説明

室内照明装置

【課題】少ない可動部品で光源の光軸方向を調整可能にでき、また、光源保持体の後方の寸法を縮めてコンパクト化を図ることができる室内照明装置を提供すること。
【解決手段】光源5を支持した光源保持体7を球面同士の当接によりベゼル3のガイド面3bに旋回可能に支持させ、光源保持体7の旋回により光の照射方向を調整可能にしたことで、少ない可動部品で光源5の光軸方向を調整可能にでき、また、光源5への給電路に、球面状の光源側接続端子9と、この光源側接続端子9に対して摺動可能に弾性接触する電源側接続端子11とを介在させることで、光源保持体7の旋回時に給電線が振られることがなくなり、光源保持体7の後方の寸法を縮めてコンパクト化を図ることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源の光軸方向(光の照射方向)を調整可能な室内照明装置に関し、特に、コンパクト化が要求される車両用として好適な室内照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両では、運転席の上部のルーフ部等に、光源の光軸方向を調整可能な室内照明装置を装備したものがある。
図7〜図9は、光源の光軸方向を調整可能にした従来の照明装置の例を示している。
【0003】
図7に示した照明装置101は、下記特許文献1に開示されたもので、光源(バルブ)103を保持した光源保持体105の外周部に球殻状のガイド壁105aを設ける一方、車両の内装部材(トリム)107に固定されるベゼル109には前記ガイド壁105aが摺動自在に嵌合する球面状のガイド面109aを設けたもので、ガイド面109a内の光源保持体105を旋回動作させることにより、光軸CLの方向を変えることができるようになっている。
【0004】
この照明装置101では、ガイド面109aは、半球状よりも大きな球面になっている。また、光源103への給電は、ガイド面109aの後方の開口部109bから挿入された電源ケーブルを光源103に接続することにより実現する。
【0005】
図8に示した照明装置121は、下記特許文献2に開示されたもので、光源(バルブ)123を保持した光源保持体125の外周面125aを球面状に形成する一方、内装部材127に固定されるベゼル129には前記外周面125aが摺動自在に嵌合する球面状のガイド面129aを設けたもので、ガイド面129a内の光源保持体125を旋回動作させることにより、光軸CLの方向を変えることができるようになっている。
【0006】
この照明装置121の場合も、外周面125aやガイド面129aは、半球状よりも大きな略全球状の球面になっている。また、光源123への給電は、ガイド面129aの後方の開口部129bから挿入された電源ケーブル131を光源123に接続することにより実現している。
【0007】
図9に示した照明装置141は、下記特許文献3に開示されたもので、光源143を保持した光源保持体145を、図のX方向に回動自在に支持する第1の回転支持機構146と、前記X方向と直交するY方向に回動自在に支持する第2の回転支持機構147とを介して、基台148に結合したもので、前述のX方向及びY方向へ光源保持体145を回動させることで、光軸CLの方向を変えることができるようになっている。
【0008】
この照明装置141の場合、各回転支持機構における回転軸と、この回転軸を軸支する軸受部とが導電体で形成されていて、これらの軸支部が光源143への給電路として利用されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−125868号公報
【特許文献2】特開2005−306270号公報
【特許文献3】特開2002−163922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、図9に示したように、二つの回転支持機構146,147により光源143の光軸CLを可動にする構成は、可動部を構成する機構部品が多く必要になり、構成部品の増大がコストアップを招くという問題が生じた。
【0011】
これに対して、図7や図8に示した照明装置101,121のように、球面同士の嵌合部における摺動動作で光源103,123の光軸を可動にしたものは、可動部を構成する機構部品の数量を少なく抑えることができる。
【0012】
