説明

容器送出装置

【課題】一列で送り出す容器が、移動時に転倒することを防止するとともに、一列の容器の個数が異なり、あるいは一列の容器の先頭と後方の位置が異なる場合でも対応可能にする。
【解決手段】複数列に整列され、その列の方向と直交する方向に前進される容器群の、先頭の一列を分離する容器分離手段(リリーステーブル14)と、この一列の容器2の送り出し方向の先頭の容器2と、後端の容器2をそれぞれ支持する前方ガイド部材60および後方ガイド部材62と、これら両ガイド部材60、62を容器2の送り出し方向に移動させるサーボモータを備えており、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62は、それぞれ別のサーボモータによって移動される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数列に整列され、その列と直交する方向に前進されてきた容器群の最前列の容器を切り離して、前記複数列の容器の前進方向と直交する方向へ送り出す容器送出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数列の容器群から一列ずつ分離させ、搬送コンベヤによって一列の状態で送り出す装置は従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載された発明は、積載シート40上にマトリックス状に搭載された瓶を一列ずつプッシャ19で搬出コンベア8上に送り出すバルク解体装置であり、搬出コンベヤ8が一列の瓶を受け取った後、昇降装置41によってそのコンベア面8aを垂直に下降させ、下降したコンベア面8a上の瓶を、過送りプッシャ22によってバルク側の瓶から離隔させた後、この搬出コンベヤ8を走行させるようにしている。
【0003】
この特許文献1に記載された発明では、搬出コンベヤ上に一列の容器を移した後、このコンベヤを下降させ、さらに、プッシャによって複数列の容器群から切り離し、その後、搬出コンベヤを走行させて容器を搬出するようにしたので、例えば、容器が円形断面の容器で、各列の容器が隣接する列の容器の間にそれぞれ位置して重なり合っている状態、つまり千鳥配列の状態であっても、最前列の容器を後続の容器群から切り離して搬送することが可能である。
【特許文献1】特開2004−75127号公報(第2−4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載された発明の構成では、動作を高速化させると、容器が揺れるため、プッシャによって離隔させる際、あるいは、搬出コンベヤの走行開始時等に、排出方向前端の容器が倒れてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、動作を高速化させても容器が倒れてしまうおそれがない容器送出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数列に整列されてこの列と直交する方向に前進される容器群の最前列の容器を、前記前進方向と直交する方向へ送り出す容器送出装置において、前記最前列の容器を容器群から分離する容器分離手段と、分離された容器の送り出し方向前方に位置される前方ガイド部材および後方に位置される後方ガイド部材と、これら前方ガイド部材と後方ガイド部材を送り出し方向へ移動させるガイド部材移動手段とを備え、かつ、前記前方ガイド部材と後方ガイド部材の間隔を変更可能にしたことを特徴とするものである。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記ガイド部材移動手段は、前記前方ガイド手段を移動させる前方ガイド部材移動手段と、前記後方ガイド部材を移動させる後方ガイド部材移動手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記ガイド部材移動手段は、容器群から分離された最前列の容器とともに前方ガイド部材および後方ガイド部材を送り出し方向へ移動させた後、次に分離される最前列の容器とともに移動するまでに、前記前方ガイド部材と後方ガイド部材の間隔を変更させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器送出装置は、容器分離手段によって容器群から分離した一列の容器を、前方ガイド部材と後方ガイド部材によって、容器列の先端と後端を保持して送り出すようにしたので、装置の運転を高速化しても、容器を容器列から分離する際や、容器の移動開始時に転倒するおそれがないという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
