説明

安定した放臭剤系

本発明は、安定した放臭剤系、かかる系を含む組成物、及びかかる系及び組成物を製造及び使用するためのプロセスに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は安定した放臭剤系、かかる系を含む組成物、及びかかる系及び組成物を製造及び使用するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
酸素漂白剤、例えば、過酸化水素は、典型的には、衣類及び種々の表面から染み及び汚れを除去するのを容易にするために使用される。残念ながら、このような剤はきわめて温度率(temperature rate)依存性が高い。結果として、このような試剤がより低い温度の溶液中で使用される場合、このような溶液の漂白作用は顕著に減少する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述の性能上の問題を解決するために、この業界では「漂白活性化剤」として知られる部類の材料が開発された。しかし、そのような材料は40℃より低い溶液温度ではその効果が急速に失われることから、3、4−ジヒドロ−2−[2−(スルホオキシ)デシル]イソキノリミウム、分子内塩のような新しい有機触媒が開発された。概して、かかる現行分野の触媒は水が低温の条件において有効である一方、放臭剤に対する有害な影響を有しえる。安定した芳香剤及び有機触媒を含む洗浄組成物及び/又はトリートメント組成物が望ましいので、かかる組成物を製造し、選択する系及び方法の提供が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は安定放臭剤系、かかる系を含む組成物、及びかかる系及び組成物の製造及び使用方法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
定義
本明細書で使用する時、用語「洗浄組成物」は、他に指示がない限り、顆粒又は粉末形態の汎用又は「重質」洗浄剤、特に洗濯洗剤、液体、ゲル又はペースト形態の汎用洗浄剤、特にいわゆる重質液体型、液体の高級布地用洗剤、手洗い食器洗浄剤、又は軽質食器洗浄剤、特に高起泡型のもの、種々の錠剤、顆粒、液体及び家庭及び企業での使用のためのリンス補助型を含む機械食器洗浄剤、抗菌ハンドウォッシュ型、洗濯バー、うがい薬、義歯クリーナー、車又はカーペット用シャンプー、浴室クリーナーを含む液体洗浄剤及び消毒剤、ヘアシャンプー及びヘアリンス、シャワージェル及び泡バス及び金属クリーナー、並びに、漂白添加物質及び「染み用スティック」、又は前処理型のような洗浄補助剤を含む。
【0006】
本明細書で使用する「独立して、〜からなる群から選択される」という言い回しは、引用されるマルクーシュ群から選択される部分又は要素が同じか、異なるか、又は任意の要素の混合物であってもよいことを意味する。
【0007】
本明細書で使用するとき、「芳香剤」及び「放臭剤」と言う用語は同義である。.
本明細書で使用する時、冠詞「a」及び「an」は、仕様書又は請求項で使用される時には、特許請求され又は記載される1つ以上のものを意味するものと理解される。
【0008】
本出願の試験方法の項で開示する試験方法を用いて、本出願人らの発明のパラメータの各値を求めなければならない。
【0009】
本明細書の目的のため、「親水性の有機触媒」は、約0未満、又はさらには約−0.5未満のlogPo/wを有することを意味する。
【0010】
本明細書の目的のため、「疎水性の有機触媒」は、0.5以上、又はさらには1以上のlogPo/wを有することを意味する。
【0011】
本明細書の目的のため、酸素移動剤は、酸素移動剤が抽出される親有機触媒(parent organic catalyst)の指定に基づいて親水性又は疎水性であると指定され、後者は、「親水性及び疎水性の有機触媒」の定義において開示されたlogPo/wの基準んに基づいて決定される。
【0012】
特に記載のない限り、構成成分又は組成物の濃度は全て、前記構成成分又は組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源類に存在し得る不純物類、例えば残留溶媒類又は副生成物類は除外される。
【0013】
百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0014】
本明細書を通じて与えられるあらゆる最大数の限定は、あらゆるより小さい数値の限定を、あたかもそのようなより小さい数値の限定がここに明確に書かれているかのように含むと理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0015】
引用する全ての文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いかなる文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈すべきではない。
【0016】
安定した放臭剤系を含む洗浄組成物
本発明の一つの態様は、系A、系B、及びこれらの混合物から成る群から選択される放臭剤系を含む組成物に関し、系Aは、有機触媒及び活性酸素源、酸素移動剤、又はこれらの混合物の供給源;電子不足の放臭剤、及び少なくとも一つの補助成分を含み、系Bは、界面活性剤、親水性有機触媒及び活性酸素源、親水性酸素移動剤、又は混合物、疎水性で電子が豊富な放臭剤を含む。但し、前記組成物が系Aと系Bの混合物を含む場合には、系Aの有機触媒、酸素移動剤、又はこれらの混合物は親水性である。
【0017】
本発明の一態様において、前記組成物は系Aを含む。
【0018】
本発明の別の態様において、前記組成物は系Bを含む。
【0019】
前記組成物が系Aを含む場合、前記組成物の電子不足の放臭剤の有機触媒、酸素移動剤、又はこれらの混合物に対する割合は、約2000:1〜約1:1、約800:1〜約2:1、又はさらには約250:1〜約5:1であってもよい。前記組成物が系Aを含む場合、電子不足の放臭剤はEFDと略される求電子境界密度(Electrophilic Frontier Density)は、約0〜約0.41未満、又はさらには約0.38未満、又はさらには約0.35未満であってもよく、2以上のDBCを有する二重結合を有しないか、又はそれらの組み合わせであってもよい。