説明

定着装置

【課題】最小の記録シートに印字を行っている際に、当該記録シートの搬送領域外における加熱ユニットの温度が過度に上昇するのを防止することができる定着装置を提供する。
【解決手段】定着装置は、可撓性の定着ベルト110と、定着ベルト110の内側に配置され、ハロゲンランプ210を有する加熱ユニット200と、加熱ユニット200との間で定着ベルト110を挟むことでニップ部Nを形成するバックアップローラ120と、最小の用紙Pの搬送領域よりも用紙幅方向外側において加熱ユニット200に設けられ、温度変化によって形状変化可能な変形部材160と、加熱ユニット200から離間して設けられる除熱部材150と、を備えている。変形部材160は、所定の温度未満では、除熱部材150から離間し、所定の温度以上では、除熱部材150に接触するように変形する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、筒状の定着ベルトと、定着ベルトの内部に配置されるヒータおよびニップ板を有する加熱ユニットと、加熱ユニットとの間で定着ベルトを挟むバックアップローラと、を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この定着装置は、定着ベルトが加熱ユニットによって加熱され、この加熱された定着ベルトとバックアップローラの間に記録シートを搬送することで、記録シートに転写された現像剤像を熱定着するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−137933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した定着装置において、小さいサイズの記録シートが連続して搬送された場合、当該記録シートの搬送領域外における加熱ユニットの温度が次第に上昇し、高温になってしまう。そして、このように高温になると、加熱ユニットが劣化するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、小さいサイズの記録シートに印字を行っている際に、当該記録シートの搬送領域外における加熱ユニットの温度が過度に上昇するのを防止することができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した目的を達成するため、本発明の定着装置は、記録シートに現像剤像を熱定着させる定着装置であって、可撓性の筒状部材と、筒状部材の内側に配置され、発熱体を有する加熱ユニットと、加熱ユニットとの間で筒状部材を挟むことでニップ部を形成するバックアップ部材と、温度変化によって形状変化可能な変形部材と、除熱部材と、を備えている。
変形部材は、最小の記録シートの搬送領域よりも記録シート幅方向外側において加熱ユニットに設けられている。
除熱部材は、加熱ユニットから離間して設けられている。
そして、変形部材は、所定の温度未満では、除熱部材から離間し、所定の温度以上では、除熱部材に接触するように変形する。
【0007】
このように構成された定着装置によれば、加熱ユニットの最小の記録シートの搬送領域よりも記録シート幅方向外側の部分が所定の温度以上となったとき、変形部材が変形して除熱部材と加熱ユニットが変形部材によって接続されるので、加熱ユニットが除熱部材によって除熱される。これにより、最小の記録シートに印字を行っている際に、加熱ユニットの最小の記録シートの搬送領域よりも記録シート幅方向外側の部分の温度が過度に上昇するのを防止することができる。また、加熱ユニットの最小の記録シートの搬送領域よりも記録シート幅方向外側の部分が所定の温度未満であるときには、加熱ユニットと除熱部材は変形部材によって接続されていないので、除熱部材が発熱体による加熱ユニットの加熱を邪魔しない。
【0008】
そして、前記した定着装置において、加熱ユニットは、発熱体により加熱され、バックアップ部材との間で筒状部材を挟むことでニップ部を形成するニップ部材をさらに有していてもよい。
この場合、変形部材は、ニップ部材に設けられていることが望ましい。
【0009】
このように構成された定着装置によれば、筒状部材を直接加熱するニップ部材が高温になるのを確実に防止することができる。
【0010】
また、前記したニップ部材を有する定着装置において、発熱体は、輻射熱を発する部材であり、加熱ユニットは発熱体を覆う遮蔽部材を有していてもよい。
この場合、変形部材は、遮蔽部材の外側に配置されていることが望ましい。
【0011】
このように構成された定着装置によれば、変形部材が発熱体からの輻射熱を直接受けないので、ニップ部材が所定の温度以上となる前に、変形部材が変形してしまうのを防止することができる。
【0012】
そして、前記した変形部材は、バイメタルから構成されていてもよいし、形状記憶合金から構成されていてもよい。
【0013】
また、前記した定着装置において、除熱部材の少なくとも一部は、筒状部材よりも外側に配置されていることが望ましい。
【0014】
このように構成された定着装置によれば、除熱部材を筒状部材の内部よりも冷たい外側の空気に触れさせることで、除熱部材が加熱ユニットから熱を奪いやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、加熱ユニットの最小の記録シートの搬送領域外が、所定の温度以上となったとき、変形部材を介して除熱部材によって除熱することができるので、小さいサイズの記録シートに印字を行っている際に、加熱ユニットにおける記録シートの搬送領域外の部分が過度に高温になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタを示す側断面図である。
【図2】定着装置の左右方向に直交する面で切った断面図である。
【図3】ハロゲンランプ、ニップ板、反射板、ステイ、カバー、変形部材および除熱部材の斜視図である。
【図4】定着装置の定着ベルト内を示す部分断面図である。
【図5】変形部材が変形したときの定着装置の左右方向に直交する方向で切った断面図である。
