容器内で当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させるための方法、装置、システム、及び熱交換器
本発明の一態様は、容器34内の、当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させるための方法に関し、少なくとも1つの熱交換器が容器内で構成される。一目的は、物質の温度を比較的速く変化させることができることを達成することである。これは、物質を移動するためのポンピング手段を有すること、熱交換器と物質の間で熱を交換すること、熱交換器と物質の間での増大された熱交換のために、ポンピング手段で物質を移動すること、容器内側で物質を移動することによって、ポンピング手段で物質を攪拌することによって得られる。物質が移動されたときには、よどんだ物質が熱交換のために熱交換器と接触するだけではない。熱交換器と接触する物質の量がそれによって大きく増大され、熱伝達が物質の熱伝導率に依存することが少なくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内で当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させるための方法に関し、少なくとも1つの熱交換器が容器内に配置される。さらに本発明は、装置、システム、及び熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、物質を保持するためのタンクは、物質内に潜入された渦巻き式熱交換器(spiral heat exchanger)を、又はそのような物質を加熱するためにタンクの周りに巻かれた螺旋熱交換器(helical heat exchanger)を備えることができる。物質の加熱は、例えば、物質を調理するため、物質の粘度を変更するため、物質内の化合物間の化学的工程を速めるためなど、様々な目的で行われる可能性がある。
【0003】
熱交換器の能動表面は、物質の望ましい温度と少なくとも同程度の高さの温度に加熱される。すなわち温度差がある。短時間で所望の温度を得るために、通常、その温度差が増大される。しかし、その物質、或いはその物質の1つ又は複数の小部分が高温に対して敏感である場合、熱交換器の温度は、許容最大温度以下で維持しなければならない。いくつかの物質については、この最大温度が非常に低い可能性があり、大量のその物質がタンク内に置かれている場合、その物質を加熱するための時間は、非常に長くなるおそれがある。物質を冷却するときにも同じ問題がある。この現象はまた、雪だるまから知られている。雪だるまの場合のように雪が大きな玉の形に固められたときには、芝生上に降って固められずに積もっている同量の雪に比べて、溶けるのに非常に長くかかる。
【0004】
温度変化が非常に長い状況の一例が、プラスチック容器内の大量の(bulk)植物性油である。そのようなプラスチック容器は、例えば、Trans Ocean Distribution(www.todbulk.com)にて、又はJohn S Braid&Co Ltd(www.braidco.com)にて入手可能なものなど、千から数千リットルの容量を有するフレキシタンク(flexitank)などとして知られる。輸送中には、周囲温度が油の融点より低くなる可能性があり、それによって、油は徐々に凝固する。容器を空けるためには、凝固された油を最終目的地で溶解しなければならない。したがって、容器は、油で充填される前に、最初から加熱用ブランケット上に置かれる。最終目的地に到着した後で、加熱用ブランケットを数日、例えば、容器のサイズに応じて4日から5日の間、活動化させなければならず、その後で、油が溶解し、開栓して出すことができる。この長い期間は、主に、その大量の油と、熱ブランケットの温度を制限しなければならないことによって引き起こされる。この制限は、ある温度に耐えることができるにすぎない、容器が作られているプラスチック材料によって引き起こされ、より重要なことには、植物性油は、加熱されすぎた場合、真に(sincerely)品質が劣化することになる。また、加熱用媒体(水又は蒸気)の圧力を増大することができない。というのは、加熱用ブランケット内の管、及び継手が、高圧による増大した負荷に耐えるように寸法決めされないからである。
【0005】
別の加熱用システムが米国特許第2522948号に述べられており、水又は何らかの他の液体を冷却するために使用される。この液体は、シェル内のいくつかの平行管からなる熱交換器を介してタンク内に汲み上げられる。管を通過すると、次いで、冷却された液体は、タンク内側の最も遠い、シェルの他方の開いた端部から進み、残りの液体と混合される。液体は、タンクの底部の出口から汲み出され、所望の温度に達するまで循環される。この熱交換器は、おそらくは加熱するために使用することもできるが、ポンプは、液体に対して作用するにすぎず、当初部分的に凝固された、汲み上げ可能でない物質に対して作用しない。さらに、熱交換後の液と残りの物質との間での熱の交換は、あまり効果的でない可能性がある。というのは、液体は、単にシステムの周りで循環されるにすぎず、次いで混合は、熱交換器の内部端に近接して行われるにすぎないからである。これは、タンク内側の異なる位置での大きな温度差に通じ、冷却時間全体がより長くなる。また、このシステムは、タンクの外側でかなりの量の空間を占有する。というのは、液体、それによって配管が、一端からタンクを離れ、おおよそ他方に進入する。したがって、タンクに対するいくつかの継手、及びタンク内の開口、並びにタンクの外側の主要部に対するアクセスが必要とされ、これは必ずしも実用的でない。
【0006】
米国特許第6002838号は、排出中に加熱される液体を貯蔵及び排出するためのタンクについて述べている。このタンクは、2つのチャンバに分割され、間に比較的小さな開口だけを有し、熱交換器が最も小さい方のチャンバ内に配置される。液体は、熱交換器を介して汲み出され、その一部は直ちに排出され、残りの部分は、再び小さいチャンバ内に汲み上げられる。やはり先に述べた特許の場合と同様に、液体の一部が再循環され、残りの液体を加熱する助けとなる。しかし、攪拌効果は得られない。また、上述の方法は、内蔵チャンバを有する貯蔵タンクの特別な設計を必要とし、したがって、その方法は、標準的なタンクに適用可能でない。最後に、その方法は、当初汲み上げ可能な状態にない物質を加熱する問題を解決することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一目的は、当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質で充填されたタンク全体の温度を比較的速く上昇させることができることを達成することである。他の目的は、やはり限られた温度差又は最大温度が許されるにすぎないとき、比較的速い温度の上昇を得ることである。
【0008】
他の目的は、他所の説明から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、請求項1で特許請求されているように、当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させる方法であって、物質を移動するためのポンピング手段が設けられており、
a)熱交換器と物質の間で熱を交換するステップと、
b)熱交換器と物質の間での増大された熱交換のために、ポンピング手段で物質を移動するステップと、
c)容器内側で物質を移動することによって、ポンピング手段で物質を攪拌するステップとを含む方法を提供する。
【0010】
当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質が、ステップb)に従って移動されたときには、よどんだ物質が、ステップa)による熱交換のために熱交換器と接触するだけではない。熱交換器と接触する物質の量がそれによって大きく増大され、熱伝達が物質の熱伝導率に依存することが少なくなる。物質が、ステップc)に従ってさらに攪拌されると、熱交換器と接触した後の物質が熱交換器から輸送され、残りの物質と混合されることが達成され、それによって、やはり熱交換後の物質と残りの物質との間で熱交換が行われることになり、これは、単に熱を熱交換器と交換することに比べて大きな改善となる。また、ステップc)によって、熱交換器から離れて配置された物質が熱交換器に輸送されることが達成され、それによって、熱交換器は、物質すべてと短時間で熱を交換することができ、これもやはり、物質の熱伝導率に対する依存を減少させる。
【0011】
本方法においては、好ましくは、熱交換器が、容器内の物質に熱を伝達するための外部熱源(source)手段に連結されることができ、熱源手段及びポンピング手段は、物質の温度を制御するための制御手段によって調整される。このようにして、熱を物質に、又は物質から伝達するための外部熱源手段は、熱伝達が行われる場所に設けることを必要とするにすぎない。熱源手段及びポンピング手段を調整することによって、物質のより寛大な処理を、例えば過熱を防止するために、またさらに、物質の温度範囲の完全制御を達成するために、例えば、熱源手段に、又は熱源手段から伝達される熱量に対して時間単位当たり汲み上げられる物質量を調節することによって達成することができる。
【0012】
熱交換器は、好ましくは、細長い円筒形の表面を備えることができ、ステップb)を実行したとき前記表面に沿って物質を案内するために案内手段を設けることができ、前記案内手段は、ポンピング手段に連結される。物質が熱交換器の表面に沿って案内されると、物質がその表面に沿って熱交換器と相互作用することができ、その表面の、ある限定された一部に制約されない可能性があるため、物質と熱交換器の間で熱伝達が向上される。
【0013】
好ましい実施例では、案内手段は、熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備えることができ、前記ハウジングは、ステップc)を実行したとき物質を分配するために、ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える。これによって、物質と熱交換器の間で熱伝達が改善され、並びにその開口を介して分配されたとき物質の攪拌効果が得られる。静止状態にある物質に、又はその物質から熱を伝達することに比べて、分配、及びその結果として得られる攪拌効果により、物質の全体量への、又はそこからの熱伝達が大きく改善される。熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備える案内手段により、本方法が凝固された物質を溶解することを含む場合には、案内手段内に容れられた物質が、まず熱交換器からの熱で溶解される可能性があり、その後で、溶解された物質が、依然として凝固されている物質の残りの部分に分配される可能性があり、それによって、その部分に対する熱の直接伝達を達成することができる。
【0014】
