説明

安定な一液型水性歯牙ホワイトニング組成物

本発明は、歯牙表面と接触させるための高温安定性一液型水性歯牙漂白組成物に関する。当該組成物は、高レベルの水性過酸化水素を含む漂白剤を含む。この漂白剤は、組成物中の複数の成分に由来し、且つ総組成物重量の少なくとも約15重量%から成る。上記組成物はまた、総組成物重量の約0.01重量%〜約1.00重量%から成る漂白剤安定化剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、米国仮出願第60/764,072号(2006年2月1日出願)(参照により本明細書中に援用される)の利益を主張する。
【0002】
[連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載]
本発明は何らかの連邦政府資金を使用して開発されたものでなく、本発明者によって独立して開発されたものである。
【背景技術】
【0003】
歯牙の漂白は通常、過酸化物含有組成物を歯牙のエナメル質表面に塗布することを伴って、所望のホワイトニング効果を得るものである。最も一般的な過酸化物供給源成分は、過酸化カルバミド(尿素)及び過酸化水素であるが、これらに限定されない。過酸化水素は、高濃度の過酸化カルバミドよりも迅速に歯牙を白くするというその性能に起因して一般的に好まれる歯牙漂白材料となっている。さらに、水性歯牙ホワイトニングゲルは、歯牙の構造に対する水和効果に起因して所望なものであると立証されており、歯牙の過敏症の可能性を減らす。このため、商業用製剤向けの安定な水性過酸化水素歯牙ホワイトニングゲルを得ることが望まれている。
【0004】
しかしながら、水性過酸化水素歯牙漂白配合物は制限を有する。近年まで、安定な水性過酸化水素歯牙漂白ゲルというものは実際には存在していない。過酸化水素は、強力な酸化剤であり、水及び酸素へと経時的に急速に分解する不安定な化合物である。或る特定の化学的影響及び物理的影響が、分解速度を速めることがあり、また安定な歯牙ホワイトニングゲルが存在するように制御するのに必要とされ得る。温度、pH及び遊離金属イオンは全て、特に水性配合物中における過酸化水素の分解に関する重大な効果を有している。高レベルの過酸化水素を含む水性歯牙ホワイトニングゲルは、総組成物重量の約15%以上総組成物重量の約40%以下の適用可能な過酸化水素濃度を有すると考えられる。一般的に、これらの高レベル過酸化水素組成物は、ゲルを冷却することを要して分解速度を遅らせることによって、貯蔵寿命の増加が可能である。このプロセスでは、安定な製品のための適切な貯蔵寿命の維持が販売業者にとって難しく且つ費用がかかる。
【0005】
これらの制限に対処するため、一般的に高レベルの過酸化水素漂白組成物を、過酸化物安定性を最大にする二液系パッケージ形態でエンドユーザに届ける。安定化した過酸化水素溶液を他の配合成分と別々にパッケージングすることは、要求される貯蔵寿命パラメータを満たすように製造することができる一方法である。2タイプの異なる方法は、デュアルバレルシリンジ系及び液体過酸化水素/粉末系である。これらのタイプのパッケージングの欠点は、歯科治療室における実装時に過酸化水素が混合されることである。これにより貴重なチェアタイム(chair time)を損ない、且つ歯牙ホワイトニング経験を長びかせるという不快感を患者にもたらしてしまう。さらに、過酸化水素の高腐食性に起因して、混合プロセスのへら操作によって生じる飛散による過酸化物熱傷は常に懸念事項である。非均質性混合物の可能性も生じる。
【0006】
診察室における歯科医による漂白は、高レベル過酸化水素歯牙ホワイトニング組成物の主な最終使用である。このため、歯科医による患者への実装時に効力を保証するために、ホワイトニング組成物が一液(非混合)系として配合され且つ適切な貯蔵安定性を維持することが必要不可欠である。
【0007】
診察室内歯科用製品の大半の業者は、好適な貯蔵寿命が任意の既定の製品で維持されることを要求している。さらに、大半の業者は、2年間の貯蔵安定性を維持する製品に信頼を寄せている。貯蔵安定性は一般的に、通常貯蔵条件下で製品の安定性を保証する所定時間、製品を異常貯蔵条件又は誇張貯蔵条件下に置くことによって求められる。単一成分型歯牙漂白組成物では、費用のかかる不都合な貯蔵問題を取り除くために、室温貯蔵条件が望まれている。多くの場合、2年間の室温貯蔵保証は、単一成分型水性歯牙漂白組成物の流通に必要とされるものである。
【0008】
また水性過酸化水素歯牙ホワイトニング組成物のpHは、ゲルの安定性に大いに影響を与える。過酸化水素溶液は強酸性であるため、酸性pH配合物中でそれらの安定性を維持する。安定な水性過酸化水素歯牙ホワイトニングゲルは、酸性pH範囲で配合され得る。しかしながら、酸性pH範囲(pH2.0〜5.5)における漂白組成物は、歯牙表面からのカルシウムイオンの溶解によって歯牙エナメル質を鉱質除去する傾向にある。表面エナメル質のこの減少は、患者に歯牙の過敏症及び不快感をもたらす。
【0009】
