説明

安定性ラキニモド製剤

本発明は、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミン、および医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願を通して、様々な刊行物、公開された特許出願、および特許が参照される。これらの文献の開示は、その全体が、本発明が属す技術的現状をより十分に記述するために、本出願に引用される。
【0002】
ラキニモド(laquinimod)は、急性実験的自己免疫性脳脊髄炎(aEAE)モデルにおける効果が示された化合物である(米国特許第6,077,851号)。その化学名は、N−エチル−N−フェニル−1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドであり、その化学登録番号(Chemical Registry number)は248281−84−7である。ラキニモドおよびそのナトリウム塩の製剤の合成方法は、米国特許第6,077,851号に開示されている。ラキニモドの合成の付加的方法は、米国特許第6,875,869号に開示されている。
【0003】
ラキニモドナトリウムを含む医薬組成物は、PCT国際出願公開WO 2005/074899に開示されている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミン、および医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0005】
本発明はまた、本願に記載される医薬組成物を含むシールパッケージ(sealed package)を提供する。
【0006】
本発明はまた、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩および少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物を含むシールパッケージであって、前記シールパッケージは、1リッターあたり15mg/日以下の水分透過率を有するシールパッケージを提供する。
【0007】
本発明はまた、多発性硬化症の形態(form)に苦しむ対象を治療する方法であって、前記対象に本願に記載される医薬組成物を投与し、それによって前記対象を治療することを含む方法を提供する。
【0008】
本発明はまた、多発性硬化症の形態に苦しむ対象における多発性硬化症の病状を軽減する方法であって、前記対象に本願に記載される医薬組成物を投与し、それによって前記対象における多発性硬化症の病状を軽減することを含む方法を提供する。
【0009】
本発明は、多発性硬化症の病状、形態の治療または軽減における使用のための、本願に記載される医薬組成物を提供する。
【発明の詳細な説明】
【0010】
本発明は、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミンおよび医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
医薬組成物の実施態様において、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドは、医薬的に許容可能な塩の形態である。
【0012】
医薬組成物の別の実施態様において、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩は、リチウム塩、ナトリウム塩またはカルシウム塩である。
【0013】
医薬組成物の別の実施態様において、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩は、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドナトリウムである。
【0014】
一実施態様において、医薬組成物は固体の形態である。
【0015】
医薬組成物の別の実施態様において、N−メチルグルカミン対N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的塩の重量比は、13対1から15対1の間、または13対1から18対1の間である。
【0016】
更に別の実施態様において、医薬組成物は更に潤滑剤を含む。潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム(sodium stearyl fumarate)、タルクおよび硬化植物油(hydrogenated vegetable oil)から選択されてよい。
【0017】
医薬組成物の更に別の実施態様において、潤滑剤はステアリルフマル酸ナトリウムである。
【0018】
医薬組成物の更に別の実施態様において、ステアリルフマル酸ナトリウム対N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩の重量比は、9対1から7対1の間である。
【0019】
