安定な固有振動数を有する共振慣性力発生器
構造体の振動を抑制するための共振慣性力発生器であり、該発生器は、交互配置されたフレキシャ及びエラストマシムのスタックを備えるコンプライアントばねと、振動抑制力を発生するように前記コンプライアントばねに結合された被駆動慣性質量体とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年11月4日に出願された米国仮特許出願第61/111,280号の利益を主張し、この出願は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に構造体の振動を抑制する方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は構造体の振動を抑制するための共振慣性力発生器に関する。
【背景技術】
【0003】
共振慣性力発生器は航空機胴体などの構造体の振動を能動的に抑制するために使用されている。慣性力発生器は振動を受ける構造体に取り付けられ、構造体の振動を相殺する力を構造体に与えるように制御される。構造体の振動を測定するために構造体にセンサを取り付けることができる。センサの出力を用いて、構造体の振動を相殺するのに必要とされる力を発生するように慣性力発生器を制御することができる。共振慣性力発生器は、コンプライアントばねで取り付けられたアクチュエータ駆動される慣性質量体を含む。慣性質量体とばねのコンプライアンスとで決まる振動数で機械的共振が起こる。質量体−ばねシステムの固有振動数が大きく減衰する場合、慣性力発生器の発生力が大きく減少し、システムの性能に影響を与え得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一実施形態において、構造体の振動を抑制するための共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発生器は、交互配置されたフレキシャ及びエラストマシムのスタックを備えるコンプライアントばねと、前記コンプライアントばねに結合された慣性質量体と、前記慣性質量体を動かすアクチュエータとを備える。
【0005】
本発明は、一実施形態において、共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発生器は、複数のフレキシャにより支持された慣性質量体と、前記複数のフレキシャと交互配置された複数の中間エラストマシムとを備える。
【0006】
本発明は、一実施形態において、コンプライアントばねを包含し、該コンプライアントばねは、スタック内に積層された複数の複合フレキシャ板と、前記複合フレキシャ板の各隣接対間に配置されたエラストマシムとを備える。
【0007】
本発明は、一実施形態において、慣性力発生器を作製する方法を包含し、該方法は、慣性質量体を準備する工程、n個(nは1より大きい整数)の複合フレキシャを準備する工程、少なくともn+1個のエラストマシムを準備する工程、及び前記n+1個のエラストマシムを前記n個の複合フレキシャと交互配置してフレキシャとエラストマシムの交互配置を備えるコンプライアントばねを形成する工程を備える。この方法は、更に、前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程及び前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程を含む。
【0008】
本発明は、一実施形態において、慣性力発生器を作製する方法を包含し、該方法は、慣性質量体を準備する工程、複数の複合フレキシャを準備する工程、複数のエラストマシムを準備する工程、及び前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に、前記エラストマシムは前記複合フレキシャの負荷支持部分に隣接配置して、積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程を備える。この方法は、更に、前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程、及び前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程
を備える。
【0009】
本発明は、一実施形態において、慣性力発生器ばねを作製する方法を包含し、該方法は、複数の複合フレキシャ板を準備する工程及び中間エラストマを準備する工程を含む。この方法は、更に、複合フレキシャ板と隣接複合フレキシャ板間に挟まれた中間エラストマが積層され、前記中間エラストマが前記複合フレキシャ板に接着されているばね組立体を提供するために前記複合フレキシャ板を前記複合フレキシャ板間に前記中間エラストマを挟んで積層する工程を備える。
【0010】
本発明は、一実施形態において、共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発振器は、スタック内に配置された複数の複合フレキシャにより支持された慣性質量体と、前記複合フレキシャを分離するコンプライアント手段とを備える。
【0011】
本発明は、一実施形態において、振動抑制用の共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発生器は、ばね組立体上の慣性質量体と、前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるモータとを備える。前記ばね組立体は、少なくとも第1の非エラストマフレキシャ及び少なくとも第1の中間エラストマを含み、前記中間エラストマは前記第1の非エラストマフレキシャと接着されている。
【0012】
本発明は、一実施形態において、航空機振動を抑制する装置を包含し、該装置は、固有振動数NFを有するばね組立体上の慣性質量体と、前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるための電動機とを備え、前記ばね組立体は少なくとも第1の複合フレキシャ及び前記固有振動数NFの減衰を抑制する手段を含む。
【0013】
本発明は、一実施形態において、航空機振動を抑制する装置を包含し、該装置は、固有振動数NFを有するばね組立体上の被駆動慣性質量体を備え、前記ばね組立体は第1の端と第2の遠端を有する複数の不均質複合フレキシャを含み、前記第1の端及び第2の遠端に近接して前記複合フレキシャ間に複数のエラストマスペーサが接着されている。好ましいことに、接着されたエラストマスペーサと不均質な複合フレキシャとが固有振動数NFの減衰を抑制する。
上記の一般的な説明も下記の詳細な説明も本発明の例示であり、特許請求されている本発明の特徴及び性質を理解するための概説又は枠組みを提供するものと理解されたい。添付図面は本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成している。図面は本発明の種々の実施形態を示し、明細書の記載と一緒に本発明の原理及び動作の説明に役立てられたい。
【0014】
以下に説明する添付図面は本発明の代表的実施形態を示し、本発明の範囲を制限するものでなく、本発明は他の同様に効果的な実施形態に適用可能である。これらの図は必ずしも一定の寸法比で示されておらず、いくつかの図は明瞭及び簡潔さのために拡大して示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンプライアントばねの斜視図である。
【図2】造形コンプライアントばねの斜視図である。
【図3A】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器の斜視図である。
【図3B】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器の縦断面図である。
【図4】慣性力発生器に組み込む際にコンプライアントばねの耐久性を検査する試験セットアップ構成を示す。
【図5】コンプライアントばねとして複合フレキシャをエラストマシムと一緒に組み込む共振器慣性力発生器の固有振動数の減衰と、コンプライアントばねとして複合フレキシャを金属シムと一緒に組み込む共振器慣性力発生器の固有振動数の減衰との比較を示す。
【図6A】コンプライアントばねを示す。
【図6B】コンプライアントばねを示す。
【図6C】コンプライアントばねを示す。
【図6D】コンプライアントばねを示す。
【図7A】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器を示す。
【図7B】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器を示す。
【図7C】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器を示す。
