説明

実装回路板用防湿絶縁塗料

【課題】優れたガラス基材への密着性を有しかつ剥離時にはガラス基材への付着がなく、きれいに剥離することが可能である実装回路板用防湿絶縁塗料を提供する。
【解決手段】(A)分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体、および(B)有機溶剤を必須成分とする。成分(A)は、好ましくは、スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イソプレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−無水マレイン酸共重合体、またはスチレン−エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来、電子機器の製造工程においては、実装回路板や電極などの金属露出部を、湿気や塵埃あるいは腐食性ガスなどから保護する目的で、絶縁性皮膜によるコーティングが行われている。このコーティング材には紫外線硬化型、湿気硬化型、溶剤乾燥型などのタイプがあり、それぞれアクリル樹脂、シリコーン樹脂、スチレンブロック共重合体樹脂などが使用されている。
【0002】
湿気硬化型のコーティング材は、シリコーン樹脂自身の耐湿性には優れているものの、透湿性があるため、回路や電極の金属を保護するためにはコーティング材を厚く塗布しなければならない問題点がある。
【0003】
紫外線硬化型のコーティング材は、短時間での硬化が可能で生産性に優れているため広く使用されている。このような紫外線硬化型コーティング材としては、例えば、特許文献1に記載のポリオレフィンポリオールや特許文献2に記載のポリカーボネートポリオールから誘導されたウレタン変性アクリレート化合物などが知られている。
【0004】
電子機器の製造工程においては、防湿絶縁塗料によるコーティング処理を実施した後に何らかの不具合が確認されると、その不具合が発生した部品を除去して再度新たな部品を接合し直すというリペア工程がある。このリペア工程において部品を再接合する際には、不具合の発生する部位が不確定であるため、紫外線照射時の位置決めが困難であり、溶剤乾燥型のコーティング材が使用されることが多い。
【0005】
溶剤乾燥型のコーティング材としては、例えば、特許文献3に記載のスチレンブロック共重合体樹脂などが知られている。溶剤乾燥型のコーティング材は特許文献4に記載されているようにシランカップリング剤を用いてガラス基材への密着性を付与する手法が開示されている。しかしながら、シランカップリング剤は一般に高価であることが多く、防湿絶縁塗料として適当なガラス基材への密着性を付与するために十分な量を添加すると、コストアップにつながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−308681号公報
【特許文献2】特開2007−332279号公報
【特許文献3】特開2003−145687号公報
【特許文献4】特開2005−162986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の溶剤乾燥型のコーティング材におけるガラス基材への密着性を改善することを課題とする。すなわち、本発明は、優れたガラス基材への密着性を有する実装回路板用防湿絶縁塗料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体を用いた防湿絶縁塗料が、優れたガラス基材への密着性を有し、かつ剥離時にはガラス基材への付着がなくきれいに剥離することが可能であり、さらに、この防湿絶縁塗料が良好な絶縁信頼性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明(I)は、(A)分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体、および(B)大気圧下での沸点が140℃以下である有機溶剤を必須成分とする実装回路板用防湿絶縁塗料に関する。
本発明(II)は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品に関する。
本発明(III)は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を電子部品に塗布し、次いで、塗布した防湿絶縁塗料中の有機溶剤を揮発させることを特徴とする絶縁処理された電子部品を製造する方法に関する。
【0010】
さらに詳しく言えば、本発明は以下の[1]〜[11]に関する。
[1] (A)分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体、および(B)有機溶剤を必須成分とする実装回路板用防湿絶縁塗料。
[2] 成分(A)の酸価が0.1〜10mgKOH/gであることを特徴とする[1]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[3] 成分(A)が、スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イソプレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−無水マレイン酸共重合体、およびスチレン−エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]または[2]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[4] 