説明

定着装置及び画像形成装置

【課題】定着後の用紙搬送ガイド上を通過する定着済み用紙の冷却と、定着装置内に組み込まれた用紙剥離爪の離接動作を駆動する駆動源としてのソレノイドの冷却とを、未定着のトナー像を保持した用紙に冷却風の影響を与えることなく効率的に行う。
【解決手段】加熱ローラ41及び加圧ローラ42に対する用紙剥離爪46の当接または離間状態を切替える駆動源と、加熱ローラ41及び加圧ローラ42の下流側に配置された用紙搬送ガイド55とを備え、用紙搬送ガイド55上を通過する定着済みの用紙Pにエアを送風する主通気路としてのメインダクト61と、メインダクト61から分岐して駆動源の発熱体であるソレノイド48にエアを送風する副通気路であるサブダクト65とを備えた構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置に関し、特に、用紙搬送ガイド上の定着済みの用紙を冷却する冷却機構を備えた定着装置及びこれを搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置では、高画質化とともに高速化が求められているが、トナーを用紙に定着させるためには一定の熱量が必要であり、高速化すると定着後の用紙の冷却が十分に行われず、排紙トレイに積載された用紙同士にトナーが付着するトナーブロッキング現象が発生する。
【0003】
また、両面印刷では、片面を定着した高温の用紙が感光体ドラムに再度搬送されるが、この両面印刷が多用されると、感光体ドラムの温度上昇につながり、感光体ドラムの寿命低下やクリーニング不良等を引き起こす可能性がある。
【0004】
このような画像形成装置のなかには、定着時に加熱した用紙を冷却するようにしているものがある。定着後の用紙を冷却する方法として、用紙搬送ガイドに通気孔を設け、出力用紙を冷却するエアーフローを形成するもの(例えば、特許文献1〜3等参照)が開示されている。
【0005】
また、画像形成装置のなかには、用紙が定着装置の加熱ローラや加圧ローラに巻き付き、定着部で用紙詰まり(ジャム)の発生を確実に防止するために、定着ローラや加圧ローラの表面に対して用紙剥離爪を当接し離間する剥離爪駆動手段としてのソレノイドを定着装置内に備えるもの(例えば、特許文献4〜6等参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−349755号公報
【特許文献2】特開2009−192998号公報
【特許文献3】特開2010−30749号公報
【特許文献4】特開2008−225223号公報
【特許文献5】特開2001−242738号公報
【特許文献6】特開2007−225780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
用紙剥離爪の離接動作を行う駆動源としてのソレノイドは、定着装置内に組み込まれて高温環境で使用される場合でも、用紙剥離爪の離接動作を長期間に渡って安定して確実に行うことが要求される。さらに、ソレノイドはそれ自体が電気部品であり発熱源となるため、適切に冷却されることが要求される。
【0008】
ところが、定着装置では未定着のトナー像を保持した用紙が通過するため、冷却ファンで発生した冷却風を通気路によって定着装置内へ導き、発熱源へ直接吹き付けて冷却する方法は採りにくい。そのため、従来は、定着装置やその他の発熱源で発生する熱を吸引ダクトを介して、画像形成装置の筐体に設けられた吸引ファンによって吸引し、装置外部へ排出して、画像形成装置内部の各部分を冷却する方法を採用することが多い。
【0009】
本発明は上記のような状況を鑑みてなされたものであり、定着後の用紙搬送ガイド上を通過する定着済み用紙の冷却と、定着装置内に組み込まれた用紙剥離爪の離接動作を駆動する駆動源としてのソレノイドの冷却とを、未定着のトナー像を保持した用紙に冷却風の影響を与えることなく、効率的に行うことのできる定着装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の定着装置は、定着ローラ(加熱ローラ及び加圧ローラ)に対する用紙剥離爪の当接または離間状態を切替える駆動源と、前記定着ローラの下流側に配置された用紙搬送ガイドとを備えた定着装置であって、前記用紙搬送ガイド上を通過する定着済みの用紙に冷却風を送風する主通気路と、前記主通気路から分岐して前記駆動源の発熱体に前記冷却風の一部を送風する副通気路とを備えたことを特徴としている。ここで、本発明の発熱体とはソレノイドのことである。
【0011】
このような構成によれば、未定着のトナー像を保持した用紙に冷却風の影響を与えることなく、用紙搬送ガイド上を通過する定着済み用紙の冷却と、定着ローラ表面からの用紙剥離爪の離接動作を駆動する駆動源の発熱体であるソレノイドの冷却とを効率的に行うことができる。
