説明

定量吐出容器

【課題】操作性と計量正確性に優れた定量吐出容器を提供する。
【解決手段】本発明の定量吐出容器は、容器本体2の口部に装着され吐出口32を有する吐出部材3と、吐出口32と対向する位置に配設された計量カップ部41、及び計量カップ部41を取り囲む嵌合筒部42を有する中栓部材4と、嵌合筒部42の下端開口部を閉塞する底壁部51、及び底壁部51を容器軸方向に貫いて計量カップ部41内と容器本体2内とを連通する内容物供給路53aを有する底壁部材5と、を備え、底壁部材5は、底壁部51を容器軸方向に貫いて計量カップ部41内と容器本体2内とを連通する空気供給路54aを有しており、空気供給路54a及び内容物供給路53aのそれぞれの計量カップ部41側の開口部は、計量カップ部41内で、かつ容器軸方向に沿う同等の位置に配置され、吐出口32の内径D1は、計量カップ部41の外径D2よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定量吐出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器の口部に定量キャップを備え、内容物を一定量ずつ吐出させることができる定量吐出容器が知られている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−151461号公報
【特許文献2】実公平2−13314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の容器では、容器を傾けたときに貯留室に貯留されている内容物が吐出口に向かって真っ直ぐに移動するため、内容物の粘度によっては吐出速度や吐出位置の調整が難しくなる場合があった。
また特許文献2記載の容器では、空気置換管における計量室側の開口端が、注入管における計量室側の開口端よりも容器本体側に位置しているため、内容物を一旦計量室に注いだ後、貯留室に移動させる際に、計量室の開口端近傍に配置された空気置換管から収容容器への内容物の逆流が生じやすくなり、貯留室に貯留される内容物の量がばらついてしまい、吐出量の正確性が低くなる場合があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、操作性及び吐出正確性を向上させた定量吐出容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の定量吐出容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着されるとともに、天壁部に内容物が吐出される吐出口が形成された有頂筒状の吐出部材と、前記吐出口と対向する位置に配設された有頂筒状の計量カップ部、及び前記計量カップ部を径方向の外側から囲繞し前記容器本体の口部内に嵌合された嵌合筒部を有する中栓部材と、前記嵌合筒部の下端開口部を閉塞する底壁部、及び前記底壁部を容器軸方向に貫いて前記計量カップ部内と容器本体内とを連通する内容物供給路を有する底壁部材と、を備え、前記底壁部材は、前記底壁部を前記容器軸方向に貫いて前記計量カップ部内と容器本体内とを連通する空気供給路を有しており、前記空気供給路及び前記内容物供給路のそれぞれの前記計量カップ部側の開口部は、前記計量カップ部内で、かつ容器軸方向に沿う同等の位置に配置され、前記吐出口の内径は、前記計量カップ部の外径よりも小さいことを特徴とする。
【0007】
この構成の定量吐出容器は、倒立姿勢にすることで容器本体から内容物供給路を介して計量カップ部に内容物を注ぐことにより計量を行い、その後に正立姿勢に戻すことで、計量カップ部内の内容物を嵌合筒部と底壁部材に囲まれた空間に移動させて貯留する。そして、再度倒立姿勢にすることで、上記空間に貯留されている内容物を、吐出口から吐出させる容器である。
上記構成によれば、吐出口の内径が計量カップ部の外径よりも小さく形成されているので、嵌合筒部と底壁部材に囲まれた空間に貯留された内容物を吐出口から吐出する際に、底壁部材から吐出部材に向かって移動する内容物の移動方向が、吐出部材の天壁部裏面によって吐出口側へ折り曲げられる。このときに内容物の流動速度が減殺されるため、内容物は緩やかな吐出速度で吐出口から吐出される。これにより、内容物を狙った位置に吐出することが容易になるので、優れた操作性を得ることができる。