有機溶剤の大気圧下での沸点が70〜140℃であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[5] さらに(C)粘着付与剤を含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[6] 固形分濃度が10〜50質量%であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[7] 粘着付与剤が、石油系樹脂粘着付与剤および/またはテルペン系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする[5]または[6]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[8] 粘着付与剤が、脂環族系飽和炭化水素樹脂、脂環族系不飽和炭化水素樹脂、および芳香族系炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の石油系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする[5]または[6]に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[9] さらに、レベリング剤、消泡剤、着色剤、および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
[10] [1]〜[9]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品。
[11] [1]〜[9]のいずれかに記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を電子部品に塗布し、次いで、塗布した実装回路板用防湿絶縁塗料中の有機溶剤を揮発させることを特徴とする絶縁処理された電子部品を製造する方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実装回路板用防湿絶縁塗料は、分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体を用いることにより、優れたガラス基材への密着性を有しかつ剥離時にはガラス基材への付着がなく、きれいに剥離することが可能であり、さらに、この実装回路板用防湿絶縁塗料が、作業性、防湿性、絶縁信頼性に優れ、この実装回路板用防湿絶縁塗料でコーティング処理することにより、高度に防湿絶縁保護された電子部品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明(I)について説明する。
本発明(I)は、下記成分(A)および下記成分(B)を必須成分とする実装回路板用防湿絶縁塗料である。
成分(A) 分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体
成分(B) 大気圧下での沸点が140℃以下である有機溶剤
【0013】
最初に、成分(A)について説明する。
尚、本明細書におけるスチレンブロック共重合体とは、スチレンとスチレン以外のモノマーとの共重合体であり、かつ、スチレンのみが重合したスチレンブロックを有する共重合体のことである。本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料に用いられるスチレンブロック共重合体としては、スチレンと1,3−ブタジエンとの共重合体であるスチレン−ブタジエンブロック共重合体、およびその水素化体であるスチレン−エチレン−ブチレンブロック共重合体、スチレンとイソプレンとの共重合体であるスチレン−イソプレン共重合体、およびその水素添加体であるスチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体が好ましい。スチレン−ブタジエン(あるいはイソプレン)ブロック共重合体の製造方法(即ち、スチレンモノマーとブタジエンモノマー(あるいはイソプレンモノマー)の共重合)は、アニオンリビング型の重合反応について当分野で周知の条件(例えば、−50℃〜250℃(好ましくは0℃〜120℃)の温度など)で達成することができる。反応温度は重合開始温度と同じであってもよい。重合を、大気圧で、または減圧した圧力で、または500MPaまでの加圧した圧力で、もしくは500MPaを越える加圧した圧力でさえ、連続的または断続的に行うことができる。好ましくは、0.01MPa〜500MPaの圧力で、さらに好ましくは0.01MPa〜10MPaの圧力で、最も好ましくは0.1MPa〜2MPaの圧力で行われる。溶液重合は、通常の場合にはより低い圧力で行われ、好ましくは10MPa未満で行われる。重合は液体反応媒体の場合と同様に気相において行うこともできる。重合は一般には、回分式、連続式または半連続式の重合条件のもとで行われる。重合プロセスは、(例えば、流動床反応装置または撹拌床反応装置において)気相重合として行うこと、または形成されたポリマーが反応混合物において実質的に可溶性である溶液重合として行うこと、または形成されたポリマーが反応媒体において実質的に不溶性である懸濁/スラリー重合として行うこと、または重合されるモノマーの過剰量が反応媒体として使用されるいわゆる塊状重合プロセスとして行うことができる。
【0014】