【0012】
また、本発明では、前記主通気路はメインダクトによって形成され、前記副通気路は前記メインダクトから分岐されたサブダクトによって形成されている。このように、主通気路と副通気路とをメインダクトとサブダクトとで構成することで、空気をダクト内の通気路にロスなく確実に通風させることができるので、定着済みの用紙と駆動源の発熱体とを効率的に冷却することができる。
【0013】
また、本発明では、前記サブダクトによって形成される前記副通気路は、前記メインダクトの分岐部から前記発熱体に対向する先端部に向かうに従って漸次狭くなるテーパ状に形成された構成としている。このような構成とすれば、副通気路での空気溜まりの発生を防止し、発熱体に向かって冷却風をスムーズに吹き付けることができる。
【0014】
また、本発明では、前記サブダクトの前記先端部には、前記発熱体に向かって冷却風を吹き付ける空気噴出口が設けられ、前記空気噴出口は、先端部内側の内径が大きく、先端部外側の内径が小さいノズル形状に形成された構成としている。このような構成とすれば、副通気路内から空気が吹き出し易くなり、定着装置内から高温の空気が逆流するのを防止できるので、発熱源であるソレノイドの冷却を効率的に行うことができる。
【0015】
また、本発明では、前記先端部と対向する前記発熱体のケーシング部には、前記サブダクトを通過した冷却風が流れる方向に沿って複数のスリットが設けられた構成としている。このような構成とすれば、発熱体であるソレノイドのケーシング部に設けたスリットによって、副通気路内の冷却風をケーシング部内に導いて、ソレノイドの冷却を効率的に行うことができる。また、サブダクトを介してケーシング部内へ導入される冷却風の風量が少量でも、ソレノイドが効率的に冷却されるため、定着装置の過剰な冷却や熱的損失が発生するのを防止し、定着装置内の温度を適切に維持することができる。
【0016】
また、本発明では、前記サブダクトの前記先端部と、前記先端部と対向する前記ケーシング部との間に断熱材を設けた構成としてもよい。このような構成とすれば、定着装置で発生する熱がサブダクトへ直接伝達されるのを断熱材によって防止することができるので、サブダクト内の温度上昇が抑制される。
【0017】
また、本発明では、前記メインダクトは、前記用紙搬送ガイドの用紙支持面と反対の下面側に配置されて前記用紙搬送ガイドに向けて突出する通気口を有し、前記通気口の先端開口部が前記用紙搬送ガイドに形成されたスリット状の複数の通気孔に連通するように配置された構成としている。このような構成とすれば、未定着のトナー像を保持した用紙に冷却風の影響を与えることなく、用紙搬送ガイド上を通過する定着済み用紙の冷却と、用紙剥離爪の離接動作を駆動するソレノイドの冷却とを効率的に行うことができる。
【0018】
また、本発明では、前記通気口の先端と前記用紙搬送ガイドとの間に断熱材が設けられた構成としてもよい。このような構成とすれば、定着直後の用紙が用紙搬送ガイドを通過する際に受ける熱がメインダクトへ直接伝達されるのを断熱材によって防止することができるので、メインダクト内の温度上昇が抑制される。
【0019】
また、本発明の画像形成装置は、用紙にトナー像を形成する画像形成装置と、用紙に形成されたトナー像を定着する上記各構成の定着装置とを備えたことを特徴としている。このような構成によれば、未定着のトナー像を保持した用紙に冷却風の影響を与えることなく、用紙搬送ガイド上を通過する定着済み用紙の冷却と、定着ローラ表面からの用紙剥離爪の離接動作を駆動する駆動源としての発熱体の冷却とを効率的に行うことができる画像形成装置を提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の定着装置及び画像形成装置によれば、未定着のトナー像を保持した用紙に冷却風の影響を与えることなく、用紙搬送ガイド上を通過する定着済み用紙の冷却と、定着ローラ表面からの用紙剥離爪の離接動作を駆動する駆動源としての発熱体の冷却とを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の定着装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】定着装置の周辺構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明の特徴である冷却ダクト部分を含む定着装置の周辺構造を模式的に示す概略断面図である。
【図4】本発明の特徴である冷却ダクト部分を含む定着装置の主要部を示す平面図である。