好適な電子不足の放臭剤には、1,1’−オキシビス−2−プロパノール、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジエチルエステル、(エトキシメトキシ)シクロドデカン、1,3−ノナンジオール、モノアセテート、(3−メチルブトキシ)酢酸、2−プロペニルエステル、β−メチルシクロドデカンエタノール、2−メチル−3−[(1,7,7−トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト2−イル)オキシ]−1−プロパノール、オキサシクロヘキサデカン−2−オン、α−メチル−ベンゼンメタノールアセテート、トランス−3−エトキシ−1,1,5−トリメチルシクロヘキサン、4−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキサノールアセテート、4−(1,1−ジメチルエチル)シクロヘキサノールアセテートドデカハイドロ−3a,6,6,9a−テトラメチルナフト[2,1−b]フラン、β−メチルベンゼンプロパナル、β−メチル−3−(1−メチルエチル)ベンゼンプロパナル、4−フェニル−2−ブタノン、2−メチルブタン酸、エチルエステル、ベンズアルデヒド、2−メチルブタン酸、1−メチルエチルエステル、ジヒドロ−ペンチル−2(3H)フラノン、(2E)−1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキサン−1−イル)−2−ブテン−1−オン、ドデカナール、ウンデカナール、2−エチル−α、α−ジメチルベンゼンプロパナル、デカナール、α、α−ジメチルベンゼンエタノールアセテート、2−(フェニルメチレン)オクタナール、2−[[3−[4−(1,1−ジメチルエチル)フェニル]−2−メチルプロピリデン]アミノ]安息香酸、メチルエステル、1−(2,6,6−トリメチルー3−シクロヘキサン−1−イル)−2−ブテン−−オン、2−ペンチルシクロペンタノン、シクロペンチル酢酸3-オキソ−2−ペンチル、メチルエステル、4−ヒドロキシー3−メトキシベンズアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヘプチルシクロペンタノン、1−(4−メチルフェニル)エタノン、(3E)−4−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、(3E)−4−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−3−ブテン−2−オン、ベンゼンエタノール、2H−1−ベンゾピラン−2−オン、2−メトキシベンズアルデヒド、10−ウンデセナール、プロパン酸、フェニルメチルエステル、β−メチルベンゼンペンタノール、1,1−ジエトキシー3,7−ジメチル−2,6−オクタジエン、α、α−ジメチルベンゼンエタノール、(2E)−1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキサン−1−イル)−2−ブテン−1−オン、酢酸、フェニルメチルエステル、シクロヘキサンプロパン酸、2−プロペニルエステル、ヘキサン酸、2−プロペニルエステル、1,2−ジメトキシ−4−(2−プロペニル)ベンゼン、1,5−ジメチルービシクロ[3.2.1]オクタン−8−オンオキシム、4−(4−ヒドロキシー4−メチルペンチル)−3−シクロヘキサン−1−カルボキシアルデヒド、3−ブテン−2−オル、2−[[[2,4(又は3,5)−ジメチルー3−シクロヘキサン−1−イル]メチレン]アミノ]安息香酸、メチルエステル、8−シクロヘキサデセン−1−オン、メチルイオノン、2,6−ジメチル−7−オクテン−‐2−オル、2−メトキシ−4−(2−プロペニル)フェノール、(2E)−3,7−ジメチルー2,6−オクタジエ−1−オル、2−ヒドロキシ−安息香酸(3Z)−3−ヘキセニルエステル、2−トリデセンエニトリル、4−(2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキシル)−3−メチルー3−ブテン−2−オン、テトラヒドロ−メチル−2−(2−メチル−1−プロペニル)−2H−ピラン、酢酸、(2−メチルブトキシ)−,2−プロペニルエステル、安息香酸、2−ヒドロキシー,2−メチルブチルエステル、2−ブテン−1−オン、1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキサン−1−イル)−,(Z)−、シクロペンタンカルボン酸、2−へキシル−3−オキソ−,メチルエステル、ベンゼンプロパナール,4−エチル−.α.,.α.−ジメチル−、2−シクロヘキサン−1−カルボキシアルデヒド、3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−、エタノン,1−(2,3,4,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,6,8,8−テトラメチル−1H−3a,7−メタノアズレン−5−イル)−,[3R−(3.α.,3a.β.,7.β.,8aα.)]−、ウンデカナール,2−メチル−2H−ピラン−2−オン,6−ブチルテトラヒドロ−、ベンゼンプロパナル,4−(1,1−ジメチルエチル)−.α.−メチル−、2(3H)−フラノン,5−ヘプチルジヒドロ−、安息香酸,2−[(7−ヒドロキシ−3,7−ジメチルオクチルジエン)アミノ]−,メチル、安息香酸,2−ヒドロキシ−,フェニルメチルエステル、ナフタレン,2−メトキシ−、2−シクロペンテン−1−オン,2−ヘキシル−、2(3H)−フラノン、5−ヘキシルジヒドロ−、オキシランカルボン酸、3−メチルー3−フェニルー、エチルエステル、2−オキサビシクロ[2.2.2]オクタン、1,3,3−トリメチル−、ベンゼンペンタノール、.γ.−メチル−、3−オクタノール、3,7−ジメチル−、及びこれらの混合物から成る群から選択される放臭剤が挙げられるが、これらに限定されない。本出願の目的のため、放臭剤のかかるマーカッシュ群を放臭剤群1として指定する。
【0020】
前記組成物が系Bを含む場合には、電子が豊富な放臭剤の、親水性の有機触媒、親水性の酸素移動剤、又はこれらの混合物、に対する割合は、約2000:1〜約1:1、約800:1〜約2:1、又はさらに約250:1〜約5:1であってもよい。前記組成物が系Bを含む場合は、前記電子が豊富な放臭剤は、0.41以上、又は0.43以上で約2未満、又はさらには0.45以上で約2未満のEFD、及び0.5以上、又はさらには1以上のlogPo/w、2以上のDBC及び0.5以上、又はさらには1以上、又はこれらの組み合わせのlogPo/wを有する少なくとも一つの二重結合、及び前記親水性の有機触媒及び親水性の酸素移動剤は、約0未満、又はさらには約−0.5未満のlogPo/wを有してよい。