説明

実装構造および電子デバイス

【課題】樹脂コアバンプを用いて電子部品の接続抵抗を低減させることが可能な実装構造を提供する。
【解決手段】実装構造は、電子部品を電気的に接続するためのものであって、回路基板(第1基板)21と、回路基板21に設けられた回路配線(第1接続部)22と、TFT基板(第2基板)2と、TFT基板2に設けられた駆動配線(第2接続部)12と、回路配線22と駆動配線12とを電気的に接続するための樹脂コアバンプ(接続端子)30と、を備え、樹脂コアバンプ30は、回路基板21または回路配線22に凸状をなして設けられた樹脂層31と、樹脂層31の少なくとも一部を覆って設けられ回路配線22と駆動配線12とを電気的に接続するための導電層33と、樹脂層31に含有された粒子32と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バンプを用いる構成を有する実装構造およびこの実装構造を備えた電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンプの形態として、基板上に凸状に設けられた樹脂と、樹脂表面の一部を覆って設けられ電子部品等と電気的に接続するための導電層と、を有する樹脂コアバンプが知られている。この樹脂コアバンプは、いわゆるAuバンプに比べ、凸状に形成された樹脂により、電子部品等と弾性的な接続が可能であり、接続面積も大きいという利点がある。一方、バンプへ電子部品等を実装して、電子部品等と導電層との電気的接続を図る際には、加熱や加圧等を行うが、加熱や加圧等を行うと、基板または電子部品等に反り等の熱変形が生じる場合がある。このような場合、樹脂コアバンプは、凸状の樹脂が弾性変形をすることにより、基板または電子部品等の熱変形を、Auバンプに比べて、より柔軟に吸収することが可能である。そのため、樹脂コアバンプは、電子部品等と導電層との電気的接続を確実に確保することが可能である(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3841087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の技術において、樹脂コアバンプは、電子部品等との接続面積が樹脂コアバンプより小さいAuバンプと比べて、より確実な電気的接続を可能にする等の優位性を有するが、接続面積差ほどの優位な効果を得られない場合があるという知見も得られている。このため、樹脂コアバンプに対しては、優位な効果を確実に有することが望まれている、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る実装構造は、電子部品を電気的に接続するためのものであって、第1基板と、前記第1基板に設けられた第1接続部と、第2基板と、前記第2基板に設けられた第2接続部と、前記第1接続部と前記第2接続部とを電気的に接続するための接続端子と、を備え、前記接続端子は、前記第1基板または前記第1接続部に凸状をなして設けられた樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一部を覆って設けられ前記第1接続部と前記第2接続部とを電気的に接続するための導電層と、前記樹脂層に含有された粒子と、を有することを特徴とする。
【0007】
この実装構造によれば、第1接続部と第2接続部とを接続するための接続端子は、接続する一方の側である第1接続部の側に設けられていて、凸状の形状をなしている。この接続端子へ第2接続部を実装する場合、第2接続部は、凸状の樹脂層に設けられた導電層と接するように実装され、互いの電気的接続が図られるようになっている。この時、実装前の第2接続部の表面には、空気中の酸素と反応して生成された金属酸化膜等が形成されていることが多く、生成された金属酸化膜等は、導電性を保持しているものの、第2接続部を構成する導電材に比べて高い抵抗値を有している。そこで、金属酸化膜等の影響を排除して、接続抵抗の低い状態で第1接続部と第2接続部とを接続するために、接続端子の樹脂層は、粒子を含有している。樹脂層に含有される粒子は、接続端子が第2接続部へ押し付けられると、導電層の近傍において、導電層を介して金属酸化膜等を押し破って破壊し、導電層を第2接続部へ直接接触させる役目を果たすものである。