ステップc)は、好ましくは、攪拌されたとき流速を高めるために、物質が少なくとも1つのノズルのような手段を介して移動されることを含むことができる。流速を高めることによって、攪拌効果が改善され、それによって、物質への、又は物質からの熱伝達もまた改善される。様々な位置で、また様々なサイズのいくつかのノズル又はノズルのような手段を有することによって、加熱された物質の、非加熱物質との混合をタンクのあらゆる部分で、また熱交換器から最も遠い隅部でさえも達成することができるように、攪拌を非常に制御することができる。最も簡単な設計では、ノズルは、穴とすることができる。
【0015】
外部熱源手段は、好ましい実施例では、水を加熱するための手段を備えることができる。水を加熱するための手段は、一般に比較的低コストで使用可能である。水は環境に対して中性であり、かなりの量の水が誤って漏れた場合、損害はない。
【0016】
本方法は、好ましくは、物質が当初少なくとも部分的に凝固された状態にある形で、また、ステップb)及びステップc)を開始する前に、少なくとも、かなりの量の物質が溶解されるまで、ステップa)に従って熱が熱交換器と物質の間で交換される形で使用することができる。本方法は、部分的に凝固された物質を溶解するために、特に好適である。
【0017】
本方法の好ましい使用は、食用の凝固された油又は脂肪を溶解するためのものである。例えば植物由来の油又は脂肪は、しばしば、農場の近くで、又は加工工場で、それらが使用される所から遠く離れた場所で生産される。したがって、これらは船で輸送され、途中数日又は数週間となる可能性があり、それにより、周囲温度によって溶解温度より低い温度に冷却されるのに十分な時間が与えられる。そのような油又は脂肪を貯蔵する容器を空けるために、その油又は脂肪を溶解し、抜き取ること、又は汲み上げることを可能にしなければならない。
【0018】
さらに、熱交換器が容器内側に配置されるため、本装置は、容器の輸送中でも加熱工程それ自体の間でも、最小限の空間を必要とするにすぎない。したがって、本加熱方法は、自由空間が制限される場合でも使用することができる。さらに、本発明による熱交換器は、単に容器内に入れられ、1カ所に取り付けられるにすぎず、したがって、容器の他の側に対するアクセスは必要でない。また、これは、輸送中の追加の(extra)安定性及び強度のために、運送用容器内側に配置されたフレキシタンク上に当初注ぎ込まれる、例えば食用油又は脂肪のような物質に対して使用されたとき、非常に有利である。ここでは、次いで、フレキシタンクに対するアクセスが、容器のポートのすぐ内側でフレキシタンクの片側だけに限定されるが、述べられている発明を使用することにより、問題は引き起こされない。
【0019】
さらに本発明は、容器内で当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させるための装置に関し、前記装置は、熱交換器が容器内に配置されたとき熱を物質と交換するように適合された少なくとも1つの熱交換器を備え、容器内で物質を移動するためのポンピング手段及び案内手段をさらに備え、前記ポンピング手段及び案内手段は、物質が移動されたとき物質を攪拌するように、また熱交換器と物質の間で熱交換を増大するように適合される。熱が容器内で物質と熱交換器の間で交換され、物質を攪拌するようにポンピング手段及び案内手段によって物質が移動されたときには、よどんだ物質が、熱交換のために熱交換器と接触するだけではなく、それによって、熱交換が大きく改善される。熱交換器と接触する物質の量が増大され、熱交換は、物質の熱伝導率にあまり依存しなくなる。
【0020】
本発明による本装置の好ましい実施例は、従属請求項11〜13の主題である。
【0021】
さらに本発明は、物質を貯蔵するように適合された容器と、容器内側で、少なくとも1つの細長い円筒形の表面を有して構成された熱交換器と、熱交換器の前記表面に沿って物質を案内するように適合された案内手段とを備えるシステムに関し、前記案内手段は、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備え、また物質の流れを受けるように適合され、ハウジングは、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える。
【0022】
本発明による本システムの好ましい実施例は、従属請求項15〜18の主題である。
【0023】
さらに本発明は、物質と熱交換するように適合された細長い、実質的に円筒形の区間を備える熱交換器に関し、ハウジングを備える案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成され、また前記区間に沿って前記物質の流れを受け、案内するように適合され、ハウジングは、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える。
【0024】
本発明による熱交換器の好ましい実施例は、従属請求項20〜24の主題である。
【0025】
以下、本発明の諸実施例を示す図面を参照して、本発明について述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
いくつかの異なる管が図に示されており、前記管を連結し組み立てるための溶接、ろう付けなどを有さずに示されている。しかし、そのような連結は当業者にとって些細なものであり、したがって、簡単にするために省かれている。図1〜3及び9〜10における熱交換器の相対寸法は、本質的に一定の割合で示されている。
【0027】
図1a及び1bは、開口7を有するハウジング6を含む案内手段を備える熱交換器2を示す。熱交換器2は、開口18、19、20、21、24をさらに備える。開口19及び20は、熱を熱交換器に、又は熱交換器から伝達するための熱源手段、例えば開口を介して熱交換器2にリサイクルされる加熱された水又は蒸気を連通するように適合される。熱交換器2内で内部流路を形成するために、管区間31〜33が設けられる。熱交換器は、開口24を有する出口部29をさらに備え、開口24は、開口18に連結される。出口部29は、カップリングを受けるように適合された円筒形の区間14を備える。
【0028】
図2及び図3は、第1の端部9及び閉じられた第2の端部10を有する管8によって形成された細長い円筒形の区間4を備える熱交換器2を示す。管8は、管32に、またそこから開口20に連結される。管8の内側では、閉じられた第1の端部10のそばに(by)配置された、開いた第1の端部16を有する、第2の管15が構成される。管15は、第2の端部17のそばで管33に連結され、管33は、上向きに、開口19内に延びる。管8は、ここではいくつかの開口7を有する管によって形成されたハウジング6である案内手段によって同心円状に囲まれ、前記開口は、上向きに、また横向きに指していることが好ましい。ハウジング6は、管31に、またそこから開口21に連結される。出口部29は、ハウジング6の周りで接続され、開口24を備える。出口部29は、開口18に対する連結をさらに含む。
【0029】
図4は、ハウジング6、及び細長い円筒形の表面4、並びに円筒形の区間14を含む出口部29を有する熱交換器2を示す。熱交換器2は、図示されていない容器の壁25に接続され、ハウジング6及び表面4が容器内に長さLで延びる。長さLは、熱交換器の機能を、活動化されたとき向上させるために、本質的に容器の長さ/奥行き/幅に対応することが好ましい。熱交換器2は、管23と出口部29の円筒形の区間14との間のどのような間隙をも効果的に閉じる、図示されていないカップリング、例えばストラウブ(Straub)で、管23に連結される。管23は、壁25に接続されるフランジ27及び26に連結される。管23を接続するためにボルト28が使用される。このようにして、図示されていない開口24−例えば図2参照−は、容器から管23を介して物質を受けることができる。図5a及び図5bでは、熱交換器2は、フランジ26及び27を介して、容器34の壁25に接続される。ハウジング6及び細長い円筒形の表面4は、容器34内に延びている。
【0030】
図6は、図5a及び図5bに示されているように配置された熱交換器2を示す。容器34、ハウジング6、及び細長い円筒形の表面4は、説明を簡単にするために省かれている。熱伝達媒体は、ボイラ、例えば石油燃焼型44内で加熱され、連結37を介して開口20に輸送される。遮断弁35及び36が、開口19及び20のそばに設けられる。熱伝達媒体は、開口19を介して脱出し、連結38を介して移送ポンプ42に輸送される。熱伝達媒体は、移送ポンプから、連結39を介してボイラ44に返送される。膨張容器43が、連結40を介して連結38に連結される。当業者にとって些細なものである様々な継手、弁などは、説明を簡単にするために省略されている。当然ながら、熱交換器を介した熱伝達媒体の輸送方向は、逆転することができる。
【0031】
図7では、連結50を介して、遠心力ポンプ48から熱交換器2内の開口21に物質が汲み上げられる。遮断弁45及び46が、開口18及び21のそばで設けられる。温度計47が、物質の温度を監視している。容器からの物質は、開口18を介して脱出し、連結49を介して遠心力ポンプ48に送られる(remitted)。当業者にとって些細なものである様々な継手、弁などは、ここでもやはり説明を簡単にするために省略されている。
【0032】
図6及び図7の両方に示されている外部品は、熱交換器2を動作させるために同時に連結されることになることを理解されたい。2つの別個の図を用いたのは、説明を簡単にするためのものにすぎない。ボイラ44、移送ポンプ42、及び遠心力ポンプ48を制御するための手段は示されていない。
【0033】
本発明の他の実施例では、ポンピング手段の前又は後で、追加の熱交換器を外部システムに適用し、このようにして加熱工程を加速することができる。
【0034】
図8は、第1の端部9及び閉じられた第2の端部10を有する管8によって形成された細長い円筒形の区間4を備える熱交換器2を示す。管8は、管32に、またそこから開口20に連結される。管8の内側では、閉じられた第1の端部10のそばで配置された、開いた第1の端部16を有して、第2の管15が構成される。管8は、第2の端部17のそばで管33に連結され、管33は、上向きに、開口19内に延びる。熱伝達媒体は、開口20を介して進入し、矢印Aにより指示された方向に搬送される。管8の閉じられた第2の端部10のそばで、熱伝達媒体の方向が逆転され、第2の管15に、その第1の端部16のそばで進入する。熱伝達媒体は、矢印Bによって示されている方向で、開口19を介して脱出する。管8は、ここではいくつかの開口7を有する管によって形成されたハウジング6である案内手段によって同心円状に囲まれ、前記開口は、上向きに、また横向きに指していることが好ましい。ハウジング6は、管31に、またそこから開口21に連結される。物質は、開口21を介して進入し、ハウジング6内の開口7に向かって搬送され、そこから物質が熱交換器2から離れて移動される。流れの方向は、矢印Cによって示される。これによって、物質はまず、表面4を介して熱伝達媒体と熱を交換することが可能になり、その後で、熱交換器を囲む物質内で攪拌効果を得るように、開口7を介して移動される。出口部29は、ハウジング6の周りで接続され、開口24を備える。出口部29は、開口18に対する連結をさらに含む。これによって、熱交換器を囲む物質は、開口18を経て、出口部29内の開口24を介して抜き取ることができる。開口7は、物質の速度を高め、攪拌効果を向上させるために、ノズルを備えることができる。
