説明

定着ユニット及び定着ユニットが組み込まれた画像形成装置

【課題】トナー画像の定着工程を好適に行う定着ユニット及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】弧状の加熱区間を規定する加熱機構と、前記加熱区間に沿う周面を含む加熱ローラと、前記周面に沿って前記加熱ローラに巻回されるベルトと、該ベルトに張力を与える張力付加要素と、前記加熱ローラと前記張力付加要素との間の前記ベルトの張設方向に沿う付勢方向に前記張力付加要素を付勢する付勢機構と、を備えることを特徴とする定着ユニット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像をシートに定着させる定着ユニット及び定着ユニットが組み込まれた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、ファクシミリ装置やプリンタといった画像形成装置は、典型的には、トナー画像をシートに定着させる定着ユニットを備える。ある種の定着ユニットは、加熱ローラと、加熱ローラに圧接される加圧ローラとを含む。トナー画像を担持したシートが加熱ローラと加圧ローラとの間のニップ部を通過する間、トナー画像はシートに定着される。
【0003】
他の種の定着ユニットは、加熱されたベルトと、ベルトに圧接される加圧ローラとを備える。シートがベルトと加圧ローラとの間のニップ部を通過する間、トナー画像はシートに定着される。特許文献1は、このようなベルトタイプの定着ユニットを開示する。
【0004】
特許文献1によれば、定着ユニットは、上述のベルト及び加圧ローラに加えて、ベルトに巻回される加熱ローラと、加圧ローラと協働してベルトを挟む定着ローラとを備える。ベルトは、加熱ローラ及び定着ローラに巻回される。定着ユニットは、ベルトの張力を維持するためのテンションローラを備える。テンションローラによって、ベルトの走行の安定化が図られる。
【0005】
特許文献1によれば、定着ユニットは、ベルト及び加熱ローラを誘導加熱する加熱機構を備える。テンションローラは、加熱ローラと定着ローラとの間で規定されるベルトの走行経路に対して直交する方向に付勢される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−139674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
加熱ローラと定着ローラとの間で規定されるベルトの走行経路に対して直交する方向に付勢されたテンションローラは、加熱機構とベルトとの間の距離を変動させる。例えば、ベルトの張力が低下したとき、テンションローラは、加熱ローラの回転中心軸と定着ローラの回転中心軸とを結ぶ直線から離間する方向へ変位する。ベルトの張力が上昇したとき、テンションローラは加熱ローラの回転中心軸と定着ローラの回転中心軸とを結ぶ直線に向けて変位する。
【0008】
加熱ローラの回転中心軸と定着ローラの回転中心軸とを結ぶ直線に対するテンションローラの離接は、加熱機構が規定する加熱区間の始点及び/又は終点におけるベルトと加熱機構との距離の変動を生じさせる。ベルトの温度制御に対する外乱因子となるベルトと加熱機構との距離の変動は、最終的に、トナー画像の定着工程に不具合を生じさせる。
【0009】
上述の不具合は、誘導加熱方式の定着ユニットのみならず、ベルト外面に向けて熱エネルギを供給する他の加熱機構を有する定着ユニットにも共通する。
【0010】
本発明は、トナー画像の定着工程を好適に行う定着ユニット及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一局面に係る定着ユニットは、弧状の加熱区間を規定する加熱機構と、前記加熱区間に沿う周面を含む加熱ローラと、前記周面に沿って前記加熱ローラに巻回されるベルトと、該ベルトに張力を与える張力付加要素と、前記加熱ローラと前記張力付加要素との間の前記ベルトの張設方向に沿う付勢方向に前記張力付加要素を付勢する付勢機構と、を備えることを特徴とする(請求項1)。
【0012】
上記構成によれば、張力付加要素は、加熱機構によって規定される弧状の加熱区間に沿う加熱ローラの周面に沿って巻回されるベルトに張力を与える。付勢機構は、加熱ローラとテンションローラとの間のベルトの張設方向に沿う方向に張力付加要素を付勢する。ベルトの張力の変動に起因するテンションローラの変位はベルトの張設方向に沿うので、ベルトと加熱機構との間の距離は安定化される。かくして、トナー画像の定着工程が良好に行われる。
【0013】
上記構成において、前記張力付加要素を支持する支持要素を更に備え、前記張力付加要素は、前記ベルトと当接する胴部と該胴部から延出するジャーナルとを備えるテンションローラを含み、前記支持要素は、前記ジャーナルを前記付勢方向に案内するためのスリットが形成された支持板を含むことが好ましい(請求項2)。
【0014】
上記構成によれば、支持要素は、ベルトと当接する胴部と、胴部から延出するジャーナルとを含むテンションローラを支持する。テンションローラのジャーナルは、支持要素の支持板に形成されたスリットによってベルトの張設方向に沿う付勢方向に案内されるので、ベルトと加熱機構との間の距離は安定化される。かくして、トナー画像の定着工程が良好に行われる。