また、空気供給路及び内容物供給路のそれぞれの計量カップ部側の開口部が、計量カップ部内で、かつ容器軸方向に沿う同等の位置に配置されているので、計量カップ部で計測した内容物を嵌合筒部と底壁部材に囲まれた空間に移動させる際に、ほとんどの期間において、上記の2つの開口部が2つとも内容物によって閉塞されている状態か、2つとも空気中に開口している状態となる。そうすると、ほとんどの期間において計量カップ部内の内容物と容器本体内の空気との置換は起こらないため、内容物の逆流がほとんど生じなくなる。したがって、計量カップ部で計量した内容物のほぼ全量を嵌合筒部と底壁部材に囲まれた空間に移動させることができるので、所定量の内容物を精度良く吐出させることが可能となる。
【0008】
前記底壁部の前記計量カップ部側及び前記容器本体側へ突出し前記空気供給路を形成する空気供給筒部を有し、前記空気供給筒部の前記容器本体側の先端にカット部が形成されている構成としてもよい。
この構成によれば、定量吐出容器を倒立姿勢にしたときに空気の置換がより円滑に行われるようになる。
【0009】
前記底壁部の前記計量カップ部側及び前記容器本体側へ突出し前記空気供給路を形成する空気供給筒部と、前記底壁部から前記計量カップ部側へ突出し前記内容物供給路を形成する内容物供給筒部と、を有し、前記空気供給筒部は、前記内容物供給筒部の内側に配設されている構成としてもよい。
この構成によれば、定量吐出容器を傾ける方向によらず、計量操作を正確に行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作性及び吐出正確性を向上させた定量吐出容器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(a)は、実施形態の定量吐出容器を示す部分断面図、(b)は、図1(a)に示す底壁部材の底面図。
【図2】正立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図。
【図3】倒立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図。
【図4】定量吐出容器を下向きに傾けたときの状態を示す断面図。
【図5】カット部の複数の構成例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は、本実施形態の定量吐出容器を示す部分断面図である。図1(b)は、図1(a)に示す底壁部材の底面図である。
【0013】
本実施形態の定量吐出容器1は、図1に示すように、内容物が収容される容器本体2と、容器本体2の口部21に装着された吐出部材3と、吐出部材3の内側に設けられ口部21に嵌合された中栓部材4と、中栓部材4の底部に設けられた底壁部材5と、吐出部材3を覆い口部21に螺着されるオーバーキャップ6と、を備えている。
【0014】
なお、本実施形態では、容器本体2、吐出部材3、中栓部材4、及び底壁部材5の各中心軸線は共通軸上に位置している。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向、上下方向に沿った吐出部材3側を上側、容器本体2側を下側という。また、容器軸Oに直行する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0015】
吐出部材3は、有頂筒状の部材であり、天壁部31と、天壁部31の中央部に形成された吐出口32と、天壁部31の外周端から下方に延びる外筒部33と、天壁部31の下面から下方へ延びる内筒部34と、を有する。
【0016】
中栓部材4は、有頂筒状の計量カップ部41と、計量カップ部41を径方向の外側から囲繞するとともに容器本体2の口部21に嵌合された嵌合筒部42と、嵌合筒部42の上側の開口端において嵌合筒部42の外周面よりも外側に突出するように形成されたフランジ部43と、計量カップ部41の外周面と嵌合筒部42の内周面との間に架け渡された複数のブリッジ部44と、を有する。