【0035】
通常、熱交換器2は、本質的にポリマー材料製のフレキシタンクなど、容器内で取り付けられる。遮断弁が開口18〜21内に取り付けられる。次いで、好ましくは開口18を介して、或いは容器の頂部内の開口を介して、汲み上げ可能な物質が容器内に充填される。容器内の閉じ込められた空気は、例えば抽気弁を使用することによって通気される。容器を充填した後で、出口部29及びハウジング6は、物質で充填されることになる。次いで、容器は、貯蔵室内に置く、又は異なる場所に輸送することができ、そこで物質は、やがて汲み上げ可能でない稠度に凝固する可能性がある。その場合には、加熱された媒体、例えば温水が、図8に関連して上述した管8及び15を介して、ある時間の間循環される。これにより、少なくともハウジング6及び出口部29内の物質が、汲み上げ可能な稠度に再構成され、物質の循環が開始される。物質の循環については、図8に関連して上述されている。物質がハウジング6内の開口7を脱出したとき、ハウジング内の圧力が流体の運動エネルギーに伝達される。ここで、物質は、ポンプによって加えられた圧力に応じた速度で、またハウジングに対して実質的に半径方向へ移動される。このようにして、熱交換後の物質は、熱交換器2から離れたある距離で、凝固された物質に影響を及ぼし、それによって、熱伝達を改善することができる。物質が移動される方向及び速度は、開口7の配置及び寸法設定によって制御される。このようにして、加熱された物質が、熱交換器のすぐ周りでだけでなく、タンク全体内で残りの物質と混合されることが達成されたとき、攪拌効果が得られる。これは、よどんだ物質を介して熱を伝達することに比べて、熱伝達を大きく改善する。攪拌効果は、開口7を、管の寸法に比べて比較的小さい穴として形作ることによって得ることができる。また、その開口は、移動される物質の運動エネルギーをさらに増大するために、ノズルを備えることができる。物質の一部又はすべての適正な粘度を得た後で、例えば汲み上げによって、又は容器を傾けることによってなど重力を使用することによって、所望の量の物質を容器から取り出すことができる。
【0036】
熱伝達媒体を熱交換器内で循環させることに対する代替として、熱交換器は、内蔵電気加熱用要素を備えることができる。
【0037】
図9には、本発明による熱交換器2の一実施例が示されている。先の諸実施例の場合と同様に、熱交換器2は、図5aに示されているのと同様に容器(図示せず)の内部に延びる、また全長が容器の寸法に対応する細長い円筒形の区間4を備える。加熱用媒体は、細長い円筒形の区間4内を流動し、円筒形の区間4を囲むハウジング6内の物質を加熱する。加熱用媒体、例えば水又は蒸気は、開口19、20を介して熱交換器に進入し、そこを離れる。汲み上げられた物質は、開口21を介してハウジング6に進入し、ハウジング内の物質の圧力エネルギーを運動エネルギーに変更するノズルとして働くいくつかの開口又は穴7を介してハウジング6を離れる。ハウジング6の断面が、図内で拡大されて示されている。ここでは、開口7の配置が詳細にわかる。そのような穴(それらのうち、図が見やすいようにいくつかが示されているにすぎない)は、ハウジング6の長さ全体に沿っていくつかの位置で配置される。穴の位置及びサイズによって、移動される物質の、結果的に得られる方向が、その速度と共に決定される。したがって、穴は、容器内のあらゆる所で物質の最大限の攪拌及び混合を得るように配置される。図9に示されている熱交換器2は、容器の底部に近接して、また少し片側に寄って取り付けられるように設計されるため、穴7は、ハウジング6の上側内で配置される。さらに、開口90の寸法は、開口から容器壁までの距離が最長である場合に、移動される物質の最高の速度を得るように設計される。開口のノズル効果をさらに向上させるため、開口の縁部はレーザ切断することができ、それによってばりが回避される。
【0038】
先に述べられているように、物質は、出口部29内の開口24を介して容器から抽出され、開口18を介して熱交換器を離れる。この実施例では、出口部29は、容器内へとある距離に達し、図9に含まれる展開図からわかる多数の小さな穴91を備える。これらの小さな穴は、出口部内側と外側の物質の間の圧力差により、出口部29がつぶれる、又は折り重なるのを防止する。熱交換器2は、ボルトなど従来の手段によって、フランジ26及び27部で容器上に取り付けられる。
【0039】
熱交換器2の同様の実施例が、図10a〜cに、それぞれ側面図、上面図、端面図で示されている。物質は、図9に関して述べられているのと同じ方法で熱交換器に進入し、そこを離れる。この実施例では、加熱用媒体は、開口19を介して、第1の管に対して本質的に平行な第2の管94に連結される1つの管93を介して進み、開口20を介して脱出する。これは、図10bで最も明瞭にわかる。管93、94は、ハウジング6内で、その長さ全体で進む。この代替の実施例は、高い加熱効率を生み出す際に有利であり、簡単且つ安価に製造される。
【実施例1】
【0040】
容積1m3を有する1×1×1m鋼製タンクが、図1〜3及び図8に対応する設計を有する熱交換器を備える。ハウジング6は、83×80mm鋼管(内径80mm及び外径83mm)製である。管8は、63×60mm鋼管製であり、管15は、32×30mm鋼管製である。長さLは0.9mであり、ハウジング6は、上向きに面する2つの開口7と、横向きの4つの開口7(各側に2つ)とを備え、前記開口7は、直径10mmを有する。鋼製タンク内には、800kgのConfao(商標)35が充填された(供給者は、デンマーク、オールフス8000のAarhus United)。Confao(商標)35は、非ラウリン酸(non−lauric)由来の硬化植物性油を主成分とする糖脂肪(confectionery fat)であり、以下の典型的な値を有する。
− スリップ融点(slip melting point)=37℃(AOCS Cc3−25による)
− トランス脂肪酸=43%(IUPAC2.304による)
【0041】
植物性油は、典型的には、以下の熱関連の値を有する。
− 液体脂肪:比熱容量(specific heat contents)=2.1kJ/(kgK)
− 融解熱=185〜210kJ/kg
【0042】
充填後、タンクは、セ氏5度の温度を有する貯蔵室内で3日間貯蔵され、それによって、油は凝固される。熱伝達媒体として使用される加熱された水が、図6に関連して述べたように、熱交換器内で循環される。熱交換器内の凝固された油が溶解された後で、溶解された油の移動及び循環が開始され、油すべてが溶解され油の均一な温度が得られるまで、継続される。
【0043】
熱伝達媒体(水)の温度90℃、75℃、65℃で、それぞれ3回行われた。熱交換器を介した水の流量は、約1リットル/秒であった。4回目は、熱伝達媒体として、圧力1.8バールで、温度131℃を有する蒸気を用いて実行された。4回すべてによって、タンク内の油の温度が、開始時及び終了時に登録された。また、使用された時間が登録された。
【0044】
【表1】
【実施例2】
【0045】
Braid&Coからの24,000リットルの多層使い捨てフレキシタンクが、20フィート・ドライ・コンテナ内で配置された。フレキシタンクには、図5aに示されている熱交換器が取り付けられた。熱交換器(図8と比較)は、長さ5.3メートル、直径は84mmであった。外部円筒形ハウジングは、材料の流れを分配するために、2つの側部と上部で均一に分布する20個の10mm開口を有していた。
【0046】
次いで、フレキシタンクは、17.5メートル・トンのShokao(商標)94(デンマークのAarhus United)で充填された。Shokao(商標)94は、融点32℃を有する、分留非硬化(fractionated and unhydrogenated)非ラウリン酸油を主成分とするココア・バター・リプレーサ(replacer)である。脂肪は多型的であり、ココア・バターのように挙動する。脂肪を冷却及び結晶化するために、平均温度約2℃で6週間の間、容器が屋外に置かれた。熱交換器は、図6に示されている加熱用手段を用いて適合された。位置42のポンプは、流量11m3/時で水を循環するように調整されたGrundfoss CP8−40であった。さらに、熱交換器は、図7に示されている循環用手段を用いて適合された。位置48のポンプは、流量15m3/時に調整されたKSB Etachrom BC032−125/302であった。水及びテスト材料を循環するためのライン内に、温度プローブが設置された。同様に、フレキシタンクの頂部内にプローブが設置された。温度はすべて、10分間隔で同時に記録された。
【0047】
テストは2004年2月24日に開始され、開始手順は、実施例1に述べられているものと同様である。以下の結果が得られた。
【0048】
【表2】
【0049】
10時間から40時間の時間間隔において、溶解は、循環油の一定な温度によって示されるように定常状態にある。さらに、フレキシタンクの頂部での材料の融点以上にある温度によって示されるように、大量の材料が35時間から40時間の時間間隔において溶解されることがわかる。検査したとき、固体材料のわずか約1cmの層が、フレキシタンクの遠位端部に残されていることが明らかになった。
【0050】
テストの終了時に、物質を抜き取り、約30kgの物質がフレキシタンク内に残った。
【実施例3】
【0051】
この実施例は、熱交換器及び攪拌ユニットが最適化され、熱伝達を増大するために、外部熱交換器が、溶解された物質の回路内に組み込まれていることを除いて、基本的に実施例2の継続である。さらに、取り扱い中に劣化しやすい食品用品質の物質に対して使用される本発明概念の産業上の利用可能性を証明するために、物質が別の大陸に移動された。
【0052】
Braid&Coからの24,000リットルの多層使い捨てフレキシタンクが、20フィート・ドライ・コンテナ内で配置された。フレキシタンクには、図5aに示されている熱交換器及び攪拌ユニットが取り付けられた。熱交換器(図9及び図10a〜c参照)は、長さ5.3メートルを有し、直径は76mmであった。外部円筒形ハウジングは、材料の流れを分配するために、ハウジングの長さに沿って、2つの側部と上部で均一に分布する、単純なノズルとして働く35個の開口又は穴を有していた。ハウジング内の開口は、直径の異なるものであり、物質の徹底的な攪拌効果を確保するように位置決めされた(図9と比較)。次いで、フレキシタンクは、20.5メートル・トンのIllexao(商標)30−61(デンマークのAarhus United)で充填された。Illexao(商標)30−61は、スリップ融点34℃を有する分留非硬化の外来油(exotic oil)を主成分とするココア・バター同等品である。脂肪は多型的であり、ココア・バターのように挙動する。冷却後、容器は、通常コンテナ貨物としてブラジルに運送された。到着したとき、容器は、屋根付き領域内で配置され、熱交換器は、図6に示されている加熱用手段を用いて適合され、循環する溶解物質の回路内には、外部熱交換器が設置された(図7)。
【0053】
物質の加熱及び溶解は、以下のパラメータで実行された。
− 周囲温度−約20℃(夜間)及び35℃(日中)
− 加熱用水の流量−12m3/時
− 循環する溶解物質の流量−15m3/時
【0054】