【0015】
上記構成において、前記胴部は、アルミニウムから形成されることが好ましい(請求項3)。
【0016】
上記構成によれば、高い熱伝導率を有する胴部によって、ベルトの熱分布の変動が緩和される。
【0017】
上記構成において、前記ベルトを誘導加熱する前記加熱機構は、前記加熱区間に沿うコイル面を形成するコイルと、前記コイルから生じた磁界中の磁力線の経路を規定する磁性要素と、を含み、前記磁性要素は、前記加熱区間の始点及び終点を規定する一対のサイドコアと、前記加熱区間の途中部に配設されるセンタコアと、前記一対のサイドコアそれぞれと前記センタコアとの間で延びる一対のアーチコアと、を含み、前記センタコアは、前記加熱ローラへ向かう前記磁力線の前記経路を部分的に遮断する遮断領域を含むことが好ましい(請求項4)。
【0018】
上記構成によれば、ベルトを誘導加熱する加熱機構は、加熱区間に沿うコイル面を形成するコイルと、コイルから生じた磁界中の磁力線の経路を規定する磁性要素とを含む。磁性要素は、加熱区間の始点及び終点を規定する一対のサイドコアと、加熱区間の途中部に配設されるセンタコアと、一対のサイドコアそれぞれと前記センタコアとの間で延びる一対のアーチコアとを含む。センタコアは、加熱ローラへ向かう磁力線の経路を部分的に遮断する遮断領域を含むので、ベルトに対する加熱領域が遮断領域によって調整可能となる。
【0019】
上記構成において、前記加熱機構は、前記センタコアを回転させる駆動機構を含むことが好ましい(請求項5)。
【0020】
上記構成によれば、駆動機構を用いたセンタコアの回転によって、ベルトに対する加熱領域が調整される。
【0021】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上述の定着ユニットを備えることを特徴とする(請求項6)。
【0022】
上記構成によれば、画像形成装置は、上述の定着ユニットを備えるので、トナー画像の定着工程が良好に行われる。
【発明の効果】
【0023】
上述の如く、本発明に係る定着ユニット並びに定着ユニットが組み込まれた画像形成装置は、トナー画像の定着工程を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る定着ユニットを組み込む画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示される画像形成装置が備える定着ユニットの概略的な断面図である。
【図3】図2に示される定着ユニットの概略的な斜視図である。
【図4】図2に示される定着ユニットが備えるIHコイルユニットを概略的に示す図である。
【図5】図4に示されるIHコイルユニットのセンタコアの概略的な断面図である。
【図6】図4に示されるセンタコア用の駆動機構の概略的なブロック図である。
【図7】図4に示されるセンタコアの回転による温度制御を概略的に説明する図である。
【図8】図2に示される定着ユニットが備えるベルトユニットの概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施例について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。
【0026】
<画像形成装置>
図1は、定着ユニットを備える画像形成装置の構成を示す概略図である。図1に示される画像形成装置は、タンデム型のカラープリンタである。尚、本実施形態に係る原理は、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機或いは外部から入力された画像情報に基づいて印刷媒体の表面にトナー画像を転写して印刷を行う他の装置に適用されてもよい。
【0027】
画像形成装置1は、四角箱状の筐体2を備える。筐体2内部で、カラー画像がシート上に形成される。筐体2の上面部には、シート排出部3が設けられる。シート排出部3には、カラー画像が印刷されたシートが排出される。シートは、例えば、コピー用紙、葉書、OHPシート、トレーシングペーパやトナー画像を形成可能な他の印刷媒体であってもよい。
【0028】
筐体2は、シートを供給する給紙カセット5及び画像形成部7を収容する。また、筐体2には、シートを手差し式に供給するスタックトレイ6が取り付けられる。スタックトレイ6は、給紙カセット5の上方に配設される。スタックトレイ6の上方に配設される画像形成部7は、画像形成装置1の外部から送信されてくる文字や絵柄などの画像データに基づいてシートに画像を形成する。
【0029】
図1に示される筐体2の左部には、第1の搬送路9が形成される。給紙カセット5から繰り出されたシートは、第1の搬送路9を通じて、画像形成部7に搬送される。第2の搬送路10は、給紙カセット5の上方に形成される。スタックトレイ6から送られたシートは、第2の搬送路10を通じて、筐体2の左方から右方に向けて移動し、画像形成部7に到達する。筐体2内の左上部には、画像形成部7によって画像形成処理が施与されたシートに対して定着処理を行う定着ユニット500と、定着処理後のシートをシート排出部3に搬送する第3の搬送路11が設けられている。
【0030】
