説明

安定化回路網を有する電力増幅器

【課題】出力トランジスタの出力キャパシタンスと、電源供給インダクタンスによって増幅器の電源装置端子に現れる高Q値の直列共振を防止した高周波電力増幅器を提供する。
【解決手段】電位不安定の原因を生み出し増幅器が振動する(oscillate)のを防止するために、安定化回路530が、電力増幅器トランジスタ502の出力に接続される。この安定化回路530は、基本的に、コンデンサ534と直列に接続された抵抗器536を含む。また、この安定化回路は、コンデンサと抵抗器とに直列に接続されたインダクタ532を含んでもよい。このインダクタは、プリント導電線及び/又はボンディング・ワイヤによって部分的に、又は完全に実現されることができる。この安定化回路は、動作周波数の範囲全体にわたって、トランジスタ出力において低インピーダンスをもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力増幅器に関し、特に、変調可能な電源装置(power supply)が設けられた電力増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
非定包絡線信号を電力増幅する効率の良い手段を提供するための既知の技術は、包絡線変調を使用するものである。包絡線変調は、一般に、非常に効率の良い、変調可能な電源装置を用いて実現される。
【0003】
しかし、かかる構成では、電力増幅器は、変調可能な電源に対してインピーダンスを示す。特に、このインピーダンスは、高Q値の直列共振が存在するため、周波数に伴って迅速に変動し得、そのため、正確な高帯域変調を非常に困難にしている。典型的なトランジスタ出力段では、トランジスタ・デバイスのキャパシタンスは、電源供給(supply feed)のインダクタンスと共振して、かかる直列共振を形成する。この直列共振は、電源変調が高帯域で適用されるべき場合に、問題を生じる。
【0004】
解決策の1つは、共振をより高い周波数に移動させるように電力出力段を再設計することである。しかし、他のいくつかのパラメータに関して、出力段を損なわずにこの再設計を実現することは困難である。例えば、キャパシタンスの低減は、出力デバイス技術を、例えば、LDMOSからGaAs mesfet又はPhemtに変更することによってしか実現されることができない。この出力デバイス技術の変更には、かかるユニットの費用、並びに、かかるユニットを製造する能力が大きく関係する。代替策として、電源供給のインダクタンスを低減させると、RF及びその調波においてトランジスタに示される負荷に影響を及ぼすことがある。このため、RF段の効率、利得、又は帯域幅を損なう恐れがある。
【0005】
従って、現存の電力増幅器出力段には、高周波では、トランジスタの出力キャパシタンスが、電源供給インダクタンスと共に高Q値の共振回路網を形成する結果として、増幅器の電源装置端子に直列共振が現れるという点で問題がある。この回路網は、電位不安定の原因を生み出し、且つ、記憶効果の一因となる、長時間一定のエネルギー蓄積手段を生み出し、また、どんな形の広帯域包絡線変調を適用することも困難にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上で述べられた1つ又は複数の問題に対処する、改善された技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、出力に接続された抵抗素子を含み、それにより、動作周波数の範囲全体にわたって、その出力において低インピーダンスを維持する電力増幅器が提供される。
【0008】
この電力増幅器は、入力において増幅されるべき信号を受け取り、且つ、出力において増幅された信号を供給するトランジスタを更に含むことができる。
【0009】
この出力は、変調された電源装置に接続するように適応されることができる。この出力は、電源供給インダクタンスを介して、変調された電源装置に接続するように適応されることができる。
【0010】
前記抵抗素子は、抵抗器を含んでもよい。
【0011】
リアクタンス素子が、前記抵抗素子と直列に接続されることができる。この共振素子は、容量素子、又は容量素子と直列にあるインダクタンス素子を含んでもよい。前記インダクタンス素子は、前記回路の導電素子を含んでもよい。この導電素子は、導電トラック又はボンド・ワイヤの一部を含んでもよい。前記インダクタンス素子は、インダクタを含んでもよい。前記容量素子は、コンデンサを含んでもよい。
【0012】
増幅されるべき信号は、無線周波数信号でもよい。
【0013】