水及び溶解された物質を循環するためのライン内に、温度プローブが設置された。同様に、フレキシタンクの頂部内にプローブが設置された。温度はすべて、3分間隔で同時に記録された。テストは2005年1月11日に開始され、開始手順は、実施例1に述べられているものと同様である。以下の結果が得られた。
【0055】
【表3】
【0056】
10時間から20時間の時間間隔において、溶解は、循環油の一定な温度によって示されるように定常状態にある。さらに、循環する物質とフレキシタンクの頂部とのほとんど同一の温度によって示されるように、大量の材料が20時間後に溶解されることがわかる。溶解された物質を荷下ろしした後で、検査により、25kg未満がフレキシタンク内に残されていることが明らかになった。
【0057】
積み込み前と溶解後に測定された解析値により、物質は、完全な取り扱い手順によって品質が損なわれていないことが証明された。わずかな酸化劣化又は熱劣化が記録されたにすぎない。
[参考例]
【0058】
この実施例は、本発明時点での現行の使用における現況技術手順に基づく参照である。
【0059】
24,000リットルの多層使い捨てフレキシタンクが、20フィート・ドライ・コンテナ内で、熱パッドとしても知られる加熱用ブランケットの上(on top of)に配置される。次いで、フレキシタンクは、Cebes(商標)30−86(デンマークのAarhus United)で充填される。Cebes(商標)30−86は、スリップ融点35℃を有する分留硬化パーム核油を主成分とするココア・バター代替品である。冷却後、容器は、通常コンテナ貨物としてオーストラリアに運送される。
【0060】
到着したとき、加熱用パッドの管が、循環加熱用水のループに連結される。物質の加熱及び溶解は、以下のパラメータで実行される。
− 加熱用水の流量−圧力低下2.3バールを伴う2.5m3/時
− 加熱用水の入口温度85℃
− 加熱用水の出口温度60℃
【0061】
加熱は、材料すべてが液状となり、いつでも排出できる状態になるまで継続される。以下の結果は、上述のように約240回の納入に基づく平均記録である。
【0062】
【表4】
【0063】
これらの結果から、周囲温度で固体である大量の液体を取り扱うこの方法は、非効果的であり、したがって、それに応じてコストがかかることは自明である。
【0064】
(定義)
本文脈において物質に言及されるときはいつでも、少なくとも1つの条件において、その物質が既知のポンピング手段によって移動可能である速度/稠度を有する任意の材料又は材料の組合せを含めて、広い意味で理解されたい。そのような物質の非網羅的なリストには、下記のものが含まれる。
− 植物性油又は脂肪
− 食用油又は脂肪
− 脂肪アルコール
− ポリグリコール
− ワセリン
− パラフィンろう
− 天然又は合成ゴム
− 樹脂
【0065】
説明において、また図において開示されている本発明は、修正及び変更することができ、それでもなお、以下で特許請求されている本発明の範囲内にあることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1a】本発明による熱交換器の側面図である。
【図1b】図1aに示されている熱交換器の正面図である。
【図2】図1bの断面Y−Yを示す図である。
【図3】図1aの断面X−Xを示す図である。
【図4】容器内に設置された熱交換器の側断面図である。
【図5a】容器内に設置された熱交換器の立面図である。
【図5b】図5aの細部Zを拡大形式で示す図である。
【図6】熱伝達媒体を熱交換器にリサイクルするための簡易回路を示す図である。
【図7】物質をリサイクルするための簡易回路を示す図である。
【図8】熱伝達媒体の、また物質の流れの方向が示されている、図2に対応する断面図である。
【図9】本発明による熱交換器の一実施例を示す図である。
【図10a】側面図で見た、本発明による熱交換器の一実施例を示す図である。
【図10b】上面図で見た、図10aの熱交換器を示す図である。
【図10c】端面図で見た、図10aの熱交換器を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内で当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させるための方法に関し、少なくとも1つの熱交換器が容器内に配置される。さらに本発明は、装置、システム、及び熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、物質を保持するためのタンクは、物質内に潜入された渦巻き式熱交換器(spiral heat exchanger)を、又はそのような物質を加熱するためにタンクの周りに巻かれた螺旋熱交換器(helical heat exchanger)を備えることができる。物質の加熱は、例えば、物質を調理するため、物質の粘度を変更するため、物質内の化合物間の化学的工程を速めるためなど、様々な目的で行われる可能性がある。
【0003】
熱交換器の能動表面は、物質の望ましい温度と少なくとも同程度の高さの温度に加熱される。すなわち温度差がある。短時間で所望の温度を得るために、通常、その温度差が増大される。しかし、その物質、或いはその物質の1つ又は複数の小部分が高温に対して敏感である場合、熱交換器の温度は、許容最大温度以下で維持しなければならない。いくつかの物質については、この最大温度が非常に低い可能性があり、大量のその物質がタンク内に置かれている場合、その物質を加熱するための時間は、非常に長くなるおそれがある。物質を冷却するときにも同じ問題がある。この現象はまた、雪だるまから知られている。雪だるまの場合のように雪が大きな玉の形に固められたときには、芝生上に降って固められずに積もっている同量の雪に比べて、溶けるのに非常に長くかかる。
【0004】
温度変化が非常に長い状況の一例が、プラスチック容器内の大量の(bulk)植物性油である。そのようなプラスチック容器は、例えば、Trans Ocean Distribution(www.todbulk.com)にて、又はJohn S Braid&Co Ltd(www.braidco.com)にて入手可能なものなど、千から数千リットルの容量を有するフレキシタンク(flexitank)などとして知られる。輸送中には、周囲温度が油の融点より低くなる可能性があり、それによって、油は徐々に凝固する。容器を空けるためには、凝固された油を最終目的地で溶解しなければならない。したがって、容器は、油で充填される前に、最初から加熱用ブランケット上に置かれる。最終目的地に到着した後で、加熱用ブランケットを数日、例えば、容器のサイズに応じて4日から5日の間、活動化させなければならず、その後で、油が溶解し、開栓して出すことができる。この長い期間は、主に、その大量の油と、熱ブランケットの温度を制限しなければならないことによって引き起こされる。この制限は、ある温度に耐えることができるにすぎない、容器が作られているプラスチック材料によって引き起こされ、より重要なことには、植物性油は、加熱されすぎた場合、真に(sincerely)品質が劣化することになる。また、加熱用媒体(水又は蒸気)の圧力を増大することができない。というのは、加熱用ブランケット内の管、及び継手が、高圧による増大した負荷に耐えるように寸法決めされないからである。
【0005】
別の加熱用システムが米国特許第2522948号に述べられており、水又は何らかの他の液体を冷却するために使用される。この液体は、シェル内のいくつかの平行管からなる熱交換器を介してタンク内に汲み上げられる。管を通過すると、次いで、冷却された液体は、タンク内側の最も遠い、シェルの他方の開いた端部から進み、残りの液体と混合される。液体は、タンクの底部の出口から汲み出され、所望の温度に達するまで循環される。この熱交換器は、おそらくは加熱するために使用することもできるが、ポンプは、液体に対して作用するにすぎず、当初部分的に凝固された、汲み上げ可能でない物質に対して作用しない。さらに、熱交換後の液と残りの物質との間での熱の交換は、あまり効果的でない可能性がある。というのは、液体は、単にシステムの周りで循環されるにすぎず、次いで混合は、熱交換器の内部端に近接して行われるにすぎないからである。これは、タンク内側の異なる位置での大きな温度差に通じ、冷却時間全体がより長くなる。また、このシステムは、タンクの外側でかなりの量の空間を占有する。というのは、液体、それによって配管が、一端からタンクを離れ、おおよそ他方に進入する。したがって、タンクに対するいくつかの継手、及びタンク内の開口、並びにタンクの外側の主要部に対するアクセスが必要とされ、これは必ずしも実用的でない。
【0006】
米国特許第6002838号は、排出中に加熱される液体を貯蔵及び排出するためのタンクについて述べている。このタンクは、2つのチャンバに分割され、間に比較的小さな開口だけを有し、熱交換器が最も小さい方のチャンバ内に配置される。液体は、熱交換器を介して汲み出され、その一部は直ちに排出され、残りの部分は、再び小さいチャンバ内に汲み上げられる。やはり先に述べた特許の場合と同様に、液体の一部が再循環され、残りの液体を加熱する助けとなる。しかし、攪拌効果は得られない。また、上述の方法は、内蔵チャンバを有する貯蔵タンクの特別な設計を必要とし、したがって、その方法は、標準的なタンクに適用可能でない。最後に、その方法は、当初汲み上げ可能な状態にない物質を加熱する問題を解決することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一目的は、当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質で充填されたタンク全体の温度を比較的速く上昇させることができることを達成することである。他の目的は、やはり限られた温度差又は最大温度が許されるにすぎないとき、比較的速い温度の上昇を得ることである。
【0008】
他の目的は、他所の説明から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明は、請求項1で特許請求されているように、当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させる方法であって、物質を移動するためのポンピング手段が設けられており、
a)熱交換器と物質の間で熱を交換するステップと、
b)熱交換器と物質の間での増大された熱交換のために、ポンピング手段で物質を移動するステップと、
c)容器内側で物質を移動することによって、ポンピング手段で物質を攪拌するステップとを含む方法を提供する。
【0010】
当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質が、ステップb)に従って移動されたときには、よどんだ物質が、ステップa)による熱交換のために熱交換器と接触するだけではない。熱交換器と接触する物質の量がそれによって大きく増大され、熱伝達が物質の熱伝導率に依存することが少なくなる。物質が、ステップc)に従ってさらに攪拌されると、熱交換器と接触した後の物質が熱交換器から輸送され、残りの物質と混合されることが達成され、それによって、やはり熱交換後の物質と残りの物質との間で熱交換が行われることになり、これは、単に熱を熱交換器と交換することに比べて大きな改善となる。また、ステップc)によって、熱交換器から離れて配置された物質が熱交換器に輸送されることが達成され、それによって、熱交換器は、物質すべてと短時間で熱を交換することができ、これもやはり、物質の熱伝導率に対する依存を減少させる。