しかし、図7や図8に示した従来の照明装置101,121の場合は、球面状のガイド面109a,129aを半球状よりも大きな球面にしていて、これらの球面状のガイド面109a,129a内に光源保持体105の全体が完全に収容されてしまう構造のため、ガイド面109a,129aを提供するベゼル109,129は、複数の分割構造にしなければならず、ベゼル109,129の構造が複雑化するという問題が生じた。
【0013】
さらに、図7や図8に示した従来の照明装置101,121の場合は、光源103,123には、ベゼル109の後方の開口から引き込まれた給電線が接続されていて、光軸調整時には、光源103,123の旋回動作に伴って給電線が振られるため、光源103,123に接続される給電線に、光源103,123の旋回動作を許容するための余長を付与すると同時に、給電線の余長を収容するスペースを、光源保持体105,125の後方に確保しておく必要があり、光源保持体105の後方部分の寸法を縮めることが難しく、例えば、設置スペースが限られる車両用室内照明装置に要求されているコンパクト化に応えることが難しいという問題があった。
【0014】
本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、比較的に少ない可動部品で光源の光軸方向を調整可能にでき、また、光源保持体の後方の寸法を縮めてコンパクト化を図ることができ、設置スペースが限られる車両用室内照明装置に要求されているコンパクト化にも適した室内照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 照明光出射用の開口とこの開口の後方側に曲率中心を持ち前記開口の周囲に連絡する球面状のガイド面とを形成され室内の内装部材に固定されるベゼルと、
前記ガイド面に摺動可能に当接する球殻状のガイド壁が周囲に形成されると共に中心部には光源が配備されて、前記ガイド面上での前記ガイド壁の摺動による旋回動作によって前記光源の光軸方向を変更可能な光源保持体と、
前記ガイド壁の球面状の裏面に積層形成されて前記光源に導通接続された略球面状の光源側接続端子と、
前記光源側接続端子に対して摺動可能に弾性接触するように前記ベゼルの背面に固定されると共に電源回路に導通接続される電源側接続端子と、
を備えたことを特徴とする室内照明装置。
【0016】
(2) 前記電源側接続端子として、金属板のプレス成形により所定形状に形成されたバスバーが使用され、該電源側接続端子の前記光源側接続端子との接触部は周囲よりも隆起した突起形状に成形されていることを特徴とする前記(1)に記載の室内照明装置。
【0017】
(3) 前記電源側接続端子が前記光源側接続端子に当接する弾性接触力が、前記光源側接続端子を有した前記光源保持体を前記ガイド面に押圧する付勢力としても作用し、前記電源側接続端子が前記光源保持体を前記ガイド面に摺動自在に支える支持部材を兼ねていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の室内照明装置。
【0018】
(4) 照明光出射用の開口とこの開口の後方側に曲率中心を持ち前記開口の周囲に連絡する球面状のガイド面とを備えて室内の内装部材に固定されるベゼルと、
前記ガイド面の表面に球面状に積層形成されると共に電源回路に接続される電源側接続端子と、
中心部に光源を支持して前記ガイド面が形成する凹部の内側に旋回自在に配置されて旋回動作によって前記光源の光軸方向を変更可能な光源保持体と、
基端側が前記光源に導通接続されると共に先端側が前記光源保持体の外周面上に位置するように前記光源保持体に設けられて、前記光源保持体の外周面上に位置した先端側が前記球面状の電源側接続端子に摺動可能に弾性接触する光源側接続端子と、
前記光源保持体を旋回自在に、且つ前記光源側接続端子の先端側が前記電源側接続端子に対して摺動可能に弾性接触した状態を維持するように、前記光源保持体を前記開口側に押圧付勢する付勢手段と、
を備え、
たことを特徴とする室内照明装置。
【0019】
(5) 前記ベゼルに装備される球面状のガイド面が、半球状以下の小さな部分的球面に形成されていることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の室内照明装置。
【0020】
上記(1)の構成によれば、光源の光軸方向の調整に必要な光源保持体の旋回動作は、光源保持体とベゼルとの間の球面同士の摺動可能な当接により実現しているため、直交する2軸に対して回動可能に2つの回転支持機構を組み込むような構成を採用する場合と比較して、少ない可動部品で光源の光軸方向を調整可能にでき、部品点数の削減により照明装置のコスト低減を図ることができる。
