実装部品仮固定用接着剤の供給方法、半導体装置の製造方法、部品実装用基板および半導体装置
【課題】実装部品の品種別に見合った接着剤厚さを一度の印刷工程で容易に得ることができる実装部品仮固定用接着剤の供給方法、半導体装置の製造方法、部品実装用基板および半導体装置を提供する。
【解決手段】互いに異なる平面積の複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3を有するマスク1の一方表面1Aと基板2の表面2Aとを向かい合わせにしてマスク1と基板2とが重ねられる。マスク1と基板2とを重ねた状態で、マスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の内部に充填するとともにマスク1の他方表面1B上に残すように接着剤3が供給される。この後にマスク1を基板2から分離することにより、接着剤3から複数の接着剤部3a、3b、3cが基板2の表面2A上に形成される。
【解決手段】互いに異なる平面積の複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3を有するマスク1の一方表面1Aと基板2の表面2Aとを向かい合わせにしてマスク1と基板2とが重ねられる。マスク1と基板2とを重ねた状態で、マスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の内部に充填するとともにマスク1の他方表面1B上に残すように接着剤3が供給される。この後にマスク1を基板2から分離することにより、接着剤3から複数の接着剤部3a、3b、3cが基板2の表面2A上に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装部品仮固定用接着剤の供給方法、半導体装置の製造方法、部品実装用基板および半導体装置に関し、特に、基板に実装部品をはんだ付けする前に、その実装部品を基板に仮固定するための接着剤を基板に供給するための実装部品仮固定用接着剤の供給方法、その方法を用いた半導体装置の製造方法、その方法によって製造された部品実装用基板および半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板などの基板へ実装部品を搭載する場合、溶融はんだを噴流させて基板に当てることで実装部品を基板の導電部分に対してはんだ付けする方法(以下、「フローはんだ付け」と称する)が用いられている。この方法を用いて実装部品を基板の導電部分に対してはんだ付けする前に、溶融はんだが接触する基板のフローはんだ付け面に実装部品を仮固定する必要がある。
【0003】
この仮固定の方法は、例えば特開平4−040262号公報(特許文献1)、特開平7−202398号公報(特許文献2)などに記載されている。一般的には、特開平4−040262号公報に記載されているように、ディスペンサーにより接着剤をプリント基板に塗布し、電子部品を基板に実装した後に、接着剤を硬化させて電子部品を基板に仮固定する方法がある。このほかに、特開平7−202398号公報に記載されているように、所定パターンを有するマスクを介してスクリーン印刷法によって接着剤を回路基板に塗布し、実装部品を実装した後に、接着剤を硬化させて実装部品を回路基板に仮固定する方法もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−040262号公報
【特許文献2】特開平7−202398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板のフローはんだ付け面に搭載される実装部品には、一般的には例えば3216角チップや1608角チップと呼ばれる抵抗やコンデンサをはじめ、SOP(Small Outline Package)、QFP(Quad Flat Package)など、多岐にわたる種類がある。
【0006】
これら実装部品の電極とボディ底面とのギャップ(以下、「スタンドオフ」と称する)は部品ごとに異なる。このスタンドオフは、角チップでは電極めっきの厚さでおおよそ十数μm程度である。またSOPやQFPは、例えばJEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association)に規定されているこれらIC(Integrated Circuit)パッケージ仕様のガイドライン(EIAJ ED-7311-19やED-7311A)によると最小0.1mmから最大0.3mmのスタンドオフを持っている。
【0007】
これらの実装部品を基板に実装する場合には、スタンドオフに見合った厚さの接着剤を供給して実装部品を基板に仮固定する必要がある。つまり、スタンドオフの低い実装部品では接着剤の厚さを薄くし、スタンドオフの高い実装部品では接着剤の厚さを厚くする必要がある。
【0008】
しかし、特開平4−040262号公報に記載のディスペンサーでは接着剤の吐出量を制御できても接着剤の厚さを制御することはできない。このため、スタンドオフに見合った厚さの接着剤を供給することができない。よってスタンドオフの高い実装部品において接着剤の厚さが薄くなると、接着剤が実装部品のボディ部に届かず、実装部品を基板に仮固定することができなくなる。
【0009】
またスタンドオフの低い実装部品において接着剤が過剰に供給されると、実装部品を基板に搭載した時に接着剤が接着剤の供給位置から大量にはみ出すおそれがある。この場合には、実装部品の電極あるいは基板上のパッドに接着剤が付着する。またスタンドオフの低い実装部品において接着剤の厚さが厚くなると、実装部品の電極と基板上のパッドとの間に隙間が生じる。このように実装部品の電極あるいは基板上のパッドに接着剤が付着したり、あるいは実装部品の電極と基板上のパッドとの間に隙間が生じた場合には、フローはんだ付けの際にはんだの接合不良が起きる可能性があった。
【0010】
また特開平7−202398号公報に記載の印刷方法では、接着剤の厚さは所定パターンを有するマスクの厚さにより決定される。このため、接着剤の厚さを制御するためにはそのマスクの厚さを変更する必要があり、スタンドオフの異なる実装部品の品種別に見合った各種の接着剤厚さを一度の印刷工程で供給することができない。
【0011】
よって、低いスタンドオフの実装部品に合わせた厚さに接着剤を印刷すれば、スタンドオフの高い実装部品のボディ部には接着剤が届かず実装部品を仮固定することができない。また高いスタンドオフの実装部品に合わせた厚さに接着剤を印刷すれば、スタンドオフの低い実装部品には接着剤が過剰となって、上記のように実装部品の電極や基板上のパッドに接着剤が付着してはんだ付けができなくなったり、あるいは実装部品の電極と基板上のパッドとが離れてはんだ付けができなくなることがあった。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、実装部品の品種別に見合った接着剤厚さを一度の印刷工程で容易に得ることができる実装部品仮固定用接着剤の供給方法、半導体装置の製造方法、部品実装用基板および半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実装部品仮固定用接着剤の供給方法は、基板に実装部品をはんだ付けする前に、実装部品を基板に仮固定するための接着剤を基板に供給するための実装部品仮固定用接着剤の供給方法であって、以下の工程を備えている。
【0014】
まず基板が準備される。そして互いに異なる平面積の複数の貫通孔を有するマスクの一方表面と基板の表面とを向かい合わせにしてマスクと基板とが重ねられる。そして基板とマスクとを重ねた状態で、複数の貫通孔のそれぞれの内部に充填して基板の表面に付着させるとともにマスクの他方表面上に残すように接着剤が供給される。接着剤を基板の表面に付着させた後にマスクを基板から分離することにより、その接着剤から複数の接着剤部が基板の表面上に形成される。
【0015】
本発明の実装部品仮固定用接着剤の供給方法によれば、マスクに設けられた互いに平面積の異なる複数の貫通孔内に接着剤が充填されるとともにマスク表面上に接着剤が残される。これにより、マスクを基板から分離した際に、互いに厚みの異なる複数の接着剤部を基板上に形成することができ、部品種別に見合った接着剤厚さを一度の印刷工程で容易に得ることができる。
【0016】
また接着剤をマスクの他方表面上に残してマスクを基板から分離することにより、マスクの厚み以上の厚さを有する接着剤部を形成することもでき、接着材部の厚さの自由度が高くなる。
【0017】
本発明の部品実装用基板は、実装部品を仮固定してはんだ付けするための部品実装用基板であって、基板と、複数の接着剤部とを備えている。複数の接着剤部は、基板の表面上に形成されており、かつ基板に実装部品を仮固定するためのものである。複数の接着剤部は、互いに異なる平面積を有し、かつ互いに異なる厚みを有している。
【0018】
本発明の部品実装用基板によれば、基板に形成された複数の接着剤部が互いに異なる平面積と厚みを有している。これにより、実装部品の品種別に見合った厚さの接着剤を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、実装部品の品種別に見合った接着剤厚さを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法においてスキージを用いて接着剤を塗布する様子を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法に用いられるスキージの構成を示す正面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う概略断面図である。
