説明

安定化ペプチド

【解決手段】従って、本発明は、螺旋の制約を非常に融通の利く方策によって構築することができる構成部分を提示するものである。部分的に関与するペプチド結合は、ジスルフィド結合の疎水性を補うが、ジスルフィド結合もまた制約の方策に含まれる。従って、本発明は、アミド結合、またはジスルフィド結合の閉鎖が、制約の閉鎖の代案として使用することができる手段によって、解決策を提示するものである。これにより、より適応性が高い合成法が提供される。さらにペプチド結合は、ジスルフィド架橋単独より疎水性が大きく、水性環境における製品の溶解性により優れるという利点を提供する。螺旋の制約構造に、グリコシル部分、ポリエチレングリコール等の溶媒和タグまたは他の好適な延長部分または追加部分を接着することが可能である。通常、このような疎水性の螺旋の制約構造は、2つの疎水性アミノ酸側鎖と置換し、従って分子の薬理学的特性を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多くの自然発生タンパク質の構造の共通原則は、螺旋領域の存在である。通常、タンパク質のこのような螺旋部分は、20〜30個のアミノ酸残基を含んでおり、タンパク質の二次構造の典型的要素である。このようなタンパク質の代表例は、インターロイキン2(マジェウスキ(Majewski),1996)、インターロイキン4(グストキナ(Gustchina),ズダノフ(Zdanov)ら,1995;グストキナ,ズダノフら,1997)及びインターロイキン6(ゾマーズ(Somers),シュタール(Stahl)ら,1997)等のサイトカインであるが、その他エリスロポエチン等も、螺旋の部分構造を含んでおり(シトコウスキ(Sytkowski)及びグロッドベルグ(Grodberg),1997)、通常、サイトカイン/受容体相互作用に関与する。このようなタンパク質において、螺旋はしばしば疎水性コアの周囲に集り、疎水性コアに向かって疎水性アミノ酸残基が突き出る。このコアの周囲で、螺旋は三次構造を形成するが、この三次構造としては、「ロイシンジッパー」とも呼ばれるタイプのコイルドコイル相互作用が代表的である(ヴィエス(Vieth),コリンスキ(Kolinski)ら,1994)。この全体的な構造的原則によれば、このような螺旋の束状のサイトカインは、接触表面を分子の外側に突き出し、一方、疎水性コアは、安定なアンカーを形成し、その周囲に螺旋のサブドメインが集まる。このように周囲の水性溶媒の表面張力が力の源であり、最終的に疎水性コアの周囲の螺旋部分を安定化する。
【0002】
このような螺旋の束状型のサイトカインの結合領域は、分子の興味深い部分であり、20〜30個のアミノ酸配列を取って、分子のこの部分を単独で用いて受容体に結合させることは興味深い(テーゼ(Theze),エッチェンベルグ(Eckenberg)ら,1999)。このことは、最小化したサイトカインまたはサイトカイン拮抗剤に対する、拮抗的または作動的アプローチの両方を目的とし、それらに好適であろう。さらに、このような短い配列(stretches)は、メリフィールド型の古典的な化学的固相ペプチド合成によって、比較的複雑でない方法で得ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、より小さなペプチドへ縮小することにより、上述の構造的原則から外れ、30個のアミノ酸からなる短いペプチドは、水溶液中では部分的にのみ螺旋状である(テーゼ(Theze),エッチェンベルグ(Eckenberg)ら,1999)。疎水性の側鎖は、完全なサイトカインのかつてのコア部分に向かって突き出ていたが、縮小後は水性環境に突き出ており、水性環境は螺旋の不安定化要因であって、このような分子を不規則なクラスター中で凝集させる傾向をもたらす。このようなクラスターは、いくらかの残存活性を有しているかもしれないが、このことは単に不規則な配位子/受容体相互作用によることもあり、この相互作用は自然型の相互作用とは異なるものである(テーゼ,エッチェンベルグら,1999;エッチェンベルグ,ローゼ(Rose)ら,2000)。螺旋構造は、受容体分子への結合に必要であるが、上述のように水中で安定ではない。円偏光二色性によって測定される全体のヘリックス含量は、しばしば50%未満である。このことは、分子の50%が完全に螺旋であることを全く意味しないが、平均の全体の螺旋相互作用が50%であることを示す。充分な結合に必要な、完全に螺旋状である分子の有効濃度は知られておらず、見かけのモル濃度の50%よりかなり少ないことが明らかである。これら全ての理由により、ある受容体への小さなペプチドの結合定数は、分子の配列同一の下位部分を意味する(harbour)かもしれないが、通常、サイトカイン受容体相互作用と定性的にも定量的にも一致しない。
【0004】
タンパク質、例えばサイトカインからの螺旋構造の単離のためには、大きな疎水性コアの周囲に集合させる以外の方法によって、螺旋の安定化の問題を解決しなければならない。
【0005】
α−螺旋形のペプチドを安定化するためのいくつかのアプローチが報告されている。安定化は、トリフルオロエタノールまたはヘキサフルオロイソプロパノールの添加によって達成することができる(スング(Sung)及びウー(Wu),1996)。金属キレート、塩橋の取り込み、及び疎水性相互作用等の、種々の非共有結合による側鎖の制約が報告されている。しかしながら、非共有結合による方策には、多数の不利な点がある:
【0006】