【図5A】本発明の特徴であるダクト部分を上側から見た横概略断面図である。
【図5B】本発明の特徴であるダクト部分を上側から見た横概略断面図である。
【図5C】本発明の特徴であるダクト部分を上側から見た横概略断面図である。
【図5D】図5CのD部分を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0023】
[画像形成装置の全体構成の説明]
図1は、本発明の定着装置が搭載された画像形成装置の全体構成を示す概略図であり、本実施形態では電子写真複写機(以下、単に「複写機」という。)に搭載した例を示している。
【0024】
図1において、複写機Aは、外部から伝達された画像データに応じて、所定の用紙(記録用紙)に対して多色または単色の画像を形成するものである。ただし、本実施形態では単色の画像を形成する複写機を例示している。
【0025】
この複写機Aは、原稿処理装置10、給紙部20、画像形成部30、及び排紙部15を備えている。
【0026】
原稿処理装置10は、装置筐体1内に、原稿載置台11、原稿搬送装置12、及び原稿読取部13を備えている。
【0027】
原稿載置台11は、透明ガラスからなり、原稿が載置可能な構成となっている。原稿搬送装置12は、原稿トレイ12aに積載された原稿を1枚ずつ搬送する。原稿搬送装置12は、紙面奥方向に回動自在に構成され、原稿載置台11の上を開放することにより原稿載置台11に原稿を置くことができるようになっている。原稿読取部13は、原稿搬送装置12で搬送中の原稿または原稿載置台11に載置された原稿を読み取るものであり、ミラー群13a、集光レンズ13b、及び撮像素子(CCD)13cを備えている。
【0028】
給紙部20は、給紙カセット21及びピックアップローラ22を備えている。ピックアップローラ22は、給紙カセット21の端部近傍に設けられ、給紙カセット21から用紙(記録用紙)Pを1枚ずつピックアップして用紙搬送路25に供給する。
【0029】
画像形成部30は、感光体ドラム31、帯電器32、現像器33、クリーナ部34、露光ユニット35、転写ローラ36、及び定着装置38等を備えている。
【0030】
画像形成部30は、電子写真方式によるものであり、帯電機器32へのバイアス印加によって表面を一様に帯電した感光ドラム31に、読み取りデータに基づいて露光ユニット35からレーザ光を照射して静電潜像を形成する。この静電潜像を現像器33によりトナー現像して可視像化する。また、トナー像の形成と同期するように、装置筐体1の下部に装着された給紙カセット21に装填されている用紙Pをピックアップローラ22によってピックアップし、搬送ローラ37によって感光ドラム31と転写ローラ36との間のニップ部へ搬送する。そして、転写ローラ36へのバイアス印加によって感光ドラム31上のトナー像を用紙Pに転写して画像形成する。トナー像が転写された用紙Pは定着装置38に送られ、加熱、加圧されることによってトナー像が定着された後、排出ローラ39によって排紙部15に排出される。
【0031】
なお、装置筐体1の背面1a側には、主に画像形成部30で発生する熱を吸引して外部に排出するための吸引ファン16が設けられており、この吸引ファン16には、装置筐体1内の各部から熱を効率的に吸引するための吸引ダクト(図1では図示省略)が設けられている。
【0032】
[定着装置の説明]
図2は、定着装置の周辺構造を示す概略断面図、図3は、本発明の特徴である冷却ダクト部分を含む定着装置の周辺構造を模式的に示す概略断面図である。また、図4は、本発明の特徴である冷却ダクト部分を含む定着装置の主要部を示す平面図、図5A〜図5Cは、本発明の特徴であるダクト部分を上側から見た横概略断面図、図5Dは、図5CのD部分を拡大して示す断面図である。なお、図2ないし図4中の矢符Yは用紙搬送方向を示している。また、図5A〜図5C中の矢印は空気(冷却風)の流れを示している。
【0033】
定着装置38は、内部にヒーター等の発熱体43が設けられ、用紙Pの未定着トナーを加熱溶融させる定着ローラである上ヒートローラ(加熱ローラ)41と下ヒートローラ(加圧ローラ)42とからなるローラ対で定着部40が構成されている。このローラ対により用紙を挟持搬送する間に用紙Pを加熱、加圧することで用紙Pに転写された未定着のトナー像を定着させる。
【0034】
定着部40の上流側(感光体ドラム31側)には、感光体ドラム31からの用紙Pを加熱ローラ41と加圧ローラ42の圧接部であるニップ部Nに案内するための定着前ペーパーガイド44aが設けられており、定着部40の下流側には、トナー像が定着された用紙Pを排紙部15へ向かって案内するための定着出口ガイド44bが設けられている。
【0035】