【0021】
また、光源への給電路には、光源側の球面状の端子と、この光源側の端子に対して摺動可能に弾性接触する電源側の接続端子とを介在させることで、光源保持体の旋回時に給電線が振られることがなくなる。そのため、光源への給電のためにベゼル内に引き込まれる給電線に光源保持体の旋回動作を許容するための余長を付与する必要がなくなると同時に、給電線の余長を収容するための大きなスペースを光源保持体の後方に装備する必要もなくなる。
【0022】
従って、光源保持体の後方の寸法を縮めて装置のコンパクト化を図ることができ、設置スペースが限られる車両用室内照明装置に要求されているコンパクト化にも応えやすい。
【0023】
上記(2)の構成によれば、バスバーを使用した電源側接続端子は、金属板のばね性を利用する板ばね構造にすることで、光源側接続端子に対して安定した弾性接触の確保が容易になると共に、機械的な強度を確保することが容易になり、電気的な接続特性を向上させることができる。
【0024】
また、バスバーの光源側接続端子との接触部を周囲よりも隆起した突起形状に成形したことで、バスバーと光源側接続端子との間の摺動抵抗を抑えて、光源保持体の旋回操作を容易にすることができる。
【0025】
上記(3)の構成によれば、電源側接続端子が、光源保持体をガイド面に摺動自在に支える支持部材を兼ねるため、光源保持体をガイド面に摺動自在に支える専用の支持部材が不要で、構成部品の低減を図ることができる。また、回路部品である電源側接続端子の組み付けによって、光源保持体のガイド面への固定作業が完了するため、組み立て作業を軽減することもできる。
【0026】
なお、電源側接続端子を支持部材に兼用するには、電源側接続端子に機械的な強度を確保することが必要で、上記(2)に記載のように、電源側接続端子にバスバーを使用することが有効である。
【0027】
上記(4)の構成によれば、光源の光軸方向の調整に必要な光源保持体の旋回動作は、光源保持体がベゼルの球面状のガイド面に沿って旋回することで実現しているため、直交する2軸に対して回動可能に2つの回転支持機構を組み込むような構成を採用する場合と比較して、少ない可動部品で光源の光軸方向を調整可能にでき、上記(1)に記載した室内照明装置の場合と同様に、部品点数の削減により照明装置のコスト低減を図ることができる。
【0028】
また、光源への給電路には、球面状の電源側接続端子と、この電源側接続端子に対して摺動可能に弾性接触する光源側接続端子とを介在させることで、光源保持体の旋回時に給電線が振られることがなくなる。そのため、光源への給電のためにベゼル内に引き込まれる給電線に光源保持体の旋回動作を許容するための余長を付与する必要がなくなると同時に、給電線の余長を収容するための大きなスペースを光源保持体の後方に装備する必要もなくなる。
【0029】
従って、光源保持体の後方の寸法を縮めて装置のコンパクト化を図ることができ、設置スペースが限られる車両用室内照明装置に要求されているコンパクト化にも応えやすい。
【0030】
上記(5)の構成によれば、球面状のガイド面を半球状よりも大きな球面とした場合に生じていた問題(即ち、ガイド面内に光源保持体を組み込むためにガイド面を有するベゼルを複数の分割構造にしなければならないという問題)が解消され、ベゼルを単一部品に形成して、部品点数の増大を抑制することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明による室内照明装置によれば、光源の光軸方向の調整に必要な光源保持体の旋回動作は、光源保持体がベゼルの球面状のガイド面に沿って旋回することで実現しているため、直交する2軸に対して回動可能に2つの回転支持機構を組み込むような構成を採用する場合と比較して、少ない可動部品で光源の光軸方向を調整可能にでき、部品点数の削減により照明装置のコスト低減を図ることができる。
【0032】
また、光源への給電路には、球面状に形成された一方の接続端子と、この一方の接続端子に対して摺動可能に弾性接触する他方の接続端子とを介在させているため、光源保持体の旋回時に給電線が振られることがなくなる。そのため、光源への給電のためにベゼル内に引き込まれる給電線に光源保持体の旋回動作を許容するための余長を付与する必要がなくなると同時に、給電線の余長を収容するための大きなスペースを光源保持体の後方に装備する必要もなくなる。
