説明

安定化されたコリンを含有する剤形及びその調製方法

本発明は、安定化したコリンを含有する剤形及びその剤形の調製方法を提供する。上記コリンは、脂質被膜中に吸湿性のコリン塩をカプセル化することにより安定化される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(本発明の背景)
本発明は、栄養成分を提供し、健康を向上させる技術、特に栄養学製品としてのコリンの送達に関する。
コリンは、ビタミンB4としてしばしば言及される重要な栄養素である。コリンは、細胞膜の構造一体性、メチル代謝、コリン作動性神経伝達、膜貫通型シグナル伝達、脂質-コレステロール輸送及び代謝にとって重要である。さらに、記憶力を高め、血漿ホモシステインレベル(既知の心血管リスク因子)を減少させることによって心機能を増進させ、及び脂肪蓄積を抑制することにより肝機能を増進させる。コリンの欠乏は、高血圧、動脈硬化症、肝硬変及び肝臓の脂肪変性を導き得る。従って、コリンによって提供される多くの健康上の利益のために、コリンは、迅速にすべての健康を意識的した食生活の所望の部分となっているだろう。
コリンは、多数の食品に見出され得る。卵黄、精肉、魚、シリアル及びマメ科植物はすべて少なくともいくらかの痕跡量の栄養分を含む。しかしながら、コリンの最も豊富な源は、典型的には、脂肪及びコレステロールの高い食品である。従って、コリンの健康上の利益は、高脂肪及びコレステロールの食生活に関連する他の健康上の関心事によって影響されるかもしれない。さらに、低脂肪食生活を採用することによって、ヒトのコリン取り込みを最適下限レベルに減少し得る。
コリンを含有する錠剤及びカプセルのような剤形は、ヒトの食生活を補うために使用され得る。いくつかの特許はコリンを含有する錠剤を開示する。Redding, Jrらの米国特許第6,110,501号明細書は、脂質でカプセル化されたコリン、特に塩化コリンを含有する錠剤を開示する。種子(seed)は、カプセルのシェル全体に分散され、錠剤の製造の間に、カプセルの強度を増加させる。
【0002】
Wurtmanらの米国特許第4,626,527号明細書は、患者へのコリンの投与を開示する。コリンは、錠剤又はカプセルの形態で投与され得る。
Cooperらの米国特許第6,361,800号B1明細書は、コリン及び重金属、例えば銅、セレン、亜鉛及びクロムを含有するマルチビタミン及びミネラルサプリメントを開示する。コリンは、好ましくは、酒石酸水素コリン(choline bitartrate)である。このサプリメントに使用される栄養成分(例えば、ビタミン、ミネラル)は植物油などの賦形剤と混合され得る。
しかし、今までの研究によれば、カプセル化されていないコリン塩、カプセル化された吸湿性コリン塩、及び不完全にカプセル化された非吸湿性コリン塩を含有するマルチビタミン及びミネラル錠剤は、貯蔵の間安定ではない。コリンと、マルチビタミン及びミネラル錠剤に存在する重金属との相互作用は、コリンを一般的に不安定化する。コリンの安定性の減少により、保存の間にコリンの活性を減少させ、及び/又は臭気発生及び/又は錠剤の変色となる。
従って、所望の程度に保護されたコリンを含有する剤形が必要とされる。保護のレベルは、剤形の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対してコリンを安定化する。
【0003】
(本発明の概要)
本発明は、安定化されたコリンを含む剤形及びその剤形の調製方法を提供する。コリン塩の形態で存在するコリンは、カプセル化によって安定化され、次いでこの剤形の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対してコリンを保護する。このコリン塩は、カプセル化の前に、ローラー転圧、粗砕され、又はキルソネート(chilsonated)されるように機械的に処理され得る。
コリン塩は、低吸水性コリン塩、例えば酒石酸水素コリン、二水素クエン酸コリン及びその組み合わせとなり得る。コリン塩は、USP(米国薬局法)級であり得る。
コリン塩は、脂質被膜によってカプセル化される。この脂質は、いかなる脂質、脂質由来材料、ワックス、有機エステル、脂肪族アルコール、又はその組み合わせとなり得る。好ましい態様において、この脂質は、水素化植物油、例えばパーム油を含む。
【0004】
この脂質被膜は、さらに添加剤を含み得る。この添加剤は、被膜の一体性、例えば被膜の増加する安定性を高めたり、又は被膜の機能、例えばコリンの制御された放出(例えば、pHに依存する放出)及び被膜の圧縮に対する高められた耐性のために添加するいかなる添加剤である。好ましくは、この添加剤は、剤形の製造の間に遭遇する圧へのカプセルの耐性を改良する。
