説明

寄棟分岐屋根の通気構造

【課題】寄棟分岐屋根の断熱性を確保すると共に通気性を向上させる。
【解決手段】野地面材2と断熱主板3Aとの間に、断熱連結板3Bの厚み分の通気路4が形成された屋根パネル1を使用し、屋根パネル1を垂木6上に被着し、軒先において屋根パネル1の通気路4の軒先端を外気に直接開放し、隅部にあっては、対向する一対の屋根パネル1を隅木7Dを介して対向させ、断熱主板3A上面を隅木7Dの天面と一致せしめて隅木7Dによって断熱材3の通気路4が閉塞されないようにして一対の屋根パネル1,1間に隅通気路を設け、隅通気路に通気路4の隅側端を開放しておき、隅部に換気部材16を被着し、隅通気路を、換気部材16を介して外気に開放して円滑な換気を確保した寄棟分岐屋根の通気構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄棟屋根であって主屋根部から分岐屋根部を分岐させた寄棟分岐屋根の通気構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の分岐屋根構造は、一定方向に伸びる主屋根部の端部あるいは中間部から、該主屋根部と直角に伸びるように分岐屋根部を分岐させた構成となっている。また該主屋根部と該分岐屋根部との分岐部分は、雨漏りなどを防止するためにシールされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記分岐屋根構造を寄棟屋根に適用する場合、寄棟屋根は、雨仕舞いは良好であっても、妻側の壁(棟に対して直角に接する壁)が無いため、小屋裏(屋根と天井との間の空間)を換気する換気口を設けにくく、特に分岐屋根構造では主屋根部と分岐屋根部との分岐部分に形成される谷に湿気が集中し、この部分において結露が発生しやすいと云う問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点を解決するための手段として、主屋根部17の所定部位から分岐屋根部17Aを分岐させてなる寄棟分岐屋根において、プラスチック発泡体からなる断熱主板3Aの複数枚を垂木巾を介して配置し、該断熱主板3Aの上側からプラスチック発泡体からなる細長の断熱連結板3Bを貼着し、該断熱連結板3Bで複数枚の該断熱主板3Aを相互に連結することにより、該断熱主板3Aの相互の連結部分に垂木嵌合溝5を設けた断熱材3を用い、上記断熱材3の複数枚を野地面材2の下面に上記断熱連結板3Bを介して接合することにより、該野地面材2と上記断熱主板3Aとの間において、該断熱連結板3B相互の間に該断熱連結板3Bの厚み分の通気路4が形成された屋根パネル1を使用し、上記屋根パネル1は、屋根骨格の垂木6上に被着し、該垂木6を該屋根パネルの上記断熱材3の垂木嵌合溝5に嵌合し、また主屋根部17および分岐屋根部17Aの軒先にあっては、上記屋根パネル1の通気路4の軒先端を外気に直接開放しておくものとして、上記主屋根部17および上記分岐屋根部17Aの棟部にあっては、対向する一対の屋根パネル1を棟木7Cの上方で互いに突き合わせることにより、一対の屋根パネル1間に棟通気路11を設けて、該棟通気路11に該屋根パネル1の通気路4の棟側端を開放しておき、上記主屋根部17および上記分岐屋根部17Aの隅部にあっては、対向する一対の屋根パネル1を隅木7Dを介して対向させ、上記断熱材3の断熱主板3A上面を隅木7Dの天面と一致せしめて隅木7Dによって該断熱材3の通気路4が閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル1間に隅通気路11Aを設けて、該隅通気路11Aに該屋根パネル1の通気路4の隅側端を開放しておき、上記屋根パネル1の野地面材2の上面に屋根材12を葺設し、棟部と隅部の所定個所に換気部材16を被着することにより、棟通気路11と隅通気路11Aとを該換気部材16を介して外気に開放した寄棟分岐屋根の通気構造を提供するものである。
【0005】
また上記断熱材3の断熱主板3Aの端面を、隅木7Dの側面にシール材を介して隙間のないようにして接合せしめることが望ましい。
更に本発明では、上記主屋根部17に対する上記分岐屋根部17Aの分岐部分に存在する谷部17Bにあっては、対向する一対の屋根パネル1を谷木18を介して対向させ、該断熱材3の断熱主板3A上面を谷木18の天面と一致せしめて谷木18によって該断熱材3の通気路4が閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル1,1間に谷通気路11Bを設けて、該谷通気路11Bを該屋根パネル1の通気路4を介して棟通気路11および/または隅通気路11Aに連通せしめることが望ましい。
該断熱材3の断熱主板3Aの端面は、谷木18の側面にシール材を介して隙間のないようにして接合せしめることが望ましい。