他の態様では、本発明は、入力において、増幅されるべき信号を受け取り、且つ、出力において、増幅された信号を出力するトランジスタと、トランジスタ出力に接続された、変調された電源装置と、トランジスタ出力に接続され、それにより、動作周波数の範囲全体にわたって、トランジスタ出力において低インピーダンスが維持されることになる抵抗素子とを含む、電力増幅器回路を提供する。
【0014】
本発明は、電力増幅器内で、動作周波数の範囲全体にわたって低インピーダンスを維持する方法を提供し、この方法は、電力増幅器の出力に抵抗素子を設けることを更に含む。
【0015】
この方法は、前記抵抗素子と直列に接続されたリアクタンス素子を設けるステップを更に含んでもよい。
【0016】
電源装置における直列共振は、インダクタンスとキャパシタンスとの間の接合部における並列抵抗と等価である。この接合部は、トランジスタのドレインである。電源装置端子における低インピーダンスは、トランジスタ端子における高インピーダンスと等価である。このことは、トランジスタ端子に低インピーダンスをもたらし、それによって、電源装置端子において現れる直列共振を減衰させる解決策を提供する。
【0017】
次に、本発明が、添付の図で例示される特定の実施形態を参照に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1を参照すると、本発明の実施形態が実施されるRF電力段の例示的な物理的表現(physical representation)が示されている。
【0019】
図1を参照すると、参照番号140は、トランジスタ・パッケージの全体を表す。参照番号102は、トランジスタ・パッケージの上部表面全体を表す。ギザギザ線142は、トランジスタ・パッケージ上部表面の開口を表し、トランジスタ・パッケージの内部構造体の少なくとも一部分を示している。トランジスタ・パッケージの内部構造体は、トランジスタ電力増幅器114のアレイと、整合した(matching)コンデンサ108の対応するアレイ又はバンク(bank)とを含む。これらの複数のトランジスタ電力増幅器114は、複数のボンド・ワイヤ110を介して、複数の対応するコンデンサ108に接続されている。これらの複数のコンデンサ108は、更に他の複数のボンド・ワイヤ112を介して、メタライゼーション116に接続され、このメタライゼーション116は、ボンド・ワイヤ112の、トランジスタ・パッケージ140の外部への接続を表す。このトランジスタ・パッケージには、参照番号104で表されるように、グランドに接続されたメタライゼーション106が更に設けられている。このトランジスタ・パッケージには複数の入力が設けられ、複数のトランジスタ電力増幅器114への入力を形成している。これらの複数の入力は、参照番号138で全体が表されている。
【0020】
本発明は、以下で更に説明されるように、トランジスタ増幅器の出力に関するので、トランジスタ・パッケージ140の入力段は、図1では詳細には示されていない。
【0021】
図1に更に示されるように、トランジスタ・パッケージ140がその上に装着されているプリント配線板又はプリント回路板上に、メタライゼーション・パターン132が設けられている。ボンド・ワイヤ112に接続されたメタライゼーション116は、プリント配線又は回路板上のメタライゼーション層132に接続している。
【0022】
このメタライゼーション132は、DC供給電圧が供給されるバイアス供給ストリップ138と、トランジスタ・ドレイン・ストリップ134と、無線周波数出力信号RFOUTがもたらされる出力ストリップ136とを有するように構成される。
【0023】
DC供給138は、RFトランジスタ、RF周波数、及びその調波用に規定された負荷を供給する。理想的には、この負荷はベースバンド周波数で短絡になる。しかし、無線周波数及びその調波において満足な負荷を与えるために、ベースバンド・インピーダンスが大きいことが必要とされる。
【0024】
トランジスタ出力の低い内部負荷インピーダンスに許容される整合を実現するために、トランジスタの内部に、内部整合回路網が一般に設けられる。この回路網は、図2に示される、電力増幅器回路の等価回路によって最も良く示される。
【0025】
図2は、トランジスタ・パッケージ102の内部に諸素子を含んだ、電力増幅器回路の出力の典型的な等価回路を示す。
【0026】
