説明

安定した天然着色の方法、製品、およびその使用

ゲニピン、ゲニピン誘導体またはゲニピン化合物前駆体を含有するゲニパアメリカナ(Genipa americana)の果汁と、アミノ酸、ポリペプチドもしくはタンパク質などの窒素化合物を含有する他の食用果汁または抽出物とを処理することを包含する、食用原料から得られる着色された製品を調製する方法。生成された天然の着色製品は、優れた安定性を有し、飲料、食品、薬品、栄養補助食品、化粧品、パーソナルケア用品および動物用飼料などの幅広い用途に使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国特許仮出願第61/040,208号明細書(Wuら、出願日2008年3月28日)に関連し、該特許仮出願に基づいて優先権を主張し、また、該特許出願は参照によってここに引用されるものとする。
【0002】
本開示は、食品、薬品、栄養補助食品、パーソナルケア用品、化粧品および動物用飼料などの幅広い用途に使用され得る、天然の安定した着色産物、ならびにこれらの着色食品および食用産物を調製するための方法に関する。具体的には、本開示は、ゲニピン(genipin)、ゲニピン誘導体、またはゲニピン化合物前駆体を含有するゲニパアメリカナ(Genipa americana)の果汁を、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質および1つ以上の一級アミン基を有する化合物を含有する他の食用果汁または食用抽出物とともに処理することによって生成される、安定した着色産物に関する。
【背景技術】
【0003】
今日、合成的に着色された食品を好んで飲食する人、および合成的に着色された化粧品を好んで使用する人の数が減少しており、その結果、天然着色料の市場が着実に成長している。したがって、天然の色、特に低いpH値および処理時の温度に対して安定である天然の青色着色料に、世界中で大きな商業的関心がよせられている。現在、工業的に生産可能な唯一の天然の青色は、クチナシの果実(山梔子)(ガルデニア ジャスミノイデス エリス(Gardenia jasminoides Ellis)に由来するものである。しかしながら、現在、食品用途または薬品用途に関して安全な着色産物としてのクチナシの青色は、アジア市場においてのみ入手可能であり、米国およびヨーロッパの市場では入手不可能である。
【0004】
クチナシの果実は、例えばゲニポシド(geniposide)、ガルデノシド(gardenoside)、ゲニピン−1−b−ゲンチオビオシド(genipin -1-b-gentiobioside)、ゲニポシド酸(geniposidic acid)、およびゲニピンなどの多量のイリドイドを含有する(Endo, T. and Taguchi, H. Chem. Pharm. Bull. 1973)。これらのうちゲニピンは、アミノ酸と反応すると必ずクチナシの青色に寄与する、鍵となる化合物である(米国特許第4,878,921号明細書)。現在、クチナシの青色は、クチナシの果汁から抽出したゲニポシド、精製したゲニピン、またはゲニピン誘導体を用いて、単離したアミノ酸との化学反応の産物として製造されている。一方、本発明の方法では、ゲニピンを含有する植物の果実全体、ピューレまたは果汁を用いて、天然の着色果汁または濃縮物を提供する。
【0005】
また、ゲニピンおよび他のイリドイド化合物(例えばゲニピン酸、ゲニピンゲンチオビオシド、ゲニポシド、およびゲニポシド酸など)は、ゲニパップ(Genipap)またはウィット(Huito)としても知られている、ラテンアメリカの熱帯地方の野草であるゲニパアメリカナにおいても検出されている。ゲニパアメリカナの成熟した果実は、清涼飲料、ゼリー、シャーベット、アイスクリーム、甘い保存食品、シロップ、ゲニパパダ(genipapada)と呼ばれるソフトドリンク、ワイン、強いアルコール飲料、および革なめし用抽出物を作るために、地元の人々によって日常的に使用されてきた。緑色の果実または熟れていない果実は着色原料として使用され、顔や体に塗って飾り立てたり、虫除けとしたり、衣類、焼き物、ハンモック、道具およびカゴの材料を、青みを帯びた紫に染めたりする。また、果実および果汁は薬用性を有し、シロップは風邪および咳の薬として使用される。また、ゲニパアメリカナの花および樹皮には薬用性がある。
【0006】
また、ゲニパアメリカナは、その果実に炭水化物、糖、タンパク質、灰分およびリンゴ酸が含まれるだけでなく、鉄分、リボフラビンおよび抗細菌性物質の天然の原料である。ゲニパアメリカナの主な生化学物質の例としては、カルシウム、亜リン酸、ビタミンC、カフェイン、カテリン(caterine)、ゲニピン酸、ゲニピン、ゲニピンゲンチオビオシド、ゲニピニック酸(genipinic acid)、ゲニポシド、ゲニポシド酸、ガルデノシド、ゲナメシドA−D、ガルデンジオール(gardendiol)、デアセチルアスペルロシド酸メチルエステル、シャンジシド(shanzhiside)、グリセリド、ヒダントイン、マンニトール、メチルエステル、タンニン酸、酒石酸およびタンニンが挙げられる。
【0007】