【0033】
従って、光源保持体の後方の寸法を縮めて装置のコンパクト化を図ることができ、設置スペースが限られる車両用室内照明装置に要求されているコンパクト化にも応えやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る室内照明装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1は本発明に係る室内照明装置の第1実施形態の縦断面図、図2は図1のB矢視図、図3は図1の要部の拡大図、図4は図3に示した電源側接続端子に使用される端子板の説明図である。
【0036】
この第1実施形態の室内照明装置1は、車両のドアや天井等に室内灯として取り付けられるもので、車両のドアや天井等の内装部材に固定されるベゼル3と、このベゼル3に取り付けられると共に中心部に光源(電球)5が装着される光源保持体7と、光源5への給電回路として装備される光源側接続端子9及び電源側接続端子11とを備えている。
【0037】
ベゼル3は、照明光出射用の開口3aと、この開口3aの後方側に曲率中心を持ち開口3aの周囲に連絡する球面状のガイド面3bとを備えている。
【0038】
光源保持体7は、ガイド面3bに摺動可能に当接する球殻状のガイド壁7aが周囲に形成されると共に、中心部には光源5が装着される光源装着部7bが窪んで形成されている。また、光源装着部7bの前面部には、光源5の前方を覆って照明光の拡散や集光を調整するためのレンズ14が装備されている。
【0039】
以上の構造の光源保持体7は、ガイド壁7aがベゼル3のガイド面3bに当接するようにベゼル3の内側に組み付けられて、ガイド面3b上でのガイド壁7aの摺動により、図1に矢印Aで示す旋回動作が可能になる。この旋回動作をさせることによって、光源5の光軸方向を任意方向に変更可能である。
【0040】
光源側接続端子9は、図2にも示すように、ガイド壁7aの球面状の裏面に積層形成された一対の略球面状の端子9a,9bと、これらの球面状端子9a,9bを光源5の+極,−極に導通接続する一対のリード端子9c,9dとから構成されている。
【0041】
略球面状の端子9a,9bは、ガイド壁7aの裏面の球面を、略2分割する円弧板状に設けられている。端子9aと端子9bとの間は離間している。
【0042】
電源側接続端子11は、図3にも示しているように、光源側接続端子9に対して摺動可能に弾性接触するようにベゼル3の背面に固定される一対の摺動接続端子11a,11bと、これらの摺動接続端子11a,11bを電源回路に導通接続するリード線11c,11dとから構成されている。
【0043】
各摺動接続端子11a,11bの装備位置は、図2に示すように、初期位置にある略球面状の端子9a,9bの周方向の中央で当接するように、設定されている。
【0044】
摺動接続端子11a,11bは、金属板のプレス成形により板ばね状に形成したもので、図4に示すように、光源側接続端子9との接触部は周囲よりも隆起した突起形状13に成形されている。
【0045】
また、この摺動接続端子11a,11bは、ベゼル3の裏面に着脱可能に取り付けられる樹脂製支持片15により、突起形状13が略球面状の端子9a,9bに接触した状態となるように、支持されている。
【0046】
樹脂製支持片15は、図3に示すように、ベゼル3のガイド面3bを有した隆起部3cの外周囲から起立するようにベゼル3に固定された基端柱部15aと、この基端柱部15aから隆起部3cの外周部の上を跨いで略球面状の端子9a,9bに対向する位置まで延出した端子支持部15bとを具備した構造で、端子支持部15bに摺動接続端子11a,11bが固定されている。
【0047】
なお、本実施形態では、電源側接続端子11の摺動接続端子11a,11bが光源側接続端子9の略球面状の端子9a,9bに当接する弾性接触力が、光源側接続端子9を有した光源保持体7をガイド面3bに押圧する節度用の付勢力としても作用し、電源側接続端子11が光源保持体7をガイド面3bに節度感を持って摺動自在に支える支持部材を兼ねている。
【0048】
以上の樹脂製支持片15,16は、ベゼル3のガイド面3bによる凹みに光源保持体7を装着した後で、ベゼル3の裏面に取り付けられる。また、樹脂製支持片15,16を取り付けた後に、電源側接続端子11が樹脂製支持片15に取り付けられる。
【0049】
また、本実施形態では、図2に示したように、光源保持体7をガイド面3bに安定して支えるために、隆起部3cの外周部の4箇所に、樹脂製支持片16を装備している。