給紙カセット5は、筐体2の外部(例えば、図1の右側)に引き出し可能に形成される。使用者は、給紙カセット5を引き出し、シートを補充することができる。給紙カセット5は、収納部16を備える。使用者は、収納部16に、様々なサイズのシートを選択的に収納可能である。収納部16に収納されているシートは、給紙ローラ17及び捌きローラ18により1枚ずつ第1の搬送路9に向けて繰り出される。
【0031】
スタックトレイ6は、筐体2の外面に沿う閉位置と筐体2の外面から突出する開位置(図1に示される)との間を上下に回動可能に形成される。スタックトレイ6の手差し部19にはシートが1枚ずつ載置される。代替的に、使用者は、複数枚のシートを手差し部19に載置してもよい。手差し部19に載置されたシートはピックアップローラ20及び捌きローラ21により1枚ずつ第2の搬送路10に向けて繰り出される。
【0032】
第1の搬送路9と第2の搬送路10は、レジストローラ22の手前で合流する。レジストローラ22に到達したシートは、レジストローラ22によって一時的に停止される。レジストローラ22は、その後、シートに対してスキュー調整及びタイミング調整を行う。スキュー調整及びタイミング調整の後、レジストローラ22は、二次転写部23に向けてシートを送出する。二次転写部23に送出されたシートには、中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー画像が二次転写される。二次転写の後、シートは、定着ユニット500に送られる。定着ユニット500は、トナー画像をシート上に定着させる。必要に応じて、トナー画像がシートの一方の面に定着された後に、二次転写部23は他のもう一方の面に新たなフルカラーのトナー画像が形成されてもよい(両面印刷)。両面印刷が行われる場合には、トナー画像がシートの一方の面に定着された後に、シートは第4の搬送路12に送り出され、反転される。二次転写部23によって他のもう一方の面に形成された新たなトナー画像は、定着ユニット500によって定着される。その後、シートは、第3の搬送路11を通って排出ローラ24によりシート排出部3に排出される。
【0033】
画像形成部7は、ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)及びマゼンタ(M)のトナー画像をそれぞれ形成する4つの画像形成ユニット26〜29を備える。画像形成部7は、中間転写部30を更に備える。中間転写部30は、これら画像形成ユニット26〜29で形成されたトナー画像を合成して担持する。
【0034】
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33とを備える。各画像形成ユニット26〜29は、画像形成装置1の外部から送信されてくる文字や絵柄などの画像データに従って、各感光体ドラム32の周面にレーザビームを出射するレーザ走査ユニット34を備える。レーザ走査ユニット34からのレーザビームは、帯電部33の下流の感光体ドラム32の周面に照射される。各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35を更に備える。現像部35は、レーザビームの照射によって形成された静電潜像を担持する感光体ドラム32の周面にトナーを供給し、トナー画像を形成する。感光体ドラム32の周面に形成されたトナー画像は中間転写部30へ転写される(一次転写)。各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36を更に備える。クリーニング部36は、一次転写後の感光体ドラム32の周面を清掃する。
【0035】
図1に示される各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32は、駆動モータ(図示せず)により反時計回り方向に回転する。各画像形成ユニット26〜29の現像部35の各トナーボックス51内には、ブラックトナー、イエロートナー、シアントナー及びマゼンタトナーがそれぞれ収納される。
【0036】
中間転写部30は、画像形成ユニット26の近傍位置に配設された後ローラ(駆動ローラ)38と、画像形成ユニット29の近傍位置に配設された前ローラ(従動ローラ)39と、後ローラ38と前ローラ39の間で延びる中間転写ベルト40とを備える。中間転写部30は、中間転写ベルト40を各画像形成ユニット26〜29の感光体ドラム32に押しつける4つの転写ローラ41を更に含む。転写ローラ41は、現像部35によって形成されたトナー画像を担持する感光体ドラム32の周面に中間転写ベルト40を押しつけ、中間転写ベルト40へのトナー画像の転写(一次転写)を達成する。
【0037】
中間転写ベルト40へのトナー画像の転写の結果、中間転写ベルト40上で、ブラックトナー、イエロートナー、シアントナー及びマゼンタトナーによって形成されたトナー画像が重ね合わせられ、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0038】
第1の搬送路9は、中間転写部30に向けて延びる。給紙カセット5から送られたシートは、第1の搬送路9を通じて、中間転写部30に到達する。第1の搬送路9に沿って、シートを搬送するための複数の搬送ローラ43が適切に配置される。また、中間転写部30の上流に配設されるレジストローラ22は、第1の搬送路9を通過するシートの給紙タイミングを画像形成部7の画像形成動作に合わせて調整する。