【図8】マスクに設けたマスク開口部(貫通孔)の開口寸法とタック力、剪断力との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第1工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図10】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第2工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図11】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第3工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図12】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第4工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図13】本発明の実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における開口寸法と接着剤の印刷高さの関係を示す実験データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法について図1〜図5を用いて説明する。
【0022】
図1を参照して、まず基板2として例えばプリント配線板が準備される。この基板2に、マスク1として例えばメタルマスク(ステンレスなどの金属板にレーザなどで開口を設けたマスク)が基板2に位置合わせされた後に重ね合わされる。この際、基板2の表面2Aとマスク1の一方表面1Aとが互いに向かい合わせとなるように重ね合わされ、重ね合わせ後は基板2の表面2Aとマスク1の一方表面1Aとが密着する。
【0023】
マスク1は、所望の接着剤供給位置に開口を設けた一定厚のスクリーン印刷版であり、複数のマスク開口部(貫通孔)1a1、1a2、1a3を有している。これら複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3は互いに異なる平面積を有している。このマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々から基板2の表面2Aが露出している。
【0024】
ここでマスク開口部の平面積とは、基板2の表面2Aに垂直な方向から見たときの、平面視におけるマスク開口部の開口面積である。本実施の形態においてはマスク開口部1a1の平面積が最も大きく、マスク開口部1a2、1a3の順で平面積が小さくなっている。
【0025】
マスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状は、真円形状、楕円形状、矩形形状、トラック形状、不規則形状などのいずれであってもよい。マスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状が真円形状の場合には、マスク開口部1a1の径が最も大きく、マスク開口部1a2、1a3の順で径が小さくなっている。
【0026】
またマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状が真円形状の場合には、マスク開口部1a1の直径に対するマスク1の厚みは0.3未満であることが好ましく、マスク開口部1a2の直径に対するマスク1の厚みは0.3以上0.5未満であることが好ましく、マスク開口部1a3の直径に対するマスク1の厚みは0.5以上であることが好ましい。
【0027】
またマスク1の基板2と向かい合う部分の一方表面1Aと、基板2のマスク1と向かい合う部分の表面2Aとの双方は互いに平坦であることが好ましい。
【0028】
図2を参照して、基板2とマスク1とを重ねた状態で、マスク1の他方表面(一方表面1Aの裏面)1B上に接着剤3が載置される。この接着剤3は、例えば熱硬化性エポキシ樹脂であるが、これに限定されるものではなく、これ以外の熱硬化性樹脂であってもよく、それ以外の樹脂であってもよい。この後、スキージ6Aが接着剤3をマスク1の他方表面1B側に押し付けながらマスク1の他方表面1Bに沿って移動する。
【0029】
この際に使用されるスキージ6Aは、図6および図7に示すように、概ね0.1mmから0.5mmの段差6aを端部に有している。この段差6aによりスキージ6Aの端部の中央には凹部6a1が形成され、端部の両端部には凸部6a2が形成されている。
【0030】
図5を参照して、この段差6aを有する端部をマスク1の他方表面1Bに対向させた状態でスキージ6Aがマスク1へ押し付けられながらマスク1の他方表面1Bに沿って移動する。これにより、接着剤3がマスク1を介在して基板2の表面2Aに塗布される。スキージ6Aをマスク1へ押し付ける際にマスク1の他方表面1Bに対向するスキージ6Aの端部が段差6aを有しているため、この段差6aによりスキージ6Aの端部とマスク1の他方表面1Bとの間の距離が大きい部分と距離が小さい部分とが生じる。つまりスキージ6Aの端部とマスク1の他方表面1Bとの間の距離は、段差6aにより生じた凹部6a1において大きくなり、凸部6a2において小さくなる。この際、スキージ6Aの凸部6a2がマスク1の他方表面1Bに接していることが好ましく、この場合にはマスク1の他方表面1Bとスキージ6Aの凸部6a2との間の距離は実質的に0となる。
【0031】
スキージ6Aの凸部6a2がマスク1の他方表面1Bに接したままスキージ6Aが移動して接着剤3が塗布された場合、スキージ6Aの凹部6a1とマスク1の他方表面1Bとの間の領域7には接着剤3が残置され、凸部6a2とマスク1の他方表面1Bとの間には接着剤3は残らない。
【0032】
図3を参照して、これにより接着剤3を供給する工程においては、スキージ6Aでマスク1に押し付けられた接着剤3は複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の内部に充填して基板2の表面2Aに付着する。また、接着剤3はスキージ6Aの凹部6a1とマスク1の他方表面1Bとの間の領域7でマスク1の他方表面1B上に、例えば0.1mm以上0.5mm以下の厚さで残る。
【0033】
図4を参照して、接着剤3を基板2の表面2Aに付着させた後にマスク1を基板2から分離することにより印刷が完了する。これにより、接着剤3から複数の接着剤部3a、3b、3cが基板2の表面2Aに形成される。
【0034】
基板2の表面2Aに形成された複数の接着剤部3a、3b、3cのうち平面積の大きな接着剤部は平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成される。つまり、接着剤部3bよりも平面積の大きい接着剤部3aは接着剤部3bよりも厚く形成され、接着剤部3cよりも平面積の大きい接着剤部3bは接着剤部3cよりも厚く形成される。このようにして本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給が完了する。
【0035】
この後、実装部品が基板2の表面2A上の接着剤部3a、3b、3cの各々に接着するよう搭載され(図示せず)、接着剤部3a、3b、3cの各々が硬化され(図示せず)、フローはんだ付けが行なわれて(図示せず)、プリント配線板の組立が完了する。
【0036】
上記の方法において本発明者らは、複数の接着剤部3a、3b、3cのうち平面積の大きな接着剤部が平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成されることを見出した。以下、そのことについて説明する。
【0037】
本実施の形態では、接着剤3がマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の内部へ充填されるとともに、マスク1の他方表面1B上に残置された後、マスク1が基板2から分離される。このとき、接着剤3と基板2の表面2Aとの間にはタック力Ftが生じるとともに、接着剤3とマスク開口部1a1、1a2、1a3の内壁との間には剪断力Fsが生じる。タック力とは、基板2に対する接着剤3のべたつきを数値化したものであり、タック力以上の力が作用すれば接着剤3が基板2から剥がれる。また剪断力以上の力が作用すればマスク1のマスク開口部の壁面から接着剤3が剥がれる。
【0038】
タック力Ftはマスク開口部1a1、1a2、1a3の平面積の関数であり、剪断力Fsはマスク開口部1a1、1a2、1a3の内壁面積の関数であり、タック力Ftおよび剪断力Fsの各々はマスク開口部1a1、1a2、1a3の開口寸法の関数でもある。
【0039】
マスク1の厚さを一定とし、上記開口寸法に対するタック力Ftと剪断力Fsとの関係を表わすと図8のようになり、開口寸法が小さいとFt<Fsとなり、開口寸法が大きいとFt>Fsとなる。
【0040】
Ft<Fsでは、接着剤3のタック力Ftが剪断力Fsに負けている。このため、マスク1を基板2から分離するときに接着剤3が剪断できずマスク開口部の内壁に付着したままとなる。よって、基板2と触れた接着剤3の一部が基板2に付着する程度で、マスク開口部に充填された接着剤3のほとんどは基板2上に残らない。
【0041】
Ft>Fsであれば、接着剤3のタック力Ftが剪断力Fsに勝る。このため、マスク1を基板2から分離するときに接着剤3はマスク開口部の内壁で剪断されるので、基板2上に接着剤3が残置される。
【0042】
例えば、ある開口寸法においてマスク1の厚さがtのとき、タック力Ftが剪断力Fsの2倍、つまりFt=2×Fsであったとすると、Ft>Fsとなるので接着剤3は基板2の表面2A上に残置される。加えて、Ft=2Fsなので、マスク1の厚さtの接着剤3の剪断に必要な剪断力Fsの2倍、つまりマスク1の厚さtの2倍の厚さの接着剤3を剪断できるだけのタック力Ftを有していることになる。
【0043】
よって、タック力Ftが剪断力Fsに比べて大きいと、その差分であるFt−Fsの分だけマスク1の厚さt以上の厚さの接着剤3を抜くことが可能となる。Ft≒Fsのときは先述の両者のいずれにもなり得る可能性がある。しかし、接着剤3は比較的軟らかい粘度をもったペースト状であるため、タック力Ftに見合った剪断力Fs分の接着剤3は基板2の表面2A上に残置される。
【0044】
上記より図4に示すように、大きなマスク開口部1a1を設けた箇所ではFt>Fsであるためマスク1の厚さとマスク1上に残置した接着剤3の厚みとが合わさった厚みで接着剤部3aが形成される。また中程度のマスク開口部1a2を設けた箇所ではFt≒Fsなのでマスク開口部1a2に充填された接着剤3は転写されてもマスク1上に残置した接着剤3fまでは転写されずマスク1とほぼ同じ厚さの接着剤部3bが形成される。また小さなマスク開口部1a3ではFt<Fsであるためマスク開口部1a3に充填されている接着剤3自体が抜けずに、基板2の表面2Aに接する一部の接着剤3だけが転写されるため、マスク1の厚さ以下の接着剤部3cが形成される。