脂質被膜は、被カプセル化物(encapsulate)の感覚受容性特性を高める添加剤をさらに含み得る。そのような添加剤は、限定的でないが、防腐剤、風味及び抗酸化剤が挙げられる。
カプセル化されたコリンは、水に暴露される場合に、約20%未満の5時間放出を有し、好ましくは約15%、より好ましくは約10%未満、さらにより好ましくは約5%未満の5時間放出を有する。好ましい態様において、5時間の放出は、約1%未満である。
カプセル化されたコリンは、他の成分と結合して、剤形を形成する。この剤形は、錠剤又はゲルカプセルであり得る。好ましい態様において、この剤形は、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、亜鉛、ニッケル、セレン、クロム、スズ、バナジウム、及びその組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種の重金属を含む。
別の好ましい態様において、錠剤又はゲルカプセルは、マルチビタミン及びミネラルサプリメントである。
剤形中のカプセル化されたコリンの量は、少なくとも健康的利益を提供するいかなる量でよい。好ましくは、この剤形は、少なくとも約5mgのコリン陽イオン、より好ましくは少なくとも約20mg、更により好ましくは少なくとも約55mg、及び最も好ましくは少なくとも約110mgのコリン陽イオンを含む。
本発明の結果として、安定化されたコリンを含む剤形が、提供される。このコリンは、剤形の製造及び貯蔵に関する条件に対して保護される。従って、安定化されたコリンは、剤形の顕著な変色及び臭気発生も栄養活性のいかなる顕著な減少も示さない。
本発明のより良い理解のために、他の及び更なる有利とともに、以下の詳細な説明に言及し、その範囲は、クレーム内に示されるだろう。
【0005】
(本発明の詳細な説明)
本発明は、安定化されたコリンを含む剤形及びその剤形の調製方法を含む。コリン塩の形態で存在するコリンは、カプセル化によって安定化され、剤形の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対するある程度の保護をコリンに提供する。
コリンは、種々の塩の形態、例えば酒石酸水素コリン及び二水素クエン酸コリン(choline dihydrogen citrate)で存在する。ここで使用されるような「コリン陽イオン」は、コリン塩のコリン部分を意味する。例えば、酒石酸水素コリンは、約40%のコリン陽イオンを含み、及び二水素クエン酸コリンは、35%のコリン陽イオンを含む。
本発明で有用なコリン塩は、低吸湿性を示す塩である。低吸湿性コリン塩は、周囲環境から水分又は水を直ちには吸収しない。
本発明に有用な低吸湿性コリン塩は、66%の相対湿度で、室温で24時間暴露の後、10質量%未満、好ましくは約5質量%未満、及びより好ましくは2質量%未満増加する塩を含む。低吸湿性を有するコリン塩の例は、限定的でないが、酒石酸水素コリン、二水素クエン酸コリン及びその組み合わせを含む。コリン塩は、USP(米国薬局法)級であり得る。
この低吸湿性コリン塩は、カプセル化の前に機械的に処理され得る。本発明のコリン塩の機械的処理方法の例は、ローラー転圧、粗砕、及びキルソネーション(chilsonation)を含む。これらの方法は、当業者に公知である。添加剤等の処理助剤は、機械処理の間に使用され得る。添加剤の例は、二酸化ケイ素である。例えば、二酸化ケイ素は、低吸湿性コリン塩の粗砕に使用され得る。
【0006】
低吸湿性コリン塩は、コリン塩を脂質被膜でカプセル化することによって安定化される。ここで使用される「脂質」の用語は、いかなる脂質、脂質由来材料、ワックス、有機エステル、脂肪アルコール又はその組み合わせを含む。この脂質は、動物、植物、ミネラル、又は合成起源に由来し得る。この脂質は、好ましくは、水素化され、飽和され又は部分的に飽和され得、及び限定的でないが、モノ-、ジ-、及びトリグリセライドを含む。
このワックスは、パラフィンワックス、石油ワックス、ミネラルワックス例えばオゾケライト、セレシン、ユタ(utah)ワックス又はモンタンワックス、植物ワックス例えばカルナバ(carnuba)ワックス、ウルシワックス、シロヤマモモワックス(bayberry wax)又は麻ワックス(flax wax)、動物ワックス例えば鯨蝋、又は昆虫蝋例えば蜜蝋、中国ワックス又はシェラックワックスでよい。
さらに、ワックス材料は、12〜30個の炭素原子を有する脂肪酸と12〜31個の炭素原子を有する脂肪アルコールのエステル、24〜62個の炭素原子含有量を有するエステル、又はその混合物であり得る。例は、ミリシルパルミテート、セチルパルミテート、ミリシルセロテート、セチルミリステート、セリルパルミテート、セリルセルテート、ミリシルメリセート(melissate)、ステアリルパルミテート、ステアリルミリステート、及びラウリルラウレートを含む。