トリフルオロエタノールまたはヘキサフルオロイソプロパノール等の溶媒は、ヘリックス含量を増加させるが、医薬製剤に使用することはできず、インビボでは充分な濃度が存在しないことが明らかである。
【0007】
金属キレート及び塩橋は、非常に大きな極性基を誘導し、小さなペプチドの場合、この極性基は、ある分子の薬物動態学的特性と同様、受容体への結合に負の影響を与えると思われる。金属キレートの場合、非毒性金属のみ、医薬として適切な製剤に使用することができる。
【0008】
疎水性相互作用は、制御が難しい。通常、不規則な凝集や、望まれない分子間相互作用が問題となり、これらの問題は複合体の形成及び製剤化の後に利用可能な有効成分の多大な損失を引き起こす。時に、強い洗浄剤及び/または有機溶媒の使用のみが凝集を充分に制御することができる。再度であるが、このような製剤は、所望の製薬対象に適用することは難しい。
【0009】
従って、最も功を奏する方策の1つは、適切に位置する2つのアミノ酸の側鎖をつなぐ、共有結合の架橋による、α−螺旋ペプチドの安定化である。これらのアミノ酸の側鎖が所望の結合部位に関係しないことが、適切に示される。さらに、アミノ酸側鎖は、2つの螺旋の回転を安定化すべきであり、これは配列中の7個のアミノ酸からなる1段を意味する。i位及びi+7位の2つの側鎖をつなぐ架橋は、螺旋構造上の摂動がほとんどなく、螺旋を安定化することができる。ひとたび螺旋構造がこのような制約によって強制されると、全体のヘリックス含量が著しく改善し、ペプチドの全体の螺旋構造が動力学的に支持されるようになる。ラクタム化(ヒューストン(Huston),ハウストン(houston)ら,1995)、アミド類(ブレイステッド(Braisted),ジュディス(Judice)ら,1997;フェラン(Phelan),スケルトン(Skelton)ら,1997;ブレイステッド,ジュディスら,1998)またはジスルフィド結合(ジャクソン(Jackson),キング(King)ら,1991)によるペプチドの制約が記載されている。しかしながら、これら全ての方策には、不利な点があり、側鎖の制約構造を閉じることができるように合成法を計画しなければならない。ジスルフィド結合の場合、他のジスルフィドの架橋を閉じなければならず、合成法の計画は困難になる。
【0010】
驚くべきことに、本発明の課題は、請求の範囲1〜36のいずれかの、ペプチド性化合物、医薬製剤、抗体、構築単位としての化合物及び合成法によって解決される。
【0011】
従って、本発明は、螺旋の制約を非常に融通の利く方策によって構築することができる構成部分を提示するものである。部分的に関与するペプチド結合は、ジスルフィド結合の疎水性を補うが、ジスルフィド結合もまた制約の方策に含まれる。従って、本発明は、アミド結合、またはジスルフィド結合の閉鎖が、制約の閉鎖の代案として使用できる手段によって、解決策を提示するものである。これにより、より適応性が高い合成法が提供される。さらにアミド結合は、ジスルフィド架橋単独より疎水性が大きく、水性環境における製品の溶解性により優れるという利点を提供する。ペプチド結合のもう1つの重要な利点は、以下の実施例において示されるように、支柱による架橋構造の安定化である。
【0012】
このアミド結合とスルフィド結合との新規な組み合わせは、これら2つの結合タイプのうちの1つの単独の適用を凌ぐ、明らかな利点を有する。特にジスルフィド結合は容易に形成される。架橋におけるアミド結合の所望の目的の1つは、架橋構造の安定化であり、何故ならば、アミド結合は、支柱として作用する架橋下で、他のアミノ酸側鎖と相互作用することができるからである(実施例1〜3参照)。この支柱による安定化は、最終的な(閉環した)構造中だけではなく、閉環の前も有効であり、このことによって、正確に折り重ねられた環状構造の合成において、より高い収率が得られる。
【0013】
従って、アミド結合とジスルフィド結合との組み合わせによって、効率が新たな程度に達し、有利な合成及び構造安定化が提供される。
【0014】
また、螺旋の制約構造に、グリコシル部分、ポリエチレングリコール等の溶媒和タグまたは他の好適な延長部分または追加部分を接着することが可能である。通常、このような疎水性の螺旋の制約構造は、2つの疎水性アミノ酸側鎖と置換し、従って分子の薬理学的特性を改善する。
【0015】
概して、本発明は、螺旋的が安定化されたペプチドの合成中、ほとんど全ての合成の問題点に適応することができる構造を提供する。構造的に、架橋は、ペプチド配列に平行して構築されるが、少なくとも1つのアミド結合及び1つのジスルフィド結合を有する柔軟性のある共有結合骨格を含む。ジスルフィド結合による架橋の閉鎖は、例えば、架橋形成の1つの好適な方法であろう。しかし、もし必要であれば、架橋は、例えば1つのペプチド結合を樹脂上で閉鎖することによって閉じることができ、一方、ジスルフィド架橋は、すぐに使える構築単位として既に導入されていた。当業者は他の実行可能な方法を知っており、本発明の記述を読んで理解した後、本発明を実施する他の実行可能な方法を見出すことができる。
【0016】
本発明の好ましい態様において、架橋構造を形成する構築単位を含有するアミド結合は、固相合成によって作られる。ペプチド化学者は、これらの方法に精通している。従って、これらの構築単位の利点の一つは、ペプチド化学者は構築単位を合成的に容易に入手可能であることである。
【0017】
以下では、一連の6つの一般式により、広範な本発明の全体が提示される。本発明は、式(1)〜(7)で表される、螺旋性の制約されたペプチドを包含する。
【0018】
式(1)は、化合物
【化1】

