説明

安定化された熱可塑性コポリエステル

【要約書】
全風化に露出後、その色と機械的強度を維持することのできる熱可塑性コポリエステル組成物が提供されている。具体的には、前記組成物中には、一つ以上の光安定剤(例、ヒンダードアミン、紫外線吸収剤等)、抗酸化剤 (例、立体障害フェノール、有機リン化合物等)、および第二級アミンの混合物を含む安定化システムが用いられている。前記安定剤の種類と濃度を選択的に制御することにより、本発明者は、風化に当たり、通常変色、ひび割れ(すなわち、微小亀裂)に耐えるよう組成物を形成できることを発見した。安定化システムに加え、コポリエステル樹脂には、炭素原子数22よりも大きな鎖長をもつ脂肪酸の金属塩を含む、処理安定剤も用いられている。これらの安定剤は、ファイバー又は、膜の形成中に内部応力を低減するのに効果があり、それにより結果として生じる品の脆弱性を最小化する。例えば、本発明の熱可塑性コポリエステル樹脂から形成されたモノフィラメントは、SAE J1960試験法により、2000kJ/mでキセノンアークに露出後、約85%から約150%の破壊時伸び保持率を見せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
熱可塑性コポリエステルは、紫外線にさらされた場合に劣化することで知られている。紫外線によるポリエステル樹脂の劣化の影響は、一般的に独特な樹脂の変色から明らかになる。つまり、紫外線にさらされると、通常ポリエステル樹脂の色は、時間とともに白色の外観からグレー又は黄色の外観に変化する。さらに、この変色は、通常紫外線への露出に応じて急速な変色率で発生し、その後時間とともに減少する。近年、ポリエステルエラストマーは、自動車用途、すなわち自動車の内装及び/又は外装用の成形部品などに使用されている。自動車用部品として使用された場合、特に部品が目に見える場合に、元の成形ポリエステル樹脂の著しい変色が許されないことは言うまでもない。紫外線への露出によるポリエステル樹脂の劣化の傾向を抑制するため、さまざまな紫外線安定化システムが提案されている。
【背景技術】
【0002】
たとえば、米国特許第4,185,003号では、熱可塑性コポリエーテルエステルエラストマーは、前記コポリエーテルエステルをフェノール系酸化防止剤とヒンダードアミン系光安定剤の有効濃度に取り込むことにより、熱及び光劣化に対し、安定化されている。特開昭50−91652では、フェノール系酸化防止剤と組み合わせて、ヒンダードピペリジン型光安定剤の数々をコポリエーテルエステルに使用することが開示されている。しかしながら、米国特許第4,185,003によると、前記日本国公開特許公報の教示に従った場合、コポリエーテルエステルの光安定が改善される一方で、光安定剤がある場合、光安定剤がない場合の性能と比べ、熱劣化性がより劣る(米国特許第4,185,003の1欄、30−45行目参照)。
【0003】
米国特許第4,136,090号においては、コポリエーテルエステルが、フェノール系酸化防止剤と、共重合化されたヒンダードアミン光安定剤の有効濃度に取り込むことにより、熱及び光への露出による酸化的分解から安定化すことができると提案している。
【0004】
米国特許第4,340,718号においては、ポリマーをポリエステル樹脂を単機能基端末エステル形成基または、二官能性コモノマーを持つp−メトキシベンジリデンマロン酸のジメチルおよびジエチルエステルに取り込むことにより、コポリエステルは、より風化に影響されにくくされている。
【0005】
米国特許第4,355,155号および同第4,405,749号の各々は、熱に対して安定化できるセグメント化熱可塑性コポリエステルエラストマーを開示している。たとえば、米国特許第4,355,155においては、そのような安定剤は、フェノールおよびその誘導体、アミンおよびその誘導体、ヒドロキシル基およびアミン基を両方含む化合物、ヒドロオキシジン、オキシム、高分子フェノールエステル及び金属がより低い状態の多価金属塩を含んでもよい(3欄、46−52行目参照)。一方米国特許第4,405,749においては、特定トリアジン系抗酸化剤が(すなわち、1,3,5,−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン)を含む、3, 5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸トリエステル)優れた熱安定性を持つとして開示されている。これら特許のそれぞれは、コポリエステルを、置換ベンゾフェノン、又はベンゾトリアゾールなどのさまざまな紫外線吸収剤と化合することにより、紫外線に対しさらに安定化を得ることができると言及している(米国特許第4,355,155号の4欄、1−3行目、及び米国特許第4,4,057,749号の4欄、10−13行目参照)。
【0006】
ポリエステルエラストマー用の3元安定化システムも知られている(デュポンエラストマー研究所の、ハイトレル(R)ポリエステルエラストマーの技術注記、1977年3月2日参照)。実質的にこの3元システムは、等しい割合のフェノール系抗酸化剤(テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニルプロピネート)メタン)、ベンゾトリアゾール吸収剤(すなわち、2−3(3‘,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)、およびヒンダードピペリジン型化合物(すなわち、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバシン酸)からなる。後述のピペリジン型化合物の存在は、必須成分であることが推奨されている。
【0007】
米国特許第5,032,631号は、トリアジン系抗酸化物およびベンゾフェノンにより安定化される風化性コポリエステルを開示している。このようなポリエステルは、着色可能で、紫外線に対し安定しているが、薄い素材に成形された場合(例、フィルム又はモノフィラメント)、強度の低下を見せる傾向があり、また風化に影響される。
【0008】
上述に鑑み、風化にさらされた後も色と強度を維持することが可能な、熱可塑性コポリエステルエラストマーの出現が望まれている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の一態様によると、安定化されたポリエステル組成物が開示されており、熱可塑性コポリエステル、光安定剤、酸化防止剤、第二級アミン、及び22から38の炭素原子の鎖長を持つ脂肪酸の金属塩を含む潤滑剤からなることを特徴とする。前記潤滑剤は、組成物の約0.5重量%から約10重量%をなす。具体的な一実施例において、組成物は、一つ以上のヒンダードアミン(例、高分子量化合物)、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤、立体障害フェノール(例、トリアジン系フェノール)、有機リン化合物、第二級アミン、及び22から38の炭素原子の鎖長を持つ脂肪酸の金属塩を含む。
【0010】