上記モノマーの重合は典型的には、アニオン性の開始剤により、例えば、少なくとも1個のリチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子またはマグネシウム原子を有する、1個〜約20個の炭素原子を含有する有機金属化合物(これに限定されない)などにより開始される。好ましくは、有機金属化合物は少なくとも1個のリチウム原子を有する。例えば、エチルリチウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキシルリチウム、1,4−ジリチオ−n−ブタン、1,3−ジ(2−リチオ−2−ヘキシル)ベンゼンなどであり、好ましくはn−ブチルリチウムおよびsec−ブチルリチウムである。これらの有機リチウム開始剤は単独で使用することができ、または2つ以上の異なる種類の混合物としての組合せで使用することができる。使用される有機リチウム開始剤の量は、重合されているモノマー、および生成するポリマーの目標分子量に基づいて変化する。
【0015】
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の市販品としては、D1101、DKX405、DKX410、DKX415、D1192、D1153(以上、クレイトンポリマー社製)、タフプレンA、タフプレン125、タフプレン126s、アサプレン805、アサプレン810、アサプレン830(以上、旭化成ケミカルズ株式会社製)などが挙げられる。スチレン−イロプレンブロック共重合体の市販品としては、D1161、D1119(以上、クレイトンポリマー社製)、クインタック3433N、クインタック3520(以上、日本ゼオン株式会社製)、SIS5200(JSR株式会社製)などが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
成分(A)の分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体は、上記のように製造されたスチレンブロック共重合体または市販のスチレンブロック共重合体に対して、有機過酸化物やアゾ系重合開始剤等のラジカル発生剤の存在下、無水マレイン酸を共重合させること、あるいはスチレン−ブタジエン(あるいはイソプレン)ブロック共重合体に水素添加反応を行い、不飽和結合を還元して得られたスチレン系ブロック共重合体に無水マレイン酸をグラフト重合させることによって得ることができる。
【0017】
成分(A)の分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体は、好ましくは、スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イソプレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−無水マレイン酸共重合体、およびスチレン−エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0018】
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料に用いる原料としては、成分(A)のスチレンブロック共重合体中に含まれるスチレン由来の構造単位の含量が、成分(A)の総量に対して25〜60質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、30〜50質量%である。
また、成分(A)の分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体は、酸価が0.1〜10mgKOH/gであることが好ましく、0.2〜9mgKOH/gであることがさらに好ましい。成分(A)の酸価が0.1mgKOH/gよりも少ないと後述の本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を塗布し、乾燥した後に形成される塗膜に必要なガラス基材への密着性が十分に付与できず、成分(A)の酸価が10mgKOH/gよりも多いと後述の本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された本発明(II)の電子部品の絶縁性能が低下する場合があり、好ましいこととはいえない。
なお、分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体の酸価は、JIS K0070に準拠した電位差滴定法により測定することができる。電位差滴定法で用いた装置を以下に記す。
装置名:京都電子工業株式会社製 電位差自動滴定装置 AT−510
電極:京都電子工業株式会社製 複合ガラス電極C−173
【0019】
次に、成分(B)について説明する。
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料に用いられる有機溶剤は、実装回路板用防湿絶縁塗料を構成する各成分を溶解し、かつ、実装回路板用防湿絶縁塗料を塗布後、室温無風の条件下において10分程度で次工程に移ることを可能にするために、大気圧下での沸点が140℃以下であることが好ましい。有機溶剤の大気圧下での沸点は、好ましくは70〜140℃であり、より好ましくは80〜140℃である。また、ポッティングによる塗布を容易にするために、低粘度であり、かつ、乾燥後に十分な防湿性を発現できる厚みを確保するために、固形分濃度が10質量%以上であることが好ましい。このような有機溶剤としては具体的にはトルエン等の芳香族炭化水素溶剤、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルn−プロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン、1, 2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−t−ブチル等の酢酸エステル溶剤および石油ナフサ等を挙げることができる。