更なる実施態様において、医薬組成物は、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩、マンニトール、N−メチルグルカミンおよびステアリルフマル酸ナトリウムを含む。
【0020】
また更なる実施態様において、医薬組成物は、医薬組成物の総重量を基準に、0.2%のN−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩、95.6%のマンニトール、3.2%のN−メチルグルカミンおよび1.0%のステアリルフマル酸ナトリウムを含む。
【0021】
本発明はまた、1.0%以下のN−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩が、0.15%のH溶液に40分間さらされた場合に分解することを特徴とする医薬組成物を提供する。この医薬組成物はまた、0.9%、0.8%、0.7% ... または0.1%未満のN−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩が、0.15%のH溶液に40分間さらされた場合に分解することが特徴であってよい。
【0022】
本発明はまた、医薬組成物を製造する方法であって、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミン、および医薬的に許容可能な担体を得ること、および、湿性顆粒化工程(wet granulation process)によって、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミン、および医薬的に許容可能な担体を顆粒化すること、を含む方法を提供する。
【0023】
本発明はまた、本願に記載される医薬組成物を含むシールパッケージを提供する。
【0024】
一実施態様において、シールパッケージは更に乾燥剤を含む。乾燥剤は、過塩素酸マグネシウム、塩化カルシウム、シリカゲル、硫酸カルシウム、活性アルミナおよび分子ふるいから選択されてよい。
【0025】
シールパッケージの別の実施態様において、乾燥剤はシリカゲルである。
【0026】
請求項13から15の何れか1項に記載のシールパッケージの更に別の実施態様において、シールパッケージは、40℃および75%の相対湿度での3ヶ月間の貯蔵の後に、3%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含む。このシールパッケージはまた、それが、2.9%、2.8%、2.7% ... または0.1%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含むことを特徴としてよい。
【0027】
本発明はまた、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩および少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物を含むシールパッケージであって、ここにおいて、前記シールパッケージは、1リッターあたり15mg/日以下の水分透過率を有するシールパッケージを提供する。
【0028】
一実施態様において、シールパッケージはブリスターパック(blister pack)であり、前記ブリスターパックの最大水分透過率が0.005mg/日以下であるブリスターパックである。
【0029】
別の実施態様において、シールパッケージはボトルである。別の実施態様において、ボトルは熱誘導ライナー(heat induction liner)で密閉される。
【0030】
シールパッケージの別の実施態様において、医薬的に許容可能な担体は、アルカリ性薬剤(alkaline agent)である。
【0031】
別の実施態様において、シールパッケージは更に潤滑剤を含む。
【0032】
シールパッケージの別の実施態様において、潤滑剤はステアリルフマル酸ナトリウムである。
【0033】
シールパッケージの別の実施態様において、シールパッケージを40℃の温度および75%の相対湿度に3ヶ月間さらした後に、シールパッケージは、3%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含む。このシールパッケージは、それが、2.9%、2.8%、2.7% ... または0.1%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含むことを特徴としてよい。
【0034】
シールパッケージの別の実施態様において、シールパッケージを40℃の温度および75%の相対湿度に3ヶ月間さらした後に、シールパッケージは、1%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含む。このシールパッケージは、それが、0.9%、0.8%、0.7% ... または0.1%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含むことを特徴としてよい。
【0035】
別の実施態様において、シールパッケージはHDPEボトルを含む。
【0036】
別の実施態様において、シールパッケージは更に乾燥剤を含む。
