説明

容器または蓋体となる樹脂成形品

【課題】角部近傍を積極的に変形させて直ちに元の状態に戻る復元機能を十分果たすことのできる容器または蓋体を、簡単な構成によって提供すること。
【解決手段】開口部のフランジ11に連なる側壁12aと、この側壁12aによって囲まれる底面13aとの間、または、フランジ11に連なる立ち上げ壁12bと、この立ち上げ壁12bによって囲まれる天板面13bとの間に、角部14を形成し、この角部14の全部または一部の近傍に、外側面15aとこれより緩い斜面とした内側面15bとを有する溝部15と、この溝部15の外側になる残留部16とを形成したこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂を材料として成形される樹脂成形品に関し、特に、物品を収納する容器または収納された物品を覆う蓋体となる樹脂成形品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、種々な物品を販売するにあたって、準備しておいた容器に収納してラッピングするか、あるいは容器内の物品を蓋体によって覆うことがなされている。このような容器や蓋体で物品を保護すれば、購入者にとってみれば物品を家まで持ち帰るのにも便利であるし、物品が食品であれば衛生的である。
【0003】
このような容器または蓋体について考察してみると、例えばスーパーのバックヤードで販売すべき物品の多数を、それぞれ容器または蓋体を使用して所謂「パック詰め」した後に、大きなケース内に多数並べて置く場合や、陳列棚にこの「パック詰め」を積み上げて陳列する場合に、これらの容器や蓋体が四角あるいは円形形状を基本とするものであった方が効率がよいことが多い。つまり、この種の容器または蓋体は、「四角」を基本形状とした場合には、保管、陳列、運搬のあらゆる場面で便利であるし、「円形」を基本形状とした場合には、バックヤードでの作業や持ち帰りといった取り扱い上で便利なことが多い。
【0004】
しかしながら、特に四角形状を基本とした容器または蓋体は、当然のことながら角張った「隅部」ができる。この隅部は、他のものに接触したり当たったりすると変形し易いものであり、その変形が直ぐに戻ってくれないと、その部分にあった物品を変形させたり変色させたりする可能性がある。特に、この種の容器または蓋体を、薄い合成樹脂シートを材料としたシート成形によって形成した場合には、この「隅部」の変形は避けて通れないし、場合によっては変形した部分で変色(容器や蓋が透明な樹脂材料で形成されていると、その部分が白く濁る、所謂、「白濁現象」が発生する)のが実情となっている。勿論、円形形状を基本とした容器または蓋体であっても、底部または天板部と側壁部との間に上述した「隅部」が形成される。
【0005】
そこで、特許文献1にて、「薄いプラスチックシート(フィルムも含む、以下同じ)で成形し、透明蓋を用いた容器を積み重ねが可能なものとすると共に、閉蓋状態での運搬(搬送)、展示等において蓋が安定して被着し、かつ、本体側面の上縁部を低くし、逆に対応部分の蓋の側面部の高さを高くすることによって、容器にボリューム感を持たせ、販売時の陳列訴求効果を高め得る」ようにした「透明蓋の食品容器」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2967865号掲載公報、段落0004、0005,0008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の特許文献1の「透明蓋の食品容器」は、図11にも示すように、「蓋の隅部付近には蓋上面から隅部外方に至る適宜長さの凹凸リブ条を形成」(段落0005)したものであり、段落0008に記載されているように、「蓋の隅部付近には蓋上面から隅部外方に至る適宜長さの凹凸リブ条を形成してあることにより、隅部が蓋上面内方に引き込まれるのをより確実に防止し、蓋の被着安定性を一層高めることができる。これは、隅部上縁部の内側沿いに、隅部上縁部及び蓋上面部分よりも僅かに下方に凹んだ適宜巾の凹面を形成した構成とすることによっても可能」なものである。
【0008】
しかしながら、この特許文献1の「凹凸リブ」は、「蓋の隅部付近に蓋上面から隅部外方に至る適宜長さで形成」(段落0005)したものであるが、「蓋の被着安定性を一層高めることができる」だけのものであって、角部近傍の隅部における「積極的な変形防止機能」や「復元機能」は果たしていない。
【0009】
