説明

実装装置

【課題】周囲への熱的影響を低減するとともに、実装部品を精度よく基板に実装する。
【解決手段】電子部品71が配置された空間100内の気体を、外部に漏らすことなく、吸気管22及び供給管23を介して加熱炉30の内部を循環させることにより、ボンディング部71aの加熱を行う。これにより、外部空間からの熱的影響を回避して、ボンディング部71aの温度を温度プロファイルに従って正確に管理することが可能となる。また、基板70、電子部品71の熱容量や耐熱性、及び接続に用いるはんだの成分に基づいて、最適な温度プロファイルを設定することで、基板70に電子部品71を精度よくはんだ付け(実装)することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置に係り、更に詳しくは基板に実装部品を実装する実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、多機能化、低コスト化を実現するために、基板の表面に設けられたパッドに電子部品を実装する表面実装技術が広く採用され、この表面実装技術を高精度に実現するための実装装置が種々提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1及び特許文献2に記載の実装装置は、予め設定された温度プロファイルやプログラム等に従って温調された気体を、実装部品に設けられたはんだボール又は基板上に印刷されたはんだ(以下、接続部ともいう)に向けて噴射し、この接続部を加熱及び冷却することで、実装部品を基板に表面実装する装置である。これらの実装装置では、例えば、実装部品や基板の熱容量等によって決定された最適な温度プロファイル等に基づく加熱を行うことが可能であるが、実装部品の周囲が開放された構造となっているため、接続部の周囲温度を最適に管理するのが困難である。また、加熱対象となる実装部品(以下、加熱対象部品という)の周辺にも、排熱による熱的な影響が及ぶため、加熱対象部品周辺に配置された他の電子部品を取外すか、又はマスキングするなどの処理を施す必要もある。
【0004】
【特許文献1】特開2005−223000号公報
【特許文献2】特開2006−202858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の事情の下になされたもので、その目的は、周囲への熱的影響を低減するとともに、実装部品を精度よく基板に実装することが可能な実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板に実装部品をはんだ付けする実装装置であって、前記基板の表面を覆うことで、前記基板に搭載された前記実装部品を外部空間から隔離する容体と;前記容体内部の気体を吸気して、前記基板と前記実装部品とを接続するはんだに噴射する循環機構と;前記循環機構により前記はんだに噴射される気体を加熱する加熱装置と;前記実装部品の周囲温度が、所定の温度プロファイルに従って上昇するように、前記加熱装置を制御する制御装置と;を備える実装装置である。
【0007】
これによれば、基板に実装部品をはんだ付けする際には、実装部品が外部空間から隔離されるため、容体内部と外部空間とが熱的に絶縁される。そして、この状態から実装部品の周囲温度が、所定の温度プロファイルに従って上昇するように、容体内の気体が加熱され基板と実装部品とを接続するはんだに噴射される。したがって、実装部品及びはんだの温度を、外部空間からの影響を受けることなく、所定の温度プロファイルに従って正確に管理することができ、結果的に、基板に実装部品を精度よくはんだ付けすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1には一実施形態に係る実装装置10の概略構成が、基板70及び該基板70に実装される電子部品71とともに示されている。この実装装置10は、基板の表面に印刷されたはんだ又は、電子部品の下面に設けられたはんだボールなど(以下、単にはんだという)に、温調された例えば空気などの気体を噴射して、基板上のパッドなどに電子部品を接続する装置である。
【0009】
図1に示されるように、前記実装装置10は、加熱機構20、インターフェイス60、コントロールボックス50を備えている。
【0010】
前記加熱機構20は、基板70に実装する電子部品71の周囲に、温調した気体を循環させることにより、基板70と電子部品71とを接続するはんだを加熱融解したのちに凝固させて、基板70に電子部品71を実装する機構である。この加熱機構20は、図1に示されるように、循環ポンプ21と、該循環ポンプ21に吸気管22及び供給管23を介して接続された加熱炉30、吸気管22に設けられた3つの電磁弁25A〜25Cなどを有している。