さらに、過酸化物含有歯牙漂白組成物は、低pHレベルよりも高pHレベルで歯をホワイトニングする際により効果的であることが示されている。このため、冷蔵貯蔵せずに2年間の貯蔵安定性を維持することができると共に、中性若しくは塩基性pH又は約5.5よりも高いpHを示す、高レベルの過酸化水素を有する単一成分型水性歯牙漂白組成物を得ることが望ましい。残念ながら、今日までにこのような商業用配合物は存在していない。
【0010】
最近の技術で、室温で短時間安定な単一成分型高レベル水性過酸化水素ゲルが示されている。水性過酸化水素歯牙ホワイトニング配合物中の安定化剤の存在が、過酸化物の分解速度を遅らせるか又は制御することによって配合物の寿命を延ばし得ることは既知である。配合物中における過酸化物の分解は、組成物の粘度損失、酸素ガスの発生に起因する組成物の膨張、及び/又は適用可能な過酸化水素含有量の損失をもたらす可能性がある。
【0011】
Chadwick他に対する米国特許第6,555,020号は、高レベルの過酸化水素を含有する安定な水性歯牙ホワイトニング組成物を開示している。Chadwickは、室温貯蔵安定性を延ばし且つ組成物のゲル特性を維持させるアミノカルボン酸/塩安定化剤の利用を教示している。安定化剤は、CaNa2EDTA、Na4EDTA、及びCDTAから成る群から選択される。しかしながら、Chadwickは、最良の貯蔵安定性が室温貯蔵条件下における84日間であると開示している。84日間(12週間)は高過酸化水素レベル歯牙ホワイトニング配合物にとって有意な安定期間であるが、誇張条件下で長期間安定性を示すことはなく、12週間の組成物にとっての安定期間となり得るに過ぎない。したがって、販売業者を介した安定な製品となるのに必要な、所望である2年間の貯蔵寿命には全く達していない。
【0012】
Jensen他に対する米国特許第5,858,332号は、歯牙ホワイトニング組成物中で漂白剤を分解させ得る遊離金属イオンを結合させる漂白剤安定化剤を利用する、事前に混合された安定な一液型過酸化水素歯牙ホワイトニング組成物を教示している。Jensen他は、水性過酸化水素、過酸化カルバミド、過ホウ酸ナトリウム、及びそれらの混合物から成る群から選択される漂白剤を記載している。さらに、ホワイトニング組成物は、単一増粘剤、キャリア、並びにエデト酸二ナトリウム、EDTA、酸化EDTA、カルシウム二ナトリウムEDTA、アジピン酸、コハク酸、クエン酸、硝酸スズ、リン酸スズ、及びこれらの混合物から成る群から選択される漂白剤安定化剤を含む。
【0013】
Jensen他は、製造1ヶ月後にその最初の強度の少なくとも95%及び組成物を製造したおよそ3ヵ月後に少なくとも60%を維持する安定な一液型歯牙漂白剤を請求している。しかしながら、Jensen他は、誇張貯蔵条件及び/又は促進貯蔵条件下における安定性を言及しておらず、室温条件下で最大60〜95%の適用可能過酸化水素含有量で3ヶ月の貯蔵期間後に安定性が得られることが理解される。
【0014】
Montgomeryに対する米国特許第6,488,914号、同第6,331,292号、同第6,221,341号は、中性又はアルカリ性pHレベルを有する水性歯牙ホワイトニング組成物を詳述している。Montgomeryは、高pHレベル(6〜10)で安定となるように配合される一液型水性歯牙ホワイトニング組成物を教示している。この教示の有意性は、組成物中で含水量が大きく(70%を超える)、中性又はアルカリ性条件下で安定な水性過酸化水素歯牙ホワイトニング組成物を詳述できていることである。しかしながら、Montgomeryは、組成物の総重量の15%未満の適用可能過酸化水素含有量を請求しているが、これは組成物中における高(elevated or high)過酸化水素濃度とはとうてい言えない。さらに、Montgomeryは、長期貯蔵安定性、及び誇張温度条件又は促進温度条件下における組成物の安定性を言及していない。
【0015】
Chenに対する米国特許第6,500,408号は、過酸化水素と併せてポリビニルピロリドンを増粘剤として使用する歯牙漂白剤を詳述している。しかしながら、Chenは、PVPが25%以上の濃度で配合物中に存在していなければならないと明記している。Chenは、組成物中における複数の増粘剤を言及しておらず、全漂白組成物中の適用可能な過酸化水素に相乗的に寄与するPVP増粘剤である架橋ポリプラスドンポリマー/過酸化水素錯体も言及していない。また、Chenは、歯牙漂白組成物の長期高温安定性を言及していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
一方で、本発明は、中性ゲル配合物(pH6〜7)中で高レベルの過酸化水素漂白剤を使用する安定な一液型水性歯牙ホワイトニング組成物に関する。この組成物の安定性は、通常室温貯蔵条件下の組成物では少なくとも2年間の貯蔵寿命となる促進貯蔵条件及び/又は誇張貯蔵条件下で立証される。組成物の安定性は、重量パーセンテージ及び重量比を含む特有のパラメータに基づいて組み合わされて高温貯蔵安定性となる既知の歯牙ホワイトニング成分の必要不可欠な因子であり、制御組成物範囲からのずれは、組成物の予測し得る不良をもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、歯牙表面と接触させるための高温安定性一液型水性歯牙漂白組成物に関する。当該組成物は、高レベルの水性過酸化水素を含む漂白剤を含む。この漂白剤は、組成物中の複数の成分に由来し、且つ総組成物重量の少なくとも約15重量%から成る。上記組成物はまた、総組成物重量の約0.01重量%〜約1.00重量%から成る漂白剤安定化剤を含む。