そこで、本発明者等は、物品を収納したり保護したりする容器や、この種の容器の蓋体の角部近傍における「積極的な変形防止機能」や「復元機能」を果たさせるにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0010】
すなわち、本発明の目的とするところは、角部近傍を積極的に変形させて直ちに元の状態に戻る復元機能を十分果たすことのできる容器または蓋体を、簡単な構成によって提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「合成樹脂によって形成されて、容器10aまたは蓋体10bとなる樹脂成形品10であって、
開口部のフランジ11に連なる側壁12aと、この側壁12aによって囲まれる底面13aとの間、または、フランジ11に連なる立ち上げ壁12bと、この立ち上げ壁12bによって囲まれる天板面13bとの間に、角部14を形成し、この角部14の全部または一部の近傍に、外側面15aとこれより緩い斜面とした内側面15bとを有する溝部15と、この溝部15の外側になる残留部16とを形成したことを特徴とする樹脂成形品10」
である。
【0012】
すなわち、この請求項1に係る樹脂成形品10は、射出成形、ブロー成形、あるいはシート成形等の、合成樹脂を材料とした種々な樹脂成形法によって形成されるものであり、図1に示すようにして使用されるのであれば、図示しない容器の開口部に嵌合される蓋体10bとなり、図1に示したのとは上下ひっくり返して使用されるのであれば、図6に示すような容器10aとなるものである。以下では、本発明に係る樹脂成形品10を、図示しない容器に嵌合される蓋体10bとした場合を中心に説明して行くこととする。
【0013】
さて、この請求項1に係る樹脂成形品10は、図1の(b)に示すように、図示しない容器に嵌合されるフランジ11の上側に立ち上げ壁12bを介して天板面13bを形成したものであり、このフランジ11は、図1の(a)に示すように、平面視長方形状になっているものである。従って、この長方形状の樹脂成形品10の天板面13bには、合計4つの溝部15が存在していることになるが、この樹脂成形品10が、図7に示すように、平面視円形のものとした場合には、溝部15の数(図7では3つ)は適宜決定できる。
【0014】
各角部14の近傍の各隅部には、当該樹脂成形品10の略中心に向かう中心線14a(図1の(a)では右上の隅部にだけ示してある)に対して交差する溝部15が形成してある。この溝部15は、図3及び図8に示すように、断面でみたとき、下端で繋がった外側面15aと内側面15bとによって略V字状になっているものであり、その外側面15a(図3でみた場合右側面)が、内側面15b(図3でみた場合右側面)よりも急な斜面となるようにしてある。そして、この溝部15を各角部14の全部または一部に形成するにあたって、天板面12bの一部が残留部16として残るようにしてある。この残留部16は、図1に示した例の場合には、平面視三角形状となるが、図7に示した例の場合は半円状になるものであり、当該樹脂成形品10の外形形状に応じて種々な形状になり得るものである。
【0015】
なお、溝部15を構成している外側面15aと内側面15bとは、それぞれの下端で鋭角的に繋がっているから、断面でみたとき略V字状になっているものであるが、それぞれの下端で曲線的に繋がった場合には、断面でみたとき略U字状となるものである。
【0016】
これにより、当該樹脂成形品10の各角部14において、図1に示すように、溝部15や残留部16が存在しているから、これらと側壁12aや立ち上げ側壁12bとによって各角部14の近傍は変形し易いものとなっているのである。
【0017】
このようにした樹脂成形品10、つまり蓋体10bを、内容物を収容した図示しない容器に嵌合して、この容器を蓋体10bとともに移動させるときに手で持った場合、あるいはこの蓋体10bを嵌合した容器の複数を積み上げた場合、各蓋体10bの天板面13bには、図8の黒色双方向矢印の右側にて示すように、これを押圧するような力が加わる。そうすると、内側面15bは、これに連なっている天板面13bに伴って、外側面15aに対して広がるようになりながらその図示左側部分が下がるが、この内側面15bは外側面15aよりも緩るい斜面になっているから、弾性変形範囲を超える程の変形はない。
【0018】
一方、外側面15aは、角部14の残留部16に連なっており、かつ内側面15bよりも急な傾斜面となっているから、平面である天板面13bに連なっている内側面15bに比較すれば、図8の白抜き矢印方向、すなわち天板面13bの角部14近傍における鉛直方向に対する剛性が高い状態になっている。このため、外側面15aは、図8の黒色双方向矢印の右側にて示す程度の天板面13bの沈下によっては、これに引きつられる分の変形はあるが、立ち上げ壁12bに連なっている角部14自体の剛性も味方して、弾性変形範囲を超える程の変形はない。勿論、上記変形が弾性変形の範囲内に収まっていたのであるから、変形した各部分に一般的に「白濁」と呼ばれている変色は発生しない。
