説明

容器の耐腐食性を向上させるためのケイ素を含有する組成物の使用

クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される、機器をコーティングするための材料としてのまたは機器の構成材料としての、ケイ素、酸素およびカルシウムを含む組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、その内容が参照により本明細書に援用される、2007年10月2日出願の米国仮特許出願第60/976845号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ケイ素(Si)および酸素を含有する組成物の機器での使用に関する。より具体的には、本組成物は、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される機器で使用される。
【背景技術】
【0003】
クロロヒドリンは、エポキシドの製造における反応中間体である。ジクロロプロパノールは、例えば、エピクロロヒドリンおよびエポキシ樹脂の製造の反応中間体である((非特許文献1))。
【0004】
公知の方法によれば、ジクロロプロパノールは、塩化アリルの次亜塩素酸化によって、アリルアルコールの塩素化によってまたはグリセロールの塩化水素処理によってとりわけ得ることができる。後者の方法は、ジクロロプロパノールを化石原料または再生可能な原料から出発して得ることができるという利点を示し、化石原料の起源である石油天然資源、例えば、地球上で利用可能な石油、天然ガスまたは石炭が限定されていることは知られている。後者の方法は、クロロヒドリン、水および塩化水素の混合物を生み出す。
【0005】
SOLVAY SAの国際出願(特許文献1)および(特許文献2)と(特許文献3)とは、グリセロールと塩化水素との反応によるジクロロプロパノールの製造方法を記載している。幾つかの耐腐食性材料が、この方法に使用される機器の製造のために挙げられている。しかしながら、それらの材料の幾つかは、最適ではないプロセス条件において反応混合物による腐食に対して耐性を有する。これは、機器材料成分によるプロセス生成物の汚染のリスクをもたらし、それ故プロセスの経済性に負の影響を及ぼし得る機器の交換を必要とするであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/054167号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/100317号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/020234号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology(カーク−オスマー化学技術事典)、第4版、1992年、Vol.2、156ページ、John Wiley & sons Inc.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、この問題を解決することを目標としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1実施形態では、本発明はそれ故、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される、機器をコーティングするための材料としてのまたは機器の構成材料としての、ケイ素が組成物の1kg当たり235g以上のSiの量で存在し、カルシウムが組成物の1kg当たり25g以下のCaの量で存在する、ケイ素、酸素およびカルシウムを含む組成物の使用に関する。
【0010】
第2実施形態では、本発明はそれ故、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される、機器をコーティングするための材料としてのまたは機器の構成材料としての、ケイ素が組成物の1kg当たり235g以上のSiの量で存在し、カリウムが組成物の1kg当たり4g以上のKの量で存在する、ケイ素、酸素およびカリウムを含む組成物の使用に関する。
【0011】
第3実施形態では、本発明はそれ故、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される、機器をコーティングするための材料としてのまたは機器の構成材料としての、ケイ素が組成物の1kg当たり235g以上のSiの量で存在し、チタンが組成物の1kg当たり10g以下のTiの量で存在する、ケイ素、酸素およびチタンを含む組成物の使用に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】上の図は、実施例2の試験後のエナメル組成物6の機器部品の写真であり、下の図は、図1の上の図のエリア(c)拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明による使用において、組成物は、有機組成物であっても無機組成物であってもよい。組成物は好ましくは無機組成物である。
【0014】
本発明による使用において、組成物は任意の物理的状態にあってもよい。それは好ましくはガラス状態にある。ガラス状態とは、剛性非結晶状態を意味することが意図される。幾つかのエナメルは、ガラス状態の無機組成物の例である。エナメルとは、主として酸化ケイ素を含有する溶融ガラス質表面コーティングを意味することが意図される。
【0015】
本発明による使用において、組成物は好ましくはエナメルである。
【0016】
本発明の第1実施形態の本質的な特性の一つは、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物によって腐食する傾向を少なくする、組成物中のカルシウムの低い含有率にある。
【0017】
本発明の第2実施形態の本質的な特性の一つは、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物によって腐食する傾向を少なくする、組成物中のカリウムの高い含有率にある。
【0018】
本発明の第3実施形態の本質的な特性の一つは、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物によって腐食する傾向を少なくする、組成物中のチタンの低い含有率にある。
【0019】
上記の組成物は、その腐食性が水およびクロロヒドリンのみを含有する混合物の腐食性より高いことが意外にも分かった、クロロヒドリン、水および塩化水素を含有する混合物による腐食に対して非常に耐性があることが本当に意外にも分かった。
【0020】
本発明による使用の利点は、何よりも、
・機器の交換の頻度の減少
・機器破損および漏洩に関係するリスクの低下
・機器材料成分によるプロセス製品の汚染の減少
である。
【0021】
本発明による使用の3つの実施形態では、組成物の1kg当たりの、組成物のケイ素含有率は、頻繁に275g以上のSi、しばしば300g以上のSi、多くの場合320g以上のSiである。当該ケイ素含有率は、一般に400g以下のSi、頻繁に350g以下のSi、しばしば335g以下のSiである。
【0022】
本発明による使用の第1実施形態では、組成物の1kg当たりの、組成物のカルシウム含有率は、頻繁に20g以下のCa、しばしば15g以下のCaである。当該含有率は、頻繁に0.1g以上のCa、しばしば1g以上のCa、多くの場合5g以上のCa、とりわけ10g以上のCaである。
【0023】
本発明による使用の第1実施形態の第1変形では、組成物はカリウムをさらに含んでもよい。組成物の1kg当たりの、組成物のカリウム含有率は、一般に0.1g以上のK、しばしば1g以上のK、多くの場合4g以上のK、頻繁に10g以上のKである。当該カリウム含有率は、通常60g以下のK、しばしば50g以下のK、多くの場合30g以下のK、頻繁に25g以下のKである。
【0024】
本発明による使用の第1実施形態の第2変形では、組成物はチタンをさらに含んでもよい。組成物の1kg当たりの、組成物のチタン含有率は、一般に0.1g以上のTi、しばしば1g以上のTi、多くの場合4g以上のTi、頻繁に6g以上のTiである。当該チタン含有率は、通常60g以下のTi、一般に40g以下のTi、しばしば20g以下のTi、多くの場合10g以下のTi、頻繁に8g以下のTiである。
【0025】
本発明による使用の第1実施形態の第3変形では、組成物はしばしば、組成物の1kg当たり、300g以上のSの量でケイ素、25g以下のCaの量でカルシウム、および4g以上のKの量でカリウムを含有する。
【0026】
本発明による使用の第1実施形態の第4変形では、組成物は頻繁に、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、25g以下のCaの量でカルシウム、および10g以下のTiの量でチタンを含有する。
【0027】
本発明による使用の第1実施形態の第5変形では、組成物はしばしば、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、25g以下のCaの量でカルシウム、4g以上のKの量でカリウム、および10g以下のTiの量でチタンを含有する。