を表す。式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドであり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドであり、a、b、c及びdは独立して1〜3の整数より選択され、ただし、a+b+c+dは5〜9の範囲内のあらゆる整数であり;それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
実施例1〜4は、この式の適用を実証する。
【0019】
式(2)は、化合物
【化2】

を表す。式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドであり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドであり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは7〜11の範囲内のあらゆる整数であり;それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
実施例5は、この式を実証する。
【0020】
式(3)は、化合物
【化3】

を表す。式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドであり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドであり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは7〜11の範囲内のあらゆる整数であり;それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。実施例6は、この式を実証する。
【0021】
式(4)は、化合物
【化4】

を表す。式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(2)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、a、b、c及びdは独立して1〜3の整数より選択され、ただし、a+b+c+dは5〜9の範囲内のあらゆる整数であり、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができ;それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。実施例7は、この式の適用を実証する。
【0022】
式(5)は、化合物
【化5】

を表す。式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは7〜11の範囲内のあらゆる整数であり、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができ;それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。実施例8は、このタイプの式を実証する。
【0023】
式(6)は、化合物
【化6】

を表す。式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは7〜11の範囲内のあらゆる整数であり、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができ;それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。実施例9及び10は、この式の適用を実証する。
【0024】
本発明において記載されるアミノ酸は、自然発生のL体の立体異性体、及びエナンチオマーのD体であることができる。一文字の略号は、一般に認められた標準的なポリペプチドの命名法を参照するものであるが、二者択一的にD−またはL−アミノ酸を意味することができる:
【0025】
アミノ酸略号
A L−アラニンまたはD−アラニン
V L−バリンまたはD−バリン
L L−ロイシンまたはD−ロイシン
I L−イソロイシンまたはD−イソロイシン
M L−メチオニンまたはD−メチオニン
F L−フェニルアラニンまたはD−フェニルアラニン
Y L−チロシンまたはD−チロシン
W L−トリプトファンまたはD−トリプトファン
H L−ヒスチジンまたはD−ヒスチジン
S L−セリンまたはD−セリン
T L−スレオニンまたはD−スレオニン
C L−システインまたはD−システイン
N L−アスパラギンまたはD−アスパラギン
Q L−グルタミンまたはD−グルタミン
D L−アスパラギン酸またはD−アスパラギン酸
E L−グルタミン酸またはD−グルタミン酸
K L−リジンまたはD−リジン
R L−アルギニンまたはD−アルギニン
P L−プロリンまたはD−プロリン
G グリシン
【0026】
非限定的な例によって、制約された構築単位を以下の通り調製した。
【0027】
システアミン(10mmol)を20mlのトリフルオロ酢酸に溶解した。溶液を室温で攪拌し、アセトアミドメタノール(12mmol)の溶液を30分間かけて滴下した。混合物をさらに120分間攪拌し、揮発性部分を減圧除去した。残渣を80mlの水に溶解し、pHを9に調製した。次に、生成物をクロロホルム/イソプロパノール(3/1)で抽出し、溶媒を減圧除去した。次に、粗生成物を最小限のDCMに溶解し、この溶液を、最小限のDCM中のBOC−β−Ala(10mmol)、Cl−HOBt(10mmol)、DIEA(10mmol)及びDIC(20mmol)の混合物に加えた。12時間後、溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム及び塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。残渣を10mlのトリフルオロ酢酸に溶解し、60分間攪拌した。次に、トリフルオロ酢酸をDCMと共に留去し、残渣をDCMに溶解した。溶液はDIEAを添加して中和し、Fmoc−Glu−OtBu(10mmol)、Cl−HOBt(10mmol)、DIEA(10mmol)及びDIC(20mmol)の混合物中に注いだ。12時間後、溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム及び塩化ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧除去した。残渣を10mlのトリフルオロ酢酸に溶解し、60分間攪拌した。次に、トリフルオロ酢酸をDCMと共に留去し、残渣をDCMに溶解した。粗制約構築単位を、クロマシル(Kromasil)C−18カラムによるHPLCで精製し、0.1%v/vのトリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水で勾配溶出し、凍結乾燥した。
【0028】
構築単位合成の別の例は、以下の方法である:
【化7】