【0017】
計量カップ部41の内部空間が、容器本体2から吐出させた内容物を計量する計量部45である。計量カップ部41は、その天壁部41aを吐出口32と対向させた位置に配置されている。計量カップ部41の外径D2は、吐出口32の内径D1よりも大きく形成されている。天壁部41aと吐出口32とは、上下方向に所定の間隔を空けて配置されている。計量カップ部の天壁部41aと吐出部材3の天壁部31との間隙が吐出される内容物の流動経路となる。
【0018】
中栓部材4は、その嵌合筒部42が容器本体2の口部21の内側に嵌め込まれ、嵌合筒部42上端のフランジ部43が口部21の上端面に載置された状態で、フランジ部43を覆うようにして口部21に装着された吐出部材3により固定されている。より詳しくは、吐出部材3の外筒部33と内筒部34とがフランジ部43と口部21の先端部とを挟持しており、外筒部33の内周面に周方向に沿って形成された凸条33aは口部21の先端部外周面に周方向に沿って形成された凸条21aにアンダーカット嵌合され、上記凸条33aよりも上方に位置して外筒部33の内周面に周方向に沿って形成された凸条33bはフランジ部43の外周面に周方向に沿って形成された凸条43aにアンダーカット嵌合されている。
【0019】
底壁部材5は、嵌合筒部42の下側の開口部を閉塞する底壁部51と、底壁部51の上面の外周部から上方に延びる封止筒部52と、底壁部51を貫いて上方に突出する内容物供給筒部53と、内容物供給筒部53の内側に設けられるとともに底壁部51を貫いて上方及び下方にそれぞれ突出する空気供給筒部54と、を有する。
【0020】
底壁部材5は、その封止筒部52が嵌合筒部42の下側の開口部に嵌め込まれ、封止筒部52の外周面に周方向に沿って形成された凸条52aと、嵌合筒部42の内周面に周方向に沿って形成された凸条42aとがアンダーカット嵌合されることにより、嵌合筒部42の下側開口部に固定されている。底壁部材5において、底壁部51と、封止筒部52と、内容物供給筒部53とに囲まれる平面視リング状の空間が、計量後の内容物を貯留する貯留部55である。
【0021】
底壁部材5の内容物供給筒部53及び空気供給筒部54の上側の先端部は、計量カップ部41内に配置されている。また、内容物供給筒部53の計量カップ部41側の先端53cと、空気供給筒部54の計量カップ部41側の先端54cは、容器軸Oに沿う方向において同等の位置(同じ高さ)に配置されている。内容物供給筒部53内に形成された内容物供給路53a、及び空気供給筒部54内に形成された空気供給路54aにより、容器本体2内と計量カップ部41内とが連通されている。
【0022】
内容物供給筒部53の容器本体2側(下側)の開口部は、底壁部51の下面に位置している。一方、空気供給筒部54の容器本体2側(下側)の開口部は、内容物供給筒部53の開口部よりも下方に突出した位置に設けられている。本実施形態の場合、空気供給筒部54の下側の開口部54bには、径方向視(側面視)で円弧状(凹曲線状)に切り欠かれたカット部が設けられている。すなわち、下方へ突出する先端部54dがより鋭い先窄まり状を成すように開口部54bが切り欠かれている。
【0023】
オーバーキャップ6は、天板61と、天板61の外周縁から垂下する周壁部62と、周壁部62の内側に設けられ容器本体2の口部21に螺合される装着筒部63と、装着筒部63の内側に設けられ吐出部材3と天板61との間隔を規制するとともに吐出口32を収容する空間を形成するシール筒部64と、シール筒部64の内側に設けられ吐出口32を閉塞する閉塞筒部65と、を有する。
【0024】
オーバーキャップ6の装着筒部63の内周面には雌ねじ部63aが形成されている。雌ねじ部63aは容器本体2の口部21の外周面に形成された雄ねじ部21bに螺合されている。オーバーキャップ6はこの螺合によって、容器本体2に対して着脱可能に装着されている。オーバーキャップ6の閉塞筒部65は、吐出口32に径方向の内側から嵌合されている。
【0025】