好適な電子の豊富な放臭剤には、3,7−ジメチル−2,6−オクタジエンニトリル、3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オル、テルピネオルアセテート、2−メチル−6−メチレン−7−オクテン−2−オル、ジヒドロ誘導体、3a、4,5,6,7、7a−ヘキサヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン−6−オルプロピオン酸、3−メチル−2−ブテン−1−オルアセテート、(Z)−3−ヘキセン−1−オルアセテート、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−2−ブテン−1−オル、4−(オクタヒドロー4,7−メタノー5H−インデンー5−イリデン)ブタナル;3−2,4−ジメチル−シクロヘキセン−1−カルボキシアルデヒド、1−(1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−エタノン、2−ヒドロキシ−安息香酸、メチルエステル、2−ヒドロキシ−安息香酸、ヘキシルエステル、2−フェノキシ−エタノール、2−ヒドロキシ−安息香酸、ペンチルエステル、2,3−ヘプタンジオン、2−ヘキセン−1−オル、6−オクテン−2−オル、2,6−ジメチル−、4,7−メトノー1H−インデン−6−オル、3a,4,5,6,7、7a−ヘキサヒドロ−、アセテート;9−ウンデセナル、8−ウンデセナル、イソシクロシトラール、エタノン、1−(1,2,3,5,6,7,8、8a−オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−、3−シクロヘキセン−1−カルボキサルデヒド、3,5−ジメチル−;3−シクロヘキセン−1−カルボキサルデヒド、2,4−ジメチル−、1,6−オクタジエン−3−オル、3,7−ジメチル−、1,6−オクタジエン−3−オル、3,7−ジメチル−、アセテート、シクロペンタノン、2−[2−(4−メチル−3−シクロヘキセン−1−イル)プロピル]−及び1−メチル−4−(1−メチルエテニル)シクロヘキセンから成る群から選択される放臭剤が挙げられるがこれらに限定されない。本出願の目的のため、放臭剤のかかるマーカッシュ群は放臭剤群2として指定する。
【0021】
本発明の前記態様のいずれにおいても、前記組成物は、約0.0002重量%〜約5重量%、又はさらには0.0001重量%〜約1.5重量%の有機触媒、酸素移動剤、又はこれらの混合物を含んでよく、前記組成物が系Bを含むときは、少なくとも0.1、又はさらには少なくとも0.2重量%の界面活性剤を含んでよい。好適な界面活性剤には、これらに限定されないが、界面活性剤又は界面活性剤系が挙げられ、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択可能である。
【0022】
前記洗浄組成物のいずれの態様のいずれの残部も1以上の補助剤物質で構成されている。
【0023】
系A及び系Bのための好適な有機触媒には、イミニウムカチオン及びポリイオン、イミニウム双性イオン類、変性アミン類、変性アミンオキシド類、N−スルホニルイミン類、N−ホスホニルイミン類、N−アシルイミン類、チアジアゾール二酸化物類、ペルフルオロイミン類、環状糖ケトン類、及びこれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。ただし、系Bについては、かかる触媒が親水性の有機触媒である場合にのみ好適である。好適なイミニウムカチオン及びポリイオンには、N−メチルー3,4−ジヒドロイソキノィニウムテトラフルオロホウ酸塩、四面体(Tetrahedron)(1992)(49(2)、423〜38)の記載に従って調製(例えば、433頁の化合物4を参照のこと;N−メチルー3,4−ジヒドロイソキノリニウムp−トルエンスルホネート、米国特許第5,360,569号の記載に従って調製(例えば、実施例1のカラム11を参照のこと);及びN−オクチル−3,4−ジヒドロイソキノィニウムp−トルエンスルホネート、米国特許第5,360,568号の記載に従って調製(例えば、実施例3のカラム10を参照のこと)、が挙げられるがこれらに限定されない。
【0024】
好適なイミニウム双性イオン類には、N−(3−スルホプロピル)−3,4−ジヒドロイソキノィニウム、分子内塩、米国特許第5,576,282号の記載に従って調製(例えば、実施例IIのカラム31を参照のこと)、N−[2−(スルホオキシ)ドデシル]−3,4−ジヒドロイソキノィニウム、分子内塩、米国特許第5,817,614号の記載に従って調製(例えば、実施例Vのカラム32を参照のこと)、2−[3−[(2−エチルへキシル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩、及び2−[3−[(2−ブチルオクチル)オキシ]−2−(スルホオキシ)プロピル]−3,4−ジヒドロイソキノリニウム、分子内塩、それぞれ共に本出願中の実施例1及び2の記載に従って調製、が挙げられるがこれらに限定されない。好適な変性アミン酸素移動触媒には、1,2,3,4−テトラヒドロ−2−メチル−1−イソキノリノル、四面体レター(Tetrahedron Letters)(1987)(28(48)、6061〜6064)に記載の工程に従って製造、が挙げられるがこれに限定されない。好適なヘンセイアミンオキシド酸素移動触媒には、ナトリム1−ヒドロキシ−N−[2−(サルホオキシ)デシル]−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリンが挙げられる。好適なN−スルホニルイミン酸素移動触媒類には3−メチル−ベンズイソチアゾール1,1−二酸化物、有機化学誌(Journal of Organic Chemistry)(1990)(55(4)、1254−61に記載の工程に従って調製、が挙げられるがこれに限定されない。好適なN−ホスホニルイミン酸素移動触媒には、[R−(E)]−N−[(2−クロロー5−ニトロフェニル)メチレン]−P−フェニル−P−(2,4,6−トリメチルフェニルアミド、化学会誌(Journal of the Chemical Society)(1994)((22)、2569〜70)に記載の工程に従って製造可能、が挙げられるがこれに限定されない。好適なN−アシルイミン酸素移動触媒には[N(E)]−N−(フェニルメチレン)アセトアミド、ポーリッシュ・ジャーナル・オブ・ケミストリー(Polish Journal of Chemistry)(2003)(77(5)、577〜590)に記載の工程に従って
製造可能、が挙げられるがこれに限定されない。好適なチアジアゾール二酸化物酸素移動触媒には、3−メチル−4−フェニル−1,2,5−チアジアゾール1,1−二酸化物、米国特許第5,753,599号(カラム9、実施例2)に記載の工程に従って製造可能、が挙げられるがこれに限定されない。好適なペルフルオロイミン酸素移動触媒には、(Z)−2,2,3,3,4,4,4−ヘブタフルオロ−N−(ノナフルオロブチル)ブタンイミドイルフッ化物、四面体レター(Tetrahedron Letters)(1994)(35(34)、6329−30)、に記載の工程に従って製造可能、が挙げられるがこれに限定されない。好適な環状の糖ケトン酸素移動触媒には、1,2:4,5−ジ−O−イソプロピリデン−D−エリトロ−2,3−ヘキソジウロ−2,6−ピラノーズ、米国特許第6,649,085号(カラム12、実施例1)に従って調製、が挙げられるがこれに限定されない。