【0029】
2−(9H−フルオレン−9−イルメトキシカルボニルアミノ)−4−[2−(2−トリチルスルファニル−エチルカルバモイル)−エチルカルバモイル]酪酸
【0030】
1.N−α−Fmoc−L−グルタミン酸γ−アリルエステルの樹脂への負荷:
N−α−Fmoc−L−グルタミン酸γ−アリルエステル(20mmol、8.19g)及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA)の最小限の乾燥ジクロロメタン(DCM)中の溶液を、10gの2−クロロトリチル樹脂(200−400メッシュ、容量1.4mmol/g)に添加する。混合物を60分間振盪する。反応液を濾過によって除去した後、樹脂を各回80mlのDCM/メタノール/DIEA(80/15/5)で3回洗浄する。80mlのDCM/MeOH/DIEA(80/15/5)を樹脂に添加して10分間振盪し、溶液混合物を濾過する。この方法をもう一度繰り返す。樹脂は、各回200mlのDCMで6回洗浄する。
【0031】
アミノ酸の樹脂への負荷を定量するため、湿った樹脂の重量を測定し、約100mgの分割量を取り、空気中で乾燥させる。FMOC基をDCM/ピペリジンで除去し、ピペリジン/ジベンゾフルベン付加化合物の量を330nmでのUV吸収によって定量する。典型的には、負荷量は乾燥樹脂1g当り約0.64mmolである。
【0032】
2.アリルエステルの開裂:
樹脂を、アルゴン下、各回200mlのDCMで3回洗浄する。200mlの乾燥DCMを添加し、アルゴンを15分間、混合物中に通し、115mmolのフェニルシラン(12.5g)及び1mlのDIEAを添加し、アルゴンを混合物中にさらに30秒通す。4.33mmolのPd(PPh34(5g)(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))を添加する。3時間後、樹脂を各回200mlのDCMで5回、各回200mlのDMFで5回、再度各回200mlのDCMで5回、及び各回200mlのDMFで5回、洗浄する。
【0033】
3.β−アラニンアリルエステル塩酸塩のカップリング:
19.5mmolのβ−アラニンアリルエステル塩酸塩(3.23g)、25mmolの6−クロロ−1−ヒドロキシベンズトリアゾール(Cl−HOBt)(4.24g)、75mmolのDIEA(12.39ml)及び25mmolのPyBOP(13g)(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート)の150mlのDMF中の溶液を、脱保護した樹脂に添加する。混合物を室温で一晩振盪する。樹脂を各回100mlのDMFで6回洗浄する。
【0034】
4.アリルエステルの開裂:
樹脂をアルゴン下、各回200mlのDCMで3回洗浄する。200mlの乾燥DCMを添加し、混合物にアルゴンを15分間通し、115mmolのフェニルシラン(12.5g)及び1mlのDIEAを添加し、混合物にアルゴンをさらに30秒通す。4.33mmolのPd(PPh34(5g)(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))を添加する。3時間後、樹脂を各回200mlのDCMで5回、各回200mlのDMFで5回、再度各回200mlのDCMで5回、及び各回200mlのDMFで5回、洗浄する。
【0035】
5.S−トリチル−システアミンのカップリング:
25mmolのCl−HOBt(4.24g)、25mmolのPyBOP(13g)及び25mmolのDIEA(4.13ml)の溶液を、75mlのDMF中の脱保護した樹脂に添加する。1分後、25mmolのS−トリチル−システアミン−塩酸塩(8.89g)及び50mmolのDIEA(8.26ml)の75mlのDMFの溶液を添加する。混合物を室温で一晩振盪する。その後、樹脂を各回100mlのDMFで4回、各回100mlのDCMで3回洗浄する。
【0036】
6.生成物の開裂
生成物を、連続したこれらの方法に従って遊離する:
(a)樹脂を200mlの2,2,2−トリフルオロエタノール/DCM(50/50)と共に2時間振盪する。揮発性化合物を減圧除去する。3回、DCMを添加して減圧除去する。粗生成物の収量:5.3g(66%)
(b)樹脂を200mlの2,2,2−トリフルオロエタノール/DCM(90/10)と共に4.5時間振盪する。揮発性化合物を減圧除去する。3回、DCMを添加して減圧除去する。粗生成物の収量:0.5g(6%)
(c)樹脂を200mlの2,2,2−トリフルオロエタノール/DCM(50/50)と共に3日間振盪する。揮発性化合物を減圧除去する。3回、DCMを添加して減圧除去する。粗生成物の収量:0.73g(9%)
【0037】
総収量:
6.53g(8.80mmol、82%:初期の樹脂負荷による)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6), δ [ppm]:
7.93 (t, 1H, J=5.6Hz), 7.89 (d, 2H, J=7.4Hz), 7.82 (t, 1H,J=5.6Hz), 7.72 (d, 2H, J=7.4Hz), 7.66 (d, 1H, J=7.9Hz), 7.41 (t, 2H, J=7.4Hz), 7.36-7.20 (m, 17H), 4.30-4.15 (m, 3H), 3.95-3.89 (m, 1H), 3.23-3.14 (m, 2H), 2.99-2.92 (m, 2H), 2.24-2.10 (m, 6H), 2.00-1.90 (m, 1H), 1.80-1.68 (m, 1H)
LC-ESI-MS: m/z = [M+H]: 743 (95%), [M+Na]: 765 (100%)
【0038】
以下の実施例で与えられる配列は、標的となる特異的配列を包含し、その配列は下記の方法で使用することができるが、単回または多数回のアミノ酸交換操作によって所望の作用の損失なしに、修飾される可能性がある。この種類の置換変異は、得られるペプチド中のアミノ酸を、非保存的な方法(即ち、特定の荷電または大きさまたは他の特徴を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸を、他の分類パラメータを有するアミノ酸の分類に換えることによる)、または保存的な方法(即ち、アミノ酸の1つの分類内でアミノ酸を換えることによる)で換えるために可能である。このような保存的交換により、一般に、得られるタンパク質の構造及び機能における変化は少なくなる。非保存的交換は、もし正確な位置でなされるなら、標的−相互作用に対する悪影響がない可能性があるが、得られるタンパク質の構造、活性または機能をより多く変化させると思われる。本発明は、保存的及び非保存的交換を含有する配列を含むことを考慮されるべきであり、それらの変化は、元来の配列と比較して、得られる修飾されたペプチドの活性または結合特性を有意に変えるものではない。以下は種々の分類のアミノ酸の一例である:
【0039】
非極性R基を有するアミノ酸:
アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン
非荷電極性R基を有するアミノ酸:
グリシン、トレオニン、セリン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン
荷電極性R基(pH6で負に帯電)を有するアミノ酸:
アスパラギン酸及びグルタミン酸
塩基性アミノ酸(pH6で正に帯電)
リジン、アルギニン、ヒスチジン
フェニル基を有するアミノ酸:
フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン
【0040】
特に好ましい保存的置換は次の通り:Argの代わりにLys、及びその逆;Aspの代わりにGlu、及びその逆;Thrの代わりにSer、及びその逆;Asnの代わりにGln、及びその逆。
【0041】
さらに、本発明は、アミノ酸によるペプチドの特定の結合領域の修飾を包含し、この修飾により、ペプチドに特異的な所望の特性が転移する。このような改善には、N−及び/またはC−末端の修飾が含まれ、この修飾によりペプチドがエキソペプチダーゼによる開裂から保護される。この問題の好ましい解決策には、末端の位置に非天然のアミノ酸を使用することが含まれ、特に好ましくはD−アミノ酸を使用することである。ペプチド配列内部の非保存的な置換は、よい高い水溶性を、ペプチドの非結合であるが疎水性領域に転移するために用いられる可能性がある。N−またはC−末端の位置におけるアミノ酸のキレート化は、製造工程中の精製及び再保持を支援するために、金属活性化表面にペプチドが結合するのを可能にするために使用することができる。
【実施例】
【0042】
実施例1:
【化8】