本発明のその他の特徴および態様は、下記により詳細に述べられている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のさまざまな実施形態の詳細について述べられ、一つ以上の実施例が下記に説明される。各実施例は例としてのものであり、本発明を限定するものではない。実際に、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明にさまざまな変更及び修正を加えられることは、当業者にとって明らかである。たとえば、一実施形態の一部として、説明又は記述されている特長は、さらに別の実施形態を得るために、他の実施例で使用することができる。よって、本発明は、そのような変更及び修正を網羅することを意図している。
【0012】
一般的に言えば、本発明は、たとえば紫外線エネルギー、熱、湿度などの全風化への露出後に、色、及び機械的強度を保つことができる熱可塑性コポリエステル組成物を対象にしている。より具体的には、一つ以上の光安定剤(例:ヒンダードアミン、UV吸収剤等)、抗酸化剤(例:立体障害フェノール、有機リン化合物等)、及び第二級アミンを含む組成物に安定システムが用いられている。安定剤の種類及び濃度を選択的に制御することにより、本発明は、風化の際の変色やひび割れ(すなわち、微小亀裂の形成)に一般的に耐性を示す組成物を形成することができることを発見した。また、安定化システムに加え、炭素原子22以上の鎖長を持つ脂肪酸の金属塩を含むコポリエステル樹脂に処理安定剤が用いられている。本発明者は、これらの安定剤が繊維または膜形成時に内部応力を低下させるのに特に効果があり、結果として生じる物の脆弱性を最小化することを発見した。たとえば、本発明の熱可塑性コポリエステル樹脂から形成されたモノフィラメントは、試験方法SAE J1960に従い、2000kJ/mでキセノンアークに露出した後、約85%から、150%の破壊時伸び維持率を示すことがある。本発明のさまざまな実施形態が本書にさらに詳細される。
I. 熱可塑性コポリエステル
【0013】
熱可塑性コポリエステルは公知技術であり、コポリエーテルエステル、線状及び環状ポリアルキレンテレフタル酸(例:ポリエチレンテレフタル酸、ポリプロピレンテレフタル酸、ポリブチレンテレフタル酸、及びエチレン−1,4−シクロヘキシレン−ジメチレンテレフタル酸)を含んでも良い。通常コポリエーテルエステルは、エステル連鎖を通して頭尾結合している、多数の反復“長鎖エステル単位”と“短鎖エステル単位”を含む。
【0014】
「長鎖エステル単位」という用語は、熱可塑性コポリエステルエラストマーのポリマー鎖の単位に適用し、ジカルボン酸を含む長鎖グリコールの反応生成物を意味する。長鎖グリコールは、端末(又は、できる限り端末に近い))ヒドロキシ基を持ち、数平均分子量が約400、好ましくは約600から約6000の高分子グリコールである。有用な長鎖グリコールは通常、アルキレン基が約2から約10の炭素原子を含む、1,2−アルキレン酸化物由来のものを含み、それらの例は、エチレン酸化物、1,2−プロピレン酸化物、1,2−ブチレン酸化物、及び1,2−へキシレン酸化物である。有用な長鎖グリコールは、エチレン酸化物及び1,2−プロピレン酸化物のランダム又はブロック共重合体である。好適な長鎖グリコールは、テトラヒドロフラン由来のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールである。特に関心の高い長鎖グリコールは、数平均分子量が約600から約4000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールである。
【0015】
本明細書に使用されている「ジカルボン酸」は、ジカルボン酸の縮合重合同等物、すなわち、そのエステル、または、酸塩化物、無水物などのエステル形成性誘導体、又はグリコールとの重合反応時に、実質的にジカルボン酸と同等の反応をするほかの誘導体を含む。コポリエステルエラストマー生成に使用される、ジカルボン酸の分子量は、約300未満である。これらは、芳香族、脂肪族、または、脂環式でもよい。これらのジカルボン酸は、重合化反応を阻害しないいずれの置換基を含んでもよい。有用なジカルボン酸の例は、オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、 ビ安息香酸、ビス(p―カルボキシフェニル)メタン、p−オキシ(p−カルボキシフェニル)安息香酸、エチレン ビス(p―オキシ安息香酸)、1,5−ナフタレンジカルボキシ酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、フェナントロリンジカルボン酸、4,4‘―スルホニルジ安息香酸等に加え、C−C10アルキル及びハロ、アルコキシ、又はアリール誘導体などの、他の環置換誘導体である。p(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの、ヒドロキシ酸も、芳香族ジカルボン酸が存在する場合に用いることができる。更なる有用なジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、1,3―または、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキサン―1,2−ジカルボン酸、2,2,3,3−テトラメチルコハク酸などである。好適なジカルボン酸は、炭素原子を8−16含む、芳香族酸、シクロヘキサン―ジカルボン酸、およびアジピン酸である。特に好適なジカルボン酸は、テレフタル酸、及びイソフタル酸、またはその混合物である。混合物の約1重量%から20重量%がイソフタル酸である、テレフタル酸およびイソフタル酸を含む混合物は、曲げ弾性率のより低い生成物を所望する場合に使用してもよい。
【0016】
「短鎖エステル単位」という用語は、ポリマー鎖の単位に適用し、低分子量化合物、又は一般的に分子量約550未満のポリマー鎖を意味する。これらは、低分子量ジオール(分子量約250未満)をジカルボン酸と反応させることにより生成される。反応することにより、コポリエステルエラストマーの短鎖エステル単位を形成する、有用な低分子量ジオールには、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4―ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ジヒドロキシシクロヘキサン、シクロヘキサンジメタノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールAなどのジオールが含まれる。ジオールの同等エステル生成誘導体、たとえばエチレン酸化物、又はプロピレンカーボネートなども有用である。好適なジオールは、ブタンジオール、および1,4−ブテンジオール、又はこの二つの混合物である。そのような好適な混合物は、混合物のうち約10重量%から約40重量%、さらに好ましくは約20重量%から約30重量%が1,4−ブテンジオールからなるものである。
【0017】
前述のコポリエステルエラストマーは、(a)一つ以上のジカルボン酸またはその同等物、(b)一つ以上の長鎖グリコール、及び(c)一つ以上の低分子量ジオールと重合化することにより、生成できる。重合化反応は、例えば、バルク、または、一つ以上のモノマーを溶解した溶剤などの既存の方法で実施できる。結果として生じるセグメント化コポリエステルは、多様性のある、反復長鎖エステル単位と、エステル結合を通じて、頭尾で結合している短鎖エステル単位からなってもよい。長鎖エステル単位は次のような構造で示される:
【化1】

