説明

定着液塗布装置および画像形成装置

【課題】 湿式方式の画像形成装置において、記録媒体のサイズに応じて定着液の塗布領域を変更できる定着液塗布装置を用いて、定着液による汚染を防止し、定着液の消費量の低減化を図ることができ、長期にわたって高画質画像を形成する。
【解決手段】 湿式方式の画像形成装置において、定着液塗布手段として、回転軸部材82と、規制ローラ83と、転写定着ローラ30の表面に対して離接可能に設けられて長手方向の長さが異なる塗布ローラ84a,84b,84cと、塗布ローラ84a表面に離接可能に設けられる供給ローラ85と、定着液40中に浸漬せずかつ転写定着ローラ30に圧接しない塗布ローラ84cに圧接する除去ローラ86と、ブレード87と、定着液40を貯留するケーシング88とを含む定着液塗布装置81を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定着液塗布装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどに多く採用される電子写真方式の画像形成装置においては、表面に光導電性物質を含む感光層を形成した感光体ドラムを用い、感光体ドラム表面に電荷を付与して均一に帯電させた後、種々の作像プロセスにて画像情報に対応する静電潜像を形成し、この静電潜像を現像手段から供給されるトナーにより現像してトナー像とし、このトナー像を直接または中間転写媒体を介して紙などの記録媒体に転写し、記録媒体上の未定着トナー像を定着することによって画像が形成される。
【0003】
未定着トナー像の記録媒体への定着には、トナー像を加熱する熱定着方式、トナーを軟化および/または膨潤させる定着液をトナー像に付与する湿式定着方式などが知られる。このうち、湿式定着方式では、定着液の付与により軟化および/または膨潤状態にしたトナー像を記録媒体に付着させ、加圧することによって、トナー像を記録媒体に定着させる。湿式定着方式は、熱定着方式に比べて消費電力が非常に少ないという利点を有し、多くの提案がなされている。
【0004】
たとえば、中間転写媒体または記録媒体上に担持される未定着トナー像に対して、複数の微細孔を有する定着液噴出部材から、トナー付着部分のみに定着液を付与し、トナーと定着液とを加熱する定着装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。すなわち、この定着装置では、中間転写媒体または記録媒体上のトナー像に定着液を付与した後に、加熱を行う方式が採用される。また、特許文献1には、中間転写媒体にトナー像を担持させる場合は、中間転写媒体である中間転写ベルトにフッ素処理などの撥液処理を施すことにより、該中間転写ベルト上の未定着トナー像に定着液を付与する場合、定着液がトナー部分(画像部)のみに集まり、トナー像の間のトナーが存在しない部分(非画像部)には定着液が留まらない構成が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の定着装置においては、記録媒体のサイズに応じて定着液を付与することは行われないので、サイズの小さい記録媒体に定着液を塗布する場合に、記録媒体の外の部分にも定着液が塗布されるという欠点がある。このような欠点は、具体的には、中間転写ベルト上に担持されるトナー像に定着液を付与する場合に生じるものであり、中間転写ベルトにおけるトナー像を含めた記録媒体のサイズ範囲以外の部分に付着する定着液は、そのまま中間転写ベルト上に残留し、感光体ドラム、定着用の加圧ローラなどの中間転写ベルトが接触する各部材を汚染する。感光体ドラムに定着液が付着すると、画像抜けなどの画像不良を発生する。また、加圧ローラに付着する定着液は、サイズの大きい記録媒体にトナー像を定着させる際に該記録媒体の裏面に付着し、しわ、汚れなどの原因になる。したがって、中間転写ベルト上の残留定着液を除去するためのクリーニング手段を設ける必要が生じるけれども、定着液を完全に除去するのは困難であり、感光体ドラムなどの定着液による汚染は避け得ない。さらに、特許文献1の定着装置では、中間転写ベルトなどにおいて、定着液の付与を必要としない部分にまで定着液が付与されるので、定着液の消費量が増大するという欠点もある。
【0006】
【特許文献1】特開2004−109747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、記録媒体のサイズに応じて定着液の付与領域を調整できる定着液塗布装置および該定着液付与装置を含み、定着液の中間転写媒体などへの付着がなく、感光体ドラム、加圧ローラなどが定着液によって汚染されることがなく、定着液の消費量が増大することがなく、長期にわたって高画質画像を形成し得る湿式定着方式の画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、記録媒体または中間転写媒体上に形成されて乾式トナーからなる未定着トナー像に定着液を付与して記録媒体に定着可能な状態とし、定着手段により記録媒体に定着させる画像形成装置において、トナー像に定着液を付与する定着液塗布装置であって、
定着液を貯留する定着液貯留手段と、
未定着トナー像を定着させる記録媒体のサイズを検知するサイズ検知手段と、
未定着トナー像に定着液を付与しかつサイズ検知手段の検知結果に応じて定着液塗布領域を変更する定着液付与手段とを含むことを特徴とする定着液塗布装置である。
【0009】
また本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラであって、
長手方向の長さが異なる複数の塗布ローラを含むことを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、
長手方向の長さが異なる複数の塗布ローラと、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記複数の塗布ローラを回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含むことを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の塗布ローラが、その内部に定着液を貯留する定着液保持槽を有することを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラと、
塗布ローラ表面に定着液を供給する供給ローラであって、塗布ローラ表面に対して離接可能にかつ回転駆動可能に設けられて、長手方向の長さが異なる複数の供給ローラとを含むことを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラと、
長手方向の長さが異なる複数の供給ローラと、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記複数の供給ローラを塗布ローラに対して離接可能にかつ回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含むことを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、塗布ローラ表面の定着液を除去して回収する定着液除去手段をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の供給ローラが、塗布ローラの回転駆動に従動して回転駆動するように設けられることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、
回転駆動可能に設けられ、表面に定着液を担持する供給ローラと、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラであって、
供給ローラ表面に対して離接可能におよび回転駆動可能に設けられ、長手方向の長さが異なりかつ長手方向の長さが供給ローラの長手方向の長さよりも短い複数の塗布ローラとを含むことを特徴とする。
【0017】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、
回転駆動可能に設けられ、表面に定着液を担持する供給ローラと、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラであって、
長手方向の長さが異なりかつ長手方向の長さが供給ローラの長手方向の長さよりも短い複数の塗布ローラと、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記複数の塗布ローラを供給ローラ表面に対して離接可能におよび回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含むことを特徴とする。
【0018】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の複数の塗布ローラのうち、トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラ以外の塗布ローラが、その一部または全部が定着液に浸漬するように設けられることを特徴とする。
【0019】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の定着液付与手段が、塗布ローラ表面の定着液を除去して回収する定着液除去手段をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
さらに本発明の定着液付与装置は、前述の塗布ローラが、中間転写媒体の回転駆動に従動して回転駆動するように設けられることを特徴とする。
【0021】
さらに本発明の定着液付与装置は、前述の定着液付与手段が、
弾性変形可能な材料からなり、表面に定着液を担持して記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布手段と、
塗布手段を介して未定着トナー像を担持する記録媒体または中間転写媒体に対向するように設けられ、塗布手段をトナー像に圧接させるとともに、塗布手段による定着液の付与領域の大きさを調整する付与領域調整手段と、
塗布手段に定着液を供給する供給ローラとを含むことを特徴とする。
【0022】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の塗布手段が、回転駆動可能に支持される無端ベルトであることを特徴とする。
【0023】
さらに本発明の定着液塗布装置は、前述の付与領域調整手段が、
円筒状部材であって、長手方向の長さが異なる複数の押圧手段と、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記押圧手段を回転駆動可能に支持する回転軸部材と、
サイズ検知手段により検知結果に応じて回転軸部材を回転させ、記録媒体のサイズに対応する長手方向の長さを有する押圧手段を、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像と塗布手段との圧接位置に移動させる移動指示手段とを含むことを特徴とする。
【0024】
また本発明は、感光体ドラムと、感光体ドラム表面を帯電させる帯電手段と、帯電状態にある感光体ドラム表面に光を照射して画像情報に基づく静電潜像を形成する露光手段と、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を付与する定着液塗布手段と、定着液を付与された未定着トナー像を記録媒体に定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、
定着液塗布手段が、前述のいずれか1つの定着液塗布装置であることを特徴とする。
【0025】
さらに本発明の画像形成装置は、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像を加熱する加熱手段をさらに含み、