【0028】
本発明による使用の第2実施形態では、組成物の1kg当たりの、組成物のカリウム含有率は、しばしば6g以上のK、多くの場合8g以上のK、頻繁に12g以上のKである。当該カリウム含有率は、通常60g以下のK、しばしば50g以下のK、多くの場合30g以下のK、頻繁に25g以下のKである。
【0029】
本発明による使用の第2実施形態の第1変形では、組成物は、カルシウムをさらに含んでもよい。組成物の1kg当たりの、組成物のカルシウム含有率は、通常50g以下のCa、しばしば25g以下のCa、多くの場合15g以下のCaである。当該含有率は、頻繁に0.1g以上のCa、しばしば1g以上のCa、多くの場合5g以上のCa、とりわけ10g以上のCaである。
【0030】
本発明による使用の第2実施形態の第2変形では、組成物は、チタンをさらに含んでもよい。組成物の1kg当たりの、組成物のチタン含有率は、一般に0.1g以上のTi、しばしば1g以上のTi、多くの場合4g以上のTi、頻繁に6g以上のTiである。当該チタン含有率は、通常60g以下のTi、一般に40g以下のTi、しばしば20g以下のTi、多くの場合10g以下のTi、頻繁に8g以下のTiである。
【0031】
第1実施形態の第3変形と同一である本発明による使用の第2実施形態の第3変形では、組成物はしばしば、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、4g以上のKの量でカリウム、および25g以下のCaの量でカルシウムを含有する。
【0032】
本発明による使用の第2実施形態の第4変形では、組成物は頻繁に、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、4g以上のKの量でカリウム、および10g以下のTiの量でチタンを含有する。
【0033】
第1実施形態の第5変形と同一である本発明による使用の第2実施形態の第5変形では、組成物はしばしば、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、4g以上のKの量でカリウム、25g以下のCaの量でカルシウム、および10g以下のTiの量でチタンを含有する。
【0034】
本発明による使用の第3実施形態では、組成物の1kg当たりの、組成物のチタン含有率は、一般に0.1g以上のTi、しばしば1g以上のTi、多くの場合4g以上のTi、頻繁に5g以上のTiである。当該チタン含有率は、しばしば8g以下のTi、多くの場合6g以下のTiである。
【0035】
本発明による使用の第3実施形態の第1変形では、組成物はカリウムをさらに含んでもよい。組成物の1kg当たりの、組成物のカリウム含有率は、一般に0.1g以上のK、しばしば1g以上のK、多くの場合4g以上のK、頻繁に10g以上のKである。当該カリウム含有率は、通常60g以下のK、しばしば50g以下のK、多くの場合30g以下のK、頻繁に25g以下のKである。
【0036】
本発明による使用の第3実施形態の第2変形では、組成物はカルシウムをさらに含んでもよい。組成物の1kg当たりの、組成物のカルシウム含有率は、通常50g以下のCa、しばしば25g以下のCa、多くの場合15g以下のCaである。当該含有率は、頻繁に0.1g以上のCa、しばしば1g以上のCa、多くの場合5g以上のCa、とりわけ10g以上のCaである。
【0037】
第2実施形態の第4変形と同一である本発明による使用の第3実施形態の第3変形では、組成物はしばしば、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、10g以下のTiの量でチタン、および4g以上のKの量でカリウムを含有する。
【0038】
第1実施形態の第4変形と同一である本発明による使用の第3実施形態の第4変形では、組成物は頻繁に、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、10g以下のTiの量でチタン、および25g以下のCaの量でカルシウムを含有する。
【0039】
第1実施形態の第5変形と同一である本発明による使用の第3実施形態の第5変形では、組成物はしばしば、組成物の1kg当たり、300g以上のSiの量でケイ素、10g以下のTiの量でチタン、4g以上のKの量でカリウム、および25g以下のCaの量でカルシウムを含有する。
【0040】
本発明による使用の第1の3つの実施形態では、組成物は、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、ジルコニウム、バリウム、鉄、ストロンチウムおよび亜鉛から選択される元素の少なくとも1種をさらに含んでもよい。
【0041】
組成物の1kg当たりの、ナトリウムの含有率は、通常70g以上のNa、しばしば80g以上のNa、頻繁に90g以上のNaである。当該ナトリウム含有率は、一般に150g以下のNa、多くの場合130g以下のNa、頻繁に110g以下のNaである。
【0042】
組成物の1kg当たりの、アルミニウムの含有率は、通常0.1g以上のAl、しばしば1g以上のAl、頻繁に5g以上のAlである。当該アルミニウム含有率は、一般に15g以下のAl、多くの場合10g以下のAl、頻繁に8g以下のAlである。
【0043】
組成物の1kg当たりの、マグネシウムの含有率は、通常0.1g以上のMg、しばしば1g以上のMg、頻繁に5g以上のMgである。当該マグネシウム含有率は、一般に10g以下のMg、多くの場合8g以下のMg、頻繁に6g以下のMgである。
【0044】
組成物の1kg当たりの、コバルトの含有率は、通常0.1g以上のCo、しばしば1g以上のCo、頻繁に5g以上のCoである。当該コバルト含有率は、一般に10g以下のCo、多くの場合8g以下のCoである。
【0045】
組成物の1kg当たりの、ジルコニウムの含有率は、通常25g以上のZr、しばしば35g以上のZr、頻繁に50g以上のZrである。当該ジルコニウム含有率は、一般に70g以下のZr、多くの場合60g以下のZrである。
【0046】
組成物の1kg当たりの、バリウムの含有率は、通常0.1g以上のBa、しばしば1g以上のBa、頻繁に5g以上のBaである。当該バリウム含有率は、一般に30g以下のBa、多くの場合20g以下のBa、頻繁に10g以下のBaである。
【0047】
組成物の1kg当たりの、鉄の含有率は、通常0.1g以上のFe、しばしば1g以上のFe、頻繁に5g以上のFeである。当該鉄含有率は、一般に10g以下のFe、多くの場合8g以下のFeである。
【0048】
組成物の1kg当たりの、ストロンチウムの含有率は、通常0.1g以上のSr、しばしば1g以上のSr、頻繁に5g以上のSrである。当該ストロンチウム含有率は、一般に15g以下のSr、多くの場合10g以下のSr、頻繁に8g以下のSrである。
【0049】
組成物の1kg当たりの、亜鉛の含有率は、通常0.1g以上のZn、しばしば1g以上のZn、頻繁に5g以上のZnである。当該亜鉛含有率は、一般に15g以下のZn、多くの場合10g以下のZn、頻繁に8g以下のZnである。
【0050】
本発明による使用の第1の3つの実施形態では、組成物は、微量の濃度で、すなわち、0.1g以下の元素で、クロム、銅、マンガン、ニッケル、リンおよびバナジウムから選択される元素の少なくとも1種をさらに含んでもよい。
【0051】
本発明による使用の第1の3つの実施形態では、電荷の当量で表されるカリウムとカルシウムとの比、すなわち、Caのモル数の2倍で割られたKのモル数は、通常0.05以上、しばしば0.1以上、頻繁に0.2以上、多くの場合0.4以上、とりわけ0.6以上である。当該比は、一般に2以下、頻繁に1以下、しばしば0.8以下である。
【0052】
本発明による使用の第1の3つの実施形態では、電荷の当量で表されるアルカリ金属とアルカリ土類金属との比、すなわち、アルカリ土類金属のモル数の合計の2倍で割られたアルカリ金属のモル数の合計は、通常2.8以上、しばしば3.0以上、頻繁に3.2以上、多くの場合3.4以上である。当該比は、一般に4以下、頻繁に3.8以下、しばしば3.7以下である。
【0053】
本発明に使用される組成物において、それらの元素は一般に、組成物中に存在する酸素と結合して、好ましくは酸化物の形態で存在する。これらの酸化物は、程度の差はあるが水和していてもよい。酸化物は、単純酸化物または混合酸化物であることができる。単純酸化物は、例えば、LiO、NaO、KOなどのアルカリ金属酸化物、MgO、CaO、SrO、BaOのようなアルカリ土類金属酸化物、B、Alのような周期表のIIIa族の酸化物、PbOおよびSbのような周期表のIVaおよびVa族の酸化物、ならびにZnO、CoO、ZrO、TiOおよびCeOのような周期表のIIb〜VIIbおよびVIII族の酸化物である。混合酸化物の例はKNaOである。これらの元素はまた、例えばSiF、NaおよびCaFのようなフッ化物として存在してもよい。
【0054】
本発明に使用される組成物において、それらの元素は好ましくは、酸素と結合して、好ましくは酸化物の形態で存在する。
【0055】