【0037】
シールパッケージの別の実施態様において、乾燥剤はシリカゲルである。
【0038】
本発明はまた、多発性硬化症の形態に苦しむ対象を治療する方法であって、前記対象を治療するために前記対象に本願に記載される医薬組成物を投与し、それによって前記対象を治療することを含む方法を提供する。
【0039】
本発明はまた、多発性硬化症の形態に苦しむ対象における多発性硬化症の病状を軽減する方法であって、前記対象に本願に記載される医薬組成物を投与し、それによって前記対象における多発性硬化症の病状を軽減することを含む方法を提供する。
【0040】
本発明はまた、多発性硬化症の病状、形態の治療または軽減における使用のための、本願に記載される医薬組成物を提供する。
【0041】
本発明はまた、多発性硬化症の病状、形態の治療または軽減のための医薬の製造のための医薬組成物の使用を提供する。
【0042】
本願において使用されるようなラキニモドの医薬的に許容可能な塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛、アルミニウムおよび鉄を含む。
【0043】
「アルカリ性薬剤」は、それが使用される医薬組成物のpHを上昇させるいずれかの医薬的に許容可能な賦形剤である。医薬組成物が固体の形態の場合、そのpHは、一定量の組成物を一定量の水に溶解し、その後従来の方法を使用したpH測定により測定することができ、例えば、2gの組成物を4gの脱イオン水に溶解し、その後得られたスラリーのpH測定により測定することができる。
【0044】
N−メチルグルカミンまたはメグルミンとしても知られる1−デオキシ−1−(メチルアミノ)−D−グルシトールは、D−グルコースおよびメチルアミンから製造することができる(Merck Index, 12th ed. (1996), page 1038)。メグルミンは、酸と塩を形成し、金属と複合体を形成する。
【0045】
多発性硬化症は、脳および脊髄における脱髄により、病理学的に特徴付けられる、慢性の、炎症性のCNS疾病である。多発性硬化症には5つの主要な形態が存在する:1)良性多発性硬化症(benign multiple sclerosis);2)再発−弛張性多発性硬化症(relapsing−remitting multiple sclerosis) (RR−MS);3)二次進行性多発性硬化症(secondary progressive multiple sclerosis) (SP−MS);4)一次進行性多発性硬化症(primary progressive multiple sclerosis) (PP−MS);および5)進行−再発性多発性硬化症(progressive−relapsing multiple sclerosis) (PR−MS)。多発性硬化症の病状は、再発の頻度、臨床的悪化の頻度、または身体的能力障害の蓄積を含む。
【実施例】
【0046】
[例1:炭酸ナトリウムを含むラキニモドナトリウムカプセル]
表1に示されるように、以下の賦形剤を使用して、1カプセルあたり0.3mgのラキニモド酸(LA)、および1カプセルあたり0.6mgのラキニモド酸(LA)に相当するカプセルを作製した。
【表1】

【0047】
以下の方法を使用してカプセルを作製した:
1.マンニトール、および無水炭酸ナトリウムの所望の全量のうち99%を、高剪断顆粒化ミキサー(high shear granulating mixer)に入れ、30秒間混合した;
2.ラキニモドナトリウム、無水炭酸ナトリウムの所望の全量のうち1%および精製水の溶液を、ミキサー内にて、溶解するまで作製した;
3.工程2による溶液を、工程1の高剪断顆粒化ミキサーの内容物に添加し、混合して適切な顆粒を形成した;
4.顆粒を、流動床乾燥機内にて、吸気温度50℃、排気温度40℃で乾燥させた;
5.乾燥した顆粒を0.8mmのふるいを用いて製粉し、ステアリルフマル酸ナトリウムと混合した;
6.工程5による混合物を、0.6 mgのラキニモド酸用量のためにサイズ1ハードゼラチンカプセル(0.5ml容量)、および、0.3 mgのラキニモド酸用量のためにサイズ3ハードゼラチンカプセル(0.3ml容量)に充填した。
【0048】
[例2:メグルミンを含むラキニモドナトリウムカプセル]
表2に示されるように、以下の賦形剤を使用して、1カプセルあたり0.3mgのラキニモド酸(LA)、および1カプセルあたり0.6mgのラキニモド酸(LA)に相当するカプセルを作製した。
【表2】

【0049】
以下の方法を使用してカプセルを作製した:
1.マンニトール、およびメグルミンの所望の全量のうち90%を、高剪断顆粒化ミキサー(high shear granulating mixer)に入れ、30秒間混合した;
2.ラキニモドナトリウム、メグルミンの所望の全量のうち10%および精製水の溶液をミキサー内で溶解するまで作製した;
3.工程2による溶液を、工程1の高剪断顆粒化ミキサーの内容物に添加し、混合して適切な顆粒を形成した;
4.顆粒を、流動床乾燥機ないにて、吸気温度50℃、排気温度40℃で乾燥させた;
5.乾燥した顆粒を0.8mmのふるいを用いて製粉し、ステアリルフマル酸ナトリウムと混合した;