また、短鎖エステル単位は次の構造で示される:
【化2】

ここで、
Gは、少なくとも分子量約600で、約55℃未満の融点の長鎖高分子グリコールの少なくとも一つから、末端ヒドロキシル基から除去した後に、残留している二価の基である。
Rは、テレフタル酸、及びテレフタル酸とイソフタル酸の混合物からなる群から独立して選択された芳香族カルボン酸からカルボキシル基を除去した後に残存している二価の基である。
Dは、短鎖セグメントが、コポリエステルの約25重量%から、約95重量%の間になり、短鎖エステル単位の約50重量%から約100重量%が同一である、少なくとも約65重量%の1,4−ブタンジオールからなる、少なくとも一つの低分子量ジオールからヒドロキシ基を除去した後に残留する二価の基である。とりわけ、1,4−ブタンジオールとテレフタルから得られる短鎖セグメント単位、およびテレフタル酸、及び数平均約600から約4000のポリ(オキシテトラメチレン)グリコールから得られる長鎖セグメントをもつセグメント化ポリエステルである。
【0018】
このような熱可塑性コポリエステルの形成方法は、周知の事項であり、その内容全体を参照によって本願明細書に引用されている、ウィッツィーペ他による、米国特許第3,651,014号、ネルソンによる、同4,355,155号、ゴルダー他による、同5,032,631号、およびゴルダーによる同5,731,380で、詳細に説明されている。ポリテトラヒドロフランよびテトラフタル酸の長鎖エーテルエステル単位、及び1,4−ブタンジオール及びテレフタルさんの短鎖エステル単位からなる、熱可塑性コポリエーテルエステルは、ティコナ・エルエルシー社より、RITEFLEX(R)の名称で市販されている。その他の好適なコポリエステルエラストマーは、イー・アイ・ジュポン・ド・ヌムール・アンド・カンパニー社より、HYTREL(R)の名称で市販されている。
【0019】
また、所望の衝撃吸収量を得るため、必要に応じ、さまざまな衝撃改質剤ポリエステル系樹脂に混合してもよい。そのような衝撃改質剤の例は、その内容全体を参照によって本願明細書に引用されている、ナカムラ他による、米国特許第3,864,428に開示されているような、コアシェルグラフト共重合体を含む。
【0020】
熱可塑性コポリエステルは、安定化されたポリマー組成物の、約85重量%から約99重量%含んでもよい。またある実施例においては、約90重量%から約98重量%、また、別の実施例においては、約92重量%から約97重量%含んでもよい。
II. 安定化システム
【0021】
本発明の安定化システムは、着色可能で、紫外線の照射に安定したコポリエステルの供給を促進するため、光安定剤(例:ヒンダードアミン、ベンゾトリアゾール等)、抗酸化剤(例、立体的障害フェノール、有機リン化合物等)、および第二級アミンの特定の組み合わせを用いる。
A. 光安定剤
i. ヒンダードアミン
【0022】
コポリエステルの劣化を抑制するため、安定化システムに、ヒンダードアミン光安定剤(「HALS(Hindered Amine Light Stabilizing System)」)を用いることができ、よってその耐久性を伸ばす。好適なHALS化合物は、アルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、アルコキシピペリジニル化合物などの、置換ペピリジンから得ることができる。例えば、ヒンダードアミンは、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジニルから得られる。どの化合物から得られたかにかかわらず、ヒンダードアミンは、通常、数平均分子量約1000以上、ある実施例では、約1000から約20,000、またある実施例では、約1500から約15,000、また別の実施例では、約2000から約5000のオリゴマー又はポリマー化合物である。そのような化合物は通常、ポリマー反復単位ごとに少なくとも一つの2,2,6,6−テトラアルキルピペリジニル基(例、1から4)を含んでいる。
【0023】
論理に限定されることなく、高分子量ヒンダードアミンは比較的熱安定であり、よって、押出条件にさらされた後でさえも光劣化を抑制できる。特に好適な高分子量ヒンダードアミンの一つは次の一般的構造からなる:
【化3】

ここで、pは、4から30で、ある実施例では、4から20、また別の実施例では4から10である。このオリゴマー化合物は、クラリアント社よりHostavin(R) N30の名称で市販されており、その数平均分子量は1200である。
【0024】
別の好適な高分子量ヒンダードアミンは以下の一般構造からなる:
【化4】