【0011】
本方法においては、好ましくは、熱交換器が、容器内の物質に熱を伝達するための外部熱源(source)手段に連結されることができ、熱源手段及びポンピング手段は、物質の温度を制御するための制御手段によって調整される。このようにして、熱を物質に、又は物質から伝達するための外部熱源手段は、熱伝達が行われる場所に設けることを必要とするにすぎない。熱源手段及びポンピング手段を調整することによって、物質のより寛大な処理を、例えば過熱を防止するために、またさらに、物質の温度範囲の完全制御を達成するために、例えば、熱源手段に、又は熱源手段から伝達される熱量に対して時間単位当たり汲み上げられる物質量を調節することによって達成することができる。
【0012】
熱交換器は、好ましくは、細長い円筒形の表面を備えることができ、ステップb)を実行したとき前記表面に沿って物質を案内するために案内手段を設けることができ、前記案内手段は、ポンピング手段に連結される。物質が熱交換器の表面に沿って案内されると、物質がその表面に沿って熱交換器と相互作用することができ、その表面の、ある限定された一部に制約されない可能性があるため、物質と熱交換器の間で熱伝達が向上される。
【0013】
好ましい実施例では、案内手段は、熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備えることができ、前記ハウジングは、ステップc)を実行したとき物質を分配するために、ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える。これによって、物質と熱交換器の間で熱伝達が改善され、並びにその開口を介して分配されたとき物質の攪拌効果が得られる。静止状態にある物質に、又はその物質から熱を伝達することに比べて、分配、及びその結果として得られる攪拌効果により、物質の全体量への、又はそこからの熱伝達が大きく改善される。熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備える案内手段により、本方法が凝固された物質を溶解することを含む場合には、案内手段内に容れられた物質が、まず熱交換器からの熱で溶解される可能性があり、その後で、溶解された物質が、依然として凝固されている物質の残りの部分に分配される可能性があり、それによって、その部分に対する熱の直接伝達を達成することができる。
【0014】
ステップc)は、好ましくは、攪拌されたとき流速を高めるために、物質が少なくとも1つのノズルのような手段を介して移動されることを含むことができる。流速を高めることによって、攪拌効果が改善され、それによって、物質への、又は物質からの熱伝達もまた改善される。様々な位置で、また様々なサイズのいくつかのノズル又はノズルのような手段を有することによって、加熱された物質の、非加熱物質との混合をタンクのあらゆる部分で、また熱交換器から最も遠い隅部でさえも達成することができるように、攪拌を非常に制御することができる。最も簡単な設計では、ノズルは、穴とすることができる。
【0015】
外部熱源手段は、好ましい実施例では、水を加熱するための手段を備えることができる。水を加熱するための手段は、一般に比較的低コストで使用可能である。水は環境に対して中性であり、かなりの量の水が誤って漏れた場合、損害はない。
【0016】
本方法は、好ましくは、物質が当初少なくとも部分的に凝固された状態にある形で、また、ステップb)及びステップc)を開始する前に、少なくとも、かなりの量の物質が溶解されるまで、ステップa)に従って熱が熱交換器と物質の間で交換される形で使用することができる。本方法は、部分的に凝固された物質を溶解するために、特に好適である。
【0017】
本方法の好ましい使用は、食用の凝固された油又は脂肪を溶解するためのものである。例えば植物由来の油又は脂肪は、しばしば、農場の近くで、又は加工工場で、それらが使用される所から遠く離れた場所で生産される。したがって、これらは船で輸送され、途中数日又は数週間となる可能性があり、それにより、周囲温度によって溶解温度より低い温度に冷却されるのに十分な時間が与えられる。そのような油又は脂肪を貯蔵する容器を空けるために、その油又は脂肪を溶解し、抜き取ること、又は汲み上げることを可能にしなければならない。
【0018】
さらに、熱交換器が容器内側に配置されるため、本装置は、容器の輸送中でも加熱工程それ自体の間でも、最小限の空間を必要とするにすぎない。したがって、本加熱方法は、自由空間が制限される場合でも使用することができる。さらに、本発明による熱交換器は、単に容器内に入れられ、1カ所に取り付けられるにすぎず、したがって、容器の他の側に対するアクセスは必要でない。また、これは、輸送中の追加の(extra)安定性及び強度のために、運送用容器内側に配置されたフレキシタンク上に当初注ぎ込まれる、例えば食用油又は脂肪のような物質に対して使用されたとき、非常に有利である。ここでは、次いで、フレキシタンクに対するアクセスが、容器のポートのすぐ内側でフレキシタンクの片側だけに限定されるが、述べられている発明を使用することにより、問題は引き起こされない。
【0019】
さらに本発明は、容器内で当初少なくとも部分的に凝固された状態にある物質の温度を上昇させるための装置に関し、前記装置は、熱交換器が容器内に配置されたとき熱を物質と交換するように適合された少なくとも1つの熱交換器を備え、容器内で物質を移動するためのポンピング手段及び案内手段をさらに備え、前記ポンピング手段及び案内手段は、物質が移動されたとき物質を攪拌するように、また熱交換器と物質の間で熱交換を増大するように適合される。熱が容器内で物質と熱交換器の間で交換され、物質を攪拌するようにポンピング手段及び案内手段によって物質が移動されたときには、よどんだ物質が、熱交換のために熱交換器と接触するだけではなく、それによって、熱交換が大きく改善される。熱交換器と接触する物質の量が増大され、熱交換は、物質の熱伝導率にあまり依存しなくなる。
【0020】
本発明による本装置の好ましい実施例は、従属請求項11〜13の主題である。
【0021】
さらに本発明は、物質を貯蔵するように適合された容器と、容器内側で、少なくとも1つの細長い円筒形の表面を有して構成された熱交換器と、熱交換器の前記表面に沿って物質を案内するように適合された案内手段とを備えるシステムに関し、前記案内手段は、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備え、また物質の流れを受けるように適合され、ハウジングは、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える。
【0022】
本発明による本システムの好ましい実施例は、従属請求項15〜18の主題である。
【0023】
さらに本発明は、物質と熱交換するように適合された細長い、実質的に円筒形の区間を備える熱交換器に関し、ハウジングを備える案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成され、また前記区間に沿って前記物質の流れを受け、案内するように適合され、ハウジングは、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える。
【0024】
本発明による熱交換器の好ましい実施例は、従属請求項20〜24の主題である。
【0025】
以下、本発明の諸実施例を示す図面を参照して、本発明について述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
いくつかの異なる管が図に示されており、前記管を連結し組み立てるための溶接、ろう付けなどを有さずに示されている。しかし、そのような連結は当業者にとって些細なものであり、したがって、簡単にするために省かれている。図1〜3及び9〜10における熱交換器の相対寸法は、本質的に一定の割合で示されている。
【0027】
図1a及び1bは、開口7を有するハウジング6を含む案内手段を備える熱交換器2を示す。熱交換器2は、開口18、19、20、21、24をさらに備える。開口19及び20は、熱を熱交換器に、又は熱交換器から伝達するための熱源手段、例えば開口を介して熱交換器2にリサイクルされる加熱された水又は蒸気を連通するように適合される。熱交換器2内で内部流路を形成するために、管区間31〜33が設けられる。熱交換器は、開口24を有する出口部29をさらに備え、開口24は、開口18に連結される。出口部29は、カップリングを受けるように適合された円筒形の区間14を備える。
【0028】
図2及び図3は、第1の端部9及び閉じられた第2の端部10を有する管8によって形成された細長い円筒形の区間4を備える熱交換器2を示す。管8は、管32に、またそこから開口20に連結される。管8の内側では、閉じられた第1の端部10のそばに(by)配置された、開いた第1の端部16を有する、第2の管15が構成される。管15は、第2の端部17のそばで管33に連結され、管33は、上向きに、開口19内に延びる。管8は、ここではいくつかの開口7を有する管によって形成されたハウジング6である案内手段によって同心円状に囲まれ、前記開口は、上向きに、また横向きに指していることが好ましい。ハウジング6は、管31に、またそこから開口21に連結される。出口部29は、ハウジング6の周りで接続され、開口24を備える。出口部29は、開口18に対する連結をさらに含む。
【0029】
図4は、ハウジング6、及び細長い円筒形の表面4、並びに円筒形の区間14を含む出口部29を有する熱交換器2を示す。熱交換器2は、図示されていない容器の壁25に接続され、ハウジング6及び表面4が容器内に長さLで延びる。長さLは、熱交換器の機能を、活動化されたとき向上させるために、本質的に容器の長さ/奥行き/幅に対応することが好ましい。熱交換器2は、管23と出口部29の円筒形の区間14との間のどのような間隙をも効果的に閉じる、図示されていないカップリング、例えばストラウブ(Straub)で、管23に連結される。管23は、壁25に接続されるフランジ27及び26に連結される。管23を接続するためにボルト28が使用される。このようにして、図示されていない開口24−例えば図2参照−は、容器から管23を介して物質を受けることができる。図5a及び図5bでは、熱交換器2は、フランジ26及び27を介して、容器34の壁25に接続される。ハウジング6及び細長い円筒形の表面4は、容器34内に延びている。
【0030】
図6は、図5a及び図5bに示されているように配置された熱交換器2を示す。容器34、ハウジング6、及び細長い円筒形の表面4は、説明を簡単にするために省かれている。熱伝達媒体は、ボイラ、例えば石油燃焼型44内で加熱され、連結37を介して開口20に輸送される。遮断弁35及び36が、開口19及び20のそばに設けられる。熱伝達媒体は、開口19を介して脱出し、連結38を介して移送ポンプ42に輸送される。熱伝達媒体は、移送ポンプから、連結39を介してボイラ44に返送される。膨張容器43が、連結40を介して連結38に連結される。当業者にとって些細なものである様々な継手、弁などは、説明を簡単にするために省略されている。当然ながら、熱交換器を介した熱伝達媒体の輸送方向は、逆転することができる。