【0018】
好ましい一実施の形態において、漂白剤は、水性過酸化水素、ポリプラスドン過酸化水素錯体、ポリアクリル酸ポリマー、水、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチドロン酸、及び水酸化アンモニウムを含む、組成物中の複数の成分に由来する。
【0019】
本発明の好ましい一形態において、漂白剤安定化剤は、1:1の比率のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩及びエチドロン酸を含む。過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率は、約25:1〜約60:1である。また、過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率は、約25:1〜約60:1である。漂白剤安定化剤は、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム塩、エチドロン酸、クエン酸、グルコン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及びスズ酸カリウムから成る群から選択され得る。
【0020】
歯牙漂白組成物はまた、架橋ポリアクリル酸ポリマーと、ポリプラスドン過酸化水素錯体とを少なくとも含む複数の増粘剤を含んでいてもよい。本発明の一形態では、架橋ポリアクリル酸の増粘剤が、総組成物重量の約1.50重量%未満から成る。増粘剤は、総組成物重量の約5.0重量%〜約50.0重量%から成っていてもよい。また、ポリプラスドン過酸化水素錯体は、総組成物重量の少なくとも約10.0重量%から成っていてもよい。
【0021】
歯牙漂白組成物はまた、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム塩、クエン酸、グルコン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、及びトリポリリン酸ナトリウムから成る群から選択される少なくとも1つのキレート剤を含んでいてもよい。少なくとも1つのキレート剤は、総組成物重量の約0.01重量%〜約0.50重量%から成り得る。好ましい一実施の形態において、キレート剤(複数可)は、EDTA二ナトリウム及び/又はエチドロン酸であってもよい。
【0022】
歯牙漂白組成物はまた、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びソルビトールから成るポリオール群から選択される少なくとも1つの吸湿剤を含んでいてもよい。少なくとも1つの吸湿剤は、総組成物重量の約(bout)1.0重量%〜約10.0重量%から成り得る。好ましい一実施の形態において、吸湿剤はグリセリンである。
【0023】
歯牙漂白組成物はまた、トリエタノールアミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムから成る群から選択される少なくとも1つの中和剤を含んでいてもよい。少なくとも1つの中和剤は、最終的な歯牙ホワイトニング組成物のpHを約6.0〜約7.0に調節し得る。少なくとも1つの中和剤は、総組成物重量の約0.50重量%〜約5.00重量%から成り得る。好ましい一実施の形態において、少なくとも1つの中和剤は水酸化アンモニウムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、高貯蔵温度で長期間にわたって安定な漂白剤を高い割合で含有する安定な一液型水性歯牙ホワイトニング組成物に関する。特に、本発明は、水性歯牙漂白配合物中に存在する複数の原料に由来する過酸化水素漂白剤を含む組成物に関し、この組成物は、相乗作用により高レベルの過酸化物を歯牙表面に放出して所望のホワイトニング効果を得ると共に、所定時間の40℃〜47℃の貯蔵温度を伴う促進安定性試験を行ったときに、漂白組成物をあまり分解することなく安定となる。
【0025】
歯牙ホワイトニング組成物は、適用可能な過酸化水素の残留及び正味粘性損失に基づく高温安定性を示す。安定性とは、約2年間にわたって、粘性を維持して、過酸化物の分解により生じる混入酸素気泡を本質的に含まずに、約10%を越えるゲルの最初の適用可能な過酸化水素含有量を損なわない組成物の能力として定義される。本発明を代表する漂白組成物を、組成物中の適用可能な過酸化水素含有量に応じて2つの高温貯蔵条件である約40℃及び約47℃で試験した。組成物は、ゲル粘性を損失することなく、40℃(華氏104度(F))における貯蔵12週後に95%を越える適用可能な過酸化水素含有量を維持する。40℃における15週後に、組成物は、粘性損失することなくあってもわずかで94%を超える適用可能な過酸化水素の残留を示し、20週後に粘性及びpHのわずかな損失を伴って90%を超える適用可能な過酸化物の残留を示す。促進安定性試験プロトコルにおいて、配合物製品は、室温貯蔵条件(即ち、非冷蔵貯蔵)下における公開市場で最低2年間の寿命を有する(survive)ことを保証するために、40℃で最低12週間の寿命を有しなければならないことを理解されたい。同様に、配合物製品は、同じ2年間の室温安定性を保証するために、47℃で最低9週間の寿命を有しなければならない。