図2に示されるように、この等価回路は、トランジスタ210を含む。コンデンサ206が、このトランジスタのソースとドレインとの間にわたって並列に接続されている。コンデンサ206は、トランジスタ210のバルク(bulk)に対する内部寄生容量を表す。トランジスタ210の出力、すなわちトランジスタ・ドレインは、線212に引き継がれ、DC電源装置に接続されている。DC電源は、電源供給インダクタンス(図1及び2には示さず)を介してトランジスタの出力に接続されていることに留意すべきである。インダクタ202で表される直列インダクタンスが、トランジスタ210のドレインに接続されている。このインダクタ202は、トランジスタ電力増幅器の出力をコンデンサ・バンク108のコンデンサに接続するボンド・ワイヤ110のインダクタンスを表す。コンデンサ208が、インダクタ202とトランジスタ210のソースとの間にわたって並列に接続されている。このコンデンサ208は、コンデンサ・バンク108のコンデンサのうちの1つを表す。更に他のインダクタ204が、インダクタ202に直列に接続されている。このインダクタ204は、コンデンサ208をメタライゼーション116に接続するボンド・ワイヤ112のインダクタンスを表す。トランジスタ210のソースは、グランドに接続され、参照番号214で表される。図2では、端子216は、メタライゼーション116への接続を表し、端子218は、グランド接続を表す。
【0027】
トランジスタ電力増幅器の諸実装形態では、コンデンサ・バンク108は、必ずしも備えられていなくてもよい。コンデンサ・バンク108は、各トランジスタ電力増幅器のためのインピーダンス変換コンデンサとなる。コンデンサ・バンク108が設けられていない場合でも、図2のコンデンサ206によって表されるように、このトランジスタ構造体に関連する相当なキャパシタンスが尚も存在するので、本発明の使用は、以下で更に説明されるようにやはり有利である。
【0028】
図2から分かるように、このトランジスタ・パッケージの等価回路は、共振回路となっている。この共振回路は、バルク・キャパシタンス206と、コンデンサ・バンク108からの整合したコンデンサ208とからのキャパシタンスへの寄与を有する。インダクタンスは、ボンド・ワイヤ110及び112のインダクタンスを表すインダクタ202及び204、並びに電源供給インダクタンスを含む。更に、インダクタンスは、トランジスタ・ドレイン・ストリップ132とバイアス供給部138とによって更に寄与されている。このインダクタンスは全て、コンデンサ206及び208に直列にある電源を介して現れる。この寄生共振回路は、トランジスタ出力に高インピーダンスが現れたときに、高インピーダンスでの寄生共振を生じる。
【0029】
電力増幅器回路のこの構造体は、電源装置端子において直列共振回路網をもたらし、高周波では電源装置に非常に低いインピーダンス負荷が現れることになる。電源装置に現れるこの低インピーダンスは、トランジスタ・ドレインでは高インピーダンスに変換して現れる。この共振は、望ましくない。この望ましくない共振の減衰を実現するために、バイアス回路網が高インピーダンスを示す同じ周波数範囲において、トランジスタのドレインに低い抵抗が提供されることができる。しかし、これは無線周波数でのトランジスタの出力に負荷をかけずに実現されなければならない。また、包絡線変調が適用されるべき場合、この回路網は、変調周波数において大きな負荷をもたらしてはならない。
【0030】
本発明の解決策は、DC供給と直列に抵抗器を設けて、共振のQ値を低減させることである。これは、有効な解決策であるが、共振を大幅に低減させる値に設定された抵抗器は、増幅器に送られる電力の大部分を予期せぬほどに消費することがある。
【0031】
従って、本発明は、第2の共振回路網を設けることによる解決策を提供し、この回路網は、トランジスタの出力に接続する、共振補償回路網若しくは回路、又は制御回路網若しくは回路であると考えられ得る。バイアス共振のため、トランジスタ出力端子のインピーダンスが上昇するにつれて、制御共振回路網のインピーダンスは低下する。
【0032】
本発明が対処する問題、及び本発明によって提供される解決策が、図3(a)〜3(c)を参照して更に論じられ、その後、図4(a)及び4(b)、並びに図5を参照して本解決策の実装形態を更に説明する。
【0033】
図3(a)は、変調可能な電源を有するトランジスタ電力増幅器に関する、周波数に対するインピーダンスのプロットを示す。参照番号302は、本発明による補償のない、かかる増幅器出力段の周波数に対するインピーダンスのプロットを示す。見て分かるように、特定の周波数範囲においてスパイク312が生じ、かかる周波数において、大幅に増大されたインピーダンスを引き起こしている。補償回路によってもたらされるインピーダンス特性が、曲線304によって表されており、この補償回路の構造が以下で更に説明される。見て分かるように、曲線304は、インピーダンス問題が生じる周波数範囲において、大幅に低いインピーダンスを示している。その結果、この制御回路の全体的な効果は、インピーダンスが通常大幅に増大される周波数範囲でも、インピーダンスが低減されることになるものである。図3(a)に示されるように、曲線302上の点306と308との間における、この制御回路の効果が、破線310で示されており、インピーダンスが大幅に低減されていることが分かる。