6.工程5による混合物を、0.6 mgのラキニモド酸用量のためにサイズ1ハードゼラチンカプセル(0.5ml容量)、および、0.3 mgのラキニモド酸用量のためにサイズ3ハードゼラチンカプセル(0.3ml容量)に充填した。
【0050】
[例3a: パッケージングの水蒸気透過率試験]
以下の容器を試験した:
A. アルミニウム熱誘導ライナーを有した33mmキャップ(CL, Argus−Loc, 33mm, 400, white, .020” WLP/SG−529 Top Tab “E.O.S.” Red、Owens−Brockway Plastics(Brookville、PA)により製造)で密封される、円形高密度ポリエチレン(HDPE) 40 mL 容器 (40 cc W/M Rd、Drug Plastics & Glass Co.により製造、Lot 009213);
B. シルバーアルミニウム(ブリスター箔リール: 151 mm、ストーブラッカーLD2000、アルミニウム硬性弾性箔、ヒートシールコーティングLX4DP、Hueck Folien Pirkmuhleにより製造)が装着される、軟性のアルミニウムを使用したブリスターパッケージング(アルミニウムの薄いストリップゲージ45ミクロン、柔かい弾性、平滑、非光沢側ラッカーは25ミクロンOPAフィルムに積層される、光沢側ラッカーは60ミクロンPVCフィルムに積層される、Alcan(ドイツ、ジンゲン(Singen))により製造);
C. ポリプロピレンキャップ(28mm、2gシリカゲルを伴う、Superfos Pharma Pack(デンマーク、Vaelose)により製造、Article no. 02829D−300T.)で密封される、HDPE 50mL容器(DUMA(登録商標)、Superfos Pharma Pack(デンマーク、バエロース(Vaelose))により製造、Article No. 035050−300);
D. 小児耐性キャップ(33mm)(33mm Saf−Cap III−A、パルプおよびポリエックス(polyex)の第1の裏地、および第2の裏地、“SFYP”とプリントされる0.020 Tekni−FoamにPS−22 0.002”Evaワックス型圧力感受性接着剤がコーティングされる、Van Blarcom,Closures,Inc.(NY、ブルックリン)により製造)で密封される、HDPE 30mL容器(Quality Container(ミシガン州、イプシランティ)により製造、Item No.W.0030B33400WH09T)。
【0051】
容器A、CおよびD
容器A、CおよびDの水分透過率を、以下の通り、米国薬局方第29版、米国薬局方<671>(カプセルおよび錠剤のための複数単位容器)によって測定した。
【0052】
乾燥剤の製造:ある量の4から8メッシュの無水塩化カルシウムを、わずかな微細な粉末でも除外するよう配慮しながら、底の浅い容器に移し、110℃で1時間乾燥させ、乾燥機内で冷却させた。
【0053】
方法:均一なサイズおよび型のコンテナを12個選択し、封着する表面をリントフリーの布で拭き、各々の容器について30回開け閉めした。容器を閉める際は、蓋(closure)を確実におよび均一に適用した。スクリューキャップ容器は、表3に明示される緊張(tightness)の範囲のトルクで閉めた。乾燥剤は、各々蓋から13mm以内まで充填して、10個の容器(試験容器と呼称)に添加した。それぞれ、乾燥剤を添加した直後に閉じた。このとき、スクリューキャップ容器の場合は表3に示されるトルクを適用した。残りの2個の容器(コントロールと呼称)のそれぞれに、試験容器のそれぞれの重量に等しくなるまで充分な数のガラスビーズを添加し、スクリューキャップ容器の場合は表3に示されるトルクを適用して閉めた。このように作製した個々の容器の重量について、最近接のmgまで記録し;および75°±3%の相対湿度かつ23℃±2℃の温度にて貯蔵した。336±1時間(14日)後、個々の容器の重量を同様に記録した。試験される容器と同一サイズおよび型の空の容器5個において、水または例えば十分に締め固めた微細なガラスビーズといった非圧縮性で自由に流動する固形物を、蓋を閉めた際のその表面によって示される高さまで完全に充填した。各々の内容物をメスシリンダーに移し、平均容器容積をmLで決定した。水分透過率(1リットルあたりmg/日)を以下の式から算出した:
(1000/14V)[(TF−TI)−(CF−CI)]
ここにおいて、Vは容器の容積(mL)であり、(TF−TI)は、それぞれの試験容器の最初と最後の重量の差(mg)であり、(CF−CI)は、2個のコントロールの平均の最後の重量と平均の最初の重量との間の差(mg)である。薬剤のために使用される容器は処方の際に施与されるため、10個の試験容器の内多くても1個が、水分透過率で1リッターあたり100mg/日を超え、1リッターあたり200mg/日を超えるものはなく、このように試験した容器は気密容器であった。
【表3】

【0054】
容器B
容器Bの水分透過率を、以下の通り、米国薬局方第29版、米国薬局方<671>(カプセルおよび錠剤のための複数単位容器)によって測定した。