【0026】
1つの好ましい組成物において、約15%〜32%の過酸化水素含有量が、適用可能な過酸化水素含有量を損失することなくあってもわずかで40℃において12週間超残存した。さらなる好ましい組成物において、約15%〜32%の過酸化水素含有量を有するゲルが、組成物中での10%未満の適用可能な過酸化水素損失を伴って47℃において4週間と6日間超の寿命を有した。最も好ましい組成物では、15%〜20%の過酸化水素含有量が、適用可能な過酸化水素含有量を損失することなくあってもわずかで47℃において9週間超残存した。
【0027】
高温安定性が生じる限られた範囲を作り出す、配合物中の過酸化物含有量のレベルに対する厳密な比率で組み入れられる1つ又は複数のキレート剤及び安定化剤の存在が、組成物の安定性に必要不可欠である。許容範囲からのずれは、高温貯蔵条件下におけるホワイトニング組成物の予測し得る不良をもたらす。また、最終組成物のpHは、同様にゲルの安定性が生じる限られた範囲を有する。組成物の上限閾値より高いpHは、ホワイトニング組成物の予測され得る不良をもたらす。安定化された水性過酸化水素は、35%〜50%の最低過酸化物開始含有量を有する好ましい漂白剤である。
【0028】
本発明に従って生成される歯牙漂白組成物の好ましい実施形態を説明することが、本願の目的である。好ましい歯牙漂白組成物は、高レベルの過酸化水素を含有し、且つ高貯蔵温度で安定性を示す。本発明は、厳しい許容値で組み合わされる成分の特定の混合物及び特定の混合手順に依存して、商品流通に必要な2年間の非冷蔵貯蔵寿命を有し得る安定な一液型漂白ゲルを得る。
【0029】
その水性形態中における過酸化水素は、好ましい主な過酸化物源である。安定化された過酸化水素溶液は、多くの化学物質製造業者から市販されている。安定化された溶液は、重量/重量分析に基づきおよそ3.0%〜90.0%の濃度で入手可能である。約30重量%〜50重量%以上の範囲の高濃度過酸化水素溶液は、本発明の漂白組成物中に大量の過酸化水素源を提供するのに好ましい。最初の過酸化水素溶液の濃度が高いほど、最終的な歯牙ホワイトニング組成物中の最終過酸化水素濃度が高くなる。Solvayから得られる過酸化水素溶液が最も好ましい。
【0030】
ポリビニルピロリドン(PVP)/過酸化水素錯体、又はInternational Specialty Products, Inc.(ISP)製のPEROXYDONE(商標)ポリマーとしても知られる過酸化水素と錯体化した架橋された直鎖プラスドン及びポリプラスドンポリマーの最近の利用可能性に起因して、最終組成物中の適用可能な過酸化水素濃度を増大させると同時に、水性過酸化物溶液を増粘することができる。過酸化水素が高レベルであるほど、所望の歯牙の色を得る生歯牙の漂白時間を速める。
【0031】
本発明の安定な一液型水性歯牙ホワイトニング組成物は、組成物中の複数の成分に由来する過酸化水素を含む。組成物は好ましくは、総組成物重量のおよそ10重量%〜50重量%の適用可能な過酸化水素を含む。本発明の一形態では、過酸化水素の50%水溶液を、PVP/過酸化水素錯体と併せて、水性過酸化水素ゲル又はスラリーを生成する。過酸化水素の50%水溶液は、約75%〜約99%の適用可能な過酸化水素を含む最終組成物における漂白用の第1の過酸化物源の役割を果たす。好ましくは錯体の約17重量%〜22重量%の適用可能な過酸化水素を含むPVP/過酸化水素錯体は、第2の過酸化水素源の役割を果たし、最終的な歯牙ホワイトニング組成物重量中には約1重量%〜約25重量%の適用可能な過酸化水素が含まれる。組成物中の過酸化水素供給源のこの特有の組合せは、最終的な歯牙漂白組成物の安定性の一因として作用する。漂白組成物からのいずれかの過酸化水素供給源の除去は、高温貯蔵条件における組成物の分解及び根本的には不良をもたらす。また、ポリプラスドン/過酸化水素錯体を除去して生成される組成物は同様に、室温貯蔵条件下における漂白組成物の不良をもたらす。
【0032】
本発明では、存在する少なくとも1つの増粘剤を供給して、歯牙漂白組成物の粘度調節を促すことができる。本発明の好ましい一形態では、少なくとも2つの増粘剤が存在する。過酸化水素ゲルの形成は2つの機能(two part function)を果たす。第1に、増粘された組成物は、歯肉過敏症及び歯肉熱傷をもたらすおそれのある過酸化物が歯牙表面から周囲の軟組織へと移行するのを防ぐ。第2に、増粘された組成物は、過酸化物溶液が歯牙表面へと放出される強度を維持する残留時間を延ばす。
【0033】
過酸化水素源に加えて、PVP/過酸化水素錯体も、組成物用の増粘剤としての役割を果たす。それは好ましくは、総組成物重量の約1重量%〜25重量%で組成物中に存在する。より好ましくは、増粘剤は、全組成物の約5.0重量%〜20.0重量%で組成物中に存在する。このレベルで、PVP錯体は水性過酸化水素を増粘させ、適切な粘度のクリームぺースト又は粘着性ゲルを生成する。第2の増粘剤としてポリアクリル酸ポリマーを添加することによって、ゲルが、短レオロジー流及び高生体接着性のうちの1つに適応し、最終組成物が歯牙表面に密着することを確実にする。ポリアクリル酸ポリマーの添加は、架橋構造を利用して、長期間にわたって組成物中で生じる可能性のある離液を防ぐため、全体的なゲルの安定性が増大する。