【0045】
つまりFt>Fsとなる開口寸法(開口面積)を有するマスク開口部1a1と、Ft≒Fsとなる開口寸法(開口面積)を有するマスク開口部1a2と、Ft<Fsとなる開口寸法(開口面積)を有するマスク開口部1a3とをマスク1に設けることで、厚さの異なる接着剤層3a、3b、3cを得ることができる。
【0046】
このように本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いれば、一度の印刷で、厚さの異なる実装部品仮固定用接着剤の供給を実現することができる。
【0047】
次に、本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いた半導体装置の製造方法として、プリント配線板に角チップ部品とSOPとを搭載する場合について図9〜図12を用いて説明する。
【0048】
図9(A)、(B)を参照して、まず基板2として例えばプリント配線板が準備される。このプリント配線板2は、プリント配線(導電部)を形成した板であり、基材2aと、その基材2aの表面上に形成されたプリント配線2bとを有している。
【0049】
図9(A)、(B)中の右側に示されたのがSOP搭載部であり、この搭載部にはSOPの電極に電気的に接続するためのプリント配線としてのパッド2bが形成されている。また図9(A)、(B)中の左側に示されたのが角チップ部品搭載部であり、この搭載部には角チップ部品の電極に電気的に接続するためのプリント配線としてのパッド2bが形成されている。
【0050】
図10(A)、(B)を参照して、上述した本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いてプリント配線板2の表面2A上に複数の接着剤部3d、3eが印刷により形成される。このとき、SOP搭載部に形成された接着剤部3dは角チップ部品搭載部に形成された接着剤部3eよりも平面積が大きく、かつ厚みが厚くなるように形成される。
【0051】
図11(A)、(B)を参照して、SOP搭載部にSOP10Aが接着剤部3dに接着するように搭載され、角チップ部品搭載部に角チップ10Bが接着剤部3eに接着するように搭載される。この状態で接着剤部3d、3eが硬化される。
【0052】
この際、SOP10AのスタンドオフSO1は相対的に大きいが接着剤部3dの厚みも相対的に厚くなっている。このため、SOP10Aのボディ部10a1は接着剤部3dによって適切に接着される。また接着剤部3dがはみ出してSOP10Aの電極10a2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10a2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0053】
また角チップ10BのスタンドオフSO2は相対的に小さいが接着剤部3eの厚みも相対的に薄くなっている。このため、角チップ10Bのボディ部10b1は接着剤部3eによって適切に接着される。また接着剤部3eがはみ出して角チップ10Bの電極10b2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10b2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0054】
図12(A)、(B)を参照して、この状態でフローはんだ付けが行なわれる。これにより、SOP10Aの電極10a2と基板2上のパッド2bとがはんだ15により電気的に接続される。また角チップ10Bの電極10b2と基板2上のパッド2bとがはんだ15により電気的に接続される。これにより、プリント配線板2にSOP10A、角チップ10Bなどの実装部品(例えば半導体素子)が実装された半導体装置が完成する。
【0055】
次に、本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法により製造された部品実装用基板と、本実施の形態の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置との構成について図12(A)、(B)を用いて説明する。
【0056】
図12(A)、(B)を参照して、本実施の形態の部品実装用基板は、実装部品を仮固定してはんだ付けするための部品実装用基板であって、基板2と、複数の接着剤部3d、3eとを有している。
【0057】
基板2は、例えばプリント配線基板であり、基材2aと、その基材2aの表面に形成されたパッドなどのプリント配線(導電部)2bとを有している。接着剤部3d、3eは、基板2の表面2Aに実装部品を仮固定するためのものであり、基板2の表面2A上に形成されている。
【0058】
接着剤部3dと接着剤部3eとは互いに異なる平面積を有し、かつ互いに異なる厚みを有している。例えば接着剤部3dは、接着剤部3eよりも大きな平面積を有し、かつ接着剤部3eよりも厚い厚さを有している。
【0059】
本実施の形態の半導体装置は、上記の部品実装用基板と、その部品実装用基板上に実装された例えばSOP、角チップなどの実装部品10A、10Bとを有している。平面積が大きく厚さが厚い接着剤部3dに接着された実装部品10Aは相対的にスタンドオフSO1の大きいものである。また平面積が小さく厚さが薄い接着剤部3eに接着された実装部品10Bは相対的にスタンドオフSO2の小さいものである。スタンドオフSO1の相対的に大きい実装部品10Aは例えばSOPであり、スタンドオフSO2の相対的に小さい実装部品10Bは例えば角チップである。
【0060】
実装部品10Aのボディ部10a1の底面には接着剤部3dが接しており、実装部品10Bのボディ部10b1の底面には接着剤部3eが接している。実装部品10Aの電極(端子)10a2と基板2のパッド2bとははんだ15によりはんだ付けされており、実装部品10Bの電極(端子)10b2と基板2のパッド2bとははんだ15によりはんだ付けされている。
【0061】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法によれば、図3および図5に示すようにマスク1に設けられた互いに平面積の異なる複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3内に接着剤3が充填されるとともにマスク1の他方表面1B上に接着剤3が残置される。ここで、マスク開口部1a1、1a2、1a3の平面積(開口面積)に対するタック力Ftと剪断力Fsとの関係は図8で示すようになる。これにより、図4に示すようにマスク1を基板2から分離した際に、複数の接着剤部3a、3b、3cのうち平面積の大きな接着剤部が平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成されることになる。このため、互いに厚みの異なる複数の接着剤部3a、3b、3cを基板2の表面2A上に形成することができ、部品種別に見合った接着剤の厚さを一度の印刷工程で容易に得ることができる。
【0062】
例えば図12に示すようにスタンドオフSO1が相対的に大きい実装部品10Aの接着には厚さが厚い接着剤部3dを用いることができる。このため、実装部品10Aのボディ部10a1は接着剤部3dによって適切に接着されるとともに、接着剤部3dがはみ出して実装部品10Aの電極10a2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10a2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0063】
また図12に示すようにスタンドオフSO2が相対的に小さい実装部品10Bの接着には厚さが薄い接着剤部3eを用いることができる。このため、実装部品10Bのボディ部10b1は接着剤部3eによって適切に接着されるとともに、接着剤部3eがはみ出して実装部品10Bの電極10b2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10b2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0064】
また図3および図5に示すように接着剤3がマスク1の他方表面1B上に残置されるため、マスク1の厚さよりも厚い接着剤部3aを基板2の表面2A上に残置することも可能となる。これにより、接着剤層の厚さの自由度が高くなる。
【0065】
またマスク1の基板2と向かい合う部分の一方表面1Aと、基板2のマスク1と向かい合う部分の表面2Aとの双方は互いに平坦である。これにより、マスク1を基板2に密着させることができ、印刷時のにじみ、つまりマスク開口部1a1、1a2、1a3からマスク1と基板2との隙間に接着剤3が入り込むことが抑制される。
【0066】
本実施の形態の部品実装用基板によれば、基板2に形成された複数の接着剤部3d、3eが互いに異なる平面積と厚みとを有している。これにより、実装部品10A、10Bの品種別に見合った厚さの接着剤部3d、3eを供給することができる。
【0067】
なお上記においてスキージ6Aに設けた段差6aの大きさを0.1mm以上0.5mm以下とした理由は以下のとおりである。
【0068】
マスク1の厚さが例えば0.2mmの場合、上記の角チップであればスタンドオフが小さいためマスク1の厚さ分の接着剤層の厚さがあれば確実に実装部品(角チップ)を接着することができる。しかし、QFP、SOPなどのスタンドオフが0.3mm程度の実装部品を接着するためには接着剤3の厚さはマスク1の厚さと合わせて0.3mm必要となる。つまりマスク1の他方表面1B上に塗布する接着剤3の厚さは0.1mm以上必要となる。またJEITAによれば、SOPやQFPには最大0.5mmのスタンドオフを持つパッケージの規格もある。この場合、0.5−0.2=0.3mmの厚さの接着剤3をマスク1の他方表面1B上に塗布する必要がある。この0.3mmに適当なマージンを加えて0.5mmの厚さの接着剤3をマスク1の他方表面1B上に塗布すれば、ほとんどの実装部品を接着することができると考えられる。以上より、スキージ6Aに設けた段差6aの大きさは0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