複数列に整列され、これら容器の列と直交する方向に前進される容器群から、最前列の容器を切り離して前記容器群の前進される方向と直交する方向に送り出す装置であって、容器群の最前列の容器を一列ずつ分離する容器分離手段と、分離した一列の容器の、送り出し方向の先頭に位置する容器の前方と、後端に位置する容器の後方に、それぞれ配置される前方ガイド部材および後方ガイド部材と、これら前方ガイド部材および後方ガイド部材を容器の送り出し方向に移動させるガイド部材移動手段とを備えたことにより、一列の容器の送り出し開始時に容器が転倒するおそれをなくすことができる。また、前方ガイド部材と後方ガイド部材の間隔を調整可能にしたので、容器群から分離されて送り出される一列の容器の長さが異なる場合や、先頭の容器や後端の容器の位置が列ごとに異なる場合でも、各ガイド部材の位置を調整して一列の容器を前後から確実に保持して送り出すことができる。
【実施例1】
【0011】
以下、図面に示す実施例により本発明を説明する。図1は本発明の一実施例に係る容器送出装置の平面図、図2はこの容器送出装置の動作を説明する図であり、図1のII方向矢示図である。この容器送出装置は、複数列に整列した容器2を、この列と直交する方向(矢印Y参照)に間欠的に搬送する導入コンベヤ4と、導入コンベヤ4の最前列の一列の容器2を後方の容器群から切り離す容器分離手段6と、この切り離された一列の容器2を、切り離した位置から、その列の方向(矢印X参照)に搬送する搬送コンベヤ8上に排出する容器移動手段10とを備えている。
【0012】
この実施例では、丸容器2が千鳥配列(一列の容器2がそれぞれ隣接する他の列の容器2の中間に位置する配列)で、しかも、各列の容器2の数が異なっている場合(図1に示す例では、容器が9個の列と10個の列が交互に並んでいる)に、一列ずつ切り離して送り出す工程について説明する。導入コンベヤ4は、複数列の容器2を載せてその列と直交する方向に間欠的に駆動され、容器一列分ずつ前進して停止する。搬送される容器2は、導入コンベヤ4の両側の、容器2のほぼ中間の高さに配置されたガイド部材4aによって案内される。この導入コンベヤ4の前方(図1の上方側)には、デッドプレート12が配置されており、導入コンベヤ4によって搬送されてきた容器2が後方の容器2に押されてこのデッドプレート12上に押し出される。
【0013】
デッドプレート12の前方には、一列分の容器2を載せて前後方向(図1の上下方向であり、図2の左右方向)に進退動可能なリリーステーブル14が配置されている。このリリーステーブル14は、水平に配置されたエアシリンダ16のピストンロッド16aに取り付けられており、前記デッドプレート12に接近してデッドプレート12上から押し出されてきた一列の容器2を受け取る位置(図2に示す位置)と、デッドプレート12から離れて、デッドプレート12上の最前列の容器2とこのリリーステーブル14上に乗り移った容器2とが重なり合わない位置(図1および後に説明する図5、図6参照)との間で往復動する。
【0014】
このリリーステーブル14の上方には、前記エアシリンダ16のピストンロッド16aに連結されて、リリーステーブル14と一体的に進退動するリリースガイド18が設けられている。このリリースガイド18は、最前列の容器2をリリーステーブル14の移動によって前記複数列の容器群から切り離す際に、前記デッドプレート12上からリリーステーブル14上に押し出されてきた一列の容器2の前面側を支持するとともに、これら一列の容器2を、後に説明するように、前記導入コンベヤ4の搬送方向Yと直交する方向Xに移動させる際に、これら一列の容器2の側面(容器2を切り離す際の前記前面と同じ面)を支持する。なお、前記エアシリンダ16によって進退動するリリーステーブル14が、請求項1に記載した容器分離手段を構成している。
【0015】
前記リリーステーブル14が進退動する位置の下方にシャッターガイド20が設けられている。このシャッターガイド20は垂直方向を向けて配置されたエアシリンダ22によって上下動できるようになっており、下降したときには、リリーステーブル14に干渉しない高さに位置し、また、上昇したときには、リリーステーブル14よりも上方に突出する。しかも、このシャッターガイド20が上昇した時には、リリーステーブル14上に載せられて容器群から切り離された容器2の底部の、前記リリースガイド18が支持する側面と逆側の側面を支持できるようになっている。また、リリーステーブル14の上方には、容器口ガイド24が配置されている。この容器口ガイド24は、垂直方向に配置されたエアシリンダ26によって上下動できるようになっており、上昇時には、リリーステーブル14上に載せられている容器2に干渉しない高さに位置し、また、下降時には、リリーステーブル14上の容器2の口部2aの側面に当接して支持する位置に配置されている。容器口ガイド24を昇降させるエアシリンダ26は、前記リリーステーブル14を進退動させるエアシリンダ16のピストンロッド16aに連結されており、リリーステーブル14、リリースガイド18および容器口ガイド24が一体的に進退動する。このように構成したことにより、後に説明する図4および図5に示すように、リリーステーブル14を移動させて一列の容器2を容器群から分離する際に、容器口ガイド24を下降させて容器2の口部2aを支持することにより移動する容器2が転倒することを防止する。