【0034】
本発明において、より好ましいPVP/過酸化水素錯体とは、架橋ポリプラスドンポリマーである。架橋ポリプラスドンポリマーは、水不溶性を示すが、それらは、水の存在下で急速に膨潤し、増粘されたマトリクスを生成する。このため、過酸化水素はポリプラスドンポリマーから容易に解離され、これにより、過酸化水素を周囲の水性媒体へと放出して漂白を有用なものとする。好ましいポリプラスドン/過酸化水素錯体は、International Specialty Products Corporationによって商品名PEROXYDONE XL−10で販売されており、およそ60〜100ミクロンの粒径範囲を維持するものである。
【0035】
ポリアクリル酸ポリマーは、目下本発明に不可欠なPVP樹脂等の或る特定の成分との高次の非適合性を示すことが知られている。PVPポリマーを、中和されていないポリアクリル酸ポリマーと錯体化して、ポリマー骨格の電離を防止する。ポリマーの電離なしに、ポリアクリル酸分子の崩壊(uncoiling)は起き得ない。この崩壊は、水性溶液を増粘させるのに必要である。この理由から、本発明の歯牙ホワイトニング組成物は好ましくは、PVP/過酸化水素錯体との化合(combination)前且つこの化合とは別の相中で好ましくは起こるポリアクリル酸ポリマーの中和を伴って、別々の相で生成される。PVP/過酸化水素錯体を水性過酸化水素と化合させた後で、ポリアクリル酸ポリマーを組成物に組み入れることによって、ポリアクリル酸のレベルが、最終使用ホワイトニング組成物中で大幅に低減され得る。好ましい組成物は、最終組成物の約0.01重量%〜1.50重量%のポリアクリル酸ポリマーを含む。
【0036】
好ましい組成物はまた、レオロジー活性を維持するために、組成物がその水性特性を維持し且つ増粘剤と相乗作用することができる、キャリアと吸湿剤との組合せを含む。キャリアは包括的に、ホワイトニング組成物の基剤を成し、後の成分の全てを均質で一様な塊の中に含有させることができる。用語が意味することから、水性ホワイトニング組成物とは、水又は他のキャリア成分と組み合わせた水を含有する水系キャリアを含む。水に加えて、他のキャリア成分としては、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、及びプロピレングリコール等を含むポリオール等の保湿剤又は吸湿剤が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、吸湿剤は、総組成物重量のおよそ1.0重量%〜10.0重量%から成る。
【0037】
さらに、イオン性又は非イオン性界面活性剤を含む、湿潤剤及び乳化剤等の表面活性剤が、キャリア基剤中に含まれていてもよい。本発明のホワイトニング組成物において、キャリア群は、最も好ましくは脱イオン限外濾過水である精製水、及び多価アルコール、グリセリンから選択される。この組合せは、長期高温安定性にとって最良の組合せであることが立証されている。
【0038】
本発明の歯牙ホワイトニング組成物はまた好ましくは、少なくとも1つの漂白剤安定化剤を含有する。また、2つの特定の安定化剤の使用によって、ゲル配合物が、高貯蔵温度条件において長期間の寿命を有することができる。キレート剤を主に含む漂白剤安定化剤を使用することによって、歯牙ホワイトニング組成物の安定性を増大させることができることが十分に記録された。漂白剤安定化剤は、主に、過酸化水素の分解プロセスを触媒し得る遊離金属イオンを結合させることによって作用する。好ましくは、漂白剤安定化剤(複数可)は、総組成物重量のおよそ0.01重量%〜1.00重量%から成る。加えて、好ましい実施形態では、キレート剤(複数可)は、総組成物重量のおよそ0.01重量%〜0.50重量%から成る。好適な漂白剤安定化剤の例は、EDTA、EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム、カルシウム二ナトリウムEDTA、及び類似のEDTA化合物等のアミノカルボン酸及びそれらの塩、クエン酸、グルコン酸、クエン酸ナトリウム、及びグルコン酸ナトリウム等のカルボン酸及びそれらの塩、並びにスズ酸ナトリウム及びスズ酸カリウム等のスズ化合物である。
【0039】