【0043】
実施例1の架橋は、グルタミン(それぞれ、グルタミン酸)及びシステインの側鎖に、β−アラニン及び2−アミノエタンチオールを介して結合する。この化合物は、インターロイキン−2受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0044】
環状螺旋の制約された架橋の合成の最終工程は、通常、ジスルフィド結合の形成である:
【化9】

【0045】
この制約された架橋が、分子モデリングによって注文設計されることが示されている。アミノ酸i及びi+7の側鎖に結合する架橋は、螺旋をひずみなくj安定化するために適当な大きさと幾何学的配置を有する。
【0046】
さらには、該架橋は、支柱として働くi+3位のアスパラギン酸側鎖によって安定化する。ジスルフィド結合形成を導く正確な立体構造も安定化されるので、アミドNH基からアスパラギン酸側鎖への水素結合は、制約を安定化し、架橋合成を容易にする。
【0047】
【化10】

【0048】
図1の三次元の分子モデルは、i+3位のアスパラギン酸側鎖に対する水素結合の安定化効果を示す。これにより、本発明は、形成が容易なジスルフィド架橋と組み合わせて、架橋中のアミド構造による、水素結合によって螺旋の制約を安定化する、新たな方法を提供する。
【0049】
実施例2:
本発明の別の態様は、i+4位のグルタミン側鎖からの水素結合による、iからi+7までの架橋の安定化である。この場合、支柱は水素結合のドナーであり、制約された架橋は水素結合の受容体である。これは、支柱が水素結合受容体であり、制約された架橋が水素結合ドナーであった、以前の構造とは対照的である。それぞれの三次元モデルを、図2に見ることができる。
【0050】
【化11】

【0051】
実施例3:
【化12】

【0052】
アミノ酸iからi+7までの制約された架橋は、螺旋をひずみなく安定化するために適当な大きさと幾何学的配置を有する。
【0053】
この架橋は、2つの標準的なアミノ酸の側鎖によって表される2つの対側からの、2つの注文設計された支柱によって安定化される。i+3位のアスパラギン酸側鎖は、制約された架橋のアミドNH基に結合する、水素結合受容体として働く。同調して、制約された架橋は、制約された架橋のカルボニル基への水素結合のドナーとして働く、i+4位のリジン側鎖によって、反対側で安定化される。図3a及び3bの三次元分子モデルは、制約された架橋の2つの対側からの2つの支柱の安定化効果を示す。
【0054】
実施例4:
【化13】

【0055】
実施例4の架橋は、グルタミン(それぞれ、グルタミン酸)及びシステインの側鎖に、グリシン及び3−アミノプロパン−1−チオールを介して結合する。この化合物は、インターロイキン−2受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0056】
実施例5:
【化14】

【0057】
実施例5の架橋は、グルタミン(それぞれ、グルタミン酸)及びホモシステインの側鎖に、グリシン及び2−アミノエタンチオールを介して結合する。この化合物は、インターロイキン−2受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0058】
実施例6:
【化15】