【図8A】図6A−Dに示されるように複合フレキシャをエラストマシムと一緒に組み込む図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器の固有振動数減衰とコンプライアントばねとして複合フレキシャを金属シムと一緒に組み込む共振慣性力発生器の固有振動数減衰との比較を示すために、図7A−7Cに示されるような共振慣性力発生器の寿命試験−固有振動の減衰プロットを示し、x軸は動作時間及びy軸は振動数減衰を示す。
【図8B】図6A−Dに示されるように複合フレキシャをエラストマシムと一緒に組み込む図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器の固有振動数減衰とコンプライアントばねとして複合フレキシャを金属シムと一緒に組み込む共振慣性力発生器の固有振動数減衰との比較を示すために、図7A−7Cに示されるような共振慣性力発生器の寿命試験−固有振動の減衰プロットを示し、x軸は動作時間及びy軸は振動数減衰を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を図面に示されるいくつかの好適実施形態について以下に詳細に説明する。好適な実施形態の説明において、本発明の十分な理解を与えるために、多くの特定の詳細について述べる。しかし、本発明はこれらの特定の詳細のいくつか又はすべてを用いないで実施できることは当業者に明らかであろう。また、本発明を不必要に不明瞭にしないように、周知の特徴及び/又は製造工程は詳細に説明してない。加えて、共通又は同等の要素を示すために同等又は同一の参照番号が使用されている。
【0017】
図1は、例えば共振慣性力発生器用のコンプライアントばね100を示す。共振慣性力発生器内に慣性質量体を支持するために一つ以上のコンプライアントばね100を使用することができる。コンプライアントばね100はフレキシャ104とエラストマシム106が交互に配置されたスタック102を含む。図示の実施形態では、スタック102はn個のフレキシャ104と3組のN+1個のエラストマシム106を含み、ここでnは整数である。代表的には、nは2以上であるが、1にすることもできる。図示の例では、nは6である。代替例では、nは6より少なくすることもでき、また6より多くすることもできる。好適実施形態では、nは2〜10の範囲内とする。好適例では、nは約9(7〜11、好ましくは8〜10、より好ましくはn=9)とする。一般に、スタック102は一以上のフレキシャ104と、フレキシャに接着された一以上のエラストマシム106、好ましくは隣接する各対のフレキシャ104間に接着されたエラストマシムを有する。各エラストマシム106は隣接するフレキシャ104に接着ないしは固着するのが好ましい。スタック102は端板108A,108B間にはさむことができる。各端板108A,108Bに隣接するエラストマシム106は端板108A,108Bに接着ないしは固着することができる。各端板108A,108B及びスタック102を貫通する締め具(図示せず)受け入れ孔109を設けることができ、この締め具を用いてコンプライアントばね100を他の構造体に固定することができる。或いはまた、コンプライアントばね100を他の構造体に固定するクランプなどの他の手段を用いることもできる。コンプライアントばね100の各層を別々に用意し、必要に応じ隣接する層間に接着材料を挿入して一体に組み立てることもできる。また、モールド内エラストマモールドボンディングなどの技術を用いてコンプライアントばね100の異なる層を一体化することもできる。
【0018】
スタック102内のフレキシャ104は非エラストマ材料からなる。好適実施形態では、フレキシャ104は複合材料からなる。より好適な実施形態では、この複合材料は金属を含まず、好ましくはフレキシャは非金属フレキシャであって、好ましくは不均質な非金属材料体である。不均質な非金属複合材料からなるフレキシャ104は、均質な金属材料からなるフレキシャと比較して、より高いコンプライアンスのばね100をもたらす。一実施形態では、不均質な複合材料は硬化した樹脂/ポリマーマトリクス内に強化用繊維を含むものからなる。別の実施形態では、不均質複合材料はポリマー樹脂内に強化用繊維を含むものからなる。更に別の実施形態では、不均質な複合材料は重合化される樹脂内に強化用繊維を含むものからなる。別の実施形態では、複合材料はカーボンファイバ補強された複合材である。好適実施形態では、カーボンファイバ補強された複合材は硬化したポリマーマトリクス内に炭素繊維を含むものからなる。より好適な実施形態では、炭素繊維強化複合材は硬化したエポキシマトリクス内に炭素繊維を含むものからなる。エラストマシム106の材料は、航空宇宙機の回転翼ロータヘッドのエラストマ・ハイ・キャパシティ・ラミネート(HCL)ベアリングに一般に使用されている、高い疲労強度及び広い温度範囲を有するエラストマであり、このベアリングは金属シム間に接着されたエラストマモールドを備える。一例では、エラストマシム106は後加硫化ゴムからなり、好ましくは非エラストマ複合材料に接着された後加硫化ゴムからなる。端板108A,108Bは非エラストマ材料で形成し得る。本発明の一以上の実施形態では、端板108A,108Bは金属フレキシャ端板とすることができる。好適実施形態では、端板108A,108Bはアルミニウムなどの金属材料からなる。
【0019】
本発明の一つ以上の実施形態では、各フレキシャ104はLF≫WF≫tFであるビーム板の形状をなし、ここでLFはフレキシャの長さ、WFはフレキシャの幅、tFはフレキシャの厚さである。本発明の一以上の実施形態では、各エラストマシム106もL*W≫2*(L+W)*tであるビーム板の形状をなし、ここでLはシムの長さ、Wはシムの幅、tはシムの厚さであり、L*Wはシムの負荷面積、2*(L+W)*tはシムのバルジ面積である。シムの形状係数は負荷面積をバルジ面積で割った値、即ちL*W/2*(L+W)*tとして定義される。好適実施形態では、エラストマシム106は、一つのフレキシャ104の他のフレキシャに対する小さな横方向の偏位を許容しながら、締め具のプリローディングによるエラストマシムの面に直角の高い荷重を許容するとともにフレキシャのスタックがたわまされるときの締め付け部分(荷重支持部分)の曲げを最小にするために、高い形状係数を有するように設計される。図に示されるように、長さはx軸の方向、幅はy軸の方向、厚さはz軸の方向に向いている。
【0020】
本発明の一つ以上の実施形態では、エラストマシム106は、荷重がフレキシャ104のスタックに加えられる部分にのみ置かれる。図1及び図2の実施形態では、これらの荷重支持部分は、例えば締め具を受け入れる孔109を含む部分とすることができる。一般に、荷重支持部分はばね100の最終構造により決まる。図1及び図2に示すいくつかの実施形態では、コンプライアントばね100は片持ち−片持ち梁構造を有し、フレキシャ104がたわまされるとS字形になる。エラストマシム106が荷重支持部分のみに位置する場合には、エラストマシム106はスタック102のフレキシャ104間にギャップを生成し、フレキシャ104のスタックが荷重印加時にS字形にたわむときフレキシャ間摩擦を防止または最小にすることができる。
【0021】
一つのアプローチでは、各エラストマシム106の厚さは、コンプライアントばね100に加えられる荷重の範囲に対してフレキシャ間摩擦を防止する最小値以上にする。エラストマシム106の好ましい厚さは形状係数を最大にするために最小にすべきであり、一般的には0.010インチ(約0.254mm)〜0.025インチ(約0.635mm)の範囲内である。別のアプローチでは、フレキシャ104間に配置された各エラストマシム106に対して、エラストマシムの形状係数(負荷面積/バルジ面積)は1より大きく選択し、好ましくは2より大きく、より好ましくは5より大きく選択する。一実施形態では、エラストマシム106の形状係数は4,8,12,16及び20を含む範囲から選択する。スタック102の同じレベルのエラストマシム106の形状係数は同じにする。しかし、スタック102の異なるレベルの形状係数は相違させることができる。
【0022】
本発明の一つ以上の実施形態では、スタック102のフレキシャ104の長さはほぼ同じである。同様に、エラストマシム106の長さもほぼ同じである。コンプライアントばね100の幅はコンプライアントばね100の長さに沿って同一にすることができ、ここではコンプライアントばね100の幅はy軸に沿って測定され、コンプライアントばね100の長さはx軸に沿って測定される。また、コンプライアントばね100の幅はコンプライアントばね100の長さに沿って変化させることもできる。例えば、図2に示すように、コンプライアントばね100は細い部分103を有するようにだんだん細くし、ばね100の総重量を減少させることができる。