本開示は、果汁、特にゲニパアメリカナの果汁を、アミノ酸、ポリペプチドまたはタンパク質を含有する果実、野菜、植物性物質、穀粒、マメ科植物、木の実、種子、乳および卵を含む動物性物質、微生物性物質ならびに藻類性物質から得られる他の食用の果汁または抽出物と混合して共処理することによって、安定した着色料を調製することに関する。産物の色は、単純に染料を混合した場合に予測される色ではなく、また、着色産物は、酸性度および加熱に対して高い安定性を有する。ゲニパアメリカナの果実を、他の選択された一種類以上の(上記のように、穀粒および動物性物質も含め、広く定義される)果実と共処理して複数の材料からなる果汁を得ることは、単純かつ効果的である。当該産物は、例えば食品、薬品、栄養補助食品、パーソナルケア用品、化粧品および動物用飼料などの幅広い用途で使用可能である。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、天然の、安定した着色産物を製造する方法を提供する。この方法において、ゲニパアメリカナの果実は、アミノ酸、ポリペプチド、および/またはタンパク質を含有する、果実、野菜、植物性物質、穀粒、マメ科植物、木の実、種子、乳および卵を含む動物性物質、微生物性物質、ならびに藻類性物質から得られる他の食用の果汁または抽出物と共処理される。
【0009】
さらに、本開示は天然の着色産物を提供する。この産物は、食物および食物成分に関して所望の官能性および優れた適合性を有し、その原料の特徴によって消費者にとっては本質的に受容可能であり、ある栄養価を有し、また、広い範囲のpHにおいて非常に優れた安定性を有すると共に、使用時に熱および光に対して優れた耐性を有する。したがって、当該産物は、例えば食品、薬品、栄養補助食品、パーソナルケア用品、化粧品、および動物用飼料などの多様な用途における使用に適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例3に記載の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、ゲニパアメリカナ(Genipa americana)の果汁を、様々な食用の添加物質とともに使用することによって、天然の、安定した着色産物を製造する方法を提供する。天然の安定した青色は、ゲニパアメリカナの果実に天然に存在するゲニピン、また場合によりゲニピンゲンチオビオシドを様々な食用物質において、アミノ酸、ポリペプチドまたはタンパク質、および一級アミン基を有する他の化合物と反応させる際に得られると考えられている。公知の果汁抽出方法および手順、実施されている果汁抽出方法および手順、ならびにクレームに記載された非果汁成分に関する処理技術は、すべて本発明の有色果汁の調製に適しているものとし、また、参照によってここに引用される。
【0012】
(出発物質)
本発明の方法において使用する出発物質は、ゲニパアメリカナLの成熟した果実である。このゲニパアメリカナLは、ゲニパップ(genipap)、ウィット(huito)、ジャガー、ビリト(bilito)、カフェシロ デンタ(cafecillo denta)、カルト(caruto)、カルト レバルセロ(caruto rebalsero)、コンフィチャー デ シンゲ(confiture de singe)、ゲニペヤー ビチュ(genipayer bitu)、ガイティル(guaitil)、ガリチャ(guaricha)、ガヤティル コロラド(guayatil colorado)、フイトール(huitol)、ウィトック(huitoc)、ウィッチュ(huitu)、イライオール(irayol)、ジャガ ブランカ(jagua blanca)、ジャガ アメリラ(jagua amarilla)、ジャガ コロラド(jagua colorado)、ジェイパペイロ(jeipapeiro)、ジュニパー(juniper)、マルコ(maluco)、マンディパ(mandipa)、マルメラド−ボックス(marmelade−box)、ナンディパ(nandipa)、ニャンディパ ゲニパポ(nyandipa genipapo)、タパキュロ(tapaculo)、タポエリパ(tapoeripa)、タプロエパ トツミロ(taproepa totumillo)、ヤガ(yagua)、ヤヌパ−i(yanupa-i)、ヤニパ−i(yenipa-i)、エニパパ ビ(yenipapa bi)、ゲニパポ(genipapo)、ウィトック(huitoc)、ビト(vito)、チパラ(chipara)、ガナペイ(guanapay)、または他の変名(例えば、ジェニパポラナ(jenipaporana)またはジェニパポ−ブラボ(jenipapo-bravo)など)を含む、多くの非公式の名称で知られる。果実の収穫は、十分な大きさ、硬さおよび色が緑色から緑がかった褐色のときが最適である。過度に熟した果実は、地面に落下して腐敗する。
【0013】