【0059】
実施例6の架橋は、アスパラギン(それぞれ、アスパラギン酸)及びシステインの側鎖に、β−アラニン及び3−アミノプロパン−1−チオールを介して結合する。この化合物は、インターロイキン−2受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0060】
実施例7:
【化16】

【0061】
実施例7の架橋は、グルタミン(それぞれ、グルタミン酸)及びホモシステインの側鎖に、5−アミノペンタン−1−チオールを介して結合する。架橋骨格は、化合物の溶解性を改善するため、2つのヒドロキシル基を含有する側鎖で置換される。
この化合物は、インターロイキン−2受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0062】
実施例8:
【化17】

【0063】
実施例8の架橋は、リジン及びホモシステインの側鎖に、3−チオプロピオン酸を介して結合する。この化合物は、インターロイキン−2受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0064】
実施例9
【化18】

【0065】
実施例9の架橋は、システイン及びグルタミン(それぞれ、グルタミン酸)の側鎖に、β−アラニン及び2−アミノエタンチオールを介して結合する。この化合物は、インターロイキン−4受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0066】
実施例10:
【化19】

【0067】
実施例10の架橋は、システイン及びグルタミン(それぞれ、グルタミン酸)の側鎖に、化合物の薬物速度論的特性を改善するためにグリコシル化されたω−アミノヘキサンチオールを介して結合する。この化合物は、インターロイキン−4受容体に対する拮抗剤に相当する。
【0068】
実施例11:
【化20】

【0069】
実施例12:
【化21】

【0070】
実施例11及び実施例12の架橋は、ホモシステイン及びリジンの側鎖に、4−チオ酪酸を介して結合する。この化合物は、エリスロポエチン受容体への結合分子に相当する。
【0071】
実施例13:
ペプチドが螺旋状であるかどうかの判断には、円偏光二色性を用いることができる。CDスペクトルにおいて、200nmのゼロ点と、200〜250nmの間の「W」形状の最小点が、螺旋構造を示すものである。両基準は、溶液中のペプチド濃度に依存しない。
【0072】
【化22】

【0073】
この実施例において、ペプチドの螺旋構造がトリフルオロエタノール(TFE)によっていかなる影響を受けるかを解明するために、閉じていない制約を有するペプチドをTFE/H2O 1:9、2:8、3:7、4:6及び5:5に溶解した。図4について、ゼロ点が長波長の方に移動し、222nm付近のバンドがTFE濃度の上昇に伴ってより顕著になることが認められる。これらの事実より、螺旋構造の量はTFE濃度の上昇に伴って増加すると結論される。
【0074】
閉じた螺旋の制約を有するペプチドを、TFE/H2O 1:9及び5:5にそれぞれ溶解した。螺旋の制約を有しないペプチドのスペクトルと比較して、ゼロ点は長波長の方に見られ、222nmのバンドはより強い。従って、ペプチドに結合する、螺旋の制約された架橋によって、螺旋構造の量が多くなると結論される。
【0075】
螺旋の含有量は、このペプチドの生物学的有効性の重要な因子である。図5は、対応する天然の制約のないペプチド(Pep15C、左)と比較して、上述の螺旋が制約されたIL−2R結合ペプチド(Pep15CD、右)のNK−92増殖分析を表す。制約された螺旋のペプチドの活性は、制約された架橋が有効であり、ペプチドの生物活性のある立体構造を固定することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】i+3位のアスパラギン酸側鎖に対する水素結合の安定化効果を示す三次元の分子モデルを示す。
【図2】i+4位のグルタミン側鎖からの水素結合による、iからi+7までの架橋の安定化に関する三次元の分子モデルを示す。
【図3】図3a及び3bは、制約された架橋の2つの対側からの2つの支柱の安定化効果を示す三次元分子モデルを示す。
【図4】ペプチドの螺旋構造がトリフルオロエタノール(TFE)によっていかなる影響を受けるか試験した結果を示す。
【図5】対応する天然の制約のないペプチド(Pep15C、左)と比較して、螺旋が制約されたIL−2R結合ペプチド(Pep15CD、右)のNK−92増殖分析を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共有結合により閉じた架橋構造を有するペプチド性化合物であって、該架橋構造は、α−螺旋の立体構造を有するペプチド性結合分子の好適なアミノ酸側鎖から分岐し、かつ、このペプチドのアミノ酸配列のi及びi+7位に位置する該ペプチドの少なくとも2つのアミノ酸側鎖に結合し、それによって、該螺旋の架橋部分を安定化し、少なくとも1つのアミド(ペプチド)結合及び少なくとも1つのジスルフィド架橋、その両方ともが架橋骨格の部分を形成する、の存在を特徴とする、ペプチド性化合物。
【請求項2】
前記ペプチド性結合分子のアミノ酸I及びI+7の側鎖原子を含む前記架
橋骨格が、1つまたは2つのアミド(ペプチド)結合、1つのジスルフィド架橋、及びさらに7〜11個、好ましくは9個のCまたはN原子よりなることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド性化合物。
【請求項3】
前記架橋骨格が2つのアミド(ペプチド)結合、1つのスルフィド架橋、及びさらに7個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項2に記載のペプチド性化合物。
【請求項4】
前記架橋が、水素結合によるペプチド性結合分子の1つ以上のアミノ酸側鎖によって安定化され、かつ、該安定化アミノ酸が該架橋の2つの分岐点の間に位置することを特徴とする、請求項1〜3に記載のペプチド性化合物。
【請求項5】
前記安定化アミノ酸が、リジン、アルギニン、アルパラギン、グルタミン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、またはヒスチジンから選択されることを特徴とする、請求項4に記載のペプチド性化合物。
【請求項6】
前記安定化アミノ酸が、前記ペプチドのi+3位及び/またはi+4位に位置することを特徴とする、請求項5に記載のペプチド性化合物。
【請求項7】
前記安定化アミノ酸が、i+3位のアスパラギン酸塩、及び/またはi+4位のリジンまたはグルタミンであることを特徴とする、請求項6に記載のペプチド性化合物。
【請求項8】
式(1a)〜(1d)のうちの1つが適用される分子によって表される、請求項1〜7に記載のペプチド化合物:
【化1】