【0023】
図3A及び3Bはコンプライアントばね100の配列141を含む共振慣性力発生器140を示す。図3A及び3Bのばね100は図2のばねに類似の形状を有する。代替例では、図3A及び3Bのばね100は図1に類似の形状又は他の所望の形状を有することができる。好適実施形態では、配列141内のばね100の側面は、これらのばね100が単一のユニットとして機能するように連結される。一例として、端板122,124とボルト/ナット接続具126,128(又は他の適切な接続具)を用いてばね100の遠位端を一体に結合することができる。配列141の遠位端は垂直ポスト142,144に結合される。垂直ポスト142,144は金属フレキシャにすることができる。ばね100の配列141は慣性質量体146を支持する。これは、例えばばね100の配列141の中央部を、例えば板部材143とボルト/ナット接続具145とにより慣性質量体146に結合することによって達成することができる。図示の例では、慣性質量体146はヨーク部材147及びほぼ円筒状の本体149を含み、ほぼ円筒状の本体149はヨーク147を介してばね100の配列141に結合される。慣性質量体146は、必要に応じて、例えば「音声コイル」型リニアモータに必要とされるような金属材料からなるものとし得る。図6−7に示される代替好適実施形態では、コンプライアントばね100は慣性質量体146を支持するために取付け基部254から片持ち支持され、好ましくは複合ばねは単一ユニットとして並べて配列されない。
【0024】
一実施形態では、慣性力発生器140はアクチュエータ148(図3B)を含む。アクチュエータ148は慣性質量体146のほぼ円筒状本体149内のチャンバ150内に配置される。アクチュエータ148は任意の適切な手段を介して慣性質量体に動作可能に結合することができる。例えば、アクチュエータ148は、慣性質量体146をばね100の配列141に結合するために使用されるものと同じボルト/ナット接続具145により慣性質量体146に動作可能に結合することができる。一般に、アクチュエータ148により慣性質量体に与えられる力がばね100の配列141に伝達され、ばね100の配列141が運動又は湾曲するように、ばね100の配列141と慣性質量体146とアクチュエータ148との間に直列結合が使用される。ばね100の配列141の運動は、構造体154(図3B)に結合又は取り付けられた垂直ポスト142,144に伝達される。一例では、構造体154は航空機の一部分である。構造体154は例えば航空機胴体とすることができる。一例では、アクチュエータ148は電磁アクチュエータ又は電動機である。一例では、アクチュエータ148は電磁(EM)コイル158により囲まれた永久磁石156含む。永久磁石156は慣性質量体146に機械的に連結される。EMコイル158に供給される電気駆動電流は慣性質量体146を駆動又は移動させる機械的力に変換される。上述した慣性力発生器140の構成要素は図3Bに示すようなケース160で覆うことができる。
【0025】
動作中、慣性力発生器140は、該発生器が取り付けられた構造体の不所望な振動を破壊的に妨害する又は相殺する力を発生する。慣性力発生器140は、コマンド信号を受信し、該コマンド信号に応答してアクチュエータ148を動作周波数で駆動する電気駆動電流を発生するコントローラシステムを含むことができる。コントローラシステムは更に帰還信号を受信し、該帰還信号に基づいてアクチュエータ148に供給される電気駆動電流を調整することができる。慣性質量体146及びばね配列141は固有振動数を有する質量体ばねシステムを構成する。固有振動数はアクチュエータ148の動作周波数に近いが一般にアクチュエータ148の動作周波数より下になるように調整することができる。コンプライアントばね100の構造は、質量体−ばねシステムの固有振動数が慣性力発生器140の動作寿命に亘って、典型的には3000時間以上に亘って安定する構造である。特に、本発明者は、複合フレキシャ間にエラストマシムを介挿した構造は、質量体−ばねシステムの固有振動数が許容レベルまで減衰するのを抑制することを確かめた。一実施形態では、質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰は慣性力発生器の3000動作時間以上に亘って0.4Hz未満であった。別の実施形態では、質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰は慣性力発生器の3000動作時間以上に亘って0.2Hz未満であった。更に別の実施形態では、質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰は慣性力発生器の3000動作時間以上に亘って0.1Hz未満であった。この減衰を抑制するエラストマ手段は、複合フレキシャ間に金属シムのような非エラストマシムを備えるフレキシャ構造と比較して、固有振動数の減衰が抑制された慣性力発生器をもたらす。
【0026】
図1又は図2に示されるようなコンプライアントばねを組み込む質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰の安定性を検査するために試験を行った。試験のためのコンプライアントばねは次のように用意した。エラストマシムはダイを用いてモールド成形された硫化ゴムパッドから切り出した。各エラストマシムは約10ミル(約0.254mm)の厚さにした。エラストマシム及び複合フレキシャの交互配置からなるばねスタックはスタックの各端にステンレススチールシムを用いて組み立てた。複合フレキシャ又はステンレススチールシムへのエラストマシムの後加硫化接合を実行して接合された組立体を生成した。このようなばねスタックの4つを用いてばねの配列を形成し、このばねの配列を図3A−3Cに示される慣性質量体に取り付けた。比較目的のために、複合フレキシャ間のシムとして金属シムを用いた類似の装置を用意した。
【0027】
図4は、共振慣性力発生器内のばねの耐久性を検査するシステムを示す。慣性力発生器の耐久性試験中、振動数スイープを実行して慣性力発生器の固有振動数を測定した。図4に示す構成では、電源171及び信号発生器170がそれぞれ電力及びコマンド信号を統合制御ユニット(ICU)172に供給する。ICU172は増幅を実行し、制御信号を慣性力発生器176に送る。慣性力発生器176は検査中の任意の慣性力発生器を代表する。異なるチャネルに対する駆動レベルを調整するためにICU172を用いて減衰レベルを設定した。信号分析器178は慣性力発生器176から慣性質量体の加速度信号をモニタする。シグナルコンディショナ180は加速度信号を信号分析器178に送る前に調整するために使用される。スイープキャプチャ中、信号発生器170は切り離され、信号分析器178がコマンド信号を供給し、コマンド信号、駆動電流、駆動電圧及び慣性質量体加速度をモニタする。慣性質量体加速度を用いてフレキシャひずみが計算される。
【0028】
図5は、本発明のように複合フレキシャ間に介装されたエラストマシムを備える慣性力発生器の固有振動数の減衰(三角形マーク)と、複合フレキシャ間に介装された金属シムを備える慣性力発生器の固有振動数の減衰(正方形マーク)との比較である。すべての被試験慣性力発生器は、慣性力発生器にほぼ等しいひずみを生じるようにほぼ等しい振動数で駆動した。図5は、エラストマシムを備えるコンプライアントばねを組み込む慣性力発生器の方が金属シムを備えるコンプライアントばねを組み込む慣性力発生器よりはるかに低い固有振動数の減衰を有することを示している。その一つの説得力のある理由は、金属シムを使用する場合、フレキシャと金属シムとの界面は少量のすべりを有し、フレキシャと金属シムとの間に磨耗を生じる。他方、エラストマシムを使用する場合には、エラストマシムはエラストマのせん断によってこの運動を吸収することができ、これがエラストマをフレキシャに接着するのが好ましい理由である。耐久性試験は、エラストマシムを備える慣性力発生器は減衰が抑制された極めて安定な固有振動数を有することを示した。金属シムを用いる種類のものでは、総合減衰は1200時間で0.3Hzを超えた。エラストマシムを備えた慣性力発生器では、固有振動数の減衰は1100時間以上の動作に亘ってほぼゼロであった。エラストマシムを備えた慣性力発生器に温度試験を実行したところ、エラストマシムを備えた慣性力発生器は許容可能な性能を示した。
【0029】