記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像は、定着液塗布手段により定着液を付与される前に、加熱手段により65℃以上に加熱されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、定着液の付与による未定着トナー像の記録媒体への定着を行う湿式定着方式の画像形成装置において、定着液を記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に付与する定着液付与手段として、定着液貯留手段と、記録媒体のサイズを検知するサイズ検知手段と、サイズ検知手段による検知結果に応じて定着液塗布領域を変更しながらトナー像に定着液を付与する定着液付与手段とを含む定着液塗布装置を用いることによって、定着液を付与しようとする記録媒体のサイズの範囲外に定着液を付与することが防止される。その結果、クリーニング負荷が顕著に低減化するとともに、感光体ドラム、加圧ローラなどの他の構成部材が定着液に汚染されることが著しく防止される。さらに、定着液の消費量が増大せず、トナー像の定着に必要充分な量だけ定着液を使用することが可能になる。
【0027】
本発明によれば、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラ(以後単に「塗布ローラ」と称す)であって、長手方向の長さが異なる複数の塗布ローラを含んで構成される定着液付与手段(以後「定着液付与手段A」と称す)を用いることによって、記録媒体のサイズに応じて定着液塗布領域を適宜調整することが可能になる。
【0028】
本発明によれば、定着液付与手段Aにおいて、長手方向の長さが異なる複数の塗布ローラと、前記複数の塗布ローラを回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含む構成を採ることによって、回転軸部材を回転させるだけで、塗布ローラのトナー像からの離接が可能になるので、塗布ローラの離接機構を簡素化でき、サイズ、コスト、信頼性の点で有利になる。
【0029】
本発明によれば、定着液付与手段Aにおいて、塗布ローラの内部に定着液を貯留する定着液保持槽を設けることによって、塗布ローラに定着液を供給する機構が不要になるので、複数の塗布ローラを備えても、構成を簡略化できる。また、定着液付与手段Aの占有空間を小さくでき、画像形成装置の小型化に寄与できる。
【0030】
本発明によれば、塗布ローラと、塗布ローラ表面に定着液を供給する供給ローラ(以後単に「供給ローラ」と称す)であって、塗布ローラ表面に対して離接可能にかつ回転駆動可能に設けられて、長手方向の長さが異なる複数の供給ローラとを含む定着液付与手段(以後「定着液付与手段B」と称す)を用い、記録媒体のサイズに応じて、それに対応する長手方向の長さを有する供給ローラを選択するという簡易な構成によって、定着液塗布領域を容易に調整できる。このような複数の供給ローラを用いることによって、塗布ローラに定着液を供給するために、塗布ローラを定着液に浸漬させる必要がなくなる。塗布ローラが常に定着液に浸漬していると、定着液塗布領域の調整が困難になる場合がある。
【0031】
本発明によれば、定着液付与手段Bにおいて、塗布ローラと、長手方向の長さが異なる複数の供給ローラと、前記複数の供給ローラを塗布ローラ表面に対して離接可能にかつ回転駆動可能に支持する回転軸部材を含む構成を採ることによって、回転軸部材を回転させるだけで供給ローラの離接が可能なので、離接機構を簡素化でき、サイズ、コストの点で有利になり、さらに離接機構の構造が簡易で壊れ難いため、その信頼性が高まる。
【0032】
本発明によれば、定着液付与手段Bにおいて、塗布ローラ表面の定着液を除去して回収する定着液除去手段を含む構成を採ることによって、たとえば、定着液塗布領域を大きな記録媒体サイズから小さな記録媒体サイズに変更するときに、塗布ローラ表面の小さな記録媒体サイズの範囲外に僅かではあるけれども残留する定着液を除去して回収できるので、記録媒体または中間転写媒体への余分な定着液の付着が防止されるとともに、定着液の無駄な消費を減らすことができる。
【0033】
本発明によれば、定着液付与手段Bにおいて、供給ローラを、塗布ローラの回転駆動に従動して回転駆動させる構成を採ることによって、複数ある供給ローラを回転駆動させる駆動手段を設ける必要がなくなり、定着液塗布装置の簡素化を図ることができる。
【0034】
本発明によれば、供給ローラと、長手方向の長さが異なりかつ長手方向の長さが供給ローラの長手方向の長さよりも短い複数の塗布ローラとを含む定着液付与手段(以後「定着液付与手段C」と称す)を用い、塗布ローラを適宜選択するという簡単な構成によって、定着液塗布領域を容易に調整できる。しかも、塗布ローラの選択により定着液塗布領域を調整するので、余分な定着液が記録媒体または中間転写媒体に付着することが非常に少なないという利点がある。
【0035】
本発明によれば、定着液付与手段Cにおいて、供給ローラと、長手方向の長さが異なりかつ長手方向の長さが供給ローラの長手方向の長さよりも短い複数の塗布ローラと、前記複数の塗布ローラを供給ローラ表面に対して離接可能にかつ回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含む構成を採ることによって、回転軸部材を回転させるだけで塗布ローラの離接が可能なので、離接機構を簡素化でき、サイズ、コストの点で有利になり、さらに離接機構の構造が簡易で壊れ難いため、その信頼性が高まる。
【0036】
本発明によれば、定着液付与手段Cにおいて、複数ある塗布ローラのうち、トナー像に定着液を接触付与している塗布ローラ以外の塗布ローラの一部または全部が、定着液中に浸漬する構成を採ることによって、トナー像に定着液を付与した後の塗布ローラ表面に残留する定着液中の液状成分の蒸発を抑制し、定着液の無駄な消費を極力防止できる。
【0037】
本発明によれば、定着液付与手段Cにおいて、塗布ローラ表面の定着液を除去して回収する定着液除去手段を含む構成を採ることによって、トナー像に定着液を付与した後の塗布ローラ表面に残留する定着液中の液状成分の蒸発を抑制し、定着液の無駄な消費を極力防止できる。
【0038】
本発明によれば、定着液付与手段Cにおいて、塗布ローラを、供給ローラの回転駆動に従動して回転駆動させる構成を採ることによって、複数ある塗布ローラを回転駆動させる駆動手段を設ける必要がなくなり、定着液塗布装置の簡素化を図ることができる。
【0039】
本発明によれば、弾性変形可能な材料からなり、未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布手段(好ましくは回転駆動可能に支持される無端ベルト)と、塗布手段を介して未定着トナー像を担持する記録媒体または中間転写媒体に対向するように設けられ、塗布手段をトナー像に圧接させる機能および定着液塗布領域を調整する機能を有する付与領域調整手段(以後単に「付与領域調整手段」と称す)と、塗布手段に定着液を供給する供給ローラとを含む定着液付与手段(以後「定着液付与手段D」と称す)において、付与領域調整手段を用いて、塗布手段の記録媒体または中間転写媒体に圧接する領域を変更することによって、他の定着液付与手段のように塗布ローラまたは供給ローラの長手方向の長さを変更することなく、定着液塗布領域を容易に調整できる。
【0040】
本発明によれば、定着液付与手段Dにおいて、円筒状部材であって、長手方向の長さが異なる複数の押圧手段と、前記複数の押圧手段を回転駆動可能に支持する回転軸部材と、サイズ検知手段により検知結果に応じて回転軸部材を回転させ、記録媒体のサイズに対応する長手方向の長さを有する押圧手段を、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像と塗布手段との圧接位置に移動させる移動指示手段とを付与領域調整手段を用い、長手方向の長さが異なる複数の押圧手段の中から、記録媒体のサイズに対応する長手方向の長さを有する押圧手段を選択することによって、その長さの分だけ塗布手段をトナー像に圧接させることができる。その結果、記録媒体のサイズに対応する定着液塗布領域のみに定着液を容易に付与できる。
【0041】
本発明によれば、感光体ドラムと、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を付与する定着液付与手段と、定着液付与後のトナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、定着液付与手段として前述の本発明の定着液付与装置を用いることによって、定着液の中間転写媒体などへの残留がなく、感光体ドラム、加圧ローラなどの構成部材が定着液によって汚染されることがなく、定着液の消費量が増大することがなく、長期にわたって高画質画像を形成し得る湿式定着方式の画像形成装置が得られる。
【0042】
本発明によれば、本発明の画像形成装置が記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナーを加熱する加熱手段を含み、未定着トナー像に定着液を付与する前に、未定着トナー像を65℃以上に加熱することによって、トナーに含まれる結着樹脂またはワックス成分が軟化してトナー粒子同士の結合力を増加させることができる。その結果、塗布ローラまたは塗布手段により定着液を接触付与する際に、塗布ローラまたは塗布手段にトナーが付着するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
図1は、本発明の実施の第1形態である画像形成装置1の構成を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す画像形成装置1の要部(後述のトナー像形成手段2)の構成を拡大して示す断面図である。図3は、図1に示す画像形成装置1の要部(後述の転写定着手段4)の構成を拡大して示す断面図である。
【0044】
画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナー像を順次、重ね合わせて転写する、いわゆるタンデム構成である。
【0045】
画像形成装置1は、トナー像形成手段2と、中間転写手段3と、転写定着手段4と、記録媒体供給手段5と、搬送手段6とを含んで構成される。
【0046】
トナー像形成手段2は、作像ユニット10y,10m,10c,10bを含み、これらは、各色の画像情報に対応する静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して、各色のトナー像を形成する。すなわち、作像ユニット10yはイエロー色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10mはマゼンタ色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10cはシアン色の画像情報に対応するトナー像を形成し、作像ユニット10bはブラック色の画像情報に対応する画像情報を形成する。
【0047】
作像ユニット10yは、感光体ドラム11yと、帯電ローラ12yと、光走査ユニット13と、現像装置14yと、ドラムクリーナ15yとを含んで構成される。
【0048】
感光体ドラム11yは、図示しない駆動手段により軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない円筒状、円柱状または薄膜シート状の導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含んで構成される。感光体ドラム11yには、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム素管などの導電性基体と、導電性基体表面に形成される有機感光層とを含み、GND電位に接続される直径30mmの感光体ドラムが挙げられる。有機感光層は、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層して形成される。また、電荷発生物質と電荷輸送物質とを1つの層に含む感光層でもよい。有機感光層の層厚は、たとえば、20μmである。また有機感光層と感光体ドラムとの間に下地層を設けてもよい。さらに有機感光層の表面に保護層を設けてもよい。有機感光層のほかに、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコーンなどからなる感光層も使用できる。感光体ドラム11yは、時計回りの方向に、たとえば、周速度100mm/sで回転駆動する。
【0049】