導電層を第2接続部へ直接接触させれば、その間の接続抵抗は、金属酸化膜等を介した場合より低くなる。これに対し、粒子を含有しない樹脂層のみによる押圧では、金属酸化膜等を押し破ることは不可能であるため、導電層と第2接続部とは、金属酸化膜等を介した接続になってしまい、接続抵抗が低くならない。より詳細には、接続端子の樹脂層が粒子を含有することにより、樹脂層から第2接続部へ押圧が付与されると、粒子は、単位面積あたりに換算して大きな圧力を局所的に発生させて第2接続部を押す。この局所的な圧力により、粒子は、第2接続部の金属酸化膜等を破壊することが可能となる。このように、本適用例の実装構造は、第2接続部の表面に生成された高抵抗の金属酸化膜等を破壊して、導電層と第2接続部とを直に接続することが可能であり、低抵抗な実装の実現が図れる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る実装構造において、前記粒子は、非導電性を有し前記導電層より硬いことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、樹脂層に含有される粒子は、接続端子が第2接続部へ押し付けられることにより、押圧が付与されると、薄膜である導電層の局所を樹脂層の側から押す。この場合、粒子は、導電層より硬いため、樹脂層の側へ押し戻されることなく、導電層を第2接続部へ強く押し付け、さらに導電層の一部を突き破る等して、導電層を介した状態で第2接続部の金属酸化膜等へ作用する。これにより、硬質の粒子は、より容易に金属酸化膜等を破壊することが可能である。金属酸化膜等が破壊された部分においては、金属酸化膜等の介在なしに導電層と第2接続部とが接続され、その間の接続抵抗は、金属酸化膜等の介在する場合より低くなる。さらに、粒子は、非導電性であることにより、導電層外へ飛び出した場合等でも、隣接する導電層や接続端子を短絡させるような恐れを防止することが可能である。
【0010】
[適用例3]上記適用例に係る実装構造において、前記樹脂層は、前記導電層との境界近傍に前記粒子を含有していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、粒子は、金属酸化膜等の介在なしに導電層と第2接続部とを低抵抗で接続するために、金属酸化膜等を破壊する役目を負っている。従って、粒子は、樹脂層と導電層との境界部の近くに配置されている方が、金属酸化膜等を破壊する効果が大きくなる。つまり、樹脂層は、導電層との境界近傍に粒子を含有することによって、粒子による金属酸化膜等の破壊を、より確実に行うことが可能である。
【0012】
[適用例4]本適用例に係る実装構造は、電気的な接続を可能にするために電子部品に設けられたものであって、第1基板と、前記第1基板に設けられた第1接続部と、前記第1接続部と電気的に接続された接続端子と、を備え、前記接続端子は、前記第1基板または前記第1接続部に凸状をなして設けられた樹脂層と、前記樹脂層の少なくとも一部を覆って設けられ前記第1接続部と電気的に接続された導電層と、前記樹脂層に含有された粒子と、を有することを特徴とする。
【0013】
この実装構造によれば、電子部品に設けられた接続端子は、他の電子部品等へ接続されて、他の電子部品等と第1接続部との電気的な接続を可能にするものである。接続端子の樹脂層が粒子を含有する構成の実装構造は、樹脂層が弾性を有しているため、樹脂層を覆う導電層を他の電子部品等へ押し付け続けることが可能である。この時、粒子にも押圧が付与され、特に樹脂層と導電層との境界近傍の粒子は、単位面積あたりに換算して大きな圧力を局所的に発生させて、導電層を他の電子部品等の方向へ押す。この局所的な圧力により、粒子は、導電層と他の電子部品等との電気的接続をより確実にすると共に、他の電子部品等に高抵抗の金属酸化膜等があれば、これらを破壊して導電層と他の電子部品等とを低抵抗の状態で接続することも可能となる。このような実装構造は、粒子が導電層を局所的に強押圧して、電気的接続を阻害する金属酸化膜等を破壊することができ、他の電子部品等との低抵抗な実装を実現することが可能である。
【0014】