図6A−Dは、図7A−Cに示される電磁アクチュエータ共振慣性力発生器140内に慣性質量体146のような慣性質量体を支持するために好適に使用されるコンプライアントばね100を示す。複合フレキシャ104とエラストマシム106を交互に配置してなるスタック102を含むコンプライアントばね100は、慣性質量体146を支持するために取付け基部254から片持ち支持され、慣性質量体146はコンプライアントばね100の取付け基部から遠く離れた反対端で固定され、コンプライアントばね100の間に配置される。図8A−Bは、図6A−Dに示されるような複合フレキシャ104間に接着されたエラストマスペーサシム106を用いる図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器140の寿命試験−減衰プロットを示し、エラストマスペーサシムが接着された共振慣性力発生器の固有振動数は正方形のプロットで示されている。寿命試験−固有振動数の減衰プロットを示す図8A−Bにおいて、動作時間はx軸方向であり、振動数の減衰はy軸方向である。図6A−Dに示されるようなコンプライアントばねとしてエラストマシムを備える複合フレキシャを組み込む図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器の固有振動数の減衰の比較のために、コンプライアントばねとして金属シムを備える複合フレキシャを組み込む同等の共振慣性力発生器の固有振動数の減衰が三角形のプロットで示されている。
【0030】
本発明は本発明の精神及び範囲から離れることなく種々の偏向及び変形を加えることができることは当業者に明らかであろう。従って、本発明のこれらの偏向及び変形が添付の請求項及びそれらの均等物の範囲に入るならば、本発明はそれらもカバーすることを意図する。請求項に記載の異なる語又は語句の範囲は同じ又は異なる構造又はステップにより実行できることも意図する。
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年11月4日に出願された米国仮特許出願第61/111,280号の利益を主張し、この出願は参照によりここに組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に構造体の振動を抑制する方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は構造体の振動を抑制するための共振慣性力発生器に関する。
【背景技術】
【0003】
共振慣性力発生器は航空機胴体などの構造体の振動を能動的に抑制するために使用されている。慣性力発生器は振動を受ける構造体に取り付けられ、構造体の振動を相殺する力を構造体に与えるように制御される。構造体の振動を測定するために構造体にセンサを取り付けることができる。センサの出力を用いて、構造体の振動を相殺するのに必要とされる力を発生するように慣性力発生器を制御することができる。共振慣性力発生器は、コンプライアントばねで取り付けられたアクチュエータ駆動される慣性質量体を含む。慣性質量体とばねのコンプライアンスとで決まる振動数で機械的共振が起こる。質量体−ばねシステムの固有振動数が大きく減衰する場合、慣性力発生器の発生力が大きく減少し、システムの性能に影響を与え得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一実施形態において、構造体の振動を抑制するための共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発生器は、交互配置されたフレキシャ及びエラストマシムのスタックを備えるコンプライアントばねと、前記コンプライアントばねに結合された慣性質量体と、前記慣性質量体を動かすアクチュエータとを備える。
【0005】
本発明は、一実施形態において、共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発生器は、複数のフレキシャにより支持された慣性質量体と、前記複数のフレキシャと交互配置された複数の中間エラストマシムとを備える。
【0006】
本発明は、一実施形態において、コンプライアントばねを包含し、該コンプライアントばねは、スタック内に積層された複数の複合フレキシャ板と、前記複合フレキシャ板の各隣接対間に配置されたエラストマシムとを備える。
【0007】
本発明は、一実施形態において、慣性力発生器を作製する方法を包含し、該方法は、慣性質量体を準備する工程、n個(nは1より大きい整数)の複合フレキシャを準備する工程、少なくともn+1個のエラストマシムを準備する工程、及び前記n+1個のエラストマシムを前記n個の複合フレキシャと交互配置してフレキシャとエラストマシムの交互配置を備えるコンプライアントばねを形成する工程を備える。この方法は、更に、前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程及び前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程を含む。
【0008】
本発明は、一実施形態において、慣性力発生器を作製する方法を包含し、該方法は、慣性質量体を準備する工程、複数の複合フレキシャを準備する工程、複数のエラストマシムを準備する工程、及び前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に、前記エラストマシムは前記複合フレキシャの負荷支持部分に隣接配置して、積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程を備える。この方法は、更に、前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程、及び前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程
を備える。
【0009】
本発明は、一実施形態において、慣性力発生器ばねを作製する方法を包含し、該方法は、複数の複合フレキシャ板を準備する工程及び中間エラストマを準備する工程を含む。この方法は、更に、複合フレキシャ板と隣接複合フレキシャ板間に挟まれた中間エラストマが積層され、前記中間エラストマが前記複合フレキシャ板に接着されているばね組立体を提供するために前記複合フレキシャ板を前記複合フレキシャ板間に前記中間エラストマを挟んで積層する工程を備える。
【0010】
本発明は、一実施形態において、共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発振器は、スタック内に配置された複数の複合フレキシャにより支持された慣性質量体と、前記複合フレキシャを分離するコンプライアント手段とを備える。
【0011】
本発明は、一実施形態において、振動抑制用の共振慣性力発生器を包含し、該慣性力発生器は、ばね組立体上の慣性質量体と、前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるモータとを備える。前記ばね組立体は、少なくとも第1の非エラストマフレキシャ及び少なくとも第1の中間エラストマを含み、前記中間エラストマは前記第1の非エラストマフレキシャと接着されている。
【0012】
本発明は、一実施形態において、航空機振動を抑制する装置を包含し、該装置は、固有振動数NFを有するばね組立体上の慣性質量体と、前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるための電動機とを備え、前記ばね組立体は少なくとも第1の複合フレキシャ及び前記固有振動数NFの減衰を抑制する手段を含む。
【0013】
本発明は、一実施形態において、航空機振動を抑制する装置を包含し、該装置は、固有振動数NFを有するばね組立体上の被駆動慣性質量体を備え、前記ばね組立体は第1の端と第2の遠端を有する複数の不均質複合フレキシャを含み、前記第1の端及び第2の遠端に近接して前記複合フレキシャ間に複数のエラストマスペーサが接着されている。好ましいことに、接着されたエラストマスペーサと不均質な複合フレキシャとが固有振動数NFの減衰を抑制する。
上記の一般的な説明も下記の詳細な説明も本発明の例示であり、特許請求されている本発明の特徴及び性質を理解するための概説又は枠組みを提供するものと理解されたい。添付図面は本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成している。図面は本発明の種々の実施形態を示し、明細書の記載と一緒に本発明の原理及び動作の説明に役立てられたい。
【0014】
以下に説明する添付図面は本発明の代表的実施形態を示し、本発明の範囲を制限するものでなく、本発明は他の同様に効果的な実施形態に適用可能である。これらの図は必ずしも一定の寸法比で示されておらず、いくつかの図は明瞭及び簡潔さのために拡大して示されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンプライアントばねの斜視図である。
【図2】造形コンプライアントばねの斜視図である。
【図3A】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器の斜視図である。