好ましい組成物はまた、より一般的にはエチドロン酸と称される1−ヒドロキシエタン−1,1−二リン酸と併せて、エデト酸二ナトリウム又は二ナトリウムEDTAとしても知られているエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩を含み得る。好ましい組成物は、組成物の安定性を達成することができる、配合物中の適用可能な過酸化水素に対する厳密な比率のこれらの2つの成分の組合せである。約30部の適用可能な過酸化水素対約1部の組み合わされる安定化剤から、約40部の適用可能な過酸化水素対約1部の組み合わされる安定化剤までの比率のこれらの2つの漂白剤安定化剤の組合せは、全漂白組成物の約28%〜32%の適用可能な過酸化水素含有量を有する本発明の漂白組成物に関する、40℃において12週間超、高温で安定なホワイトニングゲルを生成することが見出された。組成物の好ましい比率は約35:1〜約40:1の適用可能な過酸化水素対組み合わされる安定化剤であり、約38:1の比率が最も好ましい。しかしながら、適用可能な過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率は、漂白組成物について生じる比率が大きいほど、適用可能な過酸化水素濃度が低くなることを示し、且つ組成物についての比率が小さいほど、より高レベルの適用可能な過酸化水素含有量を含有するという変動スケールとしての役割を果たすことが示された。この範囲は、本発明について根本的には、許容可能な範囲外の配合組成物が、高温安定性試験において不合格となるまでとされる。例えば、約15%〜20%の適用可能な過酸化水素を含有する本発明の歯牙漂白ゲル組成物は、約45.63:1〜約56.43:1の適用可能な過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率で、47℃において9週間超の安定性を示すことが示された。これとは異なり、約32%〜35%の適用可能な過酸化水素を含有する本発明の歯牙漂白ゲルは、約26.71:1〜約32.59:1の適用可能な過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率で、40℃において7週間超の安定性を示す。このため、約15%〜約35%の過酸化水素含有量を有する本発明の歯牙漂白組成物は、配合物中の約25:1〜60:1の過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率を維持することによって、40℃〜47℃の高貯蔵温度条件下において安定な状態であり得ると考えることができる。
【0040】
これらの好ましい範囲外の比率を利用して生成した配合物には、高貯蔵温度におけるホワイトニング組成物の予測し得る不良がもたらされた。サンプル配合物は、同一成分を使用し、製剤に含有される安定化剤の割合のみを変えて重量/重量に基づき調製された。配合物は、およそ6.0〜6.5の最終pHに全て緩衝処理した。過酸化物対組み合わされる安定化剤の上述の比率で存在する、2つの上述の安定化剤を含有した配合物のみが、高貯蔵温度条件下で長期間安定性を存続させた。
【0041】
本発明の組成物はまた、最終的なホワイトニング組成物のpHを調節する塩基性作用物質を含有する。強塩基は包括的に、過酸化水素溶液の酸性を緩衝処理するのに使用される。さらに、ポリアクリル酸を含むゲルを生成する場合、ポリマー鎖の中和が、増粘を引き起こすはずである。好ましくは、中和剤が、総組成物重量の0.50重量%〜5.00重量%から成る。歯牙ホワイトニング組成物用の好適な塩基性作用物質は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及びリン酸三ナトリウム等である。目下、ホワイトニング組成物用の好ましい塩基性作用物質は、水酸化アンモニウム溶液である。
【0042】
[実施例]
好ましい組成物の実施例
高貯蔵温度で長期間にわたって安定性を維持することができる安定な歯牙ホワイトニングゲルの組成物は、以下のようなものである。
【0043】
以下の配合物は、遊離金属イオンが組成物中に導入する可能性を最小限とするために、全て非金属を使用した混合成分とした。混合ベッセル、スパチュラ及び貯蔵容器は全て、高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかで構成されるものとした。全ての配合物を、純粋な成分を含む別々の相でゆっくり且つ慎重に混合するように注意を払い、空気が混入される可能性及び粉塵等の表面積が大きいマクロ粒子の汚染を最小限とした。
【0044】
以下の配合物をブレンドし、適用可能な過酸化水素に対して滴定し、プランジャを取り付けた3cc容の清潔なHDPE Lauer−lockシリンジ中に濾過した。過酸化水素の酸素ガスへの分解に起因するプランジャのあらゆる動きを測定するために、全てのプランジャ位置をシリンジ本体に印付けした。55%の相対湿度、及びプランジャの動き又は粘度崩壊についての日常的な観測者を伴って、40℃に設定した安定な炉(stability oven)内にシリンジを移した。サンプルシリンジを2週目、4週目、6週目、10週目及び12週目に引き、適用可能な過酸化水素に対して滴定した。ホワイトニング組成物をスライドガラス上に押出し且つこのスライドを縦向きにして、ゲルがスライドガラスから連続的に落ちることなく5分間感覚的に(in tact)残存するかを判断することによって、粘度の観測を行った。
【0045】
[実施例1]
相1:
6.17% グリセリン
1.29% Carbopol 934P NF
12.81% 脱イオン限外濾過(DIUF)水中の二ナトリウムEDTA溶液(3%)
12.83% DIUF水中のエチドロン酸溶液(3%)
1.38% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)