【0025】
活性酸素源には、予め形成された過酸類、過酸化水素供給源と漂白活性化剤の組み合わせ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な過酸化水素の供給源には、過ホウ酸塩のナトリウム塩などのアルカリ金属を含む無機過水和物塩類(通常モノ−又は、四水和物)、過炭酸塩、過硫酸塩、パーホスフェート、パーシリケート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。無機過水和物塩(用いた場合)は、典型的には、全組成物の0.05〜40重量%、又は1〜30重量%の量で存在し、典型的には、当該組成物中へ結晶固形物(コーティングされていてもよい)として組み込まれる。好適なコーティングとしては、無機塩類、例えばアルカリ金属ケイ酸塩、炭酸塩又はホウ酸塩、あるいはこれらの混合物、あるいは有機材料、例えば水溶性又は分散性ポリマー類、ワックス類、オイル類又は脂肪石鹸類が挙げられる。
【0026】
好適な活性化剤類には、過加水分解性エステル類、イミド類、カーボネート類、カルバメート類、ニトリル類、カルボジイミド類等を挙げられるがこれらに限定されない。好適な活性化剤類の例には、これらに限定されないが、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ベンゾイルカプロラクタム(BzCL)、4−ニトロベンゾイルカプロラクタム、3−クロロベンゾイルカプロラクタム、ベンゾイルオキシベンゼンスルホネート(BOBS)、ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、安息香酸フェニル(PhBz)、デカノイルオキシベンゼンスルホネート(C10−OBS)、ベンゾイルバレロラクタム(BZVL)、オクタノイルオキシベンゼンスルホネート(C−OBS)、過加水分解可能なエステル類、過加水分解可能なイミド類及びこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
好適な予め形成された過酸類としては、過カルボン酸類及び塩類、過炭酸類及び塩類、ペルイミド酸類及び塩類、ペルオキシ一硫酸類及び塩類、例えば、オキシゾン(登録商標)類並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。好適な過カルボン酸類としては、化学式R−(C=O)O−O−Mを有する疎水性及び親水性過酸類が挙げられる。[式中、Rはアルキル基であり、所望により分岐しており、前記過酸が疎水性の場合には、6〜14個の炭素原子、又は8〜12個の炭素原子を有し、前記過酸が親水性の場合には、6個未満の炭素原子、又はさらに4個未満の炭素原子を有し、Mは、対イオン(例えば、ナトリウム、カリウム又は水素)である。]好適な予め形成された過酸類の例には、1−3ジヒドロ−1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−ヘキサンエペロキソイック(hexaneperoxoic)酸、ノナンエペロキソイック(nonaneperoxoic)酸、ドデカンエペロキソイック(dodecaneperoxoic)酸、6−(ノニルアミノ)−6−オキソ−ヘキサンペロキソイック(hexaneperoxoic)酸、及び6−[(1−オキソノニル)アミノ]−ヘキサンペロキソイック(hexaneperoxoic)酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
過酸及び/又は漂白活性化剤(存在する場合)は、一般に、組成物を基準にして、約0.1〜約60重量%、約0.5〜約40重量%又はさらに約0.6〜約10重量%の量で、組成物中に存在する。1つ以上の疎水性過酸類又はその前駆体は、1つ以上の親水性過酸又はその前駆体と組合せて使用してよい。
【0029】
過酸化水素供給源及び過酸又は漂白活性化剤の量は、有効酸素(過酸化物供給源より供給される)対漂白活性化剤のモル比が、1:1〜35:1、又はさらに2:1〜10:1となるように選択してよい。
【0030】
好適な酸素移動剤には、オキサジリジニウム(oxaziridinium cations)カチオン類及びポリイオン類、オキサジリジニウム双性イオン類、N−スルホニルオキサジリジニウム、N−ホスホニルオキサジリジニウム、N−アシルオキサジリジニウム、チアジアゾール二酸化物、パーフルオロキサジリジニウム、環状糖誘導ジオキシラン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。かかる酸素移動剤は、本明細書に記載の有機触媒を、本明細書に記載の活性酸素源と混合することにより調製可能である。
【0031】
放臭剤供給方法
上記の放臭剤のいずれも、その他の物質と混合して次のいずれかを製造することができる、スターチカプセル化したデリバリーシステム、多孔質担体物質デリバリーシステム、被覆された多孔質担体デリバリーシステム、マイクロカプセル化したデリバリーシステム。上記デリバリーシステムの好適な製造方法は1以上の次の米国特許に見い出すことができる、第6,458,754号、第5,656,584号、第6,172,037号、第5,955,419号、及び第5,691,383、及び国際公開特許WO第94/28017号、国際公開特許WO第98/41607号、国際公開特許WO第98/52527号。かかるデリバリーシステムは、消費者製品において、単独で、互いに組み合わせて、又は適切にスプレーされた又は混合された放臭剤と組み合わせて使用することができる。例えば、電子の豊富な放臭剤は、疎水性の有機触媒、及び活性酸素源、疎水性の酸素移動剤、又はこれらの混合物の供給源、を含む組成物中で使用することが可能であり、かかる放臭剤は、上記の1以上のデリバリー方法によって望ましくない酸化から保護することができる。一態様において、かかる保護された電子の豊富な放臭剤は、0.41以上のEFD、2以上のDBCを有する少なくとも一つの二重結合、又はそれらの組み合わせを有してよい。
【0032】
補助剤物質