【図3B】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器の縦断面図である。
【図4】慣性力発生器に組み込む際にコンプライアントばねの耐久性を検査する試験セットアップ構成を示す。
【図5】コンプライアントばねとして複合フレキシャをエラストマシムと一緒に組み込む共振器慣性力発生器の固有振動数の減衰と、コンプライアントばねとして複合フレキシャを金属シムと一緒に組み込む共振器慣性力発生器の固有振動数の減衰との比較を示す。
【図6A】コンプライアントばねを示す。
【図6B】コンプライアントばねを示す。
【図6C】コンプライアントばねを示す。
【図6D】コンプライアントばねを示す。
【図7A】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器を示す。
【図7B】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器を示す。
【図7C】複数のコンプライアントばねを組み込む共振慣性力発生器を示す。
【図8A】図6A−Dに示されるように複合フレキシャをエラストマシムと一緒に組み込む図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器の固有振動数減衰とコンプライアントばねとして複合フレキシャを金属シムと一緒に組み込む共振慣性力発生器の固有振動数減衰との比較を示すために、図7A−7Cに示されるような共振慣性力発生器の寿命試験−固有振動の減衰プロットを示し、x軸は動作時間及びy軸は振動数減衰を示す。
【図8B】図6A−Dに示されるように複合フレキシャをエラストマシムと一緒に組み込む図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器の固有振動数減衰とコンプライアントばねとして複合フレキシャを金属シムと一緒に組み込む共振慣性力発生器の固有振動数減衰との比較を示すために、図7A−7Cに示されるような共振慣性力発生器の寿命試験−固有振動の減衰プロットを示し、x軸は動作時間及びy軸は振動数減衰を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を図面に示されるいくつかの好適実施形態について以下に詳細に説明する。好適な実施形態の説明において、本発明の十分な理解を与えるために、多くの特定の詳細について述べる。しかし、本発明はこれらの特定の詳細のいくつか又はすべてを用いないで実施できることは当業者に明らかであろう。また、本発明を不必要に不明瞭にしないように、周知の特徴及び/又は製造工程は詳細に説明してない。加えて、共通又は同等の要素を示すために同等又は同一の参照番号が使用されている。
【0017】
図1は、例えば共振慣性力発生器用のコンプライアントばね100を示す。共振慣性力発生器内に慣性質量体を支持するために一つ以上のコンプライアントばね100を使用することができる。コンプライアントばね100はフレキシャ104とエラストマシム106が交互に配置されたスタック102を含む。図示の実施形態では、スタック102はn個のフレキシャ104と3組のN+1個のエラストマシム106を含み、ここでnは整数である。代表的には、nは2以上であるが、1にすることもできる。図示の例では、nは6である。代替例では、nは6より少なくすることもでき、また6より多くすることもできる。好適実施形態では、nは2〜10の範囲内とする。好適例では、nは約9(7〜11、好ましくは8〜10、より好ましくはn=9)とする。一般に、スタック102は一以上のフレキシャ104と、フレキシャに接着された一以上のエラストマシム106、好ましくは隣接する各対のフレキシャ104間に接着されたエラストマシムを有する。各エラストマシム106は隣接するフレキシャ104に接着ないしは固着するのが好ましい。スタック102は端板108A,108B間にはさむことができる。各端板108A,108Bに隣接するエラストマシム106は端板108A,108Bに接着ないしは固着することができる。各端板108A,108B及びスタック102を貫通する締め具(図示せず)受け入れ孔109を設けることができ、この締め具を用いてコンプライアントばね100を他の構造体に固定することができる。或いはまた、コンプライアントばね100を他の構造体に固定するクランプなどの他の手段を用いることもできる。コンプライアントばね100の各層を別々に用意し、必要に応じ隣接する層間に接着材料を挿入して一体に組み立てることもできる。また、モールド内エラストマモールドボンディングなどの技術を用いてコンプライアントばね100の異なる層を一体化することもできる。
【0018】
スタック102内のフレキシャ104は非エラストマ材料からなる。好適実施形態では、フレキシャ104は複合材料からなる。より好適な実施形態では、この複合材料は金属を含まず、好ましくはフレキシャは非金属フレキシャであって、好ましくは不均質な非金属材料体である。不均質な非金属複合材料からなるフレキシャ104は、均質な金属材料からなるフレキシャと比較して、より高いコンプライアンスのばね100をもたらす。一実施形態では、不均質な複合材料は硬化した樹脂/ポリマーマトリクス内に強化用繊維を含むものからなる。別の実施形態では、不均質複合材料はポリマー樹脂内に強化用繊維を含むものからなる。更に別の実施形態では、不均質な複合材料は重合化される樹脂内に強化用繊維を含むものからなる。別の実施形態では、複合材料はカーボンファイバ補強された複合材である。好適実施形態では、カーボンファイバ補強された複合材は硬化したポリマーマトリクス内に炭素繊維を含むものからなる。より好適な実施形態では、炭素繊維強化複合材は硬化したエポキシマトリクス内に炭素繊維を含むものからなる。エラストマシム106の材料は、航空宇宙機の回転翼ロータヘッドのエラストマ・ハイ・キャパシティ・ラミネート(HCL)ベアリングに一般に使用されている、高い疲労強度及び広い温度範囲を有するエラストマであり、このベアリングは金属シム間に接着されたエラストマモールドを備える。一例では、エラストマシム106は後加硫化ゴムからなり、好ましくは非エラストマ複合材料に接着された後加硫化ゴムからなる。端板108A,108Bは非エラストマ材料で形成し得る。本発明の一以上の実施形態では、端板108A,108Bは金属フレキシャ端板とすることができる。好適実施形態では、端板108A,108Bはアルミニウムなどの金属材料からなる。
【0019】
本発明の一つ以上の実施形態では、各フレキシャ104はLF≫WF≫tFであるビーム板の形状をなし、ここでLFはフレキシャの長さ、WFはフレキシャの幅、tFはフレキシャの厚さである。本発明の一以上の実施形態では、各エラストマシム106もL*W≫2*(L+W)*tであるビーム板の形状をなし、ここでLはシムの長さ、Wはシムの幅、tはシムの厚さであり、L*Wはシムの負荷面積、2*(L+W)*tはシムのバルジ面積である。シムの形状係数は負荷面積をバルジ面積で割った値、即ちL*W/2*(L+W)*tとして定義される。好適実施形態では、エラストマシム106は、一つのフレキシャ104の他のフレキシャに対する小さな横方向の偏位を許容しながら、締め具のプリローディングによるエラストマシムの面に直角の高い荷重を許容するとともにフレキシャのスタックがたわまされるときの締め付け部分(荷重支持部分)の曲げを最小にするために、高い形状係数を有するように設計される。図に示されるように、長さはx軸の方向、幅はy軸の方向、厚さはz軸の方向に向いている。
【0020】
本発明の一つ以上の実施形態では、エラストマシム106は、荷重がフレキシャ104のスタックに加えられる部分にのみ置かれる。図1及び図2の実施形態では、これらの荷重支持部分は、例えば締め具を受け入れる孔109を含む部分とすることができる。一般に、荷重支持部分はばね100の最終構造により決まる。図1及び図2に示すいくつかの実施形態では、コンプライアントばね100は片持ち−片持ち梁構造を有し、フレキシャ104がたわまされるとS字形になる。エラストマシム106が荷重支持部分のみに位置する場合には、エラストマシム106はスタック102のフレキシャ104間にギャップを生成し、フレキシャ104のスタックが荷重印加時にS字形にたわむときフレキシャ間摩擦を防止または最小にすることができる。
【0021】
一つのアプローチでは、各エラストマシム106の厚さは、コンプライアントばね100に加えられる荷重の範囲に対してフレキシャ間摩擦を防止する最小値以上にする。エラストマシム106の好ましい厚さは形状係数を最大にするために最小にすべきであり、一般的には0.010インチ(約0.254mm)〜0.025インチ(約0.635mm)の範囲内である。別のアプローチでは、フレキシャ104間に配置された各エラストマシム106に対して、エラストマシムの形状係数(負荷面積/バルジ面積)は1より大きく選択し、好ましくは2より大きく、より好ましくは5より大きく選択する。一実施形態では、エラストマシム106の形状係数は4,8,12,16及び20を含む範囲から選択する。スタック102の同じレベルのエラストマシム106の形状係数は同じにする。しかし、スタック102の異なるレベルの形状係数は相違させることができる。