好ましくは、トルエン(沸点:110.6℃)、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、メチルシクロヘキサン(沸点:101.1℃)、エチルシクロヘキサン(沸点:132℃)、酢酸エチル(沸点:76.8℃)、酢酸n−プロピル(沸点:101.6℃)、酢酸イソプロピル(沸点:89.4℃)、酢酸n−ブチル(沸点:126.3℃)、酢酸イソブチル(沸点:116℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.5℃)、メチルイソプロピルケトン(沸点:94.3℃)、メチルn−プロピルケトン(沸点:101.9℃)、ジエチルケトン(沸点:101.7℃)、メチルイソブチルケトン(沸点:116.7℃)であり、さらに好ましくは、メチルシクロヘキサン(沸点:101.1℃)、エチルシクロヘキサン(沸点:132℃)、酢酸n−プロピル(沸点:101.6℃)、酢酸イソプロピル(沸点:89.4℃)、酢酸n−ブチル(沸点:126.3℃)、酢酸イソブチル(沸点:116℃)である。これらの有機溶剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0020】
有機溶剤の配合量は、塗布工程の作業性に応じて最適量が変化するが、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料の総質量に対して30〜90質量%であることが好ましく、50〜90質量%であることがさらに好ましい。有機溶剤の配合量が実装回路板用防湿絶縁塗料の総質量に対して30質量%よりも少ないと、実装回路板用防湿絶縁塗料の粘度が高くなりすぎて、塗布工程における作業性に支障をきたす。また、有機溶剤の配合量が防湿絶縁塗料の総質量に対して90質量%よりも多いと、前述のとおり、乾燥後に十分な防湿性を発現できる厚みが確保することが困難になる。
【0021】
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料は、塗布・乾燥後に十分な防湿性を発現できる厚みを確保し、且つ、塗布工程において良好な作業性を与える粘度となるために、固形分濃度が10〜50質量%であることが好ましい。実装回路板用防湿絶縁塗料の固形分濃度が10質量%よりも少ないと、乾燥後に十分な防湿性を発現できる厚みが確保することが困難になり、固形分濃度が50質量%よりも多いと実装回路板用防湿絶縁塗料の粘度が高くなりすぎて、塗布工程における作業性に支障をきたし、好ましいとはいえない。
【0022】
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料は成分(A)および成分(B)のみでも構成可能であるが、さらに以下の成分(C)を配合することが可能であり、かつ、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料に好適なガラス基材への密着性を与えるためには好ましい。
成分(C) 粘着付与剤
【0023】
本発明に用いられる粘着付与剤とは、ゴム弾性を有するエラストマーに代表される高分子化合物に配合して粘着機能を持たせるための物質である。エラストマーに代表される高分子化合物に比べ、分子量ははるかに小さく、一般に、分子量数百〜数千のオリゴマー領域の化合物であり、室温ではガラス状であり、そのもの自体ではゴム弾性を示さない樹脂類である。
なお、本明細書に記載の粘着付与剤は、前記成分(A)には含まれないものと定義する。
【0024】
粘着付与剤としては、一般に、石油系樹脂粘着付与剤、テルペン系樹脂粘着付与剤、ロジン系樹脂粘着付与剤、クマロンインデン樹脂粘着付与剤、スチレン系樹脂粘着付与剤などを用いることができる。
【0025】
石油系樹脂粘着付与剤としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族−芳香族共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂およびこれらの変性物などが挙げられる。合成石油樹脂は、C5系でも、C9系でもよい。
【0026】
テルペン系樹脂粘着付与剤としては、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、水添テルペン樹脂などが挙げられる。これらのテルペン系樹脂の多くは、極性基を有しない樹脂である。
【0027】
ロジン系樹脂粘着付与剤としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどのロジン;水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジンなどの変性ロジン;ロジングリセリンエステル、水添ロジンエステル、水添ロジングリセリンエステルなどのロジンエステルなどが挙げられる。これらのロジン系樹脂は、極性基を有するものである。
【0028】
これらの粘着付与剤の中で、石油系樹脂粘着付与剤、テルペン系樹脂粘着付与剤が好ましい。さらに好ましくは、脂環族系飽和炭化水素樹脂、脂環族系不飽和炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂などの極性基を有しない石油系樹脂粘着付与剤である。
これらの粘着付与剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0029】
