説明

安否確認システム及び方法

【課題】安否を、悪用されることなく、監視対象者個々人を識別して、容易に確認できる。
【解決手段】セットトップボックスと、サーバと、端末とを備えたシステムであって、
セットトップボックスは、テレビの視聴情報をICカードに暗号化させ、ICカードからIDを受信し、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバに送信し、
サーバは、暗号化された視聴情報をIDと共に保存して管理し、
端末は、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバから受信し、暗号化された視聴情報を復号化して、暗号化された視聴情報と共に受信したIDで識別される監視対象者の安否確認に供することを特徴とする安否確認システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高齢者や独居者の安否または共働き家庭で留守番をしている子女の在宅状況を確認し、異常状態にあると判断されるときには、その旨を予め指定された連絡先に連絡するシステム或いは方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高齢者や独居者の安否または共働き家庭で留守番をしている子女の在宅状況を確認し、異常状態にあると判断されるときには、その旨を予め指定された連絡先に連絡するシステム或いは方法が知られている。
【0003】
このようなシステムには特許文献1記載の生活モニターシステムがあり、これは、電子ポットなどの家庭内に配設された電気製品の操作または動作を検出し、その情報を家庭外に送信し、多数の監視対象者について、その情報を一元管理し、その情報をもとに監視対象者の安否を確認するものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1記載の生活モニターシステムは、監視対象者宅に、このシステムを実現するための電気製品や、電気製品の操作または動作情報を検出し外部に送信するための装置を設置するため、コストが掛かり、初期設置が煩雑という欠点がある。
【0005】
これに対して、特許文献2記載の安否確認方法は、操作情報取得対象となる電子製品をDTV(デジタルテレビジョン)に限定することで、上記の欠点を解決している。DTV受信装置は、電話コードによって電話回線に接続でき、外部と双方向通信を行うことができるような構成となっているため、特別な送受信装置を設置する必要がないからである。
【0006】
しかしながら、一般に、安否或いは在宅状況は、これを収集することで監視対象者の生活パターンが分かり、空き巣に入りやすい時間帯を割り出すなどの目的に悪用される可能性がある。
【0007】
また、安否或いは在宅を確認したい対象者が複数人いた場合に、どの対象者が電気製品を操作しているのかを特定することができない。例えば、共働きの家庭に二人の子女がいた場合に、どちらの子供が学校から帰宅し、在宅してテレビを見ているのかが分からない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−73966号公報
【特許文献2】特開2002−314714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は斯かる背景技術に鑑みてなされたもので、安否を、悪用されることなく、監視対象者個々人を識別して、容易に確認できることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明において上記課題を解決するために、まず請求項1の発明では、セットトップボ
ックスと、サーバと、端末とを備えたシステムであって、
セットトップボックスは、テレビの視聴情報をICカードに暗号化させ、ICカードからIDを受信し、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバに送信し、
サーバは、暗号化された視聴情報をIDと共に保存して管理し、
端末は、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバから受信し、暗号化された視聴情報を復号化して、暗号化された視聴情報と共に受信したIDで識別される監視対象者の安否確認に供することを特徴とする安否確認システムとしたものである。
【0011】
また請求項2の発明では、視聴情報は、テレビのスイッチをON或いはOFFにした情報であることを特徴とする請求項1記載の安否確認システムとしたものである。
【0012】
また請求項3の発明では、セットトップボックスと、サーバと、端末とが実行する方法であって、
セットトップボックスが、テレビの視聴情報をICカードに暗号化させ、ICカードからIDを受信し、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバに送信し、
サーバが、暗号化された視聴情報をIDと共に保存して管理し、
端末が、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバから受信し、暗号化された視聴情報を復号化して、暗号化された視聴情報と共に受信したIDで識別される監視対象者の安否確認に供することを特徴とする安否確認方法としたものである。