ここで、nは1から4で、R30は、独立水素又はCHである。このようなオリゴマー化合物は、アデカ・パルマロールSASより(アデカ社とパルマロール社による共同事業)、ADK STAB(R) LA−63(R30はCH)及びADK STAB(R) LA−68(R30は水素)の名称で市販されている。
【0025】
その他の好適な高分子量ヒンダードアミンの例としては、次のものが含まれる。例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノルとコハク酸(チバ・スペシャルティ・ケミカル社のTinuvin(R)622、MW=4000)のオリゴマー、シアヌル酸及びN,N−ジ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレンジアミンのオリゴマー、ポリ((6−モルホリン−S−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノヘキサメチレン)−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノ)(サイテック社のCyasorb(R) UV3346、MW=1600)、ポリメチルプロピル−3−オキシ−[4(2,2,6,6−テトラメチル)−ピペリジニル)シロキサン(グレートレイクスケミカル社のUvasil(R)299、MW=1100から2500)、α−メチルスチレン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)マレイミドおよび、N−ステアリルマレイミドの共重合体、および1,2,3,4−ブタンテトラ、カルボキシ酸を含む、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールテトラメチルポリマーなどである。また、その他の好適な高分子量ヒンダードアミンは、マリック他による、米国特許第5,679,733号、及びサッシ他による、同6,414,155号に記載されており、その内容全体を参照によって本願明細書に引用されている。
【0026】
高分子ヒンダードアミンに加え、低分子量ヒンダードアミンも本発明の安定化システムに用いることができる。そのようなヒンダードアミンは一般的に単量体の性質があり、その分子量は約1000以下であり、ある実施例においては、約155から約800、また別の実施例では約300から約800である。組成物a)とb)の割合は、1:1から1:20であることが好ましく、1:1から1:10であることがより好ましく、また、1:2から1:9、特に約1:4であることが最も好ましい。
【0027】
そのような低分子量ヒンダードアミンの具体例には、次のものを含んでもよい。例えば、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシン酸(チバ・スペシャルティ・ケミカル社のTinuvin(R)770、MW=481)、ビス−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−(3,5−ジTertブチル−4−ヒドロキシベンジル)ブチル−プロパンジオアート、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバシン酸、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ−(4,5)−デカン−2,4−ジオン、ブタ2酸−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)エステル、テトラキス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボシキレート、7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ(5.1.11.2)ヘネイコサン−20−プロパン酸、2,2,4,4−テトラメチル−21−オソ,ドデシルエステル、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−N‘−アミノ−オキサミド、o−t−アミル−o−(1,2,2,6,6、−ペンタメチル−4−ピペリジニル)―モノペロキシ−炭酸塩、β−アラミン,N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル),ドデシルエステル、エタンジアミド,N−(1−アセチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)−N’−ドデシル、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ピロロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−ピロリジン−2,5−ジオン、3−ドデシル−1−(1−アセチル,2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ピロリジン2,5−ジオン、(クラリアント社のSanduvar(R)3058、MW=448.7)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルペピリジン、1−[2−(3,5−ジ−tert―ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニルオキシ)エチル]−4−(3,5―ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピニルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン、2−メチル−2−(2“,2”,6“,6”−テトラメチル−4“−ピペリジニルアミノ)−N−(2‘,2’,6‘,6’−テトラ−メチル−4‘−ピペリジニル)プロピオニルアミド、1,2−ビス−(3,3,5,5―テトラメチル−2―オソ−ピペラジニル)エタン、4−オレオイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及びそれらの組み合わせでもよい。その他の好適な低分子量ヒンダードアミンがマリック他による米国特許第5,679,733号で述べられている。
【0028】
ヒンダードアミンは、所望の性質を得るために単数で、又はいずれの量の組み合わせて用いることができるが、通常安定化されたポリマー組成物の約0.1重量%から約4重量%、ある実施例では約0.2重量%から約2重量%、また別の実施例では、約0.25重量%から約1重量%からなる。
ii.紫外線吸収剤
【0029】
紫外線エネルギーを吸収するため、ベンゾトリアゾールまたは、ベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤を用いることができる。好適なベンゾトリアゾールには、次のもの含んでいてもよい。例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどの、2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(サイテック社のCyasorb(R) UV 5411)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾ−トリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−tert−オクチル−6−ベンゾ−トリアゾールフェノール)、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−カルボキシフェニル)ベンゾトリアゾールのポリエチレングリコールエステル、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−アクリルオイルオキシエチル)−5−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリオイルオキシエチル)−5−tert−ブチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリルオイルオキシエチル)−5−tert−オクチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(2−メタクリルオイルオキシメチル)−5−tert−ブチルフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−5−(2−メタクリルオイルオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(2−メタクリルオイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−tert−アミル−5−(2−メタクリルオイルオキシエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−(3−メタクリルオイルオキシプロピル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−4−(2−メタクリルオイルオキシメチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリルオイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリルオイルオキシプロピル)フェニル]ベンゾトリアゾール、及びそれらの組み合わせでもよい。
【0030】
例示的なベンゾフェノン光安定剤も同様に、2−ヒドロキシ−4−ドデシクルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−(4−ベンゾイル−3ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート(サイテック社のCyasorb(R) UV209)、2−ヒドロキシ−4−n−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(サイテック社のCyasorb(R) 531)、2−2‘−ジヒドロキシ−4−(オクチルオキシ)ベンゾフェノン(サイテック社のCyasorb(R) UV314)、ヘキサデシル−3,5−ビス−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート(サイテック社のCyasorb(R) UV2908)、2,2‘−チオビス(4−tert−オクチルフェノラト)−n−ブチルアミンニッケル(II)(サイテック社のCyasorb(R) UV1084)、3,5−ジ−tert−ブチル−4―ヒロドキシ安息香酸,(2,4,−ジ−tert−ブチルフェニル)エステル(サイテック社のCyasorb(R) UV712)、4,4’−ジメチルオキシ−2,2‘−ジヒドロキシベンゾフェノン(サイテック社のCyasorb(R) UV12)およびそれらの組み合わせでもよい。
【0031】
紫外線吸収剤が用いられる場合、紫外線吸収剤は、安定化されたポリマー組成物全体の、約0.1重量%から約4重量%含んでもよい。またある実施例においては、約0.2重量%から約2重量%、また、別の実施例においては、約0.25重量%から約1重量%含んでもよい。
B.抗酸化剤
立体障害フェノール
【0032】
安定化システムに、立体障害性フェノール系抗酸化剤を用いてもよい。そのような、フェノール系抗酸化剤の例としては、次のものを含む。例えば、カルシウムビス(エチル3,5−ジ−tert―ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸塩)(Irganox(R)1425)、テレフタル酸,1,4,−ジチオ−,S,S−ビス−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)エステル(Cyanox(R)1729)、トリエチレングリコールビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルヒドロシナメイト)、ヘキサメチレンビス(3,5,ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナメート(Irganox(R)259)、1,2−ビス(3,5,ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナモイル)ヒドラジド(Irganox(R)1024)、4,4‘−ジ−tert−オクチルジフェンアミン(Naugalube(R)438R)、ホスホン酸(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシベンジル)−,ジオクタデシルエステル(Irganox(R)1093)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3’,5‘−ジ−tert−ブチル−4’ヒドロキシベンジル)ベンゼン(Irganox(R)1330)、2,4−ビス(オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン(Irganox(R)565)、イソオクチル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(R)1135)、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(Irganox(R)1076)、3,7−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−10H−フェノチアジン(Irganox(R)LO3)、2,2‘−メチルエネビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)モノアクリレート(Irganox(R)3052)、2−tert−ブチル−6−[1−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エチル]−4−メチルフェニルアクリレート(Sumilizer(R)(TM) 4039)、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート(Sumilizer(R)GS)、1,3−ジヒドロ−2H−ベンジミダゾール(Sumilizer(R)MB)、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノル(Irganox(R)1520)、N,N’−トリメチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド(Irganox(R)1019)、4−n−オクタデシルオキシ−2,6−ジフェニルフェノール(Irganox(R)1063)、2,2‘−エチリデンビス[4,6−ジ−tert−ブチルフェノール] (Irganox(R)129)、N N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸アミド(Irganox(R)1098)、ジエチル(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ホスホン酸塩 (Irganox(R)1222)、4,4‘−ジ−tert−オクチルジフェニルアミン (Irganox(R)5057)、N−フェニル−1−ナフタレンアミン (Irganox(R)L 05)、トリス[2−tert−ブチル−4−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニルチオ)−5−メチルフェニル]フォスファイト(Hostanox(R)OSP1)、ジンクジノニジチオカーバーメート(Hostanox(R)VP−ZNCS 1)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(Sumilizer(R)AG80、テトラキス[メチレン−(3,5−ジ−tertブチル−4−ヒドロキシシナメイト)]メタン(Irganox(R)1010)、及びエチレン−ビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トルイル)−プロピネート(Irganox(R)245)等である。
【0033】
本発明の安定化システムに使用される、特に好適な立体的障害フェノール系抗酸化剤は、トリアジン抗酸化剤で、次の一般的公式で示される:
【化5】