シール筒部64の先端面(下端面)が吐出部材3の天壁部31に突き当てられることにより、天板61と吐出部材3とが所定の間隔に規制され、吐出口32内の所定位置に閉塞筒部65が配置される。またシール筒部64と天壁部31とを密着させることで、吐出口32をシール筒部64の内側に閉じこめることができ、内容物が外に漏れ出るのを抑えることができる。
【0026】
次に、上記構成を備えた定量吐出容器1の作用について、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、正立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図である。図3は、倒立姿勢の定量吐出容器を示す部分断面図である。
【0027】
図2に示すように、定量吐出容器1では、吐出口32から吐出される内容物Wは、底壁部材5に設けられた貯留部55に貯留されている。この状態から、オーバーキャップ6を取り外した定量吐出容器1を傾倒させると、貯留部55に貯留されていた内容物Wは、図3に矢印破線で経路を示すように、嵌合筒部42との内周面と計量カップ部41の外周面との間を通って吐出部材3側へ移動する。そして、吐出部材3の内筒部34と天壁部31との接続部において吐出口32側へ曲がって移動し、その後に吐出口32から吐出される。
【0028】
定量吐出容器1では、上記の吐出動作の期間に、内容物Wの計量動作が同時に行われる。すなわち、定量吐出容器1を正立状態から傾倒させることにより、容器本体2内の内容物Wが、内容物供給路53aを介して計量カップ部41内の計量部45に注ぎ込まれる。このとき、空気供給路54aを介して計量カップ部41内の空気が容器本体2内に置換されるため、内容物Wは計量部45に円滑に注がれる。
【0029】
計量部45に貯留された内容物Wの液面が空気供給筒部54の先端54cに達すると、内容物Wと空気との置換が停止され、上記の空気置換の停止によって内容物供給路53aからの内容物Wの流出も停止される。これにより、計量部45に所定量の内容物Wが貯留された状態となる。
【0030】
その後、定量吐出容器1を、図2に示した正立姿勢に戻すと、計量部45に貯留されている内容物Wが、内容物供給筒部53の外側を通って計量カップ部41から流出し、貯留部55に移動する。これにより、再び、貯留部55に計量済みの内容物Wが貯留された状態となる。その後、以上の動作を繰り返すことで、所定量の内容物Wを繰り返し吐出することができる。
【0031】
以上に説明した本実施形態の定量吐出容器1では、吐出口32の内径D1が、計量カップ部41の外径D2よりも小さく形成されていることで、優れた操作性を得ることができる。具体的には、定量吐出容器1を傾倒させて貯留部55に貯留された内容物Wを吐出する際に、内容物Wは貯留部55から吐出口32へ真っ直ぐに移動するのではなく、吐出部材3の天壁部31の裏面に当たって移動方向を折り曲げられた後に、吐出口32から吐出される。
【0032】
この移動方向を折り曲げられる際に、内容物Wの流動速度が減殺されるため、内容物Wは緩やかな速度で吐出口32からの吐出される。これにより、内容物Wを狙った位置に正確に吐出させることが容易になり、優れた操作性を得ることができる。
【0033】
また、本実施形態の定量吐出容器1では、計量後の内容物Wを計量部45から貯留部55に移動させる動作における内容物Wの容器本体2内への逆流を抑制し、所定量の内容物Wを精度良く貯留部55に貯留することができる。以下、具体的に説明する。
【0034】
定量吐出容器1を倒立姿勢から正立姿勢に戻す動作において、まず、内容物供給筒部53の先端53cと空気供給筒部54の先端54cの両方が内容物Wの液面によって閉塞されている期間には、計量された内容物Wと容器本体2内の空気との置換が生じないため、内容物Wは逆流しない。
一方、内容物供給路53aと空気供給路54aのいずれか一方が空気中に開口すると、計量部45から容器本体2への内容物Wの逆流が生じる。しかしながら、本実施形態では、内容物供給筒部53の先端53cと空気供給筒部54の先端54cとが容器軸Oに沿う方向の同等位置(計量部45の開口端近傍)にあるため、内容物供給路53aと空気供給路54aとがほとんど同時に空気中に開口する。このように両方の流路が空気中に開口してしまうと、容器本体2内への空気の流入が支配的になるため、内容物Wはほとんど逆流しなくなる。