【0055】
乾燥剤の製造:適切な乾燥剤ペレットを使用前に1時間110℃で乾燥させた。それぞれ約400mgと測定され約8mmの直径を有するペレットを使用した。
【0056】
方法:4以上のパックおよび計10以上の単位投与の容器またはブリスター(それぞれの単位に1ペレットが充填される)が試験されるように、適切な数のパックに封をした。対応する数の空のパック(それぞれのパックは試験パックにして使用されたのと同一の数の単位投与容器またはブリスターを含む)に封をし、コントロールとした。全ての容器を、75%±3%の相対湿度および23℃±2℃の温度にて貯蔵した。24時間後、およびそのそれぞれのまとまりにおいて、チャンバーからのパックを取り出し、約45分間平衡化させた。個々のパックの重量を記録し、チャンバーに戻した。コントロールパックは単位として重量を測定し、全重量をコントロールパックの数で割って、平均空パック重量を得た。以下の式を使用して、各々のパックにおける各々の単位投与容器またはブリスターについて、平均水分透過率を算出した:
(1/NX)[(WF−WI)−(CF−CI)]
ここにおいて、Nは、試験期間が終了した日数であり(最初の24時間の平衡期間の後に開始);Xは、パックあたりの別々に封着された単位の数であり;(WF−WI)は、各々の試験パックの最後と最初の重量の差(mg)であり、および、(CF−CI)は、コントロールパックの最後の重量の平均と最初の重量の平均との差(mg)であり、率は有効数字2桁まで算出した。
【0057】
結果
それぞれの容器の試験した透過率の結果は以下の通りである。それぞれの容器に対するR値(水分透過率)は、mg/L/日で表4に示される。
【表4】

【0058】
A、CおよびD型の10個の容器に対する水分透過率の算術平均値(mg/L/日)は、それぞれ11.4、0.351および28.7と決定された。
【0059】
パッケージングタイプBはUSP<671>方法IIに従って試験した。試験したパックの中で、1日あたり0.5mgの水分透過率を超えたものはなく、従って、USP<671>方法IIに従ってクラスAと分類された。
【0060】
[例3b:様々なパッケージングにおけるラキニモドナトリウムカプセルの外観]
例1および2により製造したラキニモドナトリウムカプセル(0.3mgのLA/カプセル)を、例3aに記載されるように、パッケージングタイプA(パッケージあたり35カプセル)、B(ブリスターパッケージあたり、7カプセル、それぞれ独立に封がされる)、C(パッケージあたり35カプセル)およびD(パッケージあたり40カプセル)に包装した。
【0061】
シールパッケージを40℃、相対湿度75%で貯蔵した。
【0062】
パッケージA、CおよびDについて、1−2のパッケージを時点ごとに開封した。パッケージBについては、5個のブリスターパッケージ(35カプセル)を時点ごとに開封した。シールパッケージのみ、それぞれの時点において評価した。
【0063】
時間0のときは、全てのカプセルの外観が正常であった。様々な時点におけるカプセルの外観を表5に示す。
【表5】

【0064】
これらの結果は、パッケージングDが、例1および2のカプセルの貯蔵には不適格であることを示している。
【0065】
[例3c:様々なパッケージングにおけるラキニモドナトリウムカプセルの安定性]
例1および2からのカプセル(0.3mgのLA/カプセル)を、タイプA、BおよびCのパッケージングにおいて封入した。
【0066】
シールパッケージは40℃、相対湿度75%で貯蔵した。
【0067】
パッケージA、CおよびDについて、1−2のパッケージを時点ごとに開封した。パッケージBについては、5個のブリスターパッケージ(35カプセル)を時点ごとに開封した。シールパッケージのみ、それぞれの時点において評価した。
【0068】
特定の時点において、幾つかのカプセルのクロマトグラフィー分析により、フマル酸として同定されるピークを観察した。フマル酸は、製剤中にステアリルフマル酸ナトリウムの分解の結果として存在する。ステアリルフマル酸ナトリウムのパーセント分解は、存在するフマル酸の量に基づいて算出した。ステアリルフマル酸ナトリウムのパーセント分解(w/w、分解されたステアリルフマル酸ナトリウム/最初のステアリルフマル酸ナトリウム)は表6に示される。
【表6】

【0069】
[例4:ラキニモドナトリウムカプセルの強制的分解]
例1および2に従って製造したラキニモドナトリウムカプセルを、0.15%のH溶液に40分間さらした。
【0070】
さらした後のそれぞれのカプセルにおけるラキニモドナトリウムの量は、クロマトグラフィーアッセイを使用して測定し、パーセント減少は以下の通りであった:
例1の製剤:28.5%減少
例2の製剤:0.7%減少。
【0071】
[結果]
ラキニモドナトリウム中の賦形剤としてのメグルミンの使用は、強制的な条件下における酸化に関連するラキニモドナトリウムの分解を予防した。
【0072】
[考察]