【0039】
定着ユニット500は、シートを加熱及び加圧する。この結果、シート上に形成された二次転写直後の未定着のトナー画像は定着される。定着ユニット500は、シートに圧接されるベルト511を含むベルトユニット510と、ベルト511と協働してシートを挟む基準ローラ520とを備える。ベルトユニット510は、ベルト511に巻回される第1ローラ512及び第2ローラ513を備える。本実施形態において、第2ローラ513は、後述される加熱機構によって規定される加熱区間に沿う周面を含む加熱ローラとして例示される。
【0040】
定着ユニット500の下流には、搬送ローラ49が配設される。筐体2内には、二次転写部23から搬送ローラ49に向けて延びる搬送路47が形成される。中間転写部30を通って搬送されたシートは、搬送路47を通じて、基準ローラ520とベルト511との間に形成されたニップ部に導入される。ニップ部で、トナー画像はシート上に定着される。基準ローラ520とベルト511との間を通過したシートは、その後、搬送路47を通じて第3の搬送路11に案内される。
【0041】
搬送ローラ49は、第3の搬送路11にシートを送り出す。第3の搬送路11は、定着ユニット500で定着処理が行われたシートをシート排出部3に案内する。また、第3の搬送路11の出口に配設された排出ローラ24は、シート排出部3へシートを排出する。
【0042】
<定着ユニット>
図2は、定着ユニット500の概略的な断面図である。図3は、定着ユニット500の概略的な斜視図である。図1乃至図3を用いて、定着ユニット500が説明される。
【0043】
(加熱機構)
定着ユニット500は、上述のベルトユニット510及び基準ローラ520に加えて、ベルト511及び第2ローラ513を加熱するIHコイルユニット530を含む。本実施形態において、IHコイルユニット530は、加熱機構として例示される。
【0044】
第2ローラ513に隣接して配設されたIHコイルユニット530は、略Ω形状の断面を有するプラットフォーム200を備える(図2参照)。尚、図3において、プラットフォーム200は示されていない。非導電性の耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)から薄板状に成型されたプラットフォーム200は、略半円筒形状の曲面部230を含む。曲面部230は、第2ローラ513の回転中心軸に対して略平行な一対の端縁を含む。プラットフォーム200は、曲面部230の一対の端縁それぞれから延出する一対の平板状の耳部240を更に含む。一対の耳部240それぞれは、適切な固定具250(例えば、ボルト)を用いて、画像形成装置1の筐体2に固定される。
【0045】
曲面部230は、第2ローラ513から離間する方向に突出する一対の位置決め壁231を備える。位置決め壁231は、第2ローラ513の回転中心軸と略平行に延びる。IHコイルユニット530は、曲面部230に固定されるコイル531を備える。一対の位置決め壁231を基準に巻回されたエナメル線を含むコイル531は、曲面部230に沿うコイル面532を形成する。
【0046】
IHコイルユニット530は、コイル531に電力を供給する電源(図示せず)を備える。電源からの電力供給によって、コイル531は磁界を発生させる。
【0047】
IHコイルユニット530は、コイル531から生じた磁界中の磁力線の経路を規定する磁性要素260を備える。磁性要素260は、一対の耳部240それぞれに固定された一対の平板状のサイドコア533を含む。サイドコア533は、例えば、フェライトから成型される。コイル531から生じた磁界中の磁力線の経路は、サイドコア533を通過する。かくして、一対のサイドコア533は、コイル531からの磁界によって誘導加熱される加熱区間の始点S及び終点Eを規定する。IHコイルユニット530は、始点Sから終点Eまでの弧状の加熱区間において、第2ローラ513の周面に沿って巻回されたベルト511及び第2ローラ513を誘導加熱する(図2参照)。
【0048】
磁性要素260は、加熱区間の中間位置に配設されたセンタコア535と、一対のサイドコア533それぞれとセンタコア535との間で延びるアーチコア534とを更に含む。アーチコア534は、例えば、フェライトから成型される。センタコア535は、第2ローラ513に対して、略平行に配設される。センタコア535の一部は、コイル面532の内縁に取り囲まれる。アーチコア534の基端部は、サイドコア533に接続される。アーチコア534の他端部は、センタコア535の周面に近接する。センタコア535、アーチコア534、サイドコア533及び加熱区間に存するベルト511によって取り囲まれる領域内にコイル面532は配設される。
【0049】
図4は、プラットフォーム200上に載置されたコイル531、サイドコア533、アーチコア534及びセンタコア535を概略的に示す。図2乃至図4を用いて、IHコイルユニット530が更に説明される。
【0050】