[適用例5]本適用例に係る電子デバイスは、上記適用例のいずれか一例に記載の実装構造を備えていることを特徴とする。
【0015】
この電子デバイスによれば、接続端子の粒子が電気的接続を阻害する要因を排除することにより、低抵抗な実装を実現することが可能である。電子デバイスとしては、液晶表示装置等の表示装置類の他、水晶振動子等の圧電体デバイス、半導体装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実装構造を備えた液晶表示装置の構成を示す平面図。
【図2】液晶表示装置の構成を示す側面図。
【図3】樹脂コアバンプを側面側から見た構成を示す断面図。
【図4】樹脂コアバンプの構成を示す平面図。
【図5】樹脂コアバンプの製造工程を示すフローチャート。
【図6】(a)樹脂の塗布を示す断面図、(b)樹脂のパターン形成を示す断面図、(c)樹脂の成形を示す断面図。
【図7】(d)樹脂表面部の除去を示す断面図、(e)導電層の形成を示す断面図、(f)樹脂コアバンプによる実装を示す断面図。
【図8】(a)粒子配置に係る変形例を示す断面図、(b)実装構造の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実装構造について説明する。以下の実施形態では、液晶表示装置へ実装構造を適用した形態を一例にして説明する。なお、図面における各部は、細部が分かりやすいように、部分的に実物とは異なった縮尺で描かれている。
(実施形態)
【0018】
最初に、液晶表示装置(電子デバイス)について説明する。図1は、本発明の実装構造を備えた液晶表示装置の構成を示す平面図であり、図2は、液晶表示装置の構成を示す側面図である。図2は、図1のP−P’に沿った断面図である。図1および図2において、液晶表示装置1は、TFT基板(第2基板)2と、TFT基板2に形成されている表示パネル3とを有し、表示パネル3は、TFT基板2およびTFT基板2と対をなす対向基板4が封止材であるシール材5によって貼り合わされている。シール材5は、両基板面内において、閉ざされた枠状の領域を形成している。
【0019】
液晶表示装置1は、シール材5による枠状領域の内側に、モザイク状をなしTFT基板2の表面に配置されている複数の画素電極6と、各画素電極6をスイッチング制御するTFT7と、対向基板4のTFT基板2側の面に画素電極6に対向して配置されている平面状の対向電極8と、画素電極6および対向電極8を覆うように形成されている配向膜9と、シール材5および配向膜9によって区画された領域内に封入保持されている液晶10と、を有している。また、液晶表示装置1は、通常、外部との接続用のフレキシブル配線(FPC、Flexible Printed Circuit board)基板11を有している。
【0020】
そして、液晶表示装置1において、シール材5による枠状領域の外側には、パッケージ化された表示体駆動回路(電子部品)20と、フレキシブル配線基板11を接続するための実装端子13とが、TFT基板2の一辺に沿って形成され、この一辺に隣接する二辺に沿ってそれぞれ走査回路25が形成されている。TFT基板2の残る一辺には、走査回路25の間を接続するための複数のパネル配線14が設けられている。さらに、TFT基板2には、実装端子13と表示体駆動回路20および走査回路25とを接続するための駆動配線(第2接続部)12が設けられている。また、対向基板4のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFT基板2と対向基板4との間で電気的導通をとるための基板間導通材15が配設されている。
【0021】
なお、表示パネル3においては、使用する液晶10の種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモードまたはノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略してある。また、表示パネル3をカラー表示用として構成する場合には、対向基板4において、TFT基板2の各画素電極6に対向する領域に、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルターをその保護膜とともに形成すればよい。