例2の製剤におけるメグルミンの使用は、40℃および75%の相対湿度においてステアリルフマル酸ナトリウムの分解を阻害した。すなわち、メグルミンを含まない類似の製剤と比較して、3ヶ月後において10%以下の分解であった。このことは、ラキニモドナトリウム製剤におけるメグルミンの使用が安定性を増大させることを意味する。
【0073】
さらに、メグルミンの使用は、製剤におけるラキニモドナトリウムの分解を減少させる。具体的に、0.15%のH溶液に40分間さらされた場合、例2のメグルミンを含む製剤は、同様の条件下におけるメグルミンを含まない類似した製剤と比較して、2.5%未満のラキニモドナトリウムの分解を示した。
【0074】
加えて、3ヶ月後の結果から分かるように、シリカゲルといった乾燥剤が存在する状態におけるラキニモドナトリウム組成物のパッケージングは、製剤の安定性を増大させる。具体的に、パッケージング中における乾燥剤の存在は、同様の条件および時間間隔の下での乾燥剤を含まないパッケージングと比較して、20%未満(ある場合には、0.5%)のステアリルフマル酸ナトリウムの分解という結果が得られる。
【0075】
WO 2005/07489は、ラキニモドが固体状態において化学的に分解する可能性があることを開示する。従って、WO 2005/074899は、中性の形態におけるラキニモド塩基をアルカリの溶液に溶解し、炭酸ナトリウムといった構成成分と反応させ、ラキニモドナトリウムを製造することによる、医薬的使用のためのラキニモドナトリウムの製造方法を教示する。WO 2005/074899に開示される製造方法は全て、ラキニモド塩基を水と接触した状態に維持する。
【0076】
WO 2005/074899の開示は、従って、ラキニモドを水と接触させる場合に何も問題がないことを示す。それゆえ、ラキニモドをパッケージングする問題に取り組む場合、ラキニモドのためのパッケージは水分に対して透過性かどうかは無関係だと思われる。しかしながら、本願で、固体のラキニモド製剤は実際に水分に対して敏感であり、水分が存在するとより急速に分解することが示された。この新たに認識された問題を解決するために、本発明は、ラキニモドが低い水分透過率のパッケージに包装されるべきであることを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミン、および医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬組成物であって、前記N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドが、医薬的に許容可能な塩の形態である医薬組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の医薬組成物であって、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩が、リチウム塩、ナトリウム塩またはカルシウム塩である医薬組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載の医薬組成物であって、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩が、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドナトリウムである組成物。
【請求項5】
固体の形態における請求項1から4の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
請求項1から5の何れか1項に記載の医薬組成物であって、N−メチルグルカミン対N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的塩の重量比が、13対1から18対1の間である医薬組成物。
【請求項7】
さらに潤滑剤を含む請求項1から6の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記潤滑剤がステアリルフマル酸ナトリウムである請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の医薬組成物であって、ステアリルフマル酸ナトリウム対N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩の重量比が、9対1から7対1の間である医薬組成物。
【請求項10】
請求項1から9の何れか1項に記載の医薬組成物であって、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩、マンニトール、N−メチルグルカミンおよびステアリルフマル酸ナトリウムを含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の医薬組成物であって、前記医薬組成物の総重量を基準に、0.2%のN−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドの医薬的に許容可能な塩、95.6%のマンニトール、3.2%のN−メチルグルカミンおよび1.0%のステアリルフマル酸ナトリウムを含む医薬組成物。
【請求項12】