また、加熱ローラ41及び加圧ローラ42のそれぞれには、その周面に対して選択的に当接し離間する可動式の用紙剥離爪46を備えた剥離爪ユニット45が、ニップ部Nの下流側に設けられている。この剥離爪ユニット45は、主に、用紙剥離爪46、用紙剥離爪46を軸支する駆動軸47、駆動軸47を駆動する駆動源であるソレノイド48から構成されている。用紙剥離爪46は、図示しないスプリングを介して駆動軸47に軸支され、駆動軸47の一端部にはアーム49が取付けられ、このアーム49に、ソレノイド48のプランジャ48aが軸支されている。
【0036】
加圧ローラ42に設けられた剥離爪ユニット45は、定着出口ガイド44bの下部に配置されており、ソレノイド48は、定着出口ガイド44bの下流側端部から垂下して設けられた下側仕切り板28aに隣接して配置されている。すなわち、剥離爪ユニット45は、定着出口ガイド44bと下側仕切り板28aとで構成されるケーシング部に内包される形で定着装置内に配置されている。
【0037】
一方、加熱ローラ41に設けられた剥離爪ユニット45は、定着出口ガイド44bの上部に配置されており、コ字状に形成された上側仕切り板(ケーシング部)28bに内包される形で定着装置内に配置されている。
【0038】
また、加熱ローラ41には、巻き出しロール51と、巻き出しロール51に巻回されたウェブロール52と、巻き出されたウェブローラ52を巻き取る巻き取りロール53とからなるクリーナ部34が設けられている。また、図示は省略しているが、加圧ローラ42にも、クリーニング手段として例えばクリーニングパッド等が設けられている。
【0039】
一方、定着出口ガイド44bのさらに下流側には、図3及び図4に示すように、定着を完了した用紙Pを搬送するための用紙搬送ガイド55が設けられている。
【0040】
用紙搬送ガイド55は、トナー像が定着されて搬送される用紙Pを支持するガイド部材としての下側搬送ガイドであって、用紙支持面55aを貫通するスリット状の通気孔56が用紙搬送方向Yに直交する幅方向Xに沿って複数個設けられている。
【0041】
また、用紙支持面55aには、用紙搬送ガイド55と用紙Pとの接触面積を減らして摺動抵抗を小さくするために、幅方向Xに沿って複数本のガイドリブ57が設けられている。通気孔56とガイドリブ57とは、幅方向Xに交互に配置されている。また、通気孔56とガイドリブ57とは、用紙搬送方向Yに沿って縦長に形成されている。
【0042】
用紙搬送ガイド55の用紙支持面55aと反対の下面側には、用紙搬送ガイド55と別体で構成された冷却ダクト60が設けられている。この冷却ダクト60は、定着部40で加熱されて用紙搬送ガイド55上を搬送される用紙Pを冷却するためにエアを流すためのものであり、用紙搬送ガイド55上を通過する定着済みの用紙Pに冷却風を送風する主通気路であるメインダクト61と、メインダクト61から分岐して、加圧ローラ42側の剥離爪ユニット45の駆動源であるソレノイド(発熱体)48に前記冷却風の一部を送風する副通気路であるサブダクト65とを備えている。このような構成によれば、未定着のトナー像を保持した用紙Pに冷却風(冷却エア)の影響を与えることなく、用紙搬送ガイド55上を通過する定着済み用紙Pの冷却と、用紙剥離爪46の離接動作を駆動する駆動源としてのソレノイド48の冷却とを効率的に行うことができる。
【0043】
メインダクト61の上部は、用紙搬送ガイド55に設けられた通気孔56に対向するように、その形状が1段絞り込まれた通気口62となっており、その通気口62の先端開口部(すなわち、用紙搬送ガイド55の開口部56に臨む先端開口部)62aが、用紙搬送ガイド55に形成された複数個の通気孔56に連通するように配置されている。また、通気口62は、用紙搬送ガイド55の用紙支持面55aよりも用紙搬送路側(すなわち上部)に突出しないように配置されている。これにより、通気口62は用紙搬送ガイド55上を搬送される用紙Pとは接触しない。
【0044】
このような構成の冷却ダクト60には、図示しない冷却ファンからエアが送風され、用紙に対してエアを直接吹き付けることができるようになっている。この冷却ファンは、装置筐体1の背面1aに設けられた吸引ファン16を兼用してもよいし、これとは別に設けてもよい。これにより、定着部40で加熱された用紙が冷却される。
【0045】
用紙の搬送中は冷却エアが直接用紙へ当たり、用紙の熱が用紙搬送ガイド55の用紙支持面55aに流れる。このときのエアは用紙の熱を保持して拡散するため、用紙搬送ガイド55は用紙が定着後に持っていた熱を受け取って保温される。
【0046】