帯電ローラ12yは、感光体ドラム11yの表面を所定の極性および電位に帯電させる円筒状部材である。帯電ローラ12yに代えて、ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、スコロトロンといったコロナ帯電器などを使用できる。
【0050】
光走査ユニット13は、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面にイエロー色の画像情報に対応する信号光であるレーザ光13yを照射し、感光体ドラム11yの表面に、イエロー色の画像情報に対応する静電潜像を形成する。レーザ光13yの光源には、たとえば、半導体レーザなどが用いられる。
【0051】
現像装置14yは図示しない固定磁極を内包し、感光体ドラム11y表面に対向してかつ軸線回りに回転駆動可能に設けられ、イエロー色トナー16yを感光体ドラム11y表面の静電潜像に供給する現像ローラ17yと、現像ローラ17yの表面に当接するように設けられ、現像ローラ17y表面のイエロー色トナー層を均一化(層規制)する板状部材である現像ブレード18yと、イエロー色トナー16yを貯留する現像槽19yと、現像槽19yの内部に、互いに圧接しかつ軸線回りに回転駆動可能に設けられる攪拌ローラ20y,21yであって、攪拌ローラ21yが現像ローラ17yの表面に圧接してイエロー色トナー16yを供給する攪拌ローラ20y,21yとを含んで構成される。現像ローラ17yは、感光体ドラム11yの回転駆動方向と逆方向に回転駆動するので、両者の圧接部(ニップ部)での同じ方向に回転駆動する。本実施の形態では、現像ローラ17yの周速度は、たとえば、感光体ドラム11yの周速度に対して1.5倍の150mm/sである。現像槽19y内のイエロー色トナー16yは、攪拌ローラ20y,21yによって現像ローラ17y表面に供給されてイエロー色トナー層を形成し、該トナー層は現像ブレード18yにより層厚を均一化された後、電位差などを利用して感光体ドラム11y表面の静電潜像にほぼ選択的に供給され、イエロー色の画像情報に対応するトナー像が形成される。なお、本実施の形態では、イエロー色トナー16yは、磁性キャリアと混合して2成分現像剤の形態で用いられる。現像槽19y内にイエロー色トナー16yが供給されると、攪拌ローラ20y,21yにより現像槽19y内のキャリアと混合され、2成分現像剤になる。
【0052】
ドラムクリーナ15yは、後述するように、感光体ドラム11y表面のイエロー色トナー像が中間転写ベルト22に中間転写された後、感光体ドラム11y表面に残存するイエロー色トナーを除去、回収する。
【0053】
作像ユニット10yによれば、感光体ドラム11yを回転駆動させながら、まず帯電ローラ12yにより感光体ドラム11y表面をたとえば−600Vに帯電させる。次に、帯電状態にある感光体ドラム11yの表面に、光走査ユニット13からレーザ光13yを照射して露光電位−70Vの静電潜像が形成される。この静電潜像に、現像電位として−240Vの直流電圧が印加された現像ローラ17y表面の現像剤層から電位差によりイエロー色トナー16yが付着し、静電潜像が現像されてイエロー色トナー像が形成される。該トナー像は、後述するように、感光体ドラム11y表面に圧接する中間転写ベルト22に中間転写される。感光体ドラム11y表面に残留するイエロー色トナー16yはドラムクリーナ15により除去され、回収される。以後、同様のトナー像作成動作が繰返し実行される。
【0054】
作像ユニット10m,10c,10bは、それぞれマゼンタ色トナー16m、シアン色トナー16cまたはブラック色トナー16bを使用する以外は、作像ユニット10yに類似の構造を有し、対応する部分には同一の参照符号を付し、さらに各参照符号の末尾のイエロー色を示す「y」に代えて、マゼンタ色を示す「m」、シアン色を示す「c」またはブラック色を示す「b」を付し、説明を省略する。なお、作像ユニット10y,10m,10c,10bは、中間転写ベルト22の移動方向(副操作方向)、すなわち矢符28の方向の上流側からこの順番で一列に配置される。
【0055】
なお、各色トナー16y,16m,16c,16b(以後必要に応じて「トナー16」と総称する)は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有する。
【0056】
結着樹脂としては、後述する定着液40により膨潤または軟化可能な樹脂であれば特に制限はない。具体的には、たとえば、ポリスチレン、スチレンおよびその置換体の単重合体、スチレン系共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などを、単独または2種以上の組合せで使用できる。
【0057】
着色剤としては、一般の電子写真技術に用いられるトナー用顔料および染料であれば特に制限なく使用できるけれども、定着液40よる滲みを防止するために、定着液40に溶解しないものが好ましく、ニグロシン染料などの染料は好ましくない。顔料の具体例としては、たとえば、アゾ系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ジオキサジン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体系顔料などの有機系顔料、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデンレッド、クロムイエロー、チタンイエロー、酸化クロム、ベルリンブルーなどの無機系顔料、アルミニウム粉などの金属粉などが挙げられる。顔料は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0058】
トナー16中には、必要に応じて、帯電制御剤、流動性向上剤、定着促進剤、導電剤などの一般的なトナー用添加剤の1種または2種以上を適宜選択して添加できる。
【0059】
本実施の形態で使用されるトナー16は、結着樹脂、着色剤および離型剤を含有し、顔料含有率がトナー16全量の12重量%、離型剤としてのワックスの含有率がトナー16全量の7重量%および残部結着樹脂である組成を有し、体積平均粒径6μmの負帯電性の絶縁性非磁性トナーである。このトナー16において所定の画像濃度(X−Rite社製310による反射濃度測定値が1.4)を得るために必要な単位面積当たりのトナー量は5g/mである。なお、各色トナー16y,16m,16c,16bは、顔料の種類が異なる以外は前記した組成、体積平均粒径および特性を有する。
【0060】
中間転写手段3は、中間転写ベルト22と、中間転写ローラ23y,23m,23c,23bと、駆動ローラ24と、テンションローラ25と、ベルトクリーナ26とを含んで構成される。
【0061】
中間転写ベルト22は、駆動ローラ24とテンションローラ25との間に回転駆動可能に張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルトであり、感光体ドラム11y,11m,11c,11bとほぼ同じ周速度で矢符28の方向に回転する。中間転写ベルト22は、定着液40が浸透しない材料で構成される。本実施の形態では、ポリイミド基材(ポリイミドフィルム)の表面にフッ素樹脂層を形成したものを使用するけれども、それに限定されず、導電性を付与したポリカーボネート、フッ素ゴムなどの基材の表面にPTFE、PFAなどのフッ素樹脂の1種または2種以上からなる被覆層を設けたものを用いても良い。中間転写ベルト22のトナー像担持面22aは、感光体ドラム11y,11m,11c,11bにこの順番で圧接する。この圧接位置が、各色トナー像の中間転写位置である。また、本実施の形態では、ベルト状の中間転写を用いるけれども、それに限定されず、ドラム形状などの他形態の中間転写体を用いることもできる。
【0062】
中間転写ローラ23y,23m,23c,23bは、そけぞれ、中間転写ベルト22におけるトナー像担持面22aの反対面に圧接し、かつ図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、たとえば、ステンレス鋼などの金属製軸体と、該軸体の表面に形成され、EPDM、発泡EPDM、発泡ウレタンなどのマトリックス中にカーボンブラックなどの導電性制御剤を分散させた導電性弾性体からなる導電性層とを含む円筒状部材である。中間転写ローラ23y,23m,23c,23bには、トナーの帯電極性とは逆極性の中間転写バイアス電圧が印加される。これによって、感光体ドラム11y,11m,11c,11bの各表面に形成されるイエロー色、マゼンタ色、シアン色およびブラック色のトナー像が中間転写ベルト22のトナー像担持面22aの所定箇所に順次重ね合わされて転写され、多色トナー像が形成される。ただし、各色の一部のみの画像情報が入力される場合は、それに対応する作像ユニットのみにおいてトナー像が形成され、トナー像担持面22aに転写される。
【0063】
駆動ローラ24は、図示しない駆動手段により、その軸線回りに回転駆動可能に設けられる。駆動ローラ24には、たとえば、アルミニウムなどの金属からなる中空ローラが使用できる。
【0064】
テンションローラ25は、中間転写ベルト22のたるみを防止するために、中間転写ベルト22に所定の張力を付与する。テンションローラ25には、たとえば、金属製軸体と、金属製軸体の表面に形成される被覆層とを含んで構成される。また、金属製軸体のみからなるものでもよい。金属製軸体の材料には、たとえばステンレス鋼が使用され、被覆層の材料にはフッ素ゴムが使用される。
【0065】
ベルトクリーナ26は、中間転写ベルト22を介してテンションローラ25に対向するように設けられ、中間転写ベルト22のトナー像担持面22a上のトナー像を後述の転写定着手段4における転写定着ローラ30に転写した後に、トナー像担持面22a上に残存するトナーを除去する部材である。
【0066】
中間転写手段3によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に形成される各色トナー像が、中間転写ベルト22のトナー像担持面22aの所定位置に重ね合わされて転写され、多色トナー像が形成される。このトナー像が転写定着手段4の転写定着ローラ30に転写された後、トナー像担持面22a上の残存トナー、オフセットトナー、紙粉などがベルトクリーナ26により除去され、トナー像担持面22aには再度多色トナー像が転写され、同じ動作が繰返し実行される。
【0067】
転写定着手段4は、中間転写ベルト22を介して駆動ローラ24に対向するように設けられ、中間転写ベルト22からトナー像を再転写される転写定着ローラ30と、転写定着ローラ30表面のトナー像に定着液40を付与する定着液塗布装置33と、転写定着ローラ30の表面温度を検知する温度センサ34と、ローラクリーナ35と、転写定着ローラ30に圧接するように設けられる加圧ローラ36とを含んで構成される。
【0068】
転写定着ローラ30は、図示しない駆動手段により矢符32の方向に回転駆動可能に設けられる円筒状部材である。転写定着ローラ30には、たとえば、厚さ1mmの炭素鋼からなる芯金と、芯金表面に形成される体積抵抗が10−8〜10−9Ω・cmで厚さ3mmのシリコーンゴム層と、シリコーンゴム層表面に形成されるPFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)からなる厚さ20μmの被覆層とを含み、外径30mmのローラ部材が用いられる。転写定着ローラ30と中間転写ベルト22との間には転写電界が印加され、中間転写ベルト22上の多色または単色トナー像を静電的に転写定着ローラ30に再転写される。本実施の形態では、転写定着ローラ30には、トナー16の帯電電位と逆電位の+1kVの電圧が印加され、静電的にトナーを引きつけて転写するよう構成される。
【0069】
また、転写定着ローラ30の内部には、たとえば、ハロゲンランプなどの加熱ヒータ31が設けられ、転写定着ローラ30表面ひいてはトナー像を加熱する。これによって、中間転写ベルト22から転写定着ローラ30に再転写されるトナー像は、定着液40の付与を受ける前に、加熱される。定着液40を付与される前にトナー像を加熱すると、次のような利点がある。たとえば、トナー16に含まれる結着樹脂としてガラス転移点60℃のものを用い、かつ転写定着ローラ30の表面温度(すなわちトナー像の加熱温度)を65℃に設定すると、定着液40を付与する前に、トナー粒子中の結着樹脂が軟化してトナー粒子の転写定着ローラ30表面に対する付着力が増加し、定着液40を付与する際にトナー粒子が塗布ローラ41にオフセットすることや、トナー像が乱れることなどを防止できる。