本発明の目的には必須でないが、以下に例示される補助剤の非限定的なリストは、本組成物において使用するのに適しており、例えば、クリーニング性能を補助若しくは向上させるために、洗浄される基材の処理のために、又は着色剤、染料などを用いる場合と同様に洗浄組成物の審美性を変化させるために、望ましくは本発明の特定の実施形態に組み込まれてよい。このような追加的成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき洗浄作業の性質による。好適な補助剤材料としては、非必須界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒作用性物質、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素供給源、予備形成過酸類、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、起泡抑制剤、染料、香料、構造伸縮性付与剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、充填剤、溶媒、及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記の開示に加え、このようなその他の補助剤の適した例及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、米国特許第6,306,812B1号及び米国特許第6,326,348B1号に見出され、これらを本明細書に参考として組み込んでいる。
【0033】
上述の如く、前記補助成分は、本出願人らの組成物には必須ではない。従って、本出願人らの組成物の特定の実施形態は、次の補助剤物質の1つ以上を含有しない:非必須界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予備形成過酸類、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、起泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、溶媒及び/又は顔料。しかしながら、1つ以上の補助剤が存在する場合、当該1以上の補助剤は、以下に詳細に記載されるように存在することが可能である。
【0034】
漂白剤−本発明の洗浄組成物は、1つ以上の漂白剤を含んでよい。有機触媒、活性酸素源、及び酸素移動剤以外の好適な漂白剤には光漂白剤、例えば、スルホン酸化亜鉛フタロシアニンが挙げられるが、これに限定されない。
【0035】
界面活性剤−本発明による洗浄組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含んでよく、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤及びこれらの混合物から選択されることができる。界面活性剤(存在する場合)は、典型的には、標記組成物の約0.1重量%〜約60重量%、約1重量%〜約50重量%又はさらに約5重量%〜約40重量%の濃度で存在する。
【0036】
ビルダー類−本発明の洗剤組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含んでよい。ビルダーを使用する場合、標記組成物は、典型的には、標記組成物の少なくとも約1重量%、約5重量%〜約60重量%、又はさらに約10重量%〜約40重量%のビルダーを含む。
【0037】
ビルダー類には、ポリホスフェートのアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属の炭酸塩、アルミノケイ酸塩ビルダー、及びポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、並びに、例えばメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸などのポリカルボキシレート、並びにこれらの可溶性塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
キレート剤−本明細書の洗浄組成物は、キレート剤を含有してよい。好適なキレート剤としては、銅、鉄及び/又はマンガンキレート剤及びこれらの混合物が挙げられる。キレート剤を使用する場合、標記組成物は、標記組成物の約0.005重量%〜約15重量%、又はさらに約3.0重量%〜約10重量%のキレート剤を含んでよい。
【0039】
染料移行防止剤−本発明の洗浄組成物はまた、1つ以上の染料移行抑制剤を含んでもよい。好適な高分子染料移行防止剤には、ポリビニルピロリドンポリマー類、ポリアミンN−オキシドポリマー類、N−ビニルピロリドン及びN−ビニルイミダゾールのコポリマー類、ポリビニルオキサゾリドン類及びポリビニルイミダゾール類、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。標記組成物中に存在する場合、染料移行防止剤は、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、又はさらに約0.1重量%〜約3重量%の濃度で存在してよい。
【0040】
増白剤−本発明の洗浄組成物は、洗浄される物品に色合いを付けることもできる追加成分(蛍光光沢剤など)を含有することもできる。好適な蛍光増白剤濃度としては、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、さらには約0.2重量%の低い濃度から、0.5重量%又はさらに0.75重量%の高い濃度までが挙げられる。
【0041】
分散剤−本発明の組成物はまた、分散剤を含むことができる。好適な水溶性有機物質類としては、ホモポリマー又はコポリマーの酸類又はそれらの塩類が挙げられ、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシルラジカルを含む。
【0042】
酵素類−洗浄組成物は、クリーニング性能及び/又は布地ケア効果を提供する1以上の酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ類、ペルオキシダーゼ類、プロテアーゼ類、セルラーゼ類、キシラナーゼ類、リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、エステラーゼ類、クチナーゼ類、ペクチナーゼ類、マンナナーゼ類、ペクテートリアーゼ類、ケラチナーゼ類、レダクターゼ類、オキシダーゼ類、フェノールオキシダーゼ類、リポキシゲナーゼ類、リグニナーゼ類、プルラナーゼ類、タンナーゼ類、ペントサナーゼ類、マラナーゼ類、β−グルカナーゼ類、アラビノシダーゼ類、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ及びアミラーゼ類、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組合せは、例えば、プロテアーゼ及びリパーゼをアミラーゼとともに含んでよい酵素反応混液である。洗浄組成物中に存在する場合、上述した酵素類は、組成物の約0.00001重量%〜約2重量%、約0.0001重量%〜約1重量%、又はさらに約0.001重量%〜約0.5重量%の濃度の酵素タンパク質で存在してよい。