【0016】
さらに、デッドプレート12の先端部の上方には、垂直方向に配置されたエアシリンダ28によって昇降するストッパ30が設けられている。このストッパ30は上昇したときにはデッドプレート12からリリーステーブル14上に移動する容器2に干渉しない高さに位置し、また、下降時には、デッドプレート12の前方寄りに位置している列の容器2の口部2aの前面側に当接して、デッドプレート12からリリーステーブル14への容器2の移動を規制する位置に配置されている。
【0017】
前記リリーステーブル14の容器分離位置(デッドプレート12から前方側へ離れた位置)の下流側(一列の容器の送出方向)の一直線上に、リリーステーブル14上の一列の容器2を受け取ってそのまま一列で搬送する搬送コンベヤ8が配置されている。この搬送コンベヤ8の搬送面上の両側には、一列で搬送される容器2の両側面を支持するガイド部材32、34が設けられている。これらガイド部材32、34は、前記リリースガイド18およびシャッターガイド20の、容器搬送方向下流側の端部に隣接する位置まで延びている。
【0018】
リリーステーブル14の移動によって前記導入コンベヤ4およびデッドプレート12上の複数列の容器群から切り離された一列の容器2を、このリリーステーブル14上から前記搬送コンベヤ8上に乗り移らせる容器移動手段10が設けられている。この容器移動手段10について、前記図1および図3により説明する。リリーステーブル14の側部(デッドプレート12と逆側の側部)の、容器送出方向Xの下流側と上流側にそれぞれ、駆動用サーボモータ(ガイド部材移動手段)36、38によって回転される垂直方向の駆動軸40、42に、上下2枚のホイール44、46、48、50が、上下に所定の間隔を空けて取り付けられている。この実施例では、容器送出方向Xの下流側(図1および図3の左側)の2枚のホイール44、46のうち、上方側のホイール44がボールベアリング52を介して回転自在に支持され、下方側のホイール46は駆動軸40に固定されて、第1サーボモータ36によって直接回転される。また、容器送出方向Xの上流側に配置された2枚のホイール48、50のうち、上方側のホイール48が駆動軸42に固定され、下方側のホイール50がボールベアリング54を介して回転自在に支持されており、上方側のホイール48が第2サーボモータ38によって直接回転される。
【0019】
上方の2枚のホイール44、48間および下方の2枚のホイール46、50間にそれぞれベルト56、58が掛け回されている。これら上下のベルト56、58に、リリーステーブル14上の容器2を前記搬送コンベヤ8上に移動させる際に、一列の容器2の先頭に位置する容器2(図1の左端に位置する容器)と後端に位置する容器2を保持する前方ガイド部材60と後方ガイド部材62が取り付けられている。この実施例では、上方のベルト56に等間隔で3個の前方ガイド部材60が、そして、下方のベルト58に等間隔で3個の後方ガイド部材62がそれぞれ取り付けられている。前方ガイド部材60は、上方のベルト56を3等分した位置にそれぞれ取り付けられ、後方ガイド部材62は、下方のベルト58を3等分した位置にそれぞれ取り付けられている。第1サーボモータ36の駆動により下方のベルト58が走行して後方ガイド部材62が移動し、第2サーボモータ38の駆動により上方のベルト56が走行して前方ガイド部材60が移動するようになっている。前方ガイド部材60と後方ガイド部材62は、別々のサーボモータ36、38の駆動によって移動されるので、独立して移動することができ、これにより前方ガイド部材60と後方ガイド部材62の移動方向における間隔が変更可能となっている。
【0020】