【0006】
また更に、少なくとも上記屋根パネル1相互の接続部において、該屋根パネル1の断熱材3と垂木6との接合面にはシール材が介在していることが望ましく、また該垂木6上に被着された屋根パネル1の断熱材3の下面は軒先部において壁断熱材20の上端に当接され、該屋根パネル1の断熱材3の下面と壁断熱材20の上端との間に形成される隙間にはシール材が充填され、棟部にあっては、一対の屋根パネル1,1の隙間に該屋根パネル1の通気路4を閉塞しないようにしてシール材が充填されていることが望ましい。
上記シール材は、軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材であることが望ましい。
【0007】
通常、上記換気部材16は、笠形の水切り板14と、該笠形の水切り板14の下面両側に接着されている通気性ブロック16Bとからなる。
更に、該断熱主板3Aと該断熱連結板3Bとは同等の断熱性能を有することが望ましく、また上記プラスチック発泡体は上下両面にプラスチックフィルムが貼着されているウレタン樹脂発泡体またはフェノール樹脂発泡体であることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
〔作用〕
本発明の寄棟分岐屋根にあっては、主屋根部17と分岐屋根部17Aの棟通気路11と隅通気路11Aを棟換気部材16を介して外気に開放したので、小屋裏の換気は、通気路4から棟通気路11と隅通気路、換気部材16を介して充分かつ円滑に行われる。
また、主屋根部17に対する分岐屋根部17Aの分岐部分に存在する谷部17Bにあっても、谷通気路11Bを屋根パネル1の通気路4を介して棟通気路11および/または隅通気路11Aに開放したので、小屋裏の換気は、谷通気路11Bから通気路4、棟通気路11および/または隅通気路11A、換気部材16を介して充分かつ円滑に行われる。
また上記屋根パネル1を使用した寄棟分岐屋根にあっては、垂木6の上に断熱材3の断熱連結板3Bが存在するから、断熱欠損部が存在せず、また屋根パネル1の野地面材2と断熱材3の断熱主板3Aとの間において、該断熱連結板3B相互の間に通気路4が設けられており、この通気路4が軒先と棟部とにおいて外気に開放されているので、屋根の厚さを厚くすることなく屋根の通気性が確保される。そして該断熱材3の断熱連結板3Bは屋根パネル1の垂木嵌合溝5,5Aの上側に配置されているので、屋根には垂木6による断熱欠損部が存在しなくなり、外断熱構造となる。
【0009】
少なくとも該屋根パネル1,1相互の接続部において、該屋根パネル1,1の断熱材3,3と垂木6,6との接合面には垂木シール材8を介在させれば、屋根下地構造の気密性が確保される。
更に、垂木6上に被着された屋根パネル1の断熱材3の下面を軒先部において壁断熱材3の上端に当接させ、該屋根パネル1の断熱材3の下面と壁断熱材3の上端との間に形成される隙間に軒先シール材9を充填し、また棟部にあっては左右の屋根パネル1,1の隙間に、該屋根パネル1,1の通気路4,4を閉塞しないようにしてシール材10を充填すると、屋根下地構造の気密性が確保される。ここで、該シール材10を軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材とすれば、連続した断熱構造を有する屋根下地構造となるため、屋根の断熱性が向上する。
寄棟分岐屋根には、分岐屋根部17Aまたは本谷部17Bが存在するから、これらの部分で対向する左右の屋根パネル1,1を棟木17D、隅木17Eまたは谷木18を介して対向させ、該断熱材3,3の断面主板上面を棟木17D、隅木17Eまたは谷木18の左右天面とを一致せしめて棟木17D、隅木17Eまたは谷木18によって該断熱材3,3の通気路4,4が閉塞されないように、分岐屋根部17Aにあっては該左右の断熱材3,3の間に棟通気路11を設けて断熱性と通気性とを確保する。
本発明の断熱材3の断熱主板3Aと断熱連結板3Bはいずれもプラスチック発泡体板を切断加工することによって製造され、切削加工が必要とされないので、切削加工が困難な上下両面にプラスチックフィルムが貼着されているウレタン樹脂発泡体やフェノール樹脂発泡体でも材料として適用することが出来る。
【0010】
〔効果〕
本発明あっては、寄棟分岐屋根の通気性が確保され、特に分岐屋根部の主屋根部からの分岐部分においても結露が生じなくなり、かつ屋根に断熱欠損部がなくなるので、断熱性が大巾に向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を図1〜図10に示す一実施例によって以下に説明する。
図1及び2に示すように、寄棟分岐屋根の通気構造で使用する屋根パネル1は、野地面材2と、該野地面材2の下面に接着剤によって接着されている断熱材3とによって構成されている。