【0070】
なお、本実施の形態では、転写定着ローラ30の表面温度を65℃としたが、転写定着ローラ30の温度を75℃とし、定着液40が付与される塗布ローラ41との接触開始部での転写定着ローラ30およびトナー像の温度が、トナー粒子中のワックスの軟化点よりも高い温度となるよう設定してもよい。この構成により、定着液40付与前にトナー内のワックスが軟化してトナー同士およびトナーと転写定着ローラ30との付着力が増加する。その結果、定着液40の付与時に、定着液40によるトナー粒子の移動、流れなどを防止できる。また、定着液40の付与によるトナーおよび転写定着ローラ30の温度低下を補う熱量をその場でトナー像および転写定着ローラ30に供給できる。これによって、付与直後のトナー像、転写定着ローラ30および定着液40の温度低下を防止でき、定着液40のトナー像への拡散および浸透が早く、トナーの膨潤・軟化が瞬時に広範囲に生じる。これにより、後述するように、トナー像が転写定着ローラ30と加圧ローラ36との圧接部で記録媒体Pに押圧される際に、充分な定着強度でトナー像が記録媒体Pに定着する。さらに、付与後の定着液40の液温が上昇するので、付与後およびトナー像の記録媒体Pへの転写定着後に定着液40を短時間で乾燥させることができる。これにより、画像形成装置1の単位時間当たりの出力枚数であるスループットをさらに向上できる。さらに、定着液40の付与から記録媒体Pへの転写までの時間を短縮化できるので、定着液40の付与位置とトナー像の記録媒体Pへの転写位置との間隔を短く設定でき、装置の小型に寄与する。
【0071】
定着液塗布装置33は、転写定着ローラ30表面に圧接するように設けられ、転写定着ローラ30表面のトナー像に定着液40を接触付与する塗布ローラ41と、塗布ローラ41表面に圧接するように設けられ、塗布ローラ41表面に定着液40を供給する供給ローラ43と、塗布ローラ41表面に圧接するように設けられ、塗布ローラ41表面の定着液量を適量に調整(規制)する規制ローラ45と、定着液40、塗布ローラ41、供給ローラ43および規制ローラ45を収容するケーシング47と、定着液貯留タンク51と、定着液補給管52とを含んで構成される。
【0072】
塗布ローラ41は、たとえば、芯金と、芯金の表面に形成される弾性層とを含んで構成され、芯金の両端に設けられる図示しないフランジと一体の回転軸部材を図示しない軸受けにより、ケーシング47に矢符42の方向に回転駆動可能に支持される。なお、塗布ローラ41は、ケーシング47における水平方向の一方の端部に、ケーシング47下部の定着液溜48に保持される定着液40に浸漬しないように設けられる。塗布ローラ41が転写定着ローラ30表面に接触することによって、塗布ローラ41表面および表層に保持される定着液35が浸み出し、定着液40がトナー像に付与される。塗布ローラ41の芯金には、たとえば、ステンレス鋼製、炭素鋼製などの芯金を使用できる。弾性層の材質としては、弾性を有しかつ定着液40との濡れ性が良好なものであれば特に制限されず、たとえば、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴムなどのゴム材料、アルミニウムなどの金属材料、親水性樹脂材料などが挙げられる。定着液40との濡れ性が良好な材料を用いて弾性層を形成することによって、定着液40を塗布ローラ41表面に薄層として保持することができる。濡れ性の目安としては、表面に付着する水滴の形状によって濡れ性を評価する指標である接触角が50度以下であることが好ましい。本実施の形態では、塗布ローラ41には、たとえば、径12mmの芯金と、該芯金表面に形成されるにヤング率2MPaの弾性を有するエチレンプロピレンゴム層とを含み、径20mmであるローラ部材を使用できる。また、本実施の形態では、塗布ローラ41は転写定着ローラ30に対して0.5N/cm(線圧)の押圧力で圧接する。さらに塗布ローラ41は、定着液40を担持しかつ転写定着ローラ30に圧接して、不図示の駆動手段により転写定着ローラ30の表面速度と等速で回転する。
【0073】
供給ローラ43は、図示しない駆動手段により矢符44の方向に回転駆動可能に支持され、かつその一部がケーシング47内の定着液40に浸漬するように設けられる。供給ローラ43の一部が定着液40に浸漬して塗布ローラ41に圧接した状態で回転することにより、塗布ローラ41表面に定着液40が供給される。供給ローラ43には、たとえば、直径10mmの芯金と、該芯金の表面に形成される発泡ウレタンの連続気泡体からなる厚さ5mmのスポンジ層とを含むスポンジローラを使用できる。
【0074】
規制ローラ45は、図示しない駆動手段により矢符46の方向に回転駆動可能に支持される。規制ローラ45によって、塗布ローラ41表面に、層厚の均一な定着液40の薄層が形成される。規制ローラ45には、たとえば、金属製中空ローラが用いられる。本実施の形態では、外径12mmのステンレス鋼製ローラ部材が用いられる。
【0075】
ケーシング47は、中間転写ベルト22および転写定着ローラ30に対向する側面47aにおける転写定着ローラ30に対向する部分の端部に開口部47bを有し、該開口部47bからケーシング47の外方に向けて、塗布ローラ41の一部が突出して転写定着ローラ30表面に圧接するように配置される。また、ケーシング47の下部は、定着液40が保持される定着液溜48となる。定着液溜48の定着液面高さは、たとえば、供給ローラ43の一部が定着液40中に浸漬しかつ塗布ローラ41が定着液40中に浸漬しない範囲で一定に保たれる。また、ケーシング47において、塗布ローラ41が設けられる水平方向側における一方の端部に対する他方の端部には、ピボット49がケーシング47の長手方向(紙面に垂直な方向)においてケーシング47を貫通するように設けられ、図示しない軸受けにより回転可能に軸支される。さらに、ケーシング47の水平方向における塗布ローラ41が設けられる端部の底面には、図示しない支持部材により支持され、ケーシング47を押圧する押圧ばね50が設けられる。ピボット49と押圧ばね50との作用により、塗布ローラ41は転写定着ローラ30に比較的軽い押圧力で圧接される。押圧ばね50には、たとえば、コイルばね、板ばね、ねじりばねなどを使用できる。
【0076】
定着液貯留タンク51は定着液40を貯留し、定着液40の消費状況に応じて、図示しない補給手段により、ケーシング47の定着液溜48における定着液40の液面高さが一定になるように、定着液補給管52を介してケーシング47に定着液40を補給する。ケーシング47内では、定着液40の液面高さを図示しないセンサが検知し、その検知結果は画像形成装置1の全動作を制御する図示しないCPUに格納され、CPUは検知結果に応じて定着液40の補給の可否を判断し、補給を行う場合には図示しない補給手段に制御信号を送る。定着液貯留タンク51は、たとえば、カートリッジ式に形成できる。定着液貯留タンク90内の定着液40が無くなった時点で、図示しないセンサがそれを検知し、その検知結果を図示しないCPUに格納する。CPUは検知結果に応じて図示しない操作パネルに制御信号を送り、操作パネル上に定着液貯留タンク51へ定着液40を補充する時期であることまたは定着液貯留タンク51の交換時期であることを表示する。
【0077】
定着液塗布装置33によれば、転写定着ローラ30表面に担持されるトナー像に、塗布ローラ41を介して定着液40を接触付与し、トナー像を記録媒体Pへの転写定着に適する程度に軟化および/または膨潤させる。
【0078】
温度センサ34は、転写定着ローラ30の表面温度を検知するために、転写定着ローラ30の回転方向すなわち矢符32の方向において、転写定着ローラ30と駆動ローラ24との圧接部の上流側の位置に、転写定着ローラ30表面に接するかまたは近接するように設けられる。温度センサ34による検知結果は、図示しないCPUに格納され、CPUは検知結果に応じて転写定着ローラ30表面の加熱が必要か否かを判断し、必要な場合には、転写定着ローラ30の内部に設けられる加熱ヒータ31に制御信号を送り、加熱ヒータ31に加熱動作を実行させ、転写定着ローラ30の全表面を均一に加熱し、表面温度を一定に維持する。本実施の形態では、表面温度を65℃とする。
【0079】
ローラクリーナ35は、転写定着ローラ30上のトナー像を記録媒体Pに転写した後に転写定着ローラ30表面に残留するトナー16、定着液40、紙粉などを除去する部材である。
【0080】
加圧ローラ36は、図示しない駆動手段により矢符37の方向に回転駆動可能にかつ転写定着ローラ30に圧接するように設けられる。加圧ローラ36には、たとえば、芯金と、芯金の表面に形成される弾性層と、弾性層の表面に形成される被覆層とを含むローラ部材である。本実施の形態では、芯金と、硬度50度(JIS−A)のシリコーンゴムからなる厚さ2mmの弾性層と、PFAからなる厚さ20μmの被覆層とを含む加圧ローラが用いられる。また本実施の形態では、加圧ローラ36は、10N/cm(線圧)の押圧力で転写定着ローラ30表面に圧接する。転写定着ローラ30と加圧ローラ36との圧接部には、転写定着ローラ30上において定着液40の付与および加熱を受けて膨潤軟化状態にあるトナー像が転写定着ローラ30の回転によって搬送される。それに同期して後述する記録媒体供給手段5から記録媒体Pが搬送される。転写定着ローラ30上のトナー像は、加圧ローラ36による加圧を受けて記録媒体Pに転写定着され、画像が形成される。
【0081】
ここで使用される定着液40は、トナーを膨潤軟化させる液状物であり、たとえば、水と補助溶剤とを含む組成物である。補助溶剤とは、水に溶解または分散可能な有機化合物である。補助溶剤の具体例としては、たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、フェノール、ベンジルアルコール、メチルベンジルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン及びジエチルケトンなどのケトン類、メチルエチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルブチルエーテル、メチルイソブチルエーテルン、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、オクチルフェニルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、オレイン酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、コハク酸ジブチル、フタル酸ジエチル、酒石酸ジエチル、パルミチン酸エチル、ジオクチルフタレートなどのエステル類などが挙げられる。これらの補助溶剤は、ポリエステルを初めとするトナー16の結着樹脂を膨潤軟化する作用に優れる。これらの中でも、エーテル類およびエステル類が好ましく、エステル類が特に好ましい。補助溶剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
【0082】
定着液40における補助溶剤の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは定着液40全量の5〜80重量%、さらに好ましくは10〜70重量%である。5重量%未満では、トナー16中の結着樹脂を膨潤・軟化させる作用が弱くなり、充分な定着強度が得られないおそれがある。一方80重量%を超えると、定着液40のトナー像への浸透性が低下し、特にトナー量が多い場合に、トナー像表面のトナーのみが膨潤軟化し、トナー像内部のトナーの記録媒体Pへの定着が不充分になり、トナーの剥落などが生じるおそれがある。
【0083】
定着剤40には、水および補助溶剤とともに、補助溶剤の分散状態を保ち、トナー16との濡れ性を向上させる界面活性剤、分散助剤などの1種または2種以上を添加できる。界面活性剤としては、たとえば、ラウリル硫酸エステルナトリウム塩などの高級アルコール硫酸エステル塩、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸金属塩、脂肪酸誘導体硫酸エステル塩、リン酸エステルなどの陰イオン(アニオン)界面活性剤、四級アンモニウム塩、複素環アミンなどの陽イオン(カチオン)界面活性剤、アミノ酸エステル、アミノ酸などの両性イオン(ノニオン)界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。分散助剤としては、たとえば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカップリング剤が挙げられる。