これら前方ガイド部材60の一つと後方ガイド部材62の一つが組になって一列の容器2を前後から保持し、ガイド部材移動手段である第1サーボモータ36(後方ガイド部材移動手段)および第2サーボモータ38(前方ガイド部材移動手段)の同期された駆動によって上下のベルト56、58が一体的に走行することにより、リリーステーブル14上の容器2を搬送コンベヤ8上に移動させる。前記容器移動手段10は、上下のホイール44、46、48,50にかけ回された上下のベルト56、58と、これらベルト56、58にそれぞれ取り付けられている前方ガイド部材60および後方ガイド部材62と、ホイール44、46、48、50およびベルト56、58を介して前方ガイド部材60と後方ガイド部材62を容器2の送り出し方向に移動させるガイド部材移動手段としての第1および第2サーボモータ36、38を備えている。なお、前記リリーステーブル14と一体に設けられているリリースガイド18は、上下のベルト56、58および前後のガイド部材60、62に干渉しないように、上下のベルト56、58の中間の高さに配置されている。
【0021】
また、デッドプレート12の側部には、デッドプレート12および導入コンベヤ4上に載っている容器群の最前列の容器2の本数を検出するセンサ64がガイド部材4aに取り付けられて設けられており、次に前方ガイド部材60と後方ガイド部材62との間に保持する一列の容器2の本数を確認している。センサ64としては、レーザ式、超音波式、接触式などの変位センサを採用することができ、センサ64の測定結果から測定位置における容器2の有無を判断し、本実施例では無しの場合は9本、有りの場合は10本として最前列の容器2の本数を検出することができるようになっている。特に、この実施例のように、複数列の容器2の各列が、隣接する列との数が異なる千鳥配列になっている場合には、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62とによって保持する容器2の数が1回毎に異なるため、これら両ガイド部材60、62間に容器2が挿入される前に、このセンサ64からの信号によって、容器2の数を確認してガイド部材60、62の位置を調整して間隔を変更するようにしている。
【0022】
以上の構成に係る容器送出装置の作動について説明する。導入コンベヤ4上に千鳥配列で、しかも、各列が異なる個数(この実施例では、10個の容器2の列と9個の容器2の列とが交互に配置されている)で載置された複数列の容器群が、この導入コンベヤ4の間欠的な駆動により、矢印Y方向に一ピッチ(隣接する各容器列のセンターライン間の距離)ずつ前進する。導入コンベヤ4の駆動により、導入コンベヤ4上の容器群の最前列の容器2がデッドプレート12上に押し出され、さらに次の一ピッチの駆動により最前列の容器2が後方から押されて、デッドプレート12の前方側に移動する。次の一ピッチの作動によってデッドプレート12の前列側の一列の容器2が、エアシリンダ16の作動によってこのデッドプレート12側の受け渡し位置に移動してきているリリーステーブル14上に乗り移る。
【0023】
デッドプレート12から最前列の一列の容器2がリリーステーブル14上に乗り移る時点では、リリーステーブル14はデッドプレート12側に接近した受け渡し位置に移動しており、下方に配置されたシャッターガイド20は下降し、上方に配置された容器口ガイド24およびストッパ30は上昇して、移動する容器2およびリリーステーブル14に干渉しない状態になっている(図2参照)。また、容器移動手段10の一組の前方ガイド部材60と後方ガイド部材62は、前記センサ64によって確認された一列の容器2の数に応じて位置が調整されるようになっており、図1に示すように、容器2の本数の多い列を保持する場合には、前方ガイド部材60が先頭の容器(図1の左端の容器2)の前面を、そして、後方ガイド部材62が後端の容器2の背面を保持するように、これら両ガイド部材60、62の距離が大きくなるように間隔を調整する。
【0024】
容器群の最前列の一列の容器2がデッドプレート12から押し出されてリリーステーブル14上に乗り移ると、上方のエアシリンダ28の作動によってストッパ30が下降して後方側の一列の容器(デッドプレート12上の最前列の容器2)の口部2aの前面側に当接して後方側の容器群の移動を規制する。また、容器口ガイド24も下降してリリーステーブル14上の容器2の口部2aの背面側を支持する(図4参照)。リリーステーブル14は、水平エアシリンダ16の作動によってデッドプレート12から離れる方向へ移動する。このリリーステーブル14の移動によって、容器群の最前列の一列の容器(リリーステーブル14に載せられている一列の容器2)がその後方の容器群から切り離されて分離する(図5参照)。つまり、千鳥配列で隣接する列と互いに重なり合っていた容器2が重なり合わない状態になる。デッドプレート12からリリーステーブル14上に乗り移った一列の容器2は、前面側がリリースガイド18に当たって支持されるとともに、口部2aの後面側が容器口ガイド24によって支持されているので(図4の状態)、その後、リリーステーブル14の移動によって後続の容器群から切り離される際に、一列の容器2は前面側がそのままリリースガイド18によって支持され、口部2aが容器口ガイド24によって支持された状態で安定して移動する(図5参照)。