【0011】
循環ポンプ21は、吸気口から吸気した気体を排気口から排出するポンプであり、前記吸気管22及び前記供給管23それぞれは、一端が前記循環ポンプ21の吸気口及び排気口にそれぞれ接続され、他端が加熱炉30の内部に挿入されている。これらの吸気管22と供給管23とは、循環ポンプ21から加熱炉30に向かう途中で、図2のXY断面図に示されるように、供給管23の内部に吸気管22が配置された状態で、加熱炉30の上方(−Z側)から内部に引き込まれている。そして、加熱炉30の内部では、加熱炉30のZX断面を吸気管22及び供給管23とともに示す図である図3(A)に示されるように、吸気管22の端部が供給管23の端部よりも下方に突出した状態となっている。
【0012】
加熱炉30は、図3(A)に示されるように、供給管23に固定された外壁部材31、吸気管22に固定された内壁部材32、及び該内壁部材32の外周面に沿って固定された例えば12個のヒータ35〜3512を含んで構成されている。
【0013】
図3(A)、及び加熱炉30を下方(−Z側)から見た図である図3(B)を総合するとわかるように、前記外壁部材31は、下面が開放された略4角錐形状の中空部材であり上部には供給管23の外径と同径の円形開口31aが形成されている。また、この外壁部材31の−Z側端部下面には、例えばテフロン(登録商標)ゴムを素材とする保護部材37が取り付けられている。詳述すると、外壁部材31の−Z側端部近傍の断面を示す図である図4(A)に示されるように、外壁部材31の−Z側端部下面には、その外縁に沿ってT字状の環状溝31bが形成されている。そして、この環状溝31bに、例えば断面が正方形の環状部材から下面側のコーナー部分を切り取る加工を施すことにより形成された保護部材37が機械的に嵌め込まれている。図4(B)に示されるように、環状溝31bと保護部材37との間には、若干の遊び(クリアランス)が設けられており、保護部材37は環状溝31bに嵌め込まれた状態で熱膨張することが可能となっている。更に、図3(A)に示されるように、外壁部材31の外周面には、加熱炉30の内部を外部空間と熱的に絶縁する断熱材31cが貼り付けられている。
【0014】
内壁部材32は、外壁部材31とほぼ同形状で、大きさが僅かに小さい部材であり、上部には吸気管22の外径と同径の円形開口32aが形成されている。
【0015】
上述のように構成された、外壁部材31及び内壁部材32は、図3(A)に示されるように、外壁部材31が円形開口31aに挿入された供給管23の下端部に固定され、内壁部材32が、外壁部材31の内部に収容された状態で、円形開口32aに挿入された吸気管22の下端部に固定されている。これにより、基板70に実装された電子部品71の周囲に気体を噴射する噴射口38が形成され、循環ポンプ21から供給管23を介して加熱炉30の内部に供給される気体は、図3(A)中の矢印に示されるように、外壁部材31と内壁部材32とで規定される空間101を介して、内壁部材32の内部空間100へ供給される。そして、内部空間100に供給された気体は、フィルタ26で気体中の有害物質が除去された状態で循環ポンプ21に戻されるようになっている。
【0016】
12個のヒータ35〜3512は、一例として外部から供給される電気エネルギーを熱エネルギーに変換して、噴射口38から噴出される気体を加熱する電気ヒータであり、図3(B)に示されるように、内壁部材32の外周面に沿って等間隔に配置されている。
【0017】
図1に戻り、前記3つの電磁弁25A〜25Cのうち、電磁弁25Bは前記フィルタ26と循環ポンプ21の間の吸気管22に取り付けられ、電磁弁25A,25Cは、電磁弁25Bの上流側と下流側の吸気管22からそれぞれ分岐した分岐管22a,22bに取り付けられている。これらの電磁弁25A〜25Cは、後述する主制御装置51によってそれぞれ開閉されるようになっている。そして、循環ポンプ21が運転された状態で、電磁弁25A,25Cがそれぞれ閉塞され電磁弁25Bが開放されることで、空間100の気体は、吸気管22を介して吸気され、供給管23及び空間101を介して空間100へ噴射される。また、電磁弁25A,25Cがそれぞれ開放され電磁弁25Bが閉塞されることで、空間100の気体が、吸気管22の分岐管22aから外部空間に放出され、外部空間の気体(外気)が、吸気管22の分岐管路22bから取り込まれ、供給管23を介して空間100へ噴射される。
【0018】