式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)、(2)または(3)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)、(2)または(3)で表されるあらゆる化合物であり;a、b、c及びdは独立して1〜3の整数より選択され、ただし、合計a+b+c+dは7であり、それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
【請求項9】
一般式(2)が適用される分子によって表される、請求項1〜7に記載のペプチド性化合物:
【化2】

式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)、(2)または(3)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)、(2)または(3)で表されるあらゆる化合物であり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは9であり;それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
【請求項10】
一般式(3)が適用される分子によって表される、請求項1〜7に記載のペプチド性化合物:
【化3】

式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)、(2)または(3)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)、(2)または(3)で表されるあらゆる化合物であり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは9であり、それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
【請求項11】
式(4a)〜(4d)のうちの1つが適用される分子によって表される、請求項1〜7に記載のペプチド性化合物:
【化4】

式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(2)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、a、b、c及びdは独立して1〜3の整数より選択され、ただし、a+b+c+dは7であり、それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
【請求項12】
一般式(5)が適用される分子によって表される、請求項1〜7に記載のペプチド性化合物:
【化5】

式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは9であり、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、最大30個のアミノ酸のペプチド、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子であり、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
【請求項13】
一般式(6)が適用される分子によって表される、請求項1〜7に記載のペプチド性化合物:
【化6】

式中、Xは水素またはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、Yは6個のアミノ酸よりなるあらゆるアミノ酸配列であり、Zはヒドロキシルまたはあらゆるアミノ酸またはあらゆるペプチドまたは式(1)〜(6)で表されるあらゆる化合物であり、a、b及びdは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、a+b+dは9であり、それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができ、かつ該ペプチドは天然及び/または非天然のD−及び/またはL−アミノ酸よりなることができる。
【請求項14】
請求項1〜13に記載のペプチド性化合物であって、インターロイキン2受容体に結合し、螺旋の立体構造中に安定化ペプチド配列TKKTQLQLEHKLLDLQMXLNGINNを含有し、式中、Xはホモシステインを表し、2つの螺旋回旋は請求項1〜13に記載の骨格によって架橋されており;それにより非限定的に以下の配列及び構造(a〜f)を含む、ペプチド性化合物:
【化7】

【請求項15】
インターロイキン2受容体への結合が維持され、かつ全体の螺旋構造の他の部分が該構造によって架橋されるように、該架橋構造がペプチド配列に沿って位置を変えることを特徴とする、請求項14に記載のペプチド性化合物。
【請求項16】
前記ペプチド配列の少なくとも1個のアミノ酸が、物理化学的に関連する天然または非天然アミノ酸によって、該ペプチドのインターロイキン2受容体への結合を維持するように、保存的交換によって置換されることを特徴とする、請求項14及び15に記載のペプチド性化合物。
【請求項17】
前記ペプチドのインターロイキン2受容体への結合が維持され、及び/または、水溶性が改善され、及び/または、エキソペプチダーゼが末端部位を切断できないように、N−及び/またはC−末端が修飾されており、それによって末端修飾が非天然アミノ酸、D−アミノ酸、糖部分または自由に選択される適当な有機部分を含有する、請求項14〜16に記載のペプチド性化合物。
【請求項18】
請求項14〜17に記載の有効成分を含有し、サイトカインであるインターロイキン2の作用の拮抗剤として、ヒトまたは動物への使用を意図する、医薬製剤。
【請求項19】
請求項1〜13に記載のペプチド性化合物であって、インターロイキン4受容体に結合し、螺旋の立体構造中に安定化ペプチド配列AQQFHRHQCIRFLKRQDRNLWGLA を含有し、式中、2つの螺旋回旋は請求項1〜13に記載の骨格によって架橋されており;それにより非限定的に以下の配列及び構造(g)を含む、ペプチド性化合物:
【化8】

