる。そして、このような仕組みにより、発信端末5、着信者固定電話61、第三者パソコン62等には特別な機能を実装する必要がなく、実現のためのコストや手間が少なく済む。また、安否情報を音声データ以外としたことで、全体の処理負担を軽くし、輻輳の軽減に寄与できる。
【0059】
また、SIPサーバ2は、安否情報を保存する必要があると判定した場合、その保存の可否を確認するためのメッセージを発信端末5に送信し、その返信内容によって保存するか否かを柔軟に決定することができる。
【0060】
また、SIPサーバ2は、安否情報を保存する必要があると判定した場合、ネットワーク(インターネット等)上でのその安否情報の公開の可否を確認するためのメッセージを発信端末5に送信し、その返信内容によって公開するか否かを柔軟に決定することができる。なお、安否情報をネットワーク上で第三者パソコン62等に対して公開する場合、個人情報保護や情報セキュリティを考慮した公開の方法を採用してもよい。具体的には、例えば、発信端末5を特定する情報に対して安否情報が存在することのみを公開すればよい。
【0061】
また、SIPサーバ2は、安否情報登録履歴を記憶しており、発信元と着信先の各識別子が同一の安否情報を所定時間内に安否情報サーバ4に送信していたときには、その安否情報の安否情報サーバ4への送信をキャンセルすることで、必要性の低い処理の実行を回避し、処理負担を軽減することができる。
【0062】
また、SIPサーバ2は、発信元と着信先の識別子が同一の安否情報を所定時間内に安否情報サーバ4に送信していたときには、安否情報の新規登録ではなく更新を安否情報サーバ4に指示することで、安否情報の精度を向上することができる。
【0063】
また、SIPサーバ2は、発信元と着信先の識別子が同一の安否情報を所定時間内に安否情報サーバ4に送信していたときには、自身の安否情報登録履歴における当該安否情報の履歴を更新することで、履歴の精度を向上することができる。
【0064】
また、SIPサーバ2は、発信端末5からの発信が着信先に接続したとき、自身の記憶部22の安否情報登録履歴を参照して、発信元と着信先の識別子が同一の安否情報があった場合には、記憶部22の安否情報登録履歴から当該安否情報を削除することで、記憶する情報の量を低減することができる。その際、SIPサーバ2は、併せて、安否情報サーバ4に当該安否情報の削除を指示することで、安否情報サーバ4における記憶する情報の量を低減することができる。
【0065】
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。具体的な構成や処理について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 位置情報サーバ
2,3 SIPサーバ
4 安否情報サーバ
5 発信端末
11 処理部
12 記憶部
21 処理部
22 記憶部
41 処理部
42 記憶部
51 発信者携帯電話
52 発信者パソコン
53 発信者固定電話
54 GPS衛星
55 無線基地局
56 ルータ
61 着信者固定電話
62 第三者パソコン
100 安否確認システム
521 無線機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末が1つ以上の通信制御サーバを介して通信を行うネットワークにおける安否確認システムであって、
前記1つ以上の通信制御サーバと、
前記通信端末の位置情報を記憶する位置情報サーバと、
呼損した場合の発信側の通信端末の識別子、位置情報、および、着信側の通信端末の識別子、を含む安否情報を記憶する安否情報サーバと、を備えており、
前記通信制御サーバは、
前記安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるか否かを判定するための情報である安否情報登録要否判定用情報を記憶する記憶部と、
発信側の通信端末からの発信が呼損となったとき、前記記憶部に記憶された安否情報登録要否判定用情報を参照して、当該呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、
前記位置情報サーバから当該発信側の通信端末の位置情報を取得して、当該発信側の通信端末の識別子、前記取得した位置情報、および、着信側の通信端末の識別子、を含む安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるとともに、
当該安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が逆の安否情報が前記安否情報サーバに記憶されている場合、当該逆の安否情報を、前記安否情報サーバから取得し、前記発信側の通信端末に送信する処理部と、を備える
ことを特徴とする安否確認システム。
【請求項2】
前記通信制御サーバの処理部は、
前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、
当該安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるか否かを確認するためのメッセージを、前記発信側の通信端末に送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の安否確認システム。
【請求項3】
前記通信制御サーバの処理部は、
前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、