原料は、ゲニパアメリカナL、またはゲニピン、ゲニピン誘導体もしくはゲニピン化合物前駆体を含有する、ゲニパアメリカナLの近縁種から取れる、果実全体、果汁、果実のピューレ、果汁の濃縮物、果実もしくは果汁から得られる乾燥粉末、および果実の水不溶性の部分である。これらの化合物は、アカネ科を含め広く分布している、植物化学物質のイリドイドクラスのサブグループである。化学分類学の一要素としてイリドイド生合成の理解がいくらか注目されている(Sampaio-Santos and Kaplan, J. Braz. Chem. Soc. 12 (2001))。これらのデータは、本発明にしたがった使用に適した果実および果汁を作り出す、ゲニピンを含有する植物のグループを規定するために役立つ。一般に、このような果実には、アカネ科に属する植物が含まれると考えられる。アカネ科に属する植物は、十分なゲニピンまたはゲニピン誘導体(例えばゲニピンゲンチオビオシド、ゲニポシド、ゲニポシド酸、ガルデノシドなど)を含有し、本明細書において規定される他の化合物と反応して、着色産物を生成する。ゲニパアメリカナには、クチナシおよびカイラルセニアとともに、クレイドが含まれることがDNAデータに基づいて報告されている(Andreason and Bremer, Am. J. Botany 87 1731-1748 (2000))。本発明において使用され得る果実の範囲は限定されるものではなく、ゲニパアメリカナに関する記載は、例えばクチナシおよびカイラルセニア、ならびにガルデニア ジャスミノイデス エリスおよびその変種を含む他のゲニピン含有植物などの、関連する植物の食用となる果実、果汁もしくは抽出物、または可食部を含むと解釈されるべきである。
【0014】
原料としては、上述の原料から得られる、水性抽出物または溶媒抽出物であってもよい。溶媒は、水、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液もしくはリン酸塩緩衝液、メタノール、エタノール、イソプロパノール、またはこれらを異なる比で混合した混合物などの、当該技術分野において通常使用される溶媒であり得る。
【0015】
広範囲の適切な食用原料としては、アミノ酸、ポリペプチドおよびタンパク質を含有する、果実、野菜、穀粒、マメ科植物、木の実、種子、植物性物質、乳および卵などの動物性物質、微生物性物質、藻類性物質、ならびにこれらの原料から得られる副産物などが挙げられる。これらの原料は、ゲニパアメリカナの果実または果汁と共処理されて、天然の安定した着色料、特に青色を生成することができる。
【0016】
共処理する果実、果汁、ピューレ、果汁濃縮物、乾燥粉末または抽出物は、FDAが作成した一覧(FDA Form 2438g(10/91))に挙げられているグループ(柑橘類、仁果類、核果、熱帯性果実/亜熱帯果実、蔓植物の果実、および小さい果実およびベリー類)に含まれる果実から得ればよい。当該グループの果実としては、例えば、スイカ、白ブドウ、パイナップル、ライチ、カンタループ、バナナ、オレンジ、リンゴ、セイヨウナシ、レモン、パッションフルーツ、赤ブドウ、ブルーベリー、タマリンド、モモ、パパイヤ、アサイー、セイヨウスモモ、グアバ、タンジェリン、ボロホ、クプアス、ゴジ、キーウィーなどが挙げられる。なお、この例示は、適切な果物を限定することを意図したものではない。
【0017】
共処理する野菜、野菜果汁、ピューレ、果汁濃縮物、乾燥粉末または抽出物は、FDAが作成した一覧(FDA Form 2438g(10/91)に挙げられているグループ(根菜および塊茎、鱗茎菜、葉菜および茎菜、アブラナ属野菜、マメ科植物、果菜類、ならびにウリ科野菜などの野菜)から得ればよい。当該グループの野菜としては、例えば、モヤシ、グリーンキャベツ、セロリ、タマネギ、スイートオニオン、アスパラガス、任意の葉菜類、グリーンビーン、エンドウマメ、カリフラワー、ブロッコリー、ニンジン、カボチャ、ピーマン、ジャガイモ、サツマイモ、トマトなどが挙げられる。なお、この例示は、適切な野菜を限定することを意図したものではない。
【0018】
共処理する穀粒の粉末、穀粒の溶液、ペーストまたは抽出物は、FDAが作成した一覧(FDA Form 2438g(10/91)(穀類の穀粒))に挙げられているグループに含まれる穀粒から得ればよい。例えば、コムギ、オオムギ、米、カラスムギ、トウモロコシ、モロコシ、アワ、ライムギ、ソバ、ライコムギ、フォニオ、およびキノアなどが挙げられる。なお、この例示は、適切な穀粒を限定することを意図したものではない。
【0019】
共処理する油料種子、木の実および種子の粉末、溶液、ペースト、抽出物または誘導体は、FDAが作成した一覧(FDA Form 2438g(10/91)(マメ科植物、油料種子、樹木の実))に挙げられているグループに含まれる原料から得ればよい。例えば、ダイズ豆、赤インゲンマメ、リママメ、レンズマメ、ヒヨコマメ、黒目豆、黒マメ、ソラマメ、小豆豆、アナサジマメ、ピーナッツ、アーモンド、ブナの木の実、ブラジル、クルミ、ヘーゼル、ピスタチオ、カシュー、マカダミア、クリ、ペカン、ココナツ、マツ木の実、カボチャの種子、ゴマ種子、ヒマワリの種子、綿実などがあげられる。なお、この例示は、適切なマメ科植物、種子、および木の実を限定することを意図したものではない。
【0020】
共処理する植物性物質は、オオムギの植物エキス、草類の抽出物、茶および茶の抽出物、海藻および海藻の抽出物などであり得る。なお、この例示は、適切な植物性物質を限定することを意図したものではない。
【0021】
共処理する動物性物質は、哺乳類、家禽、シーフード、爬虫類、ならびに乳および卵から得られる、骨格筋、非筋器官、皮膚、または殻の抽出物であり得る。なお、この例示は、適切な動物性物質を限定することを意図したものではない。
【0022】
共処理する原料は、酵母または酵母の抽出物、キノコを含む真菌および真菌の抽出物、ならびに藻類および藻類の抽出物などを含む、多様な微生物性物質であり得る。なお、この例示は、適切な微生物性物質を限定することを意図したものではない。
【0023】