【0069】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法について図13〜図15を用いて説明する。
【0070】
図13を参照して、まず実施の形態1と同様、基板2として例えばプリント配線板が準備され、マスク1が基板2に位置合わせされた後にマスク1と基板2とが重ね合わされる。このマスク1は、実施の形態1のマスク1と同様、所望の接着剤供給位置に開口を設けた一定厚のスクリーン印刷版であり、互いに異なる平面積の複数のマスク開口部(貫通孔)1a1、1a2、1a3を有している。
【0071】
基板2とマスク1とを重ねた状態で、マスク1の他方表面1B上に実施の形態1と同様の接着剤3が載置される。この後、スキージ6Bが接着剤3をマスク1の他方表面1B側に押し付けながら移動する。
【0072】
この際に使用されるスキージ6Bは、スキージ6Bをマスク1へ押し付ける際にマスク1の他方表面1Bに対向する端部に、実施の形態1のような段差を有しておらずフラットである点において実施の形態1のスキージ6Aと異なる。
【0073】
実施の形態1では、段差6aを設けたスキージ6Aを用いることでマスク1の他方表面1B上に接着剤が残置されている。これに対して、本実施の形態では接着剤3の塗布時に段差のないスキージ6Bが図14および図15に示すように接着剤3上に乗り上げるように、スキージ6Bの硬さ、移動速度が適切に調整されている。これにより、図15に示すようにマスク1の他方表面1B上に接着剤3が所定の厚さで残置されるとともに、マスク開口部1a1、1a2、1a3内に接着剤3が充填される。
【0074】
つまり、接着剤3をスキージ6Bでマスク1へ押し付けながら塗布する際に、マスク1の他方表面1Bに対向するスキージ6Bの端部が接着剤3に乗り上げることでスキージ6Bとマスク1の他方表面1Bとの間に間隔が生じて、接着剤3がマスク1の他方表面1B上に残るのである。
【0075】
なおこれ以外の工程については実施の形態1の実装部品仮固定用接着剤の供給方法および半導体装置の製造方法とほぼ同じであるため、その説明は繰り返さない。また本実施の形態により製造される部品実装用基板および半導体装置の構成も実施の形態1の部品実装用基板および半導体装置の構成とほぼ同じであるため、その説明は繰り返さない。
【0076】
このような接着剤印刷工程においても、図4に示すように大きなマスク開口部1a1を設けた箇所ではFt>Fsであるためマスク1の厚さとマスク1上に残置した接着剤3の厚みとが合わさった厚みで接着剤部3aが形成される。また中程度のマスク開口部1a2を設けた箇所ではFt≒Fsなのでマスク開口部1a2に充填された接着剤3は転写されてもマスク1上に残置した接着剤3までは転写されずマスク1とほぼ同じ厚さの接着剤部3bが形成される。また小さなマスク開口部1a3ではFt<Fsであるためマスク開口部1a3に充填されている接着剤3自体が抜けずに、基板2の表面2Aに接する一部の接着剤3だけが転写されるため、マスク1の厚さ以下の接着剤部3cが形成される。
【0077】
次に、本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法で部品実装用基板を製造したときのマスク開口部の平面寸法(開口寸法)と接着剤部の仕上がり寸法(厚さ)との関係を調べた実験結果について図16を用いて説明する。
【0078】
この実験においては、例えば厚さ200μmのメタルマスク1、硬度70のウレタン剣スキージ6B、粘度380Pa・sでチクソ指数5の接着剤3を使用した。メタルマスク1の真円の平面形状を有するマスク開口部の開口寸法(直径)をφ0.3mmから0.1mmきざみでφ1.0mmまで変化させ、各開口寸法におけるメタルマスク1上に当該接着剤3を投入し、約170mm/secの速度でスキージ6Bを移動させて印刷し、転写した接着剤部の高さ(仕上がり寸法)を測定した。その結果を図16に示す。
【0079】
図16の結果から、開口寸法がφ0.3mmやφ0.4mmの小さなマスク開口部では50μm程度の厚さの接着剤部を印刷できた。φ0.5mmやφ0.6mmの中間のマスク開口部ではメタルマスク1の厚さ相当の200μm前後の厚さの接着剤部を印刷できた。またφ0.6mmを超える大きなマスク開口部では250μmから300μm前後の厚さの接着剤部を印刷できた。
【0080】
このように先に述べたメタルマスク1、スキージ6B、接着剤3、印刷条件において、角チップ部品のようにスタンドオフが十数μm程度の部品に対してはφ0.3mmないしφ0.4mmの小さなマスク開口部を用い、SOPやQFPなどスタンドオフが200μm程度の部品に対してはφ0.5mmやφ0.6mmの中間のマスク開口部を用い、さらにスタンドオフが大きい部品に対してはφ0.7mm以上の大きなマスク開口部を用いて印刷すれば、それぞれのスタンドオフに見合った高さの接着剤を一度の印刷工程で供給できることを本発明者らは見出した。
【0081】
またこの実験においては、Ft=Fsとなる点は開口寸法0.5mm〜0.6mmの範囲内に有ると考えられる。
【0082】
またこの実験結果から、マスク開口部の直径に対するマスク1の厚み(0.2mm)は、φ0.4mm以下の小さな直径の場合には0.5以上となり、φ0.7mm以上の大きな直径の場合には0.3未満となり、φ0.5〜φ0.6の中間の直径の場合には0.3以上0.5未満となることもわかった。このため図13に示すマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状が真円形状の場合には、マスク開口部1a1の直径に対するマスク1の厚みは0.3未満であることが好ましく、マスク開口部1a2の直径に対するマスク1の厚みは0.3以上0.5未満であることが好ましく、マスク開口部1a1の直径に対するマスク1の厚みは0.5以上であることが好ましい。
【0083】
また実施の形態1においても図16に示す結果と同様の結果が得られた。
このように本実施の形態においても、実施の形態1と同様に一度の印刷で、厚さの異なる実装部品仮固定用接着剤の供給を実現することができる。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
1 マスク、1A 一方表面、1a1,1a2,1a3 マスク開口部、1B 他方表面、2 基板、2A 表面、2a 基材、2b プリント配線(導電部、パッド)、3 接着剤、3a,3b,3c,3d,3e 接着剤部、6A,6B スキージ、6a 段差、6a1 凹部、6a2 凸部、7 領域、10A,10B 実装部品、10a1,10b1 ボディ部、10a2,10b2 電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装部品仮固定用接着剤の供給方法、半導体装置の製造方法、部品実装用基板および半導体装置に関し、特に、基板に実装部品をはんだ付けする前に、その実装部品を基板に仮固定するための接着剤を基板に供給するための実装部品仮固定用接着剤の供給方法、その方法を用いた半導体装置の製造方法、その方法によって製造された部品実装用基板および半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板などの基板へ実装部品を搭載する場合、溶融はんだを噴流させて基板に当てることで実装部品を基板の導電部分に対してはんだ付けする方法(以下、「フローはんだ付け」と称する)が用いられている。この方法を用いて実装部品を基板の導電部分に対してはんだ付けする前に、溶融はんだが接触する基板のフローはんだ付け面に実装部品を仮固定する必要がある。
【0003】
この仮固定の方法は、例えば特開平4−040262号公報(特許文献1)、特開平7−202398号公報(特許文献2)などに記載されている。一般的には、特開平4−040262号公報に記載されているように、ディスペンサーにより接着剤をプリント基板に塗布し、電子部品を基板に実装した後に、接着剤を硬化させて電子部品を基板に仮固定する方法がある。このほかに、特開平7−202398号公報に記載されているように、所定パターンを有するマスクを介してスクリーン印刷法によって接着剤を回路基板に塗布し、実装部品を実装した後に、接着剤を硬化させて実装部品を回路基板に仮固定する方法もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−040262号公報
【特許文献2】特開平7−202398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板のフローはんだ付け面に搭載される実装部品には、一般的には例えば3216角チップや1608角チップと呼ばれる抵抗やコンデンサをはじめ、SOP(Small Outline Package)、QFP(Quad Flat Package)など、多岐にわたる種類がある。
【0006】
これら実装部品の電極とボディ底面とのギャップ(以下、「スタンドオフ」と称する)は部品ごとに異なる。このスタンドオフは、角チップでは電極めっきの厚さでおおよそ十数μm程度である。またSOPやQFPは、例えばJEITA(Japan Electronics and Information Technology Industries Association)に規定されているこれらIC(Integrated Circuit)パッケージ仕様のガイドライン(EIAJ ED-7311-19やED-7311A)によると最小0.1mmから最大0.3mmのスタンドオフを持っている。
【0007】
これらの実装部品を基板に実装する場合には、スタンドオフに見合った厚さの接着剤を供給して実装部品を基板に仮固定する必要がある。つまり、スタンドオフの低い実装部品では接着剤の厚さを薄くし、スタンドオフの高い実装部品では接着剤の厚さを厚くする必要がある。
【0008】
しかし、特開平4−040262号公報に記載のディスペンサーでは接着剤の吐出量を制御できても接着剤の厚さを制御することはできない。このため、スタンドオフに見合った厚さの接着剤を供給することができない。よってスタンドオフの高い実装部品において接着剤の厚さが薄くなると、接着剤が実装部品のボディ部に届かず、実装部品を基板に仮固定することができなくなる。
【0009】