本発明による使用におけるとりわけ好ましい一組成物は、酸素と組成物の1kg当たり、100gのNa、315gのSi、8.1gのK、13gのCa、7.6gのCo、63gのZrおよび22gのBaとを含む。組成物は、さらに、それぞれ組成物の1kg当たり5g未満の量で、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鉄、ストロンチウムおよび亜鉛を含有する。当該組成は、会社DE DIETRICHによって提供されるエナメル化棒鋼サンプルの外層の分析によって得られた。
【0056】
本発明による使用における別のとりわけ好ましい組成物は、酸素と組成物の1kg当たり、78gのNa、9.6gのAl、330gのSi、19gのK、14gのCa、6.2gのCo、34gのZr、6.3gのBa、5.4gのFe、12gのSrおよび11gのZnとを含む。組成物は、さらに、それぞれ組成物の1kg当たり5g未満の量で、マグネシウムおよびチタンを含有する。当該組成は、会社PFAUDLERによって提供されるエナメル化棒鋼サンプルの外層の分析によって得られた。
【0057】
本発明による使用において別のとりわけ好ましい組成物は、酸素と組成物の1kg当たり、82gのNa、12gのAl、340gのSi、14gのK、15gのCa、5.4gのTi、7.8gのCo、22gのZrおよび4.3gのSrとを含む。組成物は、さらに、それぞれ5g未満/kgの量で、バリウム、鉄および亜鉛を含有する。当該組成は、会社THALEによって提供されるエナメル化棒鋼サンプルの外層の分析によって得られた。
【0058】
組成物中の元素の含有率の値は±5%の相対誤差で示される。
【0059】
かかる組成物はクロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物による腐食に対して優れた耐性を有することが分かった。とりわけ、コーティング材料として使用されるときに、それらは、前述の混合物による腐食に耐性がある機器のコストを大きく低減することを可能にさせる。
【0060】
機器をコーティングするための材料の成分としてのまたは機器の構成材料としての本発明による組成物の使用は、機器の使用条件(温度および圧力)に、クロロヒドリンの性質(モノクロロヒドリン、ジクロロヒドリン、化学的性質)に、例えばカルボン酸などの別の化合物の存在に、塩化水素に、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物の組成に、機器の性質および実装法にならびに保護されるべき機器の特性に関係する多くの因子に依存する。
【0061】
塩化水素と関係がある因子は、例えば、その化学的純度およびその物理的状態(溶解した、分散した、ガス状)である。
【0062】
機器と関係がある因子は、例えば、形状、サイズ、複雑さ、表面へのアクセス、保護されるべき機器の表面特性(温度のような)を制御することの容易さである。
【0063】
本発明による組成物の使用において、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物との接触は、一般に60℃以上、好ましくは90℃以上、より好ましくは110℃以上、最もとりわけ好ましくは125℃以上の温度で実施される。この温度は、一般に200℃以下、好ましくは180℃以下、より好ましくは160℃以下、最もとりわけ好ましくは145℃以下である。
【0064】
本発明による組成物の使用において、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物との接触は、一般に0.04バール絶対以上、好ましくは0.2バール絶対以上、より好ましくは0.5バール絶対以上、最もとりわけ好ましくは1.1バール絶対以上の圧力で実施される。この圧力は、一般に20バール絶対以下、好ましくは15バール絶対以下、より好ましくは5バール絶対以下、最もとりわけ好ましくは1.3バール絶対以下である。
【0065】
クロロヒドリンはそのままで、すなわち化学結合しないで、および/または塩化水素、水およびクロロヒドリンの混合物中に任意選択的に存在するカルボン酸とのエステルの形態で存在してもよい。
【0066】
混合物の1kg当たりのクロロヒドリンのモル単位で表される、本発明による使用における混合物の(そのままでおよび/またはエステルの形態での)クロロヒドリンの含有率は、一般に0.1以上、しばしば0.5以上、頻繁に1.0以上、より頻繁に2.0以上、より特に3.5以上である。このクロロヒドリン含有率は、一般に8モル以下/kg、しばしば7モル以下/kg、頻繁に5モル以下/kg、より特に4.0モル以下/kgである。
【0067】
クロロヒドリンは、好ましくはジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオール、およびそれらの混合物から選ばれる。
【0068】
この場合には、混合物の1kg当たりのクロロヒドリンのg単位で表される、本発明による使用における混合物の(そのままでおよび/またはエステルの形態での)クロロヒドリンの含有率は、一般に50以上、しばしば100以上、頻繁に200以上、より特に500以上である。このクロロヒドリン含有率は、一般に994g以下/kg、しばしば950g以下/kg、頻繁に900g以下/kg、より特に800g以下/kgである。
【0069】
本発明による使用における混合物の塩化水素含有率は、一般に混合物の1kg当たり1g以上、しばしば2g以上/kg、頻繁に5g以上/kg、より特に7g以上/kgである。この塩化水素含有率は、普通は750g以下/kg、多くの場合600g以下/kg、通常400g以下/kg、一般に250g以下/kg、しばしば200g以下/kg、頻繁に100g以下/kg、とりわけ50g以下/kg、より特に20g以下/kgである。
【0070】
本発明による使用における混合物の含水率は、一般に混合物の1kg当たり5g以上、しばしば10g以上/kg、頻繁に20g以上/kg、より特に50g以上/kgである。この含水率は、一般に900g以下/kg、通常800g以下/kg、普通600g以下/kg、多くの場合400g以下/kg、しばしば200g以下/kg、頻繁に150g以下/kg、より特に100g以下/kgである。
【0071】
他の化合物が本発明による使用における混合物中に存在してもよい。これらの化合物は、例えば、クロロヒドリンおよび/または塩化水素の製造に由来してもおよび/または水に由来してもよい。
【0072】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物は、任意の方法で、例えばポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルまたはこれら2種の混合物を、塩化水素を含有する塩素化剤と反応させることによって、またはクロロオレフィンの次亜塩素酸化反応中に、またはヒドロキシル化オレフィンの塩素化によって得ることができる。クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法は、例えば、連続モード、回分モードおよび供給−回分モードのような、任意のモードで実施されてもよい。
【0073】
用語「オレフィン」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する化合物を記載するために本明細書では用いられる。一般に、この化合物は、水素原子およびハロゲンなどの、炭素原子以外の原子を含有してもよい。好ましいオレフィンは、エチレン、プロピレン、塩化アリルおよびそれらの少なくとも2種の混合物である。
【0074】
用語「ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素」は、2つの異なる飽和炭素原子に結合した少なくとも2個のヒドロキシル基を含有する塩化水素を意味する。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、2〜60個の炭素原子を含有してもよいが、それらに限定されない。
【0075】
ヒドロキシル(OH)官能基を有するポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素の炭素のそれぞれは、2個以上のOH基を持つことはできず、sp3混成のものでなければならない。OH基を有する炭素原子は第一級、第二級または第三級であってもよい。本発明に使用されるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、OH基を有する少なくとも2個のsp3混成炭素原子を含有しなければならない。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素には、ビシナルであるかまたは近接している、高次のこれらの繰り返し単位を含む、ビシナルジオール(1,2−ジオール)またはビシナルトリオール(1,2,3−トリオール)を含有する任意の炭化水素が含まれる。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素の定義にはまた、例えば、1個以上の1,3−、1,4−、1,5−および1,6−ジオール官能基が含まれる。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素はまた、ポリビニルアルコールなどのポリマーであってもよい。例えば、ジェミナルジオールは、このクラスのポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素から除外される。