【図6】変形例に係る定着装置の定着ベルト内を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の定着装置100を備えたレーザプリンタ1の概略構成について説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0018】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0019】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0020】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パット34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パット34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
【0021】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム61の表面で高速走査される。
【0022】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0023】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0024】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0025】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0026】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像(トナー)は、定着装置100を通過することで用紙P上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0027】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、加熱ユニット200と、バックアップ部材の一例としてのバックアップローラ120と、カバー部材130と、ガイド部材140(図4参照)と、除熱部材150と、変形部材160とを備えている。
【0028】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のベルトであり、その両端部がガイド部材140により回転が案内されている(図4参照)。
【0029】
加熱ユニット200は、定着ベルト110の内側に配置されるユニットであり、発熱体の一例としてのハロゲンランプ210と、ニップ部材の一例としてのニップ板220と、遮蔽部材の一例としての反射部材230と、ステイ240とを備えている。
【0030】
ハロゲンランプ210は、輻射熱を発してニップ板220および定着ベルト110を加熱することで、用紙P上のトナーを加熱する公知の発熱体であり、定着ベルト110およびニップ板220の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0031】
ニップ板220は、ハロゲンランプ210からの輻射熱を受けることで加熱される板状の部材であり、筒状の定着ベルト110の内面に摺接するように配置されている。このニップ板220は、後述するスチール製のステイ240より熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などで構成されている。
【0032】
図3に示すように、ニップ板220は、ベース部221と、突出部222とを主に有している。
【0033】
ベース部221は、その下面が定着ベルト110の内周面と摺接する部分であり、ハロゲンランプ210から受けた輻射熱を、定着ベルト110を介して用紙P上のトナーに伝達するようになっている。
【0034】
突出部222は、用紙搬送方向におけるベース部221の後端から用紙搬送方向に沿って延びて略平板状に形成されている。この突出部222は、ベース部221の後端の左右2箇所に形成されている。より詳細に、突出部222は、レーザプリンタ1で印字可能な最小サイズの用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側に形成されている。また、この突出部222は、図2に示すように、後述する反射部材230のフランジ部232よりも後方まで延びている。
【0035】
反射部材230は、ハロゲンランプ210からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板220(ニップ板220の上面)に向けて反射する部材であり、ハロゲンランプ210を覆うように、ハロゲンランプ210から所定の間隔をあけて配置されている。
【0036】
このような反射部材230によってハロゲンランプ210からの輻射熱をニップ板220に集めることで、ハロゲンランプ210からの輻射熱を効率よく利用することができ、ニップ板220および定着ベルト110を速やかに加熱することができる。
【0037】
反射部材230は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳しくは、図3に示すように、反射部材230は、湾曲形状(断面視略U形状)をなす反射部231と、反射部231の両端部から前後方向外側に延びるフランジ部232とを主に有している。
【0038】
図2に示すように、ステイ240は、前後方向におけるニップ板220の両端部を反射部材230のフランジ部232を介して支持することで、ニップ板220の剛性を確保する部材である。ステイ240は、反射部材230(反射部231)の外面形状に沿った形状(断面視略U形状)を有して反射部材230を覆うように配置されている。このようなステイ240は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。
【0039】
バックアップローラ120は、弾性変形可能な部材であり、ニップ板220の下方に配置されている。そして、このバックアップローラ120は、弾性変形した状態でニップ板220との間で定着ベルト110を挟むことで定着ベルト110との間にニップ部Nを形成している。