上記断熱材3は、複数枚の断熱主板3Aと、隣接する一対の断熱主板3Aの間を連結する細長の断熱連結板3Bとからなる。該断熱主板3A及び該断熱連結板3Bは、ポリスチレン発泡体、ポリエチレン発泡体、ポリプロピレン発泡体、半硬質ポリウレタン発泡体、上下両面にプラスチックフィルムが貼着されている半硬質ポリウレタン発泡体、あるいはフェノール樹脂発泡体、メラミン樹脂発泡体等のプラスチック発泡体を材料として形成されている。
該断熱材3においては、複数枚の断熱主板3Aが垂木巾を介して(垂木6の巾だけ間隔を空けて)配置されることにより、一対の断熱主板3Aの間に垂木嵌合溝5が形成されている。該断熱連結板3Bは、一対の断熱主板3Aの隣接部分に上側(野地面材2側)から貼着されており、該断熱材3は、該断熱連結板3Bを介して該野地面材2の下面に接着されている。そして、該野地面材2と、該断熱材3の断熱主板3Aとの間には、該断熱連結板3Bの厚み分の通気路4が形成されている。
また、該屋根パネル1の両端においては、該断熱材3の断熱連結板3Bと野地面材2とを共に断熱主板3Aの側縁から延出せしめることにより、該延出部分3Cの下側を両端の垂木嵌合溝5Aとして形成する。該両端の垂木嵌合溝5Aの巾は、その他の垂木嵌合溝5の巾の1/2に設定する。
【0012】
図3に示すように、上記屋根パネル1は、断熱材3の垂木嵌合溝5,5Aを垂木6に嵌合させることにより、屋根骨格の垂木6上に被着される。なお、図4に示すように、該垂木6は、軒桁7A、母屋7B、棟木7Cによって下方側(屋内側)から支持されている。また特に図示はしないが、該垂木6は、軒桁7A、母屋7Bによって下方側(屋内側)から支持され、隅木7Dの側面に接合されている。
該断熱材3が垂木6上に被着された状態で、断熱連結板3Bが該垂木6の上側(野地面材2側)を覆うことにより、垂木6による断熱欠損部(垂木6によって断熱材が途切れることによる断熱欠損部)が解消される(図3参照)。また、断熱効率を高めるため、該断熱連結板3Bの厚みは20mm以上とすることが望ましい。そして、該屋根パネル1の横方向の相互接続部においては、図3に示すように該断熱材3の断熱主板3Aと垂木6との間に垂木シール材8を介在させることによって気密性を確保している。
【0013】
図4に示すように、主屋根部17と分岐屋根部17Aの軒先部にあって該屋根パネル1の通気路4の軒先側端は、外気に開放されている。
また主屋根部17と分岐屋根部17Aの軒先部にあっては、該断熱材3の断熱主板3Aの下面を壁断熱材20の上端に当接させ、さらに該屋根パネル1の断熱材3の断熱主板3Aの下面と該壁断熱材3の上端との間に形成された隙間に軒先シール材9を充填することにより、屋根の断熱材3と壁断熱材3との接合部で断熱構造の連続性が断たれることを防止している。該軒先シール材9は、軟質ポリウレタン発泡体、軟質ポリ塩化ビニル発泡体、合成ゴムスポンジ等の軟質プラスチック発泡体からなる。
主屋根部17と分岐屋根部17Aの棟部にあっては、左右の屋根パネル1,1が棟木7Cの上方で互いに突き合わされており、これら屋根パネル1,1の接合部の隙間に棟部シール材10を充填することにより、断熱構造の連続性が断たれることを防止している。該棟部シール材10は、上記軒先シール材9と同様の軟質プラスチック発泡体からなる。該棟部シール材10は、該屋根パネル1の通気路4を閉塞しないようにするため、該屋根パネル1の断熱材3の断熱主板3A間に充填されている。また左右の屋根パネル1,1間には、棟部に沿って棟通気路11が形成されており、該屋根パネル1,1の各通気路4,4の棟側端が該棟通気路11に開放されるように設定されている。
【0014】
図5に示すように、該屋根パネル1の野地面材2の上面には、屋根材12が葺設される。棟部にあっては、笠木13,13を介して水切り板14が被覆されている。
そして、図6に示すように、棟部の所定個所には換気部材16が被着されており、主屋根部17の該棟通気路11が該換気部材16を介して外気に開放されるように設定されている。
図7に示すように、該換気部材16は、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチックを材料とし、笠形の水切り板16Aと、該水切り板14の下面両側に接着される通気性ブロック16Bとからなる。該通気性ブロック16Bには、例えばハニカム状に多数の連通孔が設けられている。
【0015】
図8に示すように、本実施形態の寄棟分岐屋根においては、主屋根部17の一角から直角に分岐屋根部17Aが分岐している。主屋根部17と分岐屋根部17Aの棟部は、略水平方向に延びる構成となっている。一方、主屋根部17と分岐屋根部17Aの隅部は、棟部の端部から軒先方向に向かって斜め下方に延びる構成となっている。そして、主屋根部17に対する分岐屋根部17Aの分岐部分には、谷部17Bが存在している。