またスタンドオフの低い実装部品において接着剤が過剰に供給されると、実装部品を基板に搭載した時に接着剤が接着剤の供給位置から大量にはみ出すおそれがある。この場合には、実装部品の電極あるいは基板上のパッドに接着剤が付着する。またスタンドオフの低い実装部品において接着剤の厚さが厚くなると、実装部品の電極と基板上のパッドとの間に隙間が生じる。このように実装部品の電極あるいは基板上のパッドに接着剤が付着したり、あるいは実装部品の電極と基板上のパッドとの間に隙間が生じた場合には、フローはんだ付けの際にはんだの接合不良が起きる可能性があった。
【0010】
また特開平7−202398号公報に記載の印刷方法では、接着剤の厚さは所定パターンを有するマスクの厚さにより決定される。このため、接着剤の厚さを制御するためにはそのマスクの厚さを変更する必要があり、スタンドオフの異なる実装部品の品種別に見合った各種の接着剤厚さを一度の印刷工程で供給することができない。
【0011】
よって、低いスタンドオフの実装部品に合わせた厚さに接着剤を印刷すれば、スタンドオフの高い実装部品のボディ部には接着剤が届かず実装部品を仮固定することができない。また高いスタンドオフの実装部品に合わせた厚さに接着剤を印刷すれば、スタンドオフの低い実装部品には接着剤が過剰となって、上記のように実装部品の電極や基板上のパッドに接着剤が付着してはんだ付けができなくなったり、あるいは実装部品の電極と基板上のパッドとが離れてはんだ付けができなくなることがあった。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、実装部品の品種別に見合った接着剤厚さを一度の印刷工程で容易に得ることができる実装部品仮固定用接着剤の供給方法、半導体装置の製造方法、部品実装用基板および半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の実装部品仮固定用接着剤の供給方法は、基板に実装部品をはんだ付けする前に、実装部品を基板に仮固定するための接着剤を基板に供給するための実装部品仮固定用接着剤の供給方法であって、以下の工程を備えている。
【0014】
まず基板が準備される。そして互いに異なる平面積の複数の貫通孔を有するマスクの一方表面と基板の表面とを向かい合わせにしてマスクと基板とが重ねられる。そして基板とマスクとを重ねた状態で、複数の貫通孔のそれぞれの内部に充填して基板の表面に付着させるとともにマスクの他方表面上に残すように接着剤が供給される。接着剤を基板の表面に付着させた後にマスクを基板から分離することにより、その接着剤から複数の接着剤部が基板の表面上に形成される。
【0015】
本発明の実装部品仮固定用接着剤の供給方法によれば、マスクに設けられた互いに平面積の異なる複数の貫通孔内に接着剤が充填されるとともにマスク表面上に接着剤が残される。これにより、マスクを基板から分離した際に、互いに厚みの異なる複数の接着剤部を基板上に形成することができ、部品種別に見合った接着剤厚さを一度の印刷工程で容易に得ることができる。
【0016】
また接着剤をマスクの他方表面上に残してマスクを基板から分離することにより、マスクの厚み以上の厚さを有する接着剤部を形成することもでき、接着材部の厚さの自由度が高くなる。
【0017】
本発明の部品実装用基板は、実装部品を仮固定してはんだ付けするための部品実装用基板であって、基板と、複数の接着剤部とを備えている。複数の接着剤部は、基板の表面上に形成されており、かつ基板に実装部品を仮固定するためのものである。複数の接着剤部は、互いに異なる平面積を有し、かつ互いに異なる厚みを有している。
【0018】
本発明の部品実装用基板によれば、基板に形成された複数の接着剤部が互いに異なる平面積と厚みを有している。これにより、実装部品の品種別に見合った厚さの接着剤を供給することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように本発明によれば、実装部品の品種別に見合った接着剤厚さを容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第4工程を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法においてスキージを用いて接着剤を塗布する様子を示す概略斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法に用いられるスキージの構成を示す正面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う概略断面図である。
【図8】マスクに設けたマスク開口部(貫通孔)の開口寸法とタック力、剪断力との関係を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第1工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図10】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第2工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図11】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第3工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図12】本発明の実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いて半導体装置を製造する方法の第4工程を示す概略平面図(A)および概略側面図(B)である。
【図13】本発明の実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第1工程を示す概略断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第2工程を示す概略断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法の第3工程を示す概略断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における開口寸法と接着剤の印刷高さの関係を示す実験データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず実施の形態1における実装部品仮固定用接着剤の供給方法について図1〜図5を用いて説明する。
【0022】
図1を参照して、まず基板2として例えばプリント配線板が準備される。この基板2に、マスク1として例えばメタルマスク(ステンレスなどの金属板にレーザなどで開口を設けたマスク)が基板2に位置合わせされた後に重ね合わされる。この際、基板2の表面2Aとマスク1の一方表面1Aとが互いに向かい合わせとなるように重ね合わされ、重ね合わせ後は基板2の表面2Aとマスク1の一方表面1Aとが密着する。
【0023】
マスク1は、所望の接着剤供給位置に開口を設けた一定厚のスクリーン印刷版であり、複数のマスク開口部(貫通孔)1a1、1a2、1a3を有している。これら複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3は互いに異なる平面積を有している。このマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々から基板2の表面2Aが露出している。
【0024】
ここでマスク開口部の平面積とは、基板2の表面2Aに垂直な方向から見たときの、平面視におけるマスク開口部の開口面積である。本実施の形態においてはマスク開口部1a1の平面積が最も大きく、マスク開口部1a2、1a3の順で平面積が小さくなっている。
【0025】
マスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状は、真円形状、楕円形状、矩形形状、トラック形状、不規則形状などのいずれであってもよい。マスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状が真円形状の場合には、マスク開口部1a1の径が最も大きく、マスク開口部1a2、1a3の順で径が小さくなっている。
【0026】
またマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状が真円形状の場合には、マスク開口部1a1の直径に対するマスク1の厚みは0.3未満であることが好ましく、マスク開口部1a2の直径に対するマスク1の厚みは0.3以上0.5未満であることが好ましく、マスク開口部1a3の直径に対するマスク1の厚みは0.5以上であることが好ましい。
【0027】
またマスク1の基板2と向かい合う部分の一方表面1Aと、基板2のマスク1と向かい合う部分の表面2Aとの双方は互いに平坦であることが好ましい。
【0028】
図2を参照して、基板2とマスク1とを重ねた状態で、マスク1の他方表面(一方表面1Aの裏面)1B上に接着剤3が載置される。この接着剤3は、例えば熱硬化性エポキシ樹脂であるが、これに限定されるものではなく、これ以外の熱硬化性樹脂であってもよく、それ以外の樹脂であってもよい。この後、スキージ6Aが接着剤3をマスク1の他方表面1B側に押し付けながらマスク1の他方表面1Bに沿って移動する。
【0029】
この際に使用されるスキージ6Aは、図6および図7に示すように、概ね0.1mmから0.5mmの段差6aを端部に有している。この段差6aによりスキージ6Aの端部の中央には凹部6a1が形成され、端部の両端部には凸部6a2が形成されている。
【0030】
図5を参照して、この段差6aを有する端部をマスク1の他方表面1Bに対向させた状態でスキージ6Aがマスク1へ押し付けられながらマスク1の他方表面1Bに沿って移動する。これにより、接着剤3がマスク1を介在して基板2の表面2Aに塗布される。スキージ6Aをマスク1へ押し付ける際にマスク1の他方表面1Bに対向するスキージ6Aの端部が段差6aを有しているため、この段差6aによりスキージ6Aの端部とマスク1の他方表面1Bとの間の距離が大きい部分と距離が小さい部分とが生じる。つまりスキージ6Aの端部とマスク1の他方表面1Bとの間の距離は、段差6aにより生じた凹部6a1において大きくなり、凸部6a2において小さくなる。この際、スキージ6Aの凸部6a2がマスク1の他方表面1Bに接していることが好ましく、この場合にはマスク1の他方表面1Bとスキージ6Aの凸部6a2との間の距離は実質的に0となる。