共処理する原料は、上記原料のいずれかの抽出物であってもよく、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、または1つ以上の一級アミン基を有する化合物を含んでもよい。抽出溶媒は、当該技術分野において通常よく用いるものから選択されてもよい。例としては、脱イオン水;リン酸塩もしくはクエン酸塩、または酢酸もしくは炭酸塩、さらに、緩衝液、アルコール溶液、またはこれらの抽出溶媒を異なる比で混合した混合物などが挙げられる。
【0024】
(安定した着色料を得るための調製方法)
本開示の着色料を生成するためには、成熟したゲニパアメリカナを、当該技術分野において周知の従来の方法によって、例えばスイカなどの他の果実と共処理して、果実から果汁を抽出する。洗浄および/または漂白の後、当該果実の皮を剥き、切り分けた後、加熱または加熱せずに抽出し、共処理する原料と共に圧搾または混合する。果肉、種子および果皮を濾過によって分離し、遠心分離または圧縮して清澄化した果汁を収集する。処理は、約20℃〜45℃の温度で、最長8時間程度の時間をかけて行なうが、好ましくは約0.1時間〜4時間、より好ましくは約0.1時間〜1時間である。次に、得られた合成果汁を(例えば、振盪、撹拌または通気によって)加熱に供して、約1時間〜4時間の間、約50℃〜95℃にまで温度を上げ、低圧蒸発を用いて約2倍〜10倍に濃縮する。この処理法には、微生物の安定性のために要求される、果汁のHACCP処理を提供できるという利点がある。また、濃縮は、適切な膜を用いた逆浸透法または限外濾過法によって、瞬間蒸発器において実施可能である。これにより、工業輸送に適した濃縮物(通常、抽出された果汁からの濃縮比が2倍〜10倍)を提供することができる。また、共処理する原料に対するゲニパアメリカナの果実の比を選択することによって調節可能な、安定した、所望の色調および色の濃さで、結果として得られる色を規格化することもできる。その結果得られた色を、続いて噴霧乾燥、凍結乾燥法または真空乾燥によって乾燥させる。別の方法として、事前に調製したウィット果汁または濃縮物を用いて、これに共処理する原料を添加して色生成処理を開始してもよい。
【0025】
共処理する原料に対するゲニパアメリカナ果実の比は、共処理する原料中のアミノ酸およびタンパク質の量に応じて、また同様に、該アミノ酸の種類または特徴に応じて、約1:0.2から約1:30(重量比)までのばらつきがある。具体的には、ゲニパアメリカナ果実を新鮮なスイカと共処理する場合、スイカに対する果実の比は、約1:1から約1:24であり、好ましくは約1:2から約1:12、より好ましくは約1:3から約1:6である。
【0026】
処理における加熱は、酵素反応、色の発達、および色の安定性に関する。ゲニピン(または、加熱することによって、またはゲニパアメリカナ果実の中に自然に存在するβグルコシダーゼの作用によってゲニピンおよびゲニピン誘導体に加水分解される、ゲニピンゲンチオビオシドおよびゲニポシド酸)は、該果実中のタンパク質およびアミノ酸と反応し、最終的な色を生成させると考えられている(Paik, Y.; Lee, C; Cho, M.; and Hahn, T. in J. Agric. Food Chem. 2001, 49, 403-432)。なお、この記述は、反応機構を明らかにすることを意図したものでない。全体の反応は低温または周囲温度ではゆっくりと進行する。反応を加速させるために、本開示では2つの加熱ステップを採用する。まず、第1に、低温加熱を約4℃〜約50℃、好ましくは約20℃〜約45℃にて行なう。プロテアーゼ、ペクチナーゼおよびセルラーゼを含めた大半の酵素は、この温度範囲において活性を有する。なお、プロテアーゼはタンパク質を遊離アミノ酸に分解する。ペクチナーゼおよびセルラーゼはペクチンおよびセルロースを分解する。低温加熱をすることによって、化学物質が細胞から水溶液へ遊離しやすくなる。第2に、高温加熱を好ましくは約50℃〜約95℃、より好ましくは約55℃〜約90℃、最も好ましくは約60℃〜約85℃にて混合しながら行なう。このステップではβ−グルコシダーゼの活性が最大であり、また、ゲニピンとアミノ酸、ポリペプチドまたはタンパク質中の一級アミン基との化学反応の比率が高い。有意な色の変化を観察することができる。また、熱は不要な反応を制御し得る。例えば、収穫後および処理中に果実および野菜において色および風味の不要な変化を引き起こす内在性の酵素である、ポリフェノール酸化酵素およびペルオキシダーゼを、慎重な加熱によって変性させることができる。このステップでは、加熱処理が、再現可能であり安定した、所望の最終的な色に寄与する。
【0027】
処理用添加物を、当該ステップにおいて添加してもよい。例えばβ−グルコシダーゼまたはプロテアーゼなどの酵素は色の発達を加速させて;セルラーゼ、ヘミセルラーゼおよびペクチナーゼなどの酵素は、果汁の総収量を増加させる。
【0028】