【0076】
ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、芳香族部分または例えば、ハロゲン、硫黄、リン、窒素、酸素、ケイ素およびホウ素タイプ、ならびにそれらの混合物のヘテロ原子をはじめとするヘテロ原子を含有してもよい。
【0077】
本発明に使用することができるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素には、例えば、1,2−エタンジオール(エチレングリコール)、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1−クロロ−2,3−プロパンジオール(クロロプロパンジオール)、2−クロロ−1,3−プロパンジオール(クロロプロパンジオール)、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2,3−プロパントリオール(グリセロールまたはグリセリンとしても知られる)、およびそれらの混合物が含まれる。好ましくは本発明に使用されるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素には、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、クロロプロパンジオールおよび1,2,3−プロパントリオール、ならびにそれらの少なくとも2種の混合物が含まれる。より好ましくは本発明に使用されるポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素には、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、クロロプロパンジオールおよび1,2,3−プロパントリオールならびにそれらの少なくとも2種の混合物が含まれる。1,2,3−プロパントリオール、すなわちグリセロールが最も好ましい。
【0078】
ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルは、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素中に存在してもよいおよび/またはクロロヒドリンの製造プロセス中に製造されてもよいおよび/またはクロロヒドリンの製造プロセスの前に製造されてもよい。ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルの例には、エチレングリコールモノアセテート、プロパンジオールモノアセテート、グリセロールモノアセテート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジアセテートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0079】
本発明による方法では、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルは、塩素化剤との反応に続く工程前、工程中にまたは工程内の、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素と有機酸との反応に由来してもよい。
【0080】
用語「クロロヒドリン」は、異なる飽和炭素原子に結合している少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個の塩素原子とを含有する化合物を記載するために本明細書では用いられる。少なくとも2個のヒドロキシル基を含有するクロロヒドリンはまた、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素である。だから、反応の出発原料および生成物はそれぞれクロロヒドリンであってもよい。当該場合には、「生成物」クロロヒドリンは、出発クロロヒドリンより多く塩素化されており;言い換えれば、それは、出発クロロヒドリンよりも多くの塩素原子および少ないヒドロキシル基を有する。好ましいクロロヒドリンは、クロロエタノール、クロロプロパノール、クロロプロパンジオール、ジクロロプロパノールおよびそれらの少なくとも2種の混合物である。ジクロロプロパノールがとりわけ好ましい。よりとりわけ好ましいクロロヒドリンは、2−クロロエタノール、1−クロロプロパン−2−オール、2−クロロプロパン−1−オール、1−クロロプロパン−2,3−ジオール、2−クロロプロパン−1,3−ジオール、1,3−ジクロロプロパン−2−オール、2,3−ジクロロプロパン−1−オールおよびそれらの少なくとも2種の混合物である。
【0081】
ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は好ましくはグリセロールである。クロロオレフィンは好ましくは塩化アリルである。ヒドロキシル化オレフィンは好ましくはアリルアルコールである。クロロヒドリンは好ましくはモノクロロプロパンジオール、ジクロロプロパノールおよびそれらの混合物から選ばれる。
【0082】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、化石原料から出発してまたは再生可能な原料から出発して、好ましくは、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2005/054167号パンフレット、特に1ページ、26行から4ページ、2行の節に記載されているように、ならびにその内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100312号パンフレット、特に3ページ、29行から5ページ、24行の節に記載されているように、ならびにその内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAのPCT/EP/、特に10ページ、16〜23行、および11ページ4〜25行の節に記載されているような、好ましくは再生可能な原料から出発して得ることができる。
【0083】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100315号パンフレット、特に7ページ、11行から9ページ、10行の節に記載されているようなアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属分を有してもよい。
【0084】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100319号パンフレット、特に2ページ、3〜8行、および6ページ、20行から9ページ、14行の節に記載されているようなアルカリ金属およびアルカリ土類金属以外の元素を含有してもよい。
【0085】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、その内容が参照により本明細書に援用されるSOLVAY SAの国際公開第2006/100316号パンフレット、特に15ページ、32行から17ページ、33行の節に記載されているような、グリセロール以外の、および1バール絶対の圧力下でのその沸騰温度がジクロロプロパノールの沸騰温度より少なくとも15℃高い、ある量の重質化合物を一般に含有する。
【0086】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、その内容が参照により本明細書に援用されるSOLVAY SAの国際公開第2007/144335号パンフレット、特に1ページ、23行から3ページ、25行の節に記載のような、ポリヒドロキシル化炭化水素のアルキル化エーテルを含有してもよい。
【0087】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、その内容が参照により本明細書に援用されるSOLVAY SAのPCT/EP2008/057876号明細書、特に1ページ、30行から3ページ、21行、および4ページ、3行から6ページ、2行の節に記載のような、ジオール、モノアルコール、ケトン、アルデヒド、脂肪酸のアルキルエステル、グリセロールエステル、カルボン酸および塩を含有してもよい。
【0088】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、その内容が参照により本明細書に援用されるSOLVAY SAの仏国特許出願公開第07/59891号明細書、特に1ページ、28行から3ページ、20行の節に記載されているような、窒素含有化合物を含有してもよい。
【0089】
本発明による使用において、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素は、その内容が参照により本明細書に援用されるSOLVAY SAの仏国特許出願公開第08/52206号明細書、特に1ページ、19行から4ページ、18行の節に記載されているような、グリセロールオリゴマーを含有してもよい。