【0031】
スキージ6Aの凸部6a2がマスク1の他方表面1Bに接したままスキージ6Aが移動して接着剤3が塗布された場合、スキージ6Aの凹部6a1とマスク1の他方表面1Bとの間の領域7には接着剤3が残置され、凸部6a2とマスク1の他方表面1Bとの間には接着剤3は残らない。
【0032】
図3を参照して、これにより接着剤3を供給する工程においては、スキージ6Aでマスク1に押し付けられた接着剤3は複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の内部に充填して基板2の表面2Aに付着する。また、接着剤3はスキージ6Aの凹部6a1とマスク1の他方表面1Bとの間の領域7でマスク1の他方表面1B上に、例えば0.1mm以上0.5mm以下の厚さで残る。
【0033】
図4を参照して、接着剤3を基板2の表面2Aに付着させた後にマスク1を基板2から分離することにより印刷が完了する。これにより、接着剤3から複数の接着剤部3a、3b、3cが基板2の表面2Aに形成される。
【0034】
基板2の表面2Aに形成された複数の接着剤部3a、3b、3cのうち平面積の大きな接着剤部は平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成される。つまり、接着剤部3bよりも平面積の大きい接着剤部3aは接着剤部3bよりも厚く形成され、接着剤部3cよりも平面積の大きい接着剤部3bは接着剤部3cよりも厚く形成される。このようにして本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給が完了する。
【0035】
この後、実装部品が基板2の表面2A上の接着剤部3a、3b、3cの各々に接着するよう搭載され(図示せず)、接着剤部3a、3b、3cの各々が硬化され(図示せず)、フローはんだ付けが行なわれて(図示せず)、プリント配線板の組立が完了する。
【0036】
上記の方法において本発明者らは、複数の接着剤部3a、3b、3cのうち平面積の大きな接着剤部が平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成されることを見出した。以下、そのことについて説明する。
【0037】
本実施の形態では、接着剤3がマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の内部へ充填されるとともに、マスク1の他方表面1B上に残置された後、マスク1が基板2から分離される。このとき、接着剤3と基板2の表面2Aとの間にはタック力Ftが生じるとともに、接着剤3とマスク開口部1a1、1a2、1a3の内壁との間には剪断力Fsが生じる。タック力とは、基板2に対する接着剤3のべたつきを数値化したものであり、タック力以上の力が作用すれば接着剤3が基板2から剥がれる。また剪断力以上の力が作用すればマスク1のマスク開口部の壁面から接着剤3が剥がれる。
【0038】
タック力Ftはマスク開口部1a1、1a2、1a3の平面積の関数であり、剪断力Fsはマスク開口部1a1、1a2、1a3の内壁面積の関数であり、タック力Ftおよび剪断力Fsの各々はマスク開口部1a1、1a2、1a3の開口寸法の関数でもある。
【0039】
マスク1の厚さを一定とし、上記開口寸法に対するタック力Ftと剪断力Fsとの関係を表わすと図8のようになり、開口寸法が小さいとFt<Fsとなり、開口寸法が大きいとFt>Fsとなる。
【0040】
Ft<Fsでは、接着剤3のタック力Ftが剪断力Fsに負けている。このため、マスク1を基板2から分離するときに接着剤3が剪断できずマスク開口部の内壁に付着したままとなる。よって、基板2と触れた接着剤3の一部が基板2に付着する程度で、マスク開口部に充填された接着剤3のほとんどは基板2上に残らない。
【0041】
Ft>Fsであれば、接着剤3のタック力Ftが剪断力Fsに勝る。このため、マスク1を基板2から分離するときに接着剤3はマスク開口部の内壁で剪断されるので、基板2上に接着剤3が残置される。
【0042】
例えば、ある開口寸法においてマスク1の厚さがtのとき、タック力Ftが剪断力Fsの2倍、つまりFt=2×Fsであったとすると、Ft>Fsとなるので接着剤3は基板2の表面2A上に残置される。加えて、Ft=2Fsなので、マスク1の厚さtの接着剤3の剪断に必要な剪断力Fsの2倍、つまりマスク1の厚さtの2倍の厚さの接着剤3を剪断できるだけのタック力Ftを有していることになる。
【0043】
よって、タック力Ftが剪断力Fsに比べて大きいと、その差分であるFt−Fsの分だけマスク1の厚さt以上の厚さの接着剤3を抜くことが可能となる。Ft≒Fsのときは先述の両者のいずれにもなり得る可能性がある。しかし、接着剤3は比較的軟らかい粘度をもったペースト状であるため、タック力Ftに見合った剪断力Fs分の接着剤3は基板2の表面2A上に残置される。
【0044】
上記より図4に示すように、大きなマスク開口部1a1を設けた箇所ではFt>Fsであるためマスク1の厚さとマスク1上に残置した接着剤3の厚みとが合わさった厚みで接着剤部3aが形成される。また中程度のマスク開口部1a2を設けた箇所ではFt≒Fsなのでマスク開口部1a2に充填された接着剤3は転写されてもマスク1上に残置した接着剤3fまでは転写されずマスク1とほぼ同じ厚さの接着剤部3bが形成される。また小さなマスク開口部1a3ではFt<Fsであるためマスク開口部1a3に充填されている接着剤3自体が抜けずに、基板2の表面2Aに接する一部の接着剤3だけが転写されるため、マスク1の厚さ以下の接着剤部3cが形成される。
【0045】
つまりFt>Fsとなる開口寸法(開口面積)を有するマスク開口部1a1と、Ft≒Fsとなる開口寸法(開口面積)を有するマスク開口部1a2と、Ft<Fsとなる開口寸法(開口面積)を有するマスク開口部1a3とをマスク1に設けることで、厚さの異なる接着剤層3a、3b、3cを得ることができる。
【0046】
このように本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いれば、一度の印刷で、厚さの異なる実装部品仮固定用接着剤の供給を実現することができる。
【0047】
次に、本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いた半導体装置の製造方法として、プリント配線板に角チップ部品とSOPとを搭載する場合について図9〜図12を用いて説明する。
【0048】
図9(A)、(B)を参照して、まず基板2として例えばプリント配線板が準備される。このプリント配線板2は、プリント配線(導電部)を形成した板であり、基材2aと、その基材2aの表面上に形成されたプリント配線2bとを有している。
【0049】
図9(A)、(B)中の右側に示されたのがSOP搭載部であり、この搭載部にはSOPの電極に電気的に接続するためのプリント配線としてのパッド2bが形成されている。また図9(A)、(B)中の左側に示されたのが角チップ部品搭載部であり、この搭載部には角チップ部品の電極に電気的に接続するためのプリント配線としてのパッド2bが形成されている。
【0050】
図10(A)、(B)を参照して、上述した本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法を用いてプリント配線板2の表面2A上に複数の接着剤部3d、3eが印刷により形成される。このとき、SOP搭載部に形成された接着剤部3dは角チップ部品搭載部に形成された接着剤部3eよりも平面積が大きく、かつ厚みが厚くなるように形成される。
【0051】
図11(A)、(B)を参照して、SOP搭載部にSOP10Aが接着剤部3dに接着するように搭載され、角チップ部品搭載部に角チップ10Bが接着剤部3eに接着するように搭載される。この状態で接着剤部3d、3eが硬化される。
【0052】
この際、SOP10AのスタンドオフSO1は相対的に大きいが接着剤部3dの厚みも相対的に厚くなっている。このため、SOP10Aのボディ部10a1は接着剤部3dによって適切に接着される。また接着剤部3dがはみ出してSOP10Aの電極10a2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10a2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0053】
また角チップ10BのスタンドオフSO2は相対的に小さいが接着剤部3eの厚みも相対的に薄くなっている。このため、角チップ10Bのボディ部10b1は接着剤部3eによって適切に接着される。また接着剤部3eがはみ出して角チップ10Bの電極10b2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10b2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0054】
図12(A)、(B)を参照して、この状態でフローはんだ付けが行なわれる。これにより、SOP10Aの電極10a2と基板2上のパッド2bとがはんだ15により電気的に接続される。また角チップ10Bの電極10b2と基板2上のパッド2bとがはんだ15により電気的に接続される。これにより、プリント配線板2にSOP10A、角チップ10Bなどの実装部品(例えば半導体素子)が実装された半導体装置が完成する。
【0055】
次に、本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法により製造された部品実装用基板と、本実施の形態の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置との構成について図12(A)、(B)を用いて説明する。
【0056】
図12(A)、(B)を参照して、本実施の形態の部品実装用基板は、実装部品を仮固定してはんだ付けするための部品実装用基板であって、基板2と、複数の接着剤部3d、3eとを有している。