【0043】
酵素安定剤−種々の技法によって、洗剤に使用する酵素類を安定化させることができる。本明細書に用いられる酵素類は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。プロテアーゼを含む水性組成物の場合、さらに安定性を改善するために、可逆性蛋白質分解酵素抑制剤(ホウ素化合物など)を添加することができる。
【0044】
触媒金属錯体−本出願人らの洗浄組成物は、触媒金属錯体を含むことができる。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンの陽イオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属陽イオン、亜鉛又はアルミニウムの陽イオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全くもたない補助金属陽イオン、並びに触媒金属及び補助金属の陽イオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性の塩類を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示される。
【0045】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて触媒作用され得る。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されるマンガン系触媒が挙げられる。
【0046】
本明細書で有用なコバルト漂白剤触媒は、米国特許第5,597,936号、米国特許第5,595,967号で知られ、説明されている。そのようなコバルト触媒は、例えば米国特許第5,597,936号及び米国特許第5,595,967号などの既知の手順によって容易に準備できる。
【0047】
ここでの組成物は、bispidones(WO 05/042532 A1)及び/又は「MRLs」などと略されるマクロポリ環状硬質配位子等の配位子の遷移金属錯体を適切に含む場合がある。実際的な事項として、しかも限定のためでなく、ここでの組成物と方法は、水溶性の洗浄媒質内にある少なくともおよそ1憶分の一の活性MRL族を提供するよう、しかも典型的には約0.005ppmから約25ppm、約0.05ppmから約10pm、さらには約0.1ppmから約5ppmのMRLが洗浄溶液中にあるよう調整することができる。
【0048】
本遷移金属漂白触媒における好適な遷移金属としては、例えばマンガン、鉄及びクロムが挙げられる。好適なMRLとしては、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンが挙げられる。
【0049】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT国際公開特許WO00/32601、及び米国特許第6,225,464号にて教示される手順によって容易に調製される。
【0050】
溶媒−好適な溶媒としては、水及び他の溶媒(例えば、親油性流体)が挙げられる。好適な親油性流体の例としては、シロキサン類、その他のシリコーン類、炭化水素類、グリコールエーテル類、例えばグリセリンエーテル類などのグリセリン誘導体類、ペルフルオロ化アミン類、ペルフルオロ化及びハイドロフルオロエーテル溶媒類、低揮発性の非フッ素化有機溶媒類、ジオール溶媒類、環境に優しいその他の溶媒類、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
洗浄及び/又は処理用組成物の製造方法
本発明の洗浄組成物は、任意の適切な形態に配合でき、配合者によって選択される任意の方法によって調製され、方法の非限定例は、本出願人らの実施例、並びに米国特許第5,879,584号、米国特許第5,691,297号、米国特許第5,574,005号、米国特許第5,569,645号、米国特許第5,565,422号、米国特許第5,516,448号、米国特許第5,489,392号、及び米国特許第5,486,303号(これらすべては本明細書に参考として組み入れる)に記載される。
【0052】
使用方法
本発明は、ある場所(situs)、とりわけ表面又は布地を洗浄するための方法を含む。これらの方法は、本出願人の洗浄組成物の実施形態を、希釈していない形態で、又は洗浄溶液中で希釈して、表面又は布地の少なくとも一部分に接触させ、次いで、所望により、表面又は布地をすすぐ工程を含む。表面又は布地は前記すすぎ工程の前に洗浄工程を経てもよい。本発明の目的上、洗浄することは、擦ること及び機械的攪拌を含むが、これらに限定されない。当業者に理解されるように、本発明の洗浄組成物は理想的には洗濯用途に用いるのに適している。それ故に、本発明は布地を洗濯するための方法を含む。この方法は、洗濯されるべき布地を本出願の洗浄組成物の少なくとも1つの実施形態、洗浄添加物、又はこれらの混合物を含む前記洗浄洗濯溶液と接触させる工程を含む。布地は、通常の消費者の使用条件で洗濯され得るほとんどいかなる布地をも含んでよい。この溶液は、好ましくは約8から10.5のpHをもつ。この組成物は、溶液中の濃度が約500ppmから約15,000ppmで用いられる場合がある。水温は、典型的には約5℃〜約90℃の範囲である。水対布地の比率は、典型的には約1:1〜約30:1である。
【0053】
試験方法
1.)求電子境界密度(Electrophilic Frontier Density):求電子境界密度は、任意の所与の芳香剤について密度汎関数法(DGauss)を用いて最適化することにより決定される。密度汎関数法は、富士通米国社(Fujitsu America, Inc.)(米国カリフォルニア州(1250 E. Arques Avenue Sunnyvale, California USA 94085-5401))から供給されるキャッシュ・ワークシステム・プロ(CAChe Worksystem Pro)のバージョン6.1の分子密度関数プログラムであり、原子の電子物性及び構造特性の密度汎関数理論(density functional theory)(DFT)を使用している。かかる最適化は、DZVP基底関数を用いるB88−PW91GGAエネルギー汎関数を用いて行なう。本発明の目的のため、最も高い求電子境界密度(Electrophilic Frontier Density)を有する芳香剤の炭素原子は芳香剤のEFDである。
【0054】
2.)二重結合総数(double bond count):炭素−炭素二重結合の二重結合総数(DBC)を次の式に従って計算した。