【0019】
それよりも重要なことは、天板面13bへの押圧力がなくなると、溝部15を構成している外側面15a及び内側面15bは、弾性変形範囲を超える程の変形はしていなかったのであるから、図8の黒色双方向矢印の左側にて示すように、元の状態に弾性復帰するのである。
【0020】
従って、この請求項1に係る樹脂成形品10は、角部14において変形したとしても直ちに元の状態に戻る復元機能を十分果たすことができるものとなっているのである。
【0021】
また、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載の樹脂成形品10について、
「残留部16を側壁12aまたは立ち上げ壁12bに対して傾斜しながら連続するようにしたこと」
である。
【0022】
すなわち、この請求項2に係る樹脂成形品10は、図9の黒色双方向矢印の左側にて示すように、各角部14の全部または一部に形成した溝部15の外側に残した残留部16を、当該樹脂成形品10を蓋体10bとした場合には、立ち上げ壁12bに対して傾斜しながら連続するようにしたものである。
【0023】
このようにした場合には、図9の黒色双方向矢印の右側にて示すように、天板面13bに押圧力が加わったとき、溝部15及び当該残留部16を変形させて、当該天板面13bが下がるのを許容する。勿論、残留部16はもともと傾斜させたものであるので、立ち上げ壁12bより変形し易く、溝部15についても上述したように構成したものであるから、これらの溝部15及び残留部16の変形は、当該蓋体10bを構成している合成樹脂の弾性変形範囲内での変形となる。勿論、上記変形が弾性変形の範囲内に収まっていたのであるから、変形した各部分に一般的に「白濁」と呼ばれている変色は発生しない。
【0024】
そして、天板面13bへの押圧力がなくなると、溝部15及び残留部16は、弾性変形範囲を超える程の変形はしていなかったのであるから、図9の黒色双方向矢印の左側にて示すように、元の状態に弾性復帰するのである。
【0025】
従って、この請求項2に係る樹脂成形品10も、角部14の近傍における変形防止を行うことができて、しかも、仮に変形したとしても直ちに元の状態に戻る復元機能を十分果たすことができるものとなっているのである。
【0026】
さらに、請求項3に係る発明の採った手段は、上記請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品10について、
「残留部16または外側面15aに、溝部15に交差する補強リブ17を形成したこと」
である。
【0027】
すなわち、この請求項3の樹脂成形品10は、図1及び図10に示すように、角部14の隅に残留させた残留部16または外側面15aに、角部14に交差する補強リブ17を形成したものである。各補強リブ17は、残留部16の補強を文字通り行うものであり、押圧力を受けた天板面13b、あるいは何かに接触した立ち上げ壁12bから受けた力によって、図10の黒色双方向矢印の右側にて示すように、補強リブ17自らが変形して残留部16または角部14を変形させるが、これらの変形の全ては、材料である合成樹脂の弾性変形の範囲内にある。
【0028】
この樹脂成形品10における各角部14、これの全部または一部に形成してある溝部15、及びこの溝部15の外側にある残留部16の各変形が、当該樹脂成形品10を形成している合成樹脂の弾性変形の範囲内にあるのは、残留部16には補強リブ17が形成してあり、角部14には溝部15が形成してあり、さらに、角部14は立ち上げ壁12bに連なっているからである。特に、各角部14の外側部分に位置する残留部16は、他の物に接触し易い部分であるが、この残留部16には補強リブ17が形成してあって、補強がなされているからである。
【0029】
これとは逆に、天板面13bや角部14に加わっていた力が無くなれば、各角部14、溝部15、及び残留部16は、それ自身の有する弾性によって元の状態に復元されるのである。勿論、上記変形が弾性変形の範囲内に収まっていたのであるから、変形した各部分に一般的に「白濁」と呼ばれている変色は発生しない。
【0030】
従って、この請求項3に係る樹脂成形品10は、上記請求項1または2のそれと同様な機能を発揮する他、各残留部16が補強リブ17によって補強されているため、残留部16の変形も弾性変形の範囲内に十分納められ、押圧された部分の元形状への復帰が白濁を発生することなくなされるものとなっているのである。