アーチコア534は、例えば、センタコア535の長手方向に間隔をおいて複数箇所に配置されるアーチコア片537を含む。アーチコア片537は、例えば、約幅10mmの略L字形状をなすフェライト部材であってもよい。アーチコア片537の高い配設密度は、加熱効率を向上させる。一方で、アーチコア片537の配設密度の低減は、製造コストの低減並びに定着ユニット500の軽量化に貢献する。したがって、アーチコア片537の配設密度は、好ましくは、加熱効率、製造コスト及び/又は軽量化に基づいて、適切に決定される。本実施形態において、複数のアーチコア片537は、等ピッチで整列される。代替的に、センタコア535の長手方向中心位置付近で、アーチコア片537の配設密度が低くされ、センタコア535の端部付近で、アーチコア片537の配設密度が高くされてもよい。アーチコア片537間の間隙は、例えば、アーチコア片537の幅の1/3以上1/2以下の範囲で定められてもよい。
【0051】
サイドコア533は、例えば、連続的に配設された30mm以上60mm以下の複数のフェライト板から形成されてもよい。アーチコア534及びサイドコア533の配置は、例えば、コイル531から発生される磁界の磁束密度(磁界強度)分布に合わせて決定されてもよい。アーチコア片537が存在しない部分では、サイドコア533が磁界の集束効果を補い、センタコア535の長手方向での磁束密度分布(温度差)を均一化する。
【0052】
図5は、センタコア535の長手方向の断面図である。図2、図3及び図5を用いて、IHコイルユニット530が更に説明される。
【0053】
センタコア535は、円柱状の導電性シャフト538と、導電性シャフト538を被覆する円筒形状の磁性筒539を備える。磁性筒539は、例えば、シリコン系接着剤を用いて、導電性シャフト538に接着される。磁性筒539は、例えば、外径14mm以上20mm以下の円筒形状をなす。導電性シャフト538は、円筒形状の磁性筒539と嵌合する胴部541と、一対のジャーナル542,543とを含む。ジャーナル542,543は、胴部541よりも細く形成される。胴部541に同軸に形成されたジャーナル542,543は、磁性筒539から外方に突出する。導電性シャフト538は、好ましくは、非磁性のステンレス鋼から形成される。ステンレス鋼製の導電性シャフト538は、センタコア535の変形を抑制する。尚、ジャーナル542及び543は、好ましくは、非導電性部材を用いて被覆される。かくして、コイル531から導電性シャフト538への電流の伝達が抑制される。
【0054】
磁性筒539は、略円筒形状の複数の磁性筒片544を含む。磁性筒片544は、例えば、フェライトから成型される。複数の磁性筒片544は、導電性シャフト538に沿って連設される。導電性シャフト538の長手方向中心位置に配される磁性筒片544の外径は、導電性シャフト538の胴部541左右端に位置する磁性筒片544の外径よりも大きい。導電性シャフト538の中心に位置する磁性筒片544と導電性シャフト538の左右端に位置する磁性筒片544間の段差を補うように、磁気遮蔽板545が小径の磁性筒片544の外周面を部分的に被覆する。本実施形態において、磁気遮蔽板545が取り付けられたセンタコア535の周面領域は、第2ローラ513へ向かう磁力線の経路を遮断する遮断領域として例示される。
【0055】
磁気遮蔽板545は、好ましくは、非磁性かつ良導電性の材料(例えば、無酸素銅)から形成される。磁気遮蔽板545の面に垂直な磁界の貫通は、誘導電流を発生させる。この誘導電流は、逆磁界を発生させ、錯交磁束(垂直な貫通磁界)をキャンセルする。この結果、磁気遮蔽板545は、磁界を遮蔽することが可能となる。良導電性部材から形成された磁気遮蔽板545は、更に、誘導電流に起因するジュール発熱を抑制し、効率よく磁界を遮蔽することができる。小さな固有抵抗を有する材料で形成された磁気遮蔽板545及び/又は厚い磁気遮蔽板545は、高い導電性を有する。磁気遮蔽板545の板厚は、好ましくは、0.5mm以上である。本実施形態において、約1mmの厚さの磁気遮蔽板545が用いられている。
【0056】
図6は、センタコア535に接続される駆動機構の構成を示す模式図である。図1、図5及び図6を用いて、センタコア535を回転させる駆動機構が説明される。
【0057】
駆動機構64は、ジャーナル542(或いは、ジャーナル543)を通じて、センタコア535を回転させる。センタコア535の回転により、磁気遮蔽板545の位置が変更される。磁気遮蔽板545の移動に伴い、コイル531への電力供給によって生じた磁界中の磁力線の経路の切替がなされる。
【0058】
駆動機構64は、例えば、ステッピングモータ66と、ステッピングモータ66の回転を減速する減速機68とを備える。減速機68にセンタコア535のジャーナル542と接続されたギア549が噛み合う。ステッピングモータ66は、減速機68及びギア549を介して、センタコア535を回転させる。減速機68として、例えば、ウォームギアが用いられてもよい。駆動機構64は、更に、ギア549の回転に連動して回転するスリット付ディスク72と、スリット付ディスク72の回転角(即ち、センタコア535の回転角(基準位置からの回転変位量))を検出するフォトインタラプタ74とを備える。
【0059】