1.0%以下のN−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩が、0.15%のH溶液に40分間さらされた場合に分解することを特徴とする、請求項1から11の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
医薬組成物を製造する方法であって、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミン、および医薬的に許容可能な担体を得ること、および、湿性顆粒化工程によって、N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩、N−メチルグルカミン、および医薬的に許容可能な担体を顆粒化すること、を含む方法。
【請求項14】
請求項1から13の何れか1項に記載の医薬組成物を含むシールパッケージ。
【請求項15】
更に乾燥剤を含む請求項14に記載のシールパッケージ。
【請求項16】
前記乾燥剤がシリカゲルである請求項14に記載のシールパッケージ。
【請求項17】
請求項14から16の何れか1項に記載のシールパッケージであって、40℃の温度および75%の相対湿度に3ヶ月間さらした後に、3%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含むシールパッケージ。
【請求項18】
N−エチル−N−フェニル−1,2,−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−5−クロロ−1−メチル−2−オキソキノリン−3−カルボキサミドまたはその医薬的に許容可能な塩および少なくとも1つの医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物を含むシールパッケージであって、前記シールパッケージは、1リッターあたり15mg/日以下の水分透過率を有するシールパッケージ。
【請求項19】
請求項18に記載のシールパッケージであって、前記シールパッケージはブリスターパックであり、前記ブリスターパックの最大水分透過率が0.005mg/日以下であるシールパッケージ。
【請求項20】
前記シールパッケージがボトルである、請求項18に記載のシールパッケージ。
【請求項21】
請求項20に記載のシールパッケージであって、前記ボトルが熱誘導ライナーで密閉されるシールパッケージ。
【請求項22】
請求項18から21の何れか1項に記載のシールパッケージであって、前記医薬的に許容可能な担体がアルカリ性薬剤であるシールパッケージ。
【請求項23】
更に潤滑剤を含む請求項22に記載のシールパッケージ。
【請求項24】
請求項23に記載のシールパッケージであって、前記潤滑剤がステアリルフマル酸ナトリウムであるシールパッケージ。
【請求項25】
請求項24に記載のシールパッケージであって、前記シールパッケージを40℃の温度および75%の相対湿度に3ヶ月間さらした後に、3%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含むシールパッケージ。
【請求項26】
請求項24に記載のシールパッケージであって、前記シールパッケージを40℃の温度および75%の相対湿度に3ヶ月間さらした後に、1%未満のステアリルフマル酸ナトリウムの分解物を含むシールパッケージ。
【請求項27】
請求項18、20または21に記載のシールパッケージであって、前記シールパッケージがHDPEボトルを含むシールパッケージ。
【請求項28】
更に乾燥剤を含む請求項27に記載のシールパッケージ。
【請求項29】
請求項28に記載のシールパッケージであって、前記乾燥剤がシリカゲルであるシールパッケージ。
【請求項30】
多発性硬化症の形態に苦しむ対象を治療する方法であって、前記対象に請求項1から12の何れか1項に記載の医薬組成物を投与し、それによって前記対象を治療する方法。
【請求項31】
多発性硬化症の形態に苦しむ対象における多発性硬化症の病状を軽減する方法であって、前記対象に請求項1から12の何れか1項に記載の医薬組成物を投与し、それによって前記対象における多発性硬化症の病状を軽減する方法。
【請求項32】
多発性硬化症の病状、形態の治療または軽減における使用のための、請求項1から12の何れか1項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
多発性硬化症の病状、形態を治療または軽減するための医薬の製造のための、請求項1から12の何れか1項に記載の医薬組成物の使用。

【公表番号】特表2009−539984(P2009−539984A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515443(P2009−515443)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/013721
【国際公開番号】WO2007/146248
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】