【0007】
脂肪酸は、10〜22個の炭素原子を有し、例えば、デカン酸(decenoic acid)、ドコサン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸又はミリスチン酸でよい。
脂肪アルコールは、14〜31個の炭素原子を有し、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、ミリシルアルコール、アラキルアルコール(arachyl alcohol)、カルヌビルアルコール(carnubyl alcohol)又はセリルアルコールでよい。
脂肪酸エステルは、10〜22個の炭素原子を有する脂肪酸から形成されるモノ-、ジ-、又はトリグリセリルエステル、例えばグリセリルジステアレート、グリセリルトリステアレート、グリセリルモノステアレート、グリセリルジパルミテート、グリセリルトリパルミテート、グリセリルモノパルミテート、グリセリルジラウレート、グリセリルジドコサノエート、グリセリルトリドコサノエート、グリセリルモノドコサノエート、グリセリルモノカプレート、グリセリルジカプレート、グリセリルトリカプレート、グリセリルモノミリステート、グリセリルジミリステート、グリセリルトリミリステート、グリセリルモノデカノエート、グリセリルジデセノエート、又はグリセリルトリデセノエートでよい。
好ましい被膜は、トリグリセリドを含む水素化植物油、例えば水素化綿実、トウモロコシ、ピーナッツ、大豆、パーム、パーム核、ババス、ヒマワリ、及びヒマワリ油を含む。好ましい水素化植物油は、水素化パーム油、綿実油、及び大豆油を含む。他の植物-、動物-、ミネラル-、及び合成由来の脂肪及びワックスもまた好適である。
脂質被膜は、異なる脂質の混合物であり得る。例えば、好ましい水素化植物油に加えて、脂質被膜に配合され得る他の脂質は、蜜蝋、石油ワックス、及び低融点水素化植物油ブレンドを含む。他のワックス及び油、例えば米糠ワックス及びキャスターワックスもまた本発明の脂質被膜の好適な成分である。
【0008】
この脂質被膜は、さらに添加剤を含み得る。この添加剤は、被膜の一体性(integrity)、例えば被膜の増加した安定性を高めるいかなる添加剤、又は被膜の機能、例えば制御されたコリンの放出(例えばpHのための放出等)及び圧縮に対する高められた被膜の耐性に添加する添加剤でよい。好ましくは、添加剤は、剤形の製造の間に遭遇する圧へのカプセルの耐性を改良する。本発明に有用な添加剤の例は、限定的でないが、モノ-及びジグリセリドを含む。
さらに、脂質被膜は、被カプセル化物の感覚受容性特性を高める添加剤も含み得る。例えば、この添加剤は、被膜の味、色彩及び風合いを高める。そのような添加剤の例は、限定的でないが、防腐剤、風味及び抗酸化剤が挙げられる。
コリン塩への被膜の適用方法は、重要でないが、本発明の一部を形成せず、またこの被膜が剤形の製造及び貯蔵の間にコリンが安定化されるように所望の程度の保護及び放出を有するコリン塩を提供するいかなる方法でも実施し得る。低吸湿性コリン塩は、当業者に公知のいかなる方法によっても脂質でカプセル化され得る。例えば、コリン塩顆粒は、溶融脂質中に懸濁され、懸濁液は「冷凍チャンバー」にスプレーできる。
【0009】
上記とは別に、コリン塩は、流動層装置中、溶融脂質で被覆され得る。米国特許第4,511,584号明細書第3-5欄、米国特許第4,537,784号明細書第4-5欄、米国特許第4,511,592号明細書第4欄及び米国特許第4,497,845号明細書第4欄は、流動層装置内の粒状粒子に脂質被膜を適用する方法を開示する。基本的に、粒状粒子が、流動層装置に投入される。被覆材料は、次いで、その被覆材料を流動層装置にスプレーすることにより、顆粒粒子に適用される。米国特許第4,511,584号明細書、米国特許第4,537,784号明細書、米国特許第4,511,592号明細書、及び米国特許第4,497,845号明細書に開示される方法は、流動層装置中、コリン塩に脂質被膜を適用するために採用され得る。米国特許第4,511,584号明細書、米国特許第4,537,784号明細書、米国特許第4,511,592号明細書、及び米国特許第4,497,845号明細書の関連性のある部分は、ここに参考として取り込まれる。
コリンの保護レベルは、カプセル被膜の性質(例えば、脂質のタイプ及び量、カプセル化の方法等)によって決まる。
コリン保護のレベルは、本発明において有用であり、この被カプセル化物が、水に5時間暴露される場合、約20%未満のコリン放出、好ましくは約15%、より好ましくは約10%未満、更により好ましくは約5%未満を有するカプセル化されたコリンのものである。好ましい態様において、水への暴露が5時間の場合、この放出は約1%未満である。
【0010】