【0025】
このようにリリーステーブル14の移動によって容器群の最前列の一列の容器2が、後方側の容器群から切り離された後、下方のシャッターガイド20がエアシリンダ22の作動によって上昇して、切り離された一列の容器2の底部に、前記リリースガイド18の逆側から当接して支持する(図6参照)。このように一列の容器2を後方の容器群から切り離して、この切り離した方向(Y方向)と直交する方向(X方向)に送出する際には、図6に示すように、一列の容器2の片側(図の右側)をリリースガイド18によって、また逆側を容器口ガイド24とシャッターガイド20によって案内するようになっている。
【0026】
リリーステーブル14の移動によって容器群から切り離された一列の容器2は、図1に示すように、所定の位置および間隔に位置決めされている前方側ガイド部材60および後方側ガイド部材62の間に挿入され、搬送方向右側(図1の上方側)の側面を前記リリースガイド18によって支持されるとともに、搬送方向左側の側面の底部側をシャッターガイド20に、そして、口部2a側を容器口ガイド24によって支持された状態になっている。この状態で、前方ガイド部材60が取り付けられている上方側ベルト56と、後方ガイド部材62が取り付けられている下方側ベルト58を、駆動用の第1、第2サーボモータ36、38によって等速で走行させて、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62とにより前後を保持したまま一列の容器2を、搬送コンベヤ8方向へ移動させる。前方ガイド部材60は、先頭寄りの容器2が搬送コンベヤ8上に乗り移った後、ホイール44の周囲を回り込んで先頭の容器2への係合が外れる。一列の容器2の先頭を規制していた前方ガイド部材60が搬送コンベヤ8上から退避すると、以後は、搬送コンベヤ8上の容器2は、搬送コンベヤ8の搬送速度に応じて搬送される(図7参照)。
【0027】
一列の容器2がリリーステーブル14上から排出されると、このリリーステーブル14は、エアシリンダ16の作動によってリリースガイド18および容器口ガイド24とともにデッドプレート12側に移動する。なお、リリーステーブル14上から容器2が排出された後、容器口ガイド24およびストッパ30が上昇され、シャッターガイド20は下降される。一方、容器移動手段10の前方ガイド部材60および後方ガイド部材62は、次の一列の容器2がリリーステーブル14上に押し出されてくる前に、一列の容器2の先頭と後端に位置する容器2を支持するようにそれぞれの位置が調整される。前回は数の多い列の容器2を排出したので、次は、数の少ない列の容器2がデッドプレート12上から押し出されてくる。従って、この列の容器2の位置に合わせて、前回に比べて前方ガイド部材60は容器送出方向Xの上流側へ、後方ガイド部材62は下流側へ、それぞれ容器2の径のほぼ半分に相当する長さだけ移動させた位置に、両ガイド部材60、62の位置を調整する。
【0028】
前方ガイド部材60が取り付けられている上方ベルト56は、第2サーボモータ38の駆動軸42に固定され、第1サーボモータ36の駆動軸40に対してはフリーの状態になっているので、第2サーボモータ38の駆動によって所定の位置(少ない数の容器列の先頭容器2の前面の位置)まで移動される。一方、後方ガイド部材62が取り付けられている下方ベルト58は、第1サーボモータ36の駆動軸40に固定され、第2サーボモータ38の駆動軸42に対してはフリーの状態になっているので、第1サーボモータ36の駆動によって所定の位置(少ない数の容器列の後方端の容器2の背面の位置)まで移動される(図8の前方ガイド部材60および後方ガイド部材62参照)。このように、一列の容器2の数が異なり、その列の長さが違っている場合には、第1サーボモータ36と第2サーボモータ38の駆動による上下ベルト56、58の走行量を異ならせて、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62の相対的位置を変更して、これらの間隔を変更させることにより対応することができる。このように、本実施例では、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62の間隔の変更を、一列の容器2を搬送コンベヤ8方向へ移動させた後、後続する次の前方ガイド部材60と後方ガイド部材62をリリーステーブル14の容器分離位置に位置させる際に行っており、この位置決めされた前方ガイド部材60と後方ガイド部材62の間に次の一列の容器2を挿入するようにしている。