【0034】
図3(b)を参照すると、トランジスタ出力増幅器に関する、周波数に対する位相のプロットが示されている。見て分かるように、プロット317は、参照番号316で示されるかなり大きな負のピークを有する。本発明の制御回路を設けることによって、このピークは除去され、この曲線は、破線322で表されるように、点318と320との間で遙かに低減された歪みを有する。同様に、図3(c)には、周波数に対する振幅のプロットが示されている。見て分かるように、出力振幅は、点314において負のピークまで大幅に落ち込んでいる。周波数に対する振幅の曲線319は、本発明の制御回路によって、点324と326との間で制御され、それにより、負のピークは、破線328で示されるように、大幅に低減されることになる。
【0035】
次に、本発明、及び本発明の例示の実装形態が、図4(a)及び4(b)を参照して更に説明される。図4(a)では、トランジスタ電力増幅器が、参照番号402で表されている。整合したキャパシタンスを表すコンデンサ406が、トランジスタ402のソースとドレインとの間にわたって並列に接続されている。抵抗器404は、電力増幅器が駆動している負荷を表す。更に図4(a)には412、410、408、及び407で示される4つのインダクタが表されている。インダクタ407は、電源ストリップ138に関連するインダクタンスを表し、インダクタ408は、メタライゼーションへの接続点と電源ストリップとの間のメタライゼーション132に関連するインダクタンスを表し、インダクタ410は、メタライゼーションへの接続点とドレイン・ストリップ134との間のメタライゼーションのインダクタンスを表し、インダクタ412は、ドレイン・ストリップ134のインダクタンスを表している。点A、B、C、Dが図4(a)及び図1に示され、インダクタ412、410、408、407は、かかる点の間のインダクタンスを表し、こうしたインダクタンスは、メタライゼーションによってもたらされる。
【0036】
本発明は、諸実施形態において、トランジスタ電力増幅器の出力に共振回路を設けるものである。かかる共振回路が、図4(b)に示される。この共振回路426は、直列に、インダクタ420と、コンデンサ422と、抵抗器424とを含む。この共振回路426は、端子428と430との間に接続され、端子430は、参照番号432で表されるように、グランドに接続されている。抵抗器424を設けることによって、上述の電力問題が回避されることが可能となる。インダクタ420とコンデンサ422とによって設けられた共振回路は、この電力問題を克服するために必要とされるものではないが、好ましくは、抵抗器424が電力を消費しないよう保証するために設けられる。
【0037】
様々な実施形態では、図4(b)の共振回路426で表されるような本発明の制御回路は、図1及び4(a)に示される点A、B、C、Dのいずれか1点において接続され得る。特に、端子428は、点A、B、C、Dのいずれか1点に接続されることができる。これらの点は、制御回路の実装可能な位置を表し、すなわち、トランジスタ電力増幅器の出力位置となる。
【0038】
様々な点のうちの1つにこの制御回路を設けることに伴う様々な利点がある。図1及び4(a)から分かるように、制御回路426が、DC電源の近くに接続されればされるほど、インダクタ420にはより高い値が求められることになる。制御回路426の特に有利な位置は、端子428を、図4(a)の参照番号130で示される点Dで接続する位置である。かかる位置では、インダクタ407、408、410、412によってもたらされる直列インダクタンスによって、インダクタ420が省かれることができ、制御回路426は、単にコンデンサ422と抵抗器424とを含むだけでよくなる。かかる制御回路の位置では、インダクタ407、408、410、412がこの共振回路のインダクタンスとなる。従って、共振回路がインダクタ構成要素を特に有することが求められるかどうかは、その回路実装においてもたらされる固有のインダクタンスの大きさ(size)に依存することが理解されるであろう。制御回路のインダクタンスは、回路内の固有インダクタンスによって簡易にもたらされることができ、かかる固有インダクタンスは、回路の一部となる。
【0039】