ここで、各Rは、独立したフェノール基であり、CからCアルキルまたは、エステル置換基を介してトリアジン環に結合してもよい。各Rは、次の化学式(I)から(III)のいずれかであることが好ましい:
【化6】

【0034】
当該トリアジン系抗酸化剤の市販例は、アメリカンシアナミド社の商品名Cyanox(R)1790(ここで、各R基は式IIIによって示される)、及びチバ・スペシャルティ・ケミカル社の商品名Irganox(R)3114(ここで、各R基は式Iによって示される)、及びIrganox(R)3125(ここで、各R基は式IIによって示される)から得られる。
例えば、Irganox(R)3125は、特に安定化システムへの使用に適しており、1,3,5−トリス(ヒドロキシエチル)−s−トリアジン−2,4,6(1H, 3H, 5H)トリオンを含む、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロ桂皮酸トリエステルとしても知られている。
【0035】
立体的障害フェノール抗酸化剤は、安定化されたポリマー組成物全体の、約0.1重量%から約3重量%をなしても良く、ある実施例においては、約0.2重量%から約2重量%、また、別の実施例においては、約0.5重量%から約1.5重量%をなしてもよい。
【0036】
ii 有機リン化合物
過酸化物と、ヒドロペロキサイドを、安定した、非ラジカル生成物に分解する、二次抗酸化剤としての機能する、有機リン化合物も安定化システムに用いることができる。三価有機化合物(例、フォスファイト、又はフォスホナイト)は、本発明の安定化システムに特に有用である。一リン酸化合物(すなわち、1分子に1リン原子のみ)は、本発明の一部の実施例に用いることができる。好適なモノフォスファイトは、少なくとも一つのアリールオキシド基に、CからC10アルキル置換基を含む、アリールモノフォスファイトである。これらの置換基は、直線(ノニル置換基の場合のように)または、分岐(イソプロピルまたは、ターシャリブチル置換基の場合のように)でもよい。アリールモノフォスファイト(又はモノフォスフォナイト)の非制限的な例には、トリフェニルフォスファイト、ジフェニルアルキルフォスファイト、フェニルジアルキルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト(GEスペシャルティーケミカル社から市販されている、Weston(TM)399)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカル社から市販されている、Irgafos(R)168)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチルフォスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカル社から市販されている、Irgafos(R)38)、及び2,2’2’’−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2‘−ジイル)フォスフェート(チバ・スペシャルティ・ケミカル社から市販されている、Irgafos(R)12)を含んでも良い。アリールジフォスファイト又はジフォスフォナイト(すなわち、少なくとも二つのリン原子をフォスファイト分子ごとに含む)も安定化システムに用いても良い。また、例えば次のものを含んでも良い:ジステアリルペンタエリルチリトールジフォスファイト、ジイソデシルペンタエリチリトールジフォスファイト、ビス(2,4ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリルチリトール、ジフォスファイト(GEスペシャルティーケミカルから市販されているUltranox(TM)626)、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルペニル)ペンタエリチリトールジフォスファイト、ビスイソデシルオキシペンタエリチリトールジフォスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリチリトールジフォスファイト、ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリチリトールジフォスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4’−ビフェニレン−ジフォスフォナイト(クラリアントから市販されている、Sandostab(TM) P−EPQ)及びビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリチリトールジフォスファイト(Doverphos(R) S−9228)。
【0037】
有機リン化合物は、安定化されたポリマー組成物全体の、約0.1重量%から約2重量%を構成しても良く、ある実施例においては、約0.2重量%から約1重量%、また、別の実施例においては、約0.25重量%から約0.5重量%を構成してもよい。
【0038】
C.第二級アミン
上述のものに加え、第二級アミンも安定化システムに用いることができる。第二級アミンは、N−フェニルナフチルアミン(例、ユニロイヤル・ケミカル社の、Naugard(R) PAN)、4,4‘−ビス(ジメチルベンジル)−ジフェニルアミン(例、ユニロイヤル・ケミカル社のNaugard(R) 445)などの、ジフェニルアミン、p−フェニレンジアミン(例、グッドイヤー社のWingstay(R) 300)、キノレン等の、芳香族性でもよい。特に好適な第二級アミンは、ホモ−または、共重合ポリアミドなどの、オリゴマーまたはポリマーアミンである。このようなポリアミドの例には、ナイロン3(ポリ−β−アラニン)、ナイロン6、ナイロン10、ナイロン12、ナイロン6/6、ナイロン6/9、ナイロン6/10、ナイロン6/11、ナイロン6/12、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルアミドなどを含んでも良い。具体的な一実施例では、アミンは、融点が120℃から、220℃の範囲のポリアミドターポリマーである。好適なターポリマーは、ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン6/9、ナイロン6/10及びナイロン6/12からなる群より選ばれるナイロンに基づき、また、ナイロン6−66−69、ナイロン6−66−610及びナイロン6−66−612を含んでも良い。このようなナイロンターポリマーの一例としては、ナイロン6−66−610のターポリマーで、デュポン・デ・ニューマー社より、Elvamid(R) 8063Rとして市販されている。また、好適なアミン化合物は、米国特許公開公報2003/0060529号、ホー他に記載されており、その内容全体を参照によって本願明細書に引用されている。
【0039】
第二級アミンは、安定化されたポリマー組成全体の、約0.1重量%から約2重量%を構成しても良く、ある実施例においては、約0.2重量%から約1重量%、また、別の実施例においては、約0.3重量%から約0.6重量%を構成してもよい。
【0040】
D.その他の安定剤
必要に応じ、金属不活性剤、酸安定剤、他の光安定剤(例、ベンゾフェノン)、または抗酸化剤などの、その他公知の安定剤も安定化システムに利用してもよい。例えば、酸安定剤は、酸性触媒、又はポリマー中に存在する他の成分の中和を助けることがある。好適な酸安定剤には、酸化亜鉛、乳酸カルシウム、天然、および人工のハイドロタルサイト、天然、及び人工ハイドロカルマイト、及びアルカリ金属塩、及びステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、及びパルミウム酸カリウム等の高級脂肪酸のアルカリ土類金属塩、などを含んでもよい。そのような酸安定剤が用いられた場合、通常ポリマー組成物の約1.5重量%以下を構成し、またある実施例では、約1重量%以下、及びまたある実施例では、約0.1重量%から約0.5重量%を構成する。
【0041】
III.潤滑剤