【0090】
本発明による出願において、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物は好ましくは、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルまたはこれら2種の混合物と、塩化水素を含有する塩素化剤との反応中に得られる。
【0091】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応において、塩化水素は、ガス、任意選択的に無水の、または塩化水素の水溶液またはそれらの混合物であってもよい。塩化水素はしばしば、ガスまたはガスと塩化水素の水溶液との混合物である。塩化水素は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2005/054167号パンフレット、特に4ページ、32行から5ページ、35行の節に記載されている方法、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/106153号パンフレット、特に2ページ、10行から3ページ、20行、および11ページ、1行から18ページ、29行の節に記載されている方法、ならびにその内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2007/144335号パンフレット、特に12ページ、14行から14ページ、21行の節に記載されている方法などから少なくとも部分的に得ることができる。
【0092】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応において、塩化水素は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの仏国特許出願公開第08/56138号明細書、特に2ページ、33行から16ページ、21行の節に記載されているように精製されてもよい。
【0093】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/106154号パンフレット、特に14ページ、15行から17ページ、10行の節に記載のような反応媒体中で実施されてもよい。
【0094】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2005/054167号パンフレット、特に6ページ、24行から8ページ、15行の節に記載のような、ならびにその内容が参照により本明細書に援用される、国際公開第2006/020234号パンフレット、特に12ページ、20行から18ページ、3行の節に記載のような、およびその内容が参照により本明細書に援用される、仏国特許出願公開第07/59891号明細書、特に8ページ、18〜21行の節に記載のような触媒の存在下に実施されてもよい。
【0095】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2005/054167号パンフレット、特に8ページ、1行から10ページ、10行の節に記載のような触媒濃度について、温度で、圧力でおよび滞留時間で実施されてもよい。
【0096】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2007/054505号パンフレット、特に1ページ、24行から6ページ、18行の節に記載されているように実施されてもよい。
【0097】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2005/054167号パンフレット、特に11ページ、12〜36行の節に記載のような溶媒の存在下に実施されてもよい。
【0098】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100316号パンフレット、特に2ページ、18〜25行および15ページ、32行〜17ページ、33行の節に記載のようなグリセロール以外の重質化合物を含む液相の存在下に実施されてもよい。
【0099】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAのPCT/EP2008/056688号明細書、特に1ページ、30行から2ページ、33行、および6ページ、22行から14ページ、31行の節に記載のような撹拌システムでの撹拌下に実施されてもよい。
【0100】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/106154号パンフレット、特に1ページ、29行から2ページ、6行、および14ページ、15行から17ページ、10行の節に記載のような液体反応媒体中で実施されてもよい。
【0101】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための反応は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAのPCT/EP2008/052711号明細書、特に1ページ、29行から4ページ、27行、および5ページ、34行から9ページ、17行の節にその供給が記載されている反応器で実施されてもよい。
【0102】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、反応混合物の他の化合物からのクロロヒドリンの分離は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2005/054167号パンフレット、特に12ページ、1行から17ページ、20行の節に記載されているように実施されてもよい。
【0103】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、反応混合物の他の化合物からのクロロヒドリンの分離は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100312号パンフレット、特に2ページ、3〜10行、20ページ、28行から28ページ、20行の節に記載されているように実施されてもよい。
【0104】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、反応混合物の他の化合物からのクロロヒドリンの分離は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100313号パンフレット、特に2ページ、1〜23行、および21ページ、7行から25ページ、25行の節に記載のような方法に従って実施されてもよい。
【0105】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、反応混合物の他の化合物からのクロロヒドリンの分離は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100314号パンフレット、特に2ページ、6行から3ページ、4行、および18ページ、33行から22ページ、29行の節に記載のような方法に従って実施されてもよい。
【0106】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、反応混合物の他の化合物からのクロロヒドリンの分離は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100320号パンフレット、特に1ページ、30行から2ページ、23行、および6ページ、25行から10ページ、28行の節に記載のような方法に従って実施されてもよい。
【0107】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、反応混合物の他の化合物からのクロロヒドリンの分離は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100315号パンフレット、特に2ページ、3〜29行、および23ページ、3行から24ページ、13行の節に記載のような方法に従って実施されてもよい。
【0108】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、反応混合物の他の化合物からのクロロヒドリンの分離は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAのPCT/EP2008/052972号明細書、特に1ページ、31行から27ページ、25行の節に記載のような方法に従って実施されてもよい。
【0109】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、クロロヒドリンがジクロロプロパノールであるとき、このジクロロプロパノールは、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100319号パンフレット、特に23ページ、34行から24ページ、29行の節に記載のような1,3−ジクロロプロパン−2−オールと2,3−ジクロロプロパン−1−オール異性体との混合物として一般に得られる。