なお、用紙搬送ガイド55とメインダクト61との間は接触部分を持たないように、別体で構成されていることが望ましい。また、両者の間に断熱材64を構造支持体として配置するのが望ましい。断熱材64としてはセラミックス、不織布などを用いることができる。断熱材64を配置することで、定着直後の用紙が用紙搬送ガイド55を通過する際に受ける熱が冷却ダクト60側へ直接伝達されるのを防止することができるので、冷却ダクト60内の温度上昇が抑制される。なお、用紙搬送ガイド55の強度を増すため、ガイドリブ57の高さは高くしてもよい。
【0047】
一方、メインダクト61から分岐されたサブダクト65は、図3及び図5Aに示すように、単純な円筒形状や四角筒形状であってもよいが、図5B及び図5Cに示すように、メインダクト61の分岐部65aから発熱体であるソレノイド48に対向する先端部65bに向かうに従って漸次狭くなるテーパ状に形成されているのがよい。このようにサブダクト65をテーパ状に形成することで、サブダクト65内での空気溜まりの発生を防止し、ソレノイド48に向かって冷却風をスムーズに吹き付けることができる。
【0048】
また、サブダクト65の先端部65b側の端面66には、ソレノイド48に向かって冷却風を吹き付けるための空気噴出口67が設けられている。この空気噴出口67は、図5A及び図5Bに示すように、単純な円筒形状であってもよいが、図5C及び図5Dに示すように、先端部内側の内径R1が大きく、先端部外側の内径R2が小さいノズル形状(R1>R2)に形成されているのがよい。このように空気噴出口67の形状を、内側が大きく外側が小さいノズル形状とすることによって、サブダクト65内から空気が吹き出し易くなり、定着装置内から高温の空気が逆流するのを防止できるので、ソレノイド48の冷却を効率的に行うことができる。
【0049】
また、サブダクト65の端面66と対向する下側仕切り板28aには、サブダクト65を通過した冷却風が流れる方向に沿って複数のスリット29が設けられている。このように、下側仕切り板28aにもスリット29を設けることによって、サブダクト65内の冷却風を下側仕切り板28aのスリット29からケーシング部内に導いて、ソレノイド48を直接冷却することができる。また、サブダクト65を介してケーシング部内へ導入される冷却風の風量が少量でも、ソレノイド48が効率的に冷却されるため、定着装置の過剰な冷却や熱的損失が発生するのを防止し、定着装置内の温度を適切に維持することができる。
【0050】
また、図3に示すように、サブダクト65の端面66と、この端面66と対向する下側仕切り板28aとの間に、断熱材67を構造支持体として配置するのが望ましい。断熱材67としては、上記と同様セラミックス、不織布などを用いることができる。断熱材67を配置することで、定着装置で発生する熱がサブダクト65へ直接伝達されるのを防止することができるので、サブダクト65内の温度上昇が抑制される。なお、メインダクト61から分岐されたサブダクト65は、メインダクト61と一体的に形成されていてもよいし、別体で形成されていてもよい。
【0051】
本実施形態では、冷却ダクト60は、用紙搬送ガイド55の下側にのみ配置されており、用紙搬送ガイド55の上側には配置されていない。つまり、加熱ローラ41に設けられた剥離爪ユニット45のソレノイド48は直接冷却しない構造となっている。これは、ソレノイド48から発せられた熱は上昇し、用紙搬送ガイド55の表面側への影響が比較的少ないため、上側の剥離爪ユニット45には冷却ダクト60を配置する必要がないからである。また、上記したように、装置筐体1の背面1a側には、装置内のエアを吸引して外部に排出するための吸引ファン16が設けられており、この吸引ファン16に連通する吸引ダクト17(図2参照)が、加熱ローラ41の上部、より具体的には、クリーナ部34の上部に配置されている。従って、上側の剥離爪ユニット45のソレノイド48から発せられた熱は、この吸引ダクト17を介して外部に排出されるため、冷却ダクト60を別途設けなくても、十分に冷却できるからである。ただし、用紙搬送ガイド55の上側にも冷却ダクト60を配置して、上側の剥離爪ユニット45のソレノイド48も冷却するように構成してもよいことは当然である。
【0052】
なお、今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。従って、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0053】
A 複写機(画像形成装置)
1 装置筐体
1a 背面
10 原稿処理装置
11 原稿載置台
12 原稿搬送装置
12a 原稿トレイ
13 原稿読取部
13a ミラー群
13b 集光レンズ
13c CCD(撮像素子)
15 排紙部
16 吸引ファン
17 吸引ダクト
20 給紙部
21 給紙カセット
22 ピックアップローラ
25 用紙搬送路