安定化システムに加え、本発明の熱可塑性コポリエステル組成物は、安定化されたポリマー組成物の約0.5重量%から約10重量%を構成する、ある実施例では約0.75重量%から約8重量%、またある実施例では約1重量%から約5重量%を構成する、潤滑剤も含む。潤滑剤は、炭素原子22から28、またある実施例では、24から36の鎖長を持つ脂肪酸由来の脂肪酸塩から生成される。このような脂肪酸の例には、モンタン酸(オクタコサン酸)、アラキジン酸(アラキン酸、イコサン酸(icosanic acid)、イコサン酸(icosanoic acid)、n−イコサン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ベヘン酸(ドコサン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、メリシン酸(トリアコンタン酸)、エルカ酸、セトレイン酸、ブラジシン酸、セラコレン酸、ネルボン酸等の、長鎖脂肪族脂肪酸を含んでもよい。例えばモンタン酸は、28原子の脂肪族炭素鎖をもち、アラキジン酸は、20原子の脂肪族炭素鎖をもつ。脂肪酸によって与えられた長炭素鎖により、潤滑剤は高熱可塑性と、低揮発度を持つ。これは、所望の品(例、モノフィラメント)を生成する間に、内部、又は外部摩擦を低減するため、潤滑剤が、機能し続けることを可能にし、それにより機械的/化学的影響による材料の劣化を低減する。
【0042】
必要により、脂肪酸塩は、余剰のカルボキシ酸を中和し、金属塩を精製するため、脂肪酸ワックスの鹸化により生成してもよい。鹸化は、アルカリ金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム)又は、アルカリ土類金属水酸化物(例、水酸化カルシウム)などの、金属水酸化物で発生し得る。得られる脂肪酸塩は通常、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、リチウム等)、又はアルカリ土類金属(例、カルシウム、マグネシウム等)を含む。これらの脂肪酸塩は一般的に、酸価(ASTM D 1386)が20mgKOH/g以下であり、ある実施例では、18mg KOH/g以下であり、またある実施例では、約1から15mg KOH/gである。本発明への使用に特に好適な脂肪酸塩は、直鎖、鎖長がC28−C32の範囲にある、非分岐モノカルボキシ酸を含む、粗モンタンワックスから抽出される。このようなモンタン酸塩は、クラリアントGmbH社からLicomont(R)CaV 102(長鎖、線状モンタン酸のカルシウム塩)、Licomont(R)NaV 101(長鎖、線状モンタン酸のナトリウム塩)の名称で市販されている。
【0043】
必要に応じて、脂肪酸塩と組み合わせて脂肪酸エステルを使用しても良い。使用される場合、塩対エステルのモル比は通常約1:1以上であり、ある実施例では、約1:5以上、またある実施例では約2:1以上である。脂肪酸エステルは、粗自然ワックスを酸化漂白し、その後、アルコールで脂肪酸をエステル化することにより得てもよい。前記アルコールは、通常1−4ヒドロキシ基および炭素原子を2から20を含む。前記アルコールが多機能性の場合(例、2−4ヒドロキシ基)、炭素原子数2から8が特に好ましい。特に好適な多機能性アルコールは、2価アルコール(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及び1,4−シクロヘキサンジオール)、三価アルコール(例、グリセロール及びトリメチルプロパン)、四価アルコール(ペンタエリチリトールおよびエリチリトール)などを含んでも良い。o−、m−およびp−トリルカルビノール、クロロベンジルアルコール、ブロモベンジルアルコール、2,4−ジメチルベンジルアルコール、3,5−ジメチルベンジルアルコール、2,3,5−クモベンジルアルコール、3,4,5−トリメチルベンジルアルコール、p−クミニルアルコール、1,2−フタリルアルコール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)ベンジン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)ベンゼン、スドークメニルグリコール、およびメシチレングリコールなどの、芳香族アルコールもまた好適である。本発明に特に好適に使用される脂肪酸エステルは、モンタンワックスから得られる。例えば、Licowax(R) OP(クラリアント)は、ブチルグリコールから部分的にエステル化されたモンタン酸と、水酸化カルシウムで部分的にけん化されたモンタン酸を含む。よって、リコワックス(R)OPはモンタン酸エステルと、モンタン酸カルシウムの混合物を含む。そのほかのモンタン酸で、使用可能なものにはLicowax(R) E、Licowax(R) OP、Licowax(R) WE4(すべてクラリアント社)を含み、たとえば、粗モンタンワックスを酸化精製する際に副産物として得られたモンタンエステルである。Licowax(R) EおよびLicowax(R) WE4はエチレングリコールまたはグリセリンでエステル化されたモンタン酸を含む。また別の好適なモンタンワックス誘導体は、米国特許第5,096,951号と、米国特許公開公報第2007/0073007、2006/0100330、および2004/0254280に開示されているものでよく、これらすべての内容全体を参照によって本願明細書に引用されている。
【0044】
本発明の潤滑剤にその他の公知のワックスを用いても良い。例えば、脂肪酸と2から18、特に2−8の炭素原子をもつモノアミン又はジアミン(例、エチレンジアミン)との反応により生成された、アミドワックスを用いても良い。例えば、エチレンジアミンと脂肪酸ワックスのアミノ化反応により形成された、エチレンビスアミドワックスを用いても良い。脂肪酸は、エチレンビスステアラミドワックスを形成するため、ステアリン酸(C18脂肪酸)からなど、C12からC30の範囲あってもよい。エチレンビスステアラミドワックスは、ロンザ社からAcrawax(R) Cの商品名で市販されており、離散溶解温度は142℃である。その他のエチレンビスアミドには、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、オレオステアリン酸、ミリスチン酸、及びウンデカリン酸からなるビスアミドを含む。更なるその他の好適なアミドワックスは、N−(2−ヒドロキシエチル)12−ヒドロキシステアラミド及びN,N’−(エチレンビス)12−ヒドロキシステアラミドで、ルサフォードケミカルLLC社の一部門である、キャスケムより、それぞれParicin(R) 220およびParicin(R)285の名称で市販されている。
IV.熱可塑性品
【0045】
本発明の安定化された熱可塑性コポリエステルは、公知の技術を用いて、さまざまな異なる熱可塑性品に形成しても良い。コポリエステルと混合する前に、安定化システムの添加剤、及び/又は潤滑剤を一緒に混ぜ合わせても良い。又は、添加物を別にコポリエステルと混合しても良い。ヘンシェルミキサー(R)での乾式混合した後、射出成形、又はブロー成形、カレンダリング、押出、溶解ブロー、スピニングなどの組成物の溶解処理をするなど、いずれの公知の混合技術を用いてもよい。本発明において形成することのできる溶解加工品には、シート、フィルム、ファイバー、フィラメント、など周知のものを含む。例えば熱可塑性モノフィラメントは、通常の生産法による、メリヤス生地、織物、又は、座席用(例、自動車、バス、電車、飛行機等)の裏地などの生地を生産する、不織ウェブ、および寝具などでも良い。例えば一実施例において、ワープニット織物は、一以上の直径の織物用モノフィラメント単独で、又は一種類以上の多繊維糸(毛糸)により生成しても良い。モノフィラメントは通常、一方向に位置し、一方毛糸はモノフィラメントと垂直な方向に位置する。このような裏地は、標準の織物、編物技術を使用して作ることができる。その他の好適なモノフィラメント構造は、デイリー他のよる米国特許第5,985,961号に開示されており、その全体を参照することによって、本明細書に引用されている。
【0046】
用いられた形態にかかわらず、安定化されたコポリエステルからの生成品は、風化の後でもその色と機械的特性を維持することができる。例えば、本発明の熱可塑性コポリエステル樹脂から形成されたモノフィラメントは、約85%から150%を老化後破断時伸び(すなわち、試験法SAE J1960にしたがい、2000kJ/mにおいてキセノンアークに露出後)がみられることがある。ある実施例では、老化後破断時伸びは約87%から145%、またある実施例では、約90%から130%である。また、3000kJ/mでの露出後にもこのような特性を得ることができる。また、本発明者は、このように良好な機械的特性は、厚さ(例、半径)約10から約2000マイクロメーター、またある実施例では、約100から約1000マイクロメートル、及びまたはある実施例では約300から約800マイクロメートルなどの薄い品についても得られることを発見した。
【0047】
本発明は、次の実施例を参照することにより、より良く理解できる。
実施例
使用添加物
【0048】
本実施例では、以下の添加剤が用いられた。
【表1】