被カプセル化物に存在するコリン塩の量(例えば、コリンの活性)は、上述のように、被カプセル化物からのコリンの放出が、本発明に従う量であり得る。好ましくは、コリンは、被カプセル化物の約30質量%の最小量で、好ましくは、約50質量%で、及び更に好ましくは約70質量%でカプセル中に存在する。
本発明に従う放出を有するカプセル化されたコリンは、剤形の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対して安定化されている。剤形の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件は、例えば水分、酸素、高温、高圧、及び剤形に存在する他の成分との相互作用への保護を含む。
コリンの安定化により、貯蔵の間に、剤形の臭気発生又は変色がほとんど生じなくなる。その結果、剤形の貯蔵期間は、貯蔵、分配及び使用の間に典型的に遭遇する条件に暴露される場合、約2年である。
好ましい態様において、剤形が、促進貯蔵条件の下で保存される場合、コリン塩は、少なくとも約3ヶ月間安定化される。ここで使用される「促進条件」の用語は、約40℃の温度及び約75%の相対湿度を意味する。
本発明の剤形を調製するために、安定化され、複数のカプセル化されたコリンは、他の成分と組み合わされる。剤形は、例えば錠剤及びゲルカプセルが挙げられる。錠剤は、例えば丸薬、キャプレッツ(caplets)、及びカプセル型錠剤を含む。
剤形中のカプセル化されたコリンの量は、少なくとも健康上の利益を提供する量であり得る。コリンからの健康上の利益の例は、血漿ホモシステインレベルの減少、肝機能の増進、記憶力の向上を含む。好ましくは、この剤形は、少なくとも約5mgのコリン陽イオン、より好ましくは少なくとも約20mg、更により好ましくは少なくとも約55mg、及び最も好ましくは少なくとも約110mgのコリン陽イオンを含む。
【0011】
剤形の調製に有用な他の成分は、当業者に公知である。例えば、剤形は、可塑剤のような賦形剤を含み得る。可塑剤の例は、ジエチルフタレート、ジブチルセバケート、トリエチルシトレート、トリアセチン、植物油、ポリエチレングリコール、及びその組み合わせを含む。好ましくは、この可塑剤は、剤形に存在する場合、剤形の質量に基づき約0.01%、より好ましくは約0.1%、及び最も好ましくは約1%である。可塑剤は、剤形の質量に基づき約25%、より好ましくは約10%、及び最も好ましくは約5%から最高値で存在する。
他の成分は、充填剤をも含み得る。充填剤は、例えば、錠剤の塊を増加させるために使用され、成分の組み合わせを圧縮に対し好適にする。充填剤の例は、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、変性デンプン、マルトデキストリン、スクロース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール、微結晶性セルロース及びその組み合わせを含む。充填剤は、剤形中に錠剤又はゲルカプセルの質量に基づき約2%の最小量、より好ましくは約10%、及び最も好ましくは約20%の最小量で存在する。剤形に存在する充填剤は、剤形の質量に基づき約70%、より好ましくは約50%、及び最も好ましくは約40%の最高値で存在する。
【0012】
他の成分として、結合剤が含まれ得る。典型的に、結合剤は、圧縮の容易さ及び例えば錠剤の一般的な質に寄与する。結合剤の例は、デンプン、α化デンプン、ゲラチン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ポリアクリルアミン、ポリビニルオキソアゾリドン、及びポリビニルアルコールを含む。
他の成分、例えば、着色剤、防腐剤、人工及び天然両方の甘味料及び香味料(fravorant)が、剤形の調製に使用されてもよい。剤形の調製に有用な成分の量及び組み合わせは、当業者に公知である。
剤形(例えば錠剤、ゲルカプセル等)が、マルチビタミン及びミネラルサプリメントである場合、他の成分は、さらにビタミン及びミネラルを含む。含まれるべきビタミン及びミネラルの量及び組み合わせは、当業者に公知である。例えば、その量は、特定のビタミン又はミネラルに対して1日当たり推奨栄養所要量(USRDA)未満、USRDAより多く、又はおよそUSRDAとなり得る。
ビタミンは、どんなビタミンでもよい。ビタミンの例は、限定的でないが、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、B複合体ビタミン、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(コレカルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF(リノール酸)、ビタミンK、β-カロテン、ビオチン、葉酸、ナイアシン、及びパントテン酸を含む。