28a 下側仕切り板
28b 上側仕切り板
29 スリット
30 画像形成部
31 感光体ドラム
32 帯電器
33 現像器
34 クリーナ部
35 露光ユニット
36 転写ローラ
37 搬送ローラ
38 定着装置
39 排出ローラ
40 定着部
41 加熱ローラ(定着ローラ)
42 加圧ローラ(定着ローラ)
44a 定着前ペーパーガイド
44b 定着出口ガイド
45 剥離爪ユニット
46 用紙剥離爪
47 駆動軸
48 ソレノイド(発熱体)
48a プランジャ
49 アーム
51 巻き出しロール
52 ウェブロール
53 巻き取りロール
55 用紙搬送ガイド
55a 用紙支持面
56 通気孔
57 ガイドリブ
60 冷却ダクト
61 メインダクト(主通気路)
62 通気口
62a 先端開口部
64,67 断熱材
65 サブダクト(副通気路)
65a 分岐部
65b 先端部
66 端面
67 空気噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定着ローラに対する用紙剥離爪の当接または離間状態を切替える駆動源と、前記定着ローラの下流側に配置された用紙搬送ガイドとを備えた定着装置であって、
前記用紙搬送ガイド上を通過する定着済みの用紙に冷却風を送風する主通気路と、前記主通気路から分岐して前記駆動源の発熱体に前記冷却風の一部を送風する副通気路とを備えたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
請求項1に記載の定着装置であって、
前記発熱体がソレノイドであることを特徴とする定着装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の定着装置であって、
前記主通気路はメインダクトによって形成され、前記副通気路は前記メインダクトから分岐されたサブダクトによって形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項4】
請求項3に記載の定着装置であって、
前記サブダクトによって形成される前記副通気路は、前記メインダクトの分岐部から前記発熱体に対向する先端部に向かうに従って漸次狭くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項5】
請求項4に記載の定着装置であって、
前記サブダクトの前記先端部には、前記発熱体に向かって冷却風を吹き付ける空気噴出口が設けられ、前記空気噴出口は、先端部内側の内径が大きく、先端部外側の内径が小さいノズル形状に形成されていることを特徴とする定着装置。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の定着装置であって、
前記先端部と対向する前記発熱体のケーシング部には、前記サブダクトを通過した冷却風が流れる方向に沿って複数のスリットが設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項7】
請求項6に記載の定着装置であって、
前記サブダクトの前記先端部と、前記先端部と対向する前記ケーシング部との間に断熱材が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項8】
請求項3から請求項7までのいずれか1項に記載の定着装置であって、
前記メインダクトは、前記用紙搬送ガイドの用紙支持面と反対の下面側に配置されて前記用紙搬送ガイドに向けて突出する通気口を有し、前記通気口の先端開口部が前記用紙搬送ガイドに形成されたスリット状の複数の通気孔に連通するように配置されていることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
請求項3から請求項8までのいずれか1項に記載の定着装置であって、
前記通気口の前記先端開口部と前記用紙搬送ガイドとの間に断熱材が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項10】
用紙にトナー像を形成する画像形成装置と、用紙に形成されたトナー像を定着する請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の定着装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【公開番号】特開2013−45052(P2013−45052A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184586(P2011−184586)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】