試験法
【0049】
本実施例において以下の試験法を用いた。
加速風化試験:
ソサエティーオブオートモーティブエンジニア発行の標準試験法SAE J1960に従い加速風化が実施された。より具体的には、クオーツ内部フィルターと、ボロシリケート外部フィルターを搭載した照射制御水冷式キセノンアーク装置(促進日光)を、
250kJ/m、500kJ/m、1,000kJ/m、1500kJ/m、2000KJ/m、2500kJ/m、又は3000kJ/mで、風化サンプルに使用された。
【0050】
引張強度:
射出成形サンプルにはASTM D638(ISO 527)、モノフィラメントサンプルにはASTM D2256を使用し、引張強度および、切断時伸びの測定を行った。露出後の実際の値または、露出後の特性保持を未露出の値との割合として示され報告された。すなわち、特性維持は、露出後の値を未露出の値で割り、100を掛けることにより計算される。サンプルは室温条件で試験した。
比較例1
【0051】
熱可塑性コポリエステルエーテルエラストマー(ティコナ・エルエルシー社のRiteflex(R))とさまざまな光安定剤を組み合わせてサンプルを生成した。サンプルは上述の加速風化(1000kJ/mまで)にさらし、その後ひび割れ(微小亀裂)の試験を行った。結果は以下の通りである。
【表2】

【0052】
上述のように、サンプルA−2には、ひび割れ又は目に見える変色はみられなかった。サンプルA−2はモノフィラメント押出のため、三色で準備された。全色とも、500kJ/mの試験以降、切断時伸び要件を満たさなかった。
比較例2
【0053】
実施例1のサンプル(すなわちサンプルA−2)に、さまざまな抗酸化剤を組み合わせた。小さな引張バー(1BA、幅2mm)を成形し、上述の加速風化にさらし(2000kJ/m)、その後、引張特性(伸び保持、破壊時引張)、ひび割れ(微小亀裂の形成)、及び変色の試験をした。その結果は以下の通りである。
【表3】


【表4】

【表5】

【0054】
ここで示されたように、成形試料(厚さ2mm)は、2000kJ/m以降、切断時伸び保持に違いがなかった。
比較例3
【0055】
実施例2のサンプルと、さまざまな潤滑剤を組み合わせた。この実験では、サンプルは実験モノフィラメント装置から押し出され、より薄い部分が形成された。この押出物は、モノフィラメントと同様の厚さを得るため、装置から引き出された。モノフィラメントサンプルを、上述の加速風化にさらし、その後引っ張り強度(伸び保持)の試験をした。結果は以下の通りである:
【表6】