【0110】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、クロロヒドリンは、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの国際公開第2006/100311号パンフレット、特に2ページ、22〜34行、および22ページ、8行から23ページ、35行の節に記載のようなハロゲン化ケトンを含有してもよい。
【0111】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物を得るための方法において、機器壁と接触した水は、その内容が参照により本明細書に援用される、SOLVAY SAの仏国特許出願公開第08/56059号明細書、特に1ページ、7行から16ページ、34行の節に記載されているように処理されてもよい。
【0112】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物が、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルまたはこれら2種の混合物と、塩化水素を含有する塩素化剤との反応中に得られるとき、クロロヒドリン製造プロセスに由来する可能性がある化合物の中に、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステル、クロロヒドリンエステル、カルボン酸、部分的に塩素化されているおよび/またはエステル化されているポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のオリゴマーを見いだすことが可能である。
【0113】
本発明による使用において、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物は好ましくは、カルボン酸の存在下に、グリセロール、グリセロールエステル、またはそれらの混合物と、塩化水素を含有する塩素化剤との反応によって得られる。
【0114】
この場合、部分的に塩素化されていてもおよび/またはエステル化されていてもよいグリセロールオリゴマーは、本発明による使用における混合物中に存在してもよい化合物である。クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物の1kg当たりのこれらのグリセロールオリゴマーの含有率は、通常1g以上、普通10g以上、しばしば30g以上、しばしば50g以上、頻繁に75g以上である。当該含有率は、通常400g以下/kg、一般に300g以下/kg、しばしば200g以下/kg、頻繁に100g以下/kgである。
【0115】
この場合、グリセロールおよびグリセロールエステルもまた、本発明による使用における混合物中に存在してもよい化合物である。クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物の1kg当たりの、(そのままでおよび/またはエステルの形態での)グリセロールの含有率は、通常1g以上、普通5g以上、しばしば10g以上、しばしば15g以上、頻繁に20g以上である。当該含有率は、通常700g以下/クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物の1kg、普通500g以下/kg、多くの場合400g以下/kg、一般に300g以下/kg、頻繁に150g以下/kg、しばしば100g以下/kg、特に60g以下/kg、とりわけ30g以下/kgである。
【0116】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物は、単一相または多相であってもよい。この混合物は、例えば、任意選択的に懸濁液中に1つ以上の固体相と共におよび/または1つ以上の分散気相と共に1つ以上の液相を含有してもよい。
【0117】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物はガス状であってもよい。
【0118】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物は液体であってもよい。クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物はしばしば液体である。
【0119】
好ましい、本発明による第1態様では、組成物は、機器をコーティングするための材料として使用される。この場合、機器の表面の少なくとも一部がコーティング材料で被覆される。被覆される機器の表面は好ましくは、クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することが意図されるものである。この表面は内面、外面または両方であってもよい。全体表面が材料で被覆されてもよい。この態様では、組成物はエナメルであってもよく、好ましくはエナメルである。エナメルとは、主に酸化ケイ素を含有する溶融無機ガラス質表面コーティングを意味することが意図される。
【0120】
第1態様の1バージョンでは、機器をコーティングするための材料は、少なくとも2つの重畳層、内層および外層を含み、外層は、本発明による出願で使用される組成物を含む。この外層は好ましくは前記組成物から構成される。
【0121】
このバージョンでは、走査電子顕微鏡法によって測定される、外層の厚さが、一般に0.2mm以上、しばしば0.4mm以上、頻繁に0.6mm以上、より特に0.8mm以上である。この厚さは、一般に2.5mm以下、しばしば2mm以下、頻繁に1.6mm以下、より特に1.4mm以下である。約1±0.1mmの厚さがとりわけ好適である。この層は、単一沈積によってかまたは数回の逐次沈積によって得ることができる。
【0122】
このバージョンでは、コーティングは、好ましくは機器の表面とコーティングの外層との間に中間層を含む。この中間層の目的は、被覆されるべき機器の表面への外層の接着を促進することである。この中間層は一般に外層と同じ元素を、しかし一般に異なる割合で含む。
【0123】
このバージョンでは、機器を形成する材料は任意のタイプのものであってもよい。この材料は一般に金属または金属合金を含有する。鋼がとりわけ好ましい材料である。エナメル化されるために設けられる鋼は、機器の好都合な材料である。
【0124】
第2態様では、本組成物は機器の構成材料として使用される、すなわち、本組成物は、機器がそれから製造される材料を構成する。
【0125】
本発明による出願では、用語「機器」は、化合物が貯蔵される、化学反応および/または物理的操作が実施される容器(リング、支持格子および分配器プレート装備蒸留塔、反応器)、管材料、バルブ、撹拌およびカウンターかき混ぜ機、封管(またはサイホンパイプ)およびこれらの容器を連結する連結器、これらの連結器で気密を確実にする部品、容器間で化合物を移送するために必要とされる計器、化合物の貯蔵、移送を制御するために、ならびに化学反応および物理的操作の実施に必要とされる様々なパラメーターを測定するための計器および装置(例えば、ポケット温度プローブ)を意味すると理解される。
【0126】
本発明はまた、本発明による使用を含む、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルまたはこれら2種の混合物が、塩化水素を含有する塩素化剤と反応させられる、幾つかの工程を含む、クロロヒドリンの製造方法に関する。
【0127】
本発明によるクロロヒドリン製造方法では、工程は、クロロヒドリン製造方法で使用されるまたは生成する化合物の化学反応、貯蔵、供給、取り出し、移送、化学的処理または物理的処理の工程から選ばれる。
【0128】
反応工程のうち、例えば、クロロヒドリンの形成中、および本方法の様々な工程中などのクロロヒドリン製造プロセス中に行われる反応全てに言及されてもよい。
【0129】
貯蔵工程のうち、使用前の、塩化水素を含有する塩素化剤の貯蔵およびポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素の貯蔵、処理前のパージ物の貯蔵、生成クロロヒドリンの貯蔵、触媒およびその配合物の貯蔵に言及されてもよい。化学的処理工程のうち、例えば、触媒を回収することを意図される加水分解処理および触媒を溶解させるための処理に言及されてもよい。物理的処理工程のうち、例えば、ストリッピング、蒸留、蒸発、抽出、沈降、および濾過による分離、熱交換、加熱ならびに冷却操作に言及されてもよい。
【0130】
供給、取り出しまたは移送工程のうち、例えば、排出物のリサイクリング、パージングおよび排出の操作、化学反応、貯蔵ならびに化学的および物理的処理が行われる機器の様々な部分間の流体の移送に言及されてもよい。
【0131】
本発明による方法で得られるクロロヒドリンは、エポキシドを製造するために脱塩化水素反応にかけられてもよい。
【0132】