【0031】
図7では、連結50を介して、遠心力ポンプ48から熱交換器2内の開口21に物質が汲み上げられる。遮断弁45及び46が、開口18及び21のそばで設けられる。温度計47が、物質の温度を監視している。容器からの物質は、開口18を介して脱出し、連結49を介して遠心力ポンプ48に送られる(remitted)。当業者にとって些細なものである様々な継手、弁などは、ここでもやはり説明を簡単にするために省略されている。
【0032】
図6及び図7の両方に示されている外部品は、熱交換器2を動作させるために同時に連結されることになることを理解されたい。2つの別個の図を用いたのは、説明を簡単にするためのものにすぎない。ボイラ44、移送ポンプ42、及び遠心力ポンプ48を制御するための手段は示されていない。
【0033】
本発明の他の実施例では、ポンピング手段の前又は後で、追加の熱交換器を外部システムに適用し、このようにして加熱工程を加速することができる。
【0034】
図8は、第1の端部9及び閉じられた第2の端部10を有する管8によって形成された細長い円筒形の区間4を備える熱交換器2を示す。管8は、管32に、またそこから開口20に連結される。管8の内側では、閉じられた第1の端部10のそばで配置された、開いた第1の端部16を有して、第2の管15が構成される。管8は、第2の端部17のそばで管33に連結され、管33は、上向きに、開口19内に延びる。熱伝達媒体は、開口20を介して進入し、矢印Aにより指示された方向に搬送される。管8の閉じられた第2の端部10のそばで、熱伝達媒体の方向が逆転され、第2の管15に、その第1の端部16のそばで進入する。熱伝達媒体は、矢印Bによって示されている方向で、開口19を介して脱出する。管8は、ここではいくつかの開口7を有する管によって形成されたハウジング6である案内手段によって同心円状に囲まれ、前記開口は、上向きに、また横向きに指していることが好ましい。ハウジング6は、管31に、またそこから開口21に連結される。物質は、開口21を介して進入し、ハウジング6内の開口7に向かって搬送され、そこから物質が熱交換器2から離れて移動される。流れの方向は、矢印Cによって示される。これによって、物質はまず、表面4を介して熱伝達媒体と熱を交換することが可能になり、その後で、熱交換器を囲む物質内で攪拌効果を得るように、開口7を介して移動される。出口部29は、ハウジング6の周りで接続され、開口24を備える。出口部29は、開口18に対する連結をさらに含む。これによって、熱交換器を囲む物質は、開口18を経て、出口部29内の開口24を介して抜き取ることができる。開口7は、物質の速度を高め、攪拌効果を向上させるために、ノズルを備えることができる。
【0035】
通常、熱交換器2は、本質的にポリマー材料製のフレキシタンクなど、容器内で取り付けられる。遮断弁が開口18〜21内に取り付けられる。次いで、好ましくは開口18を介して、或いは容器の頂部内の開口を介して、汲み上げ可能な物質が容器内に充填される。容器内の閉じ込められた空気は、例えば抽気弁を使用することによって通気される。容器を充填した後で、出口部29及びハウジング6は、物質で充填されることになる。次いで、容器は、貯蔵室内に置く、又は異なる場所に輸送することができ、そこで物質は、やがて汲み上げ可能でない稠度に凝固する可能性がある。その場合には、加熱された媒体、例えば温水が、図8に関連して上述した管8及び15を介して、ある時間の間循環される。これにより、少なくともハウジング6及び出口部29内の物質が、汲み上げ可能な稠度に再構成され、物質の循環が開始される。物質の循環については、図8に関連して上述されている。物質がハウジング6内の開口7を脱出したとき、ハウジング内の圧力が流体の運動エネルギーに伝達される。ここで、物質は、ポンプによって加えられた圧力に応じた速度で、またハウジングに対して実質的に半径方向へ移動される。このようにして、熱交換後の物質は、熱交換器2から離れたある距離で、凝固された物質に影響を及ぼし、それによって、熱伝達を改善することができる。物質が移動される方向及び速度は、開口7の配置及び寸法設定によって制御される。このようにして、加熱された物質が、熱交換器のすぐ周りでだけでなく、タンク全体内で残りの物質と混合されることが達成されたとき、攪拌効果が得られる。これは、よどんだ物質を介して熱を伝達することに比べて、熱伝達を大きく改善する。攪拌効果は、開口7を、管の寸法に比べて比較的小さい穴として形作ることによって得ることができる。また、その開口は、移動される物質の運動エネルギーをさらに増大するために、ノズルを備えることができる。物質の一部又はすべての適正な粘度を得た後で、例えば汲み上げによって、又は容器を傾けることによってなど重力を使用することによって、所望の量の物質を容器から取り出すことができる。
【0036】
熱伝達媒体を熱交換器内で循環させることに対する代替として、熱交換器は、内蔵電気加熱用要素を備えることができる。
【0037】
図9には、本発明による熱交換器2の一実施例が示されている。先の諸実施例の場合と同様に、熱交換器2は、図5aに示されているのと同様に容器(図示せず)の内部に延びる、また全長が容器の寸法に対応する細長い円筒形の区間4を備える。加熱用媒体は、細長い円筒形の区間4内を流動し、円筒形の区間4を囲むハウジング6内の物質を加熱する。加熱用媒体、例えば水又は蒸気は、開口19、20を介して熱交換器に進入し、そこを離れる。汲み上げられた物質は、開口21を介してハウジング6に進入し、ハウジング内の物質の圧力エネルギーを運動エネルギーに変更するノズルとして働くいくつかの開口又は穴7を介してハウジング6を離れる。ハウジング6の断面が、図内で拡大されて示されている。ここでは、開口7の配置が詳細にわかる。そのような穴(それらのうち、図が見やすいようにいくつかが示されているにすぎない)は、ハウジング6の長さ全体に沿っていくつかの位置で配置される。穴の位置及びサイズによって、移動される物質の、結果的に得られる方向が、その速度と共に決定される。したがって、穴は、容器内のあらゆる所で物質の最大限の攪拌及び混合を得るように配置される。図9に示されている熱交換器2は、容器の底部に近接して、また少し片側に寄って取り付けられるように設計されるため、穴7は、ハウジング6の上側内で配置される。さらに、開口90の寸法は、開口から容器壁までの距離が最長である場合に、移動される物質の最高の速度を得るように設計される。開口のノズル効果をさらに向上させるため、開口の縁部はレーザ切断することができ、それによってばりが回避される。
【0038】
先に述べられているように、物質は、出口部29内の開口24を介して容器から抽出され、開口18を介して熱交換器を離れる。この実施例では、出口部29は、容器内へとある距離に達し、図9に含まれる展開図からわかる多数の小さな穴91を備える。これらの小さな穴は、出口部内側と外側の物質の間の圧力差により、出口部29がつぶれる、又は折り重なるのを防止する。熱交換器2は、ボルトなど従来の手段によって、フランジ26及び27部で容器上に取り付けられる。
【0039】
熱交換器2の同様の実施例が、図10a〜cに、それぞれ側面図、上面図、端面図で示されている。物質は、図9に関して述べられているのと同じ方法で熱交換器に進入し、そこを離れる。この実施例では、加熱用媒体は、開口19を介して、第1の管に対して本質的に平行な第2の管94に連結される1つの管93を介して進み、開口20を介して脱出する。これは、図10bで最も明瞭にわかる。管93、94は、ハウジング6内で、その長さ全体で進む。この代替の実施例は、高い加熱効率を生み出す際に有利であり、簡単且つ安価に製造される。
【実施例1】
【0040】
容積1m3を有する1×1×1m鋼製タンクが、図1〜3及び図8に対応する設計を有する熱交換器を備える。ハウジング6は、83×80mm鋼管(内径80mm及び外径83mm)製である。管8は、63×60mm鋼管製であり、管15は、32×30mm鋼管製である。長さLは0.9mであり、ハウジング6は、上向きに面する2つの開口7と、横向きの4つの開口7(各側に2つ)とを備え、前記開口7は、直径10mmを有する。鋼製タンク内には、800kgのConfao(商標)35が充填された(供給者は、デンマーク、オールフス8000のAarhus United)。Confao(商標)35は、非ラウリン酸(non−lauric)由来の硬化植物性油を主成分とする糖脂肪(confectionery fat)であり、以下の典型的な値を有する。
− スリップ融点(slip melting point)=37℃(AOCS Cc3−25による)
− トランス脂肪酸=43%(IUPAC2.304による)
【0041】
植物性油は、典型的には、以下の熱関連の値を有する。
− 液体脂肪:比熱容量(specific heat contents)=2.1kJ/(kgK)
− 融解熱=185〜210kJ/kg
【0042】
充填後、タンクは、セ氏5度の温度を有する貯蔵室内で3日間貯蔵され、それによって、油は凝固される。熱伝達媒体として使用される加熱された水が、図6に関連して述べたように、熱交換器内で循環される。熱交換器内の凝固された油が溶解された後で、溶解された油の移動及び循環が開始され、油すべてが溶解され油の均一な温度が得られるまで、継続される。
【0043】
熱伝達媒体(水)の温度90℃、75℃、65℃で、それぞれ3回行われた。熱交換器を介した水の流量は、約1リットル/秒であった。4回目は、熱伝達媒体として、圧力1.8バールで、温度131℃を有する蒸気を用いて実行された。4回すべてによって、タンク内の油の温度が、開始時及び終了時に登録された。また、使用された時間が登録された。
【0044】
【表1】
【実施例2】
【0045】
Braid&Coからの24,000リットルの多層使い捨てフレキシタンクが、20フィート・ドライ・コンテナ内で配置された。フレキシタンクには、図5aに示されている熱交換器が取り付けられた。熱交換器(図8と比較)は、長さ5.3メートル、直径は84mmであった。外部円筒形ハウジングは、材料の流れを分配するために、2つの側部と上部で均一に分布する20個の10mm開口を有していた。
【0046】
次いで、フレキシタンクは、17.5メートル・トンのShokao(商標)94(デンマークのAarhus United)で充填された。Shokao(商標)94は、融点32℃を有する、分留非硬化(fractionated and unhydrogenated)非ラウリン酸油を主成分とするココア・バター・リプレーサ(replacer)である。脂肪は多型的であり、ココア・バターのように挙動する。脂肪を冷却及び結晶化するために、平均温度約2℃で6週間の間、容器が屋外に置かれた。熱交換器は、図6に示されている加熱用手段を用いて適合された。位置42のポンプは、流量11m3/時で水を循環するように調整されたGrundfoss CP8−40であった。さらに、熱交換器は、図7に示されている循環用手段を用いて適合された。位置48のポンプは、流量15m3/時に調整されたKSB Etachrom BC032−125/302であった。水及びテスト材料を循環するためのライン内に、温度プローブが設置された。同様に、フレキシタンクの頂部内にプローブが設置された。温度はすべて、10分間隔で同時に記録された。