【0057】
基板2は、例えばプリント配線基板であり、基材2aと、その基材2aの表面に形成されたパッドなどのプリント配線(導電部)2bとを有している。接着剤部3d、3eは、基板2の表面2Aに実装部品を仮固定するためのものであり、基板2の表面2A上に形成されている。
【0058】
接着剤部3dと接着剤部3eとは互いに異なる平面積を有し、かつ互いに異なる厚みを有している。例えば接着剤部3dは、接着剤部3eよりも大きな平面積を有し、かつ接着剤部3eよりも厚い厚さを有している。
【0059】
本実施の形態の半導体装置は、上記の部品実装用基板と、その部品実装用基板上に実装された例えばSOP、角チップなどの実装部品10A、10Bとを有している。平面積が大きく厚さが厚い接着剤部3dに接着された実装部品10Aは相対的にスタンドオフSO1の大きいものである。また平面積が小さく厚さが薄い接着剤部3eに接着された実装部品10Bは相対的にスタンドオフSO2の小さいものである。スタンドオフSO1の相対的に大きい実装部品10Aは例えばSOPであり、スタンドオフSO2の相対的に小さい実装部品10Bは例えば角チップである。
【0060】
実装部品10Aのボディ部10a1の底面には接着剤部3dが接しており、実装部品10Bのボディ部10b1の底面には接着剤部3eが接している。実装部品10Aの電極(端子)10a2と基板2のパッド2bとははんだ15によりはんだ付けされており、実装部品10Bの電極(端子)10b2と基板2のパッド2bとははんだ15によりはんだ付けされている。
【0061】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法によれば、図3および図5に示すようにマスク1に設けられた互いに平面積の異なる複数のマスク開口部1a1、1a2、1a3内に接着剤3が充填されるとともにマスク1の他方表面1B上に接着剤3が残置される。ここで、マスク開口部1a1、1a2、1a3の平面積(開口面積)に対するタック力Ftと剪断力Fsとの関係は図8で示すようになる。これにより、図4に示すようにマスク1を基板2から分離した際に、複数の接着剤部3a、3b、3cのうち平面積の大きな接着剤部が平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成されることになる。このため、互いに厚みの異なる複数の接着剤部3a、3b、3cを基板2の表面2A上に形成することができ、部品種別に見合った接着剤の厚さを一度の印刷工程で容易に得ることができる。
【0062】
例えば図12に示すようにスタンドオフSO1が相対的に大きい実装部品10Aの接着には厚さが厚い接着剤部3dを用いることができる。このため、実装部品10Aのボディ部10a1は接着剤部3dによって適切に接着されるとともに、接着剤部3dがはみ出して実装部品10Aの電極10a2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10a2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0063】
また図12に示すようにスタンドオフSO2が相対的に小さい実装部品10Bの接着には厚さが薄い接着剤部3eを用いることができる。このため、実装部品10Bのボディ部10b1は接着剤部3eによって適切に接着されるとともに、接着剤部3eがはみ出して実装部品10Bの電極10b2や基板2上のパッド2bに付着することも防止され、かつ電極10b2とパッド2bとが離れることも防止される。
【0064】
また図3および図5に示すように接着剤3がマスク1の他方表面1B上に残置されるため、マスク1の厚さよりも厚い接着剤部3aを基板2の表面2A上に残置することも可能となる。これにより、接着剤層の厚さの自由度が高くなる。
【0065】
またマスク1の基板2と向かい合う部分の一方表面1Aと、基板2のマスク1と向かい合う部分の表面2Aとの双方は互いに平坦である。これにより、マスク1を基板2に密着させることができ、印刷時のにじみ、つまりマスク開口部1a1、1a2、1a3からマスク1と基板2との隙間に接着剤3が入り込むことが抑制される。
【0066】
本実施の形態の部品実装用基板によれば、基板2に形成された複数の接着剤部3d、3eが互いに異なる平面積と厚みとを有している。これにより、実装部品10A、10Bの品種別に見合った厚さの接着剤部3d、3eを供給することができる。
【0067】
なお上記においてスキージ6Aに設けた段差6aの大きさを0.1mm以上0.5mm以下とした理由は以下のとおりである。
【0068】
マスク1の厚さが例えば0.2mmの場合、上記の角チップであればスタンドオフが小さいためマスク1の厚さ分の接着剤層の厚さがあれば確実に実装部品(角チップ)を接着することができる。しかし、QFP、SOPなどのスタンドオフが0.3mm程度の実装部品を接着するためには接着剤3の厚さはマスク1の厚さと合わせて0.3mm必要となる。つまりマスク1の他方表面1B上に塗布する接着剤3の厚さは0.1mm以上必要となる。またJEITAによれば、SOPやQFPには最大0.5mmのスタンドオフを持つパッケージの規格もある。この場合、0.5−0.2=0.3mmの厚さの接着剤3をマスク1の他方表面1B上に塗布する必要がある。この0.3mmに適当なマージンを加えて0.5mmの厚さの接着剤3をマスク1の他方表面1B上に塗布すれば、ほとんどの実装部品を接着することができると考えられる。以上より、スキージ6Aに設けた段差6aの大きさは0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
【0069】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における実装部品仮固定用接着剤の供給方法について図13〜図15を用いて説明する。
【0070】
図13を参照して、まず実施の形態1と同様、基板2として例えばプリント配線板が準備され、マスク1が基板2に位置合わせされた後にマスク1と基板2とが重ね合わされる。このマスク1は、実施の形態1のマスク1と同様、所望の接着剤供給位置に開口を設けた一定厚のスクリーン印刷版であり、互いに異なる平面積の複数のマスク開口部(貫通孔)1a1、1a2、1a3を有している。
【0071】
基板2とマスク1とを重ねた状態で、マスク1の他方表面1B上に実施の形態1と同様の接着剤3が載置される。この後、スキージ6Bが接着剤3をマスク1の他方表面1B側に押し付けながら移動する。
【0072】
この際に使用されるスキージ6Bは、スキージ6Bをマスク1へ押し付ける際にマスク1の他方表面1Bに対向する端部に、実施の形態1のような段差を有しておらずフラットである点において実施の形態1のスキージ6Aと異なる。
【0073】
実施の形態1では、段差6aを設けたスキージ6Aを用いることでマスク1の他方表面1B上に接着剤が残置されている。これに対して、本実施の形態では接着剤3の塗布時に段差のないスキージ6Bが図14および図15に示すように接着剤3上に乗り上げるように、スキージ6Bの硬さ、移動速度が適切に調整されている。これにより、図15に示すようにマスク1の他方表面1B上に接着剤3が所定の厚さで残置されるとともに、マスク開口部1a1、1a2、1a3内に接着剤3が充填される。
【0074】
つまり、接着剤3をスキージ6Bでマスク1へ押し付けながら塗布する際に、マスク1の他方表面1Bに対向するスキージ6Bの端部が接着剤3に乗り上げることでスキージ6Bとマスク1の他方表面1Bとの間に間隔が生じて、接着剤3がマスク1の他方表面1B上に残るのである。
【0075】
なおこれ以外の工程については実施の形態1の実装部品仮固定用接着剤の供給方法および半導体装置の製造方法とほぼ同じであるため、その説明は繰り返さない。また本実施の形態により製造される部品実装用基板および半導体装置の構成も実施の形態1の部品実装用基板および半導体装置の構成とほぼ同じであるため、その説明は繰り返さない。
【0076】
このような接着剤印刷工程においても、図4に示すように大きなマスク開口部1a1を設けた箇所ではFt>Fsであるためマスク1の厚さとマスク1上に残置した接着剤3の厚みとが合わさった厚みで接着剤部3aが形成される。また中程度のマスク開口部1a2を設けた箇所ではFt≒Fsなのでマスク開口部1a2に充填された接着剤3は転写されてもマスク1上に残置した接着剤3までは転写されずマスク1とほぼ同じ厚さの接着剤部3bが形成される。また小さなマスク開口部1a3ではFt<Fsであるためマスク開口部1a3に充填されている接着剤3自体が抜けずに、基板2の表面2Aに接する一部の接着剤3だけが転写されるため、マスク1の厚さ以下の接着剤部3cが形成される。
【0077】
次に、本実施の形態の実装部品仮固定用接着剤の供給方法で部品実装用基板を製造したときのマスク開口部の平面寸法(開口寸法)と接着剤部の仕上がり寸法(厚さ)との関係を調べた実験結果について図16を用いて説明する。
【0078】
この実験においては、例えば厚さ200μmのメタルマスク1、硬度70のウレタン剣スキージ6B、粘度380Pa・sでチクソ指数5の接着剤3を使用した。メタルマスク1の真円の平面形状を有するマスク開口部の開口寸法(直径)をφ0.3mmから0.1mmきざみでφ1.0mmまで変化させ、各開口寸法におけるメタルマスク1上に当該接着剤3を投入し、約170mm/secの速度でスキージ6Bを移動させて印刷し、転写した接着剤部の高さ(仕上がり寸法)を測定した。その結果を図16に示す。
【0079】
図16の結果から、開口寸法がφ0.3mmやφ0.4mmの小さなマスク開口部では50μm程度の厚さの接着剤部を印刷できた。φ0.5mmやφ0.6mmの中間のマスク開口部ではメタルマスク1の厚さ相当の200μm前後の厚さの接着剤部を印刷できた。またφ0.6mmを超える大きなマスク開口部では250μmから300μm前後の厚さの接着剤部を印刷できた。
【0080】
このように先に述べたメタルマスク1、スキージ6B、接着剤3、印刷条件において、角チップ部品のようにスタンドオフが十数μm程度の部品に対してはφ0.3mmないしφ0.4mmの小さなマスク開口部を用い、SOPやQFPなどスタンドオフが200μm程度の部品に対してはφ0.5mmやφ0.6mmの中間のマスク開口部を用い、さらにスタンドオフが大きい部品に対してはφ0.7mm以上の大きなマスク開口部を用いて印刷すれば、それぞれのスタンドオフに見合った高さの接着剤を一度の印刷工程で供給できることを本発明者らは見出した。