用語「エポキシド」は、炭素−炭素結合上に架橋した少なくとも1個の酸素を含有する化合物を記載するために本明細書では用いられる。一般に、この炭素−炭素結合の炭素原子は隣接しており、この化合物は、水素原子およびハロゲンなどの、炭素および酸素原子以外の原子を含有してもよい。好ましいエポキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、グリシドールおよびエピクロロヒドリンである。
【0133】
エポキシドは好ましくはエピクロロヒドリンであり、クロロヒドリンは好ましくはジクロロプロパノールである。
【0134】
それ故、本発明はまた、本発明によるクロロヒドリンの製造方法、その後のクロロヒドリンの脱塩化水素方法を含むエポキシドの製造方法に関する。
【0135】
クロロヒドリンの脱塩化水素方法は、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前での国際公開第2005/054167号パンフレット、より具体的には19ページ、12行から22ページ、30行の節に記載されている方法、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前での国際公開第2006/100311号パンフレット、より具体的には2ページ、22〜25行、および22ページ、28行から23ページ、35行の節に記載されている方法、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前での国際公開第2008/101866号パンフレット、より具体的には2ページ、1行から13ページ、16行の節に記載されている方法、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前でのPCT/EP2008/057247号明細書、より具体的には9ページ、22行から13ページ、31行の節に記載されている方法、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前でのPCT/EP2008/057245号明細書、より具体的には6ページ、16行から7ページ、22行の節に記載されている方法、ならびにその内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前でのPCT/EP2008/059862号明細書、より具体的には1ページ、17行から10ページ、21行の節に記載されている方法などであってもよい。
【0136】
エポキシドの製造方法は、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前での国際公開第2006/106155号パンフレット、より具体的には2ページ、26〜31行、および22ページ、10行から23ページ、19行の節に記載のような、クロロヒドリンを製造するための世界的なスキームに統合されてもよい。
【0137】
クロロヒドリンの脱塩化水素方法はまた、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前での国際公開第2006/100318号パンフレット、より具体的には2ページ、23行から3ページ、26行、および24ページ、17行から31ページ、18行の節に記載されているように実施されてもよい。
【0138】
クロロヒドリンの脱塩化水素方法はまた、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前での欧州特許出願公開第08150925.9号明細書、より具体的には1ページ、18行から12ページ、10行の節に記載のような、水排出物の処理工程を含む。
【0139】
本発明による方法で得られるエポキシド、好ましくはエピクロロヒドリンは、エポキシ樹脂またはグリシジルエーテルもしくはグリシジルエステルまたは凝固剤として使用できる製品または湿潤強力樹脂またはカチオン化剤または難燃剤または洗剤用の原料またはエピクロロヒドリンエラストマーを製造するために少なくとも1個の活性水素原子を含有する化合物との反応にかけられてもよい。
【0140】
それ故、本発明はまた、エポキシドの製造方法、その後のエポキシドが少なくとも1個の活性水素原子を含有する化合物との反応にかけられる方法を含むエポキシ樹脂の製造方法に関する。
【0141】
それ故、本発明はまた、エピクロロヒドリンが、モノアルコール、モノカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール、ポリイミド、ポリアミド、ポリカルボン酸、アンモニア、アミン、ポリアミノアミド、ポリイミン、アミン塩、リン酸、リン酸塩、オキシ塩化リン、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスフィンオキシド、ホスフィン、エトキシル化アルコール、アルキレンまたはフェニレンオキシド、およびそれらの少なくとも2種の混合物から選択される少なくとも1種の化合物との反応にかけられるか、またはエピクロロヒドリンがホモ重合にかけられる、エポキシ樹脂またはグリシジルエーテルもしくはグリシジルエステルまたは凝固剤として使用できる製品または湿潤強力樹脂またはカチオン化剤または難燃剤または洗剤用の原料またはエピクロロヒドリンエラストマーの製造方法に関する。
【0142】
エピクロロヒドリンおよびエピクロロヒドリンの使用は、その内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前でのPCT/EP2008/057247号明細書、より具体的には1ページ、18行から9ページ、21行、および31ページ、31行から63ページ、4行の節に記載のような、ならびにその内容が参照により本明細書によって援用される、SOLVAY SAの名前でのPCT/EP2008/057246号明細書、より具体的には1ページ、24行から10ページ、14行、および13ページ、3行から44ページ、8行の節に記載のようなものであってもよい。
【実施例】
【0143】
次の組成物を試験した。それらは、エナメルで被覆された鋼製である。それらは次の製造業者から入手した。
【0144】
【表1】

【0145】
組成物中の元素の含有率は全て、組成物の1kg当たりの元素のg単位である。それらの含有率は、四ホウ酸リチウムパールズ法(lithium tetraborate pearls method)を用いるX線蛍光分析によって得られた。
【0146】
【表2】

【0147】
実施例1(本発明による)
連続式プロセスで、グリセロール、塩化水素およびアジピン酸を、ジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオール、塩化水素および水を含有する混合物を生み出すようにエナメルで被覆された鋼反応器で約720時間反応させた。反応器のエナメル外層は、表2に開示される組成1を有する。
【0148】
組成1のエナメルは、使用前に光り輝いていた。
【0149】
反応媒体と接触する反応器のエナメルの組成物は、組成物の1kg当たり、77.5gのNa、9.6gのAl、330gのSi、19.2gのK、14gのCa、6.2gのCo、33.7gのZr、6.3gのBa、5.4gのFe、12.1gのSrおよび10.8のZnを含んだ。本組成物は、それぞれ5g未満/kgの量で、マグネシウムおよびチタンをさらに含有した。
【0150】
720時間の処理にわたって平均された反応媒体の組成物は、反応媒体の1kg当たり、10.8gの塩化水素、292.5gのジクロロプロパノール、73.8gの水、202.2gのモノクロロプロパンジオール、21.1gのジクロロプロパノールエステル、81.6gのモノクロロプロパンジオールエステルを含み、残りはアジピン酸、グリセロール、グリセロールエステルおよび部分的に塩素化されたおよび/またはエスエル化されたグリセロールオリゴマーからなった。
【0151】
平均圧力は1.22バール絶対であり、平均温度は123℃であった。
【0152】
720時間(±30日)の処理後に、エナメル組成物1は光り輝いたままであり(目視検査)、エナメルの腐食がないことを示唆する。
【0153】
実施例2および3(本発明によらない)
実施例1のジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオール、塩化水素および水を含有する混合物を、実施例1の連続プロセス全ての間ずっと、エナメルで被覆された鋼製の機器部品を通して循環させ、かかる部品のエナメル外層は表2に開示される組成6および7を有した。
【0154】
エナメル組成物6および7は、使用前に光り輝いていた(目視検査)。
【0155】
720時間(±30日)の運転後に、エナメル組成物6および7は光沢がない状態になり(目視検査)、エナメルの腐食を示唆する。
【0156】
図1のエリア(a)は、ジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオール、塩化水素および水を含有する混合物との接触からガスケットによって保護された機器部品のエリアである。
【0157】
図1のエリア(b)は、ジクロロプロパノール、モノクロロプロパンジオール、塩化水素および水を含有する混合物と接触した機器部品のエリアである。
【0158】