【0022】
ここで、液晶表示装置1は、図2に示すように、駆動配線12と表示体駆動回路20とが、表示体駆動回路20の有する樹脂コアバンプ(接続端子)30を介して、電気的に接続されている実装構造を備えている。即ち、実装構造は、樹脂コアバンプ30を用いることに特徴を有している。以下に、樹脂コアバンプ30にかかる詳細について説明する。
【0023】
図3は、樹脂コアバンプを側面側から見た構成を示す断面図であり、図4は、樹脂コアバンプの構成を示す平面図である。図3および図4に示すように、樹脂コアバンプ(接続端子)30は、この場合、表示体駆動回路20の側に設けられている。表示体駆動回路20は、樹脂コアバンプ30が設けられる側に位置する回路基板(第1基板)21と、回路基板21に重ねて形成された回路配線(第1接続部)22と、回路基板21および回路配線22を覆うように形成された保護膜23と、を有し、この保護膜23の表面の回路配線22と対向する位置に樹脂コアバンプ30が設けられている。そして、樹脂コアバンプ30は、保護膜23に形成された接続孔24を介して回路配線22に接続されている。つまり、保護膜23は、回路基板21および回路配線22の一部とみなすことができ、樹脂コアバンプ30は、回路基板21と回路配線22とに設けられている、と解釈できる。
【0024】
なお、この場合、TFT基板2および回路基板21は、シリコン(Si)板であり、駆動配線12および回路配線22は、アルミニウム(Al)で形成され、保護膜23は、窒化珪素(SiN)の薄膜で形成されている。
【0025】
また、樹脂コアバンプ30は、保護膜23の表面に半球状(凸状)をなして形成されたポリイミド樹脂の樹脂層31と、樹脂層31の半球状の頂部を覆い、回路配線22と対向して形成されたチタニウム(Ti)の導電層33と、樹脂層31に複数含有されたシリコン(Si)の粒子32と、によって構成されている。この樹脂コアバンプ30によって、表示体駆動回路20は、回路配線22、接続孔24、導電層33の順で、TFT基板2の駆動配線12へ電気的に接続されることになる。さらに、樹脂コアバンプ30の周辺には、接着剤28が塗布されていて、接着剤28は、樹脂層31の弾性によって、導電層33を駆動配線12の方向へ押し付けた状態のまま、表示体駆動回路20とTFT基板2とを強固に固定している。樹脂層31の弾性による押圧により、導電層33は、従来のAuバンプに比べ、より広い面積で駆動配線12と接触することができる。
【0026】
しかし、TFT基板2の駆動配線12は、アルミニウム(Al)であるため、その表面には、アルミニウムの金属酸化膜18が形成されている。この金属酸化膜18は、導電層33のチタニウム(Ti)や、駆動配線12のアルミニウム(Al)より電気的な抵抗が大きい特性を有している。そのため、導電層33と駆動配線12とをそのまま接続すれば、導電層33と駆動配線12との間の接続抵抗が、金属酸化膜18のない場合に比べて、大きくなってしまう。これは、駆動配線12にアルミニウム(Al)以外の金属を用いた場合でも、ほぼ同様のことがいえる。接続抵抗の点において、従来のAuバンプは、硬質であるため、その先端部の一部が金属酸化膜18を多少排除することができ、接触抵抗を低くすることが可能であった。
【0027】
一方、液晶表示装置1は、樹脂コアバンプ30を用いた実装構造を備えているため、樹脂層31が含有するシリコン(Si)の硬い粒子32が、導電層33との境界近傍や境界から導電層33の側へ突出した状態で存在している。樹脂コアバンプ30がTFT基板2へ押し付けられると、樹脂層31の弾性によって、導電層33が駆動配線12の方向へ押される。同時に、境界近傍の粒子32は、樹脂層31のような弾性がないため、樹脂層31より局所的に大きな圧力で導電層33を駆動配線12の方向へ押すことになる。このため、粒子32は、導電層33を介して、あるいは導電層33を突き破って、駆動配線12の金属酸化膜18へ作用し、金属酸化膜18を破壊する。これにより、導電層33と駆動配線12とは、直に接続される。即ち、樹脂コアバンプ30は、TFT基板2と表示体駆動回路20との間の接続抵抗を、金属酸化膜18等のある状態に比べ、低くすることができる。この樹脂コアバンプ30については、図5〜図7を参照して説明する製造工程の中でも後述する。