【0040】
このバックアップローラ120は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が電圧されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙P)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させるようになっている。これにより、トナー像が転写された用紙Pは、バックアップローラ120と加熱された定着ベルト110の間(ニップ部N)を搬送されることでトナー像(トナー)が熱定着されるようになっている。
【0041】
カバー部材130は、後述する除熱部材150を支持する部材であり、定着ベルト110の内側において加熱ユニット200を覆うように配置されている。このカバー部材130は、断面視略U形状に形成されており、後壁の下端から後方へ向けて用紙搬送方向に沿って延びる支持部131を有している。なお、支持部131は、ニップ板220の突出部222とは接触しないように、突出部222から上方へ離れた位置に形成されている。
【0042】
図3に示すように、支持部131には、左右2箇所、より詳細には、図4に示すように、上下方向から見て、ニップ板220の突出部222と重なる位置に、上下方向に貫通する孔132が形成されている。この孔132は、支持部131上に配置された除熱部材150の下面を露出させる部分であり、除熱部材150が安定して支持されるように、除熱部材150よりも小さなサイズで形成されている。
【0043】
ガイド部材140は、定着ベルト110の両端に設けられ、定着ベルト110、加熱ユニット200およびカバー部材130を支持している。
【0044】
除熱部材150は、放熱性の高い部材であり、例えば、ヒートシンクである。除熱部材150は、定着ベルト110の内側において、カバー部材130の支持部131に支持され、各孔132の上に配置されている。このように除熱部材150は、加熱ユニット200を覆うカバー部材130の外側に配置されているので、加熱ユニット200からは離間して設けられている。
【0045】
変形部材160は、熱伝導率が高く、かつ、温度変化によって形状変化可能な部材である。この変形部材160は、図2に示すように、加熱ユニット200のうち反射部材230の外側に設けられている。具体的に、変形部材160は、ニップ板220の各突出部222上に設けられている。
【0046】
変形部材160は、平板形状のバイメタルから構成され、後端がニップ板220に固定されている。この変形部材160は、ニップ板220の温度が十分低い状態では、図2に示すような平板状になっており、除熱部材150とは接触しないようになっている。そして、変形部材160は、定着装置100を使用することで、ニップ板220の温度が上昇していくと、前端が上方へ移動して反っていき、ニップ板220が所定の温度以上となったとき、図5に示すように、前端が除熱部材150の下面に接触するようになっている。
【0047】
なお、本実施形態で用いられるバイメタルは、定着装置100の停止時と稼働時を含む温度範囲で、温度と変形量の関係が比例関係となるものが望ましい。このような比例温度範囲を有するバイメタルは、例えば、JIS規格で規定されている電気用バイメタルTM4である。このように、定着装置100の停止時と稼働時を含む温度範囲で、温度と変形量の関係が比例関係となるバイメタルを変形部材160として用いることで、変形部材160の変形量のばらつきを抑え、変形部材160を、ニップ板220が所定の温度未満のときは、除熱部材150と接触せず、ニップ板220が所定の温度以上となったときには、除熱部材150に接触するように変形させることができる。
【0048】
なお、本実施形態において「所定の温度」とは、用紙Pにトナーを定着するための定着温度よりも高い温度である。
【0049】
次に、以上のように構成された本発明の定着装置100の作用および効果について説明する。
定着装置100を使用していないとき、または、大きいサイズの用紙Pに印字を行っているときのように、ニップ板220が所定の温度未満の時は、変形部材160は、図2に示すような、除熱部材150から離間した状態になっている。
【0050】
最小サイズの用紙Pで連続して印字を行っているときには、ニップ板220の用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側の部分の温度が、次第に上昇していく。これにより、変形部材160がニップ板220の温度上昇にともなって、次第に前端が上方へ移動するように変形する。そして、ニップ板220の用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側の部分が所定の温度以上となったとき、図5に示すように、変形部材160の前端は、除熱部材150の下面に接触する。
【0051】
これにより、ニップ板220の用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側の部分が、変形部材160を介して除熱部材150により除熱されるので、小さいサイズの用紙Pに印字を行っているときに、ニップ板220の用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側の部分が、過度に高温になるのを防止することができる。
【0052】
そして、ニップ板220の用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側の部分が所定の温度未満となったとき、変形部材160の前端が下方へ向けて移動するように変形し、図2に示すように、除熱部材150の下面から離間する。
【0053】
これにより、ニップ板220の用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側の部分が所定の温度未満であるときには、除熱部材150によって加熱ユニット200の加熱を邪魔しない。
【0054】