【0035】
このように本実施形態の定量吐出容器1では、内容物Wを計量部45から貯留部55へ移し替える際に、内容物供給路53aと空気供給路54aの両方がほとんど同時に空気中に開口するため、計量部45から容器本体2内への内容物Wの逆流がほとんど生じない。したがって、計量部45で計量した内容物Wをほとんど損なうことなく貯留部55に移し替えることができる。その結果、所定量の内容物Wを精度良く吐出することができる。
【0036】
また本実施形態の定量吐出容器1では、底壁部51から容器本体2内へ突出する空気供給筒部54の容器本体2側の開口部54bにカット部が形成されている。このような形状を有していることで空気置換が円滑に行われ、内容物Wを確実に計量カップ部41に注ぐことができる。
【0037】
本実施形態において、内容物供給筒部53の先端53cと空気供給筒部54の先端54cの計量カップ部41内への進入長さは適宜変更することが可能である。ただし、上記進入長さが短すぎると、定量吐出容器1を下向きに傾けたときに計量カップ部41から内容物Wが流出し、吐出口32から吐出される内容物Wの量が変化してしまう。そのため、上記の進入長さは、定量吐出容器1を下向きの状態で傾けたときにも計量カップ部41から内容物Wが流出しない長さに設定することが好ましい。
【0038】
ここで図4は、定量吐出容器1を下向きに傾けたときの状態を示す縦断面図である。
図4に示す状態において、定量吐出容器1は、容器軸Oを水平面に対して45°傾けた姿勢に保持されている。図4に示す定量吐出容器1は、この状態で計量カップ部41から内容物Wを流出させないように内容物供給筒部53の先端53cと空気供給筒部54の先端54cの計量カップ部41内への進入長さが設定されている。
【0039】
具体的には、空気供給筒部54の先端54c(開口端)において容器軸Oから径方向に最も離れた位置aと、計量カップ部41の開口端41bにおいて容器軸Oを挟んで位置aの反対側となる位置bとを結ぶ線分abと、容器軸Oとの成す角度θが、45°以下となるように上記進入長さが設定されている。
【0040】
上記のように進入長さが設定されていれば、定量吐出容器1を下向き45°に傾けたときに、計量カップ部41内の内容物Wの液面Wsの高さが、位置aに対して同等又は上側に位置し、かつ位置bに対して同等又は下側に位置する。この状態では、内容物Wが空気供給筒部54の開口部を閉塞しているため、空気と内容物Wとの置換が生じず、内容物供給筒部53から計量カップ部41内への内容物Wの流出が停止される。そして、液面Wsは計量カップ部41の開口端41bの内側に位置しているため、計量カップ部41から貯留部55への内容物Wの流出も生じない。
【0041】
上記の構成によれば、倒立位置から45°以内の範囲であれば、定量吐出容器1を傾けた姿勢で保持しても計量カップ部41から内容物Wが流出しない。したがって、吐出操作時に貯留部55の内容物Wのみを吐出口32から吐出させることができる。
【0042】
また、定量吐出容器1を正立位置から傾ける動作において、下向き45°の位置まで傾けたときに計量カップ部41への内容物Wの注出が停止し、計量動作が完了する。したがって、定量吐出容器1を倒立位置まで傾けなくとも計量を行うことができるため、吐出操作及び計量操作における使い勝手も向上する。
【0043】
本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
例えば、空気供給筒部54の容器本体2側の先端に形成されたカット部の形状は、図1に示した形状に限られるものではなく、種々の形状が採用可能である。図5は、カット部の複数の構成例を示す側面図である。
【0045】
図5(a)〜(f)には、それぞれ、カット部54A〜54Fを備えた空気供給筒部54の先端部分が図示されている。