図9に示すように、上記主屋根部17と分岐屋根部17Aの隅部において、対向する左右の屋根パネル1,1は、垂木6A上に被着されるとともに、隅木7Dを介して対向しており、さらに上記断熱材3の断熱主板3A上面が隅木7Dの左右天面と一致せしめられている。また左右の屋根パネル1,1間には、隅部に沿って隅通気路11Aが形成されており、該屋根パネル1,1の各通気路4,4の隅側端が該隅通気路11Aに開放されるように設定されている。そして、隅部の所定個所には換気部材16が被着されており、該隅通気路11Aが該換気部材16を介して外気に開放されるように設定されている。
なお隅木7D側面にはその両側の屋根パネル1,1の断熱材3の端面を密接させ、更に該断熱主板3Aの接合部下端を断熱シール材によってシールして、隅部はその気密性が確保される。
【0016】
上記主屋根部17および上記分岐屋根部17Aの棟部にあっては、軒先側の換気は屋根パネル1の通気路4の軒先端が直接外気に開放していることによって行なわれ、棟側換気は屋根パネル1の通気路4が棟通気路11に開放され、該棟通気路11が該棟換気部材16を介して外気に開放されることによって行なわれる。
また隅部にあっては、谷部17Bを除く軒先側の換気は屋根パネル1の通気路4の軒先端が直接外気に開放していることによって行なわれ、隅側換気は屋根パネル1の通気路4が隅通気路11Aに開放され、該隅通気路11Aが該換気部材16を介して外気に開放されることによって行なわれる。
【0017】
一方、谷部17Bにあっては、図10に示すように、左右の屋根パネル1,1の断熱材3の断熱主板3Aの間に谷木18が嵌合された状態とし、該断熱主板3Aの上面、即ち垂木6の上面と谷木18の左右天面とを一致させている。その際、左右の屋根パネル1,1の各野地面材2と各断熱材3の断熱連結板3Bの間には、谷に沿って谷通気路11Bが形成され、該谷通気路11Bの上部を塞ぐように、逆笠形の水切り板14Aが被着されている。なお谷木18側面には、その両側の屋根パネル1,1の断熱材3の端面を密接させ、更に該断熱主板3Aの接合部下端は断熱シール材10Bによってシールして、気密性を確保する。
【0018】
該谷部17Bにおいて、屋根パネル1の通気路4の谷側端は、谷通気路11Bに開放され、また該屋根パネル1の通気路4の棟側あるいは隅側は、棟部の棟通気路11、あるいは隅部の隅通気路11Aに開放されている。
上記谷部17Bの換気は、谷通気路11Bが屋根パネル1の通気路4を介して棟部の棟通気路11、あるいは隅部の隅通気路11Aに開放され、該棟通気路11または隅通気路11Aが該換気部材16を介して外気に開放されることによって行なわれる。従って、谷部17Bに集中しようとする湿気は、谷通気路11Bに集まりつつ、通気路4を介して棟部の棟通気路11、あるいは隅部の隅通気路11Aに流れ、該棟通気路11または隅通気路11Aから換気部材16を介して外気に開放されるため、谷部17Bの結露が防止される。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明においては、屋根構造に断熱欠損部が存在しなくなって屋根断熱効果が向上し、そして少ない部材で、特に寄棟分岐屋根において効率良く屋根の換気を図り結露を防止することが出来るから、産業上利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1〜図11は本発明の一実施例を示すものである。
【図1】断熱材および野地面材の部分斜視図
【図2】屋根パネルの横断面図
【図3】屋根パネルを屋根骨格上に被着した状態の部分横断面図
【図4】屋根パネルを屋根骨格上に被着した状態の部分縦断面図
【図5】棟部の横断面図(水切り板取付け部分)
【図6】棟部の横横断面図(棟換気部材取付け部分)
【図7】棟換気部材の正面図
【図8】分岐部を有する屋根の説明図
【図9】図8におけるA−A断面図
【図10】図9におけるB−B断面図
【符号の説明】
【0021】
1 屋根パネル
2 野地面材
3 断熱材
3A 断熱主板
3B 断熱連結板
4 通気路
5,5A 垂木嵌合溝(部)
6 垂木
7C 棟木
7D 隅木
8,9,10 シール材
11 棟通気路
11A 隅通気路
11B 谷通気路
16 換気部材
17 主屋根部
17A 分岐屋根部
17B 谷部
18 谷木



【特許請求の範囲】
【請求項1】
主屋根部の所定部位から分岐屋根部を分岐させてなる寄棟分岐屋根において、
プラスチック発泡体からなる断熱主板の複数枚を垂木巾を介して配置し、該断熱主板の上側からプラスチック発泡体からなる細長の断熱連結板を貼着し、該断熱連結板で複数枚の該断熱主板を相互に連結することにより、該断熱主板の相互の連結部分に垂木嵌合溝を設けた断熱材を用い、