【0022】
本発明の一つ以上の実施形態では、スタック102のフレキシャ104の長さはほぼ同じである。同様に、エラストマシム106の長さもほぼ同じである。コンプライアントばね100の幅はコンプライアントばね100の長さに沿って同一にすることができ、ここではコンプライアントばね100の幅はy軸に沿って測定され、コンプライアントばね100の長さはx軸に沿って測定される。また、コンプライアントばね100の幅はコンプライアントばね100の長さに沿って変化させることもできる。例えば、図2に示すように、コンプライアントばね100は細い部分103を有するようにだんだん細くし、ばね100の総重量を減少させることができる。
【0023】
図3A及び3Bはコンプライアントばね100の配列141を含む共振慣性力発生器140を示す。図3A及び3Bのばね100は図2のばねに類似の形状を有する。代替例では、図3A及び3Bのばね100は図1に類似の形状又は他の所望の形状を有することができる。好適実施形態では、配列141内のばね100の側面は、これらのばね100が単一のユニットとして機能するように連結される。一例として、端板122,124とボルト/ナット接続具126,128(又は他の適切な接続具)を用いてばね100の遠位端を一体に結合することができる。配列141の遠位端は垂直ポスト142,144に結合される。垂直ポスト142,144は金属フレキシャにすることができる。ばね100の配列141は慣性質量体146を支持する。これは、例えばばね100の配列141の中央部を、例えば板部材143とボルト/ナット接続具145とにより慣性質量体146に結合することによって達成することができる。図示の例では、慣性質量体146はヨーク部材147及びほぼ円筒状の本体149を含み、ほぼ円筒状の本体149はヨーク147を介してばね100の配列141に結合される。慣性質量体146は、必要に応じて、例えば「音声コイル」型リニアモータに必要とされるような金属材料からなるものとし得る。図6−7に示される代替好適実施形態では、コンプライアントばね100は慣性質量体146を支持するために取付け基部254から片持ち支持され、好ましくは複合ばねは単一ユニットとして並べて配列されない。
【0024】
一実施形態では、慣性力発生器140はアクチュエータ148(図3B)を含む。アクチュエータ148は慣性質量体146のほぼ円筒状本体149内のチャンバ150内に配置される。アクチュエータ148は任意の適切な手段を介して慣性質量体に動作可能に結合することができる。例えば、アクチュエータ148は、慣性質量体146をばね100の配列141に結合するために使用されるものと同じボルト/ナット接続具145により慣性質量体146に動作可能に結合することができる。一般に、アクチュエータ148により慣性質量体に与えられる力がばね100の配列141に伝達され、ばね100の配列141が運動又は湾曲するように、ばね100の配列141と慣性質量体146とアクチュエータ148との間に直列結合が使用される。ばね100の配列141の運動は、構造体154(図3B)に結合又は取り付けられた垂直ポスト142,144に伝達される。一例では、構造体154は航空機の一部分である。構造体154は例えば航空機胴体とすることができる。一例では、アクチュエータ148は電磁アクチュエータ又は電動機である。一例では、アクチュエータ148は電磁(EM)コイル158により囲まれた永久磁石156含む。永久磁石156は慣性質量体146に機械的に連結される。EMコイル158に供給される電気駆動電流は慣性質量体146を駆動又は移動させる機械的力に変換される。上述した慣性力発生器140の構成要素は図3Bに示すようなケース160で覆うことができる。
【0025】
動作中、慣性力発生器140は、該発生器が取り付けられた構造体の不所望な振動を破壊的に妨害する又は相殺する力を発生する。慣性力発生器140は、コマンド信号を受信し、該コマンド信号に応答してアクチュエータ148を動作周波数で駆動する電気駆動電流を発生するコントローラシステムを含むことができる。コントローラシステムは更に帰還信号を受信し、該帰還信号に基づいてアクチュエータ148に供給される電気駆動電流を調整することができる。慣性質量体146及びばね配列141は固有振動数を有する質量体ばねシステムを構成する。固有振動数はアクチュエータ148の動作周波数に近いが一般にアクチュエータ148の動作周波数より下になるように調整することができる。コンプライアントばね100の構造は、質量体−ばねシステムの固有振動数が慣性力発生器140の動作寿命に亘って、典型的には3000時間以上に亘って安定する構造である。特に、本発明者は、複合フレキシャ間にエラストマシムを介挿した構造は、質量体−ばねシステムの固有振動数が許容レベルまで減衰するのを抑制することを確かめた。一実施形態では、質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰は慣性力発生器の3000動作時間以上に亘って0.4Hz未満であった。別の実施形態では、質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰は慣性力発生器の3000動作時間以上に亘って0.2Hz未満であった。更に別の実施形態では、質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰は慣性力発生器の3000動作時間以上に亘って0.1Hz未満であった。この減衰を抑制するエラストマ手段は、複合フレキシャ間に金属シムのような非エラストマシムを備えるフレキシャ構造と比較して、固有振動数の減衰が抑制された慣性力発生器をもたらす。
【0026】
図1又は図2に示されるようなコンプライアントばねを組み込む質量体−ばねシステムの固有振動数の減衰の安定性を検査するために試験を行った。試験のためのコンプライアントばねは次のように用意した。エラストマシムはダイを用いてモールド成形された硫化ゴムパッドから切り出した。各エラストマシムは約10ミル(約0.254mm)の厚さにした。エラストマシム及び複合フレキシャの交互配置からなるばねスタックはスタックの各端にステンレススチールシムを用いて組み立てた。複合フレキシャ又はステンレススチールシムへのエラストマシムの後加硫化接合を実行して接合された組立体を生成した。このようなばねスタックの4つを用いてばねの配列を形成し、このばねの配列を図3A−3Cに示される慣性質量体に取り付けた。比較目的のために、複合フレキシャ間のシムとして金属シムを用いた類似の装置を用意した。
【0027】
図4は、共振慣性力発生器内のばねの耐久性を検査するシステムを示す。慣性力発生器の耐久性試験中、振動数スイープを実行して慣性力発生器の固有振動数を測定した。図4に示す構成では、電源171及び信号発生器170がそれぞれ電力及びコマンド信号を統合制御ユニット(ICU)172に供給する。ICU172は増幅を実行し、制御信号を慣性力発生器176に送る。慣性力発生器176は検査中の任意の慣性力発生器を代表する。異なるチャネルに対する駆動レベルを調整するためにICU172を用いて減衰レベルを設定した。信号分析器178は慣性力発生器176から慣性質量体の加速度信号をモニタする。シグナルコンディショナ180は加速度信号を信号分析器178に送る前に調整するために使用される。スイープキャプチャ中、信号発生器170は切り離され、信号分析器178がコマンド信号を供給し、コマンド信号、駆動電流、駆動電圧及び慣性質量体加速度をモニタする。慣性質量体加速度を用いてフレキシャひずみが計算される。
【0028】
図5は、本発明のように複合フレキシャ間に介装されたエラストマシムを備える慣性力発生器の固有振動数の減衰(三角形マーク)と、複合フレキシャ間に介装された金属シムを備える慣性力発生器の固有振動数の減衰(正方形マーク)との比較である。すべての被試験慣性力発生器は、慣性力発生器にほぼ等しいひずみを生じるようにほぼ等しい振動数で駆動した。図5は、エラストマシムを備えるコンプライアントばねを組み込む慣性力発生器の方が金属シムを備えるコンプライアントばねを組み込む慣性力発生器よりはるかに低い固有振動数の減衰を有することを示している。その一つの説得力のある理由は、金属シムを使用する場合、フレキシャと金属シムとの界面は少量のすべりを有し、フレキシャと金属シムとの間に磨耗を生じる。他方、エラストマシムを使用する場合には、エラストマシムはエラストマのせん断によってこの運動を吸収することができ、これがエラストマをフレキシャに接着するのが好ましい理由である。耐久性試験は、エラストマシムを備える慣性力発生器は減衰が抑制された極めて安定な固有振動数を有することを示した。金属シムを用いる種類のものでは、総合減衰は1200時間で0.3Hzを超えた。エラストマシムを備えた慣性力発生器では、固有振動数の減衰は1100時間以上の動作に亘ってほぼゼロであった。エラストマシムを備えた慣性力発生器に温度試験を実行したところ、エラストマシムを備えた慣性力発生器は許容可能な性能を示した。