図1では、点A、B、C、Dは例によって設けられたものであることに留意すべきである。上で論じられたように、点Dは、DC電源と点Dとの間のメタライゼーションによってもたらされるインダクタンスが、制御回路426内に特定のインダクタ420が必要とされないほどとなる限り、大きな利点を有する。また、点A、B、C、Dは、制御回路が加えられ得る唯一の点ではないことが理解されるであろう。この制御回路は、出力段のどの点に加えられてもよい。点A、B、C、Dは、図4(a)では、参照番号126、124、128、130で表されている。これらの点のいずれかが、メタライゼーションに沿って、DC電源から離れて、又はDC電源の方に向けて動く場合、次いで、インダクタ407、408、410、412のインダクタンス値も変動することになることが理解されるであろう。参照番号124で示される点Bは、プリント配線又は回路板上でボンド・ワイヤ112がメタライゼーション層132と接続する点を表すことに留意すべきである。
【0040】
本発明の他の実施形態が図5に示され、この図は、トランジスタ電力増幅器の出力段の実装形態をより完全に示している。図5では、トランジスタ電力増幅器は、参照番号502で表されている。参照番号504が、トランジスタの出力に接続された整合回路網を示し、この回路網を介して、電力増幅器の無線周波数出力が線512上に生成される。この整合回路網は、インダクタ508及び506の直列対と、グランドに接続された並列コンデンサ510とを含む。変調可能な電源が、参照番号514で表され、一般に、加算器(summer)518への帰還接続を有する増幅器516を含み、この加算器が、増幅器の出力を、入力信号と組み合わせる。変調可能なDC電源は、線520上に設けられている。インダクタ522が、トランジスタ電力増幅器502の出力と、線520上の変調可能な電源装置との間に接続され、電源供給インダクタンスを表している。
【0041】
本発明によれば、共振回路と抵抗負荷とを含む制御回路530が設けられる。この共振回路は、インダクタ532と、コンデンサ534とを含み、また、負荷536が設けられている。この制御回路530は、並列に接続されたインダクタ528とコンデンサ526とを含むRF遮断回路524を介して、トランジスタ電力増幅器502の出力に接続されている。
【0042】
この制御回路530は、540で表されるように、グランドに接続されている。
【0043】
本明細書では、高周波について述べている。かかる高周波の値の範囲は適用例に依存する。しかし、一般に、高周波について述べるということは、高変調周波数について述べるということである。本発明の好ましい実装形態では、無線周波数の適用例では、高周波の範囲は、変調スペクトルの上部であるが、無線周波数信号の周波数よりもかなり低い。
【0044】
また、本明細書では、低インピーダンスについても述べている。かかる低インピーダンスの値の範囲は、適用例に依存する。一般に、インピーダンスは、特定のどんな変調周波数においても、周波数の範囲全体にわたる平均インピーダンスよりも大幅に高くなるべきではない。好ましい実装形態では、低インピーダンスとは、1〜10オームの範囲であると考えられる。
【0045】
従って、本発明及び本発明の実施形態は、変調された電源を利用した電力増幅器段の出力において使用するための制御回路を提供する。この制御回路は、抵抗器と、好ましくは、インダクタとコンデンサとを含む共振回路とを含む。共振回路のインダクタは、電力増幅器の出力段に含まれる固有のインダクタンスによってもたらされることができる。かかる制御回路の提供は、電力増幅器の位相幾何学(topology)に伴う問題を克服する。
【0046】
この制御回路が、「オフ・チップ(off−chip)」で設けられ、特に、プリント配線又は回路板のメタライゼーションに接続されている、本発明の実施形態が説明されてきた。本発明は、かかる位置への実装のみに限られるものではない。例えば、この制御回路は、「オン・チップ(on−chip)」で実装されてもよい。この実装は、図2に示されるような等価回路への直接のアクセスを与え、従って、より優れた性能を実現することができる。図1では、参照番号118及び120は、制御回路のオン・チップでの実装可能な位置を示す。
【0047】
制御回路の諸素子の特有の値は、実装形態に依存する。当業者なら、制御回路が使用される適用例に応じて、その制御回路のコンデンサと、インダクタと、抵抗器との適切な値を選択することが可能であろう。
【0048】
本質的に、本発明は、電力増幅器回路内のトランジスタのドレイン(出力)ノードにおいて低インピーダンスを維持し、それにより、電力増幅器回路内の寄生共振が減衰されることを提供する。
【0049】
本発明は、本明細書では特定の実施形態及び例を参照に説明されてきた。本発明は、記載の特定のどの実施形態にも限定されるものではない。本明細書に示された実施形態の改変及び変更が、当業者には理解されるであろう。本発明によって与えられる保護の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に従って実装された制御回路の例示的な位置を含む、RF電力段の物理的表現を示す。
【図2】図1に示されるような、パッケージされた電力トランジスタの等価回路を示す。