しわの多さ測定は、干渉分光法顕微鏡を用いてエナメル組成物6の機器部品の光沢のないおよび光り輝くエリアについて行った。この顕微鏡は分析される表面の3D画像を与え、3D画像からしわの多さパラメーターをMethod XP E05−030−1(AFNOR、French Association of Standardization(仏国標準化協会)、2003年12月)に従って得た。分析された表面積は、736×480ピクセルに相当する224×295μmおよび736×480ピクセルに相当する112×147μmである。しわの多さパラメーターを表3に示す。
【0159】
【表3】

【0160】
実施例4〜8(本発明による)
エナメル外層が表2に開示される組成1〜5を有する、エナメルで被覆された棒鋼を保持するポリテトラフルオロエチレン棒をオートクレーブ中:
・反応媒体の1kg当たり、20gの塩化水素、253gのジクロロプロパノール、100gの水、294gのモノクロロプロパンジオール、5gのジクロロプロパノールエステル、80gのモノクロロプロパンジオールエステルを含み、残りがアジピン酸、グリセロール、グリセロールエステルおよび部分的に塩素化されたおよび/またはエステル化されたグリセロールオリゴマーからなる液体混合物中に、ならびに
・上記液体混合物の上方の気相中に
置いた。
【0161】
130℃の温度でおよび1.25バール絶対の圧力で741.5時間、すなわち約31日後に、サンプルをオートクレーブから取り出した。
【0162】
腐食速度は、試験前後に棒を秤量することによって得た。それらの速度を表4にまとめる。
【0163】
【表4】

【符号の説明】
【0164】
a,b,c エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される、機器をコーティングするための材料としてのまたは機器の構成材料としての、ケイ素が組成物の1kg当たり235g以上のSiの量で存在し、カルシウムが組成物の1kg当たり25g以下のCaの量で存在する、ケイ素、酸素およびカルシウムを含む組成物の使用。
【請求項2】
前記組成物が組成物の1kg当たり4g以上のKの量でカリウムをさらに含む請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記組成物が組成物の1kg当たり10g以下のTiの量でチタンをさらに含む請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される、機器をコーティングするための材料としてのまたは機器の構成材料としての、ケイ素が組成物の1kg当たり235g以上のSiの量で存在し、カリウムが組成物の1kg当たり4g以上のKの量で存在する、ケイ素、酸素およびカリウムを含む組成物の使用。
【請求項5】
前記組成物が組成物の1kg当たり10g以下のTiの量でチタンをさらに含む請求項4に記載の使用。
【請求項6】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物と接触することを意図される、機器をコーティングするための材料としてのまたは機器の構成材料としての、ケイ素が組成物の1kg当たり235g以上のSiの量で存在し、チタンが組成物の1kg当たり10g以下のTiの量で存在する、ケイ素、酸素およびチタンを含む組成物の使用。
【請求項7】
前記組成物が、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、コバルト、ジルコニウム、バリウム、鉄、ストロンチウムおよび亜鉛から選択される元素の少なくとも1種をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
電荷の当量単位で表されるカリウムとカルシウムとの比が0.05以上および2以下である、請求項2または3に記載の使用。
【請求項9】
前記組成物がエナメルである請求項1〜8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
前記組成物が機器をコーティングするための材料であり、前記機器が金属または金属合金を含有する材料で形成されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
前記機器の材料が鋼である請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記機器をコーティングするための材料が少なくとも2つの重畳層、内層および外層を含み、前記外層が前記組成物を含む請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
走査電子顕微鏡法によって測定される、前記外層の厚さが、0.2mm以上および2mm以下である請求項12に記載の使用。
【請求項14】
クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物との前記接触が、
・60℃以上および200℃以下の温度、
・0.04バール絶対以上および20バール絶対以下の圧力、
のうちの少なくとも1つの条件下で実施され、
前記混合物中のクロロヒドリンがそのままでおよび/またはエステルの形態で存在し、前記混合物が、
・混合物の1kg当たりのクロロヒドリンのモル単位で表される量で0.1以上および8以下のクロロヒドリンおよび/または
・混合物の1kg当たり1g以上および混合物の1kg当たり750g以下の量の塩化水素、および/または
・混合物の1kg当たり5g以上および混合物の1kg当たり900g以下の量の水
を含有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記機器が、化合物が貯蔵される、化学反応および/または物理的操作が実施される容器、管材料、バルブ、およびこれらの容器を連結する連結器、これらの連結器で気密を確実にする部品、容器間で化合物を移送するために必要とされる計器、化合物の貯蔵、移送を制御するために、または化学反応および物理的操作を実施するために必要とされる様々なパラメーターを測定するための計器および装置から選択される請求項1〜14のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
前記クロロヒドリン、塩化水素および水を含有する混合物がポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルまたはこれら2種の混合物を、塩化水素を含有する塩素化剤と反応させることによって得られる請求項1〜15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記クロロヒドリンが、モノクロロプロパンジオール、ジクロロプロパノールおよびそれらの混合物から選ばれ、前記ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素がグリセロールである請求項16に記載の使用。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか一項に記載の使用を含む、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素、ポリヒドロキシル化脂肪族炭化水素のエステルまたはこれら2種の混合物が塩化水素を含有する塩素化剤と反応させられる、幾つかの工程を含むクロロヒドリンの製造方法。
【請求項19】
請求項18に記載のクロロヒドリンの製造方法、その後の前記クロロヒドリンの脱塩化水素方法を含むエポキシドの製造方法。
【請求項20】
前記エポキシドがエピクロロヒドリンであり、エピクロロヒドリンがモノアルコール、モノカルボン酸、ポリオール、ポリアミン、アミノアルコール、ポリイミド、ポリアミド、ポリカルボン酸、アンモニア、アミン、ポリアミノアミド、ポリイミン、アミン塩、リン酸、リン酸塩、オキシ塩化リン、リン酸エステル、ホスホン酸、ホスホン酸エステル、ホスホン酸塩、ホスフィン酸、ホスフィン酸エステル、ホスフィン酸塩、ホスフィンオキシド、ホスフィン、エトキシル化アルコール、アルキレンまたはフェニレンオキシド、およびそれらの少なくとも2種の混合物から選択される少なくとも1種の化合物との反応にかけられるか、またはエピクロロヒドリンがホモ重合の反応にかけられる、請求項19の方法を含む、エポキシ樹脂またはグリシジルエーテルもしくはグリシジルエステルまたは凝固剤として使用できる製品または湿潤強力樹脂またはカチオン化剤または難燃剤または洗剤用の原料またはエピクロロヒドリンエラストマーの製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−502032(P2011−502032A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527411(P2010−527411)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/062845
【国際公開番号】WO2009/043796
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】