【0013】
ミネラルは、いかなるミネラルでもよく、好ましくは塩の形で存在し得る。ミネラルの例は、限定的でないが、ホウ素、カルシウム、クロム、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、リン、セレン、ケイ素、スズ、バナジウム、及び亜鉛を含む。
好ましい態様において、剤形は、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、亜鉛、ニッケル、セレン、クロム、スズ、バナジウム、及びその組み合わせから成る群から選択される少なくとも1種の重金属を含む。
剤形が錠剤の場合、錠剤は、当業者に公知ないかなる方法によって調製され得る。例えば、安定化しかつカプセル化されたコリン塩及び他の成分を含む混合物は、医薬業界で典型的に使用されるタブレット成形機を使用して錠剤形状に圧縮される。タブレット成形機は、典型的にダイ及びパンチを含む。混合物をタブレット成形機のダイキャビティに投入し、十分な圧をパンチによって適用し、固体錠剤を形成する。適用される圧は、変化し得る。一般的に、圧は、約6.89MPa(1000psi)〜約41.4MPa(6000psi)の範囲である。好ましくは、この圧は、約20.7MPa(3000psi)である。
錠剤が形成された後、錠剤は、医薬業界において典型的に使用される材料で被覆され得る。被覆材料及び被覆技術は、当業者に公知である。
ゲルカプセルの調製が所望の場合、ゼラチンカプセルの製造は、医薬業界で周知である。例えば、ゼラチンシェルは、安定化されかつカプセル化されたコリン塩及び他の成分を含有する混合物で充填される。
【実施例1】
【0014】
酒石酸水素コリンのカプセル化
酒石酸水素コリンをカプセル化するために、95%水素化パーム油及び5%蒸留したモノグリセリドの溶融脂質混合物を酒石酸水素コリンに噴霧した。カプセル保護の所望の程度によって決まる、所望の量の被覆が達成されるまで、噴霧を続けた。酒石酸水素コリンカプセルを、その後冷却する。冷却の後、カプセルを凝集物を粉砕するためにスクリーンに通過させた。
得られたカプセルは、カプセルの質量に基づいて、約70%の活性酒石酸水素コリン及び約30%の脂質被膜を含む。被カプセル化物の被膜は、コリンを安定化し、高温、水、水分、圧力、酸素及び剤形の調製及び貯蔵の間に遭遇する条件に暴露される場合に、コリンを保護する。
【実施例2】
【0015】
カプセル化された酒石酸水素コリンの放出
実施例1から得たカプセル化された酒石酸水素コリンの5時間放出を決定した。5時間放出を決定するために、以下の手順を使用した。
1)1.0グラム(0.01mgまでの精度で)のカプセル化された酒石酸水素コリンを250ml三角フラスコに入れる。100mlの蒸留水をこのフラスコに添加し、このフラスコを栓で密封する。
2)このフラスコを、その後5時間、穏やかな振盪強度である振盪機に置く。
3)5時間の終りに、フラスコの内容物を粉末漏斗中あらかじめ湿らせたガラスウールを通して濾過する。溶出液を第二のフラスコに集める。その後、第一のフラスコを10mlの水で水洗し、これを粉末漏斗/グラスウールを通して添加した。
4)第二フラスコの溶液をその後0.1NaOHで滴定する。滴定の終点は、およそ中性pHにおいてpHの第一変曲点を測定することによって決定される。
放出%は、下式を使用して計算され得る。
【数1】

実施例1から得られるカプセル化されたコリンの5時間放出は、1%未満であることが決定された。従って、被膜の特性は、カプセルが5時間水に暴露される場合、コリンに有意な保護を提供した。
【実施例3】
【0016】
酒石酸水素コリンのカプセルを含有する錠剤の安定性
重金属を含有するマルチ-ビタミン錠剤を異なる酒石酸水素コリンの被被カプセル化物によって調製した。それぞれの錠剤は、55mgのコリン陽イオンを含有した。3種の酒石酸水素コリン被被カプセル化物を試験した。酒石酸水素コリンの被カプセル化物は5時間60%の放出を有し、酒石酸水素コリンの被カプセル化物は5時間20%の放出を有し、酒石酸水素コリンの被カプセル化物は5時間1%の放出を有する。これらのすべては、実施例1に従って、活性レベルを変化させながら調製した。
この錠剤を促進条件(40℃及び75%相対湿度)下3ヶ月貯蔵した。3ヶ月後、錠剤の性能を評価した。
60%の5時間放出を有するカプセル化された酒石酸水素コリンを含有する錠剤が、有意な変色及びアミン類似臭を示す。20%の5時間放出を有する酒石酸水素コリンカプセルで調製された錠剤は、ほとんど変色及び臭いを有さず、わずかに変色及び臭いにおいて錠剤の質が落ちる。