【0084】
定着液40は、前述のように、水に補助溶剤を分散した構成を採るので、主に樹脂材料からなる転写定着ローラ30には浸透しない。
【0085】
定着液40としては、上記各成分を含むものに限定されず、従来から知られる定着液をいずれも使用できる。さらに、定着液40にクロロプレンゴム、ニトリルゴム、SBRゴムなどの高分子エラストマーを主成分とするゴム系接着剤、酢酸ビニル、EVA、アクリル樹脂などの合成樹脂を水中に均一に分散させたエマルジョン接着剤などの、各種接着剤を含有させることも可能である。これによって、トナー16と記録媒体Pとの付着力が、トナーの膨潤・軟化だけではなく、接着剤によっても付与されるので、トナー16と記録媒体Pとの付着力が向上し、トナー像の記録媒体Pへの定着強度を増加させ得る。
【0086】
転写定着手段4によれば、その表面が均一な温度に加熱された転写定着ローラ30上に、中間転写ベルト22から静電的にトナー像が転写され、このトナー像は定着液塗布装置33により定着液40の接触付与を受け、熱と定着液40とにより適度に膨潤軟化した状態になる。このトナー像は、転写定着ローラ30と加圧ローラ36との圧接部に搬送され、そこで加圧を受けて記録媒体Pに転写定着される。トナー像の転写定着後に、転写定着ローラ30表面に残留するトナー16、定着液40、紙粉などはローラクリーナ35により除去され、転写定着ローラ30上には次のトナー像が転写される。この転写定着動作が繰返し実行され、記録媒体P上に画像が形成される。
【0087】
記録媒体供給手段5は、記録媒体Pを貯留する記録媒体カセット53と、記録媒体Pを1枚ずつ送給するピックアップローラ54とを含んで構成される。さらに、記録媒体Pの搬送(送給)方向において、ピックアップローラ54の下流側に図示しない一対のレジストローラを設けることによって、転写定着ローラ30と加圧ローラ36との圧接部にトナー像が搬送されるのに同期して、記録媒体Pを該圧接部に容易に送給できる。
【0088】
記録媒体供給手段5によれば、記録媒体カセット53内の記録媒体Pが、ピックアップローラ54により1枚ずつ搬送路に送給され、さらに転写定着ローラ30と加圧ローラ36との圧接部に送給される。
【0089】
搬送手段6は、転写定着手段4によりトナー像が定着されて画像が形成された記録媒体Pを搬送する1対の搬送ローラ55,56と、搬送ローラ55,56により搬送される記録媒体Pを画像形成装置1の外部に排出する排紙ローラ57,58とを含んで構成される。
【0090】
搬送手段6によれば、画像形成済の記録媒体Pが搬送ローラ55,56および排紙ローラ57,58を介して画像形成装置1の外部に排出する。
【0091】
画像形成装置1によれば、トナー像形成手段2により中間転写ベルト21上に形成される多色トナー像が、転写定着ローラ30上に転写されて定着液40の付与および加熱を受けて適度に膨潤軟化し、転写定着ローラ30と加圧ローラ36との圧接部において、記録媒体Pに転写定着され、画像が形成される。
【0092】
本発明の画像形成装置では、中間転写ベルト22上のトナー像に定着液40を付与する構成を採ることもできるけれども、本実施の形態のように、転写定着ローラ30上のトナー像に定着液40を塗布することが望ましい。その理由は次の通りである。すなわち、本実施の形態では、転写定着ローラ30上でトナー像に定着液40を付与するので、中間転写ベルト22には定着液40が付着しない。また、転写定着ローラ30を加熱するので、中間転写ベルト22の温度が上昇しない。これにより、感光体20などの構成部材の温度上昇、定着液40による汚染、トナー像形成過程中でのトナーの変質などを防止でき、長期間にわたり安定して高品位な画像を形成できる。
【0093】
また、トナー像の転写定着ローラ30に接触する面は適度に軟化するけれども、トナー像表面は軟化しにくい。トナー像の表面が記録媒体Pへの定着面になるので、熱の作用だけでトナーを軟化させる構成では、充分な定着強度が得られない場合がある。そこで、トナー像表面に定着液40を付与すると、トナー像表面のトナーを充分に軟化・膨潤させ得るので、トナー像の記録媒体Pへの定着強度を高めることができる。
【0094】
図4は、本発明の実施の第2形態である画像形成装置60の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置60は、画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0095】
画像形成装置60は、記録媒体Pにトナー像を転写した後に、記録媒体P上のトナー像に加熱下に定着液40を付与し、記録媒体Pにトナー像を定着させることを特徴とする。
【0096】
画像形成装置60は、トナー像形成手段2と、中間転写手段61と、2次転写手段67と、定着手段69とを含んで構成される。
【0097】
中間転写手段61は、中間転写ベルト62と、中間転写ローラ23y,23m,23c,23bと、支持ローラ63,64,65と、ベルトクリーナ26とを含んで構成される。
【0098】
中間転写ベルト62は、支持ローラ63,64,65により張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルトであり、感光体ドラム11y,11m,11c,11bとほぼ同じ周速度で矢符66の方向に回転する。中間転写ベルト62には、中間転写ベルト22と同様の材質のものを使用できる。
【0099】
支持ローラ63,64,65はいずれもその軸線回りに回転駆動可能に支持され、たとえば、直径30mm、肉厚1mmのアルミニウム製円筒部材が用いられる。後述する2次転写ローラ68とともに2次転写手段67を構成する支持ローラ64は、電気的に接地される。
【0100】
中間転写手段61によれば、感光体ドラム11y,11m,11c,11b上に形成される各色トナー像が、中間転写ベルト62のトナー像担持面の所定位置に重ね合わせて転写され、多色トナー像が形成される。この多色トナー像が後述の2次転写手段67において記録媒体Pに転写された後、トナー像担持面上の残存トナー、オフセットトナー、紙粉などがベルトクリーナ26により除去され、トナー像担持面には再度トナー像が転写される。
【0101】
2次転写手段67は、支持ローラ64と、中間転写ベルト62を介して支持ローラ64に圧接しかつ軸線回りに回転駆動可能に設けられる2次転写ローラ68とを含んで構成される。2次転写ローラ68には、たとえば、直径10mmの芯金と、該芯金表面に形成される厚さ4mmのウレタンゴム層とを含む円筒状部材が用いられる。ウレタンゴム層には、導電性付与のために、カーボンなどの導電剤が配合される。
【0102】
2次転写手段67によれば、多色トナー像を担持する中間転写ベルト62が、支持ローラ64と2次転写ローラ68との圧接部に搬送されるのに同期して、後述する記録媒体供給手段79から記録媒体Pが送給され、中間転写ベルト62上の多色トナー像が記録媒体Pの表面に押圧により転写される。多色トナー像が転写された記録媒体Pは、定着手段69に搬送される。
【0103】
定着手段69は、多色トナー像が転写された記録媒体Pを搬送する搬送ベルト70と、駆動ローラ71と、テンションローラ73と、加圧ローラ75と、定着液付与手段75と、排紙ローラ対77とを含んで構成される。
【0104】
搬送ベルト70は、駆動ローラ71とテンションローラ73との間に張架されてループ状の搬送経路を形成し、駆動ローラ71の回転駆動に従動して回転可能に設けられる無端ベルトである。搬送ベルト70には、たとえば、導電剤を混入して導電性を付与した厚さ100μmのポリイミドフィルムの少なくとも一方の表面に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる厚さ10μmの表面層を設けたものを使用できる。
【0105】
駆動ローラ71は、図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられ円筒状部材であり、たとえば、アルミニウムなどの金属からなる中空ローラを使用できる。駆動ローラ71の内部には、記録媒体Pおよびその表面のトナー像を加熱するための、加熱ヒータなどの加熱手段72が設けられる。本実施の形態では、図示しないCPUなどの制御手段により、加熱手段72による記録媒体P上のトナー像の加熱温度は65℃に保持される。駆動ローラ71によって記録媒体P上のトナー像を加熱すると、定着液付与手段75へのトナー像のオフセットが防止される。また、駆動ローラ71によって記録媒体Pが加熱されるので、定着液40の乾燥が促進され、加圧ローラ74へのオフセット、排紙後に重なり合った記録媒体Pにトナー16および定着液40が付着することを防止できる。
【0106】
テンションローラ73は、搬送ベルト70が弛まないように、搬送ベルト70に所定の張力を付与する。テンションローラ73には、たとえば、ステンレス鋼などからなる金属製軸体と、金属製軸体の表面に形成され、フッ素ゴムなどからなる被覆層とを含む円筒状部材を使用できる。また、金属製軸体のみからなるものでもよい。なお、テンションローラ73は、定着液40を付与されて膨潤・軟化状態にあるトナー像を加圧して記録媒体Pに定着させる機能をも有する。
【0107】
加圧ローラ74は、搬送ベルト70を介してテンションローラ73と圧接するようかつその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。加圧ローラ74は、搬送ベルト70の記録媒体Pの搬送方向である矢符76の方向において、その上流側に位置する定着液付与手段75により定着液40を付与されたトナー像を、テンションローラ73とともに記録媒体Pに加圧定着させる。加圧ローラ74によりトナー像を加圧すると、記録媒体P上のトナー像の光沢度が向上する効果がある。
【0108】
定着手段69によれば、2次転写手段67にてトナー像の転写された記録媒体Pが、搬送ベルト70上を加熱下に矢符76の方向に搬送され、さらに、定着液塗布装置75により定着液40を付与されてトナー像が膨潤・軟化した状態でテンションローラ73と加圧ローラ74との当接部に搬送され、加圧によりトナー像が記録媒体P表面に定着される。その後、排紙ローラ対77により画像形成装置60の外部に設けられる排紙トレイ78に排出される。
【0109】
記録媒体供給手段79は、記録媒体Pを貯留する記録媒体カセット53と、記録媒体Pを1枚ずつ送給するピックアップローラ54と、中間転写ベルト70上のトナー像が支持ローラ64と2次転写ローラ68との圧接部に搬送されるのに同期して、該圧接部に記録媒体Pを送給するレジストローラ対80とを含んで構成される。
【0110】
記録媒体供給手段79によれば、記録媒体カセット53内に貯留される記録媒体Pが、ピックアップローラ54により1枚ずつ搬送路に送給され、さらに、レジストローラ対80により、支持ローラ64と2次転写ローラ68との圧接部に送給される。
【0111】
画像形成装置60によれば、トナー像形成手段2により中間転写ベルト21上に形成される多色トナー像が、支持ローラ64と2次転写ローラ68との圧接部において、記録媒体Pに転写され、記録媒体Pの多色トナー像には、定着液塗布装置75から定着液40を付与される。この記録媒体Pがテンションローラ73と加圧ローラ74との圧接部を通過する際に加圧されて、多色トナー像が記録媒体Pに定着し、画像が形成される。
【0112】
図5は、本発明の実施の第3形態である画像形成装置の要部(定着液塗布装置81)の構成を模式的に示す断面図である。図6は、定着液塗布装置81による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【0113】
図5に示す画像形成装置は、画像形成装置1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付し説明を省略する。また、同一部分については図示および説明を省略する。該画像形成装置は、画像形成装置1における定着液塗布装置33に代えて、定着液塗布装置81を備えることを特徴とする。