しかしながら、これに限るものではなく、次に挿入される一列の容器2の列方向の長さよりも長い間隔で、一旦前方ガイド部材60と後方ガイド部材62をリリーステーブル14の容器分離位置に位置させ、その後、次の一列の容器2を挿入させてから、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62の位置を調整するようにして間隔の変更を行っても良い。すなわち、少なくとも前方ガイド部材60と後方ガイド部材62が、次に分離される最前列の一列の容器2とともに搬送コンベヤ8の方向へ移動するまでに変更すればよいものである。なお、前記実施例では、異数の千鳥配列にした丸容器2を取り扱う場合について説明したが、このような場合に限るものではなく、千鳥状の配列で、各列の容器2の数が同一の場合には、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62の間隔は調整する必要がなく、同一間隔のまま1回毎の停止位置を調整する。また、角容器の場合には、各列の容器の個数が同一で、しかも、各容器が隣接する列の容器と同一位置にあるので、前後のガイド部材は、常に同一位置で待ち受けるようにすればよい。
【0029】
以上のようにこの実施例に係る装置では、一列の容器2の前後を前方ガイド部材60と後方ガイド部材62によって保持して送り出すので、動作を高速化しても、容器2の移動初期の衝撃によって先頭の容器2が転倒することを防止できる。また、前方ガイド部材60と後方ガイド部材62を上下別々のベルト56、58に取り付け、別々のサーボモータ36、38によって駆動するようにしたので、前後のガイド部材60、62の位置、間隔を自由に変更することができ、従来困難であった異数千鳥配列の容器列を連続して搬出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】容器送出装置の平面図である。(実施例1)
【図2】容器送出装置の横断面図である。
【図3】前方ガイド部材および後方ガイド部材の移動手段の説明図である。
【図4】容器送出装置の横断面図であり、容器群から一列の容器を分離する工程を説明する図である。
【図5】容器送出装置の横断面図であり、図4の次の工程を説明する図である。
【図6】容器送出装置の横断面図であり、図5の次の工程を説明する図である。
【図7】容器送出装置の平面図であり、図1の次の段階を示す図である。
【図8】容器送出装置の平面図であり、図7の次の段階を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
2 容器
6 容器分離手段
36 後方ガイド部材の移動手段(第1サーボモータ)
38 前方ガイド部材の移動手段(第2サーボモータ)
60 前方ガイド部材
62 後方ガイド部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数列に整列されてこの列と直交する方向に前進される容器群の最前列の容器を、前記前進方向と直交する方向へ送り出す容器送出装置において、
前記最前列の容器を容器群から分離する容器分離手段と、分離された容器の送り出し方向前方に位置される前方ガイド部材および後方に位置される後方ガイド部材と、これら前方ガイド部材と後方ガイド部材を送り出し方向へ移動させるガイド部材移動手段とを備え、かつ、前記前方ガイド部材と後方ガイド部材の間隔を変更可能にしたことを特徴とする容器送出装置。
【請求項2】
前記ガイド部材移動手段は、前記前方ガイド手段を移動させる前方ガイド部材移動手段と、前記後方ガイド部材を移動させる後方ガイド部材移動手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の容器送出装置。
【請求項3】
前記ガイド部材移動手段は、容器群から分離された最前列の容器とともに前方ガイド部材および後方ガイド部材を送り出し方向へ移動させた後、次に分離される最前列の容器とともに移動するまでに、前記前方ガイド部材と後方ガイド部材の間隔を変更させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器送出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−6555(P2010−6555A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−168917(P2008−168917)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】