前記インターフェイス60は、作業者等が装置の運転指令や停止指令を入力したり、電子部品71を加熱するための温度プロファイルを入力するための入力部60aと、装置の運転状態や、炉内温度及び圧力などの各ステータスやパラメータを表示する表示部60bとを備えている。
【0019】
前記コントロールボックス50は、主制御装置51、ヒータ制御装置52、及びポンプ制御装置53を備えている。
【0020】
ヒータ制御装置52は、主制御装置51からの指令に基づいて、ヒータ35〜3512を運転して、循環ポンプ21から供給された気体を加熱する。
【0021】
ポンプ制御装置53は、主制御装置51からの指令に基づいて、循環ポンプ21の運転及び停止を行う。また、ポンプ制御装置53は、インバータなどを備えており、循環ポンプ21の、運転開始から出力が所定の出力となるまでの立ち上がり時間は、加熱炉30の内部に振動や気圧の急峻な変化が生じないような設定となっている。
【0022】
主制御装置51は、温度センサ36及び圧力センサ24を介して、電子部品71近傍の温度、及び吸気管22内の圧力をモニタしながら、例えば作業者等によりインターフェイス60へ入力された指令や、例えばメモリなどに格納された温度プロファイルなどに基づいて、ヒータ制御装置52、ポンプ制御装置53、及び吸気管22に設けられた3つの電磁弁25A,25B,25Cを統括的に制御する。なお、各部の制御については後述する。また、主制御装置51は、ヒータ制御装置52及びポンプ制御装置53から通知されるヒータ35〜3512及び循環ポンプ21のステータス(運転状況)と、温度センサ36、及び圧力センサ24を介して検出した電子部品71近傍の温度、及び吸気管22内の圧力と、電磁弁25A〜25Cの開閉状態とを、インターフェイス60の表示部60aに表示する。
【0023】
次に、図5に示される温度プロファイルを参照しつつ、一例として、下面に例えば融点が217℃程度の鉛フリーはんだからなる複数のボンディング部71aが形成された電子部品71を、ボンディング部71aに対応する複数のパッドが形成された基板へ実装する際の、実装装置10の動作について説明する。なお、前提として、図3(A)に示されるように、加熱炉30は基板70の表面に設置されているものとし、加熱炉30の内部温度は25℃程度で、圧力は大気圧と同等であるものとする。また、上記動作を開始する際には、電磁弁25A〜25Cのうち、電磁弁25A,25Cはそれぞれ閉塞され電弁25Bは開放されており、空間100の気体は循環ポンプ21によって加熱機構20内を循環するようになっているものとする。
【0024】
図5には、インターフェイス60の入力部60aから入力された温度プロファイルf(t)が示されている。この温度プロファイルf(t)は、例えば、はんだの組成成分、基板70及び電子部品の熱容量及び耐熱性などに基づいて予め作成された温度プロファイルであり、時刻tから時刻tまでの加熱工程と、時刻tから時刻tまでの冷却工程での、時刻tに対応する目標温度を示すものである。主制御装置51は、作業者等からの加熱開始指令を受信すると、時刻tにサンプリングした実測温度と、温度プロファイルf(t)に基づく温度との偏差が零となるように、ヒータ制御装置52、ポンプ制御装置53、及び電磁弁25A,25B,25Cの制御を開始する。以下、加熱開始時刻tからの工程を時系列的に説明する。
【0025】
加熱開始指令を受信すると、主制御装置51は、ポンプ制御装置53を介して、循環ポンプ21を運転するとともに、時刻tからT1時間経過した時刻tに電子部品71近傍の温度(便宜上単に炉内温度という)が180度となるように、ヒータ制御装置52を介してヒータ35〜3512を運転する。循環ポンプ21とヒータ35〜3512とが協働すると、空間100内の気体は、循環ポンプ21により吸気管22を介して吸気される。そして、図3(A)中の矢印に示されるように、この気体は供給管23を介して加熱炉30の空間101へ供給され、ここでヒータ35〜3512により加熱された後に、噴射口38から電子部品71の周囲へ噴射される。噴射口38から噴出された気体は、基板70の上面に沿ってボンディング部71aに達し、ボンディング部71aとの間で熱交換が行われた後に、再度吸気管22を介して吸気される。このように、循環ポンプ21による循環が継続することで、炉内温度は徐々に上昇する。
【0026】
なお、各ヒータ35〜3512へ供給する電気エネルギーの量は、加熱炉30内の容積によって決定することができるが、ここでは、一例として炉内温度が単位時間(秒)あたり3℃上昇するように、各ヒータ35〜3512からの出力(熱量)が制御される。