粘着付与剤の配合量については、使用する粘着付与剤の種類によって異なるが、一般的には、成分(A)100質量部に対して0.1〜30質量部であり、さらに好ましくは0.5〜25質量部であり、特に好ましくは、1〜20質量部である。粘着付与剤の配合量が、成分(A)100質量部に対して0.1質量部未満である場合には、十分な粘着機能を発現することができない場合があり好ましくない。また、粘着付与剤の配合量が、成分(A)100質量部に対して30質量部より多い場合には、塗布乾燥後の皮膜の引張(破断)強度が、著しく低下してしまうことがある。その結果、前述の、不具合が発生した部品を除去して再度新たな部品を接合し直すというリペア工程の際に行われる防湿絶縁皮膜を引き剥がして除去する際に、防湿絶縁皮膜が切断されて1枚ものの膜として除去できなくなる場合が生じてしまい、好ましくない。
【0030】
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料は、必要に応じてレベリング剤、消泡剤、着色剤、酸化防止剤からなる添加剤を用いることができる。
【0031】
レベリング剤としては、添加することにより塗膜表面のレベリング性を向上させる機能を有する材料であれば、特に制限はない。具体的には、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン共重合物、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン共重合物、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物、アラルキル変性メチルアルキルポリシロキサン共重合物等が使用できる。これらは、単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料の総質量100質量部に対し、0.01〜10質量部添加することができる。0.01質量部未満の場合には、レベリング剤の添加効果が発現しない可能性がある。また、10質量部より多い場合には、使用するレベリング剤の種類によっては、表面タックが発生したり、絶縁特性を劣化させる可能性がある。
【0032】
消泡剤としては、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を塗布する際に、発生あるいは残存する気泡を消すあるいは抑制する作用を有するものであれば、特に制限はない。本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料に使用される消泡剤としては、シリコーン系オイル、フッ素含有化合物、ポリカルボン酸系化合物、ポリブタジエン系化合物、アセチレンジオール系化合物など公知の消泡剤が挙げられる。その具体例としては、例えば、BYK−077(ビックケミー・ジャパン株式会社製)、SNデフォーマー470(サンノプコ株式会社製)、TSA750S(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、シリコーンオイルSH−203(東レ・ダウコーニング株式会社製)等のシリコーン系消泡剤、ダッポーSN−348(サンノプコ株式会社製)、ダッポーSN−354(サンノプコ株式会社製)、ダッポーSN−368(サンノプコ株式会社製)、ディスパロン230HF(楠本化成株式会社製)等のアクリル重合体系消泡剤、サーフィノールDF−110D(日信化学工業株式会社製)、サーフィノールDF−37(日信化学工業株式会社製)等のアセチレンジオール系消泡剤、FA−630(信越化学工業株式会社製)等のフッ素含有シリコーン系消泡剤等を挙げることができる。これらは、単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。通常、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料の総質量100質量部に対し、0.001〜5質量部添加することができる。0.01質量部未満の場合には、消泡剤の添加効果が発現しない可能性がある。また、5質量部より多い場合には、使用する消泡剤の種類によっては、表面タックが発生したり、絶縁特性を劣化させる可能性がある。
【0033】
着色剤としては、公知の無機顔料、有機系顔料、および有機系染料等が挙げられ、所望する色調に応じてそれぞれを配合する。本発明(I)の防湿絶縁塗料に用いられる着色剤としては油溶性の染料が好ましく、具体例としては、例えば、OIL BLACK860(オリエント化学工業株式会社製)、OIL BLACK 803(オリエント化学工業株式会社製)、OIL BLUE 2N(オリエント化学工業株式会社製)、OIL BLUE 630(オリエント化学工業株式会社製)、SOT Black(保土谷化学工業株式会社製)などを挙げることができる。これらは、単独で使用しても、2種以上組み合わせて使用してもよい。通常、これらの染料の添加量は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料の総質量100質量部に対し、0.01〜5質量部添加することができる。
【0034】
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料の酸化劣化および加熱時の変色を押さえることが必要な場合には、酸化防止剤を使用することができ、かつ、好ましい。
酸化防止剤としては、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料の熱劣化や変色を防止する作用のある化合物であれば特に制限は無く、例えば、下記のフェノール系酸化防止剤等を使用することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記式(1)〜式(11)のような化合物を挙げることができる。
【0035】
【化1】