相2:
55.03% 過酸化水素溶液 50%
10.19% Peroxydone XL−10(PVP/H2O2錯体)

相3:
ゆっくりと攪拌しながら相2中に相1を添加
均質になるまで混合

0.30% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)を含むpH6.0〜6.5の緩衝液
【0046】
上記配合物を、およそ6.5の初期pHを有する29.90%の適用可能な過酸化水素に対して滴定した。この配合物は、過酸化水素含有量、粘度又はpHの予測し得る損失を伴うことなく40℃において12週間超残存した。この配合物は、およそ38.37:1の適用可能な過酸化水素対過酸化物安定化剤の比率を提供する。
【0047】
[実施例2]
相1:
5.44% グリセリン
1.47% Carbopol 934P NF
13.01% DIUF水中の二ナトリウムEDTA溶液(3%)
13.17% DIUF水中のエチドロン酸溶液(3%)
1.29% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)

相2:
54.90% 過酸化水素溶液 50%
10.20% Peroxydone XL−10(PVP/H2O2錯体)

相3:
ゆっくりと攪拌しながら相2中に相1を添加
均質になるまで混合

0.52% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)を含むpH6.0〜6.5の緩衝液
【0048】
上記配合物を、およそ6.4の初期pHを有する29.37%の適用可能な過酸化水素に対して滴定した。この配合物は、過酸化水素含有量、粘度又はpHの予測し得る損失を伴うことなく40℃において12週間超残存した。この配合物は、およそ38.19:1の適用可能な過酸化水素対過酸化物安定化剤の比率を提供する。
【0049】
[実施例3]
相1:
5.35% グリセリン
1.28% Carbopol 934P NF
12.79% DIUF水中の二ナトリウムEDTA溶液(3%)
12.72% DIUF水中のエチドロン酸溶液(3%)
2.12% 水酸化アンモニウム溶液(30%)

相2:
53.65% 過酸化水素溶液 50%
10.00% Peroxydone XL−10(PVP/H2O2錯体)

相3:
ゆっくりと攪拌しながら相2中に相1を添加
均質になるまで混合

2.09% 水酸化アンモニウム溶液(30%)を含むpH6.0〜6.5の緩衝液
【0050】
上記配合物を、およそ6.5の初期pHを有する27.92%の適用可能な過酸化水素に対して滴定した。この配合物は、過酸化水素含有量、粘度又はpHの予測し得る損失を伴うことなく40℃において12週間超残存した。この配合物は、およそ37.35:1の適用可能な過酸化水素対過酸化物安定化剤の比率を提供する。
[実施例4]
【0051】
相1:
5.11% グリセリン
1.25% Carbopol 934P NF
12.49% DIUF水中の二ナトリウムEDTA溶液(1%)
12.53% DIUF水中のエチドロン酸溶液(1%)
2.07% 水酸化アンモニウム溶液(30%)

相2:
53.18% 過酸化水素溶液 50%
10.01% Peroxydone XL−10(PVP/H2O2錯体)

相3:
ゆっくりと攪拌しながら相2中に相1を添加
均質になるまで混合

3.36% 水酸化アンモニウム溶液(30%)を含むpH6.0〜6.5の緩衝液
【0052】
上記配合物を、およそ6.5の初期pHを有する28.23%の適用可能な過酸化水素に対して滴定した。この配合物は、40℃において9日間残存した。全てのプランジャをシリンジ本体から動かして、ゲルをシリンジから押出した。ゲルのpHはおよそ5.0に降下した。この配合物は、およそ112.98:1の適用可能な過酸化水素対過酸化物安定化剤の比率を提供する。
【0053】
[実施例5]
相1:
5.44% グリセリン
1.28% Carbopol 934P NF
13.28% DIUF水中の二ナトリウムEDTA溶液(5%)
13.18% DIUF水中のエチドロン酸溶液(5%)
1.19% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)

相2:
53.59% 過酸化水素溶液 50%
10.21% Peroxydone XL−10(PVP/H2O2錯体)

相3:
ゆっくりと攪拌しながら相2中に相1を添加
均質になるまで混合

1.83% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)を含むpH6.0〜6.5の緩衝液
【0054】
上記配合物を、およそ6.4の初期pHを有する28.43%の適用可能な過酸化水素に対して滴定した。この配合物は、40℃において6週間と4日間残存した。全てのプランジャをシリンジ本体から動かして、ゲルをシリンジから押出した。ゲルのpHはおよそ5.2に降下した。この配合物は、およそ21.68:1の適用可能な過酸化水素対過酸化物安定化剤の比率を提供する。
【0055】
[実施例6]
相1:
7.08% グリセリン
1.37% Carbopol 934P NF
17.12% DIUF水中の二ナトリウムEDTA溶液(1%)
17.15% DIUF水中のエチドロン酸溶液(1%)
0.93% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)

相2:
44.57% 過酸化水素溶液 35%
7.27% Peroxydone XL−10(PVP/H2O2錯体)