【0114】
定着液塗布装置81は、図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられ回転軸部材82と、回転軸部材82の周囲に回転軸部材82と軸線を一致して設けられる規制ローラ83と、回転軸部材82により転写定着ローラ30の表面に対して離接可能にかつその軸線回りに回転駆動可能に支持されて長手方向の長さが異なる塗布ローラ84a,84b,84cと、塗布ローラ84a,84b,84cのうち転写定着ローラ30に圧接する塗布ローラ(図では塗布ローラ84a)表面に離接可能にかつその軸線回りに回転駆動可能に設けられる供給ローラ85と、塗布84a,84b,84cのうち定着液40中に浸漬せずかつ転写定着ローラ30表面に圧接しない塗布ローラ(図では塗布ローラ84c)に圧接しかつその軸線回りに回転駆動可能に設けられる除去ローラ86と、除去ローラ86表面に当接するように設けられるブレード87と、回転軸部材82、規制ローラ83、塗布ローラ84a,84b,84c、供給ローラ85、除去ローラ86およびブレード87を収容し、かつその下部に定着液40を貯留するケーシング88とを含んで構成される。
【0115】
回転軸部材82によって、塗布ローラ84a,84b,84cは、軸心84x,84y,84zが回転軸部材82の軸心を中心とする仮想円Aの円周上にあるように、かつ、仮想円Aと中心が同一で半径がより大きい仮想円Bに内接するように回転自在に支持される。回転軸部材82は、その軸線回りに回転駆動することによって、塗布ローラ84a,84b,84cを一斉に矢符89の方向に回転させ、塗布ローラ84a,84b,84cの転写定着ローラ30表面に対する離接を実行する。回転軸部材82の回転駆動は、図示しないサイズ検知手段による検知結果に応じて制御される。サイズ検知手段は、一般的な画像形成装置に備えられるものであり、操作者による画像形成装置の操作パネル上での記録媒体Pのサイズ指定および画像形成装置に電気的に接続される外部機器からの記録媒体Pのサイズ指定により記録媒体Pのサイズを検知し、また、記録媒体Pのサイズ指定なしで複写が実行される際に、複写用原稿のサイズを光学的に検知する。サイズ検知手段による検知結果は、画像形成装置の全動作を制御する図示しないCPUに与えられ、CPUは必要とする記録媒体Pのサイズを判断し、制御信号を回転軸部材82の図示しない駆動手段に送る。駆動手段は、制御信号に基づいて、塗布ローラ84a,84b,84cの中から記録媒体Pのサイズに対応する塗布ローラが転写定着ローラ30表面に当接するように回転軸部材82を回転させる。これによって、記録媒体Pのサイズに合致する塗布領域に応じて定着液40を付与でき、記録媒体Pのサイズよりも広い範囲に定着液40が塗布されるのが防止される。
【0116】
回転軸部材82の周囲に、回転軸部材82と同じ軸心を有して設けられる規制ローラ83は、塗布ローラ84a,84b,84cの表面に付着する図示しない定着液層を均一化(規制)する。これによって、転写定着ローラ30上のトナー像に定着液40が均一に付与される。規制ローラ83は、塗布ローラ84a,84b,84cの回転に従動して回転する。
【0117】
塗布ローラ84a,84b,84cは、転写定着ローラ30表面の多色トナー像に定着液40を接触付与する円筒状部材であり、回転軸部材82まわりの規制ローラ83に圧接し、かつ回転軸部材82の回転駆動により転写定着ローラ30表面に対して当接または離反可能に支持される。塗布ローラ84a,84b,84cは、3つのうち2つがケーシング88内の定着液40と接触しない空間に位置し、この2つのうちの1つが転写定着ローラ30表面に当接し、3つのうち残りの1つが定着液40中に浸漬するように支持される。待機中の塗布ローラ(転写定着ローラ30に定着液40を接触付与しない塗布ローラ)のうち、塗布ローラ84bは定着液40中に浸漬するので、その表面における定着液40の乾燥が防止され、定着液40の無駄な消費を防止できる。なお、塗布ローラ84a,84b,84cの上記配置は、回転軸部材82の回転に伴って、すなわち定着液40を塗布する記録媒体Pのサイズに伴って変化する。
【0118】
また、塗布ローラ84a,84b,84cは転写定着ローラ30の矢符32方向の回転駆動に従動して矢符90の方向に回転する。また、塗布ローラ84a,84b,84cは、それぞれの長手方向の長さが異なる。本実施の形態では、塗布ローラ84aはA4縦のトナー像形成可能領域、塗布ローラ84bはB5縦のトナー像形成可能領域、塗布ローラ84cは葉書のトナー像形成可能領域にそれぞれ定着液40を接触付与できる。すなわち、図6に示すように、塗布ローラ84a,84bまたは84c表面の定着液層を規制ローラ83で規制しながら、塗布ローラ84a,84b,84cのいずれか1つを適宜選択して転写定着ローラ30とを圧接させることによって、定着液塗布領域を適宜調整できる。
【0119】
供給ローラ85は、転写定着ローラ30表面に当接する位置にある塗布ローラ(図では塗布ローラ84a)に対して離接可能にかつ定着液40中に浸漬して設けられ、該塗布ローラ表面に定着液40を供給する円筒状部材である。供給ローラ85は、定着液40を供給する場合には塗布ローラ84a,84bまたは84cに当接し(定着液供給位置)、回転軸部材82の回転駆動により塗布ローラ84a,84b,84cの位置を変更する場合には、障害にならないように定着液供給位置からケーシング88の底面に向けて85aの位置に退避する。供給ローラ85は、塗布ローラ84a,84b,84cの回転駆動に従動して回転する。
【0120】
除去ローラ86は、ケーシング88内の定着液40に接触しない空間に位置する2つの塗布ローラのうち、転写定着ローラ30表面に当接しない塗布ローラ(図では塗布ローラ84c)表面に当接し、該塗布ローラ表面に付着する余分な定着液40を除去する円筒状部材である。除去ローラ86は、回転駆動可能に設けられ、塗布ローラ84a,84b,84cの回転駆動に従動して回転する。
【0121】
ブレード87は、除去ローラ86表面に当接するように設けられる板状部材であり、除去ローラ86表面に付着する定着液40を掻き落とし、ケーシング88内下部に貯留される定着液40中に戻す定着液回収機能を有する。このように、塗布ローラ84表面の定着液40は、除去ローラ86およびブレード87によりケーシング88下部に貯留される定着液40に戻されるので、ここでも定着液40の乾燥による無駄な消費を防止できる。
【0122】
なお、定着液塗布装置81には、定着液40の消費状況に応じて図示しない定着液補給管を介して定着液貯留タンクから定着液40が補給され、ケーシング88内下部に貯留される定着液40の液面高さが一定に保たれる。
【0123】
定着液塗布装置81によれば、長手方向の長さが異なる塗布ローラ84a,84b,84cを回転軸部材82に取り付け、回転軸部材82を回転させて、記録媒体Pのサイズに対応する長手方向の長さを有する塗布ローラ84a,84bまたは84cが転写定着ローラ30表面に当接するように配置し、定着液40の接触塗布を行う。これによって、不必要な部分に定着液40が付与されるのが防止され、定着液40による画像形成装置内部の構成部材の汚染、定着液40の無駄な消費などが防止される。
【0124】
図7は、本発明の実施の第4形態である画像形成装置の要部(定着液塗布装置90)の構成を模式的に示す断面図である。図8は、定着液塗布装置90による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【0125】
図7に示す画像形成装置は、画像形成装置1に類似し、同一部分については図示および説明を省略する。図7に示す画像形成装置は、画像形成装置1における定着液塗布装置33に代えて定着液塗布装置90を備えることを特徴とする。
【0126】
定着液塗布装置90は、転写定着ローラ30表面に定着液40を供給する塗布ローラ91と、塗布ローラ91表面に定着液40を供給する定着液供給手段92と、塗布ローラ91表面の図示しない定着液層を規制する規制ローラ95と、塗布ローラ91表面の定着液40を除去するブレード96と、規制ローラ95表面の定着液40を除去するブレード97と、前記各部材(塗布ローラ91、定着液供給手段92、規制ローラ95およびブレード96,97)を収容し、その下部に定着液40を貯留するケーシング98とを含んで構成される。
【0127】
塗布ローラ91は、ケーシング98の開口部98aにおいて転写定着ローラ30表面に圧接し、転写定着ローラ30の矢符32方向の回転駆動に従動して矢符99の方向に回転駆動するように設けられる。また、塗布ローラ91は、ケーシング98下部に定着液40に接触しない位置に設けられる。換言すれば、塗布ローラ91の少なくとも一部が定着液40に浸漬しないように、定着液40の液面高さを一定に調整するのが好ましい。これによって、塗布ローラ91の表面における、記録媒体Pのサイズよりも広い範囲に定着液40が付与されるのを防止できる。
【0128】
定着液供給手段92は、図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられる回転軸部材93と、回転軸部材93により回転駆動可能にかつ塗布ローラ91に対して離接可能に支持されて長手方向の長さが異なる供給ローラ94a,94b,94cとを含んで構成される。
【0129】
回転軸部材93によって、供給ローラ94a,94b,94cは、それぞれの軸心が回転軸部材93の軸心を中心とする仮想円Cの円周上に位置するように回転自在に支持される。回転軸部材93の回転により、供給ローラ94a,94b,94cが一斉に回転し、塗布ローラ91に対しての離接が行われる。回転軸部材93の回転は、回転軸部材82の回転と同様にして制御される。すなわち、画像形成装置に備えられるサイズ検知手段の検知結果に応じて、図示しないCPUが記録媒体Pのサイズを判断し、制御信号を回転軸部材93の図示しない駆動手段に伝達し、駆動手段は記録媒体Pのサイズに対応する長手方向の長さを有する供給ローラを選択し、当該供給ローラが塗布ローラ91表面に当接するように回転軸部材93を回転させる。
【0130】
供給ローラ94a,94b,94cのいずれかが塗布ローラ91表面に圧接する状態において、塗布ローラ91表面に圧接する供給ローラ(図では供給ローラ94a)は一部が定着液40中に浸漬し、他の2つの供給ローラ(図では供給ローラ94b,94c)は定着液40中に浸漬するように配置される。なお、供給ローラ94a,94b,94cの配置は、回転軸部材93の回転に伴って、すなわち定着液40を塗布する記録媒体Pのサイズに伴って変化する。
【0131】
供給ローラ94a,94b,94cは、長手方向の長さが異なるローラ部材であり、供給ローラ94aはA4サイズ縦の画像形成領域に対応する定着液40を塗布ローラ91に接触付与する。同様に、供給ローラ94b,94cは、それぞれB5サイズ縦、ハガキサイズの画像形成領域に対応する定着液40を塗布ローラ91に付与する。図8は、各供給ローラの塗布ローラ91への定着液塗布幅を示す。すなわち、供給ローラ94aを選択すると、A4縦サイズの記録媒体P幅で塗布ローラ91に定着液40が塗布され、同サイズのまま転写定着ローラ30に接触付与される。同様に、供給ローラ94bまたは94cが選択されると、B5縦サイズまたはハガキサイズの定着液40が塗布ローラ91を介して転写定着ローラ30に接触付与される。
【0132】
規制ローラ95は、塗布ローラ91表面に圧接して塗布ローラ91の矢符99方向への回転駆動に従動して回転駆動するように設けられる。規制ローラ95は、供給ローラ94a,94bまたは94cにより塗布ローラ91表面に付与される定着液40の層を規制する。これによって、塗布ローラ91が転写定着ローラ30上の多色トナー像に定着液40を均一に付与できる。
【0133】
ブレード96は、規制ローラ95表面に当接するように設けられる板状部材であり、規制ローラ95表面に付着する定着液40を掻き落とし、ケーシング98内下部に貯留される定着液40中に戻す定着液回収機能を有する。
【0134】
ブレード97は、塗布ローラ91表面に当接するように設けられる板状部材であり、転写定着ローラ30上の多色トナー像に定着液40を接触付与した後に、塗布ローラ91表面に付着する定着液40を掻き落とし、ケーシング98内下部に貯留される定着液40中に戻す定着液回収機能を有する。