【0047】
テストは2004年2月24日に開始され、開始手順は、実施例1に述べられているものと同様である。以下の結果が得られた。
【0048】
【表2】
【0049】
10時間から40時間の時間間隔において、溶解は、循環油の一定な温度によって示されるように定常状態にある。さらに、フレキシタンクの頂部での材料の融点以上にある温度によって示されるように、大量の材料が35時間から40時間の時間間隔において溶解されることがわかる。検査したとき、固体材料のわずか約1cmの層が、フレキシタンクの遠位端部に残されていることが明らかになった。
【0050】
テストの終了時に、物質を抜き取り、約30kgの物質がフレキシタンク内に残った。
【実施例3】
【0051】
この実施例は、熱交換器及び攪拌ユニットが最適化され、熱伝達を増大するために、外部熱交換器が、溶解された物質の回路内に組み込まれていることを除いて、基本的に実施例2の継続である。さらに、取り扱い中に劣化しやすい食品用品質の物質に対して使用される本発明概念の産業上の利用可能性を証明するために、物質が別の大陸に移動された。
【0052】
Braid&Coからの24,000リットルの多層使い捨てフレキシタンクが、20フィート・ドライ・コンテナ内で配置された。フレキシタンクには、図5aに示されている熱交換器及び攪拌ユニットが取り付けられた。熱交換器(図9及び図10a〜c参照)は、長さ5.3メートルを有し、直径は76mmであった。外部円筒形ハウジングは、材料の流れを分配するために、ハウジングの長さに沿って、2つの側部と上部で均一に分布する、単純なノズルとして働く35個の開口又は穴を有していた。ハウジング内の開口は、直径の異なるものであり、物質の徹底的な攪拌効果を確保するように位置決めされた(図9と比較)。次いで、フレキシタンクは、20.5メートル・トンのIllexao(商標)30−61(デンマークのAarhus United)で充填された。Illexao(商標)30−61は、スリップ融点34℃を有する分留非硬化の外来油(exotic oil)を主成分とするココア・バター同等品である。脂肪は多型的であり、ココア・バターのように挙動する。冷却後、容器は、通常コンテナ貨物としてブラジルに運送された。到着したとき、容器は、屋根付き領域内で配置され、熱交換器は、図6に示されている加熱用手段を用いて適合され、循環する溶解物質の回路内には、外部熱交換器が設置された(図7)。
【0053】
物質の加熱及び溶解は、以下のパラメータで実行された。
− 周囲温度−約20℃(夜間)及び35℃(日中)
− 加熱用水の流量−12m3/時
− 循環する溶解物質の流量−15m3/時
【0054】
水及び溶解された物質を循環するためのライン内に、温度プローブが設置された。同様に、フレキシタンクの頂部内にプローブが設置された。温度はすべて、3分間隔で同時に記録された。テストは2005年1月11日に開始され、開始手順は、実施例1に述べられているものと同様である。以下の結果が得られた。
【0055】
【表3】
【0056】
10時間から20時間の時間間隔において、溶解は、循環油の一定な温度によって示されるように定常状態にある。さらに、循環する物質とフレキシタンクの頂部とのほとんど同一の温度によって示されるように、大量の材料が20時間後に溶解されることがわかる。溶解された物質を荷下ろしした後で、検査により、25kg未満がフレキシタンク内に残されていることが明らかになった。
【0057】
積み込み前と溶解後に測定された解析値により、物質は、完全な取り扱い手順によって品質が損なわれていないことが証明された。わずかな酸化劣化又は熱劣化が記録されたにすぎない。
[参考例]
【0058】
この実施例は、本発明時点での現行の使用における現況技術手順に基づく参照である。
【0059】
24,000リットルの多層使い捨てフレキシタンクが、20フィート・ドライ・コンテナ内で、熱パッドとしても知られる加熱用ブランケットの上(on top of)に配置される。次いで、フレキシタンクは、Cebes(商標)30−86(デンマークのAarhus United)で充填される。Cebes(商標)30−86は、スリップ融点35℃を有する分留硬化パーム核油を主成分とするココア・バター代替品である。冷却後、容器は、通常コンテナ貨物としてオーストラリアに運送される。
【0060】
到着したとき、加熱用パッドの管が、循環加熱用水のループに連結される。物質の加熱及び溶解は、以下のパラメータで実行される。
− 加熱用水の流量−圧力低下2.3バールを伴う2.5m3/時
− 加熱用水の入口温度85℃
− 加熱用水の出口温度60℃
【0061】
加熱は、材料すべてが液状となり、いつでも排出できる状態になるまで継続される。以下の結果は、上述のように約240回の納入に基づく平均記録である。
【0062】
【表4】
【0063】
これらの結果から、周囲温度で固体である大量の液体を取り扱うこの方法は、非効果的であり、したがって、それに応じてコストがかかることは自明である。
【0064】
(定義)
本文脈において物質に言及されるときはいつでも、少なくとも1つの条件において、その物質が既知のポンピング手段によって移動可能である速度/稠度を有する任意の材料又は材料の組合せを含めて、広い意味で理解されたい。そのような物質の非網羅的なリストには、下記のものが含まれる。
− 植物性油又は脂肪
− 食用油又は脂肪
− 脂肪アルコール
− ポリグリコール
− ワセリン
− パラフィンろう
− 天然又は合成ゴム
− 樹脂
【0065】
説明において、また図において開示されている本発明は、修正及び変更することができ、それでもなお、以下で特許請求されている本発明の範囲内にあることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1a】本発明による熱交換器の側面図である。
【図1b】図1aに示されている熱交換器の正面図である。
【図2】図1bの断面Y−Yを示す図である。
【図3】図1aの断面X−Xを示す図である。
【図4】容器内に設置された熱交換器の側断面図である。
【図5a】容器内に設置された熱交換器の立面図である。
【図5b】図5aの細部Zを拡大形式で示す図である。
【図6】熱伝達媒体を熱交換器にリサイクルするための簡易回路を示す図である。
【図7】物質をリサイクルするための簡易回路を示す図である。
【図8】熱伝達媒体の、また物質の流れの方向が示されている、図2に対応する断面図である。
【図9】本発明による熱交換器の一実施例を示す図である。
【図10a】側面図で見た、本発明による熱交換器の一実施例を示す図である。
【図10b】上面図で見た、図10aの熱交換器を示す図である。
【図10c】端面図で見た、図10aの熱交換器を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の物質の温度を上昇させる方法であって、前記物質が当初少なくとも部分的に凝固された状態にあり、少なくとも1つの熱交換器が前記容器内に配置され、前記物質を移動するためのポンピング手段が設けられており、
a)前記熱交換器と前記物質の間で熱を交換するステップと、
b)前記熱交換器と前記物質の間での増大された熱交換のために、前記ポンピング手段で物質を移動するステップと、
c)前記容器内側で前記物質を移動することによって、前記ポンピング手段で前記物質を攪拌するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記熱交換器が、前記容器内の前記物質に熱を伝達するための外部熱源手段に連結され、前記熱源手段及び前記ポンピング手段が、前記物質の温度を制御するための制御手段によって調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱交換器が、細長い円筒形の表面を備え、ステップb)を実行したとき前記表面に沿って前記物質を案内するために案内手段が設けられ、前記案内手段が前記ポンピング手段に連結される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備え、前記ハウジングが、ステップc)を実行したとき前記物質を分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)は、攪拌されたとき流速を高めるために、前記物質が少なくとも1つのノズルのような手段を介して移動されることを含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記外部熱源手段が、水を加熱するための手段を備える、請求項2から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記物質が当初少なくとも部分的に凝固された状態にあり、ステップb)及びステップc)を開始する前に、少なくとも、かなりの量の前記物質が溶解されるまで、ステップa)に従って熱が前記熱交換器と前記物質の間で交換される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
食用の凝固された油又は脂肪を溶解するために使用される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
当初少なくとも部分的に凝固された状態にある、容器内の物質の温度を上昇させるための装置であって、熱交換器が容器内に配置されたとき熱を前記物質と交換するように適合された少なくとも1つの熱交換器を備え、前記容器内で前記物質を移動するためのポンピング手段及び案内手段をさらに備え、前記ポンピング手段及び案内手段が、前記物質が移動されたとき前記物質を攪拌するように、また前記熱交換器と前記物質の間で熱交換を増大するように適合される装置。
【請求項10】
前記熱交換器が、熱を前記容器内の前記物質に伝達するために外部熱源手段に連結するように準備される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記外部熱源手段と前記熱交換器の間で熱伝達媒体の流れを制御するための制御手段を備える、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記容器が、流動性の、且つ/又は凝固された状態にある少なくとも1つの液体を含めて、少なくとも1つの大量の物質を輸送するように適合される、請求項9から11までのいずれかに記載の装置。
【請求項13】
加工工場内で容器と一体化される、請求項9から11までのいずれかに記載の装置。
【請求項14】
物質を貯蔵するように適合された容器と、前記容器内側で、少なくとも1つの細長い円筒形の表面を有して構成された熱交換器と、前記熱交換器の前記表面に沿って物質を案内するように適合された案内手段とを備えるシステムであって、前記案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備え、また物質の流れを受けるように適合され、前記ハウジングが、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備えるシステム。