【0056】
全サンプルが、切断時伸び保持要件を満たさなかったことから、わずか250kJ/mで試験は終了した。
比較例4
【0057】
実施例2のサンプルと、さまざまな潤滑剤を組み合わせた。実施例3と同様に、サンプルは実験モノフィラメント装置から押し出し、より薄い部分が形成した。この押出物は、モノフィラメントと同様の厚さを得るため、装置から引き出した。モノフィラメントサンプルを、上述の加速風化にさらし、その後引っ張り強度(破壊時伸び、伸び保持)の試験をした。結果は以下の通りである:
【表7】

【0058】
潤滑剤を含むサンプルのいずれも、所望の破談時伸び保持に達しなかった。
【0059】
実施例1
さまざまな色で本発明のサンプルと、比較サンプルを準備し、商業的押出工程を用いて、モノフィラメントを形成した。サンプルを上述の加速風化にさらし、その後引張強度(伸び保持)の試験をした。結果は以下の通りである。
【表8】

【0060】
本明細書に具体的な実施例について、本発明の詳細が説明される一方で、当業者が前述の事項を理解することにより、これら実施例の変更、修正および同等物を可能であると理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の請求項及びそれと同等のものから評価されるべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性コポリエステル、
光安定剤、
抗酸化剤、
第二級アミン、及び
炭素原子22から38の鎖長をもつ脂肪酸の金属塩を含む潤滑剤、
を含む安定化されたポリエステル組成物であり、
前記潤滑剤が、前記組成物の約0.5重量%から約10重量%を構成する、安定化されたポリエステル生成物。
【請求項2】
前記脂肪酸が炭素原子24から36の鎖長である、請求項1に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項3】
前記塩の酸価が約1から約15mgKOH/gである、請求項1または2に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項4】
前記脂肪酸はモンタン酸である、上記いずれかの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項5】
前記金属塩は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの組み合わせを含む、上記いずれの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項6】
前記金属塩は、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、又はそれらの組み合わせを含む、請求項5に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項7】
前記潤滑剤が、モンタン酸のナトリウム塩、モンタン酸のカルシウム塩、又はそれらの組み合わせを含む、請求項5記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項8】
前記潤滑剤は、さらに脂肪酸エステルを含む、前記塩と前記エステルのモル比が約1:1以上である、上記いずれの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項9】
前記潤滑剤は、前記組成物の約1重量%から、約5重量%を構成する、上記いずれの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項10】
前記コポリエステルが、コポリエステルエーテルエステルである、上記いずれかの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項11】
前記熱可塑性ポリエステルが、前記組成物の約85重量%から、約99重量%を構成する、上記いずれかの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項12】
前記光安定剤が、オリゴマーヒンダードアミン、ポリマーヒンダードアミン、またはその両方を含む、上記いずれかの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項13】
前記光安定剤が、数平均分子量1000以上のヒンダードアミンを含む、請求項12に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項14】
前記光安定剤が、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン由来のヒンダードアミンを含む、請求項12に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項15】
前記オリゴマーヒンダードアミンは、下記の構造からなる、請求項12記載の安定化されたポリエステル組成物。
【化7】

ここで、pは、4から30である。
【請求項16】
前記オリゴマーヒンダードアミンは、下記の構造からなる、請求項12記載の安定化されたポリエステル組成物。
【化8】

ここで、nは、1から4、また、R30は、水素、又はCH
【請求項17】
前記光安定剤は、さらにベンゾチアゾールを含む、請求項12記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項18】
前記抗酸化剤は、立体障害フェノールを含む、上記請求項のいずれに記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項19】
前記立体障害フェノールは、以下の構造からなるトリアジン化合物を含む、請求項18記載の安定化されたポリエステル組成物。
【化9】

ここで、各Rは独立したフェノール基であり、CからCアルキル又はエステル置換基を通してトリアジン環に結合しても良い。
【請求項20】
Rは、以下の構造をもつ、請求項19に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【化10】

【請求項21】
前記抗酸化剤は、さらに有機リンを含む、請求項19記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項22】
前記有機リン化合物が、アリールジフォスファイト、アリールジフォスホナイト、またはそれらの組み合わせである、請求項21記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項23】
前記有機リン化合物が、ビス(2,4,6−トリ−Tert―ブチルフェニル)ペンタエリチリトルジフォスファイト、テトラキス(2,4,−ジ−tert−ブチルフェニル)4,4‘−ジフェニレン−ジフォスフォナイト、またはそれらの組み合わせである、請求項22に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項24】
前記第二級アミンは、オリゴマー第二級アミン、ポリマー第二級アミン、またはそれらの組み合わせである、上記いずれかの請求項に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項25】
前記ポリマー第二級アミンは、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルアミド、またはそれらの組み合わせである、請求項24記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項26】
前記ポリマーアミンは、ポリアミドターポリマーである、請求項25に記載の安定化されたポリエステル組成物。
【請求項27】
前記いずれかの請求項に記載された安定化されたポリエステル組成物から形成された熱可塑性品であり、試験法SAE J1960に従い、2000kJ/mにおいてキセノンアーク露出後、破断時伸びが未露出破断時伸びの約85%から、約150%を示す熱可塑性品。
【請求項28】
前記熱可塑性品は、試験法SAE J1960に従い、2000kJ/mにおいてキセノンアーク露出後、破断時伸びが未露出破断時伸びの約90%から、約130%を示す請求項27記載の前記熱可塑性品。
【請求項29】
前記熱可塑性品の厚さが、約10マイクロメートルから約2000マイクロメートルである、請求項27、または28に記載の熱可塑性品。
【請求項30】
前記熱可塑性品の厚さが、約100マイクロメートルから約1000マイクロメートルである、請求項27、または28に記載の熱可塑性品。
【請求項31】
前記熱可塑性品は、フィルム、シート、繊維、またはフィラメントである、請求項27から30のいずれかに記載の熱可塑性品。
【請求項32】
前記熱可塑性品が、モノフィラメントである、請求項31に記載の熱可塑性品。


【公表番号】特表2010−533771(P2010−533771A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517044(P2010−517044)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/066875
【国際公開番号】WO2009/012003
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(500100822)ティコナ・エルエルシー (19)
【Fターム(参考)】