【0028】
なお、ここでいう実装構造は、図3に示すように、電子部品の表示体駆動回路20が、樹脂コアバンプ30によって、TFT基板2へ接続された実装状態を指しているが、表示体駆動回路20等の電子部品が樹脂コアバンプ30を有する構成であれば、電子部品のみの場合であっても、ここでいう実装構造に該当する。
【0029】
次に、樹脂コアバンプ30を製造する工程および樹脂コアバンプ30による実装について、図3に示す表示体駆動回路20とTFT基板2とを、樹脂コアバンプ30によって接続する場合を例にして、説明する。図5は、樹脂コアバンプの製造工程を示すフローチャートである。
【0030】
まず、ステップS1において、樹脂の塗布をする。図6(a)は、樹脂の塗布を示す断面図である。樹脂は、粒子32を含有するポリイミド樹脂であって、図6(a)に示すように、表示体駆動回路20の保護膜23に重ねて塗布され、樹脂層31を形成している。樹脂層31の形成後、ステップS2へ進む。
【0031】
ステップS2において、樹脂の平面形状を所定パターンに形成する。図6(b)は、樹脂のパターン形成を示す断面図である。図6(b)に示すように、保護膜23に形成されている樹脂層31を、既知のフォトリソグラフィー法により、回路配線22と対向する位置にのみ残して、他の部分は除去する。同時に、接続孔24内の樹脂も除去する。なお、回路配線22と対向する位置とは、回路配線22のそれぞれと平面視で重なる領域であって、この場合、平面視した樹脂層31は、図4に示すような円形状をなしている。また、パターン形成後の樹脂層31の断面は、矩形状である。パターン形成後、ステップS3へ進む。
【0032】
ステップS3において、樹脂を半球状に成形する。図6(c)は、樹脂の成形を示す断面図であり、図6(a)および図6(b)より拡大して描かれている。図6(c)に示すように、表示体駆動回路20の樹脂層31を半球状の成形型へ押し込んで、断面の矩形状を半球状に成形する。この成形は、型によるものに限らず、例えば、ステップS2におけるフォトリソグラフィー法の露光、現像時において、樹脂層31としてポジレジスト樹脂を用い、矩形状断面の角部にも弱めに露光しておき、現像時に角部も同時除去することによって、略半球状に成形する方法等でも可能である。半球状に成形後、ステップS4へ進む。
【0033】
ステップS4において、樹脂表面部の除去を行う。図7(d)は、樹脂表面部の除去を示す断面図である。図7(d)に示すように、半球状の樹脂層31の表面部を、エッチング加工により、さらに除去する。これにより、樹脂層31の表面部は、ステップS3での二点鎖線で示す位置から実線で示す位置までエッチング加工で除去される。このエッチング加工では、粒子32に対して影響を与えないため、表面部近傍の粒子は、樹脂層31から突出した状態となっている。なお、表面部の除去は、気相中でプラズマ等と反応させて分解除去する方法でも可能である。樹脂表面部の除去後、ステップS5へ進む。
【0034】
ステップS5において、導電層を形成する。図7(e)は、導電層の形成を示す断面図である。図7(e)に示すように、導電層33は、樹脂層31の表面部に沿う凸状部分と、保護膜23に形成され回路配線22と対向しつつ凸状部分から正反対方向へそれぞれ延在する平面部分と、を有している。導電層33の凸状部分は、樹脂層31から突出した粒子32を覆っている箇所が脹らんだ形状となっている。接続孔24の方向へ延在する平面部分は、接続孔24を介して回路配線22と電気的に接続している。また、導電層33は、平面的に見ると、図4に示すように、回路配線22とほぼ同形状をなしていて、回路配線22と対向する領域から外れた樹脂層31の部分には形成されていない。
【0035】
この導電層33の形成は、まず、スパッタリング法により、樹脂層31および保護膜23にチタニウム(Ti)を形成する。そして、フォトリソグラフィー法を用いて、導電層33が図3および図4に示すような所定の形状となるように、露光および現像等を行うことにより、形成される。導電層を形成後、ステップS6へ進む。
【0036】