センタコア535の回転角は、例えば、ステッピングモータ66に印加する駆動パルス数によって制御される。駆動機構64はステッピングモータ66の回転を制御する制御回路640を備える。制御回路640は、例えば、制御用IC641、入力ドライバ642、出力ドライバ643及び半導体メモリ644を備える。フォトインタラプタ74からの検出信号は、入力ドライバ642を通じて、制御用IC641に入力される。入力された信号に基づいて、制御用IC641が、現在のセンタコア535の回転角(位置)を検出する。一方、制御用IC641には、画像形成装置1が備える画像形成制御部650から現在のシートサイズに関する情報信号が送信される。画像形成制御部650からの情報信号を受信した後、制御用IC641は、半導体メモリ(ROM)644からシートサイズに適した回転角の情報を読み出し、目標とする回転角に到達する分の駆動パルスを一定周期で出力する。駆動パルスは、出力ドライバ643を通じて、ステッピングモータ66に印加される。駆動パルスにしたがって、ステッピングモータ66が作動する。なお、ステッピングモータ66の制御に際して基準位置だけを検出する必要がある場合には、スリット付ディスク72がインデックス部材として用いられてもよい。基準位置において、インデックス部材がフォトインタラプタ74に検出されてもよい。
【0060】
(ベルトユニット及び基準ローラ)
図2及び図3を再度用いて、ベルトユニット510及び基準ローラ520が説明される。
【0061】
ベルトユニット510は、第1ローラ512と、IHコイルユニット530と第1ローラ512との間に配設される第2ローラ513と、第1ローラ512及び第2ローラ513を巻回するベルト511とを含む。基準ローラ520は、第1ローラ512と協働して、ベルト511を挟む。基準ローラ520とベルト511との間には、フラットニップが形成される。
【0062】
ベルト511は、例えば、厚さ寸法約30μm以上約50μm以下のニッケル電鋳基材と、ニッケル電鋳基材上に積層されるシリコンゴム層と、シリコンゴム層上に形成される離型層(例えば、PFA層)を含む。第2ローラ513は、例えば、外径30mmの円筒状に形成される。第2ローラ513は、円筒形状の鉄基材と、鉄基材外周面に形成される肉厚寸法0.2mm以上1.0mm以下の離型層(例えば、PFA層)を含む。第1ローラ512は、例えば、円柱状に形成される。第1ローラ512は、ステンレス鋼からなる外径45mmの芯金ローラと、芯金ローラの外周面を被覆する厚さ5mm以上10mm以下のシリコンゴムからなるスポンジ層を含む。基準ローラ520は、例えば、外径50mmの円柱状に形成される。基準ローラ520は、ステンレス鋼からなる芯金ローラ、芯金ローラ外周面を被覆する厚さ2mm以上5mm以下のシリコンゴムからなるスポンジ層及び離型層(例えば、PFA層)を含む。基準ローラ520の金属製の芯材は、例えば、FeやAlを用いて形成されてもよい。この芯材上にSiゴム層が形成されてもよい。さらにSiゴム層の表層にフッ素樹脂層が形成されてもよい。
【0063】
定着ユニット500は、ベルト511に張力を与えるテンションローラ540を更に備える。テンションローラ540は、第2ローラ513から第1ローラ512へ向かうベルト511の内面に当接する胴部310と、胴部310の端部から延出するジャーナル320とを含む(図3参照)。テンションローラ540は、走行中のベルト511の撓みの抑制並びにベルト511の走行の安定化に寄与する。胴部310は、好ましくは、アルミニウムから形成される。アルミニウム製の胴部310の高い熱伝導率によって、ベルト511の温度分布の変動が低減される。
【0064】
定着ユニット500は、非接触式にベルト511の温度を測定するサーミスタ62を備える。プラットフォーム200に取り付けられたサーミスタ62は、好ましくは、誘導加熱による発熱量が大きい部分に配置される。尚、サーミスタに代えて、サーモスタットを用いて、ベルト511の温度が測定されてもよい。代替的に、第2ローラ513の内部にサーミスタ62又はサーモスタットが配置されてもよい。サーミスタやサーモスタットといった温度測定要素の配設は、異常温度上昇時の安全性を向上に貢献する。
【0065】
(ベルトユニットに対する熱量制御)
図7は、ベルトユニット510に対する熱量制御を概略的に説明する。図7(a)は、第2ローラ513から最も離間した退却位置に配設された磁気遮蔽板545を備える定着ユニット500を概略的に示す断面図である。図7(b)は、第2ローラ513から最も近接した近接位置に配設された磁気遮蔽板545を備える定着ユニット500を概略的に示す断面図である。図6及び図7を用いて、ベルトユニット510に対する熱量制御が説明される。
【0066】
駆動機構64によるセンタコア535の回転は、ベルトユニット510に対する熱量制御に用いられる。大きなサイズのシートに対する定着処理は、比較的広い範囲での熱量供給を要求する。一方、小さなサイズのシートに対する定着処理は、比較的狭い範囲での熱量供給を要求する。大きなサイズのシートが定着ユニット500を通過するとき、駆動機構64は、磁気遮蔽板545が退却位置に至るようにセンタコア535を回転させる。小さなサイズのシートが定着ユニット500を通過するとき、駆動機構64は、磁気遮蔽板545が近接位置に至るようにセンタコア535を回転させる。
【0067】
磁気遮蔽板545が退却位置にあるとき、コイル531が発生させた磁界の磁力線は、サイドコア533、アーチコア534及びセンタコア535を通過する第1経路P1を介して、第2ローラ513及びベルト511を通過する。この結果、強磁性体のベルト511及び第2ローラ513に渦電流が発生する。渦電流は、それぞれの材料の固有の抵抗に応じたジュール熱を発生させる。かくして、ベルト511及び第2ローラ513は磁気遮蔽板545に妨げられることなく全体的に加熱される。