DBC=×−y+2z
ここで、1個目の炭素−炭素二重結合のために
a.)xは、他の炭素原子との二重結合を含む炭素原子からの直接結合の数(二重結合を形成しているものを除く)
b.)yは、それ自身が別の原子に多数重なって結合した炭素原子への二重結合を含む炭素原子からの直接結合の数(例えば、カルボニル炭素、チオカルボニル炭素、又は二トリル炭素などのC、O、S、又はN)、及び
c.)O、S、又はNとの二重結合を含む炭素原子からの直接結合の数。
【0055】
DBCを決定する目的で、各芳香環を二重結合であると考え、そのDBCをそれに従って計算する。
【0056】
2以上のDBCを有する化合物の中に二重結合がない場合は、化合物は、電子が不足しているもののみであると考える。化合物が2以上のDBCを有する少なくとも一つの二重結合を有する場合は、その化合物は電子が豊富であると考える。
【0057】
具体例:
【化1】

の構造に関して、
【表1】

【0058】
放臭剤DBSの例:3,7−ジメチル−6−オクテン−1−オル、DBC=3(電子が豊富であると分類)、1−メチル−4−(1−メチルエテニル−シクロヘキセン(分子中に2つの二重結合、第1DBC=3、第2二DBC=2、従って電子が豊富であると分類)、10−ウンデセナール、DBC=1(電子不足と分類)、2−ヒドロキシ安息香酸、ペンチルエステル、DBC=2(電子が豊富であると分類)、及び4−フェニル−2−ブタノン、DBC=1(電子不足と分類)。
【0059】
3.)LogPo/wは、環境毒性と環境保護(Ecotoxicology and Environmental Safety)(1986)(Brooke DN、Dobbs AJ、及びWilliams N著)の11(3):251〜260に見い出される方法に従って決定した。
【実施例】
【0060】
指示がない限り、材料はアルドリッチ(Aldrich)(米国ウイスコンシン州(P.O. Box 2060, Milwaukee, WI 53201, USA.))から入手可能である。実施例1及び2において、溶媒アセトニトリルは、1,2−ジクロロエタンを含む、ただしそれに限らないその他の溶媒類に交換可能である。芳香剤物質は次の供給元の1以上から得ることができる。アルゲビル・カンチェフ社(Argeville Kantcheff GmbH)(ドイツ、ヴィースバーデン(Wiesbaden, Germany))、カプラ社(CAPUA s.r.l.)(イタリア、カンポ・カーラブロ(Campo Calabro)89052)、シャラボ社(Charabot)(フランス、グラース(Grasse))、ドロム・インターナショナル社(Drom International Inc.)(米国、イリノイ州(Illinois))、ルレグランス・リソース社(Fragrance Resources, Inc)(米国ニュージャージー州キーポート(Keyport, New Jersey))、フィルメニッヒ社(Firmenich S.A.)(スイス、ジュネーブ(Geneva))、ジボダン・フランス社(Givaudan France S.A.)(フランス、セデックス(Cede))、インターナショナル・フレーバーズ・アンド・フレグランスイズ社(International Flavors & Fragrances IFF(米国、ニュージャージー州(New Jersey))、ヴェ・マン・フィス社(V. Mane Fils S.A.)(フランス、バール・シュル・ルー(Le Bar-sur-Loup))、ミレニアム社(Millennium)、(米国、フロリダ州ジャクソンビル(Jacksonville, Florida))、ノヴィル社(Noville)(米国、ニュージャージー州サウスハッケンサック(South Hackensack, New Jersey))、PFWアロマ・ケミカル社(PFW Aroma Chemicals B.V.)(オランダ、AKバーナベルト(AK Barneveld))、クエスト・インターナショナル社(Quest International)(オランダ、ナールデンブッサムー(Naarden-Bussum))、曽田香料(株(日本、東京)、シナローム社(Synarome)(フランス、ボア・コロンブ(Bois Colombes))、タカサゴ・インターナショナル社(Takasago Int.Corp.)(米国、ニュージャージー州ロックレイ(Rockleigh, New Jersey))。
【0061】
(実施例1):硫酸モノ−[2−(3、4−ヒドロ−イソキノリン−2−yl)−1−(2−プエチルヘキシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
2−エチルヘキシルグルシジルエーテルの調製:エピクロロヒドリン(15.62g、0.17モル)を充満させた添加漏斗付き、火炎乾燥、500mL丸底フラスコに、2−エチルヘキサノール(16.5g、0.127モル)及び塩化第二スズ(0.20g、0.001モル)を加える。反応をアルゴンを大気下に保ち、油浴を使用して90℃に加温する。エピクロロヒドリンを60分かけて攪拌溶液に滴下した後、90℃で18時間攪拌する。反応物を真空蒸留ヘッドに取り付け、1−クロロ−3−(2−エチル−ヘキシルオキシ)−プロパン−2−オールを26.7Pa(0.2mmHg)で蒸留する。1−クロロ−3(2−エチル−ヘプチルオキシ)−プロパン−2−オル(4.46g、0.020モル)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解し、アルゴン大気下の室温で攪拌する。前記攪拌中の溶液に、カリウムt−ブトキシド(2.52g、0.022mol)を添加し、当該懸濁液を室温で18時間攪拌する。次に、反応物を蒸発乾固し、残留物をヘキサン類に溶解し、水(100mL)で洗う。ヘキサン類の相を分離し、NaSOで乾燥し、濾過及び蒸発乾固し、粗製2−プロピルへプチルグリシダールエーテルを得る、これは真空蒸留によってさらに精製できる。
【0062】
硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−yl)−1−(2−エチルヘキシルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製:凝縮器をつけた火力乾燥した250mLの三つ口丸底フラスコに、乾燥アルゴンを入れ、電磁攪拌棒、温度計、加熱浴を追加し、3、4−ジヒドロイソキノリン(0.40mol、米国特許第5,576,282号の実施例1で記述されたように準備された)、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル(上記と同様に準備された0.38mol)、SO−DMF錯体(0.38mol)、アセトニトリル(500mL)。反応物を80℃に加熱してその温度で72時間攪拌する。反応は室温まで冷却され、蒸発で乾燥され、残基はエチルアセテート及び/又はエタノールから再結晶化され、所望の製品が製造される。