【0050】
これらの樹脂製支持片16は、樹脂製支持片15と同様な構造で、隆起部3cの外周部の上を跨いで略球面状の端子9a,9bに対向する位置まで延出した部位が略球面状の端子9a,9bをガイド面3b側に押圧して、光源保持体7をガイド面3bに摺動自在に支える。
【0051】
また、本実施形態の場合、ベゼル3に装備される球面状のガイド面3bや、光源保持体7のガイド壁7aは、いずれも、半球状以下の小さな部分的球面に形成されている。
【0052】
そのため、ベゼル3は周方向に分割する構造としなくても、光源保持体7をベゼル3の背部側からガイド面3bに装着することができる。
【0053】
以上に説明した第1実施形態の室内照明装置1では、光源5の光軸方向の調整に必要な光源保持体7の旋回動作は、光源保持体7とベゼル3との間の球面同士の摺動可能な当接により実現しているため、直交する2軸に対して回動可能に2つの回転支持機構を組み込むような構成を採用する場合と比較して、少ない可動部品で光源5の光軸方向を調整可能にでき、部品点数の削減により照明装置のコスト低減を図ることができる。
【0054】
また、光源5への給電路には、光源側の球面状の端子9a,9bと、この光源側の端子9a,9bに対して摺動可能に弾性接触する電源側の摺動接続端子11a,11bとを介在させることで、光源保持体7の旋回時に給電線が振られることがなくなる。そのため、光源5への給電のためにベゼル3内に引き込まれる給電線に光源保持体7の旋回動作を許容するための余長を付与する必要がなくなると同時に、給電線の余長を収容するための大きなスペースを光源保持体7の後方に装備する必要もなくなる。
【0055】
従って、光源保持体7の後方の寸法を縮めて装置のコンパクト化を図ることができ、設置スペースが限られる車両用室内照明装置に要求されているコンパクト化にも応えやすい。
【0056】
また、本実施形態の室内照明装置1では、電源側接続端子11が光源保持体7をガイド面3bに摺動自在に支える支持部材を兼ねている。
【0057】
そのため、光源保持体7をガイド面3bに摺動自在に支える専用の支持部材を低減することができ、構成部品の低減を図ることができる。また、回路部品である電源側接続端子11の組み付けによって、光源保持体7のガイド面3bへの固定作業が完了するため、組み立て作業を軽減することもできる。
【0058】
更に、本実施形態の室内照明装置1では、ベゼル3に装備される球面状のガイド面3bが、半球状以下の小さな部分的球面に形成されている。
【0059】
そのため、球面状のガイド面3bを半球状よりも大きな球面とした場合に生じていた問題(即ち、ガイド面3b内に光源保持体7を組み込むためにガイド面3bを有するベゼル3を複数の分割構造にしなければならないという問題)が解消され、ベゼル3を単一部品に形成して、部品点数の増大を抑制することができる。
【0060】
図5は、発明に係る室内照明装置の第2実施形態の縦断面図である。
ここに示した室内照明装置1Aは、図1に示した室内照明装置1の電源側接続端子11の代わりに、金属板のプレス成形により所定形状に形成されたバスバー11Aを使用したもので、それ以外の構成は第1実施形態と共通で良い。
第1実施形態と共通の構成には同番号を付して、説明を省略する。
【0061】
バスバー11Aは、ベゼル3の裏面に着脱可能に装着される樹脂製支持片15Aに突出形成されたボス部21や、ベゼル3の裏面に突出形成されたボス部23との嵌合で、ベゼル3の裏面側に固定されている。
【0062】
また、光源保持体7のガイド壁7aの裏面に装備された略球面状の端子9a,9bに摺動可能に弾性接触するバスバー11Aの接触部は図4に示した端子形状と同様に、周囲よりも隆起した突起形状に成形されている。
【0063】
このように電源側接続端子として使用されるバスバー11Aは、金属板のばね性を利用する板ばね構造にすることで、光源側接続端子9に対して安定した弾性接触の確保が容易になると共に、機械的な強度を確保することが容易になり、電気的な接続特性を向上させることができる。
【0064】
また、バスバー11Aの光源側接続端子9との接触部を周囲よりも隆起した突起形状に成形したことで、バスバー11Aと光源側接続端子9との間の摺動抵抗を抑えて、光源保持体7の旋回操作を容易にすることができる。
【0065】
図6は本発明に係る室内照明装置の第3実施形態の縦断面図である。