【0013】
また請求項4の発明では、視聴情報は、テレビのスイッチをON或いはOFFにした情報であることを特徴とする請求項3記載の安否確認方法としたものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、安否を、悪用されることなく、監視対象者個々人を識別して、容易に確認できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のハードウェア構成を示す図。
【図2】DTV視聴情報の暗号化から復号化までの全体的な流れを示す図。
【図3】視聴覚情報に係るデータの例を示す図。
【図4】データベース登録データの例を示す図。
【図5】暗号処理フローの例を示す図。
【図6】復号処理フローの例を示す図。
【図7】ID確認処理フローの例を示す図。
【図8】異常状態判定処理フローの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態を説明する。
【0017】
本発明は、ハードウエアとして、図1に示すように、セットトップボックスと、サーバと、端末とを備え、セットトップボックスは、ICカードリーダライタを備え、このIC
カードリーダライタに挿入されたICカードとデータ通信を行う。
【0018】
セットトップボックスは、監視対象者宅に設置され、テレビ受像機をネットワークに接続して双方向通信を実現するような家庭用通信端末の総称であり、ケーブルテレビ放送や衛星放送、地上波テレビ放送(デジタル放送、アナログ放送)、IP放送(プロードバンドVODなど)などの放送信号を受信して、一般のテレビ受像機で視聴可能な信号に変換するものである。
【0019】
ICカードは、監視対象者個々人に対して発行され、監視対象者個々人をユニークに特定するIDと、暗号鍵とが書き込まれている。
【0020】
端末は、監視対象者の安否を確認する確認者が使用するものである。
【0021】
サーバは、コンピュータ本体であるサーバ装置と、データを保存し管理するためのデータベースとを備え、サーバ装置とデータベースとはデータ通信可能に接続されている。
【0022】
セットトップボックスは、ネットワークを介して、サーバ装置とデータ通信を行う。
【0023】
サーバ装置は、ネットワークを介して、確認者の端末とデータ通信を行う。
【0024】
ネットワークは、例えば、インターネット、電話回線であっても良い。
【0025】
図2に示すように、ICカードは、セットトップボックスから送信される監視対象者のDTV視聴情報を受信して、ICカード内の暗号鍵で暗号化し、この暗号化情報を、セットトップボックスに返信する。サーバ装置は、セットトップボックスから送信される暗号化情報を受信し、これを復号化せず、暗号化情報のまま、データベースに保存し管理することで、情報漏洩の危険性を軽減する。確認者の端末は、復号鍵を持ち、サーバ装置から送信される暗号化情報を受信して、この復号鍵で復号化して、DTV視聴情報を安否確認に供することができる。
【0026】
暗号化の方式に対しては、共通鍵暗号でも、公開鍵暗号でも良い。データ暗号のためのの鍵は、安否確認のサービス開始時に監視対象者用のICカードに書き込む。データ復号のための鍵は、(1)別途、鍵管理用のサーバを設け、Web経由で配布する、(2)安否確認のサービス開始時に確認用プログラム(後述する復号処理及び異常判定処理を確認者の端末で行うためのプログラム)と共に確認者に配布、(3)安否確認のサービス開始時に確認者用のICカードに書き込んで発行するなどの何れかであっても良い。
【0027】
ここで、視聴情報に係るデータの例を、図3に示す。この例では、項目として、ID、暗号化鍵情報、日付、日時、ON/OFF情報とを含む。日付、日時、ON/OFF情報は、視聴情報として、暗号化の対象となるが、ID、暗号化鍵情報は、暗号化の対象とならない。
【0028】
ON/OFF情報は、テレビのスイッチをONしたのか或いはOFFしたのかを示す情報である。
【0029】
日付、時刻は、それぞれ、ON/OFF情報で示されるON或いはOFFをした日付、時刻である。
【0030】
暗号化鍵情報は、暗号化対象の日付、時刻、ON/OFF情報を暗号化する鍵に関する情報であって、例えば、この鍵を指定する暗号化鍵インデックスであっても良い。暗号化
鍵情報は、暗号鍵と共に、ICカードに書き込まれている。
【0031】
IDは、ON/OFF情報で示されるON或いはOFFをした監視対象者のIDであって、この監視対象に配布されたICカードに記憶され、セットトップボックスのICカードリーダライタによって読み取られたものである。
【0032】
ここで、データベース登録データの例を、図4に示す。この例では、項目として、ID、暗号化鍵情報、暗号化された視聴情報とを含む。ID、暗号化鍵情報は、図3のID、暗号化鍵情報であり、暗号化された視聴情報は、図3の日付、時刻、ON/OFF情報を、図3の暗号化鍵情報で示される暗号化鍵インデックスの指定する鍵で暗号化したものである。
【0033】
以下に、暗号処理フローの例を、図5に従って詳細に説明する。
【0034】