ステップS6において、樹脂コアバンプによる実装を行う。即ち、樹脂コアバンプ30を介して表示体駆動回路20をTFT基板2の駆動配線12へ接続し、接着剤28で固定して実装する。図7(f)は、樹脂コアバンプによる実装を示す断面図である。図7(f)に示すように、表示体駆動回路20をTFT基板2へ実装する場合、表示体駆動回路20の樹脂コアバンプ30をTFT基板2の駆動配線12へ押し付け、接着剤28で固定する。この時、樹脂コアバンプ30の樹脂層31の弾性により、樹脂層31に含有された粒子32は、導電層33を駆動配線12の方向へ強く押す。粒子32に押された導電層33は、ある部分では粒子32に突き破られるため、粒子32が駆動配線12表面の金属酸化膜18を破壊して駆動配線12に達し、導電層33と駆動配線12とを直に接続する。また、粒子32に押された導電層33が金属酸化膜18を破壊して、駆動配線12に達することで、駆動配線12との接続が直になされることもある。以上で、樹脂コアバンプ30の製造工程および樹脂コアバンプ30による実装のフローが終了する。
【0037】
以上説明したように、樹脂コアバンプ30を有する実装構造は、液晶表示装置1において、表示体駆動回路20とTFT基板2とを接続するために効果的に用いられている。この実装構造は、液晶表示装置1の実装端子13とフレキシブル配線基板11との接続にも有効である。この場合、実装端子13またはフレキシブル配線基板11のいずれかに樹脂コアバンプ30を設けておく。さらに、液晶表示装置1以外の電子デバイスにも適用が可能であって、例えば、発振回路等を実装した圧電振動子、半導体装置等が挙げられ、三次元実装を用いる装置類にも適用できる。そして、実装構造は、表示体駆動回路20をはじめ、圧電振動子に実装するために樹脂コアバンプ30を有する発振回路や、半導体装置に実装するために樹脂コアバンプ30を有する各種チップ等、単体の電子部品にも適用することができる。
【0038】
以下、実施形態における実装構造の主要な効果をまとめて記載する。
【0039】
(1)実装構造において、表示体駆動回路20に設けられている樹脂コアバンプ30の樹脂層31は、粒子32を含有している。この粒子32は、樹脂コアバンプ30が実装のためTFT基板2の駆動配線12へ押し付けられると、樹脂層31の表面に沿って設けられている導電層33を介して、駆動配線12の表面に存する金属酸化膜18等を押し破ることができ、導電層33と駆動配線12とを直接接触させる作用をする。これにより、実装構造を用いれば、導電層33と駆動配線12との接続抵抗を、金属酸化膜18等を介した場合より低くすることができ、より低抵抗な実装を実現できる。
【0040】
(2)実装構造における粒子32は、硬質であって、より容易に金属酸化膜18等を破壊することができると共に、非導電性であるため、導電層33の外へ飛び出した場合等でも、隣接する導電層33や駆動配線12等を短絡させるようなことがなく、確実な接続が図れる。
【0041】
(3)実装構造は、樹脂コアバンプ30によって電気的接続を阻害する要因を排除して、低抵抗な実装を実現することができるため、液晶表示装置1だけでなく、圧電体デバイス、半導体装置等の各種の電子デバイスに適用することができる。
【0042】
また、実装構造は、上記の実施形態に限定されるものではなく、次に挙げる変形例のような形態であっても、実施形態と同様な効果が得られる。
【0043】
(変形例1)実装構造の樹脂コアバンプ30において、粒子32は、樹脂層31に含有されている構成であるが、この構成に限定されることはない。例えば、図8(a)は、粒子配置に係る変形例を示す断面図である。図8(a)に示すように、粒子32は、樹脂層31に含有されているのではなく、図6(b)に示すステップS2の後に、パターン化された樹脂層31の表面に付与しても良い。こうすれば、粒子32は、駆動配線12の金属酸化膜18等の破壊に寄与する、樹脂表面部の位置にのみ配置されることになり、金属酸化膜18等の破壊に寄与しない粒子32を保有する無駄を排除できる。なお、粒子32は、図6(c)に示すステップS3の後に、樹脂層31の表面部に付与しても、ほぼ同様な効果を奏する。
【0044】