対照的に、20%未満の5時間放出、この場合、1%の5時間放出を有するカプセル化された酒石酸水素コリンを含有する錠剤は、促進条件下3ヶ月の貯蔵後変色及び臭気発生のサインを示さない。従って、5時間で20%未満の放出を伴う酒石酸水素コリンカプセルは、マルチビタミン錠剤の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対して安定である。
【実施例4】
【0017】
カプセル化された酒石酸水素コリンを含有する錠剤の安定性対カプセル化された塩化コリンの安定性
酒石酸水素コリンを含有する錠剤の安定性を決定するために、酒石酸水素コリンカプセルを70%含有する錠剤を塩化コリンカプセルを40%含有する錠剤と比較した。それぞれの錠剤は、55mgのコリン陽イオンを含有した。両方の被カプセル化物の脂質被膜は、95%水素化パーム油及び5%蒸留されたモノグリセリドを含有した。両方の被カプセル化物は、5時間放出試験法によって決定されるように類似の保護レベルを有した。
カプセル化した酒石酸水素コリン又は塩化コリンを含有する錠剤を促進条件下(40℃及び75%相対湿度)、3ヶ月間貯蔵した。3ヶ月後、錠剤の質を評価した。
カプセル化した塩化コリンを含有する錠剤は、変色及びアミン類似臭を示した。従って、塩化コリンは、錠剤の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対して安定化されていない。
対照的に、カプセル化した酒石酸水素コリンを含有する錠剤は、促進条件下3ヶ月の貯蔵の後、変色及び臭気発生の兆候を示さなかった。従って、カプセル保護の同一の目的において、低吸湿性コリン塩、すなわち酒石酸水素コリンは、錠剤の製造及び貯蔵の間に遭遇した条件に対して有意により安定であった。
従って、本発明の好ましい態様であると現在考えられる態様が記載されているが、本発明に対して変更及び改良を行え、また他のさらなる態様は、当業者に公知であり、本発明の意図の範囲内であり、またすべてのそのような他の変更及び改良及び態様は、本発明の範囲内にあることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリンを含有する剤形の調製方法であって、前記コリンは、前記剤形の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対して安定化されている方法において、以下の工程、
a)低吸湿性コリン塩を被膜でカプセル化する工程であって、前記被膜が、水に5時間暴露される場合に、約20%未満の放出を有する安定化されカプセル化された低吸湿性コリン塩を与える特性及び量の脂質を含む工程、及び
b)複数の前記カプセル化された低吸湿性コリン塩と他の成分とを組合せる工程、
を含み、コリンを含む前記剤形が調製されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記コリンが、前記剤形を促進条件下貯蔵した場合に、少なくとも約3ヶ月間安定化される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低吸湿性コリン塩が、酒石酸水素コリンである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記脂質が、植物油から成る請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記植物油が、水素化パーム油から成る請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記被膜が、さらに添加剤を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放出が、約15%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記放出が、約10%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記放出が、約5%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記放出が、約1%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記剤形が、錠剤である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記錠剤が、マルチビタミン及びミネラルサプリメントである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記剤形が、ゲルカプセルである請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲルカプセルが、マルチビタミン及びミネラルサプリメントである請