本発明の方法において、pH値は色の発達に影響を与える。安定した青色を生成するために、ゲニパアメリカナの果汁および共処理する原料(例えばスイカの果汁)の適切なpH値は、約3から約8、好ましくは約3.5から約7、より好ましくは約4から約6の範囲の酸性からアルカリ性であればよい。安定した赤みを帯びた色を生成するためには、ゲニパアメリカナの果汁のpH値を、約10を超えるpH値、好ましくは約12を超えるpH値に調節する。アルカリ性の条件下では、イリドイド化合物が加水分解されてC−4位の−COOCH基からメチル基を失い、その結果C−4位には−COO基が残ることになる(米国特許第4,247,698号明細書、「Red coloring composite and the method for its production」、Toyama他)。十分な期間、適切な温度でアルカリ性条件において保持した後に、pH値を調節して、pH値を約3〜約6に戻し、果汁を、アミノ酸、ポリペプチドまたはタンパク質を含有する、他の原料と共に共処理して、赤みを帯びた色、または赤みを帯びた紫色を生成する。
【0029】
共処理する原料中の他の成分、例えば、抗酸化剤、多イオン性金属、還元糖、硫黄含有化合物およびポリフェノールは、処理中の副反応に関与することがある。それゆえ、天然の安定した着色料の色には、共処理する原料およびプロセスの変化によってばらつきがあり、最大吸収波長は400nm〜800nmである。より具体的には、ゲニパアメリカナの果実とスイカとによって生成されるブリリアントブルーは、最大吸収波長が585nm〜600nmである。一方、ゲニパアメリカナの果実とパイナップル果汁とによって生成される緑色は、590nm〜610nm、および400nm〜420nmの最大吸収波長を有する。
【0030】
また、濾過ステップまたは遠心分離ステップにおいて得られる、有色固形物または水不溶性物質は、価値のある着色料として使用され得る。
【0031】
(天然の安定した着色料の特性)
ゲニパアメリカナおよび共処理される食用の原料を使用することによって生成される天然着色料には、最大吸収波長が360nm〜800nmの間でばらつきがある。具体的には、ゲニパの果汁およびスイカの果汁から生成されるブリリアントブルーに近い色の着色料は、分光光度計(Perkin Elmer社のUV/VIS型分光光度計、Lambda20、USA)で測定すると、反応物の濃度に応じて、最大吸収波長が585nm〜600nmの範囲にある。Hunter社のColor Lab比色計(Color Quest XE、USA)で測定して決定されたLab値は、濃縮した着色料の場合、Lが20〜40、a値が5〜−2、b値が−5〜−25、明度が2.0〜10.0である。
【0032】
一般に使用される食物用着色料の熱安定性は、用途に関して非常に重要である。本開示で生成される天然着色料は、熱に対して耐性が高い。pH3で30分間煮沸した後、スイカの果汁または新鮮なスイカによって得られたゲニパの青色は、大きな視覚的な変化を示さない。
【0033】
(着色原料を含有する食物および飲料製品)
ゲニパを基にして生成した天然着色料、特に青色は、熱および酸性pHに対する優れた安定性を有しており、それゆえ合成染料または合成色素を置き替えるために、色着きの食品用途、薬品用途、栄養補助食品用途、パーソナルケア用品用途、化粧品用途および動物用飼料用途に特に適している。
【0034】
ゲニパ由来の天然着色料は、適宜濃縮化した後に、または水溶性溶液もしくは好ましい認可された溶媒(アルコールなど)のいずれかによって希釈した後に、食物用途および薬品用途において使用され得る。個別の使用に応じて、ゲニパ由来の天然着色料は、単独または他の色素もしくは染料との混合のいずれかで、広範囲の食品用途において使用され得る。そのような用途としては、特に限定されないが、様々な飲食品、朝食用シリアル、パン製品、パスタ/麺、菓子、乳製品、加工肉、家禽、および魚介類製品、各種ドレッシング、アイスクリーム、ピクルス、クラッカーなどが挙げられる。
【0035】
以下の実施例は、本開示をさらに説明する目的で記載するものであって、いかなる意味においても、本開示を限定するものではない。
【実施例】
【0036】
〔実施例1〕
冷凍して解凍したウィットの果実数個を剥いて、小片に切り分けた。1欠片の果実(116.0g)を脱イオン水(232.0g)と混ぜ、高速ラボラトリーブレンダー(Waring(登録商標)、市販品)を用いて、それぞれ40秒間で2回混合した。次に、混合した果実のピューレを、Whatmanの4番の濾紙に通して濾過し、濾過された液体を収集した。βグルコシダーゼ(Enzyme Development Corp.)を、溶液60.0gに対して0.10gの量で、濾液に添加した。
【0037】
上記溶液5gを試験管(25ml)に仕込み、果実、野菜、乳、ダイズ、および肉から得られた液体原料または粉末原料を当該試験管に5g加えてよく混合した。試料は室温で16時間放置し、その後80℃まで0.5時間〜2.5時間、色が安定するまで加熱した。試料は、必要であれば濾過によって清澄化して、不溶性の物質を除去した。
【0038】
培養前後における共処理される原料の色の変化を、HunterのLab比色計(Color Quest XE、USA)で測定した。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】

【0041】
〔実施例2〕
皮を剥いて賽の目に切り分けたウィットの果実(150.0g)を、賽の目に切り分けた新鮮なスイカ(1200.0g)と混ぜ、1分間ブレンダーにかけて、ピューレにした。次に、ピューレ/ジュースを40℃の水浴に入れて1時間加熱した。そして、ピューレ/ジュースを2800rpmで20分間遠心分離にかけて、上清を溝付き濾紙に通して濾過した。次に、濾液を湯浴(80℃)で1.5時間加熱した。この湯浴の後、溶液の色は青色であった。そして、この青色の溶液を、Rotavapor(Buchi、Switzerland)において、40mmHgの圧力、50℃、および100rpmの回転で濃縮した。7.5倍にまで濃縮した後に得られた最終試料は、見かけのBrix値が75〜78であった。また、脱イオン水で1000倍に希釈した後に、分光計(Perkin Elmer UV/VIS型分光光度計、Lambda20、USA)で計測した該試料の最大吸収は、595.79nmにおいて0.13366であった。