【0029】
図6A−Dは、図7A−Cに示される電磁アクチュエータ共振慣性力発生器140内に慣性質量体146のような慣性質量体を支持するために好適に使用されるコンプライアントばね100を示す。複合フレキシャ104とエラストマシム106を交互に配置してなるスタック102を含むコンプライアントばね100は、慣性質量体146を支持するために取付け基部254から片持ち支持され、慣性質量体146はコンプライアントばね100の取付け基部から遠く離れた反対端で固定され、コンプライアントばね100の間に配置される。図8A−Bは、図6A−Dに示されるような複合フレキシャ104間に接着されたエラストマスペーサシム106を用いる図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器140の寿命試験−減衰プロットを示し、エラストマスペーサシムが接着された共振慣性力発生器の固有振動数は正方形のプロットで示されている。寿命試験−固有振動数の減衰プロットを示す図8A−Bにおいて、動作時間はx軸方向であり、振動数の減衰はy軸方向である。図6A−Dに示されるようなコンプライアントばねとしてエラストマシムを備える複合フレキシャを組み込む図7A−Cに示されるような共振慣性力発生器の固有振動数の減衰の比較のために、コンプライアントばねとして金属シムを備える複合フレキシャを組み込む同等の共振慣性力発生器の固有振動数の減衰が三角形のプロットで示されている。
【0030】
本発明は本発明の精神及び範囲から離れることなく種々の偏向及び変形を加えることができることは当業者に明らかであろう。従って、本発明のこれらの偏向及び変形が添付の請求項及びそれらの均等物の範囲に入るならば、本発明はそれらもカバーすることを意図する。請求項に記載の異なる語又は語句の範囲は同じ又は異なる構造又はステップにより実行できることも意図する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互配置されたフレキシャ及びエラストマシムのスタックを備えるコンプライアントばねと、
前記コンプライアントばねに結合された慣性質量体と、
前記慣性質量体を動かすアクチュエータと、
を備える、構造体の振動を抑制するための共振慣性力発生器。
【請求項2】
前記フレキシャは前記エラストマシムに隣接するフレキシャ表面を有し、前記エラストマシムは前記フレキシャ表面に接着されている、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項3】
前記スタック内のフレキシャの数は2つ以上である、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項4】
3000動作時間以上に亘って0.1Hzより小さい減衰を示す固有振動数を有する、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項5】
前記アクチュエータは電磁アクチュエータである、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項6】
前記フレキシャは複合ビーム板からなる、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項7】
前記スタックは1対の端板間に挟まれている、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項8】
前記スタックの末端の前記エラストマシムは前記端板に接着されている、請求項7記載の共振慣性力発生器。
【請求項9】
前記スタック内の前記エラストマシムの少なくとも一つは10より大きい形状係数を有する、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項10】
複数のフレキシャにより支持された慣性質量体と、
前記複数のフレキシャと交互配置された複数の中間エラストマシムと、
を備える、共振慣性力発生器。
【請求項11】
前記フレキシャは複合板部材からなる、請求項10記載の共振慣性力発生器。
【請求項12】
前記フレキシャは前記中間エラストマシムに隣接するフレキシャ表面を有し、前記中間エラストマシムは前記フレキシャ表面に接着されている、請求項11記載の共振慣性力発生器。
【請求項13】
前記中間エラストマシムの各々は10より大きい形状係数を有する、請求項11記載の共振慣性力発生器。
【請求項14】
スタック内に積層された複数の複合フレキシャ板と、
前記複合フレキシャ板の各隣接対間に配置されたエラストマシムと、
を備える、コンプライアントばね。
【請求項15】
前記エラストマシムは前記複合フレキシャ板の隣接対に接着される、請求項14記載のコンプライアントばね。
【請求項16】
前記エラストマシムは10より大きい形状係数を有する、請求項14記載のコンプライアントばね。
【請求項17】
慣性質量体を準備する工程、
n個(nは1より大きい整数)の複合フレキシャを準備する工程、
少なくともn+1個のエラストマシムを準備する工程、
前記n+1個のエラストマシムを前記n個の複合フレキシャと交互配置してフレキシャとエラストマシムの交互配置を備えるコンプライアントばねを形成する工程、
前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程、及び
前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程、
を備える、慣性力発生器を作製する方法。
【請求項18】
慣性質量体を準備する工程、
複数の複合フレキシャを準備する工程、
複数のエラストマシムを準備する工程、
前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に、前記エラストマシムは前記複合フレキシャの負荷支持部分に隣接配置して、積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程、
前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程、及び
前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程、
を備える、慣性力発生器を作製する方法。
【請求項19】
前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程は、複数のコンプライアントばねを形成するために前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に積み重ねる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程は備える請求項18記載の方法。
【請求項21】
複数の複合フレキシャ板を準備する工程、
中間エラストマを準備する工程、及び
前記複合フレキシャ板を前記複合フレキシャ板間に前記中間エラストマを挟んで交互に積層し、複合フレキシャ板と隣接複合フレキシャ板間の中間エラストマが積層され、前記中間エラストマが前記複合フレキシャ板に接着されたばね組立体を提供する工程、
を備える、慣性力発生器ばねを作製する方法。
【請求項22】
スタック内に配置された複数の複合フレキシャにより支持された慣性質量体と、
前記複合フレキシャを分離するコンプライアント手段と、
を備える、共振慣性力発生器。
【請求項23】
ばね組立体上の慣性質量体と、
前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるモータとを備え、
前記ばね組立体は少なくとも第1の非エラストマフレキシャ及び少なくとも第1の中間エラストマを含み、前記中間エラストマは前記第1の非エラストマフレキシャと接着されている、振動抑制用の共振慣性力発生器。
【請求項24】
前記少なくとも第1のエラストマは10より大きい形状係数を有する、請求項23記載の共振慣性力発生器。
【請求項25】
前記非エラストマフレキシャは複合非エラストマフレキシャであり、前記複合非エラストマフレキシャは複数の強化用ファイバ含有硬化マトリックスからなる、請求項23記載の共振慣性力発生器。
【請求項26】
前記非エラストマフレキシャは非金属複合フレキシャである、請求項23記載の共振慣性力発生器。
【請求項27】