【発明の効果】
【0031】
以上、説明した通り、本発明においては、
「合成樹脂によって形成されて、容器10aまたは蓋体10bとなる樹脂成形品10であって、
開口部のフランジ11に連なる側壁12aと、この側壁12aによって囲まれる底面13aとの間、または、フランジ11に連なる立ち上げ壁12bと、この立ち上げ壁12bによって囲まれる天板面13bとの間に、角部14を形成し、この角部14の全部または一部の近傍に、外側面15aとこれより緩い斜面とした内側面15bとを有する溝部15と、この溝部15の外側になる残留部16とを形成したこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、角部14近傍を積極的に変形させて直ちに元の状態に戻る復元機能を十分果たすことのできる容器10aまたは蓋体10b
となる樹脂成形品10を、簡単な構成によって提供することができるのである。
【0032】
特に、本発明に係る樹脂成形品10は、これに力が加わったとき、各角部14近傍のみが変形し得るものであって、開口部のフランジ11を変形させないのであるから、当該フランジ11を利用して蓋体を嵌合するにあたって、蓋体の嵌合を安定して行うことができるのである。また、このような蓋を嵌合した本発明に係る樹脂成形品10の複数の積み上げを、白濁や変形を生じさせないで行うこともできるのである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を蓋体10bに適用した場合の樹脂成形品10を示すもので、(a)は平面図、(b)は左半分を正面図にした(a)中の1−1線に沿ってみた縦断面図である。
【図2】左半分を正面図にした図1の(a)中の2−2線に沿ってみた縦断面図である。
【図3】同樹脂成形品10の一部の平面図とこの平面図の一部の縦断面である。
【図4】図3のブロッキング防止突起19を中心にしてみた部分縦断面図である。
【図5】同樹脂成形品10の複数を積み重ねたときの部分断面図である。
【図6】同樹脂成形品10が適用されて、右半分を正面図にした本体の縦断面図である。
【図7】同樹脂成形品10を平面視円形のものに適用した場合の平面図である。
【図8】請求項1に係る樹脂成形品10の、黒色双方向矢印の左右に力が掛かっていない場合と掛かっている場合とを同時に示した部分断面図である。
【図9】請求項2に係る樹脂成形品10の、黒色双方向矢印の左右に力が掛かっていない場合と掛かっている場合とを同時に示した部分断面図である。
【図10】請求項3に係る樹脂成形品10の、黒色双方向矢印の左右に力が掛かっていない場合と掛かっている場合とを同時に示した部分断面図である。
【図11】特許文献1の技術を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以上のように構成した各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態に基づいて説明すると、図1には、本発明に係る樹脂成形品10であって蓋体10bに適用した場合が示してある。この樹脂成形品10は、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ乳酸等の熱可塑性合成樹脂を材料とした合成樹脂シートを、真空または圧空成形、つまりシート成形したものである。この場合、合成樹脂シートとしては、厚さが、0.15mm〜0.8mmのものを採用したが、中でも、厚さが0.35mm〜0.40mmのものが最適であった。なお、図6には、本発明に係る樹脂成形品10であって本体10aに適用した場合が示してある。
【0035】
この実施例に係る樹脂成形品10は、前述したように、図示しない容器に嵌合される蓋体10bに適用した場合のものであるが、容器10aにも適用することができる。この樹脂成形品10を容器10aに適用した場合は、各部の構成が蓋体10bの場合と上下が逆になるだけで、各部の機能あるいは効果は蓋体10bの場合と全く同じであるので、実施例を示す図面中に「枝番」が「a」である符号を()内に付すか、図7に示して、容器10aに適用した樹脂成形品10の説明は省略する。
【0036】
さて、樹脂成形品10である蓋体10bは、図1の(a)にて示したように、図示外側から、概略四角形状のフランジ11と、このフランジ11に連なっている立ち上げ壁12bと、この立ち上げ壁12bによって支持されている天板面13bとを備えているもので、天板面13bの4つの隅角が角部14となっているものである。フランジ11の各隅角部には、図1の(b)、図2及び図4に示したように嵌合部11aが形成してあり、これらの嵌合部11aにて図示しない容器のフランジに嵌合されたときの係止を行うものである。