【0081】
またこの実験においては、Ft=Fsとなる点は開口寸法0.5mm〜0.6mmの範囲内に有ると考えられる。
【0082】
またこの実験結果から、マスク開口部の直径に対するマスク1の厚み(0.2mm)は、φ0.4mm以下の小さな直径の場合には0.5以上となり、φ0.7mm以上の大きな直径の場合には0.3未満となり、φ0.5〜φ0.6の中間の直径の場合には0.3以上0.5未満となることもわかった。このため図13に示すマスク開口部1a1、1a2、1a3の各々の平面形状が真円形状の場合には、マスク開口部1a1の直径に対するマスク1の厚みは0.3未満であることが好ましく、マスク開口部1a2の直径に対するマスク1の厚みは0.3以上0.5未満であることが好ましく、マスク開口部1a1の直径に対するマスク1の厚みは0.5以上であることが好ましい。
【0083】
また実施の形態1においても図16に示す結果と同様の結果が得られた。
このように本実施の形態においても、実施の形態1と同様に一度の印刷で、厚さの異なる実装部品仮固定用接着剤の供給を実現することができる。
【0084】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
1 マスク、1A 一方表面、1a1,1a2,1a3 マスク開口部、1B 他方表面、2 基板、2A 表面、2a 基材、2b プリント配線(導電部、パッド)、3 接着剤、3a,3b,3c,3d,3e 接着剤部、6A,6B スキージ、6a 段差、6a1 凹部、6a2 凸部、7 領域、10A,10B 実装部品、10a1,10b1 ボディ部、10a2,10b2 電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装部品をはんだ付けする前に、前記実装部品を前記基板に仮固定するための接着剤を前記基板に供給するための実装部品仮固定用接着剤の供給方法であって、
前記基板を準備する工程と、
互いに異なる平面積の複数の貫通孔を有するマスクの一方表面と前記基板の表面とを向かい合わせにして前記マスクと前記基板とを重ねる工程と、
前記基板と前記マスクとを重ねた状態で、複数の前記貫通孔のそれぞれの内部に充填して前記基板の前記表面に付着させるとともに前記マスクの他方表面上に残すように前記接着剤を供給する工程と、
前記接着剤を前記基板の表面に付着させた後に前記マスクを前記基板から分離することにより、前記接着剤から複数の接着剤部を前記基板の表面上に形成する工程とを備えた、実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項2】
前記基板の表面に形成された複数の前記接着剤部のうち平面積の大きな接着剤部は平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成される、請求項1に記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項3】
前記接着剤を供給する工程は、前記接着剤をスキージで前記マスクへ押し付けながら塗布する工程を含み、
前記スキージを前記マスクへ押し付ける際に前記マスクの前記他方表面に対向する前記スキージの端部が段差を有し、かつ前記段差により前記マスクの前記他方表面からの距離が小さい部分と距離が大きい部分とを有しており、
前記接着剤を供給する工程において、前記スキージの前記距離の大きい部分と前記マスクの前記他方表面との間で前記接着剤が前記マスクの前記他方表面上に残る、請求項1または2に記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項4】
前記接着剤を供給する工程は、前記接着剤をスキージで前記マスクへ押し付けながら塗布する工程を含み、
前記スキージを前記マスクへ押し付ける際に前記マスクの前記他方表面に対向する前記スキージの端部が前記接着剤に乗り上げて前記マスクの前記他方表面との間に間隔を有することにより、前記接着剤が前記マスクの前記他方表面上に残る、請求項1または2に記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項5】
前記マスクの前記基板の表面に向かい合う部分の前記一方表面は平坦である、請求項1〜4のいずれかに記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法により形成された複数の前記接着剤部の少なくとも1つに前記実装部品を仮固定する工程をさらに備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記実装部品を前記基板に仮固定した後、前記実装部品を前記基板にはんだ付けする工程をさらに備えた、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
実装部品を仮固定してはんだ付けするための部品実装用基板であって、
基板と、
前記基板の表面上に形成された、前記基板に前記実装部品を仮固定するための複数の接着剤部とを備え、
複数の前記接着剤部は、互いに異なる平面積を有し、かつ互いに異なる厚みを有している、部品実装用基板。
【請求項9】
前記基板の表面に形成された複数の接着剤部のうち平面積の大きな接着剤部は平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成されている、請求項8に記載の部品実装用基板。
【請求項10】
請求項8または9に記載の部品実装用基板と、
複数の前記接着剤部の各々によって前記基板に取り付けられた複数の実装部品とを備え、
複数の前記実装部品の各々は前記基板にはんだ付けされている、半導体装置。
【請求項1】
基板に実装部品をはんだ付けする前に、前記実装部品を前記基板に仮固定するための接着剤を前記基板に供給するための実装部品仮固定用接着剤の供給方法であって、
前記基板を準備する工程と、
互いに異なる平面積の複数の貫通孔を有するマスクの一方表面と前記基板の表面とを向かい合わせにして前記マスクと前記基板とを重ねる工程と、
前記基板と前記マスクとを重ねた状態で、複数の前記貫通孔のそれぞれの内部に充填して前記基板の前記表面に付着させるとともに前記マスクの他方表面上に残すように前記接着剤を供給する工程と、
前記接着剤を前記基板の表面に付着させた後に前記マスクを前記基板から分離することにより、前記接着剤から複数の接着剤部を前記基板の表面上に形成する工程とを備えた、実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項2】
前記基板の表面に形成された複数の前記接着剤部のうち平面積の大きな接着剤部は平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成される、請求項1に記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項3】
前記接着剤を供給する工程は、前記接着剤をスキージで前記マスクへ押し付けながら塗布する工程を含み、
前記スキージを前記マスクへ押し付ける際に前記マスクの前記他方表面に対向する前記スキージの端部が段差を有し、かつ前記段差により前記マスクの前記他方表面からの距離が小さい部分と距離が大きい部分とを有しており、
前記接着剤を供給する工程において、前記スキージの前記距離の大きい部分と前記マスクの前記他方表面との間で前記接着剤が前記マスクの前記他方表面上に残る、請求項1または2に記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項4】
前記接着剤を供給する工程は、前記接着剤をスキージで前記マスクへ押し付けながら塗布する工程を含み、
前記スキージを前記マスクへ押し付ける際に前記マスクの前記他方表面に対向する前記スキージの端部が前記接着剤に乗り上げて前記マスクの前記他方表面との間に間隔を有することにより、前記接着剤が前記マスクの前記他方表面上に残る、請求項1または2に記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項5】
前記マスクの前記基板の表面に向かい合う部分の前記一方表面は平坦である、請求項1〜4のいずれかに記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の実装部品仮固定用接着剤の供給方法により形成された複数の前記接着剤部の少なくとも1つに前記実装部品を仮固定する工程をさらに備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記実装部品を前記基板に仮固定した後、前記実装部品を前記基板にはんだ付けする工程をさらに備えた、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
実装部品を仮固定してはんだ付けするための部品実装用基板であって、
基板と、
前記基板の表面上に形成された、前記基板に前記実装部品を仮固定するための複数の接着剤部とを備え、
複数の前記接着剤部は、互いに異なる平面積を有し、かつ互いに異なる厚みを有している、部品実装用基板。
【請求項9】
前記基板の表面に形成された複数の接着剤部のうち平面積の大きな接着剤部は平面積の小さな接着剤部よりも厚く形成されている、請求項8に記載の部品実装用基板。
【請求項10】
請求項8または9に記載の部品実装用基板と、
複数の前記接着剤部の各々によって前記基板に取り付けられた複数の実装部品とを備え、
複数の前記実装部品の各々は前記基板にはんだ付けされている、半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−84795(P2012−84795A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231630(P2010−231630)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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