【0135】
さらにブレード96,97は、次のような機能をも有する。たとえば、A4縦を全面に塗布するために供給ローラ94aを選択して定着液40の付与を行い、引き続いてハガキサイズの領域に定着液30を塗布する場合、塗布ローラ91および規制ローラ95には、ハガキサイズよりも広い範囲に定着液40が付着している。そのままの状態で、塗布ローラ91に供給ローラ94cから定着液40を付与し、転写定着ローラ30上のトナー像に定着液40を塗布すると、転写定着ローラ30表面に記録媒体Pサイズの範囲外に定着液40が塗布されてしまう。これを防ぐために、ブレード96,97を使って、定着液30を除去する。
【0136】
なお、定着液塗布装置90には、定着液40の消費状況に応じて図示しない定着液補給管を介して定着液貯留タンクから定着液40が補給され、ケーシング98内下部に貯留される定着液40の液面高さが一定に保たれる。
【0137】
本実施の形態では、塗布ローラ91は転写定着ローラ30の回転駆動に従動して回転し、供給ローラ94a,94b,94cおよび規制ローラ95は塗布ローラ91の回転駆動に従動して回転するので、回転軸部材93の駆動手段以外は不要に構成される。
【0138】
定着液塗布装置90によれば、サイズ検知手段による検知結果に応じて、供給ローラ94a,94b,94cから記録媒体Pのサイズに対応する長手方向の長さを有する供給ローラを選択し、回転軸部材93の回転駆動により当該供給ローラを塗布ローラ91に圧接して、塗布ローラ91表面に記録媒体Pサイズに対応する定着液40を付与し、この定着液40を規制ローラ95により規制した後、転写定着ローラ30上のトナー像に接触付与し、塗布ローラ91および規制ローラ95上に残留する定着液40はそれぞれブレード97,96により除去され回収される。この一連の定着液付与動作が繰返し実行される。
【0139】
図9は、本発明の実施の第5形態である画像形成装置の要部(定着液塗布装置100)の構成を模式的に示す断面図である。図10は、後述の塗布ローラ102aの構成を模式的に示す断面図である。図11は、定着液塗布装置100による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【0140】
図9に示す画像形成装置は、画像形成装置1に類似し、同一部分については図示および説明を省略する。図9に示す画像形成装置は、画像形成装置1における定着液塗布装置33に代えて定着液塗布装置100を備えることを特徴とする。
【0141】
定着液塗布装置100は、回転軸部材101と、回転軸部材101に回転駆動可能に支持されて長手方向の長さが異なる塗布ローラ102a,102b,102cと、前記各部材(回転軸部材101および塗布ローラ102a,102b,102c)を内蔵するケーシング103とを含んで構成される。ケーシング103の開口部103aにおいて、塗布ローラ102a,102b,102cのいずれか1つと、転写定着ローラ30とが圧接するように設けられる。
【0142】
回転軸部材101は、図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。また、回転軸部材101によって、塗布ローラ102a,102b,102cは、それぞれの軸心が回転軸部材101の軸心を中心とする仮想円Dの円周上に位置するように回転自在に支持される。回転軸部材101の回転により、塗布ローラ102a,102b,102cが一斉に回転し、転写定着ローラ30表面に対する離接動作が実行される。回転軸部材101の回転は、図5および図7に示す画像形成装置における回転軸部材82,93と同様に、記録媒体Pのサイズを検知するサイズ検知手段による検知結果に応じて実施される。サイズ検知手段により検知される記録媒体Pのサイズに応じて、そのサイズに対応する長手方向の長さを有する塗布ローラが転写定着ローラ30の表面に圧接するように、図示しない駆動手段により回転軸部材101を回転させる。
【0143】
塗布ローラ102a,102b,102cは、それぞれその軸線回りに回転駆動に設けられ、転写定着ローラ30表面に圧接する際に、転写定着ローラ30の矢符32方向の回転駆動に従動して回転する。本実施の形態では、塗布ローラ102a,102b,102cは転写定着ローラ30に対して、0.1N/cmの押圧力(線圧)で圧接する。
【0144】
塗布ローラ102aは、芯金105と、芯金105表面に形成され、弾性変形可能でかつ定着液40の浸透保持が可能な材料からなる浸透制御層106と、浸透制御層106の表面に形成される多孔質膜107とを含んで構成される。芯金105の内部には定着液40が貯留され、芯金105には、定着液40を浸透制御層106に供給する定着液供給孔105aが所定の間隔を空けて複数個設けられる。また、多孔質膜107の厚さ、空孔率、材質などは、定着液40の組成に応じて適宜変更できる。本実施の形態では、具体的には、次のような構成を有する塗布ローラ102aを用いる。芯金105には、外径30mm、肉厚0.5mmのアルミニウム製芯金を用いる。芯金105に形成される定着液供給孔105aは、径0.1mmで、円周方向に16箇所等角度で、軸方向には半位相ずらして5mm間隔で設けている。浸透制御層106には、厚さ5mmのフェルト、連続気泡を含む発泡ゴムなどを使用できる。多孔質膜107には、PTFEからなる厚さ50μmの多孔質膜を使用できる。この多孔質膜は孔径が0.5μmで空孔率が80%である。この多孔質膜の仕様は定着液の成分に応じて変えてもよい。また、多孔質膜107の材料には、PTFEに限定されず、ポリウレタン、ポリイミドなどの合成樹脂も使用できる。
【0145】
塗布ローラ102b,102cは、長手方向の長さが異なる以外は、塗布ローラ102aと同様の構成を有するので、図示および説明を省略する。
【0146】
また、図11に示すように、塗布ローラ102a,102b,102cの長手方向の長さは、それぞれ異なっている。たとえば、塗布ローラ102aはA4サイズ縦に対応する長手方向の長さを有する。すなわち、塗布ローラ102aによる転写定着ローラ30表面への定着液40の塗布幅はA4サイズの縦の用紙幅である。さらに、塗布ローラ102bはB5サイズ縦に対応する長手方向の長さを有し、塗布ローラ102cはハガキサイズに対応する長手方向の長さを有する。
【0147】
定着液塗布装置100によれば、サイズ検知手段による検知結果に応じて、供給ローラ102a,102b,102cから記録媒体Pのサイズに対応する長手方向の長さを有する供給ローラを選択し、回転軸部材101の回転駆動により当該供給ローラを転写定着ローラ30に圧接して、転写定着ローラ30表面に記録媒体Pサイズに対応する定着液40を付与する。この一連の定着液付与動作が繰返し実行される。
【0148】
図12は、本発明の実施の第6形態である画像形成装置の要部(定着液塗布装置110)の構成を模式的に示す断面図である。図13は、定着液塗布装置110による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【0149】
図12に示す画像形成装置は、画像形成装置1に類似し、同一部分については図示および説明を省略する。図12に示す画像形成装置は、画像形成装置1における定着液塗布装置33に代えて定着液塗布装置110を備えることを特徴とする。
【0150】
定着液塗布装置110は、回転軸部材111と、回転軸部材101に回転駆動可能に支持されて長手方向の長さが異なる圧接ローラ112a,112b,112cと、その軸線方向に回転駆動可能に設けられる支持ローラ113,114と、圧接ローラ112a,112b,112cのいずれか1つと支持ローラ113,114とにより張架されてループ状の移動経路を形成する塗布ベルト115と、塗布ベルト115を介して支持ローラ113に圧接するように設けられる供給ローラ116と、塗布ベルト115を介して支持ローラ114に圧接するように設けられる規制ローラ117と、前記各部材(回転軸部材101、圧接ローラ112a,112b,112c、支持ローラ113,114、塗布ベルト115、供給ローラ116および規制ローラ117)を収容してその下部に定着液40を貯留するケーシング118とを含んで構成される。なお、ケーシング118の開口部118aにおいて、転写定着ローラ30表面と塗布ベルト115とが圧接するように構成される。
【0151】
回転軸部材111は、図示しない駆動手段によりその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。回転軸部材111によって、圧接ローラ112a,112b,112cは、それぞれの軸心が回転軸部材111の軸心を中心とする仮想円Eの円周上に位置するように回転自在に支持される。回転軸部材111が、その軸線回りに回転駆動することによって、圧接ローラ112a,112b,112cを一斉に回転させ、後述する塗布ベルト115の転写定着ローラ30表面に対する離接を実行する。回転軸部材111は、図5、図7および図9に示す画像形成装置における回転軸部材82,93,101と同様に、記録媒体Pのサイズを検知するサイズ検知手段による検知結果に応じて実施される。サイズ検知手段により検知される記録媒体Pのサイズに応じて、そのサイズに対応する長手方向の長さを有する圧接ローラが転写定着ローラ30の表面に塗布ベルト115を圧接するように、図示しない駆動手段により回転軸部材111を回転させる。
【0152】
圧接ローラ112a,112b,112cは、その軸線回りに回転駆動可能に設けられ、定着液40を転写定着ローラ30表面に接触付与するための塗布ベルト115を、転写定着ローラ30表面に圧接させる機能を有する。すなわち、回転軸部材111の回転によって転写定着ローラ30に対向する位置に配置される圧接ローラは、塗布ベルト115を転写定着ローラ30に圧接させる。
【0153】
また、図13に示すように、圧接ローラ112a,112b,112cの長手方向の長さは、それぞれ異なっている。たとえば、圧接ローラ112aはA4サイズ縦に対応する長手方向の長さを有する。すなわち、圧接ローラ112aが転写定着ローラ30に対向する位置に配置されると、圧接ローラ112aの長手方向の長さ分だけ塗布ベルト115が変形して転写定着ローラ30表面に圧接され、定着液40がA4サイズ縦の用紙幅で転写定着ローラ30表面に塗布される。さらに、圧接ローラ112bはB5サイズ縦に対応する長手方向の長さを有し、圧接ローラ112cはハガキサイズに対応する長手方向の長さを有するので、圧接ローラ112bまたは112cが転写定着ローラ30表面に対向する位置に配置され、塗布ベルト115を圧接すると、B5サイズ縦またはハガキサイズの用紙幅で定着液40が塗布される。
【0154】
支持ローラ113,114は、それぞれその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、圧接ローラ112a,112b,112cのいずれか1つとともに、塗布ベルト115を回転駆動自在に張架する円筒状部材である。
【0155】
塗布ベルト115は、圧接ローラ112a,112b,112cのいずれか1つに押圧されて転写定着ローラ30表面に圧接するように設けられ、その表面に担持する定着液40を転写定着ローラ30上のトナー像を含めた定着液塗布領域に接触付与する。塗布ベルト115は、ケーシング118の下部に貯留される定着液40中に浸漬しないように設けられる。塗布ベルト115の幅は、圧接ローラ112a,112b,112cの長手方向の長さよりも大きく形成される。塗布ベルト115は、定着液40を浸透しない材料により構成され、たとえば、弾性ゴムからなる弾性ベルトを使用できる。本実施の形態では、エチレンプロピレンゴムからなるベルトを用いる。
【0156】
供給ローラ116は、その軸線回りに回転駆動可能にかつケーシング118下部に貯留される定着液40に部分的に浸漬するように設けられる円筒状部材である。供給ローラ116の回転によってその表面に付着する定着液40が、供給ローラ116と塗布ベルト115との圧接部において塗布ベルト115表面に供給される。
【0157】
規制ローラ117は、その軸線回りに回転駆動可能に設けられ、塗布ベルト115表面に担持される定着液40の量を規制(または定着液層を均一化)する円筒状部材である。規制ローラ117によって、転写定着ローラ30表面に定着液40が均一に塗布される。
【0158】