【0027】
時刻tになると、主制御装置51は、時刻tからT2時間経過した時刻tに炉内温度が200度となるように、ヒータ制御装置52を介してヒータ35〜3512を運転する。ここでは、一例として炉内温度が単位時間(秒)あたり0.4℃上昇するように、各ヒータ35〜3512からの出力(熱量)が制御される。
【0028】
時刻tになると、主制御装置51は、時刻tからT3時間経過した時刻tに炉内温度が250度となるように、ヒータ制御装置52を介してヒータ35〜3512を運転する。ここでは、一例として炉内温度が単位時間(秒)あたり2℃上昇するように、各ヒータ35〜3512からの出力(熱量)が制御される。炉内温度が上昇し、ボンディング部71aが217℃近傍まで加熱されると、ボンディング部71aでははんだの融解がはじまる。
【0029】
時刻tになると、主制御装置51は、ヒータ制御装置52を介してヒータ35〜3512の運転を停止する。そして、電磁弁25Bを閉塞するとともに、電磁弁25A,25Cを開放して、空間100の気体を外部空間へ放出し外気を炉内へ噴射して、ボンディング部71aの冷却を開始する。この冷却は、時刻tからT4時間経過後の時刻tで炉内温度が200度となるように行われる。なお、ボンディング部71aへ噴射する外気の量は、基板70、電子部品71、ヒータ35〜3512などの熱容量によって決定することができる。主制御装置51は、一例として炉内温度が単位時間(秒)あたり2℃低下するように、ポンプ駆動装置53を介して循環ポンプ21の出力を調整する。なお、ボンディング部71aのはんだは、217℃以下まで冷却されることで凝固し、これによって、ボンディング部71aが基板70上のパッドに定着する。
【0030】
時刻tになると、主制御装置51は、時刻tからT5時間経過した時刻tに炉内温度が25℃となるように、ポンプ駆動装置53を介して循環ポンプ21の出力を調整する。ここでは一例として炉内温度が単位時間(秒)あたり3℃低下するように循環ポンプ21の出力が調整される。そして、主制御装置51は、時刻tになった時点で作業を終了する。
【0031】
なお、主制御装置51は、上述した時刻tから時刻tまでの加熱工程では、圧力センサ24を介して、吸気管22の内部圧力を常時監視し、必要に応じて電磁弁25Aを開閉することで(電磁弁25Bは開放のまま、電磁弁Cは閉じたまま)、吸気管22の内部圧力、すなわち電子部品71の加熱が行われる空間100の気圧が、大気圧と同程度になるような調整を行う。
【0032】
以上説明したように、本実施形態に係る実装装置10は、過熱工程において、電子部品71が配置された空間100内の気体を、外部に漏らすことなく、吸気管22及び供給管23を介して加熱炉30の内部を循環させることにより、ボンディング部71aの加熱を行う。したがって、外部空間からの熱的影響を受けることがなく、ボンディング部71aの温度を温度プロファイルに従って正確に管理することが可能となる。これにより、基板70、電子部品71の熱容量や耐熱性、及び接続に用いるはんだの成分に基づいて、最適な温度プロファイルを設定することで、基板70に電子部品71を精度よくはんだ付け(実装)することが可能となる。
【0033】
また、加熱対象となる電子部品71は、加熱炉30によって外部空間から熱的に絶縁されるため、加熱工程において、電子部品71の周囲の、例えば部品や基板等を保護する必要がない。これにより、実装の準備作業としてのマスキングなどの処置が不要となり、作業効率の向上を図ることが可能となる。
【0034】
また、ヒータ35〜3512によって加熱された後に、電子部品71に噴射された気体の余熱を再利用することができるので、少ないエネルギーで短時間に電子部品71を基板70へ実装することが可能となる。
【0035】
また、電子部品71に噴射された気体は、フィルタ26を経由して、再度空間100内に噴射されるか、外部空間に放出されるので、電子部品71の加熱中に発生した有害物質の外部への拡散を防止することが可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係る実装装置10では、噴射口38が電子部品71の周囲を包囲するように形成されている。したがって、電子部品71のボンディング部71aを温度むらなく加熱することが可能となる。
【0037】
また、本実施形態に係る実装装置10では、加熱工程において、空間100内の気体が熱膨張しても、分岐管22aを介して適当な量の気体が放出されるので、空間100の内部圧力を外気圧と同等に維持することが可能となる。
【0038】