【0036】
【化2】

【0037】
【化3】

【0038】
【化4】

【0039】
【化5】

【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
【化8】

【0043】
【化9】

【0044】
【化10】

【0045】
【化11】

【0046】
【化12】

【0047】
本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料は、シランカップリング剤を使用しなくとも優れたガラス基材への密着性を発現することが可能であるが、補助的にシランカップリング剤を使用することが可能である。
本発明に用いることができるシランカップリング剤とは、分子内に有機材料と反応結合する官能基、および無機材料と反応結合する官能基を同時に有する有機ケイ素化合物で、一般的にその構造は下記式(13)のように示される。
【0048】
【化13】

【0049】
ここで、Yは有機材料と反応結合する官能基で、ビニル基、エポキシ基、アミノ基、置換アミノ基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基等がその代表例として挙げられる。Xは無機材料と反応する官能基で、水、あるいは湿気により加水分解を受けてシラノールを生成する。このシラノールが無機材料と反応結合する。Xの代表例としてアルコキシ基、アセトキシ基、クロル原子などを挙げることができる。Rは、2価の有機基であり、Rはアルキル基を表す。aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表す。ただし、a+b=3である。
【0050】
シランカップリング剤としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0051】
これらのシランカップリング剤の中で、好ましいものとしては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤、3−アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤が挙げられ、市販品としては、KBM−503、KBM−903、KBE−903(以上、信越化学工業株式会社製)、Z−6062、Z−6023(以上、東レ・ダウコーニング株式会社製)などが挙げられる。これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0052】
最後に、本発明(II)および本発明(III)について説明する。
本発明(II)は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品である。
このような電子部品としては、マイクロコンピュータ、トランジスタ、コンデンサ、抵抗、リレー、トランス等、およびこれらを搭載した実装回路板などが挙げられ、さらにこれら電子部品に接合されるリード線、ハーネス、フィルム基板等も含むことができる。
また、液晶ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、フィールドエミッションディスプレイパネル等のフラットパネルディスプレイパネルの信号入力部等も、電子部品として挙げられる。特に、電子部品用ディスプレイ用基板等のIC周辺部やパネル張り合わせ部等に、防湿絶縁塗料を好ましく使用できる。
【0053】
本発明(III)は、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料を電子部品に塗布し、次いで、塗布した実装回路板用防湿絶縁塗料中の有機溶剤を揮発させることを特徴とする絶縁処理された電子部品を製造する方法である。
本発明(II)の電子部品は、実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて電子部品を絶縁することにより製造される。本発明(III)の製造方法としては、まず、一般に知られている浸漬法、ハケ塗り法、スプレー法、線引き塗布法等の方法によって上述した実装回路板用防湿絶縁塗料を上記電子部品に塗布し、実装回路板用防湿絶縁塗料に含まれる有機溶剤を揮発させて塗膜を乾燥させることにより、電子部品が得られる。
【実施例】
【0054】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ制限されるものではない。
【0055】
<スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体の合成>
(実施合成例1)
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(クレイトンポリマー社製、商品名:D1153)30g、メチルシクロヘキサン(丸善石油化学株式会社製、商品名:スワクリーンMCH、沸点:101.1℃)20g、酢酸n−プロピル(昭和電工株式会社製、沸点:101.6℃)30g、酢酸n−ブチル(ダイセル化学工業株式会社製、沸点:126.3℃)20gを投入し、温度を55℃に昇温し、撹拌を行い、前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体を溶解した。溶解後、無水マレイン酸(日油株式会社製)0.026g、アゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業株式会社製)0.058gを投入し、90℃で撹拌を15時間継続して、均一な溶液(以下、「溶液A1」と記す。)を得た。得られたスチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体の酸価は1mgKOH/gであった。
【0056】
(実施合成例2)
撹拌装置、温度計およびコンデンサーを備えた反応容器に、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(クレイトンポリマー社製、商品名:D1153)30g、メチルシクロヘキサン(丸善石油化学株式会社製、商品名:スワクリーンMCH、沸点:101.1℃)20g、酢酸n−プロピル(昭和電工株式会社製、沸点:101.6℃)30g、酢酸n−ブチル(ダイセル化学工業株式会社製、沸点:126.3℃)20gを投入し、温度を55℃に昇温し、撹拌を行い、前記スチレン−ブタジエンブロック共重合体を溶解した。溶解後、無水マレイン酸(日油株式会社製)0.052g、ジラウロイルパーオキサイド(日油株式会社製、商品名:パーロイルL)0.058gを投入し、90℃で撹拌を15時間継続して、均一な溶液(以下、「溶液A2」と記す。)を得た。得られたスチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体の酸価は2mgKOH/gであった。
【0057】
<スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体を含む配合物の製造>
(実施配合例1)
スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体溶液A1 20g、酸化防止剤としてIrganox1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.06gを混合し、配合物D1とした。
【0058】
(実施配合例2〜4および比較配合例1〜2)
実施配合例1と同様の方法によって、表1に示す配合組成に従って配合した。実施配合例2〜4で調製した配合物を、それぞれ配合物D2〜D4とし、比較配合例1〜2で調製した配合物を、それぞれ配合物E1〜E2とした。
なお、表1中に記載の実施配合例1〜4および比較配合例1〜2の各成分の数字の単位は「g」である。
【0059】
【表1】