なお、変形部材160は、ニップ板220に設けられているので、定着ベルト110を直接加熱するニップ板220が高温になるのを確実に防止することができる。
【0055】
また、変形部材160は、反射部材230の外側に配置されているので、変形部材160がハロゲンランプ210から直接輻射熱を受けないので、ニップ板220が所定の温度以上となる前に、変形部材160が変形してしまうのを防止することができる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0057】
前記実施形態では、変形部材がバイメタルから構成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、変形部材は、二方向性の形状記憶合金から構成されていてもよい。
【0058】
前記実施形態では、除熱部材150は、図4に示すように、定着ベルト110の内側に配置されていたが、本発明はこれに限定されず、除熱部材の少なくとも一部は、定着ベルト110よりも外側に配置されていてもよい。
【0059】
具体的に、このような形態の一例を説明すると、図6に示すように、除熱部材150’は、用紙幅方向に長い部材であり、左右方向の外側端部がガイド部材140を突き抜けて、定着ベルト110の端部よりも外側に突出している。
【0060】
このように、除熱部材150’の一部を定着ベルト110よりも外側に配置されていることで、除熱部材150’の一部が定着ベルト110の内部よりも冷たい外側の空気に触れさせることができるので、除熱部材150’が放熱する効率がよくなり、ニップ板220から熱を奪いやすくなる。
【0061】
そして、前記実施形態では、変形部材160は、ニップ板220に設けられていたが、本発明はこれに限定されず、加熱ユニット200を構成するハロゲンランプ210以外の部材に設けられていてもよい。例えば、反射部材230のフランジ部232をステイ240の外側まで延ばし、このフランジ部232に変形部材160を設けてもよい。
【0062】
また、前記実施形態では、変形部材160は、加熱ユニット200の最小サイズの用紙Pの搬送領域Wよりも用紙幅方向外側の2箇所、つまり、加熱ユニット200の両端に配置されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、用紙Pが左右方向の一端に寄せられて搬送される定着装置においては、加熱ユニット200の左右方向の他端のみに変形部材160を設けてもよい。
【0063】
また、前記実施形態では、除熱部材150は、放熱性の高いヒートシンクであったが、本発明はこれに限定されず、除熱部材は、熱容量の大きい素材から構成されていてもよい。
【0064】
前記実施形態では、遮蔽部材の一例として反射部材230を例示したが、本発明はこれに限定されず、ステイ240をハロゲンランプ210を覆う遮蔽部材としてもよい。
【0065】
そして、前記実施形態では、ニップ部材と発熱体を別部品としていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ニップ部材と発熱体の両方の役割を果たす部材として、板状のセラミックヒータを採用してもよい。
【0066】
また、前記実施形態では、バックアップ部材としてバックアップローラ120を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状のバックアップ部材などであってもよい。
【0067】
そして、前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【符号の説明】
【0068】
100 定着装置
110 定着ベルト
120 バックアップローラ
130 カバー部材
140 ガイド部材
150 除熱部材
160 変形部材
200 加熱ユニット
210 ハロゲンランプ
220 ニップ板
230 反射部材
240 ステイ
N ニップ部
P 用紙
W 搬送領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性の筒状部材と、
前記筒状部材の内側に配置され、発熱体を有する加熱ユニットと、
前記加熱ユニットとの間で前記筒状部材を挟むことでニップ部を形成するバックアップ部材と、を備え、記録シートに現像剤像を熱定着させる定着装置であって、
最小の記録シートの搬送領域よりも記録シート幅方向外側において前記加熱ユニットに設けられ、温度変化によって形状変化可能な変形部材と、
前記加熱ユニットから離間して設けられる除熱部材と、を備え、
前記変形部材は、所定の温度未満では、前記除熱部材から離間し、前記所定の温度以上では、前記除熱部材に接触するように変形することを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記加熱ユニットは、前記発熱体により加熱され、前記バックアップ部材との間で前記筒状部材を挟むことで前記ニップ部を形成するニップ部材を有し、
前記変形部材は、前記ニップ部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記発熱体は、輻射熱を発する部材であり、
前記加熱ユニットは、前記発熱体を覆う遮蔽部材を有し、
前記変形部材は、前記遮蔽部材の外側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記変形部材は、バイメタルであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項5】
前記変形部材は、形状記憶合金であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項6】
前記除熱部材の少なくとも一部は、前記筒状部材よりも外側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−73171(P2013−73171A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213914(P2011−213914)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】