固有振動数NFを有するばね組立体上の慣性質量体と、前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるための電動機とを備え、前記ばね組立体は少なくとも第1の複合フレキシャ及び前記固有振動数NFの減衰を抑制する手段を含む、航空機振動を抑制する装置。
【請求項28】
固有振動数NFを有するばね組立体上の被駆動慣性質量体を備え、前記ばね組立体は第1の端と第2の遠端を有する複数の不均質複合フレキシャを含み、前記第1の端及び第2の遠端に近接して前記複合フレキシャ間に複数のエラストマスペーサが接着されている、航空機振動を抑制する装置。
【請求項1】
交互配置されたフレキシャ及びエラストマシムのスタックを備えるコンプライアントばねと、
前記コンプライアントばねに結合された慣性質量体と、
前記慣性質量体を動かすアクチュエータと、
を備える、構造体の振動を抑制するための共振慣性力発生器。
【請求項2】
前記フレキシャは前記エラストマシムに隣接するフレキシャ表面を有し、前記エラストマシムは前記フレキシャ表面に接着されている、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項3】
前記スタック内のフレキシャの数は2つ以上である、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項4】
3000動作時間以上に亘って0.1Hzより小さい減衰を示す固有振動数を有する、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項5】
前記アクチュエータは電磁アクチュエータである、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項6】
前記フレキシャは複合ビーム板からなる、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項7】
前記スタックは1対の端板間に挟まれている、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項8】
前記スタックの末端の前記エラストマシムは前記端板に接着されている、請求項7記載の共振慣性力発生器。
【請求項9】
前記スタック内の前記エラストマシムの少なくとも一つは10より大きい形状係数を有する、請求項1記載の共振慣性力発生器。
【請求項10】
複数のフレキシャにより支持された慣性質量体と、
前記複数のフレキシャと交互配置された複数の中間エラストマシムと、
を備える、共振慣性力発生器。
【請求項11】
前記フレキシャは複合板部材からなる、請求項10記載の共振慣性力発生器。
【請求項12】
前記フレキシャは前記中間エラストマシムに隣接するフレキシャ表面を有し、前記中間エラストマシムは前記フレキシャ表面に接着されている、請求項11記載の共振慣性力発生器。
【請求項13】
前記中間エラストマシムの各々は10より大きい形状係数を有する、請求項11記載の共振慣性力発生器。
【請求項14】
スタック内に積層された複数の複合フレキシャ板と、
前記複合フレキシャ板の各隣接対間に配置されたエラストマシムと、
を備える、コンプライアントばね。
【請求項15】
前記エラストマシムは前記複合フレキシャ板の隣接対に接着される、請求項14記載のコンプライアントばね。
【請求項16】
前記エラストマシムは10より大きい形状係数を有する、請求項14記載のコンプライアントばね。
【請求項17】
慣性質量体を準備する工程、
n個(nは1より大きい整数)の複合フレキシャを準備する工程、
少なくともn+1個のエラストマシムを準備する工程、
前記n+1個のエラストマシムを前記n個の複合フレキシャと交互配置してフレキシャとエラストマシムの交互配置を備えるコンプライアントばねを形成する工程、
前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程、及び
前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程、
を備える、慣性力発生器を作製する方法。
【請求項18】
慣性質量体を準備する工程、
複数の複合フレキシャを準備する工程、
複数のエラストマシムを準備する工程、
前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に、前記エラストマシムは前記複合フレキシャの負荷支持部分に隣接配置して、積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程、
前記慣性質量体を前記コンプライアントばねに結合する工程、及び
前記慣性質量体を動かすことができるアクチュエータを前記慣性質量体に結合する工程、
を備える、慣性力発生器を作製する方法。
【請求項19】
前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程は、複数のコンプライアントばねを形成するために前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に積み重ねる、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記複合フレキシャと前記エラストマシムを交互に積み重ねてコンプライアントばねを形成する工程は備える請求項18記載の方法。
【請求項21】
複数の複合フレキシャ板を準備する工程、
中間エラストマを準備する工程、及び
前記複合フレキシャ板を前記複合フレキシャ板間に前記中間エラストマを挟んで交互に積層し、複合フレキシャ板と隣接複合フレキシャ板間の中間エラストマが積層され、前記中間エラストマが前記複合フレキシャ板に接着されたばね組立体を提供する工程、
を備える、慣性力発生器ばねを作製する方法。
【請求項22】
スタック内に配置された複数の複合フレキシャにより支持された慣性質量体と、
前記複合フレキシャを分離するコンプライアント手段と、
を備える、共振慣性力発生器。
【請求項23】
ばね組立体上の慣性質量体と、
前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるモータとを備え、
前記ばね組立体は少なくとも第1の非エラストマフレキシャ及び少なくとも第1の中間エラストマを含み、前記中間エラストマは前記第1の非エラストマフレキシャと接着されている、振動抑制用の共振慣性力発生器。
【請求項24】
前記少なくとも第1のエラストマは10より大きい形状係数を有する、請求項23記載の共振慣性力発生器。
【請求項25】
前記非エラストマフレキシャは複合非エラストマフレキシャであり、前記複合非エラストマフレキシャは複数の強化用ファイバ含有硬化マトリックスからなる、請求項23記載の共振慣性力発生器。
【請求項26】
前記非エラストマフレキシャは非金属複合フレキシャである、請求項23記載の共振慣性力発生器。
【請求項27】
固有振動数NFを有するばね組立体上の慣性質量体と、前記ばね組立体上の前記慣性質量体を運動させるための電動機とを備え、前記ばね組立体は少なくとも第1の複合フレキシャ及び前記固有振動数NFの減衰を抑制する手段を含む、航空機振動を抑制する装置。
【請求項28】
固有振動数NFを有するばね組立体上の被駆動慣性質量体を備え、前記ばね組立体は第1の端と第2の遠端を有する複数の不均質複合フレキシャを含み、前記第1の端及び第2の遠端に近接して前記複合フレキシャ間に複数のエラストマスペーサが接着されている、航空機振動を抑制する装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2012−508356(P2012−508356A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535634(P2011−535634)
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063193
【国際公開番号】WO2010/053933
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(507381329)ロード コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月4日(2009.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2009/063193
【国際公開番号】WO2010/053933
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(507381329)ロード コーポレーション (8)
【Fターム(参考)】
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