【請求項15】
前記熱交換器が、前記容器の下側によって構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記熱交換器が、前記物質の流れを提供するために、ポンピング手段に連結するための連結手段を有して適合される、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記容器が、流動性の、且つ/又は凝固された状態にある少なくとも1つの液体を含めて、少なくとも1つの大量の物質を輸送するように適合される、請求項14から16までのいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記容器が、本質的にポリマー材料製のタイプのものである、請求項14から17までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
物質と熱交換するように適合された細長い、実質的に円筒形の区間を備える熱交換器であって、ハウジングを備える案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成され、また前記区間に沿って前記物質の流れを受け、案内するように適合され、前記ハウジングは、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える熱交換器。
【請求項20】
熱交換器をフランジ又は管の端部に連結するように適合された結合手段を備える、請求項19に記載の熱交換器。
【請求項21】
前記円筒形の区間が、第1の端部と、閉じられた第2の端部とを備える第1の管であり、第2の管が、前記円筒形の区間内側で実質的に同心円状に構成され、前記第2の管が、前記円筒形の区間の前記第2の端部のそばで第1の端部を用いて、また前記円筒形の区間の前記第1の端部のそばで第2の端部を用いて位置決めされ、熱輸送媒体を、前記第2の管の前記第2の端部から前記第1の端部に搬送することができ、熱輸送媒体が、前記円筒形の区間の前記第2の端部から前記第1の端部まで継続する、請求項19又は20に記載の熱交換器。
【請求項22】
前記第2の管の前記第2の端部が、熱輸送媒体を受けるための手段に連結され、前記円筒形の区間の前記第1の端部が、前記熱輸送媒体を戻すための手段に連結される、請求項21に記載の熱交換器。
【請求項23】
前記円筒形の区間が、それらの内端部で連結された2本の本質的に平行な管を備え、熱輸送媒体を、前記連結された管を介して搬送することができる、請求項19又は20に記載の熱交換器。
【請求項24】
前記熱交換器が、物質を前記熱交換器の一部から開口を介して抜き取るように適合された少なくとも1つの開口を備え、前記熱交換器の前記一部が、物質を含む容器内に前記熱交換器が設置されたとき前記物質を受けるように適合された開口を備える、請求項19から22までのいずれかに記載の熱交換器。
【請求項1】
容器内の物質の温度を上昇させる方法であって、前記物質が当初少なくとも部分的に凝固された状態にあり、少なくとも1つの熱交換器が前記容器内に配置され、前記物質を移動するためのポンピング手段が設けられており、
a)前記熱交換器と前記物質の間で熱を交換するステップと、
b)前記熱交換器と前記物質の間での増大された熱交換のために、前記ポンピング手段で物質を移動するステップと、
c)前記容器内側で前記物質を移動することによって、前記ポンピング手段で前記物質を攪拌するステップとを含む方法。
【請求項2】
前記熱交換器が、前記容器内の前記物質に熱を伝達するための外部熱源手段に連結され、前記熱源手段及び前記ポンピング手段が、前記物質の温度を制御するための制御手段によって調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱交換器が、細長い円筒形の表面を備え、ステップb)を実行したとき前記表面に沿って前記物質を案内するために案内手段が設けられ、前記案内手段が前記ポンピング手段に連結される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備え、前記ハウジングが、ステップc)を実行したとき前記物質を分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ステップc)は、攪拌されたとき流速を高めるために、前記物質が少なくとも1つのノズルのような手段を介して移動されることを含む、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記外部熱源手段が、水を加熱するための手段を備える、請求項2から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記物質が当初少なくとも部分的に凝固された状態にあり、ステップb)及びステップc)を開始する前に、少なくとも、かなりの量の前記物質が溶解されるまで、ステップa)に従って熱が前記熱交換器と前記物質の間で交換される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
食用の凝固された油又は脂肪を溶解するために使用される、前記請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
当初少なくとも部分的に凝固された状態にある、容器内の物質の温度を上昇させるための装置であって、熱交換器が容器内に配置されたとき熱を前記物質と交換するように適合された少なくとも1つの熱交換器を備え、前記容器内で前記物質を移動するためのポンピング手段及び案内手段をさらに備え、前記ポンピング手段及び案内手段が、前記物質が移動されたとき前記物質を攪拌するように、また前記熱交換器と前記物質の間で熱交換を増大するように適合される装置。
【請求項10】
前記熱交換器が、熱を前記容器内の前記物質に伝達するために外部熱源手段に連結するように準備される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記外部熱源手段と前記熱交換器の間で熱伝達媒体の流れを制御するための制御手段を備える、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記容器が、流動性の、且つ/又は凝固された状態にある少なくとも1つの液体を含めて、少なくとも1つの大量の物質を輸送するように適合される、請求項9から11までのいずれかに記載の装置。
【請求項13】
加工工場内で容器と一体化される、請求項9から11までのいずれかに記載の装置。
【請求項14】
物質を貯蔵するように適合された容器と、前記容器内側で、少なくとも1つの細長い円筒形の表面を有して構成された熱交換器と、前記熱交換器の前記表面に沿って物質を案内するように適合された案内手段とを備えるシステムであって、前記案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成されたハウジングを備え、また物質の流れを受けるように適合され、前記ハウジングが、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備えるシステム。
【請求項15】
前記熱交換器が、前記容器の下側によって構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記熱交換器が、前記物質の流れを提供するために、ポンピング手段に連結するための連結手段を有して適合される、請求項14又は15に記載のシステム。
【請求項17】
前記容器が、流動性の、且つ/又は凝固された状態にある少なくとも1つの液体を含めて、少なくとも1つの大量の物質を輸送するように適合される、請求項14から16までのいずれかに記載のシステム。
【請求項18】
前記容器が、本質的にポリマー材料製のタイプのものである、請求項14から17までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
物質と熱交換するように適合された細長い、実質的に円筒形の区間を備える熱交換器であって、ハウジングを備える案内手段が、前記熱交換器の周りで本質的に同心円状に構成され、また前記区間に沿って前記物質の流れを受け、案内するように適合され、前記ハウジングは、前記物質の流れが存在するとき、それを分配するために、前記ハウジングの長さに沿って、あるパターンで構成されたいくつかの開口を備える熱交換器。
【請求項20】
熱交換器をフランジ又は管の端部に連結するように適合された結合手段を備える、請求項19に記載の熱交換器。
【請求項21】
前記円筒形の区間が、第1の端部と、閉じられた第2の端部とを備える第1の管であり、第2の管が、前記円筒形の区間内側で実質的に同心円状に構成され、前記第2の管が、前記円筒形の区間の前記第2の端部のそばで第1の端部を用いて、また前記円筒形の区間の前記第1の端部のそばで第2の端部を用いて位置決めされ、熱輸送媒体を、前記第2の管の前記第2の端部から前記第1の端部に搬送することができ、熱輸送媒体が、前記円筒形の区間の前記第2の端部から前記第1の端部まで継続する、請求項19又は20に記載の熱交換器。
【請求項22】
前記第2の管の前記第2の端部が、熱輸送媒体を受けるための手段に連結され、前記円筒形の区間の前記第1の端部が、前記熱輸送媒体を戻すための手段に連結される、請求項21に記載の熱交換器。
【請求項23】
前記円筒形の区間が、それらの内端部で連結された2本の本質的に平行な管を備え、熱輸送媒体を、前記連結された管を介して搬送することができる、請求項19又は20に記載の熱交換器。
【請求項24】
前記熱交換器が、物質を前記熱交換器の一部から開口を介して抜き取るように適合された少なくとも1つの開口を備え、前記熱交換器の前記一部が、物質を含む容器内に前記熱交換器が設置されたとき前記物質を受けるように適合された開口を備える、請求項19から22までのいずれかに記載の熱交換器。
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【公表番号】特表2007−533948(P2007−533948A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508728(P2007−508728)
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000268
【国際公開番号】WO2005/103594
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(505174574)アールフスカールスハムン デンマーク アクティーゼルスカブ (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月20日(2005.4.20)
【国際出願番号】PCT/DK2005/000268
【国際公開番号】WO2005/103594
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(505174574)アールフスカールスハムン デンマーク アクティーゼルスカブ (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]