【請求項20】
インターロイキン4受容体への結合が維持され、かつ全体の螺旋構造の他の部分が該構造によって架橋されるように、該架橋構造がペプチド配列に沿って位置を変えることを特徴とする、請求項19に記載のペプチド性化合物。
【請求項21】
前記ペプチド配列の少なくとも1個のアミノ酸が、物理化学的に関連する天然または非天然アミノ酸によって、該ペプチドのインターロイキン4受容体への結合を維持するように、保存的交換によって置換されることを特徴とする、請求項19〜20に記載のペプチド性化合物。
【請求項22】
前記ペプチドのインターロイキン4受容体への結合が維持され、及び/または、水溶性が改善され、及び/または、エキソペプチダーゼが末端部位を切断できないように、N−及び/またはC−末端が修飾されており、それによって末端修飾が非天然アミノ酸、D−アミノ酸、糖部分または自由に選択される適当な有機部分を含有する、請求項19〜21に記載のペプチド性化合物。
【請求項23】
請求項19〜21に記載の有効成分を含有し、サイトカインであるインターロイキン4の作用の拮抗剤として、ヒトまたは動物への使用を意図する、医薬製剤。
【請求項24】
請求項1〜13に記載のペプチド性化合物であって、エリスロポエチン受容体に結合し、螺旋の立体構造中に安定化ペプチド配列APPRLICDSRVLERYLLEXKEAEKIKを含有し、式中、2つの螺旋回旋は請求項1〜13に記載の骨格によって架橋されており;それにより非限定的に以下の配列及び構造(h〜i)を含む、ペプチド性化合物:
【化9】

【請求項25】
エリスロポエチン受容体への結合が維持され、かつ全体の螺旋構造の他の部分が該構造によって架橋されるように、該架橋構造がペプチド配列に沿って位置を変えることを特徴とする、請求項24に記載のペプチド性化合物。
【請求項26】
前記ペプチド配列の少なくとも1個のアミノ酸が、物理化学的に関連する天然または非天然アミノ酸によって、該ペプチドのエリスロポエチン受容体への結合を維持するように、保存的交換によって置換されることを特徴とする、請求項24〜25に記載のペプチド性化合物。
【請求項27】
前記ペプチドのエリスロポエチン受容体への結合が維持され、及び/または、水溶性が改善され、及び/または、エキソペプチダーゼが末端部位を切断できないように、N−及び/またはC−末端が修飾されており、それによって末端修飾が非天然アミノ酸、D−アミノ酸、糖部分または自由に選択される適当な有機部分を含有する、請求項24〜26に記載のペプチド性化合物。
【請求項28】
請求項19〜22に記載の有効成分を含有し、サイトカインであるエリスロポエチンの作用の拮抗剤として、ヒトまたは動物への使用を意図する、医薬製剤。
【請求項29】
請求項1〜28が適用される物質に対するモノ−及びポリクローナル抗体、及び、動物またはヒトの体液または組織中の活性物質の作用の、診断的及び薬理学的定量及び/または阻害における、そのような抗体の使用。
【請求項30】
N−末端アミノ酸がアセチル化されており、及び/またはC−末端アミノ酸がアミド化されている、請求項1〜17、19〜22及び/または24〜27に記載のペプチド性化合物。
【請求項31】
一般式(7a)〜(7d)が適用される分子によって表される、請求項1〜17、19〜22及び/または24〜27のいずれかに記載のペプチド性化合物の合成のための、構築単位としての化合物:
【化10】

式中、X及びZは水素またはあらゆる保護基であり;a、b、及びcは独立して1〜3の整数より選択され、ただし、合計a+b+cは3〜6の整数であり、それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができる。
【請求項32】
式(8a)〜(8b)のうちの1つによって表される、請求項1〜17、19〜22及び/または24〜27のいずれかに記載のペプチド性化合物の合成のための、構築単位としての化合物:
【化11】

式中、X及びZは水素またはあらゆる保護基であり;a及びbは独立して1〜5の整数より選択され、ただし、合計a+bは2〜8の整数であり、それぞれ独立した位置のWにおいて、Wは、水素、ヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基、少なくとも1つのヒドロキシル−、カルボキシル−またはアミノ基を有するアルキル部分、ポリエチレングリコール部分、または自然発生または合成の糖分子から自由に選択することができる。
【請求項33】
式(9)の請求項31の化合物であって、式中、X及びZは水素またはあらゆる保護基である、化合物:
【化12】

【請求項34】
式(10)の請求項33の化合物:
【化13】

【請求項35】
固相合成による、請求項31〜34に記載の構築単位の合成方法。
【請求項36】
以下の工程を含む、請求項1〜17、19〜22及び/または24〜27に記載のペプチド性化合物の合成方法:
a)i+7位の側鎖への保護されたSH基を含有するアミノ酸の導入(即ち、アミノ酸のN−末端の脱保護後のi+8位への導入)、その後の、i+6〜i+1位への6個のアミノ酸の導入、及びさらにその後、伸長するペプチド鎖のi位への請求項31〜34に記載の構築単位の導入(即ち、アミノ酸のN−末端の脱保護の後、i+1位へ)を含む、C−からN−末端へのペプチド合成によって、中間体のペプチド性化合物を合成する工程、
b)N−末端アミノ酸が導入されるまでの、ペプチド合成の継続工程、
c)残存する保護基の除去工程、
d)例えば、適当なフッ素化溶媒を用いて、螺旋安定化条件を確立する工程、
e)これらの螺旋安定化条件下で、適当な試薬を用いてジスルフィド結合を閉じることによって、ペプチド性化合物を得る工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−537989(P2007−537989A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534720(P2006−534720)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011719
【国際公開番号】WO2005/040202
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(503470263)アプラーゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (5)
【Fターム(参考)】