【0042】
〔実施例3〕
2,931gの皮を剥いたウィットの果実と11,305gの新鮮なスイカとから調製して青く着色した生成物を、1分間ブレンダーにかけてピューレにした。そのピューレ/ジュースを、20Lのやかんにおいて約37℃〜40℃で1時間攪拌した。その後、ピューレ/ジュースを#20メッシュのサイズのスクリーンおよび5μmのフィルターに、1.0L/分のポンプ速度で通すことによって濾過し、固形物を除去した。濾液を消毒したやかんに戻して、約75℃〜80℃で1.5時間、勢いよく撹拌しながら加熱した。その結果得られた青色の溶液を、Rotavapor(Buchi、Switzerland)において、40mmHgの圧力、50℃、および100rpmの回転で濃縮した。最終試料は、見かけの濃度が63.25Brixであった。また、脱イオン水で1000倍に希釈した後に、分光計(Perkin Elmer UV/VIS型分光光度計、Lambda20、USA)で計測した、該試料の最大吸収は、波長591.76nmにおいて、0.57124であった。この処理を図1に図示する。
【0043】
〔実施例4〕
pHが低い飲料用途に関する安定性試験1。8週に増加させた保存期間の安定性を3つの典型的な飲料製法において実施した。当該飲料は、乳製品を原料にした飲料、ビタミン強化水、および約10%の果汁を含有するレモネード飲料である。製法におけるpHは、2.8から3.2の間であった。また、実施例3における着色調製物の使用比率は0.05%であった。保存期間を増加させたものの条件は90°Fのホットボックスとし、一方、冷却した40°Fのコールドボックスの試料をコントロールとして用いた。試料を視覚的に評価し、HunterのColor Lab比色計(Color Quest XE、USA)を用いて、色の変化について観察した。算出したDEcmc値は、L、aおよびbのデータに基づいてコントロールと比較した色の変化を表わす。
【0044】
8週間後、乳製品を原料にした調製物は色が20%〜25%程度薄くなり、淡い青色から灰色を帯びた青色に変化した。レモネードの調製物は、色が30%〜35%程度薄くなり、20%〜25%の褐変を起こし、灰色を帯びた青色から緑色に変化した。これは、果汁の褐変に起因している可能性がもっとも高い。この褐変を青色と組み合わせると、緑色の色相を生む。
【0045】
8週間後、ビタミン強化水の調製物は、色が20%〜25%程度薄くなり、20%の褐変を起こし、わずかに緑色に変化した。シミュレートした昼光を使った6時間の加速露光からなる、耐光安定性試験(Atlas Suntester XLS+, window glass filter, E 765 w/m)を実施したところ、3つの飲料調整法すべてにおいて、退色は30%未満であった。
【0046】
【表2】

【0047】
pHが低い飲料用途に関する安定性試験2。追加の加速試験を、さらに濃縮した着色果汁群から作った青色を含有する飲料について実施した。該飲料は、単純な糖酸試飲用溶液であった。この飲料は、8週間後に、約5%とわずかに退色したのみであった。耐光安定性試験を実施したところ、ごくわずかな色の変化しか示さなかった。
【0048】
【表3】

【0049】
pHが低い飲料用途に関する安定性試験3。地元で調達した原料を使って、単純な糖酸試飲用溶液において、青色の規模を試験的にスケールアップした。8週間後に、色が約20%の退色が観察された。耐光安定性試験を実施したところ、25%〜30%程度の色の変化を示した。
【0050】
【表4】

【0051】
pHが低い飲料用途に関する安定性試験4。強化水飲料において、青色の大規模な工業的調製を行なった。この調製は、アスコルビン酸(約100%のRDIビタミンC)を含むものと含まないものとの両方について実施した。8週間後に、ビタミンC入りの試料において約30%〜35%の退色が観察された。また、この試料は、青緑色へ色が変化した。ビタミンCを含まない試料は、約20%〜25%の退色を示し、紫がかった青色に変化した。色の安定性に対するビタミンCの効果は、例えばアントシアニンを基にして得られる、天然由来の他の色について予測されているものに類似している。耐光安定性試験を実施したところ、ビタミンCを含まない調製法においては約30%の色の変化を示し、ビタミンCを含む調製法においては30%未満の色の変化を示した。一般に、安定性試験では、退色および色相の変化は、工業製品の場合の受容可能な限界値内であり、アントシアニンの食物用着色料として一般に知られている製品の場合と同程度であった。
【0052】
【表5】

【0053】
〔実施例5〕
応用試験1。典型的なアイスクリームの成分に上記青色を加えた。応用の結果得られた色は淡い青色の色相であった。
【0054】
応用試験2。上記青色をクラッカー成分に加え、その後オーブンで乾燥させた。応用の結果得られた色は、わずかに緑色/褐色がかった色合いを有する、中間の青色であった。また、上記青色を典型的なシリアルの成分に加えた。工業用の押し出し加工を経た後、得られた色は灰白を帯びた青色であった。大気中で6ヶ月間貯蔵した後にこれらの色を調べたところ、退色はほとんど示さなかった。