また、本実施形態に係る実装装置10では、基板70の表面を覆う外壁部材31の端部に保護部材37が取り付けられている。したがって、基板70と外壁部材31との間の気密性を向上するとともに、基板70に傷等が発生することを回避することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態に係る実装装置10では、外壁部材31の外周面に断熱材31cが貼り付けられている。したがって、加熱炉30内の保温性を向上するとともに、作業者の接触事故を防止することが可能となる。
【0040】
また、本実施形態に係る実装装置10では、加熱炉30の空間101を介して電子部品71に気体が噴射されたが、これに限らず、例えば電子部品71の外周に沿って複数のノズルを配置し、供給管23からの気体を前記複数のノズルを介して電子部品71に噴射してもよい。
【0041】
また、本実施形態では、複数のボンディング部71aが形成された電子部品71を基板70に実装する場合について説明したが、これに限らず、本発明の実装装置は、例えばパッド上にスクリーン版を用いてクリームはんだ等が印刷された基板に、電子部品を実装する場合にも好適である。
【0042】
また、本実施形態では、主制御装置51は、温度センサ36を用いて電子部品71近傍の温度をモニタしつつ、ヒータ制御装置52、ポンプ制御装置53、及び吸気管22に設けられた3つの電磁弁25A,25B,25Cの制御を行っていた。しかしながら、実際に電子部品71を加熱した場合には、温度センサ36による検出温度の方が、電子部品71自体の温度やボンディング部71aの温度よりも20℃程度高くなることがある。そこで、一例として図6に示されるように、電子部品71の上面近傍、又は電子部品71の上面に接するように温度センサ41を設け、この温度センサ41を介して電子部品71の温度を直接モニタしながら、ヒータ制御装置52、ポンプ制御装置53、及び吸気管22に設けられた3つの電磁弁25A,25B,25Cを統括的に制御することとしてもよい。
【0043】
また、同様に、電子部品71のボンディング部71aの近傍、又はボンディング部71aに接するように温度センサ42を設け、この温度センサ42を介してボンディング部71aの温度を直接モニタしながら、ヒータ制御装置52、ポンプ制御装置53、及び吸気管22に設けられた3つの電磁弁25A,25B,25Cを統括的に制御することとしてもよい。
【0044】
上述のように、電子部品71の表面及びボンディング部71aの温度を直接的に計測することで、電子部品71及びボンディング部71aを温度プロファイルに従って精確に加熱及び冷却することが可能となり、電子部品71の過熱による損傷を効果的に回避するとともに、電子部品71に対するはんだ付け不良等の作業ミスの発生を抑制することが可能となる。なお、温度センサ41及び温度センサ42としては、例えば感温体をカプトンテープなどで覆うことによって形成された、厚みが180μm程度の薄型のセンサなどを採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上説明したように、本発明の実装装置は、基板に電子部品を実装するのに適している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態に係る実装装置10の概略構成を示す図(その1)である。
【図2】吸気管22及び供給管23の断面図である。
【図3】図3(A)は、加熱炉30のZX断面を吸気管22及び供給管23とともに示す図であり、図3(B)は、加熱炉30を下方(−Z側)から見た図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、保護部材37の取り付け方法を説明するための図である。
【図5】温度プロファイルf(t)を示す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る実装装置10の概略構成を示す図(その2)である。
【符号の説明】
【0047】
10…実装装置、20…加熱機構、21…循環ポンプ、22…吸気管、23…供給管、24…圧力センサ、25A〜25C…電磁弁、26…フィルタ、30…加熱炉、31…外壁部材、31a…円形開口、31b…環状溝、31c…断熱材、32…内壁部材、32a…円形開口、35〜3512…ヒータ、36、41、42…温度センサ、37…保護部材、38…噴射口、50…コントロールボックス、51…主制御装置、52…ヒータ制御装置、53…ポンプ制御装置、60…インターフェイス、60a…入力部、60b…表示部、70…基板、71…電子部品、71a…ボンディング部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装部品をはんだ付けする実装装置であって、