図5(a)に示すカット部54Aは、図1に示したカット部と同様のものであり、空気供給筒部54の先端部を側面視円弧状(凹曲線状)に斜めに切り欠いた形状である。
図5(b)に示すカット部54Bは、空気供給筒部54の先端部を側面視円弧状に切り欠いた切断面71と、切断面71に連続し、側面視で空気供給筒部54の長さ方向に延びる直線状に切り欠いた切断面72とを有する形状である。
図5(c)に示すカット部54Cは、空気供給筒部54の先端部を側面視L形に切り欠いた形状である。
図5(d)に示すカット部54Dは、空気供給筒部54の先端部を側面視で階段状に切り欠いた形状である。
図5(e)に示すカット部54Eは、空気供給筒部54の先端部を側面視で斜め方向に延びる直線状に切り欠いた切断面74と、切断面74に連続するとともに切断面74よりも空気供給筒部54の長さ方向に対して浅い角度で直線状に切り欠いた切断面75とを有する形状である。
図5(f)に示すカット部54Fは、空気供給筒部54の先端部を側面視で斜め方向に延びる直線状に切り欠いた形状である。
【0046】
また例えば、オーバーキャップ6は、螺合により容器本体2に着脱自在に装着されるねじ式キャップであるが、これに限定されるものではなく、例えば、押し込み操作により容器本体2に着脱自在に装着される打栓式キャップであっても構わない。また、オーバーキャップ6は、ヒンジを介して容器本体2や吐出部材3に一体化され、該ヒンジを中心に回動して容器本体2又は吐出部材3に着脱自在に装着されるヒンジ式キャップであってもよい。また、オーバーキャップ6が設けられていなくてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1…定量吐出容器、2…容器本体、3…吐出部材、4…中栓部材、5…底壁部材、a,b…位置、O…容器軸、W…内容物、21…口部、31,41a…天壁部、32…吐出口、41…計量カップ部、42…嵌合筒部、51…底壁部、53…内容物供給筒部、53a…内容物供給路、53c,54c…先端、54…空気供給筒部、54A,54B,54C,54D,54E,54F…カット部、54a…空気供給路、54b…開口部、D1…内径、D2…外径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着されるとともに、天壁部に内容物が吐出される吐出口が形成された有頂筒状の吐出部材と、
前記吐出口と対向する位置に配設された有頂筒状の計量カップ部、及び前記計量カップ部を径方向の外側から囲繞し前記容器本体の口部内に嵌合された嵌合筒部を有する中栓部材と、
前記嵌合筒部の下端開口部を閉塞する底壁部、及び前記底壁部を容器軸方向に貫いて前記計量カップ部内と容器本体内とを連通する内容物供給路を有する底壁部材と、を備え、
前記底壁部材は、前記底壁部を前記容器軸方向に貫いて前記計量カップ部内と容器本体内とを連通する空気供給路を有しており、
前記空気供給路及び前記内容物供給路のそれぞれの前記計量カップ部側の開口部は、前記計量カップ部内で、かつ容器軸方向に沿う同等の位置に配置され、
前記吐出口の内径は、前記計量カップ部の外径よりも小さいことを特徴とする定量吐出容器。
【請求項2】
前記底壁部の前記計量カップ部側及び前記容器本体側へ突出し前記空気供給路を形成する空気供給筒部を有し、前記空気供給筒部の前記容器本体側の先端にカット部が形成されている、請求項1に記載の定量吐出容器。
【請求項3】
前記底壁部の前記計量カップ部側及び前記容器本体側へ突出し前記空気供給路を形成する空気供給筒部と、前記底壁部から前記計量カップ部側へ突出し前記内容物供給路を形成する内容物供給筒部と、を有し、
前記空気供給筒部は、前記内容物供給筒部の内側に配設されている、請求項1又は2に記載の定量吐出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−82472(P2013−82472A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223103(P2011−223103)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】