(変形例2)実装構造において、樹脂コアバンプ30は、導電層33が表示体駆動回路20の回路配線22と直に接続されている構成であるが、この構成に限定されることなく、例えば、図8(b)の実装構造の変形例を示す断面図に示すように、導電層33が保護膜23に形成され回路配線22と電気的に接続している回路端子40に接続されている構成であっても良い。さらには、表示体駆動回路20において、保護膜23がなく、導電層33が回路配線22の表面へ直接形成されている構成であっても良い。
【0045】
(変形例3)樹脂層31に含有される粒子32は、非導電性のシリコン(Si)に限らず、ニッケル(Ni),コバルト(Co),クロム(Cr),モリブデン(Mo),銅(Cu),金(Au),銀(Ag)等や、これらの合金であっても良い。
【0046】
(変形例4)樹脂コアバンプ30を製造するためのフローチャートにおいて、ステップS4は、粒子32を樹脂表面部からより突出させ、粒子32による金属酸化膜18等の破壊作用をより向上させる効果があるが、このステップを省略しても良い。ステップS4を省略しても、樹脂コアバンプ30の機能が大きく損なわれることはない。
【0047】
(変形例5)樹脂コアバンプ30の樹脂層31は、ポリイミド樹脂で形成されているが、他の樹脂であるエポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等であっても良い。また、導電層33は、チタニウム(Ti)の他に、タングステン(W),金(Au)等や、それらの合金、またはそれらを積層した構成であっても良い。
【0048】
(変形例6)表示体駆動回路20では、回路基板(第1基板)21と回路配線(第1接続部)22とを個別に有する構成であるが、回路基板21と回路配線22とが一体の同一のものであっても良い。つまり、樹脂コアバンプ30は、表示体駆動回路20と電気的に接続可能な構成によって、表示体駆動回路20に形成されていれば良い。同様に、TFT基板(第2基板)2と駆動配線(第2接続部)12とが一体の同一のものであっても良い。
【符号の説明】
【0049】
1…電子デバイスとしての液晶表示装置、2…第2基板としてのTFT基板、3…表示パネル、7…TFT、10…液晶、12…第2接続部としての駆動配線、18…金属酸化膜、20…電子部品としての表示体駆動回路、21…第1基板としての回路基板、22…第1接続部としての回路配線、30…接続端子としての樹脂コアバンプ、31…樹脂層、32…粒子、33…導電層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を電気的に接続するための実装構造であって、
第1基板と、
前記第1基板に設けられた第1接続部と、
第2基板と、
前記第2基板に設けられた第2接続部と、
前記第1接続部と前記第2接続部とを電気的に接続するための接続端子と、を備え、
前記接続端子は、
前記第1基板または前記第1接続部に凸状をなして設けられた樹脂層と、
前記樹脂層の少なくとも一部を覆って設けられ前記第1接続部と前記第2接続部とを電気的に接続するための導電層と、
前記樹脂層に含有された粒子と、を有することを特徴とする実装構造。
【請求項2】
請求項1に記載の実装構造において、
前記粒子は、非導電性を有し前記導電層より硬いことを特徴とする実装構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の実装構造において、
前記樹脂層は、前記導電層との境界近傍に前記粒子を含有していることを特徴とする実装構造。
【請求項4】
電気的な接続を可能にするために電子部品に設けられた実装構造であって、
第1基板と、
前記第1基板に設けられた第1接続部と、
前記第1接続部と電気的に接続された接続端子と、を備え、
前記接続端子は、
前記第1基板または前記第1接続部に凸状をなして設けられた樹脂層と、
前記樹脂層の少なくとも一部を覆って設けられ前記第1接続部と電気的に接続された導電層と、
前記樹脂層に含有された粒子と、を有することを特徴とする実装構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の実装構造を備えていることを特徴とする電子デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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