なお、定着液塗布装置110には、定着液40の消費状況に応じて図示しない定着液補給管を介して定着液貯留タンクから定着液40が補給され、ケーシング118内下部に貯留される定着液40の液面高さが一定に保たれる。
【0159】
定着液塗布装置110によれば、塗布ベルト115は供給ローラ116から定着液40の供給を受け、さらに規制ローラ117による定着液量の規制を受けた後、サイズ検知手段による検知結果に応じて選択される圧接ローラによる押圧を受けて転写定着ローラ30表面に圧接し、トナー像に定着液30を接触付与する。この定着液付与動作が繰返し実行される。
【0160】
上記の各実施の形態においては、A4縦、B5縦およびハガキサイズの3種の用紙幅に定着液を塗布できる定着液塗布装置の例を示したけれども、それに限定されず、用紙幅を上記以外のサイズに対応させてもよく、また用紙幅を2種または4種以上の中から選択できる構成を採ることもできる。
【0161】
本発明の画像形成装置における各部材は、上記に示した構成に限定されることなく、各部材を構成する材料、各部材の寸法、積層構造などについては、電子写真方式の画像形成分野において常用されるものの中から適宜選択可能である。
【0162】
本発明の画像形成装置は、上記の各実施の形態で示すタンデム方式のカラー画像形成装置に限定されず、中間転写ベルトの1回転毎に1色の画像を重ね合わせる、所謂4回転方式のカラー画像形成装置であってもよい。また、単色の画像形成装置として構成してもよい。
【0163】
上述のように、本発明の画像形成装置によれば、記録媒体サイズに応じた幅の定着液塗布を行うことができるので、定着液の無駄な消費を減らすことが出来る。また定着液をクリーニングするためのクリーニング部材の負荷も低減する。
【0164】
本発明の画像形成装置は、たとえば、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能の2つ以上を併せ持つ複合機などとして使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本発明の実施の第1形態である画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の要部の構成を拡大して示す断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の要部の構成を拡大して示す断面図である。
【図4】本発明の実施の第2形態である画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の実施の第3形態である画像形成装置の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】図5に示す定着液塗布装置による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【図7】本発明の実施の第4形態である画像形成装置の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】図7に示す定着液塗布装置による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【図9】本発明の実施の第5形態である画像形成装置の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図10】塗布ローラの構成を模式的に示す断面図である。
【図11】図10に示す定着液塗布装置による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【図12】本発明の実施の第6形態である画像形成装置の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図13】図12に示す定着液塗布装置による定着液塗布領域の調整方法を説明する図面である。
【符号の説明】
【0166】
1,60 画像形成装置
2 トナー像形成手段
3,61 中間転写手段
4 転写定着手段
5 記録媒体供給手段
6 搬送手段
10y,10m,10c,10b 作像ユニット
11y,11m,11c,11b 感光体ドラム
12y,12m,12c,11b 帯電ローラ
13 光走査ユニット
13y,13m,13c,13b 信号光
14y,14m,14c,14b 現像装置
15y,15m,15c,15b ドラムクリーナ
16,16y,16m,16c,16b トナー
22 中間転写ベルト
30 転写定着ローラ
33,81,90,100,110 定着液塗布装置
40 定着液
67 2次転写手段
69 定着手段
82,93,101,111 回転軸部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体または中間転写媒体上に形成されて乾式トナーからなる未定着トナー像に定着液を付与して記録媒体に定着可能な状態とし、定着手段により記録媒体に定着させる画像形成装置において、トナー像に定着液を付与する定着液塗布装置であって、
定着液を貯留する定着液貯留手段と、
未定着トナー像を定着させる記録媒体のサイズを検知するサイズ検知手段と、
未定着トナー像に定着液を付与しかつサイズ検知手段の検知結果に応じて定着液塗布領域を変更する定着液付与手段とを含むことを特徴とする定着液塗布装置。
【請求項2】
定着液付与手段は、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラであって、
長手方向の長さが異なる複数の塗布ローラを含むことを特徴とする請求項1記載の定着液塗布装置。
【請求項3】
定着液付与手段は、
長手方向の長さが異なる複数の塗布ローラと、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記複数の塗布ローラを回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含むことを特徴とする請求項2記載の定着液塗布装置。
【請求項4】
塗布ローラは、
その内部に定着液を貯留する定着液保持槽を有することを特徴とする請求項2または3記載の定着液塗布装置。
【請求項5】
定着液付与手段は、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラと、
塗布ローラ表面に定着液を供給する供給ローラであって、
塗布ローラ表面に対して離接可能におよび回転駆動可能に設けられて、長手方向の長さが異なる複数の供給ローラとを含むことを特徴とする請求項1記載の定着液塗布装置。
【請求項6】
定着液付与手段は、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラと、
長手方向の長さが異なる複数の供給ローラと、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記複数の供給ローラを塗布ローラに対して離接可能にかつ回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含むことを特徴とする請求項5記載の定着液塗布装置。
【請求項7】
定着液付与手段は、
塗布ローラ表面の定着液を除去して回収する定着液除去手段をさらに含むことを特徴とする請求項5または6記載の定着液塗布装置。
【請求項8】
供給ローラは、
塗布ローラの回転駆動に従動して回転駆動するように設けられることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1つに記載の定着液塗布装置。
【請求項9】
定着液付与手段は、
回転駆動可能に設けられ、表面に定着液を担持する供給ローラと、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラであって、
供給ローラ表面に対して離接可能におよび回転駆動可能に設けられ、長手方向の長さが異なりかつ長手方向の長さが供給ローラの長手方向の長さよりも短い複数の塗布ローラとを含むことを特徴とする請求項1記載の定着液塗布装置。
【請求項10】
定着液付与手段は、
回転駆動可能に設けられ、表面に定着液を担持する供給ローラと、
その表面に定着液を担持し、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラであって、
長手方向の長さが異なりかつ長手方向の長さが供給ローラの長手方向の長さよりも短い複数の塗布ローラと、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記複数の塗布ローラを供給ローラ表面に対して離接可能におよび回転駆動可能に支持する回転軸部材とを含むことを特徴とする請求項9記載の定着液塗布装置。
【請求項11】
複数の塗布ローラのうち、トナー像に定着液を接触付与する塗布ローラ以外の塗布ローラは、
その一部または全部が定着液に浸漬するように設けられることを特徴とする請求項9または10記載の定着液塗布装置。
【請求項12】
定着液付与手段は、
塗布ローラ表面の定着液を除去して回収する定着液除去手段をさらに含むことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1つに記載の定着液塗布装置。
【請求項13】
塗布ローラは、
中間転写媒体の回転駆動に従動して回転駆動するように設けられることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1つに記載の定着液塗布装置。
【請求項14】
定着液付与手段は、
弾性変形可能な材料からなり、表面に定着液を担持して記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を接触付与する塗布手段と、
塗布手段を介して未定着トナー像を担持する記録媒体または中間転写媒体に対向するように設けられ、塗布手段をトナー像に圧接させるとともに、塗布手段による定着液の付与領域の大きさを調整する付与領域調整手段と、
塗布手段に定着液を供給する供給ローラとを含むことを特徴とする請求項1記載の定着液塗布装置。
【請求項15】
塗布手段は、
回転駆動可能に支持される無端ベルトであることを特徴とする請求項14記載の定着液付与装置。
【請求項16】
付与領域調整手段は、
円筒状部材であって、長手方向の長さが異なる複数の押圧手段と、
その軸線回りに回転駆動可能に設けられて、前記押圧手段を回転駆動可能に支持する回転軸部材と、
サイズ検知手段により検知結果に応じて回転軸部材を回転させ、記録媒体のサイズに対応する長手方向の長さを有する押圧手段を、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像と塗布手段との圧接位置に移動させる移動指示手段とを含むことを特徴とする請求項14または15記載の定着液塗布装置。
【請求項17】
感光体ドラムと、感光体ドラム表面を帯電させる帯電手段と、帯電状態にある感光体ドラム表面に光を照射して画像情報に基づく静電潜像を形成する露光手段と、感光体ドラム上の静電潜像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像に定着液を付与する定着液塗布手段と、定着液を付与された未定着トナー像を記録媒体に定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、
定着液塗布手段は、
請求項1〜16のいずれか1つの定着液塗布装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項18】
記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像を加熱する加熱手段をさらに含み、
記録媒体または中間転写媒体上の未定着トナー像は、定着液塗布手段により定着液を付与される前に、加熱手段により65℃以上に加熱されることを特徴とする請求項17記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−323196(P2006−323196A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147063(P2005−147063)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】