【図3】本発明の実施形態による制御回路を有する場合、有しない場合での、様々な周波数における、共振によってトランジスタ端子に示されるインピーダンス、位相、及び振幅それぞれの曲線を示す。
【図4】本発明の実施形態に従った制御回路の実装形態を含む、図1に示されるような電力増幅器の電気等価回路を示す。
【図5】電力増幅器出力回路網内の、本発明による制御回路網の特定の実施形態の実装を示す。
【符号の説明】
【0051】
106、116、132 メタライゼーション
108、206、208、406、422、534 コンデンサ
110、112 ボンド・ワイヤ
114、210、402、502 トランジスタ電力増幅器
202、204、407、408、410、412、420、522、532 インダクタ
404、424 抵抗器
426 共振回路(制御回路)
514 変調可能な電源
530 制御回路
536 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力増幅器回路は、
入力において増幅されるべき信号を受け取り、且つ、出力において増幅された信号を出力するトランジスタ(502、210)と、
包絡線変調された電源装置(514)であって、前記トランジスタの出力に接続されて、前記トランジスタへ変調された電源を供給する、電源装置と、
前記トランジスタ(502、210)のコンデンサ(206)と前記変調された電源装置(514)の電源供給のインダクタンス(522)とを含む共振回路網であって、前記共振回路網は前記トランジスタ(502、210)に対して供給インピーダンスを与え、動作周波数の範囲内のある周波数において、前記トランジスタ(502、210)に対する前記供給インピーダンスが前記共振回路網により増大する、共振回路網と、
を含み、
前記電力増幅器回路は抵抗素子(424、536)をさらに含み、前記抵抗素子は前記トランジスタ(502、210)の出力に接続され、それにより、前記トランジスタ(502、210)に対する前記供給インピーダンスが前記第1の共振回路網と前記抵抗素子(424、536)とが合成したインピーダンスを示し、且つ、それにより、前記トランジスタ(502、210)に対する前記供給インピーダンスが動作周波数の範囲にわたって安定する、
電力増幅器回路。
【請求項2】
前記抵抗素子(424、536)が、抵抗器を含む、請求項1に記載の電力増幅器回路。
【請求項3】
前記抵抗素子(424、536)と直列に接続されたリアクタンス素子(422、534、420、532)を更に含む、請求項1又は2に記載の電力増幅器回路。
【請求項4】
前記リアクタンス素子(422、534、420、532)が、容量素子(422、534)、又は容量素子と直列にあるインダクタンス素子(420、532)を含む、請求項3に記載の電力増幅器回路。
【請求項5】
前記インダクタンス素子(420、532)が、前記回路の導電素子を含む、請求項4に記載の電力増幅器回路。
【請求項6】
前記回路の前記導電素子が、導電トラック又はボンド・ワイヤの一部を含む、請求項5に記載の電力増幅器。
【請求項7】
前記インダクタンス素子(420、532)が、インダクタを含む、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電力増幅器。
【請求項8】
前記インダクタンス素子(420、532)が、前記変調された電源装置の前記電源供給インダクタンスを含む、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の電力増幅器。
【請求項9】
前記容量素子(422、534)が、コンデンサを含む、請求項4乃至8のいずれか一項に記載の電力増幅器。
【請求項10】
前記増幅されるべき信号が、無線周波数信号である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電力増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−259497(P2011−259497A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184960(P2011−184960)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【分割の表示】特願2006−552716(P2006−552716)の分割
【原出願日】平成17年2月9日(2005.2.9)
【出願人】(506198414)ヌジラ、リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】NUJIRA LTD.
【Fターム(参考)】