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記剤形が、少なくとも1種の重金属を含む請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記重金属が、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、亜鉛、ニッケル、セレン、クロム、スズ、バナジウム、及びその組み合わせからなる群から選択される請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記剤形が、少なくとも約5mgのコリン陽イオンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記剤形が、少なくとも約20mgのコリン陽イオンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記剤形が、少なくとも約55mgのコリン陽イオンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記剤形が、少なくとも約110mgのコリン陽イオンを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
コリンを含有する剤形であって、前記コリンが、前記剤形の製造及び貯蔵の間に遭遇する条件に対して、以下の工程、
a)低吸湿性コリン塩を被膜でカプセル化する工程であって、前記被膜が、水に5時間暴露される場合に、約20%未満の放出を有する安定化されカプセル化された低吸湿性コリン塩を与える特性及び量の脂質を含む工程、及び
b)複数の前記カプセル化された低吸湿性コリン塩と他の成分とを組合せる工程、
を含む方法によって安定化されていることを特徴とする剤形。
【請求項22】
前記剤形が、促進条件下貯蔵されると、前記コリンが、少なくとも約3ヶ月安定化される請求項21に記載の剤形。
【請求項23】
前記低吸湿性コリン塩が、酒石酸水素コリンである請求項21に記載の剤形。
【請求項24】
前記脂質が、植物油を含む請求項21に記載の剤形。
【請求項25】
前記植物油が、水素化パーム油である請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
前記被膜が、添加剤をさらに含む請求項21に記載の剤形。
【請求項27】
前記放出が、約15%未満である請求項21に記載の剤形。
【請求項28】
前記放出が、約10%未満である請求項21に記載の剤形。
【請求項29】
前記放出が、約5%未満である請求項21に記載の剤形。
【請求項30】
前記放出が、約1%未満である請求項21に記載の剤形。
【請求項31】
前記剤形が、錠剤である請求項21に記載の剤形。
【請求項32】
前記錠剤が、マルチビタミン及びミネラルサプリメントである請求項31に記載の剤形。
【請求項33】
前記剤形が、ゲルカプセルである請求項21に記載の剤形。
【請求項34】
前記ゲルカプセルが、マルチビタミン及びミネラルサプリメントである請求項33に記載の剤形。
【請求項35】
前記剤形が、少なくとも1種の重金属を含む請求項21に記載の剤形。
【請求項36】
前記重金属が、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、モリブデン、亜鉛、ニッケル、セレン、クロム、スズ、バナジウム、及びその組み合わせからなる群から選択される請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記剤形が、少なくとも約5mgのコリン陽イオンから成る請求項21に記載の剤形。
【請求項38】
前記剤形が、少なくとも約20mgのコリン陽イオンから成る請求項21に記載の剤形。
【請求項39】
前記剤形が、少なくとも約55mgのコリン陽イオンから成る請求項21に記載の剤形。
【請求項40】
前記剤形が、少なくとも約110mgのコリン陽イオンから成る請求項21に記載の剤形。

【公表番号】特表2006−507304(P2006−507304A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550160(P2004−550160)
【出願日】平成15年10月28日(2003.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/034220
【国際公開番号】WO2004/041166
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(504261147)バルケム コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】