【0055】
応用試験3。上記青色を、ペクチン成分とともにガム成分に加えた。得られた色は、魅力的な深い青色であった。より明るい色相の青色を生成するために、ガム成分に占める使用比率を低くした。天然由来のさらなる色と混合すると、ガム成分において緑および紫の魅力的な色相を生成した。
【0056】
〔実施例6〕
応用試験。上記青色をクラッカー成分に加え、その後オーブンで乾燥させた。応用の結果得られた色は、わずかに緑色/褐色がかった色合いを有する、中間の青色であった。上記青色を、穀類成分にも加えた。工業用の押し出し加工を経た後、得られた色は灰白を帯びた青色であった。
【0057】
〔実施例7〕
濾過したウィットの果汁を実施例1の手順によって得た。但し、βグルコシダーゼは添加しなかった。この果汁20.0gを、10%のOH溶液5.0gと混合した。混合物を35℃〜40℃まで加熱し、室温で約3時間放置した。2.08gのクエン酸を添加して、混合物のpH値を4.3に調整した。それから、0.04gのβグルコシダーゼを溶液に添加して、よく混ぜた。
【0058】
試験管(25ml)に、上記溶液を5g添加した。また、果実、野菜または脱イオン水から得た液体試験原料をさらに5g、試験管に添加して、よく混合した。試料を80℃〜90℃で2時間、色が安定するまで加熱した。すべての試料が、赤みを帯びた色から褐色の範囲の色を示した。必要に応じて試料を濾過した。
【0059】
上記各着色料について、吸収最大波長を、分光計(Perkin Elmer UV/VIS型分光光度計、Lambda20、USA)で測定した。結果を表6に示す。
【0060】
【表6】

【0061】
〔実施例8〕
クチナシの果汁6gを、試験管(25ml)に添加した。次に、0.20gのβ−グルコシダーゼおよび0.10gの10%w/wのNaOH溶液を試験管に添加し、よく混合した。これにより、pH値を3.99から4.60に調整した。得られたクチナシの荷重を、60℃の水浴中で1時間加熱し、その後スイカの濃縮物5gを添加してよく混合した。混合物の試料を70℃まで加熱し、1時間保持した。試料の色は、赤から緑色に変化した。
【0062】
〔実施例9〕
賽の目に切り分けたウィットの果実(49.4g)を、カボチャの果汁濃縮物(Diana Naturals)50.0gおよび脱イオン水150gと混合することによって、青色のジュースの濃縮物を調製した。混合物を、60秒間の高速で2回混合した。次に、このピューレ/ジュースを加熱プレートの上で42℃の温度に加熱し、30分間保持した後、3500rpmで15分間遠心分離にかけて上清をWhatmanの4番の濾紙に通して濾過した。次に、濾液を加熱プレートの上で60℃で加熱し、1時間半保持した。Hunter 比色計で測定したところ、所望の青色はL値が25.68、a値が0.09、b値が−3.26で生成された。そして、この青色溶液をRotavapor(Buchi、Switzerland)において、40mmHgの圧力、50℃、および100rpmの回転で濃縮した。7.3倍にまで濃縮した後に得られた最終的な試料は、見かけのBrix値が67.13であった。
【0063】
〔実施例10〕
青色/緑色のジュースを、ウィットの果実および黄ピーマンの果実の濃縮物を用いて調製した。黄ピーマンの果実の濃縮物(Diana Natural)50gを、250gの脱イオン水と混合した。この溶液を沸騰するまで加熱し、Whatmanの4番の濾紙に通して濾過して凝結物を除去した。次に、濾液を、64.5gの賽の目に切り分けたウィットの果実と混合し、その混合物を、高速(Waring blender)で60秒間、2回混合した。予熱ステップを加熱プレート上で、42℃で30分間実施した。3500rpmで15分間遠心分離を行ない、Whatmanの4番の濾紙に通して濾過することによって、不溶性の物質を除去した後、その濾液を、加熱板上で62℃の温度設定で1時間加熱した。Hunterの比色計で測定したところ、青色/緑色は、L値が15.87、a値が−2.85、b値が−6.26で生成された。そして、この青色/緑色の溶液をRotavapor(Buchi、Switzerland)において、40mmHgの圧力、50℃、および100rpmの回転で濃縮した。10倍に濃縮した後に得られた最終的な試料は、見かけのBrix値が65.2であった。
【0064】
〔引用文献〕
Endo, T. and Taguchi, H. The constituents of Gardenia jasminoids: Geniposide and genipin-gentiobioside. Chem. Pharm. Bull. 1973
米国特許第4,878,921号明細書、Kogu et al,、1989年11月7日
Sampaio-Santos and Kaplan, J. Braz. Chem. Soc. 12 (2001)
Andreason and Bremer, Am. J. Botany 87 1731-1748 (2000)
Form FDA 2438g (10/91)
Paik, Y.; Lee, C; Cho, M.; and Hahn, T. in J. Agric. Food Chem. 2001, 49, 403-432.