当該安否情報を前記安否情報サーバによって前記ネットワーク上で公開するか否かを確認するためのメッセージを、前記発信側の通信端末に送信する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の安否確認システム。
【請求項4】
前記通信制御サーバの記憶部は、
前記安否情報サーバに送信した安否情報の履歴である安否情報登録履歴を、さらに記憶しており、
前記通信制御サーバの処理部は、
前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、
前記安否情報登録履歴を参照して、当該呼損に関する安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報を所定時間内に前記安否情報サーバに送信して記憶させていたときには、前記呼損に関する安否情報の前記安否情報サーバへの送信をキャンセルする
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項5】
前記通信制御サーバの記憶部は、
前記安否情報サーバに送信した前記安否情報の履歴である安否情報登録履歴を、さらに記憶しており、
前記通信制御サーバの処理部は、
前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、
前記安否情報登録履歴を参照して、当該呼損に関する安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報を所定時間内に前記安否情報サーバに送信して記憶させていたときには、前記呼損に関する安否情報を用いた当該同一の安否情報の更新を前記安否情報サーバに指示する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項6】
前記通信制御サーバの記憶部は、
前記安否情報サーバに送信した前記安否情報の履歴である安否情報登録履歴を、さらに記憶しており、
前記通信制御サーバの処理部は、
前記呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、
前記安否情報登録履歴を参照して、当該呼損に関する安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報を所定時間内に前記安否情報サーバに送信して記憶させていたときには、前記安否情報登録履歴において、前記呼損に関する安否情報を用いて当該同一の安否情報の履歴を更新する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項7】
前記通信制御サーバの処理部は、
発信側の通信端末から着信側の通信端末への発信による接続が成立したとき、
前記安否情報登録履歴を参照して、当該接続と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が同一の安否情報があった場合には、前記安否情報登録履歴から当該同一の安否情報の履歴を削除する
ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項8】
前記通信制御サーバの処理部は、
前記安否情報登録履歴から前記同一の安否情報の履歴を削除するとともに、
前記安否情報サーバに、当該同一の安否情報の削除を指示する
ことを特徴とする請求項7に記載の安否確認システム。
【請求項9】
前記安否情報登録要否判定用情報は、前記呼損の原因が前記ネットワークの輻輳であることを、前記安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させることの条件とする旨の情報である
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の安否確認システム。
【請求項10】
複数の通信端末が1つ以上の通信制御サーバを介して通信を行うネットワークにおける安否確認システムによる安否確認方法であって、
前記安否確認システムは、
前記1つ以上の通信制御サーバと、
前記通信端末の位置情報を記憶する位置情報サーバと、
呼損した場合の発信側の通信端末の識別子、位置情報、および、着信側の通信端末の識別子、を含む安否情報を記憶する安否情報サーバと、を備えており、
前記通信制御サーバは、
前記安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるか否かを判定するための情報である安否情報登録要否判定用情報を記憶する記憶部と、処理部と、を備えており、
前記通信制御サーバの処理部は、
発信側の通信端末からの発信が呼損となったとき、前記記憶部に記憶された安否情報登録要否判定用情報を参照して、当該呼損に関する安否情報を保存する必要があると判定した場合、
前記位置情報サーバから当該発信側の通信端末の位置情報を取得して、当該発信側の通信端末の識別子、前記取得した位置情報、および、着信側の通信端末の識別子、を含む安否情報を前記安否情報サーバに送信して記憶させるとともに、
当該安否情報と比較して発信側と着信側の各通信端末の識別子が逆の安否情報が前記安否情報サーバに記憶されている場合、当該逆の安否情報を、前記安否情報サーバから取得し、前記発信側の通信端末に送信する
ことを特徴とする安否確認方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−109557(P2013−109557A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253681(P2011−253681)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】