前記基板の表面を覆うことで、前記基板に搭載された前記実装部品を外部空間から隔離する容体と;
前記容体内部の気体を吸気して、前記基板と前記実装部品とを接続するはんだに噴射する循環機構と;
前記循環機構により前記はんだに噴射される気体を加熱する加熱装置と;
前記実装部品の周囲温度が、所定の温度プロファイルに従って上昇するように、前記加熱装置を制御する制御装置と;を備える実装装置。
【請求項2】
前記容体内部の気体を排気して、前記外部空間からの気体を前記はんだに噴射する冷却機構を更に備え、
前記制御装置は、前記実装部品の周囲温度が、所定の温度プロファイルに従って低下するように、前記冷却機構を制御することを特徴とする請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記温度プロファイルを記憶するメモリを更に備える請求項1又は2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記実装部品の周囲温度を検出する第1のセンサを更に備え、
前記制御装置は、前記第1のセンサからの検出結果と、前記温度プロファイルに基づく前記実装部品の周囲温度の差に基づいて、前記加熱装置又は前記冷却機構を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項5】
前記実装部品の表面の温度を検出する第2のセンサを更に備え、
前記制御装置は、前記第2のセンサからの検出結果と、前記温度プロファイルに基づく前記実装部品の周囲温度の差に基づいて、前記加熱装置又は前記冷却機構を制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項6】
前記はんだの温度を検出する第3のセンサを更に備え、
前記制御装置は、前記第3のセンサからの検出結果と、前記温度プロファイルに基づく前記実装部品の周囲温度の差に基づいて、前記加熱装置又は前記冷却機構を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項7】
前記循環機構は、前記はんだへの気体の噴射を開始する際に、噴射する気体の噴射量を制御して、前記実装部品が基板上を移動することを回避することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項8】
前記冷却機構は、前記はんだへの気体の噴射を開始する際に、噴射する気体の噴射量を制御して、前記実装部品が基板上を移動することを回避することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項9】
前記循環機構は、前記実装部品の周囲に沿って前記気体を噴射する噴射部を有していることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項10】
前記冷却機構は、前記実装部品の周囲に沿って前記気体を噴射する噴射部を有していることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項11】
前記循環機構は、前記吸気した気体の圧力が前記外部空間の気体の圧力より高くなった場合に、前記吸気した気体を外部に放出する調圧機構を備えていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項12】
前記容体は、前記基板の表面を、前記基板よりも柔軟な保護部材を介して覆うことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項13】
前記容体の外部は、容体内部からの熱を断熱する断熱部材で被覆されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の実装装置。
【請求項14】
前記容体から吸気される気体から有害物質を除去するフィルタを更に備える請求項1〜13のいずれか一項に記載の実装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−244457(P2008−244457A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40764(P2008−40764)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】