【0037】
なお、上述したフランジ11と立ち上げ壁12bとの境界部分には、図1の(a)及び図5に示したようにブロッキング防止突起19が形成してあり、これらのブロッキング防止突起19は、図5に示したように、複数の当該蓋体10bを積み重ねたときの、ブロッキング(蓋体10b同士が互いに嵌り込んで、取り出しにくくする現象)防止を果たすものである。
【0038】
各角部14には、図1及び図3に示したように、当該樹脂成形品10の略中心に向かう中心線14a(図1の(a)では右上の角部14にだけ示してある)に対して交差する溝部15が形成してある。この溝部15は、図3及び図8に示したように、断面でみたとき、下端で繋がった外側面15aと内側面15bとによって構成したものであり、これによって当該溝部15は、断面が略V字状になっているものである。
【0039】
なお、当該樹脂成形品10が、角形(平面視四角形状)である場合は、角部が変形し白濁し易いので、本明細書で定義している「溝部15」を各「角部14」近傍に設けるようにすると、より効果的となる。
【0040】
各溝部15を構成している外側面15a(図3でみた場合右側面)は、内側面15b(図3でみた場合右側面)よりも急な斜面となるようにしてあり、これによって、天板面13bに押圧力が加わった際に、まず内側面15bが天板面13bの降下に伴った変形をするようにしてある。
【0041】
そして、この溝部15を各角部14の近傍に形成するにあたっては、天板面12bの一部が残留部16として残るようにして、これによって、この残された残留部16に補強リブ17を形成したり、あるいはこの残留部16自体を立ち上げ壁12bの上端に傾斜状態で連ならせることもできるようにしてある。実施例に係る残留部16では、図3及び図9に示したように、傾斜させたり湾曲させたりしてある。
【0042】
各補強リブ17は、図1の(a)及び図10に示したように、残留部16に、溝部15に交差するように形成したもので、各残留部16の、従ってこの残留部16が形成されている角部14の補強を文字通り行うものである。
【0043】
このようにした樹脂成形品10の天板面13bや各角部14の近傍に、図8〜図10の黒色双方向矢印の右側にて示すように、押圧力が加わると、溝部15、残留部16及び補強リブ17が変形するが、これらの変形は、各部を上記のように構成したから、合成樹脂の弾性変形範囲を超えるものではない。
【0044】
これに対して、天板面13bや角部14への押圧力がなくなると、溝部15、残留部16、及び補強リブ17は、弾性変形範囲を超える変形はしていなかったのであるから、図8〜図10の黒色双方向矢印の左側にて示すように、元の状態に弾性復帰する。
【符号の説明】
【0045】
10 樹脂成形品
10a 容器
10b 蓋体
11 フランジ
11a 嵌合部
12a 側壁
12b 立ち上げ壁
13a 底面
13b 天板面
14 角部
15 溝部
15a 外側面
15b 内側面
16 残留部
17 補強リブ
18 切欠部
19 ブロッキング防止突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂によって形成されて、容器または蓋体となる樹脂成形品であって、
開口部のフランジに連なる側壁と、この側壁によって囲まれる底面との間、または、前記フランジに連なる立ち上げ壁と、この立ち上げ壁によって囲まれる天板面との間に、角部を形成し、この角部の全部または一部の近傍に、外側面とこれより緩い斜面とした内側面とを有する溝部と、この溝部の外側になる残留部とを形成したことを特徴とする樹脂成形品。
【請求項2】
前記残留部を前記側壁または立ち上げ壁に対して傾斜しながら連続するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
【請求項3】
前記残留部または外側面に、前記溝部に交差する補強リブを形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−37477(P2011−37477A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186037(P2009−186037)
【出願日】平成21年8月10日(2009.8.10)
【出願人】(396000422)リスパック株式会社 (53)
【Fターム(参考)】