【0060】
[配合物の評価]
上記の組成により調製した配合物D1〜D4およびE1〜E2の特性を、以下に示す方法により評価した。結果を表2に示す。
【0061】
<ガラスへの密着性および引き剥がし性の評価>
評価試験用の硬化膜の一端のみを剥離して、幅2.5mmの接着力測定用試験片を作成した。接着力は、ガラス板(TFTグレード)と剥離した硬化フィルムが90度の角度を成すように引張り試験機(株式会社島津製作所製、EZ Test/CE)に固定し、23℃において50mm/minの速度で90度引き剥がし強さを測定して求めた。
また、「引き剥がし性」における×印とは、90度引き剥がし強さの測定中に硬化膜が切れたことを意味し、「引き剥がし性」における○印とは、90度引き剥がし強さの測定中に硬化膜が切れずに剥離できたことを意味する。
【0062】
<低温時のガラスへの密着性の評価>
ガラス板(TFTグレード)上に乾燥後の厚みが150μmとなるよう配合物D1〜D4およびE1〜E2を塗布し、70℃の熱風循環式乾燥機に90分間入れることにより評価用乾燥膜を作成した。この乾燥膜の一端のみを剥離して、幅2.5mmの密着性評価用試験片を作成した。この試験片を−10℃の恒温槽に30分間入れ、恒温槽から取り出した直後ただちに引張り試験機(株式会社島津製作所製、EZ Test/CE)にガラス板と剥離した硬化フィルムが90度の角度を成すように固定し、23℃において50mm/minの速度で90度引き剥がし強さを測定した。×印とは密着力が2N/cmより小さいことを意味し、○印は密着力が2N/cmより大きいことを意味する。
【0063】
<長期絶縁信頼性の評価>
ガラス基板上にライン/スペースが40μm/10μmである櫛形パターン形状のITO配線を形成したパターン電極上に、配合物D1〜D4およびE1〜E2をそれぞれ乾燥後の厚みが100μmになるよう塗布し、室温で10分間保持した後に、70℃で1.5時間乾燥した。
この試験片を用いて、バイアス電圧30Vを印加し、温度120℃、湿度85%RHの条件での温湿度定常試験を、MIGRATION TESTER MODEL MIG−8600(IMV株式会社製)を用いて行った。上記温湿度定常試験をスタートしてから200時間経過後に、抵抗値が1.0×10Ω未満である場合を「×」、抵抗値が1.0×10Ω以上である場合を「○」とした。
【0064】
【表2】

【0065】
表2の結果より、本発明(I)の配合物D1〜D4は、優れたガラス基材への密着性および引き剥がし性を有し、長期絶縁信頼性が良好であることがわかる。この結果より、本発明(I)の実装回路板用防湿絶縁塗料は、長期絶縁信頼性、ガラス基材への密着性、リペア性に優れており、この防湿絶縁塗料でコーティング処理することにより、高度に防湿絶縁保護された電子部品を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の実装回路板用防湿絶縁塗料は、高度に防湿絶縁保護された電子部品を得るのに利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子内にカルボキシル基および/または酸無水物基を有するスチレンブロック共重合体、および
(B)有機溶剤
を必須成分とする実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項2】
成分(A)の酸価が0.1〜10mgKOH/gであることを特徴とする請求項1に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項3】
成分(A)が、スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イソプレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−無水マレイン酸共重合体、およびスチレン−エチレン−プロピレン−無水マレイン酸共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項4】
有機溶剤の大気圧下での沸点が70〜140℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項5】
さらに(C)粘着付与剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項6】
固形分濃度が10〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項7】
粘着付与剤が、石油系樹脂粘着付与剤および/またはテルペン系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする請求項5または6に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項8】
粘着付与剤が、脂環族系飽和炭化水素樹脂、脂環族系不飽和炭化水素樹脂、および芳香族系炭化水素樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の石油系樹脂粘着付与剤であることを特徴とする請求項5または6に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項9】
さらに、レベリング剤、消泡剤、着色剤、および酸化防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を用いて絶縁処理された電子部品。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の実装回路板用防湿絶縁塗料を電子部品に塗布し、次いで、塗布した実装回路板用防湿絶縁塗料中の有機溶剤を揮発させることを特徴とする絶縁処理された電子部品を製造する方法。

【公開番号】特開2011−162576(P2011−162576A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23100(P2010−23100)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】