上記断熱材の複数枚を野地面材の下面に上記断熱連結板を介して接合することにより、該野地面材と上記断熱主板との間において、該断熱連結板相互の間に該断熱連結板の厚み分の通気路が形成された屋根パネルを使用し、
上記屋根パネルは、屋根骨格の垂木上に被着し、該垂木を該屋根パネルの上記断熱材の垂木嵌合溝に嵌合し、また主屋根部および分岐屋根部の軒先にあっては、上記屋根パネルの通気路の軒先端を外気に直接開放しておくものとして、
上記主屋根部および上記分岐屋根部の棟部にあっては、対向する一対の屋根パネルを棟木の上方で互いに突き合わせることにより、一対の屋根パネル間に棟通気路を設けて、該棟通気路に該屋根パネルの通気路の棟側端を開放しておき、
上記主屋根部および上記分岐屋根部の隅部にあっては、対向する一対の屋根パネルを隅木を介して対向させ、上記断熱材の断熱主板上面を隅木の天面と一致せしめて隅木によって該断熱材の通気路が閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル間に隅通気路を設けて、該隅通気路に該屋根パネルの通気路の隅側端を開放しておき、
上記屋根パネルの野地面材の上面に屋根材を葺設し、棟部と隅部の所定個所に換気部材を被着することにより、棟通気路と隅通気路とを該換気部材を介して外気に開放した
ことを特徴とする寄棟分岐屋根の通気構造。
【請求項2】
上記断熱材の断熱主板の端面を、隅木の側面にシール材を介して隙間のないようにして接合せしめた請求項1に記載の寄棟分岐屋根の構造。
【請求項3】
上記主屋根部に対する上記分岐屋根部の分岐部分に存在する谷部にあっては、対向する一対の屋根パネルを谷木を介して対向させ、該断熱材の断熱主板上面を谷木の天面と一致せしめて谷木によって該断熱材の通気路が閉塞されないようにすることで、一対の屋根パネル間に谷通気路を設けて、該谷通気路を該屋根パネルの通気路を介して棟通気路および/または隅通気路に連通せしめた請求項1または請求項2に記載の寄棟分岐屋根の構造。
【請求項4】
該断熱材の断熱主板の端面は、谷木の側面にシール材を介して隙間のないようにして接合せしめた請求項3に記載の寄棟分岐屋根の構造。
【請求項5】
少なくとも上記屋根パネル相互の接続部において、該屋根パネルの断熱材と垂木との接合面にはシール材が介在している請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の寄棟分岐屋根の通気構造。
【請求項6】
該垂木上に被着された屋根パネルの断熱材の下面は軒先部において壁断熱材の上端に当接され、該屋根パネルの断熱材の下面と壁断熱材の上端との間に形成される隙間にはシール材が充填され、棟部にあっては、一対の屋根パネルの隙間に該屋根パネルの通気路を閉塞しないようにしてシール材が充填されている請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の寄棟分岐屋根の通気構造。
【請求項7】
上記シール材は、軟質プラスチック発泡体からなる断熱性シール材である請求項2、請求項4、請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の寄棟分岐屋根の通気構造。
【請求項8】
上記換気部材は、笠形水切板と、該笠形水切板の下面両側に接着されている通気性ブロックとからなる請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の寄棟分岐屋根の通気構造。
【請求項9】
該断熱主板と該断熱連結板とは同等の断熱性能を有する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の寄棟分岐屋根の通気構造。
【請求項10】
上記プラスチック発泡体は上下両面にプラスチックフィルムが貼着されているウレタン樹脂発泡体またはフェノール樹脂発泡体である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の寄棟分岐屋根の通気構造。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−161960(P2009−161960A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341293(P2007−341293)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000104548)キッコーナ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】