ここに示した室内照明装置1Bも、車両のドアや天井等に室内灯として取り付けられるもので、車両のドアや天井等の内装部材に固定されるベゼル3と、このベゼル3に取り付けられる電源側接続端子11Bと、前記ベゼル3内に取り付けられると共に中心部に光源5が装着される光源保持体7Bと、この光源保持体7Bに取り付けられる光源側接続端子9Bと、光源保持体7Bをベゼル3に弾性支持する付勢手段25とを備えている。
【0066】
ベゼル3は、第1実施形態のものと同様な構成で、照明光出射用の開口3aと、この開口3aの後方側に曲率中心を持ち開口3aの周囲に連絡する球面状のガイド面3bとを備えている。
【0067】
電源側接続端子11Bは、ガイド面3bの表面に球面状に積層形成される球面状端子部31a,31bと、この球面状端子部31a,31bに連設されて電源回路に接続される電源接続部32a,32bとを有した構成で、球面状端子部31a,31bは図2に示した略球面状の端子9a,9bと同様の形態に形成されている。
【0068】
電源側接続端子11Bは、金属板のプレス成形により形成されるバスバーを使用しても良い。
【0069】
光源保持体7Bは、中心部に光源5を支持する有底円筒状の光源装着部41と、この光源装着部41の前縁から後方に延出する球殻状の端子支持部42とを備えて、ガイド面3bが形成する凹部の内側に旋回自在に配置されて、旋回動作によって光源5の光軸方向を変更する。
【0070】
光源側接続端子9Bは、端子支持部42の内側に配設されて基端側が前記光源5に導通接続される光源側回路部51a,51bと、これらの光源側回路部51a,51bの先端から延出して先端が端子支持部42の外周面上に位置するように端子支持部42の外周面に配置される摺接用回路部52a,52bとを備えている。
【0071】
そして、端子支持部42の外周面上に位置した摺接用回路部52a,52bの先端側には、球面状端子部31a,31b側に突出した隆起部54が形成されていて、この隆起部54が電源側接続端子11Bの球面状端子部31a,31bに摺動可能に弾性接触している。
【0072】
付勢手段25は、例えば圧縮コイルばねで、光源保持体7Bの背面側に配置されて、光源保持体7Bを旋回自在に、且つ前記光源側接続端子9Bの先端側の隆起部54が前記電源側接続端子11Bの球面状端子部31a,31bに対して摺動可能に弾性接触した状態を維持するように、光源保持体7Bを開口3a側に押圧付勢している。
【0073】
付勢手段25は、ベゼル3の背面に固定される押さえ板55により、位置決め固定されている。
【0074】
この第3実施形態の室内照明装置1Bの構成では、光源5の光軸方向の調整に必要な光源保持体7Bの旋回動作は、光源保持体7Bがベゼル3の球面状のガイド面3bに沿って旋回することで実現しているため、直交する2軸に対して回動可能に2つの回転支持機構を組み込むような構成を採用する場合と比較して、少ない可動部品で光源5の光軸方向を調整可能にでき、第1実施形態の室内照明装置1の場合と同様に、部品点数の削減により照明装置のコスト低減を図ることができる。
【0075】
また、光源5への給電路には、電源側接続端子11Bの球面状端子部31a,31bと、これらの球面状端子部31a,31bに対して摺動可能に弾性接触する光源側接続端子9Bの摺接用回路部52a,52bとを介在させることで、光源保持体7Bの旋回時に給電線が振られることがなくなる。
【0076】
そのため、光源5への給電のためにベゼル3内に引き込まれる給電線に光源保持体7Bの旋回動作を許容するための余長を付与する必要がなくなると同時に、給電線の余長を収容するための大きなスペースを光源保持体7Bの後方に装備する必要もなくなる。
【0077】
従って、第1実施形態の室内照明装置1の場合と同様に、光源保持体7Bの後方の寸法を縮めて装置のコンパクト化を図ることができ、設置スペースが限られる車両用室内照明装置1に要求されているコンパクト化にも応えやすい。
【0078】
なお、本発明の室内照明装置の用途は、車両用に限定されない。例えば、家屋等において、室内の内装壁に埋め込み装備される照明装置としても使用可能である。
【0079】
また、光源への給電のために配置され光源側接続端子や電源側接続端子の取り付け位置や、装備数量、形状等は、上記実施形態に限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に設計変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係る室内照明装置の第1実施形態の縦断面図である。