【0068】
近接位置にある磁気遮蔽板545は、センタコア535と第2ローラ513との間に存する。したがって、コイル531が発生させた磁界の磁力線の第2経路P2は、センタコア535をほとんど通過しない。かくして、センタコア535の回転によって、コイル531が発生させた磁界中の磁力線の経路が切り換えられる。この結果、磁気遮蔽板545が配設されたセンタコア535の両端部に対向するベルト511及び第2ローラ513の発熱量が低減される。
【0069】
(ベルトユニット)
図8は、ベルトユニット510の斜視図である。図2、図3及び図8を用いて、ベルトユニット510が説明される。
【0070】
ベルトユニット510の第2ローラ513は、弧状の加熱区間に沿うベルト511の走行経路を形成する略円柱形状の胴部518(図3参照)と、胴部518の端面から突出するジャーナル552と、胴部518とジャーナル552とを接続するベアリング561(図3参照)と、ベルト511の両縁それぞれに沿う一対の円板状のフランジ519とを備える。胴部518より大径のフランジ519は、ベルト511の走行の最大の振れ幅を規定する。フランジ519によって、ベルト511の横位置は、一対のフランジ519の間に適切に収められる。胴部518は、ベアリング561を介して、ジャーナル552周りに回転する。胴部518を回転させる駆動力は、ベルト511を介して、第1ローラ512から伝達される。
【0071】
第2ローラ513のジャーナル552には、ブラケット562が取り付けられる。ブラケット562は、ベルトユニット510と基準ローラ520とを支持する支持枠(図示せず)との接続に用いられる。
【0072】
図8に示される如く、ベルトユニット510は、保持フレーム553を備える。保持フレーム553は、ブラケット562とフランジ519との間に配設される支持板554と、シートの搬送方向において上流側に配設される入口壁555と、入口壁555と反対側に配設される出口壁556とを含む。ブラケット562は、支持板554の周縁に形成された切欠部563内に差し込まれる。かくして、第2ローラ513は、支持板554に適切に支持される。
【0073】
図8に示される如く、テンションローラ540は、ジャーナル320に取り付けられたベアリング321を備える。支持板554には、ベアリング321を収容するスリット322が形成される。スリット322の輪郭を規定する支持縁323は、ベアリング321を支持する。かくして、本実施形態において、保持フレーム553は、テンションローラ540を支持する支持要素として例示される。
【0074】
支持板554に形成されたスリット322は、第2ローラ513とテンションローラ540とによって規定される走行区間に略平行な第1方向Fに延びる。第2ローラ513とテンションローラ540とによって規定される走行区間において、ベルト511は、第2ローラ513の胴部518と、テンションローラ540の胴部310との間の共通接線に略一致する。スリット322は、第1方向Fに沿うテンションローラ540の変位を許容する。
【0075】
図2に示される如く、テンションローラ540は、第1ローラ512と第2ローラ513との間の共通接線Tよりも外方にベルト511を屈曲させる。したがって、テンションローラ540を第1方向Fに沿って変位させる力の分力(共通接線Tに対して、直交する力成分)によって、ベルト511の張力は適切に維持される。かくして、テンションローラ540は、ベルト511の弛みを適切に除去する。
【0076】
保持フレーム553は、支持板554の外面に沿うスライド板330を更に備える。略平板状のスライド板330の中央には、略台形状の開口部331が形成される。開口部331からテンションローラ540のベアリング321が露出する。
【0077】
スライド板330は、開口部331の内方に突出する第1爪部332を含む。支持板554に形成されたスリット322に向けて屈曲する第1爪部332は、テンションローラ540のベアリング321の周面に当接する。
【0078】
支持板554には、第1方向Fに延びる副スリット324が形成される。副スリット324は、支持板554と入口壁555との間の角隅部に向けて延びる。スライド板330は、第2爪部333を含む。スライド板330の周縁から延出する第2爪部333は、副スリット324に向けて屈曲し、支持板554と係合する。
【0079】
保持フレーム553は、コイルバネ340を更に備える。コイルバネ340は、スライド板330の周縁に係合される第1端部341と支持板554に係合される第2端部342とを含む。スライド板330の周縁は、コイルバネ340の第1端部341と係合されるための切欠部334を規定する。支持板554は、外方に突出する係合爪343を含む。係合爪343にコイルバネ340の第2端部342が係合される。コイルバネ340は、切欠部334と係合爪343との間で第1方向Fに略平行に伸長される。したがって、コイルバネ340は、スライド板330を第1方向Fに向けて付勢する。
【0080】