まず、テレビのスイッチがON或いはOFFされて、テレビの視聴が開始或いは終了すると(S1)、セットトップボックスは、このON或いはOFFがなされた日付及び時刻と、ON或いはOFFの何れがなされたのかを示すON/OFF情報とを、視聴情報(M)として、ICカードに送信する(S2)。
【0035】
次に、ICカードは、視聴情報(M)を、暗号鍵(Ke1)を用いて暗号化し(S3)、暗号化された視聴情報(E_Ke1(M))を、ID、暗号化鍵情報と共に、セットトップボックスに送信する(S4)。
【0036】
最後に、セットトップボックスは、暗号化された視聴情報(E_Ke1(M))を、ID、暗号化鍵情報と共に、サーバに送信する(S5)。
【0037】
以下に、復号処理フローの例を、図6に従って詳細に説明する。
【0038】
まず、確認者の端末は、暗号化された視聴情報に係るデータとして、暗号化された視聴情報(E_Ke1(M))を、ID、暗号化鍵情報と共に、サーバ装置から受領する(S1)。この受領は、一日に数回、指定のメールアドレスで受領するものであっても良いし、Webにより受領するものであっても良い。
【0039】
確認者の端末に、復号化要求が入力されると(S2)、確認者の端末は、暗号化された視聴情報(E_Ke1(M))を、暗号化鍵情報で示される復号鍵(Kd1)を用いて復号化する(S3)。
【0040】
上述のように、監視対象者に対してそれぞれICカードが発行され、このICカード内のユニークなIDによって個人を特定しているが、以下に、このIDを確認する処理フローの例を、図7に従って詳細に説明する。
【0041】
まず、セットトップボックスは、ICカードからIDを読み出す(S1)。
【0042】
次に、セットトップボックスは、読み出したIDが、登録IDの何れかと一致するかを確かめる(S2)。
【0043】
一致したならば、セットトップボックスは、一致した登録IDに対応した処理を行い(S3)、他方、一致しないならば、セットトップボックスは、処理を終了する。
【0044】
以下に、異常状態判定処理フローの例を、図8に従って詳細に説明する。
【0045】
まず、確認者の端末は、暗号化された視聴情報(E_Ke1(M))を復号化して得た視聴覚情報(M)の日付、時刻、ON/OFF情報を参照することにより、暗号化された視聴情報(E_Ke1(M))と共にサーバ装置から受領したIDで特定される監視対象者の最終操作(ONかOFFか)及びその時間(日付及び時刻)を確認者に供して確認させる(S1)。
【0046】
次に、確認者の端末は、最終操作時間から現在の時間を引いたものと、予め設定された時間とを比較し、最終操作時間から現在の時間を引いたものが、予め設定された時間よりも大きい場合に(S2のYES)、確認者に、その監視対象者が異常状態にあると判定させて、予め指定された連絡先へ緊急連絡させる。他方、最終操作時間から現在の時間を引いたものが、予め設定された時間以下の場合は(S2のNO)、その監視対象者が正常状態にあるとして、S1に戻る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セットトップボックスと、サーバと、端末とを備えたシステムであって、
セットトップボックスは、テレビの視聴情報をICカードに暗号化させ、ICカードからIDを受信し、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバに送信し、
サーバは、暗号化された視聴情報をIDと共に保存して管理し、
端末は、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバから受信し、暗号化された視聴情報を復号化して、暗号化された視聴情報と共に受信したIDで識別される監視対象者の安否確認に供することを特徴とする安否確認システム。
【請求項2】
視聴情報は、テレビのスイッチをON或いはOFFにした情報であることを特徴とする請求項1記載の安否確認システム。
【請求項3】
セットトップボックスと、サーバと、端末とが実行する方法であって、
セットトップボックスが、テレビの視聴情報をICカードに暗号化させ、ICカードからIDを受信し、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバに送信し、
サーバが、暗号化された視聴情報をIDと共に保存して管理し、
端末が、暗号化された視聴情報をIDと共にサーバから受信し、暗号化された視聴情報を復号化して、暗号化された視聴情報と共に受信したIDで識別される監視対象者の安否確認に供することを特徴とする安否確認方法。
【請求項4】
視聴情報は、テレビのスイッチをON或いはOFFにした情報であることを特徴とする請求項3記載の安否確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−288173(P2010−288173A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141907(P2009−141907)
【出願日】平成21年6月15日(2009.6.15)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】