【図2】図1のB矢視図である。
【図3】図1の要部の拡大図である。
【図4】図3に示した電源側接続端子に使用される端子板の説明図である。
【図5】本発明に係る室内照明装置の第2実施形態の縦断面図である。
【図6】本発明に係る室内照明装置の第3実施形態の縦断面図である。
【図7】従来の室内照明装置の第1の例の縦断面図である。
【図8】従来の室内照明装置の第2の例の縦断面図である。
【図9】従来の室内照明装置の第3の例の斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1,1A,1B 室内照明装置
3 ベゼル
3a 開口
3b ガイド面
5 光源
7,7B 光源保持体
7a ガイド壁
7b 光源装着部
9,9B 光源側接続端子
9a,9b 略球面状の端子
11 電源側接続端子
11A 電源側接続端子(バスバー)
11B 電源側接続端子(バスバー)
11a,11b 摺動接続端子
11c,11d リード線
13 突起形状
15,16 樹脂製支持片
21、23 ボス部
31a,31b 球面状端子部
32a,32b 電源接続部
51a,51b 光源側回路部
52a,52b 摺接用回路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光出射用の開口とこの開口の後方側に曲率中心を持ち前記開口の周囲に連絡する球面状のガイド面とを形成され室内の内装部材に固定されるベゼルと、
前記ガイド面に摺動可能に当接する球殻状のガイド壁が周囲に形成されると共に中心部には光源が配備されて、前記ガイド面上での前記ガイド壁の摺動による旋回動作によって前記光源の光軸方向を変更可能な光源保持体と、
前記ガイド壁の球面状の裏面に積層形成されて前記光源に導通接続された略球面状の光源側接続端子と、
前記光源側接続端子に対して摺動可能に弾性接触するように前記ベゼルの背面に固定されると共に電源回路に導通接続される電源側接続端子と、
を備えたことを特徴とする室内照明装置。
【請求項2】
前記電源側接続端子として、金属板のプレス成形により所定形状に形成されたバスバーが使用され、該電源側接続端子の前記光源側接続端子との接触部は周囲よりも隆起した突起形状に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の室内照明装置。
【請求項3】
前記電源側接続端子が前記光源側接続端子に当接する弾性接触力が、前記光源側接続端子を有した前記光源保持体を前記ガイド面に押圧する付勢力としても作用し、前記電源側接続端子が前記光源保持体を前記ガイド面に摺動自在に支える支持部材を兼ねていることを特徴とする請求項1又は2に記載の室内照明装置。
【請求項4】
照明光出射用の開口とこの開口の後方側に曲率中心を持ち前記開口の周囲に連絡する球面状のガイド面とを備えて室内の内装部材に固定されるベゼルと、
前記ガイド面の表面に球面状に積層形成されると共に電源回路に接続される電源側接続端子と、
中心部に光源を支持して前記ガイド面が形成する凹部の内側に旋回自在に配置されて旋回動作によって前記光源の光軸方向を変更可能な光源保持体と、
基端側が前記光源に導通接続されると共に先端側が前記光源保持体の外周面上に位置するように前記光源保持体に設けられて、前記光源保持体の外周面上に位置した先端側が前記球面状の電源側接続端子に摺動可能に弾性接触する光源側接続端子と、
前記光源保持体を旋回自在に、且つ前記光源側接続端子の先端側が前記電源側接続端子に対して摺動可能に弾性接触した状態を維持するように、前記光源保持体を前記開口側に押圧付勢する付勢手段と、
を備え、
たことを特徴とする室内照明装置。
【請求項5】
前記ベゼルに装備される球面状のガイド面が、半球状以下の小さな部分的球面に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の室内照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−286167(P2009−286167A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137881(P2008−137881)
【出願日】平成20年5月27日(2008.5.27)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】