スライド板330は、第1爪部332を介して、第1方向Fに向けて、テンションローラ540を付勢する。テンションローラ540のジャーナル320に取り付けられたベアリング321は、支持板554に形成されたスリット322に案内されて第1方向Fに沿って移動する。かくして、第2ローラ513とテンションローラ540との間のベルトの張設方向に沿う付勢方向に付勢されたテンションローラ540は、ベルト511の張力に応じて、第1方向Fに移動する。加熱区間の終点E(図2参照)におけるサイドコア544とベルト511との間の間隔が不必要に変動しないので、ベルト511に対する加熱量は、ベルト511の張力変動にほとんど影響されない。
【0081】
本実施形態において、スライド板330及びコイルバネ340は、第1方向Fにテンションローラ540を付勢する付勢機構として例示される。代替的に、第1方向Fにテンションローラ540を付勢することができる他の構造及び/又は要素が付勢機構として用いられてもよい。
【0082】
本実施形態の定着ユニット500は、IHコイルユニット530を備える。代替的に、ベルト511及び/又は第2ローラ513を加熱することができる他の加熱機構がIHコイルユニット530に代えて用いられてもよい。
【0083】
本実施形態において、張力付加要素としてテンションローラ540が用いられている。代替的に、ベルト511に適切に張力を付加することができる他の既知の構造或いは要素が張力付加要素として用いられてもよい。
【0084】
本実施形態において、コイルバネ340は、加熱ローラ213とテンションローラ540との間のベルト511の張設方向に沿う第1方向に沿って伸長される。本実施形態において、テンションローラ544の変位方向はスリット322の延出方向によって規定されるので、代替的に、第1方向と異なる方向にコイルバネ344が伸長されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は、カラープリンタ、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機などの各種の画像形成装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1・・・・・画像形成装置
64・・・・駆動機構
260・・・磁性要素
310・・・胴部
320・・・ジャーナル
322・・・スリット
330・・・スライド板(付勢機構)
340・・・コイルバネ(付勢機構)
500・・・定着ユニット
511・・・ベルト
513・・・第2ローラ(加熱ローラ)
530・・・IHコイルユニット(加熱機構)
531・・・コイル
532・・・コイル面
533・・・サイドコア
534・・・アーチコア
535・・・センタコア
540・・・テンションローラ(張力付加要素)
553・・・保持フレーム(支持要素)
554・・・支持板
E・・・・・終点
F・・・・・第1方向(付勢方向)
S・・・・・始点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弧状の加熱区間を規定する加熱機構と、
前記加熱区間に沿う周面を含む加熱ローラと、
前記周面に沿って前記加熱ローラに巻回されるベルトと、
該ベルトに張力を与える張力付加要素と、
前記加熱ローラと前記張力付加要素との間の前記ベルトの張設方向に沿う付勢方向に前記張力付加要素を付勢する付勢機構と、を備えることを特徴とする定着ユニット。
【請求項2】
前記張力付加要素を支持する支持要素を更に備え、
前記張力付加要素は、前記ベルトと当接する胴部と該胴部から延出するジャーナルとを備えるテンションローラを含み、
前記支持要素は、前記ジャーナルを前記付勢方向に案内するためのスリットが形成された支持板を含むことを特徴とする請求項1に記載の定着ユニット。
【請求項3】
前記胴部は、アルミニウムから形成されることを特徴とする請求項2に記載の定着ユニット。
【請求項4】
前記ベルトを誘導加熱する前記加熱機構は、
前記加熱区間に沿うコイル面を形成するコイルと、
前記コイルから生じた磁界中の磁力線の経路を規定する磁性要素と、を含み、
前記磁性要素は、前記加熱区間の始点及び終点を規定する一対のサイドコアと、
前記加熱区間の途中部に配設されるセンタコアと、
前記一対のサイドコアそれぞれと前記センタコアとの間で延びる一対のアーチコアと、を含み、
前記センタコアは、前記加熱ローラへ向かう前記磁力線の前記経路を遮断する遮断領域を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の定着ユニット。
【請求項5】
前記加熱機構は、前記センタコアを回転させる駆動機構を含むことを特徴とする請求項4記載の定着ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか1項に記載の定着ユニットを備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−8487(P2012−8487A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−146675(P2010−146675)
【出願日】平成22年6月28日(2010.6.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】