【0063】
(実施例2):硫酸モノ−[2−(3,4−ジヒドロ−イソキノリン−2−イル)−1−(2−ブチル−オクチルオキシメチル)−エチル]エステル、分子内塩の調製
所望の製品は、実施例1に従い、2−プロピルヘプタノールを2−エチルヘキサノールに代えて調製される。
【0064】
(実施例3)
顆粒洗濯洗剤の形態を有する漂白洗剤組成物は、以下の配合によって例示される。
【表2】

* 本発明による放臭剤。
【0065】
上記組成物はいずれも、25℃の水中において濃度3500ppmで、水と布の比が25:1の状態で使用された。典型的なpHは約10であるが、アルキルベンゼンスルホン酸塩の形態のNa−塩と酸の比率を変えることによって調整することができる。
【0066】
(実施例4)
顆粒洗濯洗剤の形態を有する漂白洗剤組成物は、以下の配合によって例示される。
【表3】

* 本発明よる方放臭剤。
【0067】
上記組成物はいずれも、20〜90℃の水に10,000ppmの濃度で、水と布の比率が5:1の状態で布地を洗濯するために使用される。典型的なpHは約10であるが、アルキルベンゼンスルホン酸塩の形態のNa−塩と酸の比率を変えることによって調整することができる。
【0068】
(実施例5)
顆粒洗濯洗剤の形態を有する漂白洗剤組成物は、以下の配合によって例示される。
【表4】

* トルエンスルホン酸ナトリウムなどのその他の向水性物質も使用される場合がある。
** ウルトラマリン青又はアゾ−CM−セルロースなど(メガザイム(Megazyme)アイルランド(Bray, Co. Wicklow, Ireland))
*** 本発明による放臭剤。
**** 国際公開特許番号WO00/02991、米国特許第6,413,920B1号、米国特許第6,566,312B2号、及び/又は米国特許第6,790,815B1号に従って調製。
【0069】
上記組成物の全てが、水中の濃度500〜1500ppm、5〜25℃、水:布比15:1〜25:1で布地を洗濯するために使用される。典型的なpHは、約9.5〜10であるが、アルキルベンゼンスルホン酸塩の酸とNa塩形態の比率を変えることにより調節できる。
【0070】
本発明の特定の実施形態を説明及び記述してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。従って、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A.)系A、系B、及びこれらの混合物から成る群から選択される放臭剤系であって、
a.)系Aが、
(i)有機触媒及び活性酸素源、酸素移動剤、又はこれらの混合物と、
(ii)電子不足の放臭剤であって、好ましくは0〜0.41未満、より好ましくは0.38未満、最も好ましくは0.35未満のEFDを有するか、2以上のDBCを有する二重結合を有しないか、又はそれらの組み合わせを有するものと、
(iii)少なくとも一つの補助成分と
を含み、
b.)系Bが、
(i)界面活性剤と、
(ii)親水性有機触媒及び活性酸素源であって、好ましくは前記親水性有機触媒及び親水性酸素移動剤が0未満、より好ましくは0.5未満のlogPo/wを有するもの、親水性酸素移動剤、又はそれらの組み合わせと、
(iii)疎水性で電子が豊富な放臭剤であって、好ましくは0.41以上、より好ましくは0.43以上で2未満、最も好ましくはさらに0.45以上で2未満のEFD、並びに0.5以上、好ましくは1以上のlogPo/wを有するか、2以上のDBC及び0.5以上、より好ましくは1以上のlogPo/wを有する少なくとも一つの二重結合を有するか、又はこれらの組み合わせを有するものと
を含み、
但し、前記組成物が系Aと系Bの混合物を含む場合には、系Aの前記有機触媒、酸素移動剤、又はこれらの組み合わせは親水性である、放臭剤系と、
B.)1つ以上の追加の補助成分を含む該組成物の任意の残部と
を含む組成物。
【請求項2】
系Aを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
系Bを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
0.0002重量%〜5重量%、好ましくは0.001重量%〜1.5重量%の有機触媒、酸素移動剤、又はこれらの混合物を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
電子不足の放臭剤の、有機触媒、酸素移動剤、又はこれらの混合物に対する割合が、2000:1〜1:1、好ましくは800:1〜2:1、より好ましくは250:1〜5:1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
0.38未満のEFDを有する電子不足の放臭剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
0.0002重量%〜5重量%の、親水性の有機触媒、親水性の酸素移動剤、又はこれらの混合物、及び少なくとも0.1重量%の界面活性剤を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
電子が豊富な放臭剤の、親水性の有機触媒、親水性の酸素移動剤、又はこれらの混合物、に対する割合が、2000:1〜1:1、好ましくは800:1〜2:1、さらに好ましくは250:1〜5:1である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
放臭剤群1から選択される電子不足の放臭剤及び/又は放臭剤群2から選択される電子の豊富な放臭剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
表面又は布地の洗浄方法であって、前記表面又は布地を請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗浄組成物と接触させ、続いて所望により前記表面又は布地を洗う及び/又はすすぐ工程を含む洗浄方法。

【公表番号】特表2009−516045(P2009−516045A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540778(P2008−540778)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054464
【国際公開番号】WO2007/060645
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】