米国特許第4,247,698号明細書,Toyama et al,、1981年1月27日

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)
(i)他の化合物と反応して着色産物を生成することが可能なゲニピン(genipin)、またはゲニピンゲンチオビオシド(genipin gentiobioside)、ゲニポシド(geniposide)、ゲニポシド酸(geniposidic acid)およびガルデノシド(gardenoside)を含むゲニピンの誘導体を十分に含有している、アカネ科の植物の果実から得られる果汁または抽出物;および
(ii)目的の色をもたらす他の成分を提供するために選択される、適切な食品用原料から得られる他の果汁または抽出物
から混合物を形成すること:
(b)上記混合物を共処理すること;ならびに
(c)十分な熱処理を加えて、微生物の成長、酸化および官能低下に対して、ならびに色の強さに関して上記混合物を十分に安定させること、を包含する安定な天然の色を調製する方法。
【請求項2】
上記ゲニピンの原料が、ウィット(Huito)(ゲニパアメリカナ(Genipa americana))である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記ゲニピンの原料が、ウィット(ゲニパアメリカナ)から得られる果実全体、果汁、果実のピューレ、果汁の濃縮物、果実または果汁の乾燥粉末および果実の水不溶性の部分、ならびにこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記ゲニピンの原料が、クチナシ科に属するガルデニア ジャスミノイデス エリス(Gardenia jasminoides Ellis)、その変種または類縁種から得られる果実全体、果汁、果実のピューレ、果汁の濃縮物、果実または果汁の乾燥粉末および果実の水不溶性の部分、ならびにこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
(a)の(ii)に示す化合物が、果実、穀粒、種子、マメ、木の実、野菜、植物性物質、乳および卵を含む動物性物質、微生物性物質および藻類性物質を含む食品用原料、ならびにウィットの果汁と組み合わせたときに着色をもたらすことが可能な成分を含有する、上記原料から得られる副産物のいずれかから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
(a)の(ii)に示す成分が、濃縮物、ピューレ、乾燥物、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(a)の(ii)に示す成分が、スイカ、白ブドウ、パイナップル、タマリンド、グリーンキャベツ、ニンジン、オレンジ、リンゴ、セイヨウナシ、赤ブドウ、ブルーベリー、モヤシ、カンタループ、ライチ、モモ、パパイヤ、レモン、アサイー、セイヨウスモモ、グアバ、パッションフルーツ、タンジェリン、ボロホ、クプアス、バナナ、カボチャ、ピーマン、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(a)の(ii)に示す成分が、スイカである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記共処理することが、酵素処理および/またはpH調整を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(a)の(ii)に示す化合物が、アミノ酸、ポリペプチド、タンパク質、および1つ以上の一級アミン基を有する化合物、ならびにこれらの組み合わせから選択される窒素化合物を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法によって作製される、安定した、天然果実から作られる着色料。
【請求項12】
請求項2に記載の方法によって作製される、安定した、天然果実から作られる着色料。
【請求項13】
請求項4に記載の方法によって作製される、安定した、天然果実から作られる着色料。
【請求項14】
請求項8に記載の方法によって作製される、安定した、天然果実から作られる着色料。
【請求項15】
請求項11に記載の着色料を含有する食品。
【請求項16】
請求項12に記載の着色料を含有する食品。
【請求項17】
請求項14に記載の着色料を含有する食品。
【請求項18】
請求項1に記載の方法によって調製される目的の色を選択する方法であって、
・分離したウィットの果汁または抽出物と1つ以上の他の果実または抽出物とを複数の組み合わせで混合すること;
・十分な熱処理を行なうことによって、微生物の成長、酸化および官能低下に対して、および色の強さに関して、上記混合物を十分に安定させること;
・当該技術分野において公知の手法、分析および器具を用いて、色合いの強さ、色調および目的とする規格に対する一致度に関して、生成した色を評価すること;
・目的の色を実現するために、果汁または抽出物の比率および/または品質を調整すること;
・目的の色を実現するために、処理条件を調節すること;および
・目的の色の着色料を製造するために、特定された比率および条件を使用すること、を包含する方法。
【請求項19】
上記ゲニピンの原料が、ウィット(ゲニパアメリカナ)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
(a)の(ii)に示す成分が、果実、種子、穀粒、マメ、野菜、植物性物質、乳、乳製品、肉、魚介類および甲殻類を含む動物性物質、微生物性物質、藻類性物質、ならびにウィットの果汁と組み合わせたときに着色をもたらすことが可能な成分を含有する、上記原料から得られる副産物から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(a)の(ii)に示す成分が、スイカ、白ブドウ、パイナップル、タマリンド、グリーンキャベツ、ニンジン、オレンジ、リンゴ、セイヨウナシ、赤ブドウ、ブルーベリー、モヤシ、カンタループ、ライチ、モモ、パパイヤ、レモン、アサイー、セイヨウスモモ、グアバ、パッションフルーツ、タンジェリン、ボロホ、クプアス、バナナ、カボチャ、ピーマン、およびこれらの混合物から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
(a)の(ii)に示す成分がスイカである、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−515105(P2011−515105A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−501923(P2011−501923)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/037683
【国際公開番号】WO2009/120579
【国際公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(506200326)ワイルド フレーバーズ インク. (5)
【Fターム(参考)】