相3:
ゆっくりと攪拌しながら相2中に相1を添加
均質になるまで混合

4.51% 水酸化アンモニウム溶液(26ボーメ)を含むpH6.0〜6.5の緩衝液
【0056】
上記配合物を、およそ6.4の初期pHを有する17.142%の適用可能な過酸化水素に対して滴定した。この配合物は、過酸化水素含有量、粘度又はpHの予測し得る損失を伴うことなく47℃において9週間超残存した。この配合物は、およそ49.63:1の適用可能な過酸化水素対過酸化物安定化剤の比率を提供する。
【0057】
広範な本発明の概念を逸脱しない限り上記の実施形態に対して変更が為され得ることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるものでなく、添付の特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲内の変更形態を網羅するように意図されることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯牙表面と接触させるための高温安定性一液型水性歯牙漂白組成物であって、
高レベルの水性過酸化水素を含む漂白剤であって、該組成物中の複数の成分に由来し且つ総組成物重量の少なくとも約15重量%から成る、漂白剤と、
総組成物重量の約0.01重量%〜約1.00重量%から成る漂白剤安定化剤と、
を含む、高温安定性一液型水性歯牙漂白組成物。
【請求項2】
前記漂白剤安定化剤が、1:1の比率のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩及びエチドロン酸を含む、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項3】
過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率が、約25:1〜約60:1である、請求項2に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項4】
過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率が、約25:1〜約60:1である、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項5】
架橋ポリアクリル酸ポリマーと、ポリプラスドン過酸化水素錯体とを少なくとも含む複数の増粘剤をさらに含む、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項6】
前記架橋ポリアクリル酸の増粘剤が、総組成物重量の約1.50重量%未満から成る、請求項5に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項7】
前記増粘剤が、総組成物重量の約5.0重量%〜約50.0重量%から成る、請求項6に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項8】
前記ポリプラスドン過酸化水素錯体が、総組成物重量の少なくとも約10.0重量%から成る、請求項5に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項9】
前記漂白剤安定化剤が、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム塩、エチドロン酸、クエン酸、グルコン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、及びスズ酸カリウムから成る群から選択される、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項10】
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム塩、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム塩、クエン酸、グルコン酸、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、及びトリポリリン酸ナトリウムから成る群から選択される少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つのキレート剤が、総組成物重量の約0.01重量%〜約0.50重量%から成る、請求項10に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項12】
EDTA二ナトリウムである少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項13】
グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びソルビトールから成るポリオール群から選択される少なくとも1つの吸湿剤をさらに含む、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの吸湿剤が、総組成物重量の約1.0重量%〜約10.0重量%から成る、請求項13に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの吸湿剤がグリセリンである、請求項14に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項16】
トリエタノールアミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムから成る群から選択される少なくとも1つの中和剤をさらに含む、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの中和剤が、前記最終的な歯牙ホワイトニング組成物のpHを約6.0〜約7.0に調節する、請求項16に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項18】
前記少なくとも1つの中和剤が、総組成物重量の約0.50重量%〜約5.00重量%から成る、請求項16に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項19】
前記少なくとも1つの中和剤が水酸化アンモニウムである、請求項16に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項20】
前記漂白剤が、水性過酸化水素、ポリプラスドン過酸化水素錯体、ポリアクリル酸ポリマー、水、グリセリン、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、エチドロン酸及び水酸化アンモニウムを含む、前記組成物中の複数の成分に由来する、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項21】
エチドロン酸である少なくとも1つのキレート剤をさらに含む、請求項1に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項22】
歯牙表面と接触させるための高温安定性一液型水性歯牙漂白組成物であって、
高レベルの水性過酸化水素を含む漂白剤であって、該組成物中の複数の成分に由来し且つ総組成物重量の少なくとも約15重量%から成る、漂白剤と、
1:1の比率のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩及びエチドロン酸を含み、且つ過酸化水素対漂白剤安定化剤の比率が、約25:1〜約60:1である漂白剤安定化剤と、
架橋ポリアクリル酸ポリマーと、ポリプラスドン過酸化水素錯体とを少なくとも含む複数の増粘剤と、
を含む、高温安定性一液型水性歯牙漂白組成物。
【請求項23】
前記増粘剤が、総組成物重量の約5.0重量%〜約50.0重量%から成り、且つ前記ポリプラスドン過酸化水素錯体が、総組成物重量の少なくとも約10.0重量%から成る、請求項22に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項24】
グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びソルビトールから成るポリオール群から選択され、且つ総組成物重量の約1.0重量%〜約10.0重量%から成る少なくとも1つの吸湿剤をさらに含む、請求項22に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項25】
グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びソルビトールから成るポリオール群から選択され、且つ総組成物重量の約1.0重量%〜約10.0重量%から成る少なくとも1つの吸湿剤をさらに含む、請求項23に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項26】
トリエタノールアミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムから成る群から選択され、且つ前記最終的な歯牙ホワイトニング組成物のpHを約6.0〜約7.0に調節する少なくとも1つの中和剤をさらに含む、請求項22に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項27】
トリエタノールアミン、トロメタミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、及び水酸化アンモニウムから成る群から選択され、且つ前記最終的な歯牙ホワイトニング組成物のpHを約6.0〜約7.0に調節する少なくとも1つの中和剤をさらに含む、請求項25に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つの中和剤が水酸化アンモニウムであり、且つ前記少なくとも1つの吸湿剤がグリセリンである、請求項27に記載の歯牙漂白組成物。
【請求項29】
前記増粘剤が、総組成物重量の約5.0重量%〜約50.0重量%から成り、前記架橋ポリアクリル酸の増粘剤が、総組成物重量の約1.50重量%未満から成り、且つ前記ポリプラスドン過酸化水素錯体が、総組成物重量の少なくとも約10.0重量%から成り、前記少なくとも1つの吸湿剤が、総組成物重量の約1.0重量%〜約10.0重量%から成り、且つ前記少なくとも1つの中和剤が、総組成物重量の約0.50重量%〜約5.00重量%から成る、請求項28に記載の歯牙漂白組成物。

【公表番号】特表2009−525352(P2009−525352A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553508(P2008−553508)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/061477
【国際公開番号】WO2007/090192
【国